ヒーローの卵 作:カンテラ
四月から五月にさしかかり、だんだんと日差しが強くなっていく今日この頃。そんな時期に日本中が注目するビックイベント、『雄英体育祭』が遂に始まる。
年に一度、外部の人間が雄英高校に入れるまたとないチャンス。今年はヴィランの襲撃があったせいで、例年以上に数多くのヒーローが警備にあたっていた。
入場検査も厳しくなり、今年は荷物検査や身体検査も行われている。
入場するのに時間がかかり入り口では長蛇の列となっていた。
俺は今日のためにこの二週間、やるべきことをやっていた。
一年生の競技場の特定、監視カメラの位置の把握、警備の配置や巡回ルートの確認等。
減っているとはいえ仕事も請け負っているので、今日までろくに麗日さんたちにちょっかいをかけられないでいた。
別に諦めて観戦するだけでも良かったんだが、今日は麗日さんがチアコスをする。そんな彼女の姿を生で見たいがため、わざわざ時間をかけて準備してしまった。
今日は大勢の観客が見に来るので、校門から競技場までの道はセンサーが切られているので安心できる。
だが校門での身体チェックや身元確認等は普通なら避けられない。なので俺は競技場内にあるトイレに瞬間移動し、堂々と廊下に出ていく。
観客席はすでに大勢の観客で賑わっていた。一般人やスカウト目的で観戦しに来ているヒーローたちを観察しながら空いている席を探す。
広い空間で人の話し声がざわめいており、もうすぐ始まる体育祭に祭りが始まる前のわくわくとした高揚感を抱く。
俺は空いていた席に座って千里眼を使い、警備にあたっているヒーローの確認を行う。事前に教師たちが打ち合わせしていたように、おおむね予定通りにヒーローたちは配置されていた。そんな彼らの勤務態度はどことなく緊張感が欠けている印象だった。
オールマイトがいる上にこのヒーローの数だ。遠くから応援に来ているヒーローなんかは、こんなところにヴィランて攻めて来るはずがない等と軽口を言っている始末。
警備のついでに競技をタダ見するアルバイトみたいな気の抜けようだ。
まぁ実際、こんなところを襲うくらいならヒーローが手薄になっている地方で悪さをした方が何倍も楽だろう。
だが俺にとっては雄英の方が重要だ。嘗めて警備してくれるならありがたい。
それから他の人の持っているパンフレットを盗み見したり可愛い子を物色していると、いよいよ雄英体育祭が開催された。
といっても午前の予選は原作通りに進んだだけで、彼らの奮闘する様を見て楽しむだけに終わった。
そして昼休憩が終わりレクリエーションの時間。生徒たちが中央に集まっていくなか、
『どーしたA組!!?』
1-A女子は皆チアガールの服装をして会場にやって来た。麗日さん含め皆彼女たちは真顔だった。ナイスだ峰田君。
俺は麗日さんがチアコスしているのを確認し、一階のトイレに移動、服装を雄英ジャージに変える。これで俺が選手控え室の近くをうろうろしていても、すぐにバレることはないだろう。
それから千里眼で場内を監視、レクリエーションが終わる頃合いを見計らってトイレから出る。行き先は女子更衣室に近い会場から続く通路。
ダンスを終えて選手達より一足先に退場してきた麗日さんたち。麗日さんは最後尾にいた。
俺は壁にもたれかかってじっと麗日さんを見つめる。
俺の視線に気付き、麗日さんは俺と目を合わせる。一度そのまま俺の前を通り過ぎるが、少しして彼女は動きを止め、勢い良くこちらを振り返った。
「な……なんで」
どうやら俺のことを思い出してくれたようだ。
麗日さんは驚いた顔で俺を指差す。
「久しぶり。二週間ぶりだけど元気にしてた?」
麗日さんに近付こうとすると、彼女は後ずさる。
(なんでこんなところに? なんで雄英ジャージ着てるん? いや、それより警備の人呼んでこんと)
麗日さんは後ずさりながらどうするか必死に考えている。ここで時間をかけるのは面倒だ。俺は携帯を取り出し、USJの時に撮った写真を麗日さんに見せる。
