全面檜張りの内風呂は四畳半ほどの広さではあったが、まるで森林の中にいるような濃厚な木の匂いがした。
外庭に面する一面だけはガラス張りとなっており、昼間の光量ならきっと露天風呂のような趣が出るに違いない──と浴室に入ったときに提督は思った。夜も更け月明かりのない今は、木製の風呂椅子にそれぞれ腰掛けているふたりの姿を薄ぼんやりと映すのみである。
提督の目の前で、長門は裸の背を向け、胸もとを隠すようにやや前屈みの姿勢になっていた。
ボディシャンプーの泡にまみれたその肌を、提督は人差し指と中指の背でそっと撫でた。
泡が滴となって表面を滑り落ちていく。白磁のような──という使い古された形容のふさわしい、造形芸術のなめらかさだった。
「きれいな肌だ」
提督が思わずつぶやくと、長門がちらりと振り返った。
長い髪は頭の上に巻き上げられ、大きめのヘアクリップで留められていた。後ろ姿だけでは、まるで長門には見えない。
「そ、そうかな。よくわからないけど」
「人間離れしている」
「……実際、艦娘は人間じゃない。厳密に言えば、だけど」
苦笑の混じった口調で、長門は言った。
提督は答えず、片手に持っていた泡まみれのスポンジを檜張りの床へと置いた。
「まあ、背中はこんなもんか」
「あ、ありがとう。じゃあ流して──」
「次はこれだ」
脇の下から両手を差し入れ、豊かな胸のふくらみを抱えるように持ち上げた。
「えっ──ちょ、ちょっと」
重量感と、張りのある柔軟さが手に心地よかった。
長門は提督の手の動きを抑えるように、慌てて自分の手を添えながら言う。
「て、提督……前は、いいから」
「する前に躰を洗いたかったんだろ? 遠慮するな」
「い、一緒に入ろうとは言ってない」
「酔ってると危ないんだ。浴槽で溺死なんてされたら、俺が陸奥に殺される」
乳房を揉み上げながら、手のひらでさりげなく乳首を圧迫した。そのたびに、長門がせつなげに息を詰めるのが伝わってくる。
「あっ、あの……」
「どうした」
「なんで、素手で……スポンジは……?」
長門が切れぎれの声で訊いた。
「このほうが、気持ちいいだろ?」
「んっ……でも、恥ずかしいから……」
「俺もこのほうがいいんだ。長門の躰、気持ちいいからな」
「……提督も、気持ちいい……? 私の胸、触ってると」
のけぞるような姿勢で、長門が肩越しに振り返って提督を見た。
「ああ、最高に気持ちいい。長門のおっぱいなら、何時間でも触っていたい」
「もう……馬鹿、だな」
長門は提督の前腕を愛おしげに撫でた。
乳首が硬くなってきている。両手の指先で転がすように、先端をゆっくりと撫でまわした。
「んっ……ふっ……」
鼻にかかった甘い息づかいを響かせながら、長門は上体をぴくぴくと震わせた。
提督は右手を下げて、長門の腹部に触れた。胸とは対照的に、固く引き締まっている。
斜筋と直筋の境目──縦に刻まれたラインを探りあて、指先でなぞった。
長門が軽く身をよじる。
「んっ……」
「ここも、感じるか?」
「……わからない。ちょっと、くすぐったい、かな」
長門はうつむき、提督に触れられている箇所を覗き込んだ。
「私のそこ……女らしくない、だろ」
「なぜ」
「筋肉ばかりついて、ごつごつしてるから」
「言うほどじゃない。むしろスラリとしてて、きれいだ」
「……うそ」
「本当さ。ほら」
提督は腰を押し出し、育ちきった陰茎で長門の尻に触れた。ぴくりと躰を震わせて、長門が反応する。
「え……そ、それって、
「こいつは正直なんだ」
「そ、そんなに大きくなるの……? それに、熱いし、硬い」
「おまえを欲しがってるんだ」
「わたしを……」
長門が首を反らせて提督を見た。何かを求めるように半開きになった口を、提督は唇でふさいだ。
