対面して座る和服美人の顔を盗み見るも、怒っているのか怒っていないのか分かりかねる。
よかったですね。表情を隠す技術は、しっかりと娘さん達に受け継がれていますよ。
俺は雪ノ下さんによって出されたティーカップを持ち上げ、唇を濡らす程度にそれを傾けた。
美味しい紅茶だ…。
「…はぁ、そんな事実はありませんよ」
「ふふ。冗談のつもりだったのだけど」
「そうは聞こえませんでしたが」
何が面白いのだろうか、雪ノ下さんは俺とママのんの会話を楽しそうに見つめている。
「…陽乃。少し比企谷さんと2人だけで話がしたいのだけれど」
「え!?こ、この私がお邪魔虫扱いだと…っ!」
「ごめんなさいね、比企谷さん。馬鹿な娘の相手は大変でしょう」
「はい」
「!?…わ、分かった…、雪乃ちゃんのマンションに遊び行ってくるから、終わったら電話してね」
そのしょぼんとする姿、最近よく見るなぁ。
雪ノ下さんはとぼとぼと名残惜しそうにリビングを出るや、雪ノ下の住むマンションへと向かっていった。
途端に訪れる静寂と気まずさ。
何の話をする気なのか、俺は黙ってママのんが口を開くのを待つことにした。
「……。」
「……」
「…あの、本当に陽乃と付き合っているの?」
「別れろと言われれば直ぐに身を引きます」
「いえ、別れなくていいわ。むしろ貰ってちょうだい」
「は、話が違うぞ!!」
「え!?」
そこはウチの娘をおまえのようなクソみたいな人間には渡せないと言うところだろ!
俺は少し大きな声を上げてしまったことを反省しながらティーカップを傾ける。
「…陽乃はもうダメかもしれない」
「…」
「私、見ちゃったのよ…」
「な、何をです?」
「…全裸の陽乃が、身体にマフラーを巻き付けて喘いでいる姿を」
「彼女は既に手遅れですね」
「あのマフラー、比企谷さんの物よね?」
「おそらく」
「…良かった。貰い手がいて」
「おいふざけんなよババァ」
ていうか家で何やってんのあの人。
マフラーがハウスキーパーに見つかった以前に、あんたの醜態が母親に見つかってるよ。
ママのんは額に手を当てながらため息を吐くと、憂いに満ちた瞳で俺を見つめた。
「あまり人を寄せ付けない雪乃も心配だったけど、今は陽乃を嫁に出す方が先決よ」
「親泣かせな姉妹ですね」
「ぁう…、いつから雪ノ下家はこんな事になってしまったのかしら」
「…ママのん…」
気苦労が絶えないのだろう。
これだけ娘思いなお母さんを泣かすなんてロクな姉妹じゃないな。
ママのんがかわいそう…。
俺はお袋にさえやったことがないが、ママのんの背後に回り、肩を優しく揉んであげることにした。
「…あ、気持ち良い…」
「あの、もう少し厳しく叱ってもいいんじゃないですか?」
「でも、嫌われちゃうかもしれないから…。実際、雪乃は家を出ちゃったし」
あのバカ娘。
親心を子知らずにも程があるぞ。
今度会ったら俺から説教してやる。
「…親心を理解するには、まだまだ二人とも子供なだけですよ」
「ぅぅ…。比企谷さん…」
色彩の豊かな着物越しにも分かる華奢な身体で、バカ娘2人の気苦労を支えていると思うと涙が出そうになる。
「あっ!」
ホロリと感傷に浸っていると、ママのんは手を滑らせてティーカップを手元から落としてしまった。
「熱くなかったですか?」
「え、ええ。ごめんなさい」
そのティーカップは地面へと衝突し、割れる事は無かったが、中に注がれていた紅茶が周囲に飛び跳ねる。
俺のジーンズにも、ママのんの着物にも、紅茶の雫はしっかりと付着していた。
咄嗟に、その落ちたティーカップを拾おうとした時ーーー
「「あ…」」
同じ行動をしたママのんの手と俺の手が触れてしまった。
「…っ、ぁ、そ、その…。ごめんなさい…」
「え、はい…」
ママのんは手を胸元に引っ込めると、俺から不自然に視線を逸らす。
どこか頬が赤く見えるのは気のせいか。
……え、何、この感じ…。
「…ぁ、あの、お洋服に紅茶が掛かってしまったわね…」
「あ、あぁ、これくらいなら大丈夫ですよ」
「ゆ、ゆ、雪ノ下家でこんな粗相があったなんて許されることじゃないわ!…い、今すぐにお洋服を脱いでちょうだい!!」
