※この作品はR-18です。

艦娘抱けるかな   作:狂猫病

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含羞の正規空母、蕩ける媾合 *

 提督の視野の隅で、瑞鶴が着ているTシャツをわずかに上げ、白い下着に指をかけるのが見えた。

 ふと動きを止めた瑞鶴が、睨みつけるような険しい眼を提督に向ける。

 

「──ちゃんと横、向いててよ」

 

 提督は苦笑をこらえて顔をそむけ、大型テレビの埋め込まれた壁を向いた。電源の入っていない黒い画面が、部屋内の様子をぼんやりと映している。

 画面の中の瑞鶴の影が、ベッドに膝立ちのまま肩で息をつく。あらためて下着に指をかけ、思いきった勢いで引き下ろした。

 足首から抜いた下着を布団の下に隠し、Tシャツの裾を神経質に整えてから顔を上げる。

 

「いいよ……こっち、向いても」

 

 どことなく張り詰めた雰囲気のある声に、提督は顔を向ける。

 瑞鶴は硬い表情でわずかに唇を噛み、シャツの裾を両手で引き下げていた。白くほっそりとした剥きだしの両腿の曲面が、ひどく艶かしい。

 提督は片膝をついた体勢で、ベッドの上を前に進み寄って瑞鶴との距離を縮める。

 シャツを握りしめたままの瑞鶴にむかって言った。

 

「上は脱がないのか」

「提督さんも、下、脱いでないじゃない。……べつに、あとでもいいんでしょ」

 

 どこか拗ねたような口調で言われ、提督は仕方なく肩をすくめた。

 すぐ間近──息遣いを肌で感じられるほどの距離に、お互いの躰がある。

 視線が合うと、瑞鶴が小さく息を呑むのがわかった。

 しきりに唇を舐めたあと、うつむき加減に、躰を落ち着かなげに動かしながら提督に言う。

 

「ね、ねえ……提督、さん」

「なんだ」

「もう一回、キス、してほしい。……さっきはあんまり、うまくできなかったから」

 

 恥ずかしそうに言い終えると、瑞鶴は不安をたたえた瞳で提督を見た。

 最初の口づけは、このホテルの部屋に入った直後、どちらからともなく交わしたものだった。

 唇の感触は緊張で固く、お互いの歯が当たる金属質な音だけが妙に提督の印象に残っていた。

 小さく笑って、提督は瑞鶴の華奢な両腕を掴む。

 

「ゆっくりだぞ」

 

 提督が言うと瑞鶴は頷き、瞼(まぶた)を閉じる。

 瑞鶴の二の腕の肌は、シャワーを浴びた直後のせいかしっとりと湿っていて、手のひらに心地よい温かさを感じた。

 唇が重なり、静かな圧力で押しつけ合う。

 提督は舌を差し出し、瑞鶴の唇をそっと撫でた。しばらくすると、瑞鶴は遠慮がちな舌の動きで応じてきた。

 舌粘膜がわずかに触れ合い、唾液にぬめる感触がある。

 小さな舌先を軽く吸い、前触れもなく提督は離れた。

 

「あ……」

 

 わずかに口を開いて舌先を出したまま、瑞鶴が名残惜しそうな声を発する。

 右手の甲で瑞鶴の首もとを撫でながら、提督は訊いた。

 

「まだ、緊張してるか?」

「……うん、ちょっと」

 

 こくりと、瑞鶴は提督を見つめながら頷いた。

 

「……このあと、どうしたらいいの?」

「このあと?」

「だから、このあと──セックス……するんだよね。手順とか、あるんでしょ」

 

 瑞鶴は目をそらし、気まずそうに言葉に詰まりながら言った。

 

「──私、初めてだから……教えてよ」

「べつに、決まった手順なんてないが──」

 

 言いながら右手を下げ、細く艶やかな腿に触れた。ぴくりと瑞鶴が躰を震わせる。

 提督はそっと腿の内側に指をすべらせ、瑞鶴の顔を見つめて訊いた。

 

「触って、いいか」

「……うん」

 

 緊張した面持ちで、瑞鶴が頷く。

 シャツを引き下げていた手から、ほんのわずか力が緩む。いまだ陰になって見えないその部分に、提督は指を差し入れた。

 

