とうとう専用機限定タッグマッチが開催される当日になった。
全校生徒は一つの場所に集められ、楯無の開会のあいさつを聞かされている。
クロウはというと、一応生徒会のメンバーであるので、他の生徒会メンバーと共に前に出て整列している。
「ふわ~……」
クロウの隣に整列していた本音は、だらしなく大きな欠伸をする。
姉の虚とIS学園教頭はキラリと目を光らせる。
このままだと、後で怒られるのは確実だろう。
「眠そうだな、本音」
「ん~……クーが夜遅くまでするから~……」
クロウはそんな二人の睨みを気にするそぶりも見せず、イチャイチャとし出す。
本音は目を擦りながらとんでもないことを口走ったが、それを咎める虚や教頭が遠くにいたため聞こえなかったらしく、何とか無事のようである。
……ちなみに近くにいた一夏は顔を赤らめていた。何を妄想しているのだろうか。
「っていうか~、何でクーは眠たくならないの~?」
「体力があるからな」
精力も凄まじいものである。
最後の方など、本音はすでに失神していたのに腰を振りたくっていたのである。
まあなんだかんだいって本音も悦んでいるので、問題ないのだろう。
「眠いのであれば、少し眠るか?」
「う~ん……じゃあお言葉に甘えて~」
そう言うと本音はほんの少しクロウに身体をもたれさせ、寝息をたてはじめた。
立ちながら眠ることができるとは、器用なことをするものだ。
「この大会に参加しない一般生徒の皆さんも、専用機持ちたちの操縦が見れる貴重な機会です。彼女たちの技術を盗むつもりで、しっかりと見ていただきたいと思います」
本音がすっかり夢の世界に旅立っているころ、舞台の上では楯無が挨拶を続けていた。
確かに専用機を持っているような面々は、それぞれ各国の最高戦力なので、一般に露出することはあってもISを使っているところはほとんど公にはさらされない。
楯無の言う通り、確かに貴重な機会である。
「といってもただ見ているだけじゃ、つまらなく思ってしまう子もいるでしょう。というわけで、『第一回チキチキ!優勝タッグ予想応援・食券争奪戦』を実施したいと思います!」
「そんなことしていいの!?」
楯無が発表した企画に大歓声を上げる生徒たち。
そんな中一夏が驚きの声を上げていた。
確かに学園の教師陣や生真面目な虚が、このような賭博を許すとは思えないが……。
「ふっふっふ……織斑副会長。そのことについて抜かりはないわ」
「え……」
一夏がどういうことかと辺りを見回す。
すると目線があった教師や虚はスッと目を逸らした。
「(ば、買収されている……!?)」
絶対に許しそうにない千冬や真耶でさえ、目を逸らしていた。
この二人はクロウの上半身裸写真で買収。
教頭や教師陣は一夏の上半身裸写真―――勿論盗撮。提供は新聞部部長―――で買収。
虚は一夏の友人である五反田 弾の普通の写真で買収。
流石対暗部用暗部当主、汚い。
「さて、じゃあ大会の対戦表を発表するわ。どうぞ!」
バッと扇子を開くと、同時に大型空中投影ディスプレイが現れる。
そこには今日の大会に出場する、楯無を除いた専用機持ちたちの名前が書かれてあった。
そして肝心のクロウと簪の対戦相手は……。
「ふむ……よろしくな、一夏」
「\(^o^)/」
◆
「ミキストリくん!ちょっと待って!」
「む……」
ISスーツに着替えるために更衣室に向かっていたクロウを呼び止める薫子。
すでに出場者たちはそれぞれペアで着替えているので、急がなければならない。
パートナーである簪も待っているだろう。
「何か用か?」
「うん、出場者にインタビューして回っているんだけど、ミキストリくんにも協力してほしいの」
「ふむ……手短に頼む」
クロウは少し思案するが、結局受けることにした。
出場者全員に回っているのに自分だけインタビューを受けなかったらマズイのではないかと考えた結果である。
「勿論!じゃあまず先にこれを見てくれる?」
「これは……」
薫子が差し出した紙は、今回のタッグマッチのオッズだった。
先ほど楯無が言っていた賭博である。
もう情報を集めているとは、流石新聞部部長である。
