※この作品はR-18です。

お姉さんが処女のままなのは間違っている。   作:ルコ

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失踪プライム

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪ノ下さんて、いつも1人でナ(・)ニ(・)をしてるんですか?

 

 

ナニを……。

 

 

ナニを…。

 

 

 

比企谷くんの言葉に、私は思わず紅茶を吹き出してしまった。

 

な、な、な、ナニをっ!?

 

ナニをって!キミ!!ナニをー!?

 

 

慌てふためく私の目の前で、身体中を紅茶で濡らした彼がジト目で睨んでいた。

 

な、何をしてる…。

 

そうだ、彼はただの世間話に興じようとしただけ。

 

勝手に間違えて慌てたの私だ。

 

完全なる私の過失でびしょ濡れになってしまった比企谷くんに、私は謝りを入れてタオルを渡す。

 

 

彼の濡れた前髪と滴る紅茶。

 

 

ふと、純粋な誠意につけ込む不粋な下心が現れた。

 

 

『濡れた事を言い訳に服を脱がせ』

 

 

それは不幸までをも利用する狂気の発想。

 

 

だめよ。だめ!

 

 

そんなことが許されるわけがないわ!

 

 

濡れた彼に若干ドキっとしているのは事実だけど、過ちを甘みに変えようなんて人としてだめすぎるわ!

 

 

…いや待て。

 

 

元はと言えば、比企谷くんの思わせ振りな言葉が招いた事じゃない?

 

彼が私を勘違いさせるような事を言わなければ起きなかった事。

 

 

……。

 

 

 

「比企谷くん!服を脱いで!」

 

「え、いや、脱ぐも何も…」

 

 

戸惑う彼に、私はずいずいと歩み寄る。

 

べ、別に何かを期待しているわけではない。

濡れたままだと風邪を引いてしまうし、だったらお風呂にでもどうかなって思っただけ!!

 

 

「か、風邪引いちゃうでしょ?こんな寒い日に濡れたままじゃ」

 

「そ、それはそうですけど」

 

「ほら早く立って!お風呂はコッチだから!」

 

 

私は彼の手を引き強引に立たせ、背中を押し浴室へと押し込む。

 

ミッションコンプリート…。

 

浴室の扉越しに聞こえる布が肌に当たる音。

彼が服を脱いだことを確信し、私はスキップをしながら自室へと戻った。

 

素早くクローゼットからと(・)あ(・)る(・)物(・)を引っ張り出し、私はそれを身に付けるべく服を脱いだ。

 

 

「ふふふ。比企谷くんも童貞っぽいし、私の魅力に負けて襲い掛かってくるはず」

 

 

高校生振りに着たソレは、胸の部分がキツくなっていた。

雪乃ちゃんなら小学生から高校生まで同じ物で事足りるだろうけど…。

 

 

私は部屋から飛び出し浴室にへと急ぐ。

 

驚きたまえ比企谷くん!

 

このお姉さんのナイスバディーに!!

 

 

と、浴室の扉を開けたらーー

 

 

「…ちょ、ノックしてくださいよ。…てか、その格好はどうしたんですか?」

 

 

ホクホクと湯気を頭から出し、スウェット姿に着替え終えた比企谷くんが居た。

 

は、早すぎるっ!

 

カラスの行水にも程がある。

 

沈黙の続く浴室で、スウェット姿の彼は呆れたように溜息を吐きながら呟いた。

 

 

 

「…なんでスク水着てるんすか?」

 

 

 

 

 

……

…

.

