前触れもなく、翔鶴が胸の中に飛び込んできた。
反射的に抱きとめた提督は後ずさり、背後のカラーボックスに背を押し当てるように寄りかかった。
提督の胸に躰を密着させた翔鶴が、顔を上げる。
「提督……ずっとあなたが、欲しかった」
細い声ながら、はっきりとした口調だった。
抱えこんだ提督の腕の中で、翔鶴の躰がわずかに収縮を繰り返している。呼吸のリズムが速い。
見上げる翔鶴の唇は、わずかに開いていた。
提督は、吸い込まれるように顔を寄せた。
「んっ……」
唇を重ねたその瞬間に、翔鶴が身を硬くするのを感じた。
すぐに提督の唇を求めてくる。必死と言えるほどの切実さだ。
提督が舌を差し出して与えてやると、夢中になって吸いついてきた。
発情している女特有の熱っぽい気配が、濃厚に立ち昇っている。
提督もまた、その気配に当てられていた。
提督は腰を突き出すようにして、硬直した器官を翔鶴の躰へとすりつけた。
「欲しいのか」
提督は、唇を離して訊いた。
翔鶴が息を詰める。下腹にこすりつけられている提督の下半身を、しきりに見やった。
上目遣いに様子を窺うようにしながら、頷いた。
提督は翔鶴の手をとり、自らの股間に導く。
「あっ──」
隆起したその部分に触れると、翔鶴が驚きの声を漏らした。見開かれた眼に、好奇心か、あるいは期待のような色が浮かんだように見える。
細い手首を掴んだまま上下させ、ズボンの上からゆっくりと刺激させた。
いつしか、翔鶴の手の動きは自発的なものに変化していた。
提督は翔鶴から手を離し、ベルトに手をかけた。
「あ──」
翔鶴が視線を上げ、提督を見る。
「あの……お手伝い、いたします」
「──ああ」
提督が頷くと、翔鶴は床に膝をついた。提督の手に自分の手を重ねるようにして、ベルトを外す。
提督は、下着ごとズボンを引き下げた。
解放された充血器官が、下腹を打たんばかりの勢いで反り返る。
「はっ……」
わずかばかり怯えた様子で、翔鶴は身を引いた。
提督は、床に落ちた衣服から足を抜いた。誇示するように、翔鶴の面前へと剛直を突きつける。
「……すごい、ですね」
胸の前で不安そうに両手を合わせながら、翔鶴が言った。視線は陰茎に釘づけになっている。
「触ってみろ」
提督が促すと、翔鶴はおずおずと片手を差し伸べる。
冷たい感触の指が、血管の浮いた茎部に触れた。
「ああ……すごい、こんなに硬くて……熱い」
つぶやきながら、翔鶴は優美な指でしきりに陰茎を撫でさする。魅入られたように凝視したまま、視線を外そうとしない。
雁首のあたりを静かになぞられ、提督の下腹のあたりにもどかしい快感がこみ上げてくる。大きく息を吸い、吐いた。
翔鶴が、はっとした様子で顔を上げた。
「提督」
「ああ……その微妙なぎこちなさが、いいんだ。──おまえは、どうだ」
言葉少なに感想を尋ねる。
翔鶴が陰茎に視線を戻し、わずかに首を傾げた。片手で触れたまま、愛しげに眼を細めて言う。
「すごく……素敵。とっても逞しくて、雄々しくて、熱く脈打っていて……怖いぐらい大きいのに、本当に、きれい」
提督は苦笑し、首を振る。
「いくらなんでも、きれいってことはないだろう」
「いえ、きれいです。本当に……男性的で、美しいかたち」
翔鶴が提督を仰ぎ見る。とろんとした、曖昧な視線を寄こしてきた。
「あの……口づけしても、構わないでしょうか」
「おまえの好きにしたらいい」
翔鶴は羞じらうように、口もとをわずかにほころばせた。
ひとつ息を吸うと、両手で大切そうに陰茎を支える。
目を伏せて唇をつき出し、ちゅ──と秘めやかな音をたてながら、陰茎の先端へと接吻した。
「ん……」
翔鶴が、小さな溜息のような、鼻にかかった声を漏らす。
繰り返し、鈴口とその周辺に唇をつけてきた。
提督は息苦しさを覚え、小さく呻いた。
亀頭の先に触れる柔らかな唇の感触がひどく心地いいが、淫靡さや後ろめたさはあまり感じられない。
どちらかと言えば、崇拝に近い行為にも見える。
「……好き」
裏筋の敏感な部分に幾度も接吻を繰り返しながら、翔鶴が小声で言う。