「ほう……トップは知らない者だな」
「ああ、二人は二年生と三年生のタッグよ。上級生の票が集まったみたいね」
上級生タッグのオッズは1,5倍。
その下にシャルロットとラウラのタッグがあり、2,1倍。
鈴とセシリアのタッグが2,8倍。
一夏と箒のタッグが4,7倍。
最後にクロウと簪のタッグがあり、6,7倍となっていた。
「ふむ……我々がドベか……」
「ミキストリくんと更識さんは情報が少ないのよ。その点、他の出場者たちは国家代表候補生だし、織斑くんと篠ノ之さんはそれぞれ姉が凄いって有名だからね」
確かに簪も日本の代表候補生ではあるが、実戦記録がほとんどないので仕方がないだろう。
クロウだって半年ちょっと前にいきなり出てきた男性操縦者だ。あまり評価されていない。
「さ、それも踏まえてコメントをお願いします!」
「楽しいタッグマッチにしよう」
「……君が言うと不安に感じるのはなぜだろう」
たらりと冷や汗を垂らして苦笑いする薫子。
その後写真を一枚撮られ、別れようとしたその時だった。
「きゃっ!?な、何!?」
大きな爆発音がしたと思うと、激しい揺れが起きる。
思わず倒れそうになった薫子を、クロウが逞しい身体でがっしりと支える。
「あ、ありがとう」
「ああ、気にするな」
クロウは腕の中にある色々柔らかい感触と甘い匂いを存分に楽しんだのだった。
ちょいちょい手が臀部や胸に当たったのは、仕方のないことだった。
◆
クロウと薫子が異変に気付いたころ、IS学園の教師陣はすでに状況の確認を行っていた。
世界各国から優秀な人材が集められているだけはある。
「山田先生、状況は?」
「はい!外部から襲撃を受けました。おそらく以前襲撃してきた無人機の発展型だと思われます。数は五機。それぞれ分かれて生徒たちを襲っています」
真耶は手元の資料を見ながらすらすらと答える。
その姿はいつも生徒たちに親しまれてからかわれているドジっ娘教師とは思えないほどだった。
「……また襲撃か」
「また……ですね」
はあ……と頭が痛そうにため息を吐く千冬。
それを見て真耶は苦笑いしかできない。
本来であれば学園の警備担当者に怒鳴りつけてやりたいところだが、千冬が予想している今回の首謀者から守れとは到底言えなかった。
「ただ襲われている生徒が全員専用機持ちたちですので、それぞれすでに応戦しています」
「そうか……」
襲われているのが専用機持ちと聞いて、千冬は少し安心する。
各々卓越した操縦技術と戦闘力を保持している彼女たちなら、簡単にやられることはない。
これが一般生徒を狙ったものだったら、目も開けられない。
「セクションはやはりロックされているのか?」
「はい、それも最高レベルです」
「仕方ない……戦闘が可能な教員はISを装着して待機。いつでも突入できるように準備させておけ。ロック解除に必要な教員は全力で解除にあたり、残りの教員は生徒たちを安全な場所に誘導しろ」
「はい!」
真耶は千冬の指示を受けると、近くにいた教員たちに声をかけて自分も行動を起こす。
彼女も高い戦闘力を持っている優秀なIS操縦者。ISを装着するために格納庫に向かった。
「あいつらは中々手ごわいぞ、束」
残された千冬は、ニヤリと不敵な笑みを浮かべてそう呟いた。
◆
「はぁぁぁぁっ!!」
鈴は双天牙月を両手で持ち、全体重を乗せて敵機・ゴーレムIIIに振り下ろす。
しかしゴーレムIIIは右腕の巨大ブレードで難なくそれを受け切る。
「ちっ!」
ギリギリと鍔迫り合いになる。
無人機で完全に人の力を借りていないゴーレムIIIと互角の力を示している『
「鈴さん!避けてくださいね!」
「ちょ……っ!」
鈴の背後からセシリアがビームを放つ。
一直線に向かうそれを鈴は巧みに避ける。
鈴がギリギリまで鍔迫り合いを行っていたため、ISを装着しているとはいえ、反応をできない最高の攻撃だった。
しかしゴーレムIIIは無人機である。
人間離れした機動を行い、セシリアの攻撃を避けてみせた。
「ああ、もう!面倒くさいですわね!」
「本当にね!前のより強くなっているんじゃない?」
鈴はそう言いながら衝撃砲・龍咆を発射する。
