※この作品はR-18です。

お姉さんが処女のままなのは間違っている。   作:ルコ

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想定ギャップ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

むに…。

 

むにむに…。

 

ふむ、良い弾力だな。

 

この指が吸い込まれるような自然な柔らかさと、人の血が通う暖かさ。

 

ふにふにと触る度に漏れる吐息に聞こえないふりをしながら、俺は尚もソコを触り続けた。

 

 

「……俺は好きだな。触ってて気持ち良いし」

 

 

そっと、触られ続けて顔を赤める彼(・)女(・)に呟いてみる。

 

彼(・)女(・)はプイっと、目を逸らすも俺の手を払うようなことはしない。

 

 

「なぁ、反対側も触っていい?」

 

「っ、べ、別に…」

 

 

放課後の教室は夕日に照らされ、寂しげな色を醸し出す。

 

たった2人だけの世界。

 

そこで彼(・)女(・)は椅子に座って、ただただ俺に触られるがまま。

 

 

「あ、あんさ…」

 

「ん?」

 

「…うにゅ…」

 

「あはは。うにゅ、だって」

 

 

思わず、触れていた指にほんの少しだけ力を込めてしまった。

 

その拍子に出た「うにゅ」って言葉に、俺は頬を緩める。

 

 

「…んーっ、んっ!ちょ、ちょっと待てし!!」

 

「ちょ、なに?いますごく良い所だったんだけど」

 

「なんだし良い所って!マジで何なの!?延々とほっぺを触られるって何プレイだし!?」

 

「おまえのほっぺは気持ち良い。多分トトロと同じくらい柔らかい」

 

 

ちなみにトトロのお腹で寝るのが俺の夢だ。

 

と、もう一度触り直そうとする手を彼(・)女(・)に払われてしまう。

 

物悲しい2人だけの教室で、手と手が打つかった音が虚しく反響した。

 

まるで、コンサートホールに奏でる一線の音符のように。

 

 

「なんだよ。おまえが触って良いって言ったんだろ」

 

「あ、あーしは…」

 

 

彼(・)女(・)はーーー

 

ーーーー三浦 優美子は、小さくうつむき震えるような声を振り絞る。

 

 

目を潤ませて、それでも実直に。

 

 

ゆみゆみは小さな顔をゆっくりと上げた。

 

 

 

 

「…っ、あーしは!えっちのやり方を教えてって言ったんだし!!」

 

 

 

 

.

…

……

………

 

 

 

 

 

それはゆみゆみのほっぺを触り始める30分前のこと。

 

6限目から眠りこけていた俺は、6限目の終礼にも、下校の予鈴にも気付かぬまま、淡く綺麗な夢を見続けていた。

 

その夢に出てくる雪ノ下さんはすごく大人で、理想のお姉さんのような…。

 

デートをするにも我儘を言わず、ただただ緊張する俺の背中を優しく支えてくれて、そっと微笑むその表情にドキっとしたりして。

 

……。

 

あぁ、やっぱりリアルってクソだな。

 

だって、リアルな雪ノ下さんはただの淫乱我儘クソ女だもん。

 

一言目にはエッチしたい。

 

二言目には濡れちゃった。

 

三言目には子供欲しい。

 

…本当にまじで笑止!って感じですわ。

 

 

そんな風に、俺が夢にうなされていた時に。

 

 

ふわりと、誰かが俺の頭を優しく撫でた。

 

 

それは夢じゃくて現実だと、確かに伝わる暖かさが理解させた。

 

 

 

「…ん、雪ノ下さん…?…んぅ、エッチは…、今日はしませんよ…」

 

 

 

うとうとと、寝ぼけたままに俺は呟いていた。

 

 

夢と現実の狭間で揺れる。

 

 

あれ、雪ノ下さん…、なわけないか…。

 

 

だって、俺は学校で居眠りしてしまったわけだし、雪ノ下さんが学校に居るわけがない。

 

 

……ん?

 

 

それなら、この俺の頭を撫でているのは……。

 

 

 

 

 

「ふぇっ!?ひ、ヒキオ…?え、エッチって……」

 

 

 

 

 

………

……

…

.

