目が、覚める。
意識がゆっくり覚醒、感覚ではもう朝のはずだが、冬の朝は未だ太陽を覗かせておらず、室内は暗闇に閉ざされていた。身体を起こそうとして、後ろから抱き締められていることに気付く。
暖房がないにも関わらず、温かい。肌と肌を合わせたまま眠っていたから。
シーツの中、私と彼女、榛名は衣服を纏っていない。
眉を顰め、腰に回されている腕を解こうとする。離して、くれない。どころか、引き寄せられるように拘束する力が増される。
「……おはようございます、提督」
「……うん」
何時の間に。何時から目覚めていたのか。耳元で囁かれる榛名の声。そのまま耳にキスをされる。その吐息は、既に熱を帯びていた。
「あの、シャワー、浴びて、き」
「……」
恐る恐るの私の言葉は中断される。無言のまま、耳を甘噛みされる。はむはむと、数度唇で揉み解された後、熱い舌が耳の溝を撫でていく。ぐちゃ、ぐちゃ、と唾液が塗りたくられて抵抗する気力を削がれていく。私の耳が弱いことは、昨夜散々教えられた。思わず跳ねる腰が、榛名の腰、既にそそり立っているそれとぶつかる。
「ぁっ、やっ、はるな、やめ、あうぅっ」
「提督、可愛いですよ……」
耳を攻めながら、囁く榛名。腰に回された両腕は私の身体を弄り、支配を始める。
胸を摩り、やがて絞るように。先端は強めに潰される。私が悦ぶやり方はもう熟知されてしまっている。
片手では秘所を。指一本をすぐに挿れられる。昨夜遅くまで散々吐き出された為、未だ膣内は潤滑となる白濁が残っている。滑らかに、愛撫される。
「愛してます、提督……」
耳から首筋へと舌が這っていく。胎の内側、入り口からすぐの天井を指先で擦られる。あっ、だめ。
ぶるりッ、と腰が震える。
何とか押し殺した声、荒い吐息、脱力する私に満足したかのように榛名の指が引き抜かれる。
彼女を背にしたまま快楽の余韻に浸っている私の片足、膝裏に手が回され脚を開かされて。
それが当然、というように、榛名は自身の肉棒を解した膣に挿入した。
昨夜、あれほど射精したというのに。
遅くまで、時間など見る余裕はなかったが日付を大きく跨いでいたはずだ。数時間程度しか経っていないはずなのに。
「ひっ、ぐ、ぅ」
こんなにも硬い。こんなにも、深い。
シーツの中、それも少し無理な体位で動きにくいからか、深くまで挿入すると短く腰を動かす榛名。その度、私の最奥は叩かれ、潰される。その上太く、既に何度も迎え入れているというのに未だ入口にも余裕はない。
「はっ、はぁっ、提督、提督、提督」
一心不乱に腰を振る榛名。ちゅ、ちゅ、ちゅ、と耳にキスの雨を降らされる。そろそろ、限界、らしい。胎の中で肉棒が震え、膨らんでいるのがわかる。
「やだ、はるなっ、なかッ、だ……」
そう声を上げながらも、心の奥底では諦観にあった。どうせ、拒みきれない。どうせ、幾度となく注ぎ込まれている。
「提督提督提督提督――ッ」
ぶるんッ、と子宮口に押し付けたまま大きく跳ねる肉棒。びちゃ。びちゃり、と重い精液が吐き出されていく感覚。榛名の腰は私のお尻に密着し、片腕は腰を抱えて最後の一滴を注ぎ込み終えるまで痛いくらいの力で抑えられている。
「あっ……ぁっ……」
また。また、胎の中に熱い精が満たされる。幾度経験しても、慣れることはない。
「提督……」
射精の余韻に浸ったまま、榛名が囁く。愛されている。身体は、順応している。
「愛しています……」
心は、何時まで経っても慣れはしない。
◇
自室に添えられた浴室で、熱いシャワーを浴びる。
朝も早くから盛った榛名に抱かれ、満足した彼女が寝入り。
抱きつく腕から力が抜けたのを見計らって彼女の私室から抜け出し、衣服を掻き集めて早足に自室へと戻る。相手が変わっても、何時ものことだった。
「ふ、ぁ……」
勢い良く噴き出すシャワー。少し熱いくらいがいい。何もかも、流してくれる気がするから。
繰り返す日々の中、唯一の癒しの一時。唯一、綺麗な自分を取り戻せた気になる時間。
がちゃり。
しかし、今日はすぐに終わってしまった。
「司令」
「……きりしま」
