「Burnig Love……」
胸の奥底から湧き出る彼女への愛おしさ。思わず口から零れ囁いてしまう。提督の私室、そのベッドの上。ワタシの隣には愛しい彼女、提督が静かな寝息を立てている。
……正直、こんなに上手くいくとは思ってなかったネー。
簡単に言い含められてちょっと心配になってしまう。そんな所もSo Cuteなんだけどネー!
「んぅ……っ」
ワタシの熱い視線によってか身を捩り、悩ましく提督の身体が揺れると共にその豊満な胸が形を変える。改めて見ると凄い。蒼龍並み、もしくはそれ以上かもデス。
綺麗に切り揃えられた黒髪は高貴さを感じさせる。実際、所謂良家の出とは執務の合間に聞いたことだ。言葉遣いや所作の隅々に育ちの良さを感じさせていた。
目鼻は整っており、今は閉じられているが大きな黒目がちな瞳。印象としては日本人形と言うべきデショウカ。
「すぅ……あ、ぁ……っ」
――何より、この香り。香水などでは実現できない、彼女の体臭。
鼻腔を擽る毎に脳髄の奥底が溶かされる心地になる。今まで嗅いだことのない香り。どう、形容すればいいかわからない。デスガ、これは、麻薬。
妹艦達を押し退け、秘書艦の座を射止め、口八丁で同衾に漕ぎ着けた。そうして得た、この状況。絶えず与えられる麻薬にどっぷりと浸かる。
艦娘はその気になれば睡眠も食事も必要としない。だから長時間の航海に耐え得る。しかし眠気や空腹を感じない訳ではない為、寝泊りする場所と食事が供されている。
だが、こんな幸せな状況を睡眠で終わらせるなんて。何より眠気を全く感じない、興奮が続いている。
同衾を開始して一時間程が経ったデショウカ。そろそろ。
「……Aha」
身を寄せる。密着する。恐る恐る指先でその頬に触れ、起きないことを確認すると掌で触れる。
より香りが濃くなる。身体に感じる提督の柔らかさ、体温に鼓動が際限なく高まっていくのを感じる。鼓動が煩い、決して、決して起こしてはいけない。
寝込みを無理矢理襲うのは英国淑女の矜持に反しマス。だから、これはちょっとした摘み食い。
最終的に提督のハートを掴むのはワタシなのだから、これくらいは許されるはずデス。
高級な陶器を扱うようにゆっくりと、力が入り過ぎないように慎重に触れ続ける。頬、首元、そして胸。寝間着のシャツの下、柔らかながらも張りを保ち、ずっしりとした重量。
ブラはつけていない。この美しい形が崩れはしないか心配になりマスが、今はこの感触を邪魔する布が一枚少ないことを喜ぶことにシマス。
自分も決して小さくはない、彼女と同じモノを持っているというのに彼女のそれは別物のように魅力的で何時までも触れていたくなる。嗚呼、乱暴に揉みたい。叶うならシャツを暴いてその先端に吸い付きたい。
首を擡げる欲望を必死で押さえつける。まだデス。提督のハートを掴んだ後、同意の上で及ぶ日まで我慢デスヨ、ワタシ。
「うぅぅ……」
But、生殺しデス。彼女の腰に腕を回し、片手で胸に触れ続ける。そういえば、この胸の先端の感触は、んぅ?
先端を探るように指先を這わせる。ぷっくりと小さく膨らんでいる乳輪を指先で確認し、周囲をなぞる様に撫でる。直接見れないなら、感触で『見る』。
撫でる指を擽るように蠢かしたまま、人差し指で乳輪の中央、先端を探る。先端は、沈んでいる。否。
「ぁっ……ん、ぅ……っ」
――喘ぐような、小さな彼女の声。同時に沈んで、陥没していた先端がゆっくりと膨らみ顔を見せた。
「……ッ」
No。Stay、まだデス、ワタシ!