ぬるりとした感触で、お互いの舌先が触れ合った。ちろちろと細かく動かすと、長門も同じように動かして応じた。
提督は、長門の股間へ手を滑り込ませた。
潤っている。
提督は濡れた陰唇の表面を、指の腹で撫でまわした。
「あ……あ……」
長門が唇を離し、眉根を寄せて喘いだ。不意に太腿が閉じられ、提督の右手をしっかりと挟み込んでしまう。
「──長門」
「ご、ごめん。つい──」
長門は下唇を噛んでうつむいた。きつく目を閉じている。
やがて、提督の手を締めつけていた太腿の力がゆっくりと弛められた。ためらいがちに両脚が開かれ、膝の間に握りこぶし程度の空間ができたところで止まった。
「いいか?」
「うん──優しく、して」
ゆっくりと、外陰部をなぞるように手のひら全体を上下させた。
「んっ……」
「どうだ?」
「……むずむずして、変な感じ」
「痛くないな?」
「うん……大丈夫」
提督は左手の指先で、長門の乳首への愛撫を再開した。
「あっ……はっ……」
長門が躰を震わせる。
「今のところ、長門は胸のほうが好きみたいだな」
「う……うん。先のほう触られるの、ちょっと気持ちいい……」
長門が仰ぐように振り向き、唇を寄せた。
「ねえ、キス……したい」
応じて、接吻する。
ついばむように唇を動かしていると、長門が耐えかねたように舌をつき出して求めた。咥えて吸い、口内で舐めた。ちゅるちゅると唾液の音が響く。
左手で乳首を転がしつつ、右手で秘所をこすり上げる。
「はぁっ……ん……あっ……」
唇を触れさせたまま、長門が嬌声を上げる。
接吻と愛撫を続けていると、愛液が粘りを帯びてきた。陰唇の感触も柔軟さを増している。
愛液に濡れた親指を立て、陰核を包皮の上から刺激した。
「きゃっ……!」
長門が驚いたような声を上げる。
「い、いま、すごくピリって……」
「痛かったか?」
ふるふると首を振った。
「う……ううん。痛くは、なかったけど」
「敏感な場所だからな。──続けていいか?」
「う、うん。お願い」
ふたたび包皮の上から陰核に触れた。瞬間的に長門は身を硬くしたが、声は上げずに息を呑んだ。
ゆっくりと親指を振動させる。
「あ」
長門が顔を上げた。
「どうした?」
「それ……気持ちいい、かも……すごく」
神妙な表情で前方の壁を見つめている。経験したことのない快感の正体を、なんとか見きわめようとしている様子だった。
強くなりすぎないよう注意しながら、親指の動きをはっきりとしたものに変える。長門が小さな吐息を漏らした。
「……う、ん……きもち、いい……提督に、触られてるところ……」
指だけでなく手のひら、腕を連動させて動かす。長門には大きな動きに感じられるはずだが、親指を支点にしているので、陰核への刺激はさほどでもない。
「あ……はぁっ……じんじんする……ねえ、じんじんするの……」
長門が喘ぎ、股間へ伸びる提督の腕にすがりついてくる。もどかしげに腰を動かした。
「いい……きもちいいっ……ていとくっ……」
強い力で、長門が提督の腕を抱きしめた。自分の股間へ押しつけるようにして、上下に揺り動かす。
「はっ──んんんんっ……!」
長門が前屈みになるようにして躰を短く痙攣させた。陰部も、同時に収縮していた。
左手に抱えた乳房から、早鐘のような鼓動が伝わってくる。長門は肩で息をしていた。
提督は長門の躰から離れ、シャワーから温めの湯を出して、お互いの躰についた泡を流していった。
ひとしきりそうしていると、躰を抱えるようにしていた長門が不意につぶやいた。
「すごかった──頭が、真っ白になるみたいで」
「今のは外側でイッただけだから、まだ軽いほうだろう」
「外側?」
「膣の外側を刺激してイッたってことだ。内側でイクのは、もっと快感が深いらしいぞ。聞いた話だが」
