※この作品はR-18です。

乙女提督が着任しました。   作:蒼樹物書

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【10】

 「oh……榛名、秘孔でも突いたんデスか……?」

 「そんな。お疲れだっただけですよ」

 

 にこにこと否定しながら、眠りに落ちた提督を丁寧に抱え湯船から引き揚げる榛名。我が妹ながら恐ろしい娘……。そして提督の裸体が改めて露わに。ごくり。生唾を飲む。相変わらず凄い身体デス。

 

 「ヤっちまうデース?」

 「金剛お姉様、協定協定」

 

 oh,shit。他の艦娘に先を越されぬ為の協定がここで足枷になるとは。ご馳走を前に手を出せないことを呪う。しかし今はそのライバル達もいる状況だ、どうせなら最初は二人きりで楽しみたい……ライバル達、五月雨を筆頭とした艦娘達もワタシと同様のようだ。目を血走らせながらこちらの様子を伺っていマス。

 

 何気にヤバいかもデスね、これ。

 

 全員の理性が吹っ飛んで提督へ一斉に襲い掛かれば、ワタシと榛名だけでは抑え切れそうにありまセン。全く、護衛とか抜かしてた白塗り陸助は何を……あ、今回の混浴作戦の為に比叡と霧島ぶつけているんデシタ、ワタシの命令で。

 混浴、と言っていいのか今回企んだ、げふん企画した大浴場への提督招待。どこから情報が漏れたのかこの鎮守府のほとんどのメンバーが集まってしまった。愛されてますネー、提督。

 当初は裸の付き合いで親密を深められれば、ついでに提督の裸体を拝められれば、くらいの目的デシタが、これで終わり、としてしまうと暴発しかねまセン。主に全員の主砲が。ふむ。

 

 「――提督、まだ、お身体、洗ってませんでしたよね」

 「――そうデスね。上がる前に、綺麗にして差し上げるべきデース」

 

 榛名の言葉にアイコンタクトをしつつ応える。適度なガス抜きは必要デス。

 協定では秘書艦にのみある程度の接触が許されていマスが、今の所秘書艦経験、つまり提督に直接触れられる立場を得たのはワタシと榛名のみ。

 となれば相当、色々溜まっていることだろう。今回の大浴場のことを嗅ぎ付けた程デス。

 

 「て、手伝います!」

 「わた、私もぉ!」

 「待って待って、私もやるっ!」

 

 ほら釣れマシタ。湯船に浸かって様子を見ていた艦娘達が、わらわらとこちらに押し寄せる。視線はタイルの床に横にした提督に集中砲火。五月雨、鼻血出てますヨ。

 

 「丁寧に、丁寧にですヨ。起こしてしまったら驚かせてしまいますからネー」

 

 しっかりと釘を刺す。そう、起きてしまえばこの状況は終わり。誰の得にもならない。

 高価な美術品に触れるが如く、提督を囲んだ艦娘達が石鹸の泡を絡ませた指先、掌、股間の主砲を伸ばす。最後のはちょっと待て。レッドカード、退場デース。

 

 「――それは大丈夫じゃないです。お身体を洗って差し上げるのですから、ね?」

 

 ひッ。榛名の一声で、興奮に熱を上げていた全員が凍り付いて硬直する。にこにこ笑っているのに怖い。自身の怒張を提督に差し伸ばした艦娘がゆっくりと離れる。流石私の妹艦ヨ。敵に回さないように気をつけよう。

 

 「ぁッ……」

 

 そうして不埒者が自重してから榛名の監督の元、提督の洗体が再開される。二十を超える手が、提督の柔らかな素肌を触れ、撫で、揉んでいく。愛しい提督が無数の手で陵辱されているようで、少し、嫉妬を覚えはしてもそれ以上に劣情を刺激される。

 

 「んぅ、ッ、は、ぁ……っ」

 

 無意識の内に彼女から漏れる喘ぎ声もそれを助長しているのデショウカ。無数の手が身体を這い回り、絡み弄ぶ。それに身をくねらせ頬を紅潮させる様は更なる刺激を誘っているようで。

 

 気づけば、自身の肉棒を慰めていた。

 

 提督に触れている艦娘も同様で、輪に入り損ねた者、中には片手で提督の乳房を揉み搾りながら自身の肉棒を扱いている者もいる。この場にいる全員が欲情し、猛っている。

 

 「ッ――あ……!」

 