「んっ……」

 

 瑞鶴がきつく目を閉じ、喉の奥で小さな声を漏らす。

 予想していたとおり、そこはかすかに熱を帯びているだけで、ほとんど潤いが感じられなかった。

 指先で小さく秘裂を割り、入り口付近をそっと確認したが、そこにも分泌液の気配はない。

 

「うーむ……」

 

 思案しているうち、提督はつい無意識に鼻にかかった小さな声を漏らしていた。

 瑞鶴が敏感に反応し、目を見開く。

 

「な、なに……? 瑞鶴のそこ、なんか変だったりする?」

「いや、そうじゃない。少し準備不足だから、ほぐしてみるか」

「ほぐすって、なにを──ひゃっ」

 

 提督が脚を抱えると、瑞鶴は短い悲鳴を上げて体勢を崩しかけた。

 倒れ込まないよう、すかさず片手で背を支えてやる。

 枕の上へと、静かに瑞鶴の背を下ろした。

 

「大丈夫だな」

「う、うん……びっくりしたけど」

 

 頬を赤くして、瑞鶴はしきりに頷く。

 下半身に眼をやると、シャツの裾がわずかにまくれ上がって秘所が露わになっている。

 気づいた瑞鶴は慌てて脚を閉じ、隠そうとして手を伸ばした。

 提督はその手を掴み、ベッドに抑え込む。

 

「て、提督、さん……」

「見せてくれ」

「む、無理無理無理。恥ずかしいよ……部屋、明るいし」

「見たいんだ」

 

 顔をまっすぐに見つめながら言うと、瑞鶴は眉を寄せ、困ったような表情を浮かべた。

 

「なんで……見たいの?」

「おまえを知りたい」

「知りたいって、そんなとこまで?」

「だからこそ、だよ」

 

 瑞鶴が横を向く。わずかに口を尖らせて黙っていたが、やがて小さく頷いた。

 

「……わかったけど、あとで提督さんのも、見せてよ」

「もちろん」

 

 仰向けの姿勢で、瑞鶴が脚を閉じたまま膝を立てた。

 足もとにいる提督を、眼だけでちらりと見やる。

 提督が頷いてやると、瑞鶴は目をきつくつぶって、ゆっくりと脚を開いた。

 露わになった女性器が、わずかに充血して色みを帯びていた。

 

「ど、どう……? 見えてる?」

「ああ、よく見える。──きれいだ」

「……きれいなんて、そんなことない、でしょ」

「本当に、きれいだ」

 

 提督は差し伸べた人差し指で、静かに秘裂の中央に触れた。

 

「あ……」

 

 つぷり、と指先が肉襞の間に沈む。

 内部には、わずかな潤いが確かに感じられた。

 沈めた指をゆっくりと回転させ、雫をすくうようにまとわりつかせる。

 

「んっ……ちょっと、くすぐったいよ……」

 

 恥ずかしそうに片手を口もとにあてがった瑞鶴が、むずかるような小声で言う。

 提督は指先を沈めたまま顔を寄せ、音をたてて陰唇に口づけした。

 びくん、と瑞鶴の腰が大きく震える。

 

「ちょっ、ちょっと、提督!」

 

 上体を起こした瑞鶴が、驚愕の表情で提督を見る。

 

「なんだ」

「なんだじゃなくて! なにやってんの!?」

「なにって、キスだが」

「キスって……ダメだよ、そんなとこ……!」

「いいじゃないか、べつに」

 

 気楽そうに言って、もう一度口づけする。今度は舌先も少し遣って、陰唇を軽く舐めた。

 

「はっ、や、ん……! ちょっとぉ……ダメだってばぁ」

 

 いやいやをするように下半身を小さく振りながらも、本気で拒絶する気配はない。

 鼠径部や内腿、秘裂の周囲のあらゆる場所に、提督は接吻の雨を降らせた。

 

「きゃっ……もっ、もう、やだやだ、やめてって……こらぁ……んっ……」

 

 怒っているようなはしゃいでいるような、ときに快楽の入り混じった声を瑞鶴は上げた。

 ひとしきりそうやってじゃれたあと、提督がふと顔を上げると、瑞鶴が穏やかな視線を投げかけていた。

 

