※この作品はR-18です。

艦娘抱けるかな   作:狂猫病

38 / 39
リターニー・ガール高速戦艦、歓天喜水の創愛 *

 シャワーを浴びていくか──と尋ねると、数秒間の沈黙が返ってきた。

 私室の入り口から数歩室内に入ったところで、金剛は硬い表情のまま立ちつくしていた。

 提督は笑って、クローゼットから取り出したタオルをその濡れた頭にかぶせた。

 

「冷えただろう? この時期にそんな薄着で、雨にも濡れて」

 

 固まっている金剛から、貸していたコートを脱がせてやった。表面についていた細かい水滴を払ってポールハンガーに掛ける。

 防波堤から鎮守府本棟に戻ってくるまでの短い間で、降りはじめの雪は本降りの氷雨に変わり、ふたりを頭から濡らしていた。

 提督はシャツが躰に張りつき、コートを着ていた金剛も巫女服の裾が雨水を含んでしまっている。

 

「シャワーって、テートクの部屋におフロ、あるんデース……?」

 

 金剛が提督を上目遣いで見ながら言った。

 濡れた髪先から水滴が落ちている。

 提督はタオルで挟み込むようにして髪を拭いてやった。

 

「おまえが前線に出たあとな、この鎮守府では大きな改装があった」

「改装」

「鎮守府のいくつかの建物を改築したんだ。この部屋はそのついでだな」

「それで、こんなホテルルームみたいに」

「小綺麗になっただろう? 風呂については、いつまでも艦娘用の浴場を深夜に借りるというのもさすがに不便すぎたからな。少しばかり贅沢だが、シャワールームをつけさせてもらった」

 

 金剛は室内を物珍しそうに見まわしていた。

 執務室回りは、改装によって大きくその体裁が変わった。

 私室自体は改装以前から備わっていたものだが、デザインと施工を担当した明石がひときわ気合を入れて建設系の妖精を使役したため、きわめて瀟洒(しょうしゃ)な仕上がりとなった。

 

「──ほかには、工廠も建屋を大きくしたし、資材用の倉庫も新築した。艦娘たちの生活棟も大きく改装して、棟をいくつか増やした。気がつかなかったか」

「ウーン……見てなかった、デース」

「ま、すぐにわかるだろう。以前におまえたちが暮らしていた生活棟は、今は駆逐艦の寮だ。戦艦のほとんどは別棟の個室に入っている」

「個室……」

「とりあえず金剛の部屋もそちらに用意してあるが、気に入らなければほかに移っても構わない。あとで案内する」

 

 金剛がうつむいていた。

 どうした──と提督が声をかける前に、金剛はポツリとつぶやいた。

 

「みんな、変わっちゃった……デース」

 

 少し硬い微笑みに、寂しげな眼をしていた。

 提督は金剛の肩に手を置いた。つとめて明るい口調を意識して言う。

 

「すぐに慣れる。どうせ変わったのは、外面(そとづら)ばかりだ」

「ソトヅラ」

「中身は変わりようがないってことだ。まあ、少しばかり新顔が増えたが」

「ニューフェイス──新しいコたち?」

「そっちは明日からでも適当に顔を合わせていけばいい。きっと皆、喜ぶだろう。なにしろ、伝説に会えるのだからな」

 

 金剛が不思議そうな顔をして小首を傾げる。提督は微笑みかけた。

 

「おまえのことだよ。まだおまえを見たことのない艦娘でも、この鎮守府にいる全員が、前線をずっと支えつづけていた金剛という指揮艦の存在を知っている。艦娘たちの間では、まさに生ける伝説だ」

 

 棒を呑んだような表情で、金剛が固まった。呆気にとられて開いた口から、エ……という小さな声が漏れ聞こえてくる。

 

「変化にはすぐに慣れる。百戦錬磨の艦娘であるおまえが皆の前で明るくふるまっていてくれれば、士気の面で大いに助かる。できるか?」

「ウン……ダイジョーブ」

「近いうちに大きな作戦もある。金剛にも少し働いてもらいたい仕事ができた。──頼りにしてるからな」

 

 タオルの上から、金剛の頭を撫でた。

 金剛は泣きだしそうなほどに表情を崩し、すぐにそれを隠すかのように抱きついてきた。

 懐かしい感触だった。

 

「落ち着いたか」

「──ウン。アリガト」

「なら、早くシャワーを浴びてきたほうがいい。すっかり躰が冷えているぞ」

 

 金剛が少し躰を離して、提督の濡れたシャツを引っ張った。唇をすぼめて言う。

 

「テートクのほうが、濡れてるネ」

「俺はいい。こんなんでも海軍の端くれだからな。この程度で寒いとかぬかしていたら、兵学校も初日で落第だ」

「でも──」

「いいから。──ああ、おまえがシャワーを浴びているうちに洗濯機を回しておくから、いま着ている濡れた服は、脱衣所の編みカゴの中にな」

 

 提督は金剛の背を押すようにしてシャワールーム前の脱衣所まで連れて行った。

 どこか複雑そうな表情をしていた金剛も、最後には折れて先にシャワーを浴びることを納得した。

 扉を閉める直前に、振り返ってきて言った。

 

「テートクがいちばん、変わっちゃったネ──」

 

 

 

 ◇

 

 濡れた服をTシャツに着替え、ふたり分の洗濯物を入れた洗濯機の動作設定も終えた。

 提督は手持ち無沙汰な思いでベッドに寝っ転がっていた。

 洗濯機のモーターの作動音にまぎれて、シャワールームの水音がかすかに聞こえてくる。

 暖房が少し強すぎるのか、エアコンから吹き出してくる生暖かい風がどこか気持ち悪くもあったが、立ち上がってリモコンを手に取るのが億劫だった。

 仰向けのまま、提督は目を閉じた。

 つい最前に抱きついてきた金剛の柔軟な躰の感触が、胴に残っていた。

 かつて金剛が鎮守府にいた頃の、さして遠くもない昔のことを思い出そうとする。

 ほかの艦娘たちの前ではやたらと抱きついてきては提督を困らせ、それを愉しんでいるふうでありながら、一対一の場面では妙にキッチリと一線を守るのが金剛という艦娘のふるまい方だった。

