※この作品はR-18です。

乙女提督が着任しました。   作:蒼樹物書

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【5】

 

 「イダダダダダダ! Painful! Stop! Fucking army! Shoot shotgun into the hole in the ass!!」

 「日本語でどうぞ、金剛殿」

 

 間接が裂かれ、骨が砕けそうな激痛に叫びを上げる。怒りに任せたワタシの一撃は薄紙に振り抜いたが如くするりと避けられ、気づけば硬い木の床に押し付けられ奴に腕を極められていた。

 ワタシの背に乗り右腕を掴み捩じ上げる奴、陸軍の丙型特殊船あきつ丸。どういった艦種かは知らないが戦艦たるワタシの膂力も、人型である以上避けれない間接の脆さを突かれては手の施しようがない。むしろ力を入れれば入れるほど痛みが増す。

 激痛と怒りのあまりイングリッシュで抗議するワタシの声に奴は涼しげに応える。Fuck、艤装さえ使えれば。流石に執務室、提督たる彼女の傍で巨砲を使うのに気が引けた結果がこれだ。

 

 「さて、お引取り願いましょうか」

 「……次は、ないヨ」

 

 ワタシが戦意を喪失したのを確認し、拘束が解かれる。ずきずきとした痛みは続いたままだ、肩を押さえたまま立ち上がる。

 

 「廊下に自分の入室を阻んだ娘が寝ております。共々、お帰り下さい」

 

 にやにや顔を隠しもせずに奴が言い放つ。

 執務室の出入り口を固めさせていた比叡が音も声もなく乱入者を通してしまったのは、やはりこいつの仕業らしい。ワタシの妹にまで手を上げるとはいい度胸デス。次は潰す。

 睨むワタシを無視して奴が提督に寄り添うように近づく。秘書艦であるワタシのいるべき位置、そこに奴が、陸助が立つ。不快だ。

 

 「自分は閣下より提督殿の護衛、そして身の回りにお世話を言い付かっております。これは、提督殿の私の部分を支えよと自分は理解しております。よって」

 

 公私の公。海軍の秘書艦殿の職務を邪魔する気はない。故に、これからも励んで頂きたい。

 陸助が放つ言葉、再度頭に血が昇る。何様のつもりデスカ。上から目線の言葉。仕事はしろ、ただし必要上に近づくな、ということか。

 

 ――今は、堪えよう。

 

 あきつ丸の着任、それの意味するところが分からない今、下手に動くわけにはいかない。本気で消そうと思えば何時でも消せる。陸上で、素手では奴に分があると認めても艤装さえ使える状況ならば海の王者たる戦艦のワタシが陸の船に負ける理由はない。

 しばらく、預けマス。愛おしい提督を忌まわしい陸助の傍に置くこと、そのことに悔しく歯噛みしながら執務室を後にする。そうして出た廊下には意識を失った比叡。彼女を抱え、廊下を歩きながらこの怒りを深く沈め、温め続けることに腐心する。

 今夜は逃したが、次は、必ず。提督のハートは、ワタシのモノデース。

 

◇

 

 「あきつ丸であります。艦隊のお世話になります」

 「百武 環です。よろしくお願いしますね」

 

 朝の執務室。新たに私の指揮下に着任した艦娘、あきつ丸と改めて挨拶を交わす。目覚めた時、昨日と違い人の温もり、金剛が隣にいないことに気づくと同時。ベッドの傍に直立不動で佇む彼女に心臓が止まるかと思うほど驚いたが。色白で表情に乏しい為、失礼ながら幽世の方かと思った。

 衣服を正し改めて対面すると、規律正しく私に敬意を払ってくれる彼女を頼もしく思う。丙型特殊船という分類は教練書や資料にも載っていなかったが、艦娘であることに間違いはないらしい。

 

 陸軍によって建造され、パパ……否、お父様、これも違う。陸軍百武一成大将の命によりこちらへ着任したというのは驚き半分、呆れ半分だったが。一人娘の私をあの人は少し、溺愛し過ぎる嫌いがある。

 愛情故とは理解しているが心配性に過ぎる。寮制の訓練学校に入る時には三日に一度の手紙を強請られた程だ。無論そんな要求は無視して偶に気が向いた時程度にしたが。

 昔から多くの物を贈られてはきたがまさか艦娘まで贈るとは思わなかった。大丈夫か陸軍。

 子供に三輪車を買い与えるような理由だけでこちらに送られただけとは思ってはいない。今まで海軍でのみ建造されてきた艦娘、初の例外となる陸軍の艦娘。それを陸軍重鎮の一人娘の指揮下へ送る。