 ――五月雨が、誰もが手を伸ばせなかった提督の秘所に触れた瞬間、びくり、と提督の身体が跳ねる。

 その意味を全員が理解した瞬間。興奮が臨界に達して全員が腰を上げた瞬間。

 

 「……全員、そこまでであります」

 

 

◇

 

 意識が、浮上していく。

 同時に自身を包む心地良さを感じる。額にひんやりとした感触。茹って逆上せた頭がその冷たさで熱が引いていくのを感じる。身体の方はこの肌寒い時期、冷やさないようにかシーツか何かをかけてくれているようだ。

 後頭部は柔らかな枕。綿でも蕎麦殻などでもない、感触から水枕だろうか。未だ瞼を開くのが億劫で、僅かに頭を動かして感触を確かめる。枕は、「ひぅんっ」と妙に艶やかな声で鳴いた。

 

 「――っ!!!」

 

 飛び起きる。幸い、枕は上体を起こしており勢いのまま飛び起きた私と激突することはなかった。

 

 「あっ……お身体の具合どうでありますか、提督殿」

 

 枕――否、あきつ丸は少し驚いたような表情で尋ねてくれた。大丈夫、です、と答えて周囲を見渡すとどうやら大浴場の休憩所らしい。私とあきつ丸の他、人気はなかった。長椅子の上、ゆっくりと座り直す。まだくらくらするが、何時までも寝ていられない。

 

 「どうぞ」

 「あっ、ありがとうございます」

 

 脇に置いてあったらしい、ラムネの瓶を開けてから手渡される。すごくありがたい、喉はからからに渇いていた。こういうさりげない気遣い、同性ながら惚れてしまいそうな紳士っぷりだ。私はもう売約済みだが。

 

 「あの、私は……」

 「逆上せてしまわれたようでありますな。榛名殿や居合わせた方々が謝っておられました」

 「そうですか……情けないですね、私……」

 

 なんて失態。確かにここ最近、ゆっくり出来る日などなかった。そうした中、執務が珍しく早々に片付いて、久々の大きなお風呂で気が緩んでいたのかもしれない。

 だが、あんなに沢山の部下、艦娘達の前で逆上せて意識を失ってしまうなんて失態、どう言い訳できようか。

 

 「陸軍は、海軍の意見に反対である、であります」

 「え?」

 

 私の隣に座り自身もラムネの瓶を片手に、こちらを見ず真っ直ぐ前を見ながらきっぱりと言い切るあきつ丸。

 

 「提督殿は努力されております。故に皆、提督殿を慕っております。自分が保証するであります」

 

 ――ああ。ありがとう、パパ。

 

 こんなにも素敵な娘を送ってくれて。傍に置いてくれて。

 彼女が傍にいてくれれば、私はもっと強くなれる。彼の隣に立つ、その為の強さを得ることができる。

 感謝を彼女に伝えながら、この想いを深く心に刻み込む。

 

 「ただ……もう少し、身持ちを固くされた方がよろしいかと」

 「?」

 

◇

 

 「おはようございます、司令」

 「おはよう、比叡」

 

 朝。昨日と同じく執務室の扉をノック、入室する。執務机には既に司令が座って書類を広げていた。

 傍らには例の白黒。直立不動で無言のままこちらを睨むように見つめている。朝の挨拶もできないなんてダメな娘。

 

 「昨日は遅くまで付き合せてしまいましたね」

 「いえ! 今日も気合、入れていきます!」

 

 自身に活を入れるように声を張る。

 私は昨日から、秘書艦を司令から任命されていた。金剛お姉さま、榛名とだいたい一週間程の任期だったからローテーションということらしい。お姉さまの為にもしっかりと秘書艦を務めなければ。

 

 そう、お姉さまの為だ。くれぐれもしっかり務めるよう言い付かっている。

 金剛お姉さまや、榛名、霧島はどうもこの司令に執心しているようだが、私は正直、どうでもいい。お姉さまが秘書艦を務めた翌朝、彼女にお姉さまの匂いが移ってミックスして、すごかったが彼女自身はどうでもいいのだ。現に昨日今日と彼女と接し匂いを感じているが特に何も感じない。いい匂いとは思うが特別だとも思わない。

 

 あの日、金剛お姉さまの匂いを纏った司令は。

 思わず、近づいて嗅いでしまった。欲情した。白状すれば、金剛お姉さまよりいい匂いが、した。

 もっと感じたい。もっと、あの匂いを鼻腔へと送り込んで頭の中を幸福感でいっぱいにしたい。

 