 吹雪とは特別に仲がよく見え、まるで保護者であるかのようにふるまうこともしばしばだった。

 その吹雪と肉体関係をもったうえ、鎮守府全体に関わる混乱をもたらしてしまったことをどのように打ち明けたものか──瞑目して頭を悩ませている提督の瞼(まぶた)の裏に、失望と軽蔑の眼で見つめてくる金剛が浮かんできた。

 提督は顔をそむけて、その視線から逃れようとする。

 

 

 ハッとして、目を開けた。

 すぐ間近で金剛が両手で頬杖をつき、ニコニコと笑っていた。

 ベッドサイドのカーペットの上に腰を下ろした金剛は、提督の貸した白のTシャツと黒いハーフパンツ姿だった。

 提督は目をこすって壁の時計を見た。日付がすでに変わっている。

 おそらく30分以上、寝入ってしまっていたことになる。

 

「──すまない」

 

 かすれた声で、提督はどうにかそれだけを言った。

 金剛は頬杖をついたまま、提督を見ていた。

 

「ドーして謝るデース?」

「おまえをほったらかして寝ていた」

「ノープロブレム、ネ。さっきシャワーからアガッてきたばかりだし、テートクのレアなカワイイ寝顔、見れたデース」

 

 金剛は変わらず笑みを浮かべていた。

 ふと、金剛の雰囲気がいつもと異なっているような気がした。どこか、少しだけ稚(おさな)いような、より柔らかな印象に感じる。

 少し見つめて、普段なら頭の後ろにある、特徴的な髪の編み込みが下ろされていることに気がついた。

 長い付き合いだが、髪を下ろした金剛を見たのは初めてのことだった。

 提督はベッドの上で上体を起こし、変わらずベッド脇に腰を下ろしている金剛と向き合った。

 30分ばかりで目を覚まして幸運だったと思った。

 寝ている間で、金剛に出て行かれてしまっていても文句を言えない状況だ。

 

「──よかった」

 

 心底から安心して言った。

 金剛は驚いたように、パチパチとまばたきをした。

 

「ファッ? ナニが?」

「いや、なんというか──おまえがどこかに、行ってしまわなくて」

「ドコかって、ドコに? わたし、まだマイルームの場所もしらなかったヨ」

「いや……」

 

 曖昧に、提督は言葉を濁した。

 ひとりで寝てしまっていたことを過剰に悪がるのも、その言葉の裏で下心を表明しているようできまりが悪い。

 もちろんシャワーを浴びさせている時点で、下心があるのは明白ではあるのだが。

 金剛がやわらかく微笑んだ。

 

「ダイジョーブ。ひと晩中でも、テートクの顔を見ていたデース」

「……物好きだな」

「ウン……スキ」

 

 見つめてくる視線の中に、感情が込められていた。

 提督は吸い寄せられるように顔を寄せ、金剛は目を閉じた。

 唇が重ねられる。

 防波堤のときのような、激しい、血の味のする接吻ではなく、どこまでも柔らかな感触の、ほのかに甘く香るキスだった。

 

「……また、シちゃったネ」

 

 金剛がうつむいて笑い、言った。

 照れ笑いだった。頬が赤くなっている。

 提督は金剛の髪を撫でた。

 

「──下ろしたんだな」

「アー……ウン。チョット迷ったけど、シャワーのときにヘアウォッシュして。──ジツはテートクがスリーピングのあいだ、こっそりドライヤー借りちゃったネ……エヘヘ」

 

 照れ隠しにか顔を伏せて笑い、金剛は舌を出した。提督は首を振り、それでよかったと告げた。

 丹念に髪を撫でつづける。

 乾かしたばかりなのだろう、まだほんのりと温かかった。

 

「──なあ、金剛」

「イエス?」

「今夜、一緒にいてくれと言ったら」

 

 大きな目をさらに大きく見開き、金剛は唇をわななかせた。

 下げた視線をあちこちにさまよわせたあとで、提督を上目遣いで見た。

 

「それって……メイク・ラヴ、する、ってコト?」

「そうだ」

 

 うつむいたまま、かなりの間、黙っていた。

 やがて、耳朶まで赤くした顔でコックリと頷き、ウン──と小声で言った。

 次の瞬間には、飛びつくように抱きついてきた。

 提督の耳もとに口を寄せ、消え入りそうな声で言う。

 

「でもプリーズ、クラくして……見られるの、ハズカシイから」

 

 

 

 ◇

 

 室内灯のオレンジ色の光のもとで、金剛の肢体は輝いて見えた。

 すでにハーフパンツを脱がせた金剛の下着の中に手を差し入れ、提督は愛撫を続けていた。

 首に、金剛が両腕ですがりついてきている。

 直接の愛撫を始めてからいくらも経たないうちに、その部分からぐっしょりと溢れてきているのがわかった。火傷するかと錯覚するほどの熱を帯びている。

 

「ハ、ンッ……ア……ン……」

 

 耳もとで、金剛が息とも声ともつかない喘ぎを発していた。

 膣からはとめどなく愛液が溢れ、指をつたってシーツに滴(しずく)が落ちている。

 金剛の温かな髪の芳香と、耳朶をくすぐる呼気に提督は情欲を刺激されていた。

 

「よく濡れているな」

 

 指での愛撫を止めずに提督がそう囁くと、金剛はとろんとした表情を向けてきた。頬がひどく紅潮していて、まるで酩酊しているかのような様子だ。

 

「エ……そう、なの……?」

「もうびしょびしょだ」

「ヤッ……ン……よく、わかんない、デース……」

 

 金剛は喘ぎながら、舌足らず気味に答えた。紅潮したその耳に唇を寄せ、提督は囁いた。

 

「ほら、音、聞こえるだろ」

 

 下着の中で提督は、指の腹を陰唇にこすりつけた。

 くちゅくちゅと粘った水音が秘めやかに、しかしはっきりと響いて聞こえた。

 金剛が息を呑み、背を丸めるようにして縮こまる。

 