「……え」
なんかデジャビュ。
「…お風呂に入りましょう。…い、い、一緒に!」
あぁ、娘さん、しっかりママのんのDNAを引き継いでますね。
ーーーーー
一般家庭の一般的なお風呂を想像していた俺は絶句する。
檜造りの、人が4人ほどは軽く入れそうな大きな浴槽と、広々とした洗い場。
温泉みたいだなぁと、人並みの感想を抱いていると、浴場と脱衣場を仕切る磨りガラスの扉越しに声が掛けられた。
「比企谷さん…、わ、私も入るわね?」
なんで?と思いながらも、俺は腰に巻いていたタオルを強く結び直し、湯船へと入る。
「…お、お邪魔します」
同様に、大きなタオルで胸元まで覆ったママのんが入ってきた。
同級生と彼女の母親と入るお風呂。
もはや背徳感の塊。
……マジでいいのか?これ。
「あの、最近の俺はですね、少し理性が弱いと言うか…。襲わない約束が出来ないんですけど」
「…いいのよ。だって私から誘ったのだから」
「誘っただなんて…」
ヒタヒタと洗い場を歩くママのんの姿は、そこらに居るグラビアモデルなんかよりも均整の取れたプロポーションをしている。
言われなかったら20代でも通るだろう。
「あの、あ、あんまり見られると…」
「…すみません。見惚れてました」
見惚れるほどに綺麗な身体は、恥ずかしそうにシャワーを身体に掛け、ゆっくりとした、それでも滑らかな動作で湯船へと入ってきた。
「ぁぅ…、本当に、こんなおばさんでいいの?」
そんなベタな事を言いながら、湯船の中で俺に寄り添うママのん。
人妻ならではの柔らかさを持つ肉付きが、俺の体にそっと触れる。
「…っ。もう、やめろと言われても止められませんよ?」
「…ん。お願い…」
モチっとしたママのんの唇。
背徳感なんてものは既に吹っ飛んだ。
ママのんのベロが物欲しそうに俺の口内へと侵入してくると、俺はそれに答えるようにママのんのベロに自らのベロを巻きつける。
陽乃さんや一色では感じなかった、どこか成熟した舌使い。
ねっとりと、勿体振るような唾液の交換。
こ、これが大人のテクってヤツか…。
「…ぁ、ん…ちゅ…っ!ん〜」
「ん…」
「はぁはぁ、ひ、比企谷さん…、もっと…」
湯船の中で抱き着かれ、お湯の温度かママのんの体温か分からなくなる。
すると、俺の首後ろに回した手に力が増し、ママのんは再度、俺の唇に貪りついた。
「んっ…、ゅ、ち、ぁ…」
キスが好きなのかな…。
俺よりも倍以上長く生きるママのんでも、キスをするときには目を閉じるんだなぁ、なんて思ったり。
でも、そんな大人な女性の子供っぽさが可愛らしく、俺は思わず、空いていた右手でママのんの秘部に指を這わせた。
「んっ…、ちゅ…、んっ!?ぷはっ、ん、あ、あの、比企谷さん…」
「ん…。お湯の中でも分かります。凄く暖かくなってますよ?ママのんさんのアソコ」
「…んっ、ん、ぅ…、ご、ごめんなさいね…、若い子みたいにキツくないから…」
膣の緩さを気にしているのだろうか、そんなものは成熟女性ならでは濡れやすさと、弾力ある飽和力の方が上回っているというのに。
簡単に指が3本も入る膣内を優しく掻き回すと、柔らかく膨らむ突起部に当たるたび、ママのんは腰をヒクつかせて喘ぎ声を上げる。
「んっ、そ、そこ…ぁ、あっあっ…!んっ〜〜〜」
「…まだ優しく触っていただけなんですが…」
「ぅ…ん、だ、だって…、そこ、弱いのよ…」
弱々しく瞳を潤ませるママのんを抱きしめると、軽くイッタばかりの身体は定期的にビクンビクンと痙攣していた。
「…陽乃さんと同じ所が弱いんですね」
「んぁ…。は、陽乃のとも、もうヤッていたのね」
「……失言でした」
「…いいのよ。その代わり…」
彼女は艶めかしい笑顔で、自らの胸を俺に押し付ける。
その柔らかさには、雪ノ下さんや一色とはまた別の柔らかさを持っていた。
そっと、唾液の溢れた口元が俺の耳元に近づく。
「今日は…、私のことを1番に愛して…」
不倫だとか浮気だとかは受け付けません。
シリアスな展開もありません。
これはご都合主義なエロSSなのです。