「どうこれ。よく撮れてるでしょう」
俺の見せた写真を見て動きを止めてしまう麗日さん。その隙に青ざめた彼女に近付き肩を抱く。麗日さんは俺に触れられているからか、身体を震えさせている。
「今から二人で話したいんだけどいいかな?」
「どうせ断らせる気なんてないんでしょ!」
麗日さんは怯えながらも強気に言ってくる。それでいい、俺は麗日さんを競技場倉庫に連れていく。
連れていく道中、麗日さんは俺を触ろうと手を差し出してきたり、近くを通りかかったヒーローに助けを求めようとした。だが何を考えているかわかってしまうので、口を動けなくさせたり、かわすついでに胸やお尻をタッチしたりして遊んだ。
その度に麗日さんの表情は絶望だったり怒りだったり焦りだったりと、ころころ変わっていく。
「こっちの倉庫は今日は使ってなくてね。レクリエーションで使ってた道具は反対の倉庫にしかないんだよ。だから気にせず楽しめるよ」
「何でそんなに詳しいんですか? 他にも協力者がいるとか?」
「秘密」
特に問題もなく麗日さんを倉庫まで連れていくことができ、扉の鍵を閉める。肩から手を離すと麗日さんはさっと俺から距離をとり、警戒心を露にして隙あらば個性を使おうと狙っている。
「こんなところ連れてきても、すぐ誰か来て捕まえるんだから!」
「大丈夫、逃げるのは得意だから」
俺はそう言って笑いかける。それでも警戒を緩めない麗日さんは戦闘体勢をとろうとする。まぁそりゃそうだ。
「安心して。今日は応援に来ただけだから」
「応援するなら上で見てるか私の前からどっかいって!」
「これを見てもそう言える?」
俺は再び写真を見せる。麗日さんは一瞬息を止めたが、
「別に、そんなの気にしてない!」
と、そう言いながら突進してくる。
(ここで声だして暴れてれば誰か気付いてくれる! それまで時間を稼がんな!)
麗日さんは不敵な笑みを浮かべ、俺の思い通りにはさせないようにと気丈に振る舞う。
どうやらUSJの時と違い、助けが来る可能性が高いからか強気な麗日さん。
「いやあ、でも悲しむだろうなぁお父さんお母さん。こんなことでお金稼いでるなんて知ったら」
「は?」
「経営不振な会社のために体を売ってるなんて知ったらお父さんどうなっちゃうかな?」
そう言うと、麗日さんの顔が今までにないくらい怒りに満ちていた。全然うららかじゃない。
「あんた……なんで……」
「娘に身体を売らせてる建設会社の社長がいるなんて宣伝になると思わない?」
「……待って」
「あ、さっきの声で誰か来るかも知れないしそろそろ逃げるとするよ。麗日さんの頑張ってる姿は言われた通り上で見とくさ」
俺はそういいながら鍵を開けて倉庫から出ようとする。
「待って」
それに対して麗日さんは落ち着いた声で俺を呼び止めた。
「それだけは、それだけは止めて……ください」
(お父ちゃんお母ちゃんにこれ以上迷惑かけるわけにはいかん……)
「それじゃあ、そこのマットで横になってくれる?」
俺は鍵を閉め、振り返ってお願いした。
マットにうつ伏せになった麗日さんは手を重ね、その甲に額をつけ顔を見せないようにしている。指にはまたサックを付けて個性を使わせないようにした。
チアコスしている麗日さんは肩やお腹を露出させている。鍛えているわけではないので、太ってはいないが丸みのある体。
俺はそんな彼女の露出した背中に手を置く。麗日さんの体温がじんわりと伝わり、体が呼吸に合わせて上下している。
麗日さんからの反応はない。頭のなかで家族のため家族のためとひたすら我慢していた。
「それじゃあいくよ、麗日さん」
俺がそう言うと麗日さんの体に緊張が走り、柔らかい肌に張りがでてくる。
俺はまず背中を指圧していく。朝から体を動かしていたので、若い体でも疲れは貯まっており、筋肉が凝っていた。
「ん……」
(こいつ、なにしてるん?)
