ポケットモンスターDP ≪絆の一撃≫ 作:おいしい生乳カスタード
ポケットモンスター、縮めてポケモン。
ポケモンは様々な場所で、様々な姿で生きている。
そして人はこのポケモンと共に協力し合い生きている。
戦いをしたり苦難を乗り越えることで、人とポケモンは深い絆で結ばれる。
その絆は、驚くべき力を発揮するだろう。
この物語はもしかしたらあり得たかもしれないIFのお話。
ポケモンと人の、大きく深い絆のお話。
第一話 旅立チノ日ニ
午前六時。早めに起床した俺はいそいそと着替えを始める。黒いスウェットに上から少し厚みのあるジャケットを着る。下には黒いズボン。腰にはモンスターボールがつけられるホルスター型のベルトを締める。サイズはぴったりだ、キツくもない。長年連れ添ったメガネはそっとケースに入れ、カバンにしまう。代りに赤色のカラーコンタクトを付けてみる。勿論度ありだ。鏡を見ながら慎重にいれる。一通り身支度を終えた姿を確認するために俺は鏡を見る。そこにはもう泣き虫な自分はいない。前日から用意してある旅のカバンを背に、俺は部屋をでた。
リビングに行くとばあちゃんが朝飯の用意をしていた。
「おはようばあちゃん。」
俺の声に気づいたばあちゃんはこちらに振り向く。
「おはようリョ...えっ!?」
ばあちゃんは俺の格好に驚いたようだ。
「あらあらまあまあリョウちゃん。いつもと随分違う格好で学校にいくのねぇ。」
「ばあちゃん、学校なら昨日卒業したよ。」
法律では10歳になれば学業を免除になって旅に出られる。だが俺はしなかった。それはばあちゃんに心配をかけたくなかったからだ。旅に出ても成功する確率が低いからだ。両親がいない俺にとってばあちゃんは親のような存在だ。そんなばあちゃんに職のことで心配をかけたくなかった俺は、最低限の労働環境を得られる高等学校まで学業を優先することに決めた。そして昨日、やっと高校を卒業したのだ。
「俺、旅に出るって昨日話しただろ。」
「あぁ、旅ねぇ。それで探検ごっこは何時くらいに終わるのかしら。今日のお夕飯はリョウちゃんの好きな煮物作ろうと思ってねぇ。」
ばあちゃんのなかでは俺は小学生くらいのこのように扱われているのだろうか。だが、準備も決心もしてしまった手前行くのはいやめますとは言えない。
「...ごっこじゃなくて本当に旅に出るんだけど。」
そういうとばあちゃんは鍋の火を止めて俺のほうに近づいてきた。
「分かっとるよ、ただねぇさみしくて。」
ばあちゃんは目を細めながら続けた。
「あの子も丁度18歳のときだったねぇ。私は強くなるんだって聞かないで卒業と同時に出て行っちゃうんだから。」
そう、俺とばあちゃんは二人暮らし。俺がいなくなればばあちゃんは一人になってしまう。
「ごめんなばあちゃん。でもどうしても旅に出たいんだ。俺は旅に出なくちゃいけないんだ。」
目を見つめながら言うと、ばあちゃんはにっこりと笑った。
「孫の旅立ちを邪魔するものですか。私はあなたたちが立派に育ってくれてうれしいのよ。その孫が自分の意志で旅に出ようていうんですもの、止めることなんてしないわ。」
「ばあちゃん...。」
ばあちゃんは言い終わるとスープとパンをテーブルに運んでくれた。
「さぁさ、旅立ちの日なんだからしっかり食べておいき。」
「ありがとう。」
席に座ってスープを一口飲む。いつものじゃがいものスープ。そしてパンにも手を付ける。これもいつもの固いパン。一見素朴に見えるが朝はこれくらいが丁度いい。
朝食を食べているともぞもぞと俺の膝に黒いものが乗ってきた。
「ガウゥ!!」
「おはようガブ。」
こいつはフカマル。ニックネームはガブ。小さい時からの俺の友達。甘えん坊な癖に変なところ意地っ張りな奴。これから旅をする、俺のパートナー。
「ほらよ。」
ガブに俺のパンを分けてあげると喜んで食べている。だがこいつの重さは見た目が軽めのクッションのサイズのくせに、重さが20キロあるらしくとても重たい。
「重てぇ...。」