意味がないと分かりながらも、両腕で自身の身を隠すように胸を抱く。浴室に乱入してきたのは霧島。既に衣服は脱いでおり、トレードマークの眼鏡も外している。金剛の姉妹、その末であると思わせるどこか幼さを残す顔。
その顔は、発情に歪んでいた。
「だめ、ですよ。はるなのにおい、落ちちゃう」
「……あっ」
壁を背に、捕らえられる。シャワーのコックを押され、私の汚れを落としてくれる湯は止められる。浴室を、静寂が支配する。
「うん。まだ、だいじょうぶ」
霧島が私の首元に顔を埋めてすんすんと匂いを嗅ぐ。榛名の残り香を確かめるように。彼女のその性癖が、何より嫌だった。彼女は、私を見ていない。榛名に汚された、私を見ている。私を求めていない、榛名の残り香がする私を、求めている……榛名と、していればいいのに。
「いい、におい」
もっと。もっとと、求めるように霧島が密着する。両脚の間に足を捻じ込んで、股を開かされる。
「ん」
「ッ、ぁ……んぅ!」
唇を奪われる。霧島は、キスが大好きだ。特に、私の体液を感じられる場所を好む。脇、膣口、肛門。私の身体で彼女の唇が触れていない場所はない。特に、唇と唇を好み、深く舌を捻じ込むのを好いている。
「ぢゅるッ……司令、司令……っ」
「んぶ、ぁっ、きりしま……う、ぁっ」
足と足の間、捻じ込まれた霧島の太腿が強く押し当てられながら、擦るように動かられる。秘豆がそれに巻き込まれて押し潰され、激しい痛みと快楽が同時に身を蝕む。深いキスで酸欠になった頭はまともに抗議することもできず、あっという間に身体が果てる。
「んっ、ぷぁ……っ……司令……」
がくがくと足を震わせ、壁に体重を預けて崩れ落ちそうな私を抱き留める霧島。
「愛してます、司令……」
◇
それから。
何度も、何度も腰の抜けた私にキスし続け、唾液と唾液とを交換し切った霧島は満足そうに浴室を後にした。
しばらく脱力し放心してから、ようやくのろのろとシャワーを浴び直した私は糊の利いたシャツに着替える。身の回りの世話は周到に、愛情を以ってされていた。反吐が出る。
「おなか、すいたなぁ……」
そういえば、昨夜から精液以外胃の中に迎えていない。今反吐を吐いても精液しか出てこないだろう。あはは。
壁に手を突いて体重を支えながら、食堂を目指す。足腰には力が入らない。何時ものことだ。
「司令」
「……比叡」
ああ、見つかってしまった。
◇
「あッ、っ、や……!」
「もっと、締めて?」
廊下の壁、そこに両手を突かされながら後ろから犯される。
こんな、所で。誰かに、欲望を我慢しない駆逐辺りに見られたらどうするつもりか。まるで排泄の為に厠に並ぶように、股間を膨らませた誰かが次に並ぶかもしれないのに。
乱雑にズボンと下着を下ろされ、即座に挿入。濡れの足りない膣に剛直が捻じ込まれた為、痛みしか感じない。痛みに身を捻り逃れようとする身体を、後ろから覆い被さるように比叡が押さえ込む。ただ、苦痛に耐えるしかない私に、さらに自身を満足させるよう要求する比叡。
「ほら」
「ひっ」
アナルに比叡の親指が捻じ込まれる。配慮も、遠慮もないその行為、激しい痛みに膣が勝手に引き絞られる。
「うん。そう。もっと、締めて」
「あがっ、ぁッ」
機械的に、まるで私という機能を確認し調整するかのような行為。膣に男性器を挿入され、射精されるという行為。本来なら愛し合う男女が子を成すための尊い行為。だというのに、全くそこに愛情はない。少なくとも、私への愛情は。
「いいですよ。これなら、金剛お姉様も喜んで、くれる」
「あっ、あっ、あ――」
だというのに、私の身体は悦ぶ。
せめて、愛情がない方がマシだ。的確に私の性感を刺激する比叡の指、私の絶頂に合わせてピストンを行う比叡の腰使い。
「愛してますよ、司令」
嘘だ。
◇
「ええ。遠征はそのまま。演習は蒼龍と飛龍を外し、陽炎と不知火を編成するようお願いしまス」
「はい! 了解です、金剛お姉さま!」
執務室。
夕日が射すそこの椅子に座るのは金剛。元気良く返事をする比叡に、本来私が、提督が差配する内容を命じている。私は、その机の下。
「んっ、んぅ……れ、ろぉ……」