俺の行動に戸惑う麗日さん。彼女は前みたいに胸や秘処を触られると思っていたのだろう。それがいきなり背中をマッサージされたので、不審に思いつい顔を上げてしまっている。
「どう麗日さん。気持ちいい?」
「っ……全然! 気持ち悪いだけっ」
麗日さんはつっけんどんな態度で返してくる。
それから背中だけでなく腕やふくらはぎもマッサージしていくと、麗日さんの筋肉は徐々に緊張をほぐしていった。
(悔しいけど……上手い)
麗日さんは眉をしかめながらも頬をだらけさせてしまっている。
「最初から言ってるでしょ。応援に来たって。疲れをとってあげたかったんだ。マッサージしてあげるよ」
「そんなこと言ってどうせ」
「大丈夫、大丈夫。今日はやらしいことしに来た訳じゃないって」
勿論嘘だが。
今行っているこれは能力ではなく単なるマッサージだ。
とあるマッサージ店に、変態ヴィランがいた。相手のツボが隅々までわかる個性をもち、発情させるツボを見つけてはマッサージから挿入までもっていく。
当時そいつの個性を詳しく知らなかった俺は、そのマッサージ技術を手に入れようと多額の金を渡して指導してもらった。
結果俺は、ただ多額の金を貢いでマッサージの技術を身につけただけだった。
「ん……ふっ」
(あかん、こんなんで体熱くなったらあかんのに)
だが俺には性欲調整という能力がある。これを組み合わせればツボなんかわからなくても気持ち良くさせることができる。
初めからこうすれば良かったと、俺は金を払ってから気付いた。
少し性欲を上げてから、俺はふくらはぎを揉んでいた手を太ももまで上げていく。膝裏から脚のつけ根まで手を這わせ、最後にお尻を少しきゅっとしぼるように揉む。
「あぅ……今」
(お尻……やっぱりこいつ)
「マッサージだから。それとも触られて感じちゃった?」
「そんなわけない!」
「じゃあ大丈夫だよね」
「むぅぅぅ……や、ちょっ! あぅぅ……んん」
俺はスカートをめくり、露になったお尻を揉んでいく。
「ほら見せパン履いてるし見られても大丈夫でしょ?」
青色の見せパン。その上からただ楽しむためだけに揉むのではなく、筋肉をほぐすように揉みこんでいく。
嫌がってお尻をそわそわさせていた麗日さんも、俺がそれ以上のことをしないと次第に抵抗しなくなっていく。
「あぁ……ん、む……くぅ」
(これってホンマにマッサージなんかな。体は軽くなってる気がするけど、胸の先っぽ固くなってきたし)
麗日さんのお尻を丹念に揉んでいると、肌が汗ばみ始め、体が熱を増していく。それに伴って麗日さんの呼吸のリズムも早くなっていく。
(あかん、このあと試合やのに。こんなんで感じてる場合やないのに)
試合……千里眼で確認する。今は飯田君と発目さんが闘っていた。闘っているとは言えない試合内容だが。
「ちょっと急ぐよ麗日さん」
「え? きゃっ!」
俺は麗日さんを仰向けにし、お腹をマッサージする。麗日さんのお腹は柔らかく、餅をこねているみたいだった。
麗日さんは顔を腕で隠してしまったが、チアコスのため、両脇が見えてしまっている。
「ちょっ……くすぐったい! くすぐったいからぁ!」
次にお腹から太ももに手を移し、膝から股関節まで手を這わせる。
スカートをめくらず、どれくらいで秘処に手が当たるか勘を頼りに手を進める。布の感触からパンツに触れたことを確認すると、そこからさらに手を押しつける。
「んぁっ! 当たってる! 当たってるからぁ!」
「大丈夫、大丈夫。マッサージだから」
「あっ、あぁ……。やっぱり、んんっ! これ……あぁぁ……」
何度も往復させていると、だんだんパンツが湿りを帯びる。それに気付いた麗日さんはぎゅっと脚を閉じようとする。
「麗日さん気持ち良く」
「なってない、なってない!」
麗日さんは顔を隠しながら首を振る。感じているのを必死に隠そうとする姿に、このまま襲いたくなってしまう。
「マッサージ気持ち良くなかった?」
「良くない!」
俺はそんな麗日さんを写真に収める。目隠しして汗ばんでいるが服は乱れていない。この体を汚す直前のような場面が撮れて気分が高揚してしまう。
麗日さんは諦めたのか写真のことに何も言わず息を整えていた。
俺はそんな無防備な麗日さんの脇に手を添える。
「あひゃっ!」
くすぐったさに麗日さんは脇を閉めてしまう。その結果、今まで隠していた顔を俺に見せてしまう。いつも通り頬を朱色に染め上げ、目と口はだらしなく半開き。全体的に蕩けきった顔をしており、要するに麗日さんは発情しきっていた。
「あ……見るな! 見ないでっ!」
麗日さんは見られたくないようで顔をそらしながら俺の顔に手をやるが無駄に終わる。俺はその顔をまた撮影する。
もう時間がないのでここでマッサージを終わらせ、麗日さんを解放してあげる。
「体、軽くなったでしょ? 試合頑張ってね。俺のことをオールマイトや相澤先生に言うかは君に任せるよ」
麗日さんは何か言いたそうにしながらも、俺を睨むだけでそそくさと逃げていった。
マッサージの続きはまた後でだ。さぁ、麗日さんの試合を観るとしようか。