その事実に気づいた途端、頭の中が真紅に染まり覆い被さろうとするのを堪えた、堪えられた。
何て、いやらしい身体。ワタシが淑女でなければ襲ってましたヨ?
「うー……」
顔を見せた先端をもっと膨らませたくなって搾るように掌を動かす。結構、乳首は大きめらしい。ゆっくりと膨らむ先端。提督がワタシの指に反応してくれることに嬉しくなる。
だが、満たされない。もどかしくなって腰を揺らす。痛いくらいに勃起した腰のモノ、その先端で彼女の柔らかな太腿を突く。せめて、肌と肌、直接触れられれば。
しかしその一線を超えられない。今なら寝ぼけて触れていたくらいで済ませられるはずデス、Maybe。
浅ましく腰を小さく、短く振る。鍛えられているのか、女性的な柔らかさを残しながらも健康的な張りを持つ太腿。もっと触れたい。もっと突き入れたい。
「……ゃ、ぁ……」
「――ッ!?」
硬い感触を嫌がるように、提督が寝返りを打つ。一瞬、起こしてしまったかと思ったがどうやら未だ眠りの中にあるようだ。あ、危なかったデース。
ワタシの腕を離れうつ伏せになる彼女。魅力的な胸が手の届かない所へ行ってしまったデス……But。
「……」
代わりに、と言うかのように晒された臀部に視線が釘付けにされる。身を起こす。彼女の太腿を跨ぎ、馬乗りになる。我慢の、限界デシタ。
お借りシマス、と心の中で許可を一方的に得てから寝間着の下をずり下ろす。官給品で色気の欠片もない白のショーツ、しかし美しい曲線で押し上げられどれほど高級でいやらしい下着よりもワタシの劣情を刺激する。
そんなショーツを、果実の薄皮を剥くように慎重に下ろしていく。露になる果実。闇夜に映える白い肌。染み一つない尻、その谷間。
もどかしくなりながらも、音を立てず無用な衝撃を与えないよう自身も下半身を露出、先端が臍に届きそうなほど反り返ったモノを取り出す。
「……はっ……はぁッ……!」
発情した犬のように呼気が荒い。どこまでも指が沈みそうな尻肉を押し広げる。開いた隙間に、怒張を潜り込ませる。安産型と言うべきか、胸の大きさに見合って大質量の尻肉は充分ワタシの肉棒を包み込んでくれた。
出来るだけ体重がかからないよう最後の理性で注意し、覆い被さる。両手で尻の左右を押さえて挟み込んで肉棒に擦り付け、すぐに腰を振り始める。Aha、発情した犬、まさにそのままネ。
待ちに待った直接触れる柔肌。肉棒に与えられる感触に背筋が震える。不味いデス、すぐイきそう。
口端から涎が零れ、ベッドのシーツを汚す。起こさないよう、腰の動きを出来るだけ抑えているにも関わらず未経験の快楽が脳髄を焼く。限界は、すぐだった。
「はッ、ぁ、ゃ、あッ――」
――ぶりゅッ、びゅぐッ。
重い音を響かせるような射精。視界がちかちかと煌き、脳内が真っ白な多幸感に埋め尽くされる。
彼女の尻を、シャツがずり上がった背中の素肌をワタシの精液が汚していくことに愉悦を覚える。生臭い、汚いワタシの精液で美しく愛おしい彼女を汚している。ワタシの所有物だと、マーキングしている。征服欲が満たされる。
たっぷり数十秒続いた射精が漸く勢いを衰えさせ、獣欲が収まっていく。荒くなった息が徐々に落ち着いてきた。
「……つ、摘み食い、摘み食いの範疇ヨ? これは」
先っぽすら挿れてないのだからSafe、Safeなのデス。誰かに言い訳するように呟きながら、急いで後片付けを始める。固形物のように強い粘り気の精液はシーツまで垂れていない、全て彼女に載せられるようになっている。