 うーん、あ、そうか。

 

 「司令、金剛お姉さまと結婚しません?」

 「……はい?」

 

 私の妙案、その提案に司令が固まってしまった。どうしてだろう、いい考えだと思ったのに。金剛お姉さまは司令が好き、そして一緒になれば司令はいい匂いがして私も嬉しい。完璧。

 

 「ダメ、ですか?」

 「あの、言っていることの意味が……」

 「そうですか。あ、そうだ」

 

 ダメらしい。残念。執務室に来る途中、司令宛で届いていた書類を手渡す。海軍本部からの物だ。

 

 「あ、ありがとう、ございます……」

 

 困惑したような顔で受け取る司令。しかし、封を切り中身を目にした途端椅子を跳ねさせるようにして立ち上がった。目を見開き、忙しなく瞳が左右に往復する。彼女の手にある一枚の紙、決して多くない文字数を何度も何度も読み返して確認しているらしい。

 それを繰り返す度に、口角の角度が上がっていく。どうやら、嬉しい便りのようだった。

 

 「あ」

 「あ?」

 「あえ、あえっ、あ――!」

 「和え?」

 「――逢える!!!!」

 「ひえっ!?」

 「て、提督殿!?」

 

 一枚の紙を両手で天に掲げるかの如く突き上げ、叫ぶ司令。無茶苦茶嬉しそうな喜色満面。こんなに嬉しそうな司令初めて見た。可愛い。

 白黒も豹変に驚いた様子だが、司令は小躍りする勢いだ。どんな、内容なのだろうか。

 

 「……こほん」

 

 私と白黒がいることを思い出したかのように居住まいを正して、誤魔化すような咳払い。緩んだ頬を無理矢理引き締めている。変な顔。

 

 「……呉鎮守府との、再戦が決まりました」

 

 またやるの?

 

◇

 

 きた。漸くきた。待ちに待った日が。呉鎮守府との再度の演習。それも、大演習を実施せよとのことだ。それに伴い、彼もここ、舞鶴鎮守府へ来るとのこと。願ってもないことだ。

 

 一日の執務を終え、真夜中の私室。一人、本日届いた演習の許可を知らせる手紙を抱いてベッドにごろごろ転がる。舞鶴鎮守府へ着任し幾星霜、という程でもないがこの日を待ち続けたのは事実だ。

 漸く、逢える。漸く、彼の艦隊と競い私の力を、彼の隣に在れると証明できる機会を得られる。

 前回はあんなにも実力差を見せ付けられたというのに負ける気がしない。上げ続けた艦隊の錬度が、学び続けた私の日々が、それを支えてくれるあきつ丸がその確信を固めてくれる。

 

 彼に、彼の艦隊に勝利したのならば。

 私は、胸を張って彼に告白しよう。

 貴方の傍に在れると。

 貴方に相応しい女であると。

 

 彼が来るまで後、数日。

 私の最大でお迎えしよう。最高の戦力で迎え撃とう。そして証明するのだ、彼の伴侶足り得ると。

 そうして。そうして。

 身体が火照る。臍下がむず痒い。片手が、胎の下へ伸びる。熱く、湿っていた。

 ここ最近、その、頻度が、高い。

 

 「んぅ……ッ」

 

 感度が高く、情欲が深くなっている。

 これまで彼を想ってのこれが、回数も、高まりも多くなっている。何故かはわからない。

 が、生々しさを増しているというべきか。肌に触れられる感触が想像出来る。隣の誰かの熱が想像出来る。

 

 「ふ、ぁ……っ!」

 

 自身のことだ、文字通り手馴れた指先の動きですぐに昂ぶっていく。切なさが重なっていく。抱き締められたい。キスをして欲しい。深く、貫いて欲しい。呼応するように激しさを増す指であっという間に、果てる。

 

 「――ぁッ」

 

 脱力する。夢見心地のまま、ベッドに体重を預ける。

 

 「はやく、あいたい、な」

 

 叶うことなら、夢の中でも逢えますように。

 そう願いながら、意識を手放す。もうすぐ。もうすぐだ。




実況金剛、進行榛名でお送りする大試食会という名のお風呂イベントそのに。またあきつ丸。天丼は二回までですよ。
色々詰め込んだ第十話ですが終盤に向け加速します。奴も来るしね。

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