.

 

 

 

 

 

「で、でね、あーしってこんなんじゃん?それなのに、しょ、しょ、しょ、…処女だから、あの、誰にも相談できなくて…」

 

「うん」

 

「…ぁぅ、でも、今更言えないし…」

 

「うん」

 

「…ヒキオ奉仕部じゃん。あーしにも奉仕してよ」

 

「おまえその言い方やめろし。マジでシャレにならんから」

 

 

なに?

この子って奉仕部のこと、あの夜の新宿にあるようなご奉仕しちゃうぞ!キラっ☆なお店だと勘違いしてんの?

 

違うよ?

 

違うからね?

 

健全な部活だからね?

 

 

「…ぅぅ、あーしも…、あーしも夜のお悩みをべらべら喋りたいし!童貞とか無理じゃね?って言いたい!!」

 

「あぁ、そう…、まぁアレだ…。が、がんばルビー!ってね…」

 

 

ルビーちゃん可愛いよね。

 

あ、帰ってサンシャイン見直そう。

 

そうしよう。

 

 

「待てし!あんた!あーしのほっぺをキズモノにしたことを忘れんな!!」

 

「…おまえのほっぺに傷なんて付けるかよ」

 

「ぁう…、そ、そんな曇り無きまなこで…」

 

 

もう一回ぷにぷにしていいのかな?

 

 

「あ、あーしのほっぺを触ったからには…っ、せ、責任取れし!!」

 

「…せ、責任…だとっ!?」

 

「そ、そうだしっ!!」

 

 

ふわりと、夕日に映えるゆみゆみの金糸が舞い上がった。

同時に、俺の胸元には女性1人分の重みが加わる。

 

正面から抱き着かれたのは彼女で何人目だろう。

 

ただ、制服に身を包み、如何にもな青春感を出してくれたのはゆみゆみが始めてだ。

 

みんな全裸か半裸だったし…。

 

 

「ハグーーーっ!どうだしヒキオ!これであーしは孕んだか!?」

 

「ハグで孕んじまったら少子化なんて起こらんだろうな」

 

「うぅぅーっ!!ヒキオの香りっ!甘い!」

 

「ま、待てよゆみゆみ」

 

「ぅぅ…、ゆみゆみ言うなし…」

 

 

震えながら俺にしがみつくゆみゆみを、俺は優しく引き離し、彼女の目尻に浮かぶ涙をそっと拭う。

 

 

高圧的で、少し怒りっぽい性格。

 

 

そんな風に見せて、本当は友達思いで誰よりも暖かい女の子。

 

 

ゆみゆみは可愛いし、なおかつ一途で純粋なコだ。

 

 

叶いもしない想いを抱いて、彼女は今もこうして頭を悩ましているのだろう。

 

 

「…エッチっていうのはね、すごく儚くて、それでいて尊いモノなんだ。…ゆみゆみは可愛いし、素敵な女の子だ。だからね、簡単にエッチだなんだって言っちゃだめなんだよ?」

 

「…あぅ!か、可愛い…、素敵……っ!!」

 

「ゆみゆみ?」

 

 

こちらまで熱くなりそうなほどに顔を火照らせたゆみゆみは、糸の切れた人形のごとく、カタカタとしたぎこちない動きで俺の胸ぐらに手を伸ばした。

 

ぎゅっと胸ぐらを掴まれると、女の子とは思えない力で引っ張られる。

 

 

「っ!」

 

 

吐息が掛かるくらいの近さ。

 

唇を少しでも動かせば触れてしまいそうなほどに。

 

ゆみゆみの顔が近くにあった。

 

 

 

 

 

「あ、あの…っ、ほ、保健室っ!保健室なら、誰も来ないから!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

初めてだった。

 

綺麗だとか、美人だとかとは良く言われるが、可愛いって言われたのは初めてだった。

 

鏡を見るたびに思う、厳しくて鋭いあーしの目元は、あまり女の子としては嬉しいモノではない。

 

ただ、今更可愛い女の子になれるはずもなく、ため息ばかりをこぼしながら、少しだけ高圧的に、身に合った性格を演じなければならない。

 

