あぁ怠い。
こんなにも怠いと何もやる気が起きない。
くだらない事を考えながらいつものように、不貞腐れるようにして簡易な折り畳み式のベッドに倒れこむ。
成人にもなっていない癖に一丁前に煙草を吸い日頃の仕事に対する不満を声にも出さずに押し込め、そのままふて寝を決め込む。
スマホを弄って時間を潰す。
いつもなら好きな絵師の絵を見てにやけたり、好きなジャンルのニュースを見て世界を知った気になるのだが、今日は何故だかそういう気分にはならなかった。
ふと、気になる一文を見つける。
それはタイムラインから見つけたニュース。
『アメリカで原因不明の感染病』
普段なら眉唾物の冗談だろうと話半分に流し読みをするのだが、その内容は刺激を求めてた自分の興味をそそるものだった。
要約すると、ゲーム『バイオハザード』のような事態が発生しているという内容だった。
傷口を経由し他者から他者へ感染していくウイルス。
感染したものは大半が例のようなゾンビへと変貌しあまりにも損傷の激しい体はそのまま死体になる、との事。
まるでゲームの中のようなその事態を世界中のメディアがとんでもない一大事だと取り上げているようだった。
まさか冗談だろう
これがその時率直に思った感想だ。
世界にはありとあらゆる保険機関が存在し、病原菌や細胞に通じるエキスパート達の集まりがウヨウヨいる。
こんな簡単に世界一の大国が揺らぐ筈がない。
だがそんな考えはテレビの電源をつけニュースを見た時、すぐさま覆された。
『こちら中国の農村では既に三割の人口がウイルスに感染しており』『ここ、イタリアの首都でも感染の被害が』『既にアメリカ国内の13の州では非常事態宣言を』『ハワイの米軍基地では既にウイルスの対策を』
どの局をかけても同じニュースしかやっていない。
幸いにも日本国内にはまだウイルスの発生は確認されていないようだが、それは時間の問題だろう。
死ぬか、生きるか、それともゾンビになるか。
すぐに考えた事を行動に移す。
スマホを電話画面に移しコールをかける。
「…………あ、もしもし店長ですか?」
『ん?どうした、こんな時間に?』
「俺、ちょっと明日から有給貰いますね」
『は?お前何い』
「んじゃ、そういう事で」
要件は伝えたので返事は待たずに通話を切る。
取り敢えず手ぶらで寝るのは怖いので、煙草とバットを常備して靴を履いて眠る。
普通に考えればこんな状態で眠るのは非常識だろう。
だがここには自分と祖母しか居ない。
それにもし” いざという時 ”が来ても煙草だけは無くしたくないのだ、バットも元々護身用に買ったものだ。
靴だってもしすぐに逃げなければって時、裸足で逃げるのは痛いだろう…なら最初から履いておけば問題ない。
誰にも文句は言わせない。
俺はバットを抱いて眠りに着く。
そしね眠りについてから三時間後、俺は激しい物音と共に目覚めた。