砲弾や砲身が一切見えないそれは驚異的な武器なのだが、ゴーレムIIIは強力なエネルギーシールドを展開。
龍咆を完全に防いでみせた。
「うわ……あれぶっ放してくるの?」
「……どうやらそのようですわね」
ゴーレムIIIは、今度は自分の番だと、左の掌を二人に向ける。
そこには超高密度圧縮熱線を放つことのできる砲口が四つ存在していた。
今にも放たんと、熱線のチャージが行われている。
「火力なら負けないわよ!」
「……こんな狭い空間で爆発しても大丈夫でしょうか?」
「……さあ?」
龍咆の出力を全開にしてやる気満々の鈴に、冷静にセシリアが問いかける。
二人とも冷や汗が流れているが、最早時間はなかった。
「この戦いが終わったらわたくし、クロウさんと結婚しますわ」
「はあ!?ちょっとその話待ちなさいよ!」
大きな大きな死亡フラグを立たせながら、セシリアは『
日本の文化に精通している鈴は死亡フラグだと分かっていたが、それよりもその内容の方に腹を立てている。
「さあ!勝負ですわ!」
「だから話聞けよ!」
「―――――」
次の瞬間、ゴーレムIIIから放たれた超高密度の熱線と、巨大な蒼い光線、最大出力の衝撃砲がぶつかり合い、大爆発を起こした。
◆
「また襲撃か……」
「みたいだね……」
正面から睨んでくるゴーレムIIIに嘆息するラウラに、シャルロットは苦笑いで応える。
ゴーレムIIIからは無人機らしく、敵意も殺意も飛んできていない。
しかし明らかに自分たちを倒そうとしていることは理解できた。
「先手必勝だな」
ラウラは四つのワイヤーブレードをゴーレムIIIに飛ばす。
四方から襲い掛かるように操縦し、敵が防御できないように工夫する。
しかしゴーレムIIIは右腕のブレードで前から迫りくる二つを叩き落とし、背後から迫っていた二つをエネルギーシールドで防いでみせた。
「む?エネルギー弾だけを防ぐのではないのか?」
「そうみたいだね。実弾も届いてないみたい」
シャルロットは二丁のサブマシンガンをお得意の『
だがすぐさま前方に回ったエネルギーシールドがそれを防いでいた。
ゴーレムIIIはシールドに守られながら、手のひらの砲口を二人に向けようとする。
「させんぞ」
ゴーレムIIIの身体がピシリと動かなくなる。ラウラの『
動かなくなり攻撃される心配のなくなったシャルロットは、サブマシンガンから火力のある連装ショットガンを呼び出す。
「これは効くかな?」
連続で引き金を引く。
やはりシールドに防がれてしまうが、少しずつ銃弾がシールドを貫くことが多くなる。
ゴーレムIIIのスリムな装甲が傷つけられていく。
「む……抵抗するか」
ゴーレムIIIはただ攻撃を受けることから逃れるべく、『
そして手のひらの砲口を二人に向け、高密度熱線を撃ち出した。
「シャルロット!」
「うん!」
ラウラの呼びかけに応えたシャルロットは彼女の前に躍り出て、呼び出したガーデン・カーテンで熱線を受け止める。
シールドに防がれた熱線が、傘のように開いて分散する。
その隙にラウラは横から飛び出し、『
手首から伸びだプラズマ手刀でゴーレムIIIを切り裂き、今度は超近距離で『
「今度は逃がさんぞ」
ニヤリと不敵に笑う黒ウサギ。
いくら人外じみた力を持つゴーレムIIIといえども、ごく至近距離で強力な縛りを受けては逃れることはできない。
「トリはくれてやる、シャルロット」
「えへへ、ありがとう」
動きが完全に止まっているゴーレムIIIの横に位置するシャルロット。
彼女は持っていたショットガンを戻し、自身が持つ最大であり切り札でもある武装を解放する。
シールドの裏から取り出されたのは、『
通称『
「―――――!!」
「これで……おしまい!」
人が乗っていない無人機のはずなのに、悲鳴を発したように聞こえたラウラ。
シャルロットは勇ましい声を上げて、『
◆
専用機持ちたちが襲われているということは、当然簪の元にもゴーレムIIIは現れていた。
他と違うところは、タッグでゴーレムIIIと戦っているのに簪は一人で相手をしているというところである。
パートナーであるクロウはなにをしているのだろうか?
