※この作品はR-18です。

P3Pin女番長 ~if~   作:甲斐太郎

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P3Pin女番長 時間軸 8月―⑧ 

『笑う門には福来る』なら『悲しい顔をしていると不幸を招いてしまうのだろうか』



優『憧れの湊先輩の魅力が急上昇中』

巌戸台学生分寮の2階は僕を初めとした男子生徒のフロアとなっている。生活パターンとしては太陽も昇っていない薄暗い早朝でも明彦先輩のロードワークとぶつかる可能性があり、陽が昇り始める頃合だと乾くんが起きてきてくる時間であり、あまり遅くなると順平さんがのっそりと起きるので注意が必要。この学生分寮の2階奥にある僕の部屋から出てくるのを誰にも見られることが無ければ、自分の部屋に戻るために3階へ上がろうが、ご飯を食べるために1階に下りようが関係なくなる。

 

しかし、ここで問題になってくるのは湊先輩の格好である。僕の部屋に来た時点で浴衣を羽織っているだけで半裸だった。今も僕が寝る時に掛けているタオルケットを身体に纏っているだけで防御力はゼロだ。幸い彼女の寝巻きはノーブラTシャツにズボンはジャージなので僕の物で代用できるといえば出来るのだが……。

 

「やっぱりぶかぶかですよね」

 

「うん。私のサイズはMだからね」

 

僕のシャツのサイズはLであり、湊先輩が着ると胸元が自然と開く形になる。タオルケットを身体に巻いた上にTシャツを着ているので僕の期待するようなポロリはない。チラリズムに興奮する性質の息子もしょんぼりしている。というか朝一で抜いているので余計に賢者状態だ。ちなみにズボンも僕の方がワンサイズ上なので、履くことがあればずり下がらないように常に引き上げておく必要がある。そんなぶかぶかなTシャツ&ズボンを着た姿で寮内を移動する湊先輩を他の先輩方に見られると、確実に僕と何かをしたと疑われることは間違いない。

 

「すんすん……はぁ……」

 

僕がどうやって湊先輩を自分の部屋に戻すかを悩んでいるとベッドの方から何かの匂いを嗅ぐ音と、幸せそうに安堵するような声が聞こえてきたので振り向く。すると湊先輩は着ている僕のTシャツの胸元の部分を摘まんで鼻に押し当て染み付いている僕の匂いの残り香を吸って身体をモジモジさせていた。右手は僕のTシャツを摘まんでいるので見えているが、左手はタオルケットの中に入り込んでいるので何をしているのか分からない。状況的に自慰行為だと思うが、僕がいるにも関わらず彼女は羽目を外し過ぎではなかろうか。しばらく見ているとビクビクッと身体を震わせて横向きにベッドに倒れ込んだ。

 

「はぁはぁ……ん。総司くんの匂い、すんすん」

 

と、今度は僕が使っている枕を胸元に抱いて、顔を押し付けつつ匂いを嗅ぎ始めた。無論、左手は見えないままであり、湊先輩の痴態が止まる気配はない。これ以上は確実に湊先輩の日常に支障が出ると思い一生懸命考えた結果、僕は妙案を思いついた。1階のランドリーにこの学生寮に住んでいる女性陣が昨日の夏祭りに着て行く浴衣に着替える前に着ていた服が放り込まれているはずと。それの中から湊先輩のものを回収してきて彼女に着せて自室に入れてしまえばいいはず。

 

そう思った僕はちらりとベッドの上で悶える湊先輩を見た。彼女は僕が普段使用している文房具を手にとって先端をチロチロと舐めている所だった。それの使用方法は言うまでもない。僕は急いで部屋から出ると念のために鍵を閉める。ちゃんとドアが閉まったことを確認すると飛び降りる勢いで階段を降りた。

 

「うわっ!?そ、総司さん。どうかしたんですか?」

 

「あ、おはよう、乾くん。な、何でもないんだ。お腹すいたなって思って寝ぼけていたら躓いちゃって」

 

「怪我をしていないようで何よりです。ところで総司さん、今日は何か予定がありますか?」

 

天田くんが三つ折りされたパンフレットを手渡してくる。見れば、フェザーマンの映画の紹介が書かれていた。どうやら31日にある『特撮ヒーロー大集合』の前日談的なものが映像化されたらしく、それが今日のお昼に放映されるらしいのだ。その前日談を見ているのと見ていないのでは31日の映画の楽しみ方が違ってくるという訳だ。

 