「ふーん……ずいぶん手慣れてるんだな」
長門が少しだけ口を尖らせるようにして言った。
「なんだ、妬いてるのか」
「べつに……そういうわけじゃないけど」
「なんだか不満そうじゃないか」
提督はからかうような口調で言った。
「私が初めてなのに、提督は経験豊富っていうのは、ちょっと不公平だなって思ったんだ」
「経験豊富ってほどのもんじゃない。すぐにおまえにもわかるさ」
ひと通り泡を流し終えたので、提督はシャワーを止めた。
長門は提督に顔を向け、じっと目を見つめていた。
「なんだ?」
「……提督、背中を流してあげようか」
長門がわずかに悪戯っぽい表情で言った。そうした顔の長門を見るのは初めてで、提督は一瞬目を疑った。姉妹艦らしく、どこか陸奥の面影を感じさせる。
「あ、ああ……じゃあ、頼む」
「よし。後ろ向いて座って」
提督は素直に従って、反対側を向いた。
背後でがちゃがちゃと音がする。ボディシャンプーのポンプを押しているのだろう。
肌と肌をこすり合わせ、シャンプーを泡立てている気配が続く。
「い、いいかな……」
「ああ」
唐突に提督の背中へ、突起のある柔らかいふくらみが押し当てられる感触があった。
「うっ──」
思わず声が漏れた。
脇の下から長門の両手が胸に回る。温かい長門の躰が、ぴったりと密着していた。
「な、長門……?」
「ど、どうかな? 気持ちいい?」
言いながら、長門は上体を上下に動かした。押し当てられた乳首が、提督の背中をくすぐる。
「あ、ああ、気持ちいいが、これは──」
「私の躰、気持ちいいって言ってくれたから……こうしたら、提督が喜ぶかなって」
耳もとで、呼吸をわずかに乱した長門が囁く。
「ああ──いきなりでびっくりしたが、気持ちいい」
「ん……よかった」
たっぷりとした乳房の中心で、弾力のある乳首が背中をこする。肌の摩擦とぬるぬるとした泡の感触が渾然となって、なんともいえない快感が背中を包んでいた。
胸の前では、泡にまみれた長門の両手が、提督の躰の形を確かめるかのように這いまわっていた。
長門の細い指が、提督の乳首に触れる。くすぐったさに身をよじると、長門が耳もとで囁いた。
「提督もここ、気持ちいい……?」
「ああ、でも、もどかしいな」
「もどかしい?」
「もっと下のほうも、触ってほしくなる」
乳首をいじる長門の手が止まった。
「もっと下って……」
肩甲骨のあたりに当たる長門の胸の圧力が強まった。肩ごしに、提督の下腹部を覗き込もうとしている。
長門の右手が、屹立している提督の陰茎におずおずと伸ばされる。亀頭と陰茎の境目に軽く触れた瞬間、長門は大きく息を吸った。
「すごい……さっきより硬くて、大きい……」
かすかな指の動きで、雁首を撫でた。
敏感な部分に指を這わされ、提督は焦れったさに身悶えした。
「あっ、ご、ごめん。痛かった?」
「いや、そ、そうじゃない。触られてるだけじゃ、もどかしくて……握って、くれないか」
「う、うん」
長門がこわごわとした様子で陰茎を右手の中に包み込んだ。
「こんな、感じ?」
「そう……そのまま、軽く上下にこすってくれ」
長門は頷き、泡にまみれた手でゆっくりと上下にしごきはじめる。
「こ、こう……?」
「ああ……いい感じだ。指をもっと動かして、いろんなところを触って……」
長門が従順に、親指や人差し指で亀頭や雁首に刺激をくわえようと試みた。ぎこちない手つきだったが、その拙さがいっそう提督の快感と欲望を増幅させていく。
思わず溜息が漏れた。
「あっ、ご……ごめん。下手、かな」
「いや……逆に、すごくいい……」
「そ、そう?」
長門がふと思い出したように、左手で乳首への愛撫を再開した。
予想の外からの快感に、提督は思わず身悶えする。