「──なんだ? にやついた顔して」

「ん……ふふ、提督さん、そんな人だって思わなかったから」

「そんな人って、どんな人だ」

「そんなふうに、ふざけたりする人」

「ふざけてなんかない。俺は真剣だ」

 

 言って、提督は両手で瑞鶴の腿を押し広げ、開かれた陰裂の内側にねっとりと舌を這わせた。

 

「はっ──あ、んっ──」

 

 瑞鶴が大きく躰を反り返らせる。Tシャツがまくれて、くびれた腰と形のいい臍が覗けた。

 提督は裂け目に沿って舌を動かし、ときに陰部全体を口で覆い、吸い、音をたてて舐めた。

 瑞鶴の反応が敏感になってきているのがわかった。

 切れぎれの嬌声を上げながら、腰を上下にくねらせている。

 愛液は提督の唾液混じりになって、秘裂の外側に滴るほどに溢れ出していた。

 

「ね……ねえ、提督さん」

 

 息をきらせた瑞鶴が顔を起こし、言った。

 

「なんだ」

「ま、まだ、挿れなくていいの……?」

「……どうした、気持ちよくないのか」

 

 言いながら、陰核に包皮の上から接吻した。瑞鶴が大きく腰を跳ね上げる。

 

「きゃっ──! き、気持ちいいってば……気持ちよすぎて、怖いくらい」

「なら、なぜそんなことを訊く」

「だって……私ばっかしてもらって、提督さんが」

「──いっちょまえに人の心配してるのか。生意気なやつだ」

 

 提督は重ねて、陰核への接吻を繰り返した。瑞鶴が細かく躰を震わせる。

 

「あっあっあっ……そ、それ、ちょっと、好き、かも……」

「これが好きか。なら、いっぱいしてやる」

 

 そう言ってもう一度、音をたてて口づけする。

 

「んっ……でも、それじゃ提督さんが、気持ちよくなんないでしょ……?」

「なるさ。自分の手と口で女が悦んでくれるなら、男は嬉しいもんだ」

「そ、そうなの……?」

 

 答えの代わりに、提督は瑞鶴の鼠径部に舌先を這わせた。

 吐息混じりの甘えた声を上げ、瑞鶴がもどかしげに腰を振る。

 

「んっ……ね、ねえ、じゃあ、お願いして、いい……?」

「いいぞ。リクエストがあれば、なんでも言え」

 

 瑞鶴は手を伸ばし、提督の頬を愛しげに撫でた。

 

「あの……さっきのとこ、いっぱい、ちゅっちゅして。……なんだかすっごい、気持ちよかったから……」

「任せろ。嫌というほど、たっぷりイカせてやる」

 

 提督は上からまわした手で陰核を露出させ、すっぽりと口で覆う。

 細かく舌を遣いつつ、軟体動物の吸盤のように連続して吸い上げた。

 瑞鶴は躰を反り返らせながら短く叫び、いきなり最初の絶頂に達した。

 

 

 ◇

 

 湯船の中、瑞鶴は華奢な背を向けて、提督の脚の間に座っていた。

 粘る湯を両手ですくい上げてしげしげと眺め、糸をひいて滴る様を見て感心したような声を上げる。

 部屋のアメニティに含まれていた入浴剤の効果によって、浴槽に張った湯はまるでローションのような粘り気を帯びていた。透明なままの湯面から、濃い柑橘系の香りが漂ってくる。

 当初こそ渋い顔をしていた瑞鶴も、今ではこの不思議な入浴感に興味をそそられてきている様子だった。

 提督は躰を起こし、瑞鶴の肩越しに声をかける。

 

「面白いよな、これ」

 

 はっとした瑞鶴が、慌てて両腕を組むようにして胸もとを隠す。膝を曲げて躰に引きつけながら答えた。

 

「う、うん。まあね」

「悪くないだろ、ふたりで入るのも」

「ん……でも、やっぱ落ち着かないよ」

 

 提督は粘る湯面から手を上げ、瑞鶴の二の腕をそっと撫でた。

 瑞鶴がわずかに躰を緊張させる。

 ただでさえなめらかな肌が、入浴剤の効果でよりいっそう摩擦の感じられないものになっていた。

 