「ノゥ……プリーズ、テートクゥ……」

「嫌か?」

 

 尋ねつつ、手の動きは止めない。本気で拒否しているわけでないのは明らかだった。

 金剛は愛撫に反応して吐息を漏らしながら、提督の胸へこすりつけるように頭を左右に振った。

 

「ウウ、ンッ……ヤじゃ、ない……ケド」

 

 金剛の顔も躰も、秘部も、すべてが烈しい熱を発していた。

 提督は細かく指先を動かし、入り口を弄(いら)った。

 ちゅくちゅくちゅくちゅく……と、さらに明白な水音をたてながら、濡れた陰唇が指にまとわりついてくる。

 金剛の腰が切なげに震えはじめていた。

 テートク、テートク──と、腕の中の金剛がうったえかけてくる。

 

「どうした」

「おねがい……ネぇ、おねがい……もう、ハズカシいから、ダメ……」

 

 金剛は目を潤ませて提督を見上げてきた。

 愛撫を続けたまま、提督は金剛の耳もとに唇を寄せて囁く。

 

「──気持ちがいい、だろう」

「ウン……イイの、とっても、イイの……だから……」

「恥ずかしがらなくていい。そういう金剛の姿を見て、俺も興奮している」

「ホント……? テートクも……?」

 

 熱っぽい視線を受けて、提督はズボンの下で膨れあがっている自らの股間を金剛の太腿に押しつけた。

 金剛が下を向いた。驚きに目が見開かれる。

 

「ア……」

「な」

「ウン……おっきくなってる……スゴい」

 

 しばらく金剛は太腿を微妙に動かし、提督の硬直の感触を探るようにしていた。

 やがて意を決したような眼で手を伸ばし、ズボンの生地の上からその膨らみに触れた。

 

「アァ……」

 

 金剛が溜息混じりの声を上げる。

 切なげな眼で凝視しながら、硬直に添えた手のひらをゆっくりと上下に動かしはじめた。

 硬い、遠慮がちな動きだった。

 布地越しということもあって、快感よりももどかしさのほうが上回っている。

 生唾を呑み込み、提督は言った。

 

「直接、触ってくれ」

 

 金剛の返答を待たず、ズボンとパンツを雑に脱ぎ捨てて下半身だけ裸になる。

 臆面もない硬直を露わにした。

 金剛が目を丸くして見つめている。

 提督は金剛の手首を掴んで引き、茎部の根元からその中ほどまでにかけてを愛撫するよう導いた。

 柔らかくほっそりとした手指が上下し、脈打つ充血器官の形を確かめていく。

 

「こ、こう……?」

 

 提督をチラリと見て、金剛が尋ねてきた。

 

「ああ──上手だ」

 

 答える声が震え、かすれた。

 清純なものを穢(けが)しているという背徳感が強く、それがさらなる欲望を煽りたてていた。

 安心したように、金剛が笑顔を向けてくる。

 躰を伸ばすようにして唇を重ねてきた。

 舌を差し出してやると、金剛は控えめに吸った。

 提督は再び、秘裂を指で断ち割った。

 

「アッ……ハゥ、ン……」

 

 重ねた唇から、金剛が甘い声を上げる。

 いいかげんに邪魔になってきた金剛の下着を、提督は空いている手で押し下げた。金剛はわずかに腰を浮かせてくねらせ、積極的に協力して脱いだ。

 露わになった互いの下半身を片手で愛撫しつつ密着し、深い接吻を交わす。

 舌が複雑に絡み合っている。

 金剛の口内はその膣内と同じように、蕩(とろ)けた熱でいっぱいだった。

 濃く粘る唾液から、興奮と発情の味がしていた。

 金剛の舌と唇の感触に、提督は強い衝動を覚えた。

 一度それを自覚してしまうと、もう抑えることはできなくなっていた。

 提督は躰を起こした。

 仰向けに寝ている金剛の、その顔の真横に膝立ちになる。

 

「オゥ……」

 

 凝視して、金剛が息を呑んだ。

 提督は怒張を握りしめ、腰をつき出した。

 瑞々(みずみず)しい唇へ、すでに透明な粘液を滲ませていた先端を無遠慮に擦(す)りつける。

 

「ン……」

 

 亀頭の動きにあわせ、金剛が唇を尖らせてキスのかたちをつくった。

 やがて実際に、チュ、チュ──と、控えめな音をたてて吸ってきた。

 快感に震えながら、提督は腕を伸ばして秘裂への愛撫を再開した。

 不自由な姿勢ながら陰核を中心に指先で撫でまわしていると、すぐに金剛が自ら快を求めて腰を動かしはじめた。

 唇の隙間からほんのわずかにだけ差し出された舌先が、鈴口をちろちろと刺激してくる。

 提督は衝動のままに、金剛の口内へと陰茎を押し込んだ。

 

「ン……クッ」

 

 金剛が小さく呻き、苦しげに眉根を寄せた。

 しかし、拒まない。

 逆に、口を開いて提督を迎え入れた。

 提督は思わず、感嘆の言葉を漏らしてしまう。

 

「ああ──最高だ」

 

 口内は期待したとおりに熱く湿っていた。

 そのうえさらに提督に快を与えようと、金剛が唇と舌で奉仕を加えてきた。

 陰茎に血流が巡り、力強く脈打ちはじめる。

 提督は腰を前後に揺すりはじめた。金剛の頬の内側の粘膜に、亀頭を思いきりこすりつける。

 極上の快楽だった。

 陰茎を突き上げ、端正な顔立ちを内側から歪めてみせる。

 強烈な征服感と背徳感があった。

 身勝手な快感に、提督は躰の芯から震えていた。

 一方で金剛は健気だった。

 歯を立てぬよう配慮しながら、絞るように唇で茎部を締めてきている。

 さらに口内では、さりげなく裏筋に舌を這わせてきた。

 献身的だった。

 そのように尽くしながら、もどかしげに腰を振って愛撫を求めてきていた。

 

「もっと……もっと、イジッて」

 