「ああ……いいな。長門……上手だ」
「ん……じゃあ、こっちも」
背中に押しつけられていた乳房が、ぬるぬると動きだした。躰のあちこちから共鳴して湧き上がる快感に、提督は完全に翻弄される。
「ああ……やばいな、これは……初体験だ」
「へえ……いろんなところを同時に、がいいのかな」
長門は納得するようにそう言うと、提督の首筋に口づけし、ちろりと舐め上げた。ぞくぞくとした快感が、提督の脳髄へ這いのぼっていく。
陰茎をしごく長門の手の動きが速まった。指の力の強弱を様々に変えてアクセントをつけている。快感に震えながら、提督は長門の飲み込みの早さに舌を巻いた。
「長門おまえ……触るの、初めてなんだろ……巧すぎだ」
「ふふふ……提督、すごく気持ちよさそうな顔してる」
「ああ……長門、気持ちいい……気持ちよすぎて……もう……」
「提督、可愛い」
長門はそう言って、提督の頬に口づけした。
瞬間、提督はしたたかに射精していた。
最初の一滴が勢いよく飛んで、正面の檜の壁を汚した。続けて、粘度の高い白濁液がびゅくびゅくと吐き出されていく。
どうかしている──と自分でも思うほどの量が出た。
「わっ……こんなに、出るんだ」
手の中で痙攣する陰茎を、提督の肩ごしに見つめながら長門が言った。
白濁を放出しきった陰茎がゆっくりと収縮していく。
長門は手を外し、精液の付着した指をしげしげと眺める。不意に、その指先を口に含んだ。
「ん……けっこう苦いな。それに、青臭い」
長門はわずかに顔をしかめて言った。
「そりゃ、どう考えたって美味いもんじゃないだろ」
「……そうだけど。でも、貴方の味だから──」
長門は横目で提督を見て微笑んだ。
「──嫌いじゃない」
失笑する提督を尻目に、長門はシャワーの湯で壁や床を汚した精液を流していった。提督も浴槽から湯を汲み、躰を軽く流した。
「よし長門、ここ座れ」
自らの両腿を示して提督は言った。
「え……?」
シャワーを止めた長門が、怪訝そうな表情で提督を見る。
「いいから、ほら──跨って」
長門はためらいつつも、言われたとおりに跨った。
大きく脚を開いて正面から向き合っているので、陰部がまる見えになる。
「あ、あの……この体勢、恥ずかしいんだけど」
「何をいまさら」
提督は言って長門を抱きしめ、唇を重ねた。
「んっ……」
始めは戸惑っていた長門も、次第に舌と唇を使って応じた。
やがて唇を離して、長門が訊く。
「ど、どうしたの、提督?」
「どうしたもこうしたも、欲しいんだよ、おまえが」
「あ……」
下に落とした提督の視線を追って、ふたたび力を得ている陰茎を視界に入れると、長門はさっと顔を紅潮させた。
「……男は一度出すと、しばらく性欲が無くなるって、陸奥から聞いたんだけど」
「いかにも、あいつがしたり顔で言いそうなことだ。一般的にはそうだが、そうじゃないときだってある」
「どういうとき?」
「いい女を抱いてるときだ」
提督は長門の首筋に接吻した。軽く吸って、動脈に沿って舌を這わせる。長門の肌の香りが鼻孔を満たした。
「あ……」
長門は顔を反らせて小さく喘いだ。
いっそう強く抱きしめ、胸板に乳首をこすりつけさせるように長門の躰を揺さぶった。
「あ……ん……」
長門は提督の肩に手を置き、湧き上がる快感に抗うように目をつぶって眉をひそめた。
提督が秘所に手を差し込むと、そこはほのかな粘液で湿っていた。
指先で外陰部をくすぐるように愛撫すると、すぐに淫靡な水音がぴちゃぴちゃと響きはじめる。
「いい感じで濡れてきたぞ、長門」
「やっ、恥ずかしいこと、言わないで……」
長門は首を振って言った。
提督は濡れた秘裂から手を引き、亀頭で撫で上げるようにしてその入口にあてがった。
つぷり、と亀頭の先端が秘裂の奥に沈みかける。