初めての実戦を迎えて簪はたいそう怯えていてもおかしくないのだが、彼女は歓喜していた。
「模擬戦じゃなくて……実践のデータ……。これは美味しい……」
やはり操縦者というより研究者向きの性格だろう。
彼女は打鉄弐式の性能を確かめるように戦っていた。
しかしここは狭いピット。激しく戦うことができないでいた。
「(戦いづらい……)」
そもそも打鉄弐式は機動性に特化したISである。
うまく動けないのであれば、機体の利点がまったく活かせない。
「あっ……」
そんなことを考えてため息をついていると、ゴーレムIIIが砲口をこちらに向けていることに気づくことが遅れた。
「まずい……かも……」
簪の機体に防御用の武装はない。
一応考えてはいるのだが、今回のタッグマッチには間に合わなかったのだ。
「(ダメージを最小限に抑える……)」
両腕で身体をかばい、武装を解除してエネルギーをシールドに回す。
それでも少なくないダメージを受けることは必至だが、何もしないよりはマシだろう。
熱線のチャージを終えたゴーレムIIIは、とうとうその莫大なエネルギーを解き放った。
「……っ!」
一直線に向かってくる熱線は、簪が考えていたより強力なものだった。
これは一撃でやられることはないだろうが、戦闘に大きく支障が出るだろう。
簪は冷静に頭の中でそう計算し、援軍がくるまでの戦術を立てていた。
だがその戦術は、簪を守るように現れた花弁のような盾によって、必要なくなった。
「た、盾……?」
桜色の花の盾は二枚花弁を散らすものの、見事熱線を防ぎきってみせた。
当然守られていた簪に被害はない。
「無事か?簪」
「クロウ……っ!」
ふわりと簪の隣に移動してきたのは、専用機を身に纏ったクロウだった。
無駄に良いタイミングで登場である。
簪は戦略的に見て、クロウのような強者が援軍に来てくれたことに歓喜する。
女として見ると、自分のピンチに大好きな異性が助けに来てくれたということで狂喜する。
とくにヒーローに強いあこがれを持つ簪は、クロウへの愛情のグレードをさらに上げた。
もう頭を撫でまわされただけで腰が砕けてしまうくらいである。
「一人でよく頑張ったな」
「はぅ……っ」
簪は顔を真っ赤に染めて、恍惚とした表情を浮かべる。
何故か濃厚なエロい雰囲気が立ち上っているように感じる。
褒めただけでこれである。
「これがあいつの……」
クロウはスッと、何の感情もこもっていない目を向ける。
普通戦闘に於いては、恐怖やら殺意やらが込められているはずなのだが、クロウは無人機程度には何の感情も抱かない。
これが生身の人間であったならば、楽しく戦っていたのだろうが……。
「さっさと倒すか」
「うん……」
クロウは束特性の莫大な拡張領域から武器を召喚。
呼び出した二つの武器を、ゴーレムIIIに向けて発射した。
ゴーレムIIIは当然強力な可変シールドユニットによって防ぐ。
少しの間拮抗していた衝突は、発射した武器が弾かれることで決着がつく。
「ほう……」
久しぶりに攻撃を防がれ、思わず声を漏らすクロウ。
流石は束が作った無人機であろう。
しかしこちらはその束が精魂込めてクロウのために作り上げた最強のIS。
遊び半分で作った無人機が勝てるはずもない。
「簪はここでは戦いづらいだろう。アリーナに移るぞ」
「アリーナのシールドは……?」
「私が解除する」
そう言って取り出したのは深紅の槍。
決して聖杯戦争は関係ありません。これはウサギ印のエネルギー消滅武装です。本当です。
簪がゴーレムIIIに斬りかかっている間に、クロウはアリーナのシールドをその槍で切り裂く。
「簪」