 それは陸軍海軍双方の、数多の思惑が絡んでの結果だろう。その一つに親馬鹿が絡んでいるのは疑いようもないが。とにかく。

 

 彼女、あきつ丸は私の護衛と身の回りの世話を務めてくれるらしい。陸からの要請で海軍に派遣、私の指揮下へ入るという形だ。一応私の命令で出撃することも出来るとは言うが下手に動かせるとは思わない方がいいだろう。

 しかし、彼女の着任は喜ばしいと考えるべきだろう。秘書艦が執務のサポート、身の回りの世話もしてくれるとはいえ、未だ出撃に遠征にと戦力は不足している。そんな中、戦力でもある秘書艦の仕事は一つでも減らしたい。

 実家でも専任の世話係がいた私は、訓練学校で身の回りのこともそれなりに学んだが至らぬままだ。今回はパパのプレゼントをありがたく受け取るとしよう。

 そういえば。

 

 「そういえば、金剛の姿が見えませんが……?」

 「あぁ、昨夜彼女と話して今後は朝食後、執務開始に合わせてこちらに来られるそうであります」

 「そうですか」

 

 少し、残念。彼女の淹れた起き抜けの一杯、美味しかったのになぁ。

 そしてあきつ丸との初対面の衝撃が大きいせいか、昨夜夕食前くらいからの記憶がない。何か思い出してはいけない気がする。アレは、茶色の――ダメだ、止そう。

 

◇

 

 昼食を終え、午後の執務。今日も舞鶴は秋晴れで、風は肌寒くなってきたが大きく採られた執務室の窓からは暖かな陽光が射している。何時もなら欠伸の一つも漏れそうな、緩やかな時間。

 だが。

 

 「……」

 「……」

 「……うぅ」

 

 漏れたのは、半泣きの嗚咽。辛い。私、何かしただろうか。

 執務机には私、その傍に直立不動のあきつ丸。そして秘書艦用の机についた金剛。先ほどから彼女達からの、否、彼女達同士で交わされ続けている無言の重圧。それに晒され挟まれ続けていた。

 

 仲、悪いのだろうか。

 いつの間にか喧嘩でもした? 旧来、陸軍と海軍は不仲であることが多い。同じ国を守護する者でありながら、限られた予算を取り合い、そして戦果を競い合う間柄だ。

 私自身は陸軍の軍人である父を持ちながら、理解はしてもくだらない、と感じている。父への反発心も幾許かあるのかもしれないが。

 ともかく、この状況はよくない。皆仲良く、とまでいかなくとも確執があるのであれば彼女達の上官として適切に処理しなければならない。重い空気の中、意を決して声を上げる。

 

 「ぁっ、あの……お二人は、何か、その……喧嘩でも、されているのでしょうか?」

 「はッ。否定であります、提督殿」

 「Aha、ワタシ達仲良しさんヨー?」

 

 絶対嘘だ。

 あきつ丸は金剛を見下すように口端の片側が釣り上がっているし、金剛は眼が笑っていないし声が棒読みだ。これは不味い。しかし、どうしたものだろうか。

 後で個別にもう一度問い質すつもりだが、その時にも理由を話してくれないとして不仲の原因が分からない以上解決する方法がない。となれば、物理的に離して時間により関係が快方に向かうのを待つかその間に関係改善を図らねばならないだろう。

 二人の今の様子だけを見るに挑発しているあきつ丸が悪いような気もするが、先入観による判断は危険だろう。うーん。

 少し、早めに秘書艦を交代してもらうようにしようかな。元々一週間程で交代の予定だったが、その予定は誰にも伝えていない。流石に明日から、ではあからさまなので明後日辺りに切り出そう。あきつ丸がパパの命令で私の傍から離れようとしない以上、秘書艦交代くらいしか今は思いつかない。

 お願いするなら金剛の姉妹艦だろうか。彼女の様子も伺い知れるかもしれないし。どうやって切り出したものか、頭を悩ませながら重い空気の執務室で書類の処理を進めた。

 

◇

 

 「……ダメですよ、霧島」

 「はる、な……んぅッ」

 

 就寝時間の迫った夜。私は榛名の自室へ呼び出され、跪いて彼女の股間に顔を埋めていた。一体何時からこの関係が始まったのかは思い出せない。何故始まったのかも思い出せない。ここ、舞鶴鎮守府に来る前からの関係。私と榛名は奉仕者と被奉仕者だった。

