※この作品はR-18です。

完全依存系ヒロインエミリアたんの退廃的で幸せな一日   作:カリフォルニア饅頭

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<下>の方になります。


淫猥誘惑系ヒロインエミリアたんの禁欲的な一週間<下>

 それでもって、その後。倉庫のチェックを終えたスバルが、香辛料やら野菜やらが心もとないから町に下りて買いに行こうと提案した。とくに反対する理由も無いので、町に向かっているわけなのだが。

「な、なあエミリアたん」

「……どうしたの、スバル?」

「なんというか、歩きづらくね? 大丈夫?」

 いやすんげー天国なんだけど、とスバルが付け足す。彼がそういうのも無理はない。今の私は、スバルの左手を両腕で抱き、胸を押し付けている。当然スバルも私も歩きづらい上に我ながらはしたないとは思うけれど、まずは少しずつ彼の理性を溶かしていかなければならないのだ。

「うん、そうなんだけど少し不安になっちゃって……、迷惑よね、ごめんなさい」

 そういって、エミリアは少し不安げな表情を浮かべる。これも事実だ。あそこまで精神がゆれたのは久々だった。出来るならば、ずっと彼を感じていたい。そうすることでしかこの心は落ち着かないから。そして、この理由を前にして、彼は私との肉体的接触を拒めない。彼が、今の彼である限りは。ずいぶん狡いものだと思わなくはないけれど、それでも彼との甘い時間のためには仕方がない。――それに、彼だって心の底では溺れたいとそう思っているに違いない。

 より近くで、彼のぬくもりを感じて、彼の匂いを堪能して、彼とより深く繋がりたい――ただ、それだけ。でも、彼のぬくもりに溺れれば溺れるほど、彼の少し汗ばんだ匂いに理性を溶かされれば溶かされるほど、彼とより深く繋がれば繋がるほど――彼をますます望んでしまう。彼だって、きっと同じだ。

「そ、そうか。なら、このままで良いよ。いやほら、俺にとっても役得だし!?」

「……ん。ありがとう、スバル。――だいすき」

「!? ほ、ほら行こうエミリアたん」

 予想通り私の意見を容れてくれたスバルにお礼を言って、そのあと、彼の耳元でぽしょりと愛の言葉を紡ぐ。これがどれ程理性を溶かすのかは、彼にさんざんされてきた私が身をもって知っている。案の定、囁かれた愛にスバルの顔が赤く染まり、そしてぶんぶんと頭を振ってその誘惑に抗う。それでも、彼の鼓動が早くなっていることはかき抱いている彼の腕から良く伝わってくる。うん、今はこれでいい。すこしずつすこしづつゆっくりと彼にこちら側に来てもらえばいいのだ。

 そんなこんなで夕食後。食べ終わった食器を片付けようと席を立った私に、スバルは声をかける。

「あ、いいよエミリアたん。俺がやっとくから」

 そう言って、彼は腰掛けていた椅子から立ち上がり自分の食器に手を伸ばす。でも、私も手を伸ばしていたから二つの手はぶつかることになって。いつもならスバルの手を認めた私が伸ばした手を引っ込めていただろうけれど、今は違う。伸びてきた彼の右の掌を私の左手でそっと掴み驚く彼を尻目に指を絡める。伝わってくるのは、彼の――男の人の手のごわごわとした感触と、温かい温もり。

「いいわ、スバル。私がやっておくから、ね」

 そういって、わざとらしく絡めていた左手を解いて、そのまま彼の皿を洗い場へと運ぶ。僅か一瞬の接触であっても、数日間の禁欲中の彼にとっては甘い毒になっているのか、少し上気した顔と揺れた瞳で私を見つめている。思わず重ねてしまった視線に、どくんと胸が跳ねた。そのままずっと彼を見つめていたい衝動に駆られる。――ダメだ。スバルの理性を奪おうとしている側の私が、先に理性を無くしてしまってどうする。そう思っても、彼と視線を絡め合わせる誘惑には抗いがたくて。私はどうしようもなく彼を欲しているのだと、あらためて想ってしまう。そのままどれほどの時間が経ったのか、だんだんと視線を絡めるだけでは物足りなくなり始めた私が一歩彼のほうに近づこうとしたときに、合わせていた視線をずらして彼は頭を振った。