「あっ……も、もう、くっついてる」
「怖いか、長門」
「う……ううん……私も、提督とひとつになりたい」
提督は頷くと、陰茎を挿入する角度を手で調整した。
ふと、数日前の執務室で、吹雪を同じ体位で抱いたことが脳裏に浮かんだ。
「提督……?」
長門が不安そうな声で、手を止めた提督に問う。
提督は笑顔を作って顔を上げ、言った。
「長門、キスしてくれ」
長門はじっと提督を見つめ、ふっと微笑んで唇を寄せた。
唇が触れ合った瞬間の一拍のち、提督は長門の尻を引き寄せながら陰茎を挿入した。
「んっ……あっ!」
唇をわずかに離し、長門が喘ぐ。
締めつけはきついが、強い抵抗感はなかった。完全に挿入しきると、固く目をつぶった長門に提督は訊いた。
「痛くないか、長門?」
「う、うん……痛くはない。すごく、変な感じだけど」
長門は目を開けて視線を落とし、結合部を見た。
「あ……ほんとに、入ってる。提督と、繋がってる……」
「少し、動かすぞ」
風呂椅子の上で尻を前後に揺するように動かした。長門の躰もそれに合わせてゆさゆさと揺れる。
「あっ、あっ……なかで、うごいてる……」
長門が浮かされたように言った。
陰茎から伝わる内部の構造は、提督が思わず感嘆の吐息を漏らすほど精妙だった。全体的にはゆったりと陰茎を包みこんでいるのだが、根もと部分と亀頭付近には極端に強い締めつけがある。二段締めと呼ばれる種類の構造なのだろうか。射精したばかりでなければ、それほど長い時間は持続しなかったかもしれない。
「あっ──はっ──はぁ、んっ──」
腰の振動に合わせて、長門が甘い声を上げる。快楽の色が濃く、痛みの心配はなさそうだった。
提督は長門の両腿をしっかりと掴み、上下に持ち上げるような動きも織りまぜた。
「んっ──やっ──んっ」
長門が喘ぐ。
硬くなった乳首が、提督の胸板でこすれた。
いつの間にか、動きの主体が提督によるものではなく、長門の自律的なものに変化していることに提督は気がついた。
前後に激しく長門の腰がうねっている。
「て、提督……おかしいの……こうしてると、すごく、きもちよくて……」
「それで、いい。そのまま、おかしくなってしまっていいんだ」
「あんっ……いいの……? おかしく、なっちゃって……いいの?」
答えるかわりに、陰茎の先端が内部の天井をこすり上げるように律動の角度を変えた。
長門がいっそう高い嬌声を上げる。
「やぁぁんっ……いいっ、それ、すごくいいのっ……!」
律動を速めた。
「やっ、あっ、あっ、だっ、だめっ、も、もう、イッちゃ──」
長門が口を開けてのけぞった。
「あっ、ああぁぁ……!」
長門の躰が緊張する。内腿に力が入り、ぶるぶると膣が痙攣した。
提督は内部でいっそう締めつけられ、爆ぜそうになる。かろうじて耐え、長門から陰茎を引き抜いた。
解放された瞬間に射精していた。長門の引き締まった上腹部から下を、白く粘った体液が汚していく。
「あ……あぁ……」
長門がくたりと脱力し、後方に躰を傾げた。
提督は慌てて背中に手を回して、長門を支える。
「て、提督……きもち、よかった……」
「なによりだな。俺も、よかったぞ」
長門が陶酔したような表情で、腹の上に散った精液に触れた。愛おしげに撫で、下腹部になすりつけるように拡げた。
「中で、出されたら、どんな感じかな……」
「危ないことを言うもんじゃない」
提督は肩で息をしながら返した。
◇
汚れた躰を今度こそ丁寧に洗い、水を多めに入れて温くした浴槽にふたりで入った。浴槽は縦に長く、縁の部分にもたれて脚を伸ばしても十分な余裕があった。
長門はぴったりと提督に躰を密着させ、胸と脚をすりつけて甘えている。
提督は仰向けになった躰の上に長門を引き寄せ、すべすべとした肩の肌を撫でた。