 腰の動きで陰茎が外れてしまった際に、そう懇願してきた。

 秘部にある提督の指に自分の指を重ね、強く圧迫してくる。

 尽くすことで、金剛のほうでも欲望を駆りたてられているのだった。

 提督はさらに深く、金剛の口内へ陰茎を突き挿した。

 金剛の腰が淫らに動く。

 提督は一気に興奮の頂点へ達した。

 ぞくぞくとした快感が腰の後ろを這い上り、粘度の高い液体が尿道をほとばしっていく。

 

「イくっ──イくぞ、金剛──!」

 

 叫んで、射精していた。

 その瞬間、金剛の口から離れてしまった。

 美しい顔へ、思いきりぶちまけることになった。

 勢いよく、放出していた。

 唇、頬、鼻筋へ、粘度の高い白濁が無遠慮に散る。

 ひとしきり出しきって、提督は深く息をついた。

 終えたとたんに、罪悪感が押しよせてきた。

 金剛は大量の精液に顔を汚されたまま、仰向けに横たわっている。Tシャツに包まれた胸が大きく上下していた。

 

「すまん──」

 

 提督はサイドボードの上にあったティッシュ箱から数枚を引き出し、金剛の顔を拭こうとした。

 金剛が微笑み、それを押しとどめた。

 顔の白濁の一部を指ですくうと、まじまじと眺める。

 

「──ワーゥ。ドロドロ、デース」

「調子にのって悪かった。いま、拭くから」

「ン……ノー、ノープロブレム、ネ」

 

 金剛は指先を口に含んだ。わずかに顔をしかめる。

 

「──おい」

「ナンデース?」

「そんなことをしなくていい。不味いだろう」

「ンー……そんなに、マズくないヨ。スッゴく、ニガいケド」

「苦いのを我慢しなくていい」

「イイの。だって、スキ、なんだモン。──ゼンブ、テートクのテイストだから」

 

 金剛は顔に散った精液をぬぐい取っては口に運び、嚥下しつづけた。そのさまを提督は呆然と眺めていた。

 

「もしかしたら……オイシイ、のかも。クセになりマース」

 

 精液の大部分を舐めつくしたあとで無邪気に微笑んでそう言い、音をたてて指をしゃぶった。

 下半身をしどけなく剥き出しにしたままの金剛の、そのどこか得意気な様子を見ているうちに、提督はまた自分の内部に何かが兆してくるのを感じた。

 気がつくと、のしかかって金剛の顔を跨いでいた。

 

「ファッ──テートク!?」

 

 驚きの声を上げる金剛に構わず、愛液に濡れた秘部へとむしゃぶりつく。

 さらに何ごとかを言っていたようだが、耳に入らなかった。

 充実した肉づきの太腿を顔で強引に押し割り、唇をつけ、音をたてて啜(すす)った。

 

「ア、ウ……ンッ……アアッ……!」

 

 高い喘ぎを発しながら、金剛は身を捩(よじ)ってわずかに抵抗する様子を見せた。

 しかし提督の顔を挟みつける太腿の力はすぐに弱まり、甘えた迎合の気配を滲ませはじめた。

 提督は秘裂を丹念に舐めた。秘部の熱を、顔全体で感じた。

 金剛が、顔の上に乗せられた陰嚢へ舌を這わせてきている。皺と皺の間まで舐めつくそうとするような懸命さだった。

 

「ハッ、ハッ、ハッ……」

 

 金剛の荒い息遣いが聞こえる。呼気が陰部をくすぐっていた。

 獣のように、互いの性器を貪り合った。

 提督は視線を下げ、自分の下半身を見やった。

 金剛の表情を窺い知ることはできなかったが、形の良い顎をこちらに向け、必死に舌を伸ばして陰茎を舐めようとしているのが見えた。

 もう、止まることができなくなっていた。

 提督は陰茎を手で支えて角度を変え、金剛の口内に挿し入れた。

 加減せず思いきり突き立てる。

 本能のままに、金剛の顔の上で腰を振った。

 狭い喉奥で亀頭が圧迫され、たちまち絶頂の気配が湧き上がる。

 夢中になって金剛の膣内に舌を挿し入れ、掻き回した。

 立ちこめる女の匂いを鼻腔に満たしながら、提督は金剛の喉奥へと精を放った。

 

 

 

 ◇

 

 本交に至らぬまま、ふたりして汗やら何やらにまみれてしまったので、シャワーを浴びることにした。

 先に顔や口内だけを洗いたいと主張する金剛に背を押されるようにして、提督はひとりシャワールームへと入った。

 熱い湯を頭から浴びた。

 躰の中に張り詰めていたものが、溶けて緩んでいくような気がした。

 浴びているうちに、背後で戸がカラカラと音をたてて開いた。

 髪を頭の後ろにくくり上げた、一糸まとわぬ姿の金剛が入ってきた。その肢体のあまりの優美さに提督は呆け、思わず見とれた。

 

「ダーメ。そんなに、見ないで」

 

 金剛が素早く躰を寄せてきて、提督の目を両手でふさぐようにした。

 密着することになった。

 弾力のある胸が、提督の躰に直接押しつけられている。

 

「わかった──こうか。これなら見えない」

 

 提督は金剛を抱きすくめた。

 どこまでも柔らかい躰を、両腕で抱え込んだ。

 金剛はウン──と小さく答えて、提督の背に両手をまわしてきた。

 そうやって抱き合って、ふたりでともに湯を浴びた。

 金剛の二の腕の肌の表面を、球になった無数の湯の滴がコロコロと流れていく。その信じがたいほどの張りを、提督は自分の指で触れて確かめ、思わずつぶやいた。

 

「おまえは──綺麗だ」

 

 金剛が提督を見た。じっと見つめたあとで、ふっと微笑んで言う。

 

「どうしたノ? テートクが、オセジなんて」

「お世辞なんかじゃない。初めて会ったときから、ずっと思っていたことだ。──おまえは、綺麗だ」

 

 金剛の瞳が揺れた。提督の背にまわした手に力が込められ、より強く密着してくる。

 