女王気質なキツめな女。

 

周りがそんな評価をしていることなんて、聞かずともわかる。

 

だってあーしがそう望んで演じたのだから。

 

 

「…ぁ、か、可愛い…、あーしが…、可愛いっ!?」

 

 

それなのに、目の前に佇む細身で弱々しい男は、あーしの事を可愛い女の子と言った。

 

我ながら単純だとは思うが、そう言われた時に、心の隙間を縫うような想いが身体に駆け巡る。

 

顔が熱い。身体も熱い。

 

感情が込み上げるみたい…。

 

そう、嬉しいんだ。

 

あーしはヒキオに可愛いと言われ、嬉しいと思ったんだ。

 

 

「…ゆ、ゆみゆみ?保健室に行きたいの?どこか怪我でもしたのかな?」

 

「ぁ、あの、怪我は…、してない…」

 

「なら、保健室なんて行く理由は無いよね?」

 

「…病気なの…、あーしは…」

 

「は?」

 

「恋の病になったんだしーー!!」

 

「……あぁ、この子もアホの類いか…」

 

 

呆れた顔であーしを見つめるヒキオの腕を掴み、あーしは無理矢理にでも保健室へと連れて行こうとグイグイ引っ張る。

 

可愛いとか、ゆみゆみとか、あーしの弱い所を優しく突っつくヒキオが悪いんだかんね…。

 

 

「ま、待てよ。おま、ほ、保健室じゃ恋の病とやらは治らんて。そ、そうだ、一度家に帰って頭を冷やせ。な?」

 

「あ、頭はもう冷えてるし!身体が熱いだけだから!」

 

「なおタチが悪いわ!」

 

「わかった!部室ならいいっしょ?奉仕部の部室なら誰も居ないっしょ!?」

 

「ダメに決まってんだろうが!!」

 

「わがままばっかり!優しくしろし…っ、あーしにも優しくしろし!!」

 

 

思わず、叫んだ言葉に涙が溢れる。

 

こんなにも人を求めたことは今までにあっただろうか?

 

掴んだ腕から伝わるヒキオの体温がこんなにも心地良く、そして幸せに感じてしまう。

 

 

「…な、なんであーしにばっかり意地悪するの?」

 

「い、意地悪!?え?俺が悪いの?」

 

「結衣や雪ノ下さんが困ってたら直ぐに助けてあげるくせに!」

 

 

伝わらない…。

 

きっと、あーしがギャルっぽいからだ。

 

慎重なヒキオは、こんなギャルの言葉は信じてくれないんだ。

 

 

……だったら…。

 

 

「……言いふらしてやる…」

 

「あ?」

 

「ヒキオがあーしのおっぱい触ったって言いふらしてやるんだかんね!?」

 

「お、おまえ、それはだめだぞ?まじで…」

 

「あーし!ヒキオに孕まされましたー!!」

 

「ちょ、こ、声がでかいっ!」

 

「しかも堕ろせ堕ろせって腹パンもされたし!!」

 

「なんて非人道的な奴だ…」

 

「……分かってくれた?」

 

「分かるか!!」

 

 

パシンっと、あーしはヒキオに頭を叩かれる。

 

はい、暴行罪も加わりました。

 

これでもう詰んだね。

 

 

「…それじゃ、保健室に行くし」

 

「ぐぬぬ」

 

 

優しく、ヒキオの手を握る。

 

先ほどまで頑として動こうとしなかったヒキオはゆっくりと、されども足取り重そうにあーしの後を付いてきた。

 

 

不思議な奴…。

 

 

17.8の男子高校生なんて、欲望に植えた発情真っ盛りな年頃だろうに。

 

 

よくもまぁ、これだ抵抗するものだ…。

 

 

……でも、嫌いじゃない。

 

 

あーしを見て、いやらしく目を細める男子共に比べれば、どこか恥ずかし気に目を背けるヒキオは可愛らしいし……、そ、その、愛おしいと思えるのだ…。

 

 

こんな男の子に初めてを捧げるのも悪くない。

 

 

 

なんてーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ぁ、ぁのさ、本当にあーし、初めてだから…、ヒキオがリードしてね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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