提督は快感と興奮に息を荒くし、鈴口に液体が
もどかしさが、苛立ちに変化している。
片手を伸ばし、豊かな銀髪ごと翔鶴の頭を掴んだ。
「口を開けろ」
一瞬の沈黙ののち、翔鶴が従順に提督を迎え入れる。
唾液であたたかく濡れた口腔内の粘膜に、亀頭全体が包まれた。
安堵を覚えて、提督は大きく息をつく。同時に、破壊的な衝動がこみ上げていた。
抱えた頭を引き寄せながら、腰を前方に突き出す。
陰茎がなかばまで、翔鶴の口内へと挿し入れられた。
「んん……っ」
亀頭をきつく締めつける喉奥の感触──同時に、翔鶴がくぐもった声を発した。
快感は倍加していたが、提督は我に返った。掴んだ手の力を緩めて翔鶴を解放する。
「すまん、無茶をしたな」
翔鶴は口もとを拭いながら首を振り、提督を見上げた。
見つめる眼が、潤んでいる。肩で息をしていた。
「いいえ、大丈夫です。わたしは、大丈夫ですから……構わず、してください。今のを、もう一度、最後まで」
「いや、しかし」
「お願い……お願いします、提督」
「……苦しいだろう」
翔鶴が頷く。
「苦しいけど、苦しいから、嬉しいの。──あなたで、いっぱいに満たされたいから」
言って、翔鶴は陰茎を握りなおし、先端に唇をつけた。哀願する眼を提督に向けながら、舌先でちろちろと細かく裏筋を刺激する。
耐えきれなかった。
翔鶴のなめらかな頬を撫でながら、提督は腰を突き出した。
待ちかねていたように翔鶴が口を開き、迎え入れる。
「耐えられそうにないと思ったら、俺の腿を叩くんだ」
返事の代わりのであるかのように、翔鶴は陰茎を含んだ口を前後させる。大きな瞳が提督を捉えていた。
提督は翔鶴の後頭部に両手をまわした。銀髪の柔らかな繊維の感触が、手に心地いい。
ゆっくりと圧力を加えて、少しずつ引き寄せていく。
なかばまで呑み込んだところで、翔鶴が目を閉じた。
陰茎の先端が締めつけられ、ふたたび喉奥に達した感覚がある。容赦せず、手と腰に力を加えてさらに押し込んだ。
「ん……っ」
翔鶴がくぐもった声を発し、震えた。
深い皺が眉間に刻まれている。美しい、苦悶の
提督の両腿に添えられていた翔鶴の手に力が加わり、握りしめてくる感触があった。
先端を絞りあげられる痺れるような快感に、美しい女の口内を蹂躙する背徳的な征服感が上乗せされ、攻撃的な快楽を提督にもたらしている。
両手で翔鶴の頭をしっかりと抱え込み、前後に往復させる。
「んっ……んぐっ……ぐっ……」
喉の奥から、翔鶴が小さな呻き声を上げている。下腹に感じる鼻息も荒い。
陰茎が、いっそう強く締めつけられていた。
翔鶴には、舌を遣っているような余裕はない。反射的に歯を立ててしまわないように自制するだけで、精一杯のはずだ。
提督は腰を細かく前後させる。陰茎をあたたかく包む、ぬめった粘膜の心地よさに、自分を抑えていられない。
手の中で銀髪が揺れ、煌めいていた。
気配が這いのぼってくる。
呼吸を荒くしながら、提督は告げた。
「このまま出すぞ」
返事はない。頷くことも、眼で応じることもできない。
ただ、腿を掴む手に力が込められるのを感じた。
弾かれるように提督は達し、ほとばしらせていた。
喉奥で陰茎が収縮し、突き破らんばかりの勢いで精を放っていく。
翔鶴はぴくりと躰を震わせたが、身を引こうとはしなかった。
喉奥に挿し込んでいたことが幸いしてか、かえって
完全に出し尽くしてしまうまで、提督は翔鶴の頭を抑え込んでいた。
深く溜息をつき、ゆっくりと腰を引いて翔鶴の口から陰茎を引き抜く。
瞑目したままの翔鶴が、口の中にある精液の残りを嚥下した。
「ありがとう……ございます」
涙の滲んだ目を薄く開け、上気した顔で言った。口の端が、
行為の最中に乱れたのか、服の襟もとが大きく開き、白い下着と深い胸の谷間が覗けている。
いったんは
「──ベッドに行け」
際限のない自分の欲望に驚きを覚えながら、抑えた声で命じていた。
◇
ベッドの上で両手両膝をついた下着姿の翔鶴が、言われたとおりに尻を掲げてみせた。
「こ……こう、ですか?」