 主人とその性奴隷ではない。少なくとも、私は彼女と同等の立場にあると思っている。決めている訳ではないが相手を誘い求めた回数は双方同じ。一方的に奪われる関係ではないのだ。

 しかし、秘めた私達の情事を他所から見ればそうは思われないのだろう。後ろ手に手枷を嵌められ、床に跪いて唇で、舌で榛名の肉棒に奉仕する私の姿。どう言い繕っても奉仕される榛名が上位であると見られるだろう。

 実際、余計なことを考えて奉仕が疎かになった私の頭は榛名の手により上から押され、喉奥が押し広げられる。あ、奥、好き。

 ベッドの縁に腰かけて私を見下ろす榛名。喉奥を突く苦しさから目尻に涙を浮かべながら、謝罪の意味を込めて見上げる。そんな私を見て榛名が嬉しそうに口端を吊り上げる。頭を押さえる手、その圧力が増す。唇が彼女の根元に触れる。

 

 「ッん、ふぅ……ぅ、ぐ……!」

 「いい子、いい子、です」

 

 息苦しさにくぐもった嗚咽を鳴らす私の頭を片手で押さえたまま、幼子にするように片手で髪が撫でられる。耳朶に触れられる。溝を細い指先でなぞられ、弄ばれる。ぞくぞくとした甘い快楽が背筋に走る。

 この瞬間が好きだ。奉仕しそれを褒められる瞬間。頑張った後、甘やかされる時間。髪を、耳を弄っていた手が首筋へと下ろされる。うん、もっと、だね、はるな。

 

 「はッ……ふ、ぅ……、受け止めてね、霧島」

 「ぉ、ご……ん、ぅ……」

 

 ベッドから少し腰を浮かして、強請るように伝える榛名に視線だけで応える。いいよ。

 

 「ッ、んッ、ゥっ!」

 

 中腰で立ち上がり、私の口に突き込んだまま首に手をかけて腰を激しく振り始める榛名。当然、私の喉奥は張り詰めた肉棒の先端で乱暴に突かれ続ける。人より頑丈なこの身であっても苦しいものは苦しい。だが。

 口内を蹂躙する怒張を受け入れ、舌を押し上げ裏筋に当て刺激する。唇を、内頬を窄めて密着させる。榛名に与えられる圧が強くなるが、それらを押し退け抉じ開けるかのように突き入れる力がより強くなっていく。

 止め処なく溢れる唾液が潤滑油となって榛名のピストンを加速させ、泡だった涎が唇から顎へ、そして床を汚す。出して。出して出して。私を、汚して。

 

 「――っ」

 「ぶぁッ――」

 

 限界まで膨らんだ肉棒がぶるりッ、と震えた瞬間口内から引き抜かれる。

 

 「は、あぁあぁぁぁぁ……っ」

 

 榛名が恍惚の吐息を漏らしながら、私の顔に精を飛ばしていく。自身の手で脈動する肉棒を掴み、私の顔に押し当てながら。熱い、重い粘液が次々と顔に載せられる。黄色味を帯びた塊。濃厚な榛名の匂いが鼻腔を刺激する。

 頬に、鼻の上に、髪に。眼鏡の、上にも。ん?

 

 「――眼鏡には、かけないでって。前、言いましたよね、榛名」

 「ふッ、うぅぅぅ……」

 

 私の抗議する声に気づいているのかいないのか、榛名は射精の余韻に浸ったままだ。昨夜も、その前も言ったのに。あれだけ怒ったのに。

 髪もそうだが眼鏡にかけられると後始末が非常に大変なのだ。だというのに榛名はどうも私を困らせるのが愉しいらしい。情事の時以外でも妙に私の眼鏡を触りたがる。指紋をつけたがる。本気で止めて。

 とりあえず一旦眼鏡を外したいが両手は後ろ手に拘束されたままだ。視界は黄ばんだ白に半分ほどが隠されている。まったく、もう。でも、榛名に汚されているのが目に見えるというのも存外悪くないのかもしれない。

 

 「……もっと」

 「きゃっ」

 

 情欲に溺れ空ろな目の榛名が、私をベッドへと投げるように押しやる。私の両膝は床についたまま、上体はうつ伏せにシーツの上。突然の行動に顔が柔らかなクッションにぶつかる。お尻が、性器が後ろの榛名に差し出される形。

