由良は琥珀色の液体の残ったグラスをハイテーブルの上に戻し、深く息をついた。
「ごめんなさい──由良、もう酔っちゃったみたい」
そう言って目を閉じ、提督の肩に頭をもたせかけてくる。薄暗くしたダイニングの照明のもとで、頬がほんのりと染まっているように見えた。
ふたりが並んで腰掛けているスツールには、背もたれがない。少し迷ったが、提督は由良の肩へ手をまわしてさりげなく支えてやった。
由良が力を抜き、提督へ躰を寄せる。その体温と髪の香りに、提督はなんともいえない息苦しさのようなものを覚えていた。
「でも、すごくいい香り……なんですね」
提督の肩に頭を乗せたまま、由良が言った。
意味を測りかねて提督は束の間だけ困惑したが、すぐに眼の前にあるグラスの中身のことだと気づいた。
「ああ──ブランデーってやつだ。こうやって誰かにふるまう機会もあるかと思って、買っておいたんだ」
「え、じゃあ、由良なんかのために開けてもらっちゃったの、悪かった、かな……私の舌じゃ、せっかくのいいお酒が」
「そこまで高級品でもない。まあ、海千山千の呑んべえ連中にガバガバといかれるよりは、うぶな由良に飲んでもらったほうが酒もいくらか本望だろう」
「そう、かな」
「そうさ。少なくとも部屋の隅で埃をかぶっているよりは、味わってもらったほうがいい」
「……そう、ですね。それならきっと、嬉しいかも」
由良は、厚いグラスの中の液体を見つめて言った。少し姿勢を戻し、両手でグラスを持って口に含む。
可愛らしく顔をしかめた由良を眺め、提督は笑って尋ねる。
「どうだ?」
「ん……味は、やっぱりよくわからない、です。──ごめんなさい、私、お酒ってビールくらいしか飲んだことないから……」
「いや、俺にもわからんからな。やはり下戸ふたりでは手に余るな」
「……でも、香りは好き。飲んだあとに少しだけ、木の香りがして」
「ああ」
提督は自分のグラスを持ち上げ、ひと口だけ含んだ。
フルーツの甘さとアルコールの痺れるような感覚が舌にあって、ついでオーク材のようなかすかな香りが鼻へ抜けていく。
「なるほど、たしかに木の香りだ。熟成させるときの樽の匂いか」
「──それに、躰が熱くなってくる」
「かなり度数の高い酒だからな。そのせいだろう」
「ううん……きっと、それだけじゃない、から」
由良が提督を見上げて言った。見つめたまま、躰を寄せてくる。
唇がわずかに開かれている。
求められていた。
提督は、唇を寄せて応える。
「──提督さん、由良……ほんとうに酔っちゃった、かも」
由良が言った。両手をぴったりと提督の胸につけて、密着していた。開いた襟もとに、乱れた息遣いを感じる。
ポニーテールに結い上げた由良の髪の
この白い肌に舌を這わせ、思うまま舐めまわしたい──下卑た欲求が、提督の内側で抑えがたく膨れあがってきていた。
「つらいか」
「……うん」
「座っていられないほどに、か」
由良は提督を見上げ、こっくりと頷いた。頬を紅く染め、瞳を潤ませていた。
緊張と
「──寝室へ行こう。歩けるか」
◇
「提督さん──由良は、いけないこ、です」
そう言って由良は、前をはだけさせられた提督の胸に口づけする。
寝室のベッドの上に乗せられてから、由良は提督のシャツを掴んで離そうとはしなかった。
提督が寄り添って肩を抱いてやると、ぴったりと密着し、いつの間にやら提督のシャツのボタンを外してしまっていた。
意外な積極性に気圧されて──というわけでもないのだが、提督は由良のするがままにさせていた。
しっとりとした唇が肌に触れ、わずかに唾液で湿らされるのを感じた。
由良の呼吸が、浅く乱れている。
座り込んだベッドに手をついて躰を支えながら、提督は口を開いた。
「どうして、いけないんだ」
「ずっと……ずっと前から、こうしたいって想ってたんです。こうやって提督さんの肌に、キス、したいなって」
「想うだけなら、悪いことじゃない」
「そう……想うだけなら、です。今は、もう──」