上体を深く沈めて背を反らすようにしながら提督を振り返り、不安そうに尋ねる。
翔鶴のすぐ背後、ベッドの脇に立った提督は答えず、黙ったまま眼下の尻へと手を伸ばした。
「はっ──あ……」
提督がその曲面の見事な尻をひと撫ですると、翔鶴は溜息のような声を漏らして躰を震わせた。
翔鶴が下半身に身に着けている下着は、両サイドを紐で結んだ、やや煽情的ともいえるデザインだ。布地の面積も、大胆なほどに少ない。
意外と肉づきの豊かな尻を両手で引き寄せながら、提督は自分の腰を突き出した。猛った陰茎を、翔鶴の下着の上からこすりつける。
提督が身につけているのは、前をはだけたワイシャツのみになっていた。
「あっ……」
翔鶴が、喜色を含んだ甘い声を上げる。尻に当てられている硬い物体の正体を、すぐに悟ったようだった。
提督は握った陰茎をなすりつけるようにして、すべすべとした布地の感触と、臀部の柔軟さを愉しむ。
鈴口から滲み出る先走った粘液が、下着の表面に
「すごぉ、い……硬いの、お尻に、当たる……」
寝具に頬をつける格好で上体を伏せた翔鶴が、独り言のようにつぶやいている。
提督は空いている手を前方へまわし、下着の中へと滑り込ませた。翔鶴がびくんと下半身を痙攣させ、ひときわ高い声を上げる。
「ひゃっ……! やぁっ、ん……」
下着の内側は、はしたなく濡れていた。
裂け目をなぞり上げる提督の指に粘った愛液がまとわりつき、くちゅくちゅと淫猥な音を響かせた。
「もうすっかり準備が整ってるじゃないか、翔鶴」
硬くなった陰核を包皮の上から刺激しつつ、提督は言った。下半身をしきりにくねらせている翔鶴には、その言葉はもう届いていないようだった。
「ああっ──そこ、いい……そこ、気持ちいいの──もっと触って……探って」
焦れたのか、翔鶴が自ら股間に片手を伸ばした。秘所を愛撫する提督の指に、自分の指を重ねてくる。
提督の指が膣内へと押し込まれた。翔鶴はどうやら、膣内部の快感を強く求めるタイプのようだ。
提督は、翔鶴の尻にひときわ強く陰茎をこすりつけた。
指で快楽のポイントを刺激しようとしていた翔鶴が、息を呑んで動きを止める。
上体を前傾させ、翔鶴に躰を重ねるようにして囁いた。
「──欲しいんだろう」
提督は腰を上下に揺する。屹立した陰茎が布地に引っかかり、翔鶴の臀部を刺激した。
口を開けた翔鶴は、呼吸を荒くしている。
「欲しかったんじゃないのか、これが」
耳もとで重ねて訊くと、翔鶴は布団に頬を押しつけたまま目を閉じ、こくこくと頷いた。
「欲しいなら、ちゃんと自分で言うんだ」
「あ……」
翔鶴が目を開け、提督を振り仰いだ。
「お願い……挿れて、ください」
「なにを」
「……提督の、硬いのを」
「どこに」
視線が絡んだ。
提督が頷くと、翔鶴はすべてを了解したようだった。
頭で上体を支えながら両手を腰の側面にまわし、下着の紐を引きほどく。
うっすらと糸を引きながら、小さな布切れが落ちた。
「広げて、見せるんだ」
命じられるままに、翔鶴は両手で尻の肉を押し広げる。
菊座ごと、色づき潤んだ女性器が露わになった。
涎のようにだらしなく愛液をしたたらせている。
頭部を布団につけた苦しい体勢のまま、翔鶴が口を開く。
「お願い……わたしのいちばん奥に、あなたの硬いのを、ください。……あなたが、欲しいの」
理性の限界だった。
提督は片足をベッドの上に上げ、翔鶴の腰を両手で抱えて、陰茎をあてがった。
震える声で、翔鶴が言う。
「ああ……ほんとうに……」
亀頭を入り口に触れさせた瞬間、避妊具を装着していないことに思い至った。
持参はしていたが、脱いだ制服のポケットの中だ。
構わず、そのまま腰を押し進めた。面倒な気分もあったが、それ以上に、粘膜を直接触れ合わせる行為への魅力に抗えなかった。
「あっあっ、硬いの、入ってくるぅ……!」
翔鶴が乱れた声を上げ、布団に上体をつっ伏す。
大量に分泌されていた愛液のおかげか、膣内への侵入はスムーズだった。最奥まで到達して、提督は溜息をつく。