「初めて、そんなふうにホメられたデース……テートクに」

「悪かった」

「ノーノー、イイの……わたしはゼンブ、ワカってた、から」

 

 そう言って顔をすり寄せてくる金剛を、提督はただ抱きしめる。

 抱きついてくる金剛をこのように抱き返せるようになるまで、ずいぶんと長い時間がかかったものだった。

 

「……でもテートクって、意外とワイルドなのネ。それはチョット、驚いたデース」

 

 胸に頬をすりつけたまま、金剛が言った。先ほどの交わりのことを言っているのだとわかった。

 

「何度も調子に乗って悪かった。どうも、自分で歯止めが利かないことがある」

「でもあーいうテートクも、わたしはスキ」

「いや、もうちょっと抑えないとな。受け容れられてることに甘えているのは、よくない」

「ストレス、たまってるデース?」

「ああ……たまってるのかもしれん。いろいろと」

「ウン。タマッてる、タマッてる」

 

 金剛は上機嫌そうに言っていたが、唐突に顔を上げ、厳しい眼で提督を見た。

 

「ネー、テートク。バスタブがないの、ダメヨ」

 

 提督は言葉に詰まった。何の話だ、と問おうとしたところで、金剛が先回りして言う。

 

「ココ、シャワーしかないデショ。そんなじゃ、ダメ」

「ああ……風呂に湯を溜めるのはなんか、面倒な気がして、な」

「ちゃんとリラックス、大事ネ。毎日くつろがないと」

「前にも誰かに言われたな。まったく同じようなことを」

 

 あれはたしか、由良だったろうか。自分がくつろぐことを後回しにしているとかなんとか──。

 ぼんやりと考えていると、金剛の視線に気がついた。探るような眼をしていた。

 

「ダレに?」

 

 提督は失言を悟った。思わず視線を泳がせるが、金剛が詰め寄るように重ねて問いかけてくる。

 

「ブッキー?」

「いや」

「じゃあ──榛名?」

「……いや、別の艦娘だ」

 

 提督は緊張し硬くなっていたが、金剛はどこか意地悪そうな眼で提督を見て、表情を緩めた。

 

「テートク」

「ああ」

 

 声が上擦ってしまう。金剛は笑いをこらえているようだ。

 

「ゼンブ、わかってるって言ったでショ。そ(・)ん(・)な(・)コ(・)ト(・)でわたし、怒ったりしないデース」

「……実際のところ、どこまで知ってるんだ」

「ンー……ホントは、榛名とのコトだけ。ジツはきのう、ドックにいたとき、明石を通して榛名から手紙(レター)、もらったネ──」

 

 視線を上向けるようにして、金剛が説明する。

 手紙には、吹雪たちが金剛たちと交代で前線の任に就いたこと、榛名が秘書艦を務めるようになったこと、そして提督と男女の関係に至ったことが書かれていたという。さらに、提督と艦娘たちとの関係に多少の変化があったとも。

 

「変化──それだけか」

「ウン、それだけ。テートクは、艦娘とのコミュニケーションのやりかたが変わったって」

「もっと具体的なことを、説明してほしいか」

「今は、ノー。それはテートクや、それぞれの艦娘の大事なプライベートでショ? ホントに知る必要があるときまで、わたしはノータッチがベター、ネ」

 

 金剛はそこで、少し遠くを見るような眼をした。

 

「でも──ヒトツだけ教えて。ブッキーは、しあわせそうだった?」

 

 提督は息を吸った。いったん目を閉じ、心を落ち着けてから答える。

 

「──俺の眼には、そう見えた。そして今も、幸せかどうかは知らんが、艦娘として充実しているのは確かだろうな。──あいつは、強くなった」

 

 金剛は顔を伏せた。伏せる一瞬前に泣きだしそうな顔をしたように見え、提督は案じて覗き込もうとした。

 金剛は顔を上げ、弾けるような笑顔で勢いよく提督に口づけしてきた。

 唇と頬に、幾度も接吻を繰り返してくる。

 しばらくしてようやく落ち着き、言った。

 

「アリガト、テートク。テートクも、強くなったネ」

「そうか?」

「ウン。──とくにココが、ストロング」

 

 金剛の片手が下へと伸びる。すでに硬直しきっていた陰茎に手のひらを添え、上下にさすった。

 力加減が格段に上達している。

 提督は快感に呻いた。

 

「あんなに出したのに……ソゥ・ハード」

 

 うっとりと陰茎を見やりながら、金剛が言う。先端に滲んでいた透明な液を指先で絡め取り、繊細な手つきで亀頭を撫でまわす。

 ゾクゾクと痺れるような快感があった。

 金剛が提督の耳に囁く。

 

「ネ……舐めさせて。テートクのアレ、また、わたしのクチの中にほしいの……」

 

 金剛の顔を見る。羞じらいの色が濃いが、それでも挑むような眼で見つめ返してきた。

 欲望が羞恥を上回っているようだった。

 提督は金剛の秘部に手を差し入れた。

 湯とは明らかに異なる、粘った液体で濡れている。

 口淫ではなく、いっそ──という思いを視線に込めて見つめ、眼だけで訊いたが、金剛は首を振った。

 

「テートク……ソーリィ。わたし……初めてのメイクラヴは、ベッドで、が、いいデース……」

 

 上目遣いで提督を見て、申し訳なさそうな表情で言う。

 提督は金剛の背を撫でた。

 

「そうだな。最初はやっぱり、ベッドの上でだな」

「ウン……!」

「だが、それなら」

「ソレなら?」

「俺も、また金剛のを口で舐めたい。指と舌で、おまえの腰が抜けるほど気持ちよくさせてやりたい」

 

 金剛が羞じらった。顔を伏せて頷き、人差し指で陰茎をひと撫でする。

 

「じゃあ、順番、ネ」

「ああ」

「わたしからで……オーケィ?」

「おまえが舐めるほうか」

「ン」

「よし、頼む。たっぷり唾を絡めて、舌をいっぱい遣ってくれ」

 