「──そんなふうに隠さなくてもいいんだぞ」

「う……べつに隠してるってわけじゃないんだけど」

「まだ、恥ずかしいのか」

 

 瑞鶴は体育座りのような姿勢で固まっていたが、やがて腕をほどいて湯の中に下ろした。

 顎をつき出して胸を反らし、両手を提督の太腿の上に添えるように置いた。

 提督は瑞鶴の躰を抱えるように両腕で抱き、粘液まみれの手のひらで小ぶりな乳房を包み込む。

 

「ん、ふっ……」

 

 瑞鶴が息を漏らす。

 ぬちぬちと粘る音をたてながら、提督はやわらかいふくらみをゆっくりと揉む。手のひらをこする乳首の硬い感触が、情欲を煽った。

 

「ね、ねえ……がっかり、しない?」

「なぜ」

「小さいから、私の胸」

「そう卑下するほどでもない。これはこれで、いいもんだ」

 

 提督は胸を掴んだままゆっくりと躰を後ろに傾け、浴槽の縁に背を預けた。瑞鶴も自然と、提督に体を預けるような姿勢になる。

 羞恥と愛情の入り混じった表情で、瑞鶴が提督を仰ぎ見た。

 

「私の胸、好き……?」

「ああ、好きだ」

「……嘘だぁ。そんなこと言ってほんとは、加賀さんとか陸奥さんみたいな、おっきい胸のほうが好きなんだよ、きっと」

「こういうのは比べてどうこうってもんじゃない。おまえのにはおまえの良さがあって、俺がおまえのを好きなのは本当だ」

「ほんとにぃ?」

 

 瑞鶴がからかうような視線を向けて言う。

 提督は大真面目な顔をつくって頷いた。

 

「俺はベッドの上で、女に嘘をつかない主義なんだ」

「──ここ、ベッドじゃないし」

 

 瑞鶴は顔をしかめて言い、いかにもおかしそうに笑った。

 提督も笑って、瑞鶴の頬に接吻した。柑橘系の湯の匂いに混じって、髪と肌の匂いを嗅いだ。

 指先で、そっと乳首の先を転がす。

 

「んっ……」

 

 瑞鶴が目を細め、小さな声を漏らす。

 

「気持ちいいか」

「うん……気持ちいい。──ありがと」

 

 瑞鶴は乳首をいじられながら、うっとりとした視線で提督を見つめていたが、やがて少し憂いを帯びた表情になって言った。

 

「提督さん……翔鶴姉に、頼まれたんだよね?」

 

 質問は唐突だった。提督は答えに窮し、その動揺が指の動きに表れた。

 瑞鶴が納得したように頷く。

 

「やっぱり、そうなんだ」

「……ひとづてにデートの件を頼まれはしたが、受けたのは俺の意志だ。たとえ頼まれていなくたって俺は──」

「ん、わかってる、わかってる。そんなムキになんなくても大丈夫だよ、提督さん」

 

 妙に余裕のある様子で、瑞鶴が言った。

 顔を前方に向け、ふう──と深い息をつく。

 

「昨日はずっと気持ちが舞い上がってたから、ぜんぜん気にしてなかったけどさ……翔鶴姉、仕事で映画に行けないってなっても、あんまり残念そうじゃなかったなって。提督さんにデートを受けてもらえたって聞いても、そんなに驚いてるように見えなかった」

 

 淡々とした調子で瑞鶴が話す。

 翔鶴に驚きがなかったのは当然だ。吹雪の承認を受けた陸奥からすでに、デートの受諾を約束されていたのだから。

 

「いつ、それに気づいたんだ」

「ついさっき。提督さんがお湯張ってるとき、ひとりでベッドにいたら、急に」

「……おまえには、翔鶴の意図がわかるか?」

 

 提督が訊くと、瑞鶴が悪戯っぽい、皮肉の混じったような眼を向ける。

 

「そんなの決まってるでしょ。──提督さんだよ」

「それは、つまり──」

「そう、瑞鶴とくっつけたいんだよ。そうしたら、私が喜ぶと思ってる」

 

