オルコット家は、イギリスの名門貴族である。
一度は当主とその夫が事故で還らぬ人となったために没落の危機となったが、一人娘の尽力によりそれは防がれた。
その娘は女性にしか使えない超兵器であるISの優秀な操縦者となり、オルコット家をさらに繁栄させる。
今ではイギリス屈指の大貴族となり、総資産も世界有数のものとなっている。
イギリスの国家代表生としても活躍しており、モデルとしても露出している彼女は、イギリス淑女の憧れの的である。
しかしそんな淑女たちが想像しているような清廉な生活ではなく、その娘―――セシリア・オルコットの送っている生活はもっと堕落した、退廃的なものであった。
◆
「ん……」
セシリアはいつも定刻通りに目を覚ます。
彼女の他者を引き付けてやまない美貌は、この規則正しい生活にも理由がある。
身体を起こし、ググーっと背筋を伸ばす。
高級ベッドの上に散りばめられていた宝石のような金色の髪が、さっと持ち上げられる。
背筋を伸ばすことによって胸を張る形になり、豊満な乳房が強調される。
セシリアは何も身に着けておらず、美しい肢体を惜しげもなくさらしていた。
いくら暖かい季節とはいえ、普段なら彼女もネグリジェを着て寝ている。
しかし昨日は色々と致していたため、全裸なのだ。
「クロウさん……」
セシリアは隣で眠っている巨漢に、ほう……と熱いため息を漏らす。
筋骨隆々の巨大な男が、貴族の美女と同じベッドで寝ているのは少し異様である。
しかしセシリアの熱い視線からは、幸せといった感情しか伝わらない。
昨日も彼女はクロウに散々に追い詰められて失神してしまった。
あれこれと体位を変えられ、何度も子宮を押しつぶされると前後不覚になってしまうのも当然だ。
「あら、わたくしが眠ってしまった後も、たくさん愛されたようですわね」
セシリアはふと自分の身体を見下ろし、クスクスと笑う。
彼女の純白の肌の上に、男のキスマークが大量につけられていた。
それは細い首筋につけられており、また豊満な乳房には何個もつけられていた。
乳首の周りを覆っているようにも見え、ぐにっと乳房を開けてみると谷間にもいくつか見える。
大貴族の当主であると同時に国家代表生であるので普段から鍛えられて引き締まったお腹にもつけられている。
肉付きが良く、性感帯でもある内の太ももにはかじりついたような跡もある。
セシリアは見えていないが、背面もまた大量に男の跡がつけられていた。
普段は豊かな金髪のロールに隠されている産毛一つ生えていない美しい背中にも、自分のものだとマーキングするかのように痕がある。
特にひどいのが、セシリアの豊満なお尻である。
むっちりと豊かな肉付きの臀部には、キスマークは当然のことながら、歯型や強くたたかれた手の痕まであった。
それでもセシリアはクロウに所有されているかのような自身の身体に、興奮を隠せない。
大貴族の当主がこれでいいのかとも思うが、本人が幸せそうなのでいいのだろう。
「それに……凄い臭いですわ……」
セシリアは腕に鼻を寄せて、クンクンと匂いを嗅ぐ。
するとよく使う高級な香水の匂いではなく、生臭い雄の臭いが鼻孔を満たす。
普通の人なら鼻をつまむ臭いも、愛おしい人のものだとするとセシリアは非常に強い媚薬のように感じる。
それは胸やお尻など、女性の象徴とも言える場所はとくに臭いが強い。
セシリアはそうされることに文句はないのだが、大切に扱っている金色の髪まで汚されるのは面白くない。
いくらクロウといえども、髪はセシリアにとって一番大切な身体の部位なのである。
「もう……女性にとって髪は命ですのよ?」
仰向けになって眠るクロウの上に跨り、キュッと鼻をつまむ。
表情はほとんど変わらないものの、長い付き合いのセシリアは息苦しそうにピクリと一瞬歪んだ眉を見逃さなかった。
そんな反応がおかしかったのか、また上品にクスクスと笑う。
しかし全身から精液の臭いを発しているので、淑女とはいえないのが悲しい。
「む……」
「おはようございます、クロウさん。起こしてしまいましたか?」
息苦しさから目を開けたクロウは、全裸で自分の身体に跨り、ニッコリと微笑みながら見下ろすセシリアを見る。
鼻をつまんだのは自分なのに、まるでクロウが自然に起きたかのように接する。
彼女もIS学園を卒業してから社交場に出ることが多々あり、演技もまたかなり上達したのであった。
クロウとしてもとくに文句はなかった。
昨日だってセシリアが失神したのにもかかわらず、腰を掴んでベッドに崩れ落ちないようにして腰を振り続けたのだから。
最後の方は彼女に憧れている人々には見せられないような凄惨な姿になっていたのだが、それはクロウの脳内にだけ収められるのである。
さて、文句はないのだが身体は反応していた。
自分の身体に跨り見下ろしてくる絶世の美女。
しかも彼女は全裸で、クロウを覗き込んでくるせいで量感のある乳房が垂れて柔らかそうに揺れている。