 あからさまなその要求に、金剛は微笑みで応えた。

 提督の前にひざまづき、腰を抱いてきた。

 一気に奥まで含まれて、興奮と快感が頭頂部まで突き抜けてくる。

 金剛は言われたとおりに舌を激しく遣いながら、口内のあらゆる部位で提督に快を与えてきた。

 自ら進んで、頬の内側をも駆使していた。

 ジュッ、ジュッ、ジュッ、ジュッ……と、金剛の頭の前後の動きに合わせて、リズミカルな水音がシャワールーム内に響きわたった。

 提督はつま先に力を込めて堪(た)えていたが、すぐに限界がやってきてしまった。

 金剛の頭を掴んで動きを抑制しようとしたが、許してはくれなかった。

 唇できつく提督を絞りあげつつ、いちばん敏感な部分を舌でくすぐってくる。

 提督はだらしない声を漏らし、金剛の口内へ、三度目だとは思えないほどの大量の精を放った。

 金剛は目を閉じ、コクリと喉を鳴らしてそれを嚥下していった。

 

 

 金剛の喘ぎは、ほとんど叫びにまで変わっていた。

 最前とは一転して提督が金剛の前にひざまづき、指と舌で秘部を刺激していた。

 剥き出しにした陰核を舐めながら、中指一本を膣内に挿し込んでいる。

 中指の腹で愛撫しているのは、膣内の手前側の内壁、わずかに硬くコリコリとした部分だ。

 すぐに、そこが最も弱い部分であることが提督にはわかった。

 

「ダメッ、ダメ──! テートク、そこ──スゴく、ヘンになっちゃう──」

 

 声を上げ、首を左右に振りながら金剛が懇願している。

 躰もガクガクと震えていた。

 壁のタイルに背を預けていなければ、すでに床にへたりこんでしまっていたかもしれない。

 乱れに乱れる金剛をよそに、提督はあくまで冷静なペースで刺激を与えつづけた。

 完璧なバランスで充実している金剛の下半身が、このうえなく尊いものに思えていた。

 崇拝の想いを込めて、鼠径部や太腿にも口づけをする。

 張り詰めた太腿が、好ましい弾力で提督の唇を押し返してくる。

 

「テートクゥ……」

 

 金剛が提督の髪を指に絡め、愛おしげに頭の地肌を撫でた。

 わずかに腰をくねらせている。

 催促の動きだった。

 陰核への接吻を再開してほしいと、そう求める仕草だ。

 提督は胸の内で軽く詫びて、陰核へ唇を戻した。

 

「アッ、アッアッ……それ、イイ……! スゴく、イイの……」

 

 ひときわ高い声を上げはじめた金剛の膣内が、複雑に形を変えている。

 どこまでも柔軟で、熱く、潤いに満ちた内部だった。

 沈めた指が愛液の海に絡みとられているようで、ただ挿し込んでいるだけでも尋常でない快感を提督に与えてくる。

 指ではなく陰茎をこの海に挿し入れ、思うがままに掻き交ぜるさまを夢想してしまう。

 たて続けの放出を終えたばかりにもかかわらず、また痛いほどに陰茎が力を取り戻していた。

 欲望に急きたてられるようにして、提督は指の動作を速めた。

 とたんに、金剛の乱れが烈(はげ)しさを増した。

 

「アンッ──ヤ、ヤダ、それ、ダメッ──キちゃう、キちゃうから……!」

 

 指と舌で、表と裏の両側から挟み込むようにして性感帯を責めたてる。

 提督の眼の前で、金剛の下腹が踊るようにうねりはじめた。

 

「ダメ、ダメダメダメッ──クる、クる──もう、キちゃう……!」

 

 金剛が声をひときわ高くして叫んだ。

 次の瞬間、秘裂から透明で温かい飛沫が噴き出していた。

 勢いよく散って提督の顔や腕を濡らす。

 提督は驚いたが、愛撫の動作は止めずに続けた。

 やがてちょろちょろとタイルに垂れ落ちるにようにして、漏出はさほども長続きせずに終わった。

 完全に虚脱した表情の金剛が、タイルの床へとへたり込むようにして腰を落とした。

 

 

 

 ◇

 

「ゼッタイ、だれにも言わないでヨ」

「ああ、言わない」

「榛名にも、だからネ」

「言うもんか」

「ウウ、どうして、あんな……」

 

 裸の躰を大きめのバスタオルに包むようにして、金剛はベッドの上に座り込んでいる。

 ふくれっ面をしていた。

 シャワー室で虚脱状態から回復し、脱衣所で躰を拭いて寝室に戻ってくるまでの間じゅうずっと、金剛はろくに口をきいてくれなかった。

 寝室に戻って、提督から渡されたよく冷えたペットボトルの水を飲んで人心地がついたのか、ようやく表情がわずかに緩んだ。

 どうやら腹をたてているというわけではなく、漏らしてしまったことを単に恥じているだけのようだった。

 

「あれはたぶん、潮吹きってやつだ」

 

 提督はベッドサイドから、なだめるように話しかけた。

 

「あまり詳しくはないんだが、興奮が高まると、そういうこともままあるらしい」

「よくあるコト、なの? みんな、そーなる?」

「いや、どうかな……俺については、実際に見たのは初めてだったが」

「ウウー……!」

 

 顔を真っ赤にして、金剛はうつむいてしまう。

 提督は苦笑を押し殺した。

 

「べつに恥ずかしいことなんかじゃない。むしろそれだけ感じてくれたってことなんだから、俺は嬉しい」

「でも、だって、テートクは自分がなったワケじゃないから、そんなコトいえるデス……。あんなの、わたし──」

「俺たちだけの秘密だ」

「──ヒミツ」

「そう。ふたりだけのな」

「ンー……」

 

 表情はまんざらでもないといった感じのところまできていたが、唐突に金剛はプイと背を向けてしまった。わざと拗ねてみせているのだと、提督にはすぐにわかった。

 大きく溜息をついて、金剛のいるベッドの中央まで這っていった。

 金剛のすぐ後ろに密着して座り、バスタオルの上から抱きしめた。

 