 ある程度、予期していたことだった。それ以外に、納得のいく翔鶴の意図は思いつかなかった。

 瑞鶴がふたたび正面を向き、続ける。

 

「翔鶴姉は、ほんとおせっかいで……馬鹿だよ。責任感だかなんだか知らないけど、いつだって自分のことより瑞鶴のことばっかり。それが理想のハッピーエンドにたどり着く方法なんだって、信じこんでる」

 

 姉としての責任──提督の脳裏に、昨日の吹雪の言葉がよぎる。

 翔鶴にとってのハッピーエンドが瑞鶴の幸せなら、吹雪にとってのハッピーエンドとは──

 

「……ねえ、提督さん。さすがにホテルに行くことは、頼まれなかったでしょ?」

 

 浴室の天井に顔を向け、瑞鶴が訊いた。

 提督は思考から引き戻される。

 

「ああ。頼まれたのは、一緒に映画に行くことと、そのあとしばらく一緒に過ごすこと、それだけだ」

「そう──よかった」

 

 腕の中で、ぬるりと瑞鶴が回転して提督に向きなおった。ぬめった液体に半身を浸けながら、提督の胸に自分の躰を押しつけてくる。

 硬くなった陰茎に、湯の中で腿が艶めかしく触れている。

 

「今ここでこうしてるのは私たちふたりの意志──だよね?」

「……そうだ」

 

 瑞鶴は嬉しそうに微笑み、顔を寄せて提督の唇をふさいだ。

 大胆な動きで、提督の口内に瑞鶴の舌が侵入してくる。

 ぬめった舌が、切実に絡む。

 口づけしながら、瑞鶴が上体を完全に預けてくる。

 まとわりつく温かい粘液を介して、胸と胸、腕と腕とが接着され、ぬちゃぬちゃと粘った音をたてた。

 瑞鶴が火照った顔を離す。

 口もとに、唾液が糸をひいていた。

 妖しく微笑みながら、躰の下にある、屹立した提督の硬直に手を伸ばした。

 湯の中で、茎部を下から上へと、つう──と撫でる。

 

「すっごく大きくて、硬い……」

「おまえを欲しがってる。貫いて、繋がってしまいたい」

「繋がる……」

 

 瑞鶴が顔を寄せる。

 鼻頭同士が触れ合う距離、瑞鶴の熱い息遣いを感じた。

 

「ねえ……繋がっちゃお、ひとつになっちゃお、溶け合っちゃおうよ……私もうこれ以上、がまんできないもん……」

 

 提督のすぐ間近で、潤んだ薄緑の双眸が揺れていた。

 衝動的に、提督は瑞鶴の軽い躰を抱え上げ、陰茎を手探りで秘所へとあてがう。

 あてがった瞬間、奥深くにまで呑み込まれていた。

 

「あ、あああ……はいっ……ちゃった……」

 

 目を細め、口を半開きにして、瑞鶴がうわ言のように言う。

 提督も快感の呻きを上げた。

 温かく、なめらかな膣壁に陰茎が圧迫されている。内部の細かい凹凸が、先端近くのちょうど敏感な部分に当っているのを感じた。

 

「提督さんのあれ、瑞鶴のなかに入ってるよ……すっごく熱くて、いっぱいで……」

 

 粘る湯にまみれた両手で提督の頬を挟み、瑞鶴が熱っぽい口づけをする。

 さんざん提督の口内を舌で探ると、躰のあらゆる箇所を密着させたまま腰を前後させる。

 浴槽内に粘液の波がたち、壁にあたって重量感のある低い水音を鳴らす。

 内と外、瑞鶴の躰の両面を提督は味わっていた。

 全身の皮膚が、舌や性器に似た粘膜組織になってしまったような感覚だ。

 愛液の湯の中に躰を沈め、腕で、脚で、舌で、性器で、お互いの感触を探り合った。

 

「提督さん……きもちいいね、セックス……きもちいいね」

 

 瑞鶴が蕩けた視線で見つめながら、憑かれたようにつぶやく。提督の首にしがみつきながら、幾度も唇を求めてくる。

 

「提督さん、私ね……昨日からずっと、もしかしたら提督さんとこうなっちゃうんじゃないかって、想ってたの」

 