長門が提督の首に腕を回し、顔を寄せて頬に接吻した。続けて、顎のあたりに唇をつける。さらに二度三度と場所を変え、音をたてて接吻を重ねた。
提督は苦笑した。
「鎮守府にいるときと、まるで違うじゃないか」
「……今は、休暇だから」
長門は微笑み、提督の首筋に鼻面を押し当てた。普段の峻厳な態度は欠片もない。
「提督……その……」
長門はそう言って、提督の腿に自分の脚をすりつけた。
「なんだ、もうしたくなったのか」
提督が言うと、長門は顔を伏せて小さく頷いた。上目遣いで提督を見つめてくる。
「だめ……かな?」
「大歓迎だ。下半身も賛成してる」
水面下で硬くなった陰茎をちらりと見て、長門がはにかむように微笑んだ。
「じゃあ──する?」
「自分で挿れられるか? 上に乗って」
「……うん、やってみる」
ちゃぷり──と水音をたてて、長門が提督の腿に跨った。水中の提督の分身を慎重に手に取り、自らの陰部にあてがう。何度かこすりつけるようにしてから、ゆっくりと腰を沈めた。
先端が膣内に入りかけたが、押し出されるように割れ目の上へと滑って外れてしまう。
「あっ……」
長門はふたたび腰を浮かせて挿入を試みたが、またもするりと上滑りする。
「んっ……どうして」
「水圧があるし、粘液が湯で流れるんだ。立って、向こうの縁に手をついてみろ」
長門は釈然としない顔で立ち上がり、後ろを向いた。言われたとおりに縁に手をつく。
「こ、こう……?」
「もっと肘を曲げて前屈みにだ。脚を少し開いて」
「え……でも、これじゃ、その……」
提督は長門の背後に跪いた。秘裂と菊座がありありと見えた。
「ああ、全部まる見えだ」
「も、もう……恥ずかしいこと、させないで」
そう言いつつ、長門は言われたとおりの姿勢を崩さない。
提督は股の下から手を挿し入れ、長門の秘所をつるりと撫でた。
「やっ、んっ……」
「ああ、やっぱり潤い不足だな」
提督は裂け目の下から口唇を押し当て、音をたてて吸った。
「ひゃっ……! て、提督っ……?」
長門が唐突な唇の感触に驚いてか、身をよじって逃れようとする。提督はその両腿をがっちりと掴まえて動きを封じた。
湯に濡れたその部分は、塩と鉄の混じった温泉の味がした。
鼻先をこすりつけるようにしながら、舌を前後に回転させ、べろべろと舐めたてる。
「ひゃんっ、やっ……あっ……んっ」
長門の両脚から力が抜け、提督が舌を動かすごとにがくがくと震えた。
膣口の周辺を、唇と舌、ときに鼻の頭を使って刺激すると、長門は敏感に反応して尻をくねらせた。舌先で感じる温泉の味の中に、愛液特有のかすかな酸味が混じる。
じゅるじゅると大きな音をわざとらしくたてながら吸い上げ、陰唇の間へすぼめた舌を挿し入れると、長門はさらに過剰な反応を見せた。
「あんっ……やっ、それ、きもちいいっ……ていとくのした、はいってきてるのっ……!」
内部で舌を回転させ、前後に出し入れし、ときに周辺を舐め上げる。あらゆる動きに長門は全身で快楽を表現し、呼吸を荒くした。
提督の視界の隅で、長門の菊座がひくひくと痙攣している。提督は秘所からなにげなく舌を外し、その部分をひと舐めした。
「ひっ──きゃああああああああ?!」
長門が激しく上体を跳ね上げながら、絶叫した。
提督は度肝を抜かれ、思わず長門の尻から顔を離した。
「なな、なななな……」
浴槽の縁にもたれかかりながら、長門は首だけで振り返ってわなわなと震えている。目が驚愕で大きく見開かれていた。
「な、なんだ、いまの……?」
「なにって、後ろの穴をちょっと舐めただけだ。……駄目だったか?」
「だめ──絶対だめ! 本当に無理!」
「わかったわかった……もうしない」
「や、約束だぞ。いくら提督でも、いまのは、本当に無理」