「うん……!」
クロウの呼びかけに簪が答える。
背中に搭載された二門の連射型荷電粒子砲が火を噴く。
ゴーレムIIIはそれをシールドで防御するが、激しい連射に少しずつ後ずさりする。
「とどめだ」
そしてクロウの武器掃射が行われる。
普通の掃射ならまたシールドで防げたのだが、次に飛来したものは少し違った。
シールドと衝突したと思ったら、爆発したのだ。
その爆風で切り裂かれたアリーナシールドに吹き飛ばされ、ゴーレムIIIはアリーナに出る。
それと同時に、反対側のアリーナのシールドも破られ、そこから三機のISが飛び出してくる。
「クロウ!お前も戦っていたのか!?」
「うむ」
飛び出してきたのは一夏と箒、それにゴーレムIIIだった。
同じく戦いづらいと感じた一夏が、零落白夜でシールドを切り裂いてアリーナに戦場を移したのだ。
「そちらはどうだ?」
「中々うまくいかねえな。あの熱線が厄介だ」
一夏も箒も防御武装を保持していないので、直撃したら大ダメージを負ってしまう。
しかもゴーレムIIIは絶対防御システムにも干渉しており、直接操縦者にダメージを与えることができることが脅威だ。
「ならば簪と協力し、三人で敵機を撃墜しろ。後の一機は私が引き受ける」
「……分かった!」
一夏はそんな危ないことをやらせたくないが、どうしてもクロウが殺される未来が想像できなく、案外簡単に了承した。
実際戦ったことのある彼は、クロウがどれだけ非常識に強いのかも分かっているからでもある。
「……え、織斑 一夏と共闘?」
対して嫌がるのが簪である。
勿論クロウのことが心配でもあるが、それはほとんど必要のないことを知っているからそれほど大きな理由ではない。
ただ一夏が嫌なのである。
彼が悪いというわけではないのだが、専用機の作成が後回しにされたことを、簪はまだ根に持っていた。
「頼む。後で何でも言うことを聞くから」
「分かった」
駄々をこねて中々動かないと思われていたが、あっさりとクロウの言うことを聞いた簪。
もう彼女の脳内では、クロウとのイチャイチャデートの構想が練られていた。
一夏と箒が戦っているゴーレムIIIのもとに飛翔する簪を見送り、クロウは残るゴーレムIIIを見やる。
「だが無人機と戦っても面白くないのも事実。もう終わりにしよう」
そう言うとクロウは新たな武器を呼び出す。
それは某戦争で騎士様が持っていた約束の剣に非常に酷似しているが、ウサギ印のビーム兵器である。
この世界に魔術はないのである。
「―――――」
しかしゴーレムIIIは何か非常にマズイものを向けられていることを理解する。
ただちにこの脅威を除くべく、熱線を放つ。
その一撃は一夏が警戒していた通り、とてつもない破壊力を持っている。
他の場所で戦っているセシリア・鈴ペアやシャルロット・ラウラペアを苦しめているのも、この熱線である。
「ふんっ」
しかし熱線はクロウに到達することなく消え去ることになる。
クロウが振るった聖剣から莫大なエネルギー波が放出され、向かってきていた熱線を飲み込み、ゴーレムIIIに直撃した。
その異常なまでの破壊力は、ゴーレムIIIの強固なシールドを焼きつくし、コア諸共存在自体を消し飛ばした。
「うむ……束やり過ぎ」
流石のクロウも少し引いたのであった。
◆
「うぉっ!なんだ、あの光!?」
簪たちが戦闘を行っている場所からも、莫大なエネルギー光は見て取れた。
一夏は思わずゴーレムIIIが離れて、驚きの声を出す。
「クロウ……勝った……」
「やはりあいつか……」
簪はクロウの勝利を確信し、それを聞いた箒は疲れた表情でため息をつく。