「いいよ。僕もポロニアンモールに用事があるし、映画を見終わったら買い物に付き合ってくれるかな」

 

「はい、ありがとうございます。じゃあ、11時くらいにエントランスに集合ですね」

 

そう言って乾くんは階段を上がっていく。それを見送った僕は寮の1階を見渡す。エントランスには桐条先輩と明彦先輩がいるだけで他に人影は無い。とりあえず、2人に乾くんと一緒に映画を見に行くことを伝えると、怪我や熱中症には気をつけるようにと注意を受ける。その後、台所に移動した僕は生の食パンを口に含み、コップに注いだ牛乳で流し込む。その行為を繰り返して両手を合わせる。コップをスポンジで洗った僕は食器乾燥機に洗ったコップを逆さまに置くと、その勢いのままランドリーに突入。

 

溜まっていた洗濯物を漁って目的のものを回収すると、残りは男子と女子のものを分けて、それぞれ専用の洗濯機に放り込む。男子の洗濯機はとにかく汚れを落とすと評判の洗剤と柑橘系の匂いがするようになる柔軟剤を投入し回す。女子の方は衣類に優しい自然由来の洗剤とフローラルな花の香りがするようになる柔軟剤を投入し回す。

 

僕は目的のものをバスタオルに巻いて、カモフラージュ用に持ってきたジャックフロストの絵柄が入ったトランクスを洗面台で洗ってぎゅっと絞る。その濡れたトランクスをバスタオルの上に置いて脇に抱えると慌しくドアを開けてランドリーから出た。そして態と階段のところでトランクスを落とし、それに気付かなかった振りをして2階に上がる。

 

「おい、鳴上。何か落としたぞ」

 

「へ?ちょっ、待って桐条先輩!」

 

僕はドタドタと音を立てて階段を降り、桐条先輩が拾い上げたトランクスを奪い取ると逃げるように階段を上がり自室に入り込む。きっと、僕の行動は明彦先輩がフォローしてくれるだろう。……まさかと思うけど、その年齢になって朝勃したことないとかないよね。僕は明彦先輩に一先ずの不安を覚えたが、今更どうしようもない。

 

最悪、順平さんにフォローしてもらおうと考えながら部屋にいるはずの湊先輩に視線を向ける。

 

「はぁん……はぁ……はぁ……」

 

湊先輩は立っていた。

 

別におかしいことではない。

 

人間は2本足で歩く生き物だから、立っているのはおかしいことではない。

 

おかしいのは僕の勉強机の角に秘部を擦り付けるようにして自慰に耽っている行為だ。僕は素で目の前にいる女性が誰なのか分からなくなった。

 

ついにご立派さまを召喚することになったのか。

 

それとも現在のペルソナ構成がインキュバスやサキュパスなどの淫魔系に統一されてしまっているのか。

 

そうでもないとおかしいでしょ、今時エロを覚えたばかりの中学生でもこんなのないよ!

 

「イ……イクッ……っ―――」

 

ペタンと机の上に倒れこむ湊先輩。彼女の股からは透明な液が滴り落ち、僕の部屋の床には所々に愛液による水溜りが出来ており、変に言えば足の踏み場が無い。部屋には雌の濃い匂いが充満しており、非常に拙い状態である。僕は無言で持ってきた湊先輩の服を濡れない位置に置くと、汗ばんでいる彼女の身体を隅々までバスタオルで拭き取る。大洪水の秘部も入念にだ。湊先輩は何度自慰行為をしたのか分からないが、陰核は赤く大きくはち切れんばかりに勃起している。僕が穿かせた下着の布に擦れたのか嬌声を上げる湊先輩、見れば穿かせたばかりのショーツの布の染みがすごい勢いで広がっていくのが見えた。時間がないと思った僕は自分でも驚くほど素早く、彼女にブラを装着させスカートと上着を着せた。

 

そして、夢見心地の湊先輩を横抱きにするとドアを蹴って開けて、3階の奥まで駆け上がり鍵が開いたままになっていた湊先輩の部屋のベッドに彼女を寝かせるとさっさと退散した。2階に降り切ると同時に上の階で『何の音なの』と岳羽先輩や山岸先輩の声が聞こえてきた。

 

「ふぁあ……こんなとこで何してんだ、総司」

 

「あ、順平さん」

 

目を擦りながら部屋から出てきた順平さんは2階のタラップにいる僕を見て声を掛けてきた。僕は仕込んでおいた言い訳を彼に伝える。

 