先端の乳首もツンと立っていて、昨晩どれだけイジメぬいてやったか思い出すとたまらない。
それにむちむちの柔らかい尻肉の感触が下腹部に感じられる。
そんな情景を見たりしていると、逸物に血が集まるのは当然のことであった。
「んっ……当たってますわ」
「うむ、どうしようか」
お尻に感じる熱い棒のことをクロウに告げるが、ただ自分の目を見返してくるだけだ。
昨晩散々に出したはずなのに、もう元気なそれには呆れを通り越して感心してしまう。
グイグイとお尻に肉棒を押し付けられると、可愛がられたことを思い出す。
口でそれに奉仕して、胸でそれを奉仕し、肉壺でそれを収めたことを。
キュンと子宮がうずき、秘裂から愛液が垂れる。
自然と腰を自ら動かし、男根にお尻をこすり付けるように動いてしまう。
「……どうすればいいのか、教えてくださらないのですか?」
「セシリアなら分かるだろう?」
自分を見降ろして助けを請うかのような視線を受け止めるが、答えを言わずに頭を撫でてやるクロウ。
セシリアは自分から淫靡な行為をしろと言われていることに羞恥心を覚え、白い肌をカッと赤くするが、確かにクロウの言う通りなのでコクリと頷く。
一度触れるだけのキスをして、身体をどんどんと後ろにずらしていく。
そしてクロウの身体を覆っているシーツを掴み、横に置く。
すると赤黒く、巨大な女泣かせの男根が天に向かってそそり立っているのが、セシリアの視界に入った。
その凶悪な形は、女の気持ちいい場所を抉り擦るに違いない。
実際にセシリアはそれを実感しているため、そのことがよく分かる。
そんな逸物に、彼女は顔を寄せる。
スンスンと鼻を鳴らして匂いを嗅ぐと、自分の身体を匂った時以上の雄の臭いが鼻いっぱいに広がった。
「はぁぁぁぁ……っ」
セシリアは媚薬のようなその匂いを嗅ぎ、堪らないといった表情でため息を吐く。
美しい蒼い瞳は涙で潤み、口内は唾液でいっぱいになる。
豊満な乳房の先端にある乳首は固く隆起し、陰部から愛液が垂れて太ももを濡らす。
背筋にゾクゾクとした電流が走り、子宮がキュンキュンと疼く。
ただ匂っただけで、こんなにもセシリアは昂ってしまうのだ。
「はぁっ、はぁ……っ」
セシリアはまるで犬のように短く息をして、雄の臭いを貪る。
クロウも昨日身体を洗わずに寝たため、とくに臭いがきついのだ。
精液と汗、それにセシリアの愛液と小便の臭いが混ざり合っている。
鼻が曲がるように悪臭は、彼女にとって強烈な媚薬である。
「わたくしのせいでこうなったのですから、んっ、わたくしの口で静めてさしあげますわ」
セシリアはそういうとニッコリとクロウに微笑む。
しかしそれは先ほど浮かべた上品な淑女の笑顔ではなく、獲物を前にした捕食者の笑顔であった。
まあクロウにしたらそちらのほうがありがたいのであるが。
セシリアはあんと口を開け、強烈な匂いを放つ男根を飲み込もうとする。
彼女の口内は唾液でいっぱいで、真っ赤なそこに逸物を突っ込むと気持ちいいことは間違いない。
そしてとうとう男根がセシリアの口の中に収まろうとしたとき。
「―――――お嬢様」
「!?」
自分でもクロウでもない、第三者の声を聞き、バッとクロウから離れるセシリア。
一気にクロウから距離を取る姿は、普段から足腰を鍛えている様子が伺える。
……ただ今の状況にはあまり関係がないようだが。
セシリアは顔を真っ赤にして、声の主を見る。
「ちぇ、チェルシー!?どうしてここに……」
「もう八時です、お嬢様。朝食の準備はすでに終わっています」
セシリアが問いかけると、彼女の専属メイド―――チェルシーは目を閉じたまま答える。
えっと壁にかけられている時計を見ると、確かに針が八時を指していた。
クロウとイチャイチャしているうちに、時間は着々と進んでいたのだ。
「いつも朝食に降りてこられるお嬢様を起こしに、私が来たということです」
「そ、そうなの、ありがとうチェルシー」
「お嬢様、食事の前にシャワーを浴びた方がよろしいかと」
「そ、そうですわね。それではクロウさん、失礼しますわ!」
わたわたと慌てて服を着て出て行こうとするセシリアの背中に、チェルシーの助言が追いかける。
自分がクロウに散々犯された臭いが残っていることを思い出した彼女は、顔を赤くしながら飛び出して行った。
後に残されたのは、未だ臨戦態勢の逸物を持ったクロウと、静かにたたずむチェルシーだけだった。
「えらくタイミングが良かったな、チェルシー」
「そうでしょうか」
手持無沙汰になったクロウは、チェルシーに話しかける。
チェルシーも静かにそれに答える。
そっけなく感じるが、二人はこういった関係だった。
「自分の主に嫉妬したか?」
「……あなたも早く準備をしてください。今はオルコット家の執事なのですから」
クロウはベッドから抜け出しながら、チェルシーに問いかける。
少し間はあったものの、彼女は冷静に言葉を返す。