「んふー……いい子、いい子……」
頭を撫でられる。
提督だった私の今の仕事は、これだけ。
床に腰を下ろし、椅子に、提督の椅子に腰掛ける金剛に奉仕する。
手は、使わない。使えない。
金剛は、私を拘束するのを好む。今も、両手を後ろ手に手錠で縛られているため、口だけで奉仕している。衣服は全て没収された。
びん、と上を向いた肉棒を口で咥えて舌を必死に動かす。比叡が、見ている。怠れば金剛のいない所でお仕置きされる。だから、必死になって金剛を悦ばせる。
「ふッ、くぅ……! 気持ち、いいですヨ……」
金剛の肉棒を咥え、先端に吸い付いて様子を伺う私に満足げに応える金剛。彼女は今、私に代わりこの舞鶴を支配している。ただの性奴隷に堕ちた私には詳しく知る由はないが、舞鶴鎮守府は機能しているらしい。
何をどうやったのか。分かりはしないが、私が堕ちているこの状況が一向に変わる気配がない以上何かしら誤魔化しているのか、武力で以って黙らせているのか。
どうでもいい。
吸い上げながら、肉棒の裏筋を舌で撫で上げる。下から、上へ。何度も何度も扱き、唇を窄めて下品な音を立てながら吸い込む。金剛の両手が私の頭を掴み、腰を跳ねさせる。
あは。
こうして追い込んで射精させる瞬間は愉悦を感じさせてくれる。支配されながらも、雄に限界を迎えさせる感覚。自身の掌の上に相手がいると思わせてくれる感覚。私は、ただの性奴隷だというのに。
「あッ……」
口内に金剛の精液が吐き出される。喉を突き、焼くそれをゆっくりと喉に落としていく。舌で裏筋を舐め上げ、続く射精を促すのも忘れない。次々と口内に吐き出される精液を咽ないよう我慢しながら飲み込む。比叡の目がある。
「ふ、ぅうぅううぅ……てーとくぅ……愛してまス……」
本日四度目となる愛の言葉。お腹一杯だ。
◇
今夜は、四人。金剛とその姉妹、比叡、榛名、霧島。
一昨日の駆逐艦十人に輪姦されるのに比べれば楽、なのだろうか。あの子達は他の子に比べ体力も精力も底無し、朝日が昇っても続いたのには参った。その、金剛達に比べ小さいし早いからまだ何とかなったけど。
しかし、今夜私が迎える彼女達は遜色なく絶倫な上にその肉棒は固く太く大きい。
一人ずつなら失神するくらいで済むが、四人同時は初めてだ。
「どうぞ、お愉しみ、ください……」
居並んだ四人、既に準備万端と衣服を脱ぎ去って膨らんだ肉棒を並べる彼女達に、自身も裸で三つ指をつく。
屈辱や、羞恥を感じる心は既に麻痺している。ただ、彼女達に平伏して媚びるだけの存在。
私は、どこで間違ったのだろうか。
間違わなければ、こうならなかったのだろうか。既に、現状を覆そうという意思は潰えている。彼と共に在りたい、その願いは潰えている。
もう、汚れてしまった。彼女達との交わりで、孕むかどうかは分からないが彼の前に立つ勇気は、もう、ない。
今はただ、何の目的も、目標もないまま生きている。死にたくないから、生きている。
金剛達の、艦娘達の欲望をこの身で受け止めるだけの日々。
気持ちいいことも、気持ち悪いことも、心地良いことも、痛いことも与えられ続けるだけの日々を、私は過ごしている。
四人が私の身体に群がる。
金剛が、私の膣に肉棒を捻じ込む。事前に自身の指で濡らした膣は難なく迎え入れる。
比叡が、私の菊門に肉棒を捻じ込む。準備をしていたが、それでもすぐに挿入れられては痛い。
榛名が、私の乳房に吸い付く。赤ん坊みたいだ、必死な表情に母性が刺激される。
霧島が、私の唇に吸い付く。馴染んだ唇の感触、すぐに霧島の唾液が流し込まれる、私の唾液が吸い尽くされる。
今宵も、狂乱の宴が始まる。
彼女達が思いつく限りの、精が尽きるまでの陵辱の宴。
朝になり、陽が頂点に達して漸く終わった。それを認識したのは、夕方になってからだった。
私は、どこで選択を誤ったのだろうか。誤らなければ、別の未来があったのだろうか。
「あいたい、な……」
決して叶わぬ、彼との再会。もし、状況が許しても汚れた私が許さぬ再会。
それを無意識に口から漏らしながら、意識を手放した。
次の、「愛してる」を囁かれるまで。