「いらっしゃい。歓迎するわ」
おぉ?これは……
「思ってた以上に……」
「小さいって?」
おっと、また口に出てたか
「あ、あぁ。こんばんは」
しょっぱなからグダグダだな
「ええこんばんは。良い夜ね」
月が赤くて不気味なんだが?
「人間的には月は白い方がうれしいかな」
「あら、吸血鬼的には赤い月はうれしいわ」
まぁ、良く似合うけどさ
「それより、座ったら?」
おっと、扉の前で突っ立ってたら邪魔だよな
「じゃ、失礼して」
石っぽい椅子なのに冷たくないな
日中の熱が残ってるのか?
「そんなに珍しいかしら?」
「いや、何でもないことに意識が行く性質なんだ」
って、お茶とお茶請けが出てんじゃん
この時間に砂糖菓子は健康に悪いんだが
「あら?現代風なお茶請けを選んだつもりだったけど、お気に召さなかったかしら?」
現代風とか知らんがな
「人間は夜中に糖分を摂ると健康に良くないんだ」
太るだけならいいんだけどな
病気がな
「老衰以外なら心配しなくていいじゃない」
ああ、そういわれてみればそうなのか
「確かにそうか。じゃあ頂こうかな」
「作法なんて気にしないで心のままに楽しんでちょうだい」
ありがたし
紅茶の作法とか聞きかじった事すらないからな
茶道はちょこっと聞きかじったことあるけどさ
「おーこれプリンみたいだけど結構違うのな」
正統派のプディングってやつかな?
「気に入ってくれたかしら?」
「ああ、結構うまい。紅茶も変なフレーバーの入ってないやつだし」
俺はフレーバーティーを美味しいと思ったことが無いからな
普通にお茶の味と匂いのこれが嬉しいわ
「香り付けは文化の違いね。いえ、安全な水の歴史の違いかしら」
ああ、普通に水が飲めない時代があった文化圏はフレーバー好きだよな
「それにしても、随分リラックスしてくれてるみたいね」
言われてみれば……
来るまではかなり不安だったっていうか怖かったんだけどな
「何て言うか、警戒する気が霧散したんだよな」
「ま、そうでしょうね」
え?もしかして何かされたの?
「後ろ」
後ろ?
「はぁい?」
えーと?
「ほわぁい?」
「ぷっ」
「あなた面白いわね!」
いや、ボケたわけじゃないんだが
え?何?まさか警戒心破壊されたとかいう?
「さっきから気付かれるの待ってたのに、全然気付いてくれなかったのもチャラにしてあげるわ」
マジでずっと居たの?
「貴方には悪いけどフランの能力制御の実験台になってもらったわ」
ファッ!?
「あなたの私たちに対する警戒心だけを壊したの」
だけ?ほんとに?
「そんなに不安そうにしなくても大丈夫よ」
「フランが大丈夫だって言ってるなら本当に大丈夫よ」
ならまあいいか?
何かあるのは覚悟してたようなもんだし
「用件ってこれだった?」
「これはおまけよ。普通にお話しするのが用件」
「私は面白ければ何でもいいわ」
普通にお話はいいとして、面白いって地味にハードル高くね?
「で、何でナチュラルに俺に座ろうとしてるの?」
吃驚するわ
ちゃんと椅子あるやんけ
「?」
「いやいや、不思議そうにするところじゃないよね?」
「お行儀が悪いわよフラン。そういうことは自分の部屋でするものよ」
そういう問題か?
役得ではあるけどさ
ナチュラルに膝に座ってくる幼女っていいよね