陰茎をあたたかく包む内部も素晴らしいが、柔らかい尻の触感がまた極上である。
こうして背後から結合していると、細身の躰に似つかわしくないほどのそのたっぷりとした質感を味わえる。
提督は両手でしっかりと臀部を抱え、指先に感じるその肌のなめらかさに驚嘆しつつ、ゆっくりと腰を引いた。
「ひぁっ──ああぁぁ……!」
「うっ……」
翔鶴がひときわ高い嬌声を上げるのと同時に、陰茎から痺れるような快感が提督の背を突き抜けていった。
亀頭周辺に、膣内の肉襞が複雑なかたちで、きつく絡みついている。
挿入時にはそこまで感じなかった膣壁の抵抗が、引き抜く際には何倍にも増したように感じられた。
提督は息を落ち着かせると、ふたたび腰を押し出した。
すんなりと侵入していく。
最奥に達したところで動きを止め、先ほどよりもさらに慎重に、確かめるようにゆっくりと腰を引いた。
「んっ、ううぅぅぅ……」
苦悶に似た喘ぎを、翔鶴が漏らす。
ぞわぞわとうごめく快楽が、陰茎を包み込んでいた。
一個の独立した生きもののようだった。
入ってくる提督を優しく、貞淑に迎え入れておきながら、離れようとすれば切実に追いすがり、淫らな仕草で絡みついてくる。
提督が快感に包まれるのと同時に、翔鶴もまた深い悦楽の波に引きずり込まれているようだった。引き抜く動作に合わせて、あられもなく乱れ、言葉にならない呻き声を上げる。
執拗に、慎重に、緩慢なほどの動作を幾度も続けたあとで、提督は翔鶴の耳もとに囁いた。
「わかるな、翔鶴? 引き抜くときだ」
ぼんやりとした眼で提督を振り返り、翔鶴が頷く。
「……提督のが、すごく感じるところ、引っかかって……わたし、もう──」
「もう駄目なのか? まだ少ししか動いてないぞ」
言いながら、提督は少し速度を上げて腰を引いた。
「ああああっ──! だめ、だめ──それ、おかしくなっちゃう!」
翔鶴が悲鳴を上げ、激しく首を振る。
快感が深いのは提督も同様だが、先ほど放出している分だけ長持ちはしそうだった。
「翔鶴、少し我慢できないか? あとで達したほうが快感は深いぞ」
突っ伏したまま、翔鶴はぶるぶると細かく首を振った。額にはうっすらと汗が浮かび、透きとおるように白い肌は紅潮して桜色になっている。
「だめ……だめ、わたし……もう、がまんできない、きもちよくなっちゃう……」
「そうか」
言って、提督は最奥で細かく動作を開始した。翔鶴の躰が、びくんと跳ね上がる。
「て、提督……わたし、もう……!」
「構わない。好きなだけおかしくなっていいんだ」
一定のリズムで、腰を引く角度を意識しながら動作を続けた。雁首で膣の内壁を引っ掻くように刺激する。
ベッドの上で、翔鶴が全身を反らして叫ぶ。
「ああっ、あああっ──! もう、もうだめっ──! い、く……!」
肩をすくめた翔鶴が、唐突に全身を震わせた。躰のあちこちで、感電したような痙攣が走っている。
提督は動作を止め、翔鶴が躰を震わせる様子を見つめていた。静かに絶頂の感触を味わわせてやりたかった。
数分ばかりもそうしていただろうか。痙攣が収束してきたところで、提督は動作を再開した。
ゆっくりと始めたつもりだったが、翔鶴は過敏さを増している躰を大きく跳ね上げた。
「やっ、やだ、提督……! ま、まだ、動いちゃ──」
「駄目だ。気持ちよくなるなら、徹底的に、だ」
提督はベッドの上に乗った。
抗おうとする翔鶴の両肩を掴んで押さえつけ、躰を固定して抽送を繰り返す。
速度と激しさが増すように、腰の動きを変化させていった。翔鶴の尻が提督の股に当たって揺れ、爽快な音をたてる。
「あっあっあっあっ……また、きちゃう──またきちゃうから……!」
翔鶴が硬直し、躰を震わせる。
今度は、絶頂にも構わず動作を止めなかった。小刻みな律動をさらに加速させていく。
「ああ──ああっ──おねがい、おねがい──こんなの……こんなの、だめ……!」
切れぎれの翔鶴の懇願を、提督は無視する。
両腕を前にまわし、下着に覆われたままの翔鶴の胸を抱きしめる。
翔鶴の髪の匂い、汗の匂い、女の匂い──胸いっぱいに吸い込んで、首筋に接吻する。