由良が、提督の乳首に唇をつける。遠慮がちにではあるが、舌先を遣ってきた。もどかしい快感に身悶えしそうになり、提督はひそかに息を吸い込む。
「──提督さんの匂い……好き」
言いながら由良は、提督の
高く
提督の下腹近くで、欲望が充血して固まりつつある。
「俺も、想っていた──」
制服の隙間から由良の脇腹に手を這わせ入れながら、提督は言った。温かい絹地のような手触りに、感嘆の溜息が漏れる。
「──由良の肌に、舌を這わせたいと。這わせて、俺の唾液まみれにさせてやりたいと」
息を呑む気配があって、視線が絡んだ。
由良が躰を持ち上げ、唇を重ねてきた。
提督が唇を開いて迎えると、舌が挿し入れられた。
押し合って、絡みつけられる。
由良の口内は熱く潤っていて、匂いたつような発情の気配で満ちていた。
唇をわずかに離して、由良は哀願するように言う。
「お願い、いっぱい、して。由良のこと、いっぱい、舐めて」
強い羞じらいの表情を見せたものの、由良は従順に下着を脱ぎ、提督の顔を跨ぎこした。
緊張を窺わせるかすれた声で、提督に尋ねてきた。
「こう……ですか?」
体重が完全に提督へかかってしまわないよう、由良は注意を払っているようだった。曲げた両膝で躰を支えつつ、躰をわずかに反らせて片手をベッドについていた。空いたもう片方の手で、スカートを押さえている。
「前を上げて、見せるんだ」
提督は、スカート内へ差し入れた手を由良の裸の尻に添え、命じた。
胸の上に乗っている、柔らかく小ぶりな尻がぴくりと震える。
「さあ、由良」
なめらかな尻と太腿を撫でながら、提督は促す。手のひらに吸いつくような、素晴らしい手触りだった。
わずかな躊躇のあとで、由良がスカートの裾をそろそろとまくり上げた。
眼前に、潤い色づいた秘部が露わにされる。
見つめた。
視線で犯し、また自分がそうしていることを由良にも意識させるだけの、十分な間を置いた。
「いい眺めだ」
由良の応えはない。ただ呼吸の音だけが、はっきりと聞こえてくるほどに荒くなっている。
潤んだ秘裂から、愛液の
「──それに、由良の匂いもいっぱいだ」
提督の上で、由良が身じろぎする。
由良自身の躰が陰になって、その表情を下から窺うことはできない。だが、陰部は明白に潤いと熱気を増している。
提督は顔を横向け、白い内腿に舌を這わせた。
「はっ……あっん……!」
刺激に、由良が抑えきれない嬌声を上げる。
提督はさらに続けて、同じ箇所に幾度も舌を往復させる。繊細な
唾液に薄くまみれた部分からは、由良の甘く蕩けるような肌の匂いが立ち昇っていた。
軽く頬ずりをし、視線を正面に戻す。
「もっと前に、躰をずらしてくれ」
さすがに由良は躊躇した。
「で、でも……それは……」
「いいんだ。俺を窒息させるぐらいでも構わない。押し潰してくれ」
「う……」
尻の丸い曲面に、提督はそっと力を加える。
「さあ、由良。おまえに奉仕させてくれ」
由良は覚悟を決めたようだった。
「失礼……します」
提督の胸から尻が浮かされ、上体ごと躰が前傾させられる。
濡れた秘裂が、提督の口に押しつけられた。
「はあっ──あっ──あぁ──」
由良が声を上げて喘ぐ。反射的に腰を浮かせ、逃れようとする。
提督は由良の骨盤の付近を両手でがっちりと抑え、固定した。
由良の下半身は細身ながらも、意外なほどに充実があった。太腿に頬を挟まれ息苦しくもあるが、密着する肉体の熱が、不思議な安心感をもたらしてくれる。
提督は、陰唇をかき分けるようにして舌を回転させた。
「ひあっ、やっ、あんっ……」
声を上げ続ける由良の反応をひそかに愉しみつつ、ときに顔を細かく左右に震わせる。上唇や顎を含む口全体、あるいは顔や頭全体まで遣って、由良の陰部を責めたてた。
不意に鼻先が、硬く
「きゃう、んっ……!」
いちばん敏感な部分を刺激された由良はひときわ高い声を出し、躰を跳ね上げようとした。
提督は両手に力を込めて抑え、今度は意図的に、その部分へと鼻頭を押し当てる。