「ごめんエミリアたん。俺先風呂に入ってくる」

 そういって、私の傍から離れていく。――あとすこし、だったのに。

 横開きの扉の前。私は前だけを大きなタオルで隠して、取手に左手をかけている。お風呂に入る前から少し火照った躯を少しでも沈めるために、すうはあと何度か深呼吸。――うん、すこし落ち着いた。

「お邪魔するね、スバル」

 かけていた左手を一気に引く。むわりとしたぬるい風が扉の向こうから吹いてきて、私の頬を撫でる。視界の先には、いつもの通り一人で入るには少し大きな洗い場と湯船。彼は、洗い場にいた。

「え、ミリアたん……」

 私を見つめる彼の瞳には、この事を半ば予想していたのか驚きの色は見られなかった。それどころか、薄いタオルで隠されただけで、なだらかな丘陵をほとんど晒しているに等しい私の身体を嬲るように見つめている。生々しい、男性の欲望を隠さないその視線も、それを向けているのが彼であるゆえに嫌悪感どころか歪な悦びすら感じ身体が熱くなる私は、やはりおかしいのだろうか。

「スバル、今日もありがとう。たくさん動いて疲れたでしょう? ――私が、身体洗うのお手伝いするわ」

 いつまでもその視線を浴びていたいのもやまやまだが、それだけでは私の目的に辿りつけない。返事も聞かずに洗い場に座る彼に後ろから近づき、膝立ちで彼の逞しい背中に二つのふくらみを押し付け両腕を彼の前へまわし後ろから抱きすくめる。

「……ね、いいでしょう?」

 自分で言っておいてぞわり、とした。いつも彼がしているのを真似て、彼の耳元で、媚びたような声で囁く。それは、思った以上に淫靡な響きを備えていて、くらりと思わず眩暈がしそうだった。私は変えられてしまった――否、変わってしまった。彼によって、彼との甘く心地良くも淫靡な時間によって。たった一度でもそれを味わってしまえば、もう戻れない。後は堕ちていくだけ。かつて、彼との情事を知らなかった頃の私は、一体どうやって日々を過ごしていたのだろうか、今の私にはもはや思いも及ばない。それでも、それを後悔する気持ちは全く浮んでこない。なにせ、こんなにも満ち足りて――こんなにも幸せなのだから。

 ごくり、と生唾を飲み込む音が聞こえた。それが彼の発したものなのか、はたまた私のものなのかは、ついぞわからなかった。

 石鹸を手に取り、手を動かして馴染ませる。いい具合に石鹸に馴染んだ両手で、彼の身体を余すところなく洗ってゆく。背中にふくらみを押し付けたままで、胸を、お腹を、両足を、両腕をゆっくりじっくりと愛撫していく。身体のいたるところを愛撫されている彼は概して大人しかったが、時たま敏感なところがあるのかびくりと反応する。率直に、少し可愛いと思ってしまった。いつもは彼に思うがままに責められていてそれが言いようもなく幸福なのも間違いないが、さりとて私の方から彼をキモチヨクすることがこんなにも私の心を昂ぶらせてくれるとは考えもしなかった。

 やがて、彼の身体の前半分を洗い終わり、名残惜しいけれど一度押し付けていた身体を彼の背中から離す。いつか読んだ艶本に載っていたことを思い出したのだ。何も体を洗うのに使うのが手だけである必要はない。再び石鹸を手にとって、今度は私の体の前半分に馴染ませていく。

 私からの愛撫が途絶え、また密着していた感触がなくなったことを不審に思ったのか、彼が振り返って、そのまま硬直した。――彼は、私が何をしようとしているのか知っているのだろうか。だとしたら、少し驚かせようとしたけれどそれには失敗かもしれない。それでも、彼の足の付け根の、自らを主張して止まないそこが、一段と存在感を増した気がして、やはり思い付きを実行してよかったと思った。石鹸で泡立つ右手で、彼の頬を動かし前を向くように促す。誘導にしたがって彼が前を向いて、いよいよそのときが来た。再び、彼の背中に躯を押し当てる。そしてそのまま、上下にゆっくりと動かす。