そんな彼女にじりじりと近づいていくクロウ。
とうとう正面に立ち、固くいきり立った逸物を強調する。
「うむ、そうしたいのはやまやまなのだが、いかんせんこれが邪魔になって仕方がない」
「…………」
「やってくれるな?」
逡巡するチェルシーに、グッと迫るクロウ。
結局彼女はクロウの頼みを断ることができず、仁王立ちする彼の前に跪き、勃起した男根に顔を寄せるのであった。
◆
朝食を食べた後は、セシリアは意外とゆったりとした生活を送る。
オルコット家を立て直すときなら忙しかったが、安定した今はそれほど忙しいことはない。
午前にIS操縦訓練を受け、午後はのんびりと過ごす。
オルコット家の膨大な資産でスポンサーになってくれという面談も多々あり、セシリアが気に入った人物とだけ話して金銭援助をする。
ちなみにとくに支援しているのが、フランスのIS企業であるデュノア社である。
まあフランスといっても世界中に支社を持つ大企業なのだが。
クロウが執事としてオルコット家にいなかった時は、セシリアはチェルシーなどの使用人たちとテニスをしてゆったりとした時間を過ごす。
彼が来てからは見るだけで孕んでしまいそうなほど色狂いの生活になっていたりする。
今日もまたクロウとしっぽりやるのかというと、そうではない。
夕方からイギリス貴族たちが集まる社交界があり、大貴族であるセシリアもそれに当然参加するからだ。
個人的にはクロウとイチャイチャしていたいと思うが、オルコット家の当主としては必ず参加しなければならない。
感情を理性で抑制し、セシリアは社交界に出席した。
「おぉ……実に美しい」
「まさに英国の宝石だ」
「ぜひともお近づきになりたいものだ」
そんな彼女が公の場に出席するときは、いつも人々の視線を独占して話題の的となる。
それは一般人のみならず、美女や美少女を見慣れているはずの英国貴族でもだ。
男性は勿論のこと、同性である女性でさえも目を引き付けてやまないセシリアの美貌。
それが社交界用にとおめかしをしているため、さらに美しく映えている。
金色の光り輝くような髪は美しくロールを巻き、彼女の周囲を煌びやかにする。
蒼い瞳は透き通り、見る者を捕らえる。
プルプルとした瑞々しい唇には薄く口紅が塗られ、蠱惑的に見える。
セシリアの専用機、『
スラリとした長い脚は、彼女がモデルでもかなり実力のある方だと教えてくれる。
「はぁ……つまらないですわ」
セシリアは悩ましくため息を吐き、思っていても口に出してはいけない言葉を話す。
まあボソリとしたごくごく小さな独り言であったので、聞いた人は誰もいなかったが。
しかしそれでも大貴族としてセシリアは言ってはいけなかった。
だがそれほどまでにこの社交界がつまらないのである。
セシリアに話しかける貴族は、この中にはほとんどいなかった。
普通なら傾国の美女と称すことができる彼女の美しさ目当てに、男性が寄って行ってもおかしくない。
だがセシリアは今ではイギリスを代表するほどの大貴族である。
さらにはイギリスの国家代表生ということもあり、つりあう人がいないのだ。
それを弁えているので、人々はセシリアに話しかけない。
ここにクロウでもいれば話は別なのだが、貴族が大勢集まるこの会場で一執事が入場することは許されない。
セシリアは実家で使用人たちに見送られて、一人で来ていた。
「(あら?そういえばクロウさんとチェルシーが見送りに出ていなかったような気がしますわね……。まさかっ!?)」
ふとセシリアは出立する前のことを思い出す。
彼女は使用人にも分け隔てなく接するため、多くの使用人たちに慕われている。
そんな多くの人たちに見送られたのだが、その中には自分の愛する人と姉的存在の完璧メイドがいなかった気がする。
というかいなかった。
ハッと何かに気づいたセシリアは、一刻も早く実家に帰ろうとする。
もう十分社交界に出たし、帰っても文句は言われまい。
そう考えて会場を後にしようとするセシリアだったが、そんな彼女の前に立ちはだかる人物がいた。
「オルコット様。どちらへ?」
「あなたは……」
セシリアの前に立ちふさがる壮年の男性。
彼女はこの人物に見覚えがあった。
オルコット家よりも歴史が古い大貴族だった。
影響力的にはセシリアの方が多分にあるのだが、男性の家も無視することができないほどの力はあった。
「何か御用でして?わたくし、これから急いで家に戻らなければいけませんの」
「そうですか、それは残念です。ところでオルコット嬢、あの話は検討してくださりましたか?」
「あの話……?」
早く家に帰ってクロウとチェルシーを問い詰めたいのに、邪魔をする男にイライラするセシリア。
しかし表面上はニッコリと美しく笑って対応する。
男性は残念そうにため息を吐くと、前にセシリアに提案した話とやらを切り出す。
彼女の方は完全に忘れており、キョトンと首を傾げる。
はて、何のことやら……?