「悪かったな。また調子にのって、やりすぎてしまった」

「……ウウン、テートクが悪いコト、ないヨ」

「ああいうことをされるのが嫌なら、もう二度としないと約束する」

「ウウン。ヤじゃない。ゼンゼン、ヤじゃなかったヨ」

「気持ちよくなってくれたか」

「ウン。すごく、ヨかった……ハッピーだったヨ、わたし……」

 

 金剛が提督の前腕に触れ、撫でさすった。

 提督は、金剛の髪と肌の匂いを嗅いだ。

 長い間それを求めていたのに、ずっと気づかぬふりをしていた匂いであるような気がした。

 金剛の顎にそっと触れて振り向かせ、唇を重ねる。

 柔らかく、濡れていた。

 

「アイ・ラヴ……」

 

 金剛がつぶやく。

 提督は金剛がまとっていたバスタオルを剥ぎとった。提督自身の腰に巻いていたタオルは、すでにほどけて落ちている。

 

「テートク……」

 

 金剛が後ろ手で、提督の股間に触れた。

 完全に猛りきっていた。

 このように幾度も射精をたて続けに重ねられるような精力が自分に備わっているとは、提督はまったく思っていなかった。

 艦娘という生きものは、交わった男の機能をも高めるものなのだろうか。

 提督は頭を振った。雑念を振り払って金剛に密着する。

 すべすべとして丸い金剛の尻に己の硬直を押しつけ、こすりつけた。

 金剛は座った姿勢のまま、自ら小さく腰を動かして提督に応じてきた。

 

「ネエ……むね、さわって」

 

 そう言って金剛は、提督の手を自分の乳房に導く。

 遠慮せず、欲望にまかせて揉んだ。

 手に余るほどの大きさでありながら、途轍もない張りと弾力がある。

 揉んでいて飽きるということがありえそうになかった。

 

「こういうふうに揉まれるの、好きか」

「ウン……スキ。ダイスキ」

「ここは?」

 

 すでに硬くなっている乳首を、指先で弄んだ。

 

「アッ……ン、スキ……」

 

 金剛は敏感に反応して、ビクビクと躰を震わせた。

 吐息に切なげなものが濃く混じりはじめていた。提督が下方を見やると、内腿をしきりにすり合わせているのがわかった。

 しばらく気がつかないふりで焦らしてやろうかとも思ったが、提督のほうが我慢の利かない状態になっていた。

 

「なあ、金剛……そろそろ」

「ン……」

 

 見上げてくる金剛の顔が、完全に蕩(とろ)けていた。

 

「そろそろ、どうだ」

「メイク、ラヴ……?」

「ああ、そうだ。メイクラブだ。俺はもう、早くしたくてたまらなくなってる」

 

 目を潤ませた金剛が、しきりに頷く。

 

「しヨ、しようヨ……わたしも、もうガマン、できないの」

 

 提督は金剛の足もとにまわった。

 ぴったりと閉じている金剛の両膝に触れて、促した。

 

「開いてくれるか」

「ウン……」

 

 自分から曝け出すのを、提督は待った。

 強く羞じらいつつも、それでも金剛の表情にははっきりとした期待の色が見えていた。

 ゆっくりと、門が開いた。

 薄朱(うすあか)く色づいたその部分が、明るい電灯の下で露わにされる。

 とろとろに潤っているのが、ひと目でわかった。

 提督は金剛の両膝を掴んで、さらに大きく、限界まで広げさせた。

 無数の愛液の糸をひいて、陰唇がぱっくりと口を開ける。

 過剰な潤いが溢(あふ)れて、零(こぼ)れた。

 尻の割れ目をつたって落ちていき、シーツの上で小さな染みをつくる。

 提督の視線を、金剛はもう拒まない。逆に、食い入るように提督の股間を見つめていた。

 その視線を追って、提督は自分もまた、亀頭の先端から透明な粘液をシーツへ滴(したた)らせていることに気がついた。

 視線が交錯し、互いに共犯者であることを知った。

 自分たちが、欲望に忠実な牡と牝であることを自覚する。

 提督は腰を進めて陰茎の裏側を秘裂へと押しつけ、上下にこすった。

 

「ンッ……」

 

 金剛が切なげに眉をひそめ、唇を噛む。

 くちゅくちゅと、ふたりの粘液がこすれて音をたてている。

 

「ネェ……テートク、はやく……はやくして……!」

 

 ベッドについた提督の二の腕を掴んで、金剛が急かして求めてきた。

 提督は一度下半身を引き、腰の動きだけで先端を秘裂にあてがった。

 あてがった次の瞬間に、沈んで、ひとつになっていた。

 

「アウゥ……!」

 

 喉を反らせた金剛が、獣めいた声をその奥から絞り出す。

 提督も同時に呻いていた。

 熱く粘る愛液の深みに、陰茎が溶けている。

 脳を灼(や)くような快感が、結合部から這い上ってきた。

 何度も射精したあとでなければ、挿れた瞬間に射精してしまっていたかもしれない。

 横を向いて目を閉じた金剛が、すでに小さく断続的に痙攣していた。

 提督は息を大きくついて若干の冷静さを取り戻してから、動作を始めた。

 

「アッ──アッ、アッ、アッ……」

 

 突かれるたびに、金剛が喘ぐ。その声と同じリズムで、陰茎を咥え込んだ膣壁からジュブジュブと卑猥な音が発されていた。

 きつく締めつけるのではなく、包み込んでまとわりついてくる蜜壺だった。

 想像以上の柔軟さと熱に、脳髄が痺れている。

 提督の口の端から涎が落ちた。

 自分がだらしなく口を開けっぱなしでいたのを、それでやっと気づく始末だった。

 唾液の落ちた先に、金剛の乳房がある。

 仰向けの状態でもさして潰れずに凜とした形を保っている双丘が、野放図に揺れていた。

 その谷間に、提督は顔を埋(うず)めた。

 頬で、弾力を愉しむ。

 さんざんに愉しんだあとで、硬く尖った先端を口に含み、ひたすらに舐め、唇で挟みつけて甘く圧迫した。

 金剛が震える声を発した。

 