「やっ、やっあっ……そ、そこ、すごく、感じちゃうから、だ、め……!」
懇願しつつ、ごくわずかではあるが、由良は自分から腰を揺すりはじめていた。
秘裂の奥から溢れてくる愛液が、提督の顎までを濡らしていた。
唇を押し当て、じゅるじゅると、下品な音をことさらにたてて
愛液はとめどもなく、奥からさらに溢れてきた。
きゅっと、由良が提督を挟んだ太腿を締める。腰の動きが、いっそう大胆になっていた。
提督は、由良の腰を抑えていた手の力を緩めた。手綱を手放し、女を自由に
「ああっ……ああ……すき、だいすきなの……由良……あなたが……」
喘ぎにまぎれて、由良が切れぎれにつぶやく。
由良の片手が、髪の上から提督の頭を抑える。陰部に提督を埋めようとするかのように、由良が押し当ててきた。
激しく前後に、腰が振られている。
由良は夢中になって、快楽を貪っている。
提督もまた、顔を愛液にまみれさせ、これまでに経験したことのない昂ぶりを覚えていた。
◇
ふたりでともに、シャワールームへ入った。
脱衣所で服を脱ぐ際にはひどく恥ずかしがっていた由良だが、シャワーの前でいざ躰を洗う段になると、中身が替わったように甲斐甲斐しく、姉のような表情で提督の世話をやきはじめ、臆した様子はまったくなくなっていた。
髪が濡れないよう頭にタオルを巻きつけた由良が、泡立てたスポンジで提督の腋を熱心に磨いている。子供のように腕を上げさせられた提督は、由良の裸体をぼんやりと眺めていた。
張りのある乳房が揺れていた。やはり、着痩せするタイプなのだろう。着衣の状態からすれば驚くほど豊かな、それでいて均整のとれた躰つきをしていた。
衝動的に、提督は由良を抱き寄せた。
「あっ……」
「なんだか、まどろっこしくなってきた」
そう言って、驚く由良の手からスポンジを取り上げる。片手で、ふたりの躰の隙間へと搾った。
泡にまみれた手と全身を、提督はなすりつけるように動かした。
「……洗いっこ、ですね」
由良が笑顔を向けて、言った。提督の背に手をまわすと、控えめながら自分から躰を遣ってくる。
ぬるぬると、肌を絡め合う。ボディソープの泡に濡れた由良は、尋常ならざるすべやかさだ。
提督は憑かれたように、由良の背から尻にかけてを幾度も撫でた。きつく抱き寄せ、押し潰される胸の膨らみとその硬い先端の感触を堪能する。
提督は夢中になって、全身を激しくこすりつけていた。
「んんっ……」
腕の中で、由良が小さな呻き声を上げる。
瞬間、提督は我に返った。抱き寄せる腕の力を緩めた。
「すまん、痛かったか」
「いいえ、ぜんぜん。ただ……ちょっと、その……感じちゃって、声が出ただけ」
「悪かった。由良の躰が気持ちよすぎて、自分のことばかりになった」
「……うふふ、いいんです。由良の躰、いっぱい遣って……ね?」
由良は照れ恥ずかしそうだったが、心底から嬉しそうな顔をしていた。周囲を軽く見渡し、提督を見上げて言う。
「……提督さんのお風呂、浴槽がないんですね」
「ああ、造るときに、要らないかと思ってな。それほど広くもないし、シャワーでも十分だろうから」
「バスタブくらいなら、置けるのに」
「湯を溜めるのが面倒だ。躰を洗えればいいだろうと思っていたからな」
事実、自分が風呂好きであるとはあまり思ったことがない。もともとそれほど多汗な体質でもないので、艦娘たちと深い関係になるまでは、自分の臭いについてそれほど気を遣ってはいなかった。
由良は首を傾けて提督を見つめ、やがて何かを納得したように頷いた。
「そうね……提督さんって、そういうひと、ですね」
「そういうひとって、どういうひとだ」
「自分が楽しんだりくつろいだりすることを、後まわしにしちゃうひと」
そう言って由良は、提督の首に腕をまわして抱きついてくる。
「さっきだって、由良のほうばっかり気持ちよくしてくれて……もっと、自分勝手してくれてもよかったのに」
「いまは、くつろいでいるさ」
「うん……でも、もっともっと、くつろがなきゃ。提督さんがリラックスしてくれるためなら、由良、なんでもしてあげたいの」