 榛名は一度射精すると理性を喪失する。始めてしまうと終わるまで乱暴になることが多いのだ。

 今回も、理性を振り切ってしまったのだろう、差し出されたお尻をさらに上げさせるように腰の両側が掴み上げられる。

 両腕を拘束されている私に抵抗する術はない。する気も、ないのだが。元よりこの程度の手錠、その気になればすぐ壊せるのだ。ただ私と彼女が愉しむ為の小道具にしか過ぎない。

 

 「もっと、もっと」

 

 スカートとショーツが榛名の手で一緒に擦り下げられる。あう、外気が冷たい。私の秘所は既にたっぷりの水気を溢れさせていた。

 背後から榛名が圧し掛かってくる。もどかしそうに反り返ったままの肉棒をお尻に擦り付けている。可愛い。ほら、ここ。ここだよ、はるな。

 促すように、強請るようにお尻を振ってその先端を導く。背中に熱い榛名の体温、首筋に荒い吐息。うわ言の様に何かを呟き続けている。ほら、はやく。

 

 「……、……」

 

 必死に入り口を探す榛名。何度も何度も私のそこを貫いたはずなのに、いつまで経っても榛名は可愛いままだ。うん、そこだよ、はるな。

 肉棒の先が埋まる場所を探し当てると榛名の呼気が更に激しくなる。途切れ途切れの呟きの音量が少しずつ大きくなっていく。

 

 「――、――く」

 

 ぞぷり。張った亀頭が捻じ込まれる。吸い付くような入り口に誘われるまま、奥へ、奥へ。

 

 「~、~……とく」

 「え?」

 「提督……ッ!」

 

 待って。まって、はるな。

 私の混乱を他所に榛名の腰と私のお尻がぶつかる。私の奥まで、榛名が入り込む。太いモノが私の膣を裂いて私の最奥に叩きつけられる感覚にぶるり、と震えながら叫びたくなる。榛名の声は既にはっきりと、私とは違う人の名を呼んでいる。はるな。ちがうよ?

 

 「提督ッ、てぇ、とくっ! 榛名は、榛名は……!」

 

 ちがうよ、はるな。わたしはあのひとじゃないよ。ちがう、ちがうよ。

 

 「はッ、は、ぁ、ぅ、提督、愛して、ますっ……提督、提督、提督!」

 「やっ、ちが、はる、な……っ」

 

 奥底に叩きつけられた榛名の腰がすぐさま引かれ、硬い肉棒がぞりぞりと膣壁を削る。私の膣肉を引きずり出すようにして、すぐに押し込み直す。榛名の腰は切なげな、わたしとちがうあのひとをよぶこえとともにはやくなっていく。

 

 「提督ッ、ていとく……ッ!」

 「はるな、やだ、わた、し……」

 

 霧島だよ。提督、百武司令じゃない。今、貴女が抱いているのは、貪っているのは。

 

 「あッ――」

 

 昇り詰める快楽を堪えることなく、抉り込むような腰の突き出しと共に榛名が射精する。子宮の入り口、もしかしたらその中にまで捻じ込まれたかと錯覚するくらい深く貫かれながら、胎に熱い精が注ぎ込まれるのを感じる。

 私の牝は勝手に悦んで腰がぶるぶると震え、榛名の子種を受け入れている。でも、彼女が今孕ませようとしているのは私ではない。夢想しているのは私ではない。その事実を、同時に絶頂した私のどこか冷静な部分が確信していた。

 その冷たい部分があの人への嫉妬を覚える。忌避すべき火種が心に点され、薄暗く燃え盛る。私の奥底で燃える炎。私ではなくあの人に注がれる子種は、それへ注がれる油だ。身を、心を焦がす炎は火勢を上げる。

 どうして。なんで、はるなを、わたしのものをとるの?

 

 「はぁ……は、ぁ……ぁ、ふ、ぅぅ……霧島、よかった、ですよ……」

 「きもち、よかったです。はるな」

 

 あの人のことを、見ていた、くせに。

 繋がったまま私の頭を撫でてくれる榛名。嬉しい。やっぱり榛名は優しい。私を愛してくれている。わたしを、あいしてくれている。

 はるなは、惑わされているだけなんだ。あの人が惑わしているだけなんだ。あの人が。あのひとがわるい。

 わるいひとは、こらしめないと、ね?

 




姉妹愛って美しいですよね。姉妹愛だってば。
冒頭の金剛の英語は翻訳機に適当にぶっこんだブツですのでツッコミは聞きません。
次回、金剛型最強火力が提督とあきつ丸を襲う――!(適当嘘予告

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