「テートク──もっと──もっと、つよく──」

 

 提督の頭をかき抱いてくる。

 求めに応じて、歯を立てた。

 金剛はきつく提督の髪を掴み、苦痛と快楽の入り混じった啼(な)き声を上げた。

 苦痛が勝りだす限界で解放すると、金剛は切迫した様子で接吻を求めてきた。

 即座に応じる。

 舌と舌を、大胆に絡める。

 提督が唾を落とすようにして送り込むと、金剛は待ちかねていたかのようにそれを啜って、呑み込んだ。

 もっと、もっと──言葉にはせず、舌と唇の動きだけでそうせがんでくる。

 さらに唾液を送り込みながら、提督は激しく腰を振った。

 完全に密着したまま、提督の躰の下で金剛も全身をくねらせている。

 ふたりがひとつになって、快楽を求めて踊っていた。

 終局は、唐突に訪れた。

 愛液の海が狭まって、陰茎を絞りあげてきた。

 離れることはできなかった。

 提督は痙攣し、金剛の内部にどくどくと精を放っていく。

 すべてを、中にそそぎ込んだ。

 出しきったあとで、提督はようやく息をついた。

 

「……すまない、出すときには離れるつもりでいたんだが」

 

 金剛は汗に濡れた全身を波打たせるように揺らして呼吸しつつ、首を振って微笑んだ。

 躰を起こそうとする提督を、四肢すべてで引き留めてきた。

 足首で腰を後ろから押さえつけられ、提督は金剛の内部に留まらせられる。

 

「……ダメ」

 

 腰が動き出していた。

 金剛の微笑みが、泣き笑いのように見えた。

 幾度も絶頂に達していながらまだ貪婪(どんらん)に欲している。

 すぐに、提督の下半身に硬直が戻ってきた。

 金剛の柔らかな下腹に叩きつけるようにして、腰を上下させた。

 濡れた肌と肌がぶつかり合って、烈しい音をたてる。

 ほどなくして、金剛が大きくのけぞった。

 

「アアッ──クる、クるッ、キちゃう──!」

 

 叫びながら、これまでで最も激烈に躰をわななかせた。

 痙攣とともに金剛が脱力していった。

 今度は逆に、提督のほうに余力があった。

 繋がったまま躰を起こし、ぐったりとしている金剛の腰を支えて、容赦なく突く。

 突く。

 無心に突いた。

 されるがままの金剛も、やがて意識を取り戻した。

 すぐに提督の動きに合わせはじめる。

 提督は徐々に、仰向けに近いところまで上体を反らせていった。

 金剛も腰を支点にして上体を反りかえらせているので、ふたりの結合の形は大きく開いたVの字のようになった。

 膣内のいちばん敏感な部分に、亀頭が直撃する角度だ。

 たちまち、金剛は烈しく乱れた。

 言葉として意味をなさない叫び声を上げながら、腰を振っている。

 頭の中が真っ白になった。

 膣内の急激な収縮に誘われて、提督は精を放っていた。

 腰をつき出して、絞り出す。

 接合部から、白く泡だった愛液とも精液ともつかないものが、どろりと溢れ出てきた。

 提督は、意識朦朧としている金剛の躰を起こしてやった。

 休む気にはならなかった。

 繋がったまま対面座位をとり、汗まみれの背を両腕で抱いて支える。

 濡れた肌が煌めく金剛の頬に、唇をつけた。

 金剛がぼんやりと目を開ける。

 視線を下げ、自分がまだ提督と繋がっていることを認めた。

 

「テートク……わたし」

「ああ」

「わたし、また、モらさなかった……? キモチヨすぎて、ワケがわからなくなって」

「大丈夫だ」

「アァ、ヨかった……」

「仮にそうなってたとしても、なんの問題もない」

「ノー……それは、ダメ。それだけは、ダメ」

「まあ、よく頑張ったな。偉いぞ」

 

 提督は笑って、腰をまろやかに動かしはじめる。湿った撹拌の音が、秘めやかに響いた。

 金剛が驚いて目を見張った。

 

「また……?」

「ああ、もう一回」

「スゴい、ネ」

「つき合ってくれるか」

「ウン……!」

 

 心から嬉しそうに、金剛は頷いた。

 密着して抱きしめ合って接吻を重ねながら、互いに腰を揺すり合う。

 結合が解けてしまう心配をしなくてすむ体勢で、安心してともに快感に揺蕩(たゆた)うことができた。

 

「このポジション……スキ」

 

 金剛がキスをしながらつぶやいた。先ほどまでと違って緩やかな交媾(こうこう)であるためか、わずかに顔を紅潮させているぐらいで意識は明瞭だった。

 

「……テートクは、ズルいネ」

「なぜ」

「だって……こんなスゴいの教えられたら、わたしもう、テートクから離れられないヨ」

「じゃあ、離れなければいい」

「……でも」

「でも?」

「テートクは、ほかの艦娘にも、こーいうこと、するんデショ?」

「ああ」

「ムー……!」

 

 金剛が唇を尖らせる。腰の動きが少しだけ速くなった。

 

「……ネ、テートク」

「ああ」

「イッパイ、して。わたしだけじゃなくて、ほかのコたちにも」

「それを望む艦娘がいるのならな」

「ウン──アリガト」

「だが今は、金剛だ」

「フフ……そうネ。いまは、テートクとわたしが、愛し合ってるとき」

 

 金剛がやわらかく笑った。穏やかで、晴れやかな笑顔だった。

 腰の動きをさらに速め、提督に強くしがみついてくる。

 

「ソーリィ……テートク」

「どうした」

「わたし、もうキちゃいそう……もう、すぐ」

「好きなように動いていい。おまえに合わせる」

「ありがとう、テートク……大スキ」

 

 軽いキスをして、金剛が目を閉じた。息を整え、下腹に意識を集中させるようにして駛(はし)りだす。

 提督も瞼(まぶた)を閉じた。

 腿の上で踊りはじめた金剛の尻を、両手で支える。

 間もなく訪れる強烈な快楽の瞬間を想って、胸の内で溜息をついた。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。