自分でも引くくらいたくさん射精マシタ……これは、嵌ってしまいそうデース。これから秘書艦交代までの一週間、一線を守り続けられるか不安デス。提督のハートを掴むのが先か、ワタシの英国淑女としての矜持が崩壊するのが先か。
とにかく今は提督が起きる前に隠蔽を完遂させねばなりません。もう二時間もすれば総員起こしの時間デス。この惨状をどう処理したものか、悩みながらも手早くやり遂げなければ。
結局、提督は朝まで起きることはありませんデシタ。ご馳走様デシタ。メインディッシュが楽しみデス。
◇
「おはよう、ございます」
「Good morning、提督!」
目を覚ます。しかしまどろみに未だ腰半分浸かっているような心地。反射的に目の前にいる彼女、金剛に朝の挨拶。そうか、昨夜は彼女と一緒に眠ったのだった。
朝、目覚めて誰かが隣にいるというのは存外悪くないのかもしれない。少し冷え始めた秋の季節、特に早朝となれば冷えに人恋しさを覚える時期だ。人肌の温かさと共に、金剛と共に迎えた朝。
私の起床を待っていたように隣で添い寝したまま微笑む彼女に安心を覚える。誰かが隣に居るというのはこんなにも嬉しい。これが、彼だったら。
「……」
「提督?」
早朝から鼻の奥底から沸き上がる熱。指先で根元を押さえ、下げる。この妄想は危険だというのに止まらない。お互い生まれたままの姿、シルクの布一枚が唯一、二人の身を覆う。
寝顔を眺めていたらしい彼が私の目覚めに微笑み、おはよう、と囁く。サイドテーブルの上、花瓶には薔薇が鮮やかに飾られその鮮烈な香りで私の目覚めを迎えてくれる。
昨夜のケダモノのような乱暴さを感じさせない程に紳士然としてベッドから離れ、お揃いのマグに注いだ珈琲を手渡してくれる彼。ブラックで淹れられたそれを両手で包むように傾けながら昨夜の逢瀬に想いを馳せる私。
今日も夫婦の一日が始ま……らない、止まれ。何処か不機嫌そうな金剛の視線に妄想を中断し身を起こす。
「紅茶、ご用意するヨー。Tea Timeは大事にしないとネー!」
「ありがとうございます、私も仕度をしてきますね」
ベッドから素早く身を離し、手馴れた様子でお茶の用意をしてくれる金剛。昨日の三時のお茶会で彼女の手並みは既知のものだ。
いつの間にか持ち込まれていた紅茶のセット。部屋に備え付けられた簡易なキッチンで準備を進める彼女の背を何となく視界に入れながら朝の準備を始める。
小さな薬缶と鍋にそれぞれ水を注ぐ。薬缶には瓶入りの水、鍋には水道水。それらを温める合間にポットとティーカップを準備する。ポッドに缶から茶葉を落とす。
洗面台で顔を洗い、歯磨き。爽やかなミントの香りが寝起きで呆けた口内の感覚をはっきりとさせていく。
ポットへ薬缶を大きく傾け沸騰した湯を勢いよく流し込む。そして同じく沸騰した鍋の中身はカップへと注ぐ。充分器が温まったのを確認するとカップの湯は捨ててしまう。
実家に居た頃はしていたが訓練学校に入ってから化粧はしていない。髪を整える。シャワーを浴びたいが、お茶の時間を考えれば難しいかも。
ティーマット代わりに布巾が敷かれたポッドの中を、スプーンで軽く掻き混ぜる。
室内に置かれた小さなテーブルと二つの椅子。その片方に腰掛けると同時に、金剛の手で紅茶の淹れられたカップが供される。華やかな香り。
「いただきます」
まずは、カップを寄せて香りを愉しんだ後、口付ける。ウバ、かな。ミルクティー向きの茶葉だが、ストレートで淹れられたそれは爽やかな味わい、目覚めを促す適度な渋みが朝の一杯に嬉しい選択だ。