由良が、視線を下げた。硬直しきった提督の局部を見て言う。
「ここも、ずっとかちかち──なんですね」
天を向く陰茎に、由良が手を伸ばしてくる。先ほどから躰にあたっていたせいでか、手で触れることには抵抗がなさそうだった。
赤子に接するような慎重な手つきで撫でながら、由良は目を見張った。
「すごい……ほんとうに、こんなに硬くて大きいのが、由良の躰の中に、入っちゃうの……?」
「入ってしまう、だろうな。最初はスムーズにいかないこともあるかもしれないが、女の躰は驚くほど柔軟だから」
「ああ……」
由良が、切なげな溜息をつく。
「欲しい、欲しい、早く欲しい……提督さんのこれで、由良、壊されちゃいたい……」
あまりにも大胆な発言に驚き、提督は言葉に詰まった。
由良が、はっと口を押さえた。
「や、やだ。由良、今のは声に出して言うつもりじゃなかったの……! おねがい、今のなし、だから──ねっ、ねっ?」
意識せず胸を押しつけつつ必死にすがってくる由良を押しとどめながら、提督は笑って言う。
「お願いされてもな」
「ほんと、おねがい……由良、なにも言わなかったことにして、ねっ?」
「仮に言わなかったとして、思ってたことに変わりはないじゃないか」
「もう……やだぁ。ほんと、恥ずかしい」
由良が、顔を手で覆った。泡のついたままのその躰を引き寄せて、提督は言う。
「──とりあえず、躰を流すか。早く欲しがってるのは、由良ひとりだけじゃないかもしれないからな」
◇
ベッドの上で仰向けにした由良の両腿を、提督は鷲掴みにして開かせる。避妊具を装着した陰茎を裂け目に沿って動かし、愛液をなじませた。
「さあ、ご褒美だ」
半分おどけて言ったつもりだったが、由良は真剣な面持ちで頷く。
わずかに気まずくなった空気をごまかそうと、提督は躰を乗り出して由良の唇に口づけした。
ほどかれた薄桃色の豊かな髪が、枕から布団の上へ流れ散るように広がっている。髪をほどき、一糸まとわぬ姿で横たわる由良は、神秘的といってもいいほどの可憐な美しさであったが、大きく開かれた脚の間を愛液で潤ませているその欲深い光景との対比が、提督の興奮をひどく誘っていた。
「提督さん──」
由良が、提督の胸に触れて言う。
「由良は、幸せものです。ほんとうに今夜は、夢みたいな夜」
「──喜んでくれているのなら、よかった。……実を言うと、俺は、こういうことにあまり自信がない」
「一生、忘れません。今夜のことは」
提督は頭を掻いた。薄いラテックスを隔てて触れ合ったままでいるお互いの下腹に、視線を落とす。
「無粋なものをつけていて、すまないな」
「ううん、いいの。由良も、わきまえないと」
「またいずれ、そのうちに……」
提督は言葉を濁す。この場で避妊の方法やら今後の関係やらを話し合うのは、あまりにも興醒めな気がした。
提督の首に、由良が腕を絡めてきた。どこか華やいだ、嬉しそうな顔をしていた。
「そうですね。またいずれ、そのうちに──ですね」
由良は笑顔でそう言うと、提督に顔を寄せた。耳もとで囁く。
「ね……早く、欲しいの。由良、ずっとずっと、待ってたから。だから早く──ご褒美、ちょうだい」
提督は、頭に血がのぼるのを感じた。腰の動きだけで陰茎をあてがい、体重をかけて押し進めた。
「ふ、あっ──!」
ひと息に貫いていた。
膣壁をかき分けて侵入した陰茎が、愛液にぬめった最奥に達する。
密着の度合いを高めようと、提督は細かく腰を前後させる。
「あっ……んっ……はっ……」
由良が首を反らせ、甘い気配の漂う声を上げていた。
提督は小刻みに腰を動作させながら、尋ねる。
「いいか、由良」
「う、うん……いい……すごく、きもちいい……もっと……もっと、強くしても、だいじょう、ぶ」
提督は、左右に開かせている由良の両脚を、肘のあたりに引っかけた。由良の躰をさらに屈曲させ、もっとも深く、きつく密着する体勢を選択する。
陰茎を深く突き刺し、先端で膣奥の門に圧力を加える。