「御冗談を。私の息子との結婚の話ですよ」
「……あぁ」
男性に言われてやっと思い出したようで、ポンと手のひらに拳を置くジェスチャーをするセシリア。
そういえば少し前に、この男性にそんな提案をされたような気がする。
クロウがいるセシリアは絶対に受け入れるつもりがなかったので、すっかりと忘れてしまっていた。
一応その場でお断りしたはずなのだが、この男性はまだ息子のことを諦めていなかったらしい。
というかこの男性の息子は色々と問題なのだ。
容姿は醜いし、身体は典型的なおデブちゃんだし。
年齢だって四十代。まだ二十代前半の美女であるセシリアには少し年が離れているように感じる。
そもそも血を絶やさないことが重要な貴族の男性で、この歳になってまで妻がいないということはよっぽどなのだろう。
「そのことでしたら前もお断りしたはずですわ。わたくしの気持ちは変わりませんわ」
「そ、そう仰らずに!一度会うだけでも……」
きっぱりと断るセシリアに、男性は必死に食らいつく。
最早自分の息子のことはボンクラものだと理解しており、そのせいで大貴族である自分の家の名声がどんどんと落ちていっていることも理解している。
だからこそ、名声も財産も人望も美貌も、全て持ち合わせるセシリアに実家に嫁いでもらえれば、名声が回復すると考えているのだ。
「お、お願いします!せめて息子に会うだけでも!」
「(し、しつこいですわね……)」
セシリアとしては一刻も早く家に帰って真相を知りたいのである。
だがいい年をしたおっさんが半泣きになりながら縋り付いてくるのを、蹴っ飛ばして先に行くこともできない。
どうしようかと悩んでいるとき、セシリアにとって救世主が現れる。
「セシリア」
「く、クロウさん!?」
背後からかけられた声に、バッと素早い動きで振り向くセシリア。
まるでご主人様に声をかけられた犬のような速さである。
そこには今セシリアが最も逢いたかった男―――クロウが立っていた。
強靭な肉体を無理やり執事服におしこんであるため、やけにピチピチとしている。
少し気持ちが悪い。
「クロウ……クロウ・ミキストリか!」
そしてこの男性にも、クロウは知られていた。
というか全世界のほとんどの人が知っているといっても過言ではない。
数年前にぽっと出てきた二人の男性操縦者。その片割れなのだから。
その後はどの男もISを使うことができずに、結局世界で二人だけの男性操縦者となっている。
「うむ、似合っているぞ、セシリア」
「ありがとうございます。嬉しいですわ」
クロウに褒められ、華の咲くような満面の笑みを浮かべるセシリア。
それは先ほどの社交界や、今この場にいる男性に見せていた作り物の冷たい笑顔ではなく、心の底から発した暖かい笑みだった。
そんな笑顔を見せられたら、男性はもうセシリアのことを留めることができなかった。
本来であれば自分の孫くらいの年齢であるセシリア。
そのような彼女の心からの笑顔を奪うほど、男性は腐ってはいなかった。
さらに現実的な話をすると、男性は確かに大貴族であるがその権力はイギリス国内にのみでしか効力を発揮しない。
しかしクロウの持つ権力は世界中、ほぼ全国で行使することができる。
もし無理やりセシリアを息子に嫁がせてクロウの怒りでも買えば、酷い目にあうことは明らかであった。
なので男性は、仲睦まじそうに歩いて行く二人を、残念そうに見送るのであった。
エロを焦らす作者。