あんな強大な攻撃を行える武装は、最新のISである紅椿にも存在しない。
「そっか、じゃあ後は俺たちがあいつを倒せばいいんだな」
一夏は仲間の勝利を聞いて喜び、闘志を燃やす。
専用機持ち三人の攻撃は、ゴーレムIIIを徐々に追い詰めていた。
それは近・中・遠距離と三人がそれぞれこなすことができるからというのが大きい。
「うぉぉぉぉっ!」
一夏はエネルギーの消費を無視して、零落白夜、そして雪羅という破壊力がずば抜けている武装を惜しげなく使う。
最近楯無に鍛えられたこともあり、剣術も目を見張るものがある。
「箒!」
「ああ!」
白式のエネルギーが心もとなくなってくると、後ろから箒が援護する。
雨月を使って刺突すると、そこからレーザーが発射される。
一夏は後ろから迫りくるレーザーを見ることなく避け、それはゴーレムIIIに直撃する。
そして一夏と箒は簪の後ろに戻り、絢爛舞踏の力でエネルギーを回復する。
「こっちには来させない……」
勿論ゴーレムIIIもこの絶好の機会を逃すことなく攻撃を試みるが、簪が荷電粒子砲を連射して近づかせない。
こうしてゴーレムIIIに一方的にダメージを負わせながらも、こちらはほぼ無傷であった。
「でもこのままじゃ……ジリ貧……」
ゴーレムIIIも簪たちの攻撃を、避けたりシールドで防いだりしてうまくかわしている。
お互いに決定打を撃てないでいた。
「(山嵐ならコアを露出させることができるかも……。でもこのジャミングの中じゃ……)」
ゴーレムIIIは絶対防御への干渉や、通信の妨害などありとあらゆるジャミングを行っていた。
誘導ミサイルもジャミングされて、あらぬ方向に飛ばされてしまうかもしれない。
「……疲れるけど仕方ないか……」
簪はそう言うと両手の装甲を解除して、空中投影ディスプレイを展開する。
そう、彼女は四十八発ものミサイルを全てマニュアル操作しようというのだ。
「私がコアを露出させる……。二人はそれを破壊してほしい……」
「そんなことができるのか?」
「……わかった」
簪の要請に箒は疑惑的だった。
実際今までの戦闘で有効なダメージを与えられていないのだから、それも当然だ。
しかし一夏はそれに頷いた。
「一夏!?」
「このまま戦っていても勝てるかわからねえ。だったら俺は仲間を信じる!」
「…………」
簪の中で一夏の評価が少し上昇する。
箒も一夏が言うのだったら……と簪の要請を引き受けた。
「じゃあ……いく。山嵐!」
簪は切り札にして最大の武装を解放する。
六機×八門のミサイルポッドが呼び出され、四十八発の独立稼動型誘導ミサイルが火を噴いた。
それは簪によってマニュアル操作され、前後左右上下ありとあらゆる方向からゴーレムIIIに襲い掛かった。
「―――――!」
ゴーレムIIIは何とかシールドで防ごうとするが、一方向を守れば他の方向からミサイルが抜け出してくる。
何十発ものミサイルがゴーレムIIIに直撃し、装甲を吹き飛ばす。
そしてとうとうISのコアが露出した。
「行くぞ、紅椿!」
そこを見逃す箒ではない。
つい先ほど新たに使用許可が下りた武装、穿千。
クロスボウの形状をしたそれを、ゴーレムIIIに向かって撃つ。
「―――――!」
ゴーレムIIIはシールドでそれを迎え撃つ。
しかし圧倒的な威力を持つ真紅のビームは、シールドを木端微塵に吹き飛ばした。
「うぉぉぉぉぉぉっ!!」
そしてとどめに一夏の零落白夜である。
ゴーレムIIIはシールドを失ったが、それを大型ブレードで受け止める。
「邪魔だぁぁぁぁっ!!」
一夏はそれを力技でぶっちぎる。