「あっ……んぁっ……! そ、それ、きもちいい……! 奥のほう、すきっ……!」
髪を乱して由良が叫ぶ。
提督は律動しながら、膣内の愛液の分泌量の多さに驚いていた。けっして広い構造ではないのだが、陰茎の滑りがよく、引っかかりにあまり気を遣うことなく、大きな腰の動きを組み入れることができる。
ひとしきり突き上げたのち、提督は由良の両脚を閉じさせ、躰の前で抱えるようにした。
突きは浅くなったが、膣腔が狭く閉じて陰茎への密着感が高まる。
結合部から、じゅぷじゅぷと愛液が溢れる音が聞こえてきた。
「あ、んっ……こ、これも、すき……さっきよりも浅いところ、くちゅくちゅされて、きもちいい……」
揃えて抱えた白い両脚を、提督はしきりに撫で、張りのあるふくらはぎに舌を這わせた。いつまでも舐めていたいと思えるほどの、素晴らしい肌の味と舌触りだった。
「あ……由良の脚、ぺろぺろしてくれるのも……好き……」
蕩けたような声で言って、由良が提督を見つめる。律動のペースを緩めているために、由良のほうでも余裕がでてきたようだ。
「由良は、なんでも好きなんだな」
脚に頬をすり寄せながら、からかうように提督は言った。由良が笑って頷く。
「うん……由良、提督さんがしてくれること、ぜんぶ、好き……だって、大好きなひと、なんだもん」
「ほんとうに?」
提督は由良の左右の足首を掴み、広げた格好で由良の頭の側へと躰を前傾させた。
「きゃっ──」
短い悲鳴には頓着せず、足の甲がベッドにつくほどにまで、由良の躰をくの字に折り畳んだ。
完全に由良を制した体勢で繋がったまま、提督は中腰の姿勢をとった。由良の顔を覗き込むようにして、尋ねる。
「こんなふうに、恥ずかしい格好にされても、か」
「……うん、好き」
由良は顔を真っ赤にしていたが、嬉しそうに頷いた。
「いっぱい、由良のこと、恥ずかしくして……」
返事の代わりに、提督はゆっくりと腰を落とす。結合部の真上から、陰茎に体重をかけて奥底へと押し込んでいく。
「あっあっあっ……これ、深い……すごく奥まで、きちゃう……」
由良は快感で顔を歪め、首を左右に振って言った。
わずかに腰を上げ、次はさらに深く──卑猥な体勢で、提督は由良の奥を執拗に責める。
白く濁った愛液が秘裂の前方から溢れ、由良の肌をつたい落ちていく。
由良は、内側に汁気の多い体質のようだった。避妊具なしでの挿入ならば、温かい愛液に亀頭が包まれる快感はどれほどのものだろうか──下卑た想像をしていることに提督はふと気づき、そのことに対する苛立ちを由良への責めに転嫁していった。
やがて、由良の躰全体の肌の色が、うっすらと桜色に染まってきていた。
「て、提督さん──由良、もう、おかしいの──おかしくなっちゃいそうなの」
泣き顔の由良が、切迫した声でうったえる。
提督は由良の足首を解放し、姿勢を低くした。躰の密着の度合いをより強めた体位をとる。
「おかしくなってしまえ。由良は、俺に壊されたいんだろう」
提督が言うと、由良は息を大きくつき、頷く。
「ああ……そうなの、壊されたいの。由良、提督さんに壊されてしまいたいの」
「壊れていい。好きなだけ壊れてしまえ。俺が抱きしめていてやる」
「抱きしめて……キスして」
つき出された唇に、提督は即座に応える。
唇が重なると、由良は口内に提督を迎え入れてきた。
とろりとした感触だった。
舌を絡め、存分に味わい合う。
律動が速まる。
肌と肌のぶつかる音に、湿った音が入り交じる。
終局が近い。
不意に由良が唇を外し、提督の下で躰を反り返らせた。
「い、く……!」
腕の中で、白い躰が波打っている。提督は誘われるまま、精を放った。
射精を終えて息を大きく吐き出し、由良の首もとへ突っ伏す。
汗の浮いた由良の肌から、複雑で心地よい女の香りが立ち昇っていた。
性交のあとで、全身の肌と粘膜が鋭敏になっている。
発散したはずの欲求がふたたび下腹で凝結していくのを、提督は知覚した。
夜はまだ、さほども深まってはいない。