「実は……昨日、結城先輩と夏祭りを回ったんですけど。その……それに関係しているのか分からないのですが、その……夢精しちゃって。風呂場で洗ったトランクスを桐条先輩に……」

 

「おうふっ!……マジか」

 

順平さんから向けられる視線が優しくなった。1階にいる桐条先輩と顔を会わせ辛いということを伝えると、順平さんがフォローしておくと買って出てくれたのでお願いする。その背中を見送った僕は部屋に戻ると同時にクローゼットから雑巾とモップを取り出した。乾くんと映画を見に行く約束をしているので11時までには終わらせないといけない。僕はまず換気のために窓を全開にしたのだった。

 

 

◇◇◇

 

 

約束してあった映画を見終えた僕は乾くんと一緒にポロニアンモールにある店主が釣り仲間でもある『青ひげ・ファーマシー』を訪れていた。購入するのはコロマルのドッグフードと乾くんや師匠たち用の傷薬である。乾くんは店先に並べられているプロテインやサプリメントの紹介映像に見入っている。それを確認した僕はとある物品が置かれているコーナーに移動し、『超極薄!!』とか『この店で一番売れてます!!』と紹介されてあるものを3箱、手に取る。そして、会計のために置かれていたコロマルのドッグフード缶の横にそれを何知らぬ顔で置いた。それを見た店主のオジサンは静かに呟く。

 

「……中学生にしては枯れているなと思っていたが、そうでもなかったか。常連の誼だ、まけといてやる」

 

「あ、ありがとうございます」

 

何を買ったのか分からないように黒いフィルムの袋に入れられ、ピタッとセロテープを貼られたそれを僕はドッグフードや傷薬が入っているレジ袋ではなく、自分のバックに入れる。店主に礼を言い、乾くんに声を掛けた僕はお店から出て駅に向かうのだった。

 

 

◇◇◇

 

 

タルタロスの探索に出るということで僕は学生寮に住む皆さんを笑顔で送り出した。その後、乾くんを迎えに来た師匠を見送り、誰も居なくなった寮内を見回すと、深呼吸をひとつした後で駆け出した。

 

自分の部屋の片付けを行うなら、誰もいなくなるこのタイミングしかないと思っていたからだ。赤い染みが残るぐっしょりと濡れたベッドシーツを漂白剤につけている間に、日中エアコンと扇風機を使って乾かしたベッドマットにリセッシュを振り撒く。湊先輩の愛液がたっぷりと入ったバケツは液体を零さないよう慎重にトイレに持っていって、液体を便器に流し込んだ。念のため2回水を流す。その上で便器用のミントの香りがする洗剤で隈なく便器を洗った後、再度水で流す。バケツ自体は洗面台で石鹸を使って綺麗に洗った。

 

ランドリーに戻り、漂白剤につけておいたベッドシーツとタオルケットを軽く水で洗った後、洗濯機にぶち込んで洗剤を目分量で入れた後、自動ボタンを押す。部屋に戻るとまだ何か雌の匂いがする気がして、僕は思い出した。湊先輩が部屋にあるあらゆるものを使って自慰行為していたことを。僕は簡易的な次亜塩素消毒液を作って思いつく限りの箇所を拭き取る。文房具は入念に。

 

そうして、証拠隠滅が済んだ僕は卸したての新品のベッドシーツを敷いたベッドに倒れ込む。洗濯機が止まると同時に乾燥機に入れることが出来れば完璧だなと思いながら携帯電話を操作し、アラームをセットすると目を閉じた。

 

セットしたアラームの音を聞いて目覚めた僕は、ランドリーに向かう。そして、洗濯が済んだベッドシーツとタオルケットを取り出すとそのまま乾燥機に入れる。そして、ゴウンゴウンと乾燥機が回り始めたのを確認すると、ランドリーから出てエントランスのソファに座る。

 

テレビを見ようとリモコンを探し、見つけたリモコンでテレビをつけようとしたのだがうんともすんとも反応が無い。年季入っているからなぁと優を習ってバシバシとテレビを叩くもテレビが付く気配がない。

 

しょんぼりとしながら携帯小説でも読むかとソファに寝転がって携帯電話を開いたのだが、ディスプレイは真っ暗だった。真っ暗といえば、いつ電気を消したっけと思ったと同時にエントランスは光に包まれた。テレビもニュース番組を映し、携帯のディスプレイにはいつもの画面が映っていた。

 

「……あれ、今のもしかして影時間?」

 

僕の疑問に答えてくれる人は誰もいなかった。

 

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