 激しく腰をくねらせながら、瑞鶴が語る。小ぶりながら充実した感触の尻を両手で抱え、自分の腰に打ちつけて提督は応える。

 言葉で返事をする余裕はなかった。

 

「今日もずっと……映画観てても、カフェでおしゃべりしてても、ゲーセンにいても、散歩してても、頭の隅から離れなかったの……もしかしたらセックスしちゃうかもしれない、セックスすることになったらどうしよう、本当は私も、セックスしたいのかもって──」

 

 無言で、提督は激しく腰を突き上げる。

 瑞鶴が言葉を失った。

 波立った湯が、浴槽の外にこぼれ落ちる。

 狂乱の中で、いつの間にか果てていた。

 瑞鶴は提督の肩に顔を伏せ、息をはずませている。

 提督も息をつき、萎みつつある陰茎を瑞鶴から外した。

 

「おい、瑞鶴。大丈夫か?」

 

 声をかけると、瑞鶴がゆっくりと顔を上げた。

 湯と汗に濡れた髪が、顔に張りついていた。にっこりと、満足そうな笑みを見せる。

 

「うん──大丈夫。すっごいね、セックス」

 

 提督は湯に濡れた指を自分の首筋にこすりつけて乾かし、瑞鶴の髪を顔から払いのけてやった。

 感謝の代わりにか、瑞鶴は提督の頬に接吻してくる。

 唇を離すと、少し首を傾げながら言う。

 

「ねえ、今気がついたんだけど……もしかして中で出しちゃった?」

「ああ」

「ほんとは、ダメ──だよね?」

「……すまん。次は、ゴムを着ける」

「次?」

 

 瑞鶴が驚いたように言い、瞳を輝かせた。

 

「もっと、できるの?」

「おまえさえよければ、もちろん。たて続けにすぐは、諸々の事情で難しいが」

 

 瑞鶴は少し照れたような表情で頷き、提督の耳もとに顔を寄せる。

 

「ねえ、次はベッドでしようよ。──今度は私が、提督さんを気持ちよくしてあげる」

 

 

 ◇

 

 提督が伸ばした舌で陰核を優しく刺激すると、躰の上の瑞鶴が甘い声で喘いだ。

 陰茎に熱い吐息がかかり、得も言われぬ快感が股間を走り抜ける。

 顔を挟み込むように置かれている、瑞鶴の両腿から尻にかけてのなめらかな肌の感触を両手で愉しみながら、提督は訊いた。

 

「どうだ、瑞鶴。気持ちいいか?」

 

 躰の上で、瑞鶴が身じろぎした。顔をこちらに向けようとしたのだろうが、自分の躰が邪魔になって当然見ることはできない。

 

「う、うん……気持ちいいよ。気持ちいいけどさ……」

 

 瑞鶴がすべてを言いきる前に、提督は秘裂に舌を這わせ、ちろちろと内部を探るように動かした。反応して、瑞鶴が躰をぴくぴくと震わせる。

 口を離して、ふたたび訊く。

 

「気持ちいいけど──?」

「──気持ちいいけど、なんか納得いかない。なんで私も舐められてるの?」

「いいじゃないか。こうすればお互い気持ちよくて、効率がいい」

「効率の問題!? もう……せっかく私が主導権とれるって思ったのにぃ」

 

 文句を言いながら瑞鶴は陰茎を握りなおして先端を口に含み、唾液を絡ませるように舌を回転させた。

 最初こそ緊張してぎこちない舌遣いだったが、すでにコツを掴んだのか、提督が快感に身をよじるほどにまでなっている。

 提督はふたたび陰核に向けて舌を伸ばし、細かくつっつくように刺激した。

 瑞鶴が反応して陰茎から口を外す。

 

「あっあっあっ……ちょ、ちょっとぉ、そこ、そんなふうに責められたら、また──」

 

 提督が舌の動きをゆっくりとしたものに変化させると、瑞鶴が焦れたように腰を動かす。

 舌を差し出したまま少し離れ、陰核の下で待ち受けてやる。

 瑞鶴はたまらず腰を落とし、提督の舌に陰核をこすりつけるように押しつけ、前後させた。

 