 

 

 

 

 

リビングに戻り、注ぎ直した紅茶を片手に私は黙りこくる。

 

スク水のままでは寒いので、肩からバスタオルを掛け、首には比企谷くんのマフラーを巻いてみたがやはり寒い。

 

 

「……」

 

「…着替えたらどうです?」

 

「え、いや、コレ私の部屋着だから」

 

「…そ、そうですか」

 

 

イレギュラーな事態だ。

 

本来なら今頃、浴場でスク水姿の私が彼の身体を丁寧に洗っているはずだったのに…。

 

照れた彼の頬を突きながら

 

『続きはベッドでね』

 

って言うはずだったのに。

 

 

「…服、洗濯までしてもらってすみません」

 

「いや、はは。汚したのは私だからね」

 

「紅茶、美味しいです」

 

「ありがと。雪乃ちゃんにも負けてないでしょ?」

 

「……」

 

「……」

 

「…忘れますから。早く着替えてきたらどうですか?」

 

「…うん。ごめんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー☆

 

 

 

 

 

 

 

湯気の漂う浴場で、俺は広い湯船に浸かることなく熱めのシャワーを頭から掛ける。

 

ふと、俺のマフラーを我儘に巻き続ける彼女の膨れた頬を思い出した。

 

人間味があるというか、少し暖かいというか、今日の雪ノ下さんは少しだけ面白く…、可愛い…。

 

流石に紅茶を吹きかけられたときは戸惑ったが、会話の節々から感じる未熟さが、話していて面白かった。

 

 

「…ふぅ。お湯ぶっ掛けるだけでいいだろ。出よ」

 

 

水滴が床に溢れないよう、できるだけ素早くバスタオルで頭、身体を拭き上げていく。

 

スウェットに脚を通した所で、浴室の外からバタバタと忙しない音が聞こえてきた。

 

…また何かやらかしてんのか?

 

そう思い、スウェット姿になった俺は浴室の扉を開けようとした時。

 

 

バンっ!

 

 

と、俺が開けるよりも先に外からソレが開かれた。

 

 

そこに居たのはスク水姿の雪ノ下さん。

 

 

膨らみ過ぎた胸に目が行きそうになり、俺は静かに視線を下へと逸らす。

 

 

痩せ過ぎず太り過ぎずな健康そうな太もも。

 

 

け、けしからん…。

 

 

…いやいや、そもそも何をしてるんだこの人は。

 

 

だから俺はゆっくりと尋ねた。

 

 

「なんでスク水着てるんすか?」

 

 

 

 

 

………

……

…

.

.

 

 

 

 

 

リビングに戻ってもスク水から着替えようとしない雪ノ下さんを説得し、ようやく普段着へと着替えてくれた。

 

 

…まじで何だったの?

 

 

「…おまたせ」

 

「いえ…」

 

 

頬を赤らめた彼女は身を縮こまらせながらに紅茶を飲み直し始めた。

 

なんか帰るって言いづらいし…。

 

さて、どうしたものか…。

 

 

「あれ、俺のマフラーは?」

 

「隠してきた。だって、マフラー返したら帰っちゃうんでしょ?」

 

「どんだけ俺を監禁する気なんですか…」

 

「もうお外は暗くなってるから、1人で帰るのは危ないよ」

 

「雪ノ下さんが変な事するからでしょ」

 

 

窓の外は確かに暗い。

 

まだ17時だと言うのに。

 

冬の昼間の短さには驚かされる。

 

 

「でもアレだね。あんな事があった後だと…、ちょっと緊張するね…」

 

「…しないですけど」

 

「もう。照れ隠しが上手いんだから」

 

「…いやマジで何なのコイツ」

 

 

雪ノ下さんはもじもじと身体を揺すりながら、照れたように笑みを浮かべた。

 

 

「それじゃ、夕食の準備でもしましょうか」

 

「ちょっと待て。なに話を進めてんですか」

 

「食べないの?」

 

「食べませんよ。帰りますよ」

 

「ごめん、それ無理」

 

「あ、朝倉!?」

 

 

雪ノ下さんは立ち上がると、にやにやとした笑みで俺を見下した。

 

なんだろ。めっちゃ殴りたい。

 

 

「キミは帰れない」

 

「は?」

 

「…私を侮らないことね」

 

「…む」

 

 

ゆるりと、勝ち誇った顔。

 

余裕と歓喜に満ちたその態度に、俺は小さく慄いた。

 

 

 

「なぜなら!!比企谷くんの靴はもう無いのだから!!」

 

 

 

「おまえ!靴まで隠しやがったのか!!」

 

 

 

 

 

 

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