提督は予想外の剣幕になかば呆れながら、長門の秘裂に触れた。
「あっ」
「こっちならいいんだろ?」
「う……うん、そっちなら、いい……よ」
陰唇を指で押し広げ、膣内へ中指を挿入する。
長門が首を反らせて息を詰めた。
「んっ……」
内部にも十分な潤いがあり、すっかり提督を受け入れる準備ができている。
提督は立ち上がり、長門の尻を抱え上げた。
「あっ……後ろ、から……?」
提督は答えず、屹立した充血器官を長門の陰部にあてがった。
「長門、もっと脚を開け」
「う、うん……」
素直に従って脚を開いた長門に向かって腰を進める。
「あっああぁ……はいってきたぁ」
ゆっくりと侵入し、内部の熱い感触を確かめるように動きを止めた。
「どうだ?」
「ん……さっきと、違うところ、当たってる……」
「気持ちいいか」
「うん……けっこう、好き、かも……」
提督はおもむろに腰を引いた。内部の肉襞がうぞうぞと陰茎に絡みつくのを感じる。
「あっ……ああっ……」
内側をゆっくりと撫で上げられて、長門が鼻にかかった喘ぎ声を上げる。
結合が外れる直前まで陰茎を引き出すと、ふたたびゆったりとした速度で内部へと送り込む。
「んっ、んんん……」
長門が肩をそびやかしながら、喉の奥を鳴らす。均整のとれた背中に肩甲骨が浮き上がり、その形に提督はフェティシズムめいた興奮を覚えた。
上体を倒して唇を寄せ、肩甲骨に沿った盛り上がりと、その谷間の背中を丹念に舐める。
「はぁ……あ……せなか……ぺろぺろされてる……うしろから……挿れられて……」
長門がぴくぴくと全身を痙攣させながら、うわ言のようにつぶやいている。
なめらかな肌ざわりと、その下の硬い筋肉の感触が、提督の劣情をいっそう煽った。
躰を起こし、時間をかけての抽送を、幾度も繰り返す。
気がつくと、長門の腰がくねり始めている。
「自分で動いてるぞ、長門」
「んっ……だって、こうするときもちいいからぁ……」
「初めて経験したばかりだってのに、いやらしい奴だ」
「あっ……わたし、いやらしい……?」
「ああ、いやらしいな」
長門が振り返り、横目で提督を見る。
「ていとく、いやらしい女、きらい?」
「嫌いなもんか。おまえみたいないい女がいやらしくなってるのは、可愛い」
長門の瞳が煌めき、腰の動きがさらに淫蕩さを増してくねる。
「……うれしい……ていとくに可愛いっていわれるの、すき……」
「可愛いぞ、長門」
「あっ、あっ……ていとく、すき……だいすき……」
提督も、腰の動きに速度を加えた。浴槽の湯が波立ち、縁に当たって激しい水音をたてた。
「あっ、はぁんっ、ていとくぅ、ていとくぅ」
力を込め、長門の尻に腰を打ちつける。
長門は苦しげな体勢で、必死に提督を見ようと首を反らせていた。提督は長門の片腕と胸を掴んで上体を引き起こす。
吸い寄せられるように接吻した。
お互いに舌を出して舐め合い、絡めた。
提督は長門の後頭部に手をやり、髪をまとめ上げているヘアクリップを取り去って湯の中に捨てた。
艶やかな黒髪が一斉にほどけて落ちる。見慣れた長門の姿だが、初めて見る淫蕩な表情をした女がそこにいた。
接吻をやめ、背後から胸をかき抱くようにして抱きしめると、欲望のままに腰を律動させた。
長門が首を振り、髪を乱しながら喘ぐ。
「ああああっ──いいっ、いいのっ──きもちいいっ!」
絶頂が近い。息を荒くし、無我夢中で腰を振った。
浴室内に肌のぶつかりあう音が反響している。
「あ、ああああぁぁぁ──」
長門が短く叫んでのけぞり、全身を痙攣させた。
提督はかろうじて残った理性で、陰茎を引き抜く。ほぼ同時に射精し、白く濁った粘液を長門の尻と太腿にぶちまけた。
尻の曲面に沿って滴り落ちていく白濁を眺めながら、提督は大きく溜息をついた。