ほう、と自然に吐息が漏れる。金剛の淹れる一杯はやはり格別。これだけでも秘書艦をお願いしたことが成功だったと思える。実家のお手伝いさんの手管と比べ変わらない、否、それ以上だ。
対面の席に着いた金剛と共にお茶を愉しみながら今日一日の予定を話し合う。膨大な仕事を前にして、ひと時の優雅な時間。なんて出来た娘なんだろう。実家では当たり前の環境だが、今ここで与えられるのは望外というしかない。
自身の選択、その成功を確信し朝の一時、豊かな時間を過ごす。秘書艦交代が惜しいくらいだ。
紅茶を飲み干し、着替えを始める。同性の金剛に気にする必要はない、手早く準備し今日も精一杯頑張ろうと想いを新たにする。
◇
「陸軍は海軍の判断に反対である――っつったろうがクソがッ!」
「ほっほっほ」
帝都東京、海軍本部。広々とした会議室、そこには声を荒げる壮年の男性と老齢に片足をかけた頃の男性。長テーブル越しに拳を卓上に叩きつけながら荒ぶる抗議の声に、迎える老人は愉快そうに笑うだけ。
豊かな白の髭を撫で付けながら、海軍の重鎮たる老人が諭すように告げる。
「あの娘の選んだ道じゃろう。親ならばそれを認め見守ってやるくらいの懐の広さを見せて欲しいがのう、陸の」
「う、ぐぅ……環は、娘は貴様が捻じ込んだ試験に不合格だったというではないか! 何で着任させたんだ!」
試験。訓練学校を卒業し提督となる者、今回は二人に与えられた艦娘との面接。陸の、と呼ばれた壮年の男性……彼の実の娘百武 環。彼女はその試験に不合格と評される結果に終わっていた。
それに彼は、陸軍重鎮であり彼女の父である百武一成は安堵を覚えていた。大事な大事な一人娘、どこの嫁にやるか悩みに悩んでいたが自身の立場やら派閥の思惑を計った結果選んだ海軍の重鎮、有馬の家。それが事故のような行く末により破談となった後、娘が選んだ海軍、艦娘を指揮する提督の座。
内心は複雑と言う外ない。今現在の我が国の局面。陸軍に出番は無く、まずは艦娘によって、海軍によって海洋へ力を振るうことが火急である。
それを理解しながらも、その最前線に娘が居ることにどうして親が不安を覚えずにおられようか。それも未だその行動原理が研究途中である艦娘に囲まれての状況だ。
「一成、貴様の娘は優秀じゃよ。舞鶴は大陸との輸出入を安定させる要。それを任せるに充分な才を持つと判断した。よって、試験結果なんぞ無視して余り得ると判断した」
「……ならば、こちらにも考えがある」
百武一成の、陸軍の切り札が放たれる。陸と、海のパワーバランス。彼、百武一成が背負う陸の重責。それを守るため、何よりその身すら、この世全てを捧げてでも守りたい一人娘に捧げる陸軍の研究、その最先端。
それを愛娘の元へ、送ろう。
「特殊船、丙型を舞鶴に送る」
「親馬鹿じゃのう」
煩い。海軍提督に成ってしまった一人娘。あの子の為ならばどんな罵声も甘んじて受けよう。我が陸軍が海軍に学び、盗んだ技術で漸く建造に至った虎の子。
俺があの子にしてやれるのはこれくらいだ。願わくば、彼女に幸多からん事を。
海軍の古狸、目前の奴の采配に自身の願い、そして陸軍の思惑を捻じ込むのは、今はここが限界だ。
環、どうか無事で。
人の親として、軍人としての狭間で選んだ選択。どうか、娘を、環を守って欲しい。支えて欲しい。
送った『陸軍』の艦娘。特殊船丙型。
……頼んだぞ、あきつ丸よ。
英国淑女の矜持(笑)
ようやくR-18らしい展開へ。でもお父さん許しませんよ。
憲兵さんは来ませんが陸助が来ます。
あきつ丸VS金剛型戦艦四姉妹。乞うご期待。
ご感想お待ちしております。