零落白夜の圧倒的破壊力で強靭なゴーレムIIIのブレードをぶった切り、そのままコア目がけて振り下ろした。
金色に光るコアはなすすべもなく、一夏にあっさりと斬られてしまった。
「終わったか?」
「うん……」
「そうか、よくやった」
いつの間にか現れていたクロウの問いかけに簪が答える。
そんな彼女の頭を優しく撫でると、猫のように頭を擦り付けてくる。
先ほどまでの激闘の空気はなく、のんびりとした空気が辺りに漂うのであった。
「簪ちゃん、無事!?あなたのお姉ちゃんが助けに来たわよっ!」
そしてここで現れる『
彼女は専用機である『
「(簪ちゃんに良いところを見せて好感度アップよ!)」
そんな邪な想いで、アリーナのシールドで突破してきたのだから、シスコンは強い。
しかし時すでに遅し。最早全てのゴーレムIIIが撃墜された後だったので、クロウを除く三人から冷たい目で見られるのであった。
「……あら?」
◆
戦いの後というのは、死が隣りあわせだったということで、子孫を残そうとする本能が働き身体が昂ると言われる。
クロウも昂っているので、当然身体の火照りを冷まさなければならない。
……年がら年中昂っている気もするが。
「クロウさん、まだやりますの?」
セシリアは先ほどまでの情事を思い出して頬を赤くする。
今クロウの相手をしているのはセシリアだった。
どうやら制服を脱ぎ捨てる時間も惜しかったらしく、彼女は乳房を露出しているが制服は着たままだった。
豊かな乳房の上を、汗が流れていく。
これも先ほどまでの行為の余韻である。
「ふふふ……」
セシリアは自分で胸を揉みまわしてクロウを誘惑する。
豊満な乳房を下から支えるように揉みあげる。
ピアニストのように美しい指が、柔らかい乳肉に埋まっている様はとても淫靡だ。
「あんっ♪」
クロウも一度射精しただけで収まるような男ではない。
興奮して膨らんでいる乳首を指で摘まむ。
ぷにゅぷにゅと乳肉より弾力のある感触を愉しむ。
「またわたくしの
そう言ってセシリアはモデルより長くて肉付きの良い脚を大きく開け、クロウを迎え入れる。
自分の指で秘裂を開き、準備が整っていることを示す。
陰部からは粘度の高い愛液が溢れ出し、尻穴にまで垂れていく。
息が荒くなった彼女の姿は、お嬢様というより卑しい雌のようにも感じられる。
「あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!気持ちっ、良いっ、ですわぁっ!!」
正常位の体位で男根を突き入れると、簡単に喘ぐ。
量感のある乳房は重たげに上下に揺れる。
男根にかき回された愛液がくちゅくちゅと卑猥な音を立て、外に流れ出てくる。
「あっ!あっ!あっ!あっ!!」
机に手を付かせ、尻を捧げさせるようにする。
そして腰を手で掴み、猛然と腰を振りたくる。
ばちっばちっとセシリアの豊満な尻に腰が激しくぶつかり、大きな渇いた音を立てる。
一方で陰部からは大量の愛液が分泌されており、湿った音と共に地面に垂れ落ちる。
セシリアはだらしなく舌を出して、快楽を享受する。
Dカップの乳房が重力で下を向き、腰がぶつけられるたびにぷるぷると揺れて汗を滴り落とす。
「あはぁぁぁぁっ!
ゴプっと粘り気の強い白濁液が膣内に注がれる。
むっちりとさわり心地の良い尻を掴みながらの射精は、とても気持ちが良かった。
セシリアはクロウの子種をもらい、嬉しそうに顔を緩めたのであった。
エロ少なくて申し訳ないです。
あ、あと数話で本編は完結します。
ただこのまま終わるとそれぞれの党員の皆さんが怖いので、それぞれ番外編で焦点をあてようと思ってます。
あまり期待しないで待っていてください。