俺の旅立ちの食事は膝の拷問と共に終わった。
朝食を終え、軽く身支度をしてブーツに足を通す。靴紐を結んでいるときに丁度6年前の出来事を思い出していた
必死に俺は止めた。その時の顔は涙と鼻水でぐちょぐちょだった。
「いかないでよ!姉ちゃん!」
たった一人の義姉弟。もう二度と会えなくなるのだとなんとなく分かっていた。だから必死に止めた。
そんな俺の顔をハンカチで拭いながら、諭すように言った。
「リョウ。もしもう一度会いたいのなら、私と同じところにおいで。私はそこで待ってるから。きっとリョウならできるよ。」
それが姉ちゃんの最後の言葉だった。それから姉ちゃんは家に帰ってこないどころか連絡もなかった。
「リョウちゃんリョウちゃん!これを持っていきなさいな。」
昔のことを思い出しているとばあちゃんが何かを手渡してきた。
「これは?」
真新しい電子機器を受け取る。
「ボタンを押してごらん。」
電子機器にはモンスターボールをかたどっている。その中心にはモンスターボール同様ボタンがあった。言われた通りにボタンを押すとモンスターボールが二つに割れ、中から光の粒子が溢れ出す。
「これは...。」
「それはねポケレット。タウンマップ機能やライト、ポケモンの状態の確認ができたりする便利なアイテムだよ。」
「これ高かったんじゃ...。」
「孫の門出を祝う品だよ。これくらいはしなくっちゃね。」
「ありがとうばあちゃん。」
ばあちゃんの好意はありがたく受け取ろう。一緒にケースもついていたためベルトにつけて差し込む。
「それじゃあ行ってくるよばあちゃん。」
勢いよく扉を開けて朝日を浴びる。心地がいい。
「はい、行ってらっしゃい。」
俺を送り出すばあちゃんの声は震えていた。多分泣いているんだろう。
扉が閉まるとき俺は
「たまには顔を出すからさ。」
そういって旅立ちの一歩を踏み出した。
「早かったね。」
家を出て町の出口につくと男が話しかけてきた。
「準備はいいかい。もう当分家には帰れないよ。」
「まぁ、姉さんは家に帰ってきてないですし大丈夫ですよ。」
「はは、それもそうだね。俺も母さんにはしばらく会ってないし。」
「お母さんどころか世間の人にもあってないですよ。」
「痛いところを...。」
男は腰のホルスターからモンスターボールを取り、それを大きく空に投げた。
「おいで!リザードン!」
凛々しい龍が現れ、勢いよく炎を吐く。
「ぐおぉぉお!!」
「さあ!いくよ!!」
「はいっ!」
返事をして、リザードンの背中に乗り込んだ。
リザードンは俺を乗せた瞬間に大空に向かって羽ばたいた。
「すげぇ...。」
俺はあまりの絶景に簡単を漏らしてしまった。
「これが君の旅をするシンオウ地方だ!よく見ておきなよ!」
リザードンの首の部分に跨る男は頭の帽子が飛ばされないように抑えている。そして胸にはピカチュウを抱きかかえている。
「レッドさん。」
「なんだい?」
「俺、楽しみです。ポケモンと旅をするのが。」
「そうだよ!ポケモンとの旅は何にも代えられない最高の思い出なんだから。」
レッドさんはそういうと胸のピカチュウを抱きしめる。
「はい!」
俺はここからの旅の不安と希望を胸に、ガブのボールを握りしめた。
あとがき
ポケットモンスターDP≪絆の一撃≫
第一話 旅立チノ日ニ
ご覧頂きありがとうごさいます。DP10周年記念ということで執筆を始めさせて頂きました。少しずつ時間の合間を見つけては書いて行こうと思います。この小説ではポケットモンスターのゲーム、アニメ、ポケモンスペシャルなど私が触れてきた多くのポケモン世界が融合して、この≪絆の一撃≫を書かせていただきます。なので読み進めていく間、書き進めていく間で何か食い違ってしまうような点が出てくるかもしれません。それはその都度修正して投稿しなおしていこうと考えております。なので誤字脱字や設定の違い等がありましたら、どんどんご意見ご要望をお聞かせください。それでは、これからのポケットモンスター≪絆の一撃≫を宜しくお願いします。