「はあ……このまま立ち話というのもなんですし、本題に移る前に移動しましょう」
え?何これスキマ?
いや、リボンついてないし目がぎょろぎょろしてないし違うか
「ふふふ、驚いてくれたかな?」
「これは?」
「我々の住居兼道場、神霊廟さ。我々が作った異界にあるから好きなところに入り口を開けるんだよ」
すげえドヤ顔だな
聖徳太子ってこんな愉快な性格だったのか
「あたしたちは道教には入らないよ?」
「話をするだけですよ。布教はまたの機会にします」
「俺も入らんぞ?」
宗教とか面倒なだけでいいことないだろ
仙人になるなら生きたままの方がいいし
「きちんと修行を積めば誰でも仙人になれるというのにどうしてこうも人気がないのか……はあ」
「人間のままありたいと思うのは当然だろ。人間という枠を逸脱してまで何かをしたいと思うにはそれなりのきっかけが必要なもんだよ」
何となく始めて惰性で最後までやっちゃう人もたまにいるけどさ
「清衡はあたしたちの寿命に付き合ってくれる気はないのかい?」
「旦那様ったら私のこと置いて逝く気なの?」
そりゃまあ俺も寿命伸ばして永いこと一緒になんて考えなかったわけじゃないけどさ
「やっぱり寿命ってのは守るべきだと思うね。お迎えが来たらちゃんと連れて行ってもらわないと」
まあ、最後に挨拶回りさせてくれたらありがたいかな
「凡人の考えることはよくわからないね」
俺も偉人の考えることはよくわからんよ
「価値基準が違うってことだけ知ってればいいんじゃない?それより案内してよ」
「貴女は案内がなくてもわかるでしょうに」
萃香はもうそういう存在として諦められてるのね
「旦那様、見事門弟たちを打ち破り私を貰い受けてくださいね?」
え?そういう話じゃないよね?
「いやいや、そんな娘を嫁に出したくない父親みたいなことしませんよ」
ほらしないって言ってるじゃん
「戻られたのですな太子様!」
「ええ、ただいま戻りました。お客人にお茶とお菓子を用意してちょうだい」
「承知しましたぞ」
嵐のように現れて消えたな
何かチルノ臭がする奴だったな
「今のは?」
「あの子は物部布都、私と同じく尸解仙となった者。同じく尸解仙となった者がもう一人いて、そっちは曽我屠自古というわ」
物部に曽我ね
それ同居しても大丈夫なのか?
「今何を考えているかわかるけど、それは用事が済んだら話すから今はおいといて」
用事ねえ
萃香も本題とか言ってたけど何があるのやら
「夕飯前には帰りたいんですけど」
「そんなに長くはならないから大丈夫。さ、上がって上がって」
この妙にフレンドリーなのも気になるんだよなぁ
俺も丁寧な物言いしてないけどさ
神子ちゃんとカラオケデートする約束をした夢を見た
何でデートの夢じゃなくてデートの約束をする夢なんだ……