陰茎を快楽に包まれながら、無心で腰を振り続ける。
交わりは、儀式のような敬虔さすら帯びはじめていた。
◇
「重くないか」
向かい合って繋がったまま、提督は躰の下に問う。
枕に頬を押しつけるようにして横を向いていた翔鶴が薄目を開け、すぐに閉じた。
「ん……だいじょう、ぶ」
提督は息を吐き、腰から上体にかけてそっと体重を移していった。静かに、翔鶴の弾力ある躰を上から押し潰すように圧迫する。
「は……ぁ……」
艶めかしい吐息を漏らした翔鶴が、提督の腰に両手をまわす。より強い密着をせがむかのように引き寄せてきた。
応じて、提督は腰をゆっくりと突き出していく。ぬちぬちと膣壁を押し分けた陰茎が最奥に達すると、翔鶴は白い喉を反らし、声もなく喘いだ。
後背位とはうって変わり、静かで穏やかな交わりだった。
落ち着いた動きであるがゆえに、快感はかえって深まっているのかもしれない。
胸に押しつけられる翔鶴の豊かなふくらみの柔軟さと、硬く尖った先端の対比が心地いい。
首筋に、そっと接吻した。なめらかで甘い香りのする肌を、舌先で撫でていく。
翔鶴が震えた。震えながら息を吸い、言葉を発する。
「どうして、ですか……提督」
提督は顔を上げた。
横を向いたままの翔鶴は、目を閉じている。提督を見ずに、続けて言った。
「どうして、そんなに優しくしてくれるの……」
「こういうのは、嫌か」
「ううん……嫌じゃ、ない。嫌なんかじゃない、けど──」
提督はゆっくりとした動作で腰を引き、突き出す。
突くたびに、枕の上で翔鶴が首を反らす。白い躰に鎖骨の形が、くっきりと浮かび上がる。
美しい光景だった。
「けど──?」
「……わたしみたいな女、あなたに、優しくされる価値なんて」
「いい女だよ、おまえは」
ゆったりとした上下運動を続けながら、提督は言った。
翔鶴が首を振る。枕にこすれた銀髪が、さらさらと乾いた音をたてた。
「わたしは……嘘つき、です」
翔鶴は言葉に詰まり、正面を向いて目を開けた。
潤んだ両方の瞳から、顔の横へとこぼれ落ちた涙が筋を引く。
提督は言った。
「いいんだ、翔鶴。誰だって、そうなんだ」
「そう、なの……?」
「そうさ。みんな、嘘つきなんだ。俺だって同じなんだ」
「提督も……」
翔鶴が提督の背を抱きしめ、両脚を腰に巻きつけるようにして密着してきた。
「私は──自分勝手な女です。いつも嘘をついて、体面を取り繕って……いい顔をしようとばかり」
「いいんだ、翔鶴。本当の自分は、いま、全部吐き出してしまうんだ。ベッドの上でなら、いくらでもわがままになっていい」
提督は腰のリズムを速めた。
潤いを増した翔鶴の膣から、激しく撹拌される音が響いている。
翔鶴が提督の間近に顔を寄せる。切迫した眼で見つめてきた。
「いいの……? 提督、わたし、わがままになって、いいの……?」
返事の代わりに、提督は全力で腰を叩きつけた。
マットレスに反発したふたりの下半身が、浮き加減になる。ベッドが激しく
翔鶴が強く提督にしがみつき、涙声でうったえる。
「ねえ、おねがい……提督、一緒に、気持ちよくなって……今度は、わたしだけじゃ、やだ……」
激しく躰を揺さぶりながら、提督は頷く。言われるまでもなく、快感と興奮が頂点に達しつつある。限界が近い。
「ねえ、一緒にいこ……一緒に、いきたいの。お願いだから、わたしの、なかに──」
翔鶴の膣が、うねるように収縮した。
瞬間、提督は絶頂した。
快感に、声帯が震えた。
尿道口から大量の精液が放出されていく。
翔鶴は声もなく全身を反り返らせている。
すべてを絞り出しきってしまうまで、身動きできなかった。
「おい、大丈夫か」
提督は肩で息をしながら、翔鶴を揺すった。
「ん……」
虚ろな眼を向けてきた翔鶴が、提督の首に手をまわして引き寄せる。
しっとりと唇を吸い、離れた。
「──やっぱり、好き」
そう言って、邪気のない笑顔を見せる。
幼い笑顔だった。
つられて提督が笑いかけた瞬間、背後で空気が揺れた。
振り向くと、部屋の入口に瑞鶴が立ちつくしていた。