「あっあっ……や、やば……これ、イッちゃう……!」

 

 眼の前で瑞鶴の陰裂と菊座が収縮し、細かく痙攣した。

 秘所から溢れた愛液が雫になって滴り、提督の口もとを濡らす。

 瑞鶴が提督の躰の上にへたり込んだ。陰茎を手にしたまま息を荒くし、かすれ気味の声で言う。

 

「も、もう……これじゃ、提督さん気持ちよくしてあげられないよ……」

「まだまだ精進が必要だな」

 

 言いながら、提督は濡れそぼった瑞鶴の秘裂にそっと人差し指を沈める。

 

「あっ……」

 

 絶頂に達した直後で敏感さを増しているためか、そこに触れただけで瑞鶴は全身を大きく波打たせた。

 ゆっくりと、内部の肉襞の緊張をほぐすように指を前後させた。愛液がとろとろと溢れ出し、指を伝っていく。

 

「あっ……やだ、また、よくなってきちゃう……」

 

 腰を震わせながら瑞鶴が言う。

 敏感で絶頂に達しやすい体質に思えたが、そのぶん回復も早い。連続して、すぐに快感を強めている。

 瑞鶴は陰茎を握った手をゆっくりと上下させ、亀頭へ細かい接吻を繰り返す。

 提督が膣内に挿し入れた指を前後させていると、焦れったそうに鼻にかかった声を上げ、腰を切なげにくねらせた。

 

「ねえ……そんなことするから、瑞鶴、また欲しくなってきちゃったんだけど……」

「欲しいって、なにが」

「だからぁ……挿れてほしいんだってば」

「挿れてるじゃないか、ほら」

 

 入り口付近を掻きまぜるように指を動作させる。ぐじゅぐじゅと、膣が空気混じりのいやらしい音をたてた。

 

「やっ、やぁだ、もう……指じゃなくってぇ」

「指じゃなくて、なんだ? 言えよ」

「だぁから……こっち──提督さんの……ちんちん」

 

 言って、瑞鶴は陰茎を片手で撫で上げながら、鈴口にちゅっと音をたてて口づけした。

 

「もうちんちんが大好きか、瑞鶴」

「うん……だってさっき、すっごい気持ちよかったもん──」

 

 瑞鶴は陰茎に頬ずりをした。

 

「ねえ、いいでしょ……挿れようよぉ、ちんちん……」

 

 提督は苦笑し、頭の横に置いておいた避妊具の小袋を取ると、瑞鶴の横へ放った。

 

「着けてくれるか」

「うん──ありがと……!」

 

 嬉しそうな声を上げ、瑞鶴はいそいそと躰を起こした。

 ぎこちない手つきながら提督の指示を聞き、瑞鶴はなんとか避妊具を着け終えた。

 

「どう、こんな感じ?」

 

 提督の躰から降りた瑞鶴が、ラテックスをまとった陰茎を示しながら言う。

 

「上出来だ。じゃあ、いいぞ」

 

 寝っ転がったまま提督が言うと、瑞鶴は提督の顔と足もとを見比べるようにした。

 

「なにしてる?」

「えっと……どっち向きがいいのかなって」

「おまえの好きなほうでいい」

 

 瑞鶴は口をすぼめて思案していたが、やがて提督に向かい合うようにして、腹のあたりに跨ってきた。

 

「向かい合わせがいいか」

「うん、提督さんの顔見てたいし……それに」

 

 瑞鶴が少し顔を赤らめて、言葉を切る。提督は続きを促した。

 

「それに?」

「その……ちょっと恥ずかしいかなって、後ろ向きだと」

「尻の穴のことなら、今さんざん目の前で見てたから気にならんが」

 

 瑞鶴は顔を真っ赤にして、平手で提督の胸を勢いよく叩いた。

 

「もう、なんでそういうこと言うの! ばか! 大嫌い!」

「あー、すまんすまん。──ほら、挿れなくていいのか、ちんちん」

「……挿れるわよ。まったくもう」

 

 瑞鶴は頬を膨らませたまま躰の位置をずらし、腰を少し浮かせて陰茎を秘裂にあてがう。若干の間が空いてはいたが、そこにはまだ十分な潤いがあった。

 