「……ん、あっ……あぁ……」

 本来は、もっとそういう用途のものを使って行うであろう行為。それでも、先ほどからの彼との触れ合いで十分に熱を持った躯は、あまつさえあさましくも彼に触られることを想像して硬くなっていた膨らみの先端は、粘度の足りない本来の用途から外れたものであっても、欲望を一時的に満たす快楽を感じてしまう。

「……あっ……やぁ……んん」

 一度超えてしまえば、もう後は盛り上がっていくだけ。久々に与えられた快楽に、躯は際限なく昂ぶって、またそれを得ようとどうしようもなく蠢く。しばらくその気持ちよさに浸っていると、ふいに彼が立ち上がった。

「す、ばる……?」

 どうしたのだろうか? もしかして、何か知らぬ間に機嫌を損ねてしまったのか、と不安にかられたが、彼は問いかけに答えずに――私をかき抱いた。

「エミリアたん、俺は……」

 耳元で聞こえる不安げな彼の声。それが、どうしようもないほど彼の心が揺らいでいることを示しているようで。あと一押しで彼も堕ちる、堕ちてくれると確信する。それに、私の下腹部に感じる、熱くも硬いそれが彼を苦しめていることは想像に難くない。しばしの間視線がかち合って、私たちはどちらとも無く唇を合わせた。最初は、啄ばむような唇に触れるだけだったそれは、私たちの心を反映するかのようにだんだんと燃え上がっていく。唇を吸い、舌を絡ませ、一度解いてまた舌同士を絡ませる。舌を解くたび離れることを惜しむかのようにできる透明な橋が、幾度となく作られて幾度となく垂れてゆく。

 どれほどそれを繰り返したのかわからなくなった頃。一度唇を離して、最後にとどめの一言を放つ。耳元で、ぽしょぽしょと甘く彼に囁く。

「ね。――一緒に堕ちましょう、スバル」

 返事は、荒々しい口付けで齎された。私を見つめるスバルの目は、完全に理性の光を失い代わりにぎらぎらと私を見つめる男の人の目で――ようやく願いが通じたのだと期待に胸が高鳴る。これからの一夜はどれほど満ち足りて幸せな一時だろうと、心を躍らせた。

 眩しい光が、いつの間にか私たちの上に差し込んできている。暖かな太陽が私たちを照らして、私の心と同じように体を暖かくしてくれる。上体を起こすと、あちこちからぴきぴきと軋みが聞こえてきて、ついでに鉛のように体が重い。それでも、私の心は晴れやかだ。

 ――本当に幸せな一夜だった、心の底からそう思う。幾度となく達したことのない高みへ連れて行かれ、何度も何度も彼の熱い迸りを膣内で受け止めて、二人揃って乱れに乱れたものだった。最後の最後、風呂場から数えてもう何度目なのかもわからない――少なくとも優に十は超えているであろう――熱い彼の子種を注ぎこまれると同時にこれまでに経験したことの無いほどの絶頂を味わって、そのまま眠りについたらしい。シーツはぐしゃぐしゃのぐちょぐちょで、あたりには何度もお互いをぬぐったタオルがいくつも散乱していて、とても人様に見せられる状況ではない。尤も、ここに来る人様など殆どいないも同然だが。

「おはよ、スバル」

 昨日、そしてこれまでも数え切れないほどの幸福をくれた彼に、目覚めの挨拶をする。どうしても昨夜のことを思い出してしまって、頬が熱くなってしまう。彼は返事もせず物音一つ立てずに、ただただ静かに眠っている。

「……もう、おねぼうさんなんだから」

 でも、たまにならそんな日があってもいいのかもしれない。流石に昨夜は激しすぎたと思うし。いつもより少し冷たい彼に寄り添い布団をかぶって二度寝にふける。まどろみにまかせて再び眠りについた私の心は、暖かく満たされていた。




おわれ(真顔)
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