「こ、こう……?」

「そうだ。そのままゆっくり躰を沈めて」

 

 熱をもった瑞鶴の内部を、提督の硬直が抉っていく。

 

「んっ……ふう……」

 

 眉根を寄せて、瑞鶴が悩ましげな息を吐く。

 風呂での交わりのときより抵抗感があったが、陰茎は膣にしっかりと呑み込まれた。

 提督は瑞鶴のなめらかな脇腹を両手で掴み、尻にかけてのラインをそっと撫でた。

 

「どうだ?」

「うん……お風呂のときより、おっきく感じる……」

「好きなように、動いてみろ」

「はい……」

 

 やがて遠慮がちに、瑞鶴が腰を前後させはじめた。

 その動きにつれ、亀頭部分に絡みついている瑞鶴の内側が、複雑にそのかたちを変化させるのがわかった。

 快感に、提督はそっと溜息を漏らす。

 

「どうだ、瑞鶴?」

 

 訊くと、やや苦しげな表情をしていた瑞鶴が薄目を開け、細かく数度頷いた。

 

「きもち、いいよ。……提督さんは?」

「すごくいい。上手だな、瑞鶴」

 

 瑞鶴は微笑み、提督の胸もとに手を置いた。

 上体を折って顔を寄せてくる。

 唇が重なった。

 瑞鶴は舌を遣わず、長い時間をかけて、ただ唇を吸っていた。

 やがて唇を離して躰を起こし、両手の指を広げて提督に示す。

 

「ね、手繋ごうよ」

 

 応えて両手を重ね、指を絡めてやる。

 瑞鶴は腰を動かしながら、幸せそうな表情で提督を見つめた。

 

「提督さん……さっきの、嘘だからね」

「さっきの?」

「大嫌い──って言ったの」

「──じゃあ、本当は?」

「ほんとは、大好き」

 

 瑞鶴が腰の動きを強調した。前後に加えて、軽く回転するような動作がある。

 

「大好きなの。こんなに好きだって、自分でも知らなかったぐらいに」

 

 言って、瑞鶴は微笑んだ。

 どこか儚げな気配のある微笑みだった。

 提督は思わず、腰を突き上げていた。

 

「あっ、やっ、だめ──ってば、そんな、急に──」

 

 瑞鶴が顔を歪ませ、うったえた。

 構わず、腰が浮くほど突き上げる。

 

「ど、どうしたの……? いきなり、こんな──」

 

 返事の代わりに、握った手に力を込めた。

 瑞鶴が、はっとする。

 強く、握り返してきた。

 繋がって、腰をくねらせる。泣きそうな顔で、必死に提督についてくる。

 気配が満ちていく。

 瑞鶴が目を閉じた。

 

「て、提督、もう、瑞鶴イッちゃいそうだよ……気持ちよすぎて、もう──」

「俺も、すぐだ。すぐに──」

 

 瑞鶴が目を開け、提督を見つめる。

 

「い、いっしょに……ね、瑞鶴、提督さんといっしょがいい……」

 

 頭の中が真っ白になった。

 無意識に腰を大きく突き上げ、爆ぜた。

 瑞鶴が背を反らし、痙攣している。

 我を取り戻した提督は、繋がった手を引くようにして、躰を起こした。

 

「あっ……て、提督さん……?」

 

 驚いてバランスを崩しかけた瑞鶴の背に手をまわして支え、胡座をかくように引き寄せた脚で瑞鶴の尻を安定させた。

 瑞鶴は呆気にとられていたが、やがて愉しそうに笑って、提督の首に腕をまわす。

 口づけをする。

 熱い舌を絡め合い。唾液を交換した。

 唇を離し、提督は思いきって言った。

 

「俺も、好きだ」

 

 いざ言ってみると、意外なほど気恥ずかしさがこみ上げてきた。

 羞恥にうつむき、瑞鶴の細い鎖骨の間に顔を隠す。

 瑞鶴が、提督の後ろ髪に指を埋めるようにして抱きしめてくる。

 薄いラテックスの向こう側にある膣壁が、ひとつ大きく収縮するのを陰茎で感じた。

 

 

 

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