※この作品はR-18です。

女性サーヴァントしかいないカルデア   作:北斗七星

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 前々から思ってたんですよ。スキルが消せないなら弱くすりゃいいんでね、と。


『沖田総司』元病弱少女の恋

(俺の名前は遠野真。十八歳の誕生日、たまたま見つけた胡散臭いチラシに応募したらカルデアとかいう場所に拉致され、何故かマスターと呼ばれる何かになっていたごく普通の男の子だ。色々あって滅びそうになってる人類の歴史を救済するため何やかんやと頑張っている。人類最後のマスターとして行動している俺だが、実は二つの大きな問題を抱えている。一つはこのカルデアに召喚されるサーヴァント(何か凄い人たち)が何故か女性しかいないということ、そしてもう一つは女性サーヴァントたちとの距離が物理的にも精神的にも近いということだ)

 

 

 

 

 

「げほっ、ごほっ……とうとう、お別れの時が来てしまったようです、マスター」

 

 ベッドから覗かせた顔を苦しげに歪める薄い桜色の髪のサーヴァント。彼女の名は沖田総司。幕末最強最美美少女剣士(自称)であり、カルデア最後のマスター、遠野真の懐刀(自称)だ。二つも自称があるのはご愛嬌ということで一つ。

 

「総司。何を言ってるんだ」

 

「ふふ、振り返ってみると碌な人生、もといサーヴァント生じゃありませんでした。肝心な時にスキル『病弱』が発動して血を吐いてぶっ倒れるわ、同じ期間限定星5サーヴァント、同じクイック単体宝具なのにセルランであのおっぱいタイツに負けるわ……胸ですか、胸なんですか? そんなに胸が好きなんですか。私にだって太腿という魅力があるのに……オマケにそのおっぱいタイツは愛しのマスターの初めてを奪った様々な意味での怨敵。ぬえぇぇ、恨めしやぁ……」

 

 可愛らしい声で恐ろしげな呪詛を呟く。しかし、悲しいかな。熱でリンゴのように真っ赤になった顔に加えて額に濡れタオルを置かれた姿でそんなことを言われても怖くとも何ともなかった。

 

「あぁ、目が霞んできました。体も思うように動きません……真さん、真さん」

 

 熱で潤んだ目をベッドの傍らにある椅子に腰かけている真に向ける。弱々しく真の名を呼びながら布団から出した手を伸ばしていた。

 

「もう、貴方と共に最後まで戦い抜くという望みは叶えられそうにありません……結構な確率で病弱を発動させて皆さんの足を引っ張ってしまいましたし、マスターにとって私が良いサーヴァントだったかどうか……でも、これだけは覚えていてください。私の想いは常に貴方と共にあることを……真さん、心より、心の底からお慕い申し上げておりました」

 

 今わの際に想いを告げる総司。万感の気持ちが込められた彼女の告白に真はゆっくりと手を伸ばし、

 

「唯の風邪と筋肉痛なのに何を大袈裟なこと言ってるんだよ」

 

 呆れながら総司の額に乗った濡れタオルをサイドテーブルに置いてある桶の冷水に浸した。

 

「う~、少しくらい乗ってくれてもいいじゃないですかぁ……はぷちゅ」

 

 小さくくしゃみをしながら総司は額に再び冷たくなったタオルを乗せてくる真を恨みがましく見つめていた。一体全体、これはどういう状況なのか。説明するには数日前に遡る必要があるだろう。

 

 

 

 

 発端は真のこの発言だった。

 

『総司の病弱スキルって聖杯でも消せないんだよな? でも、弱めることは出来るんじゃね?』

 

 そも、病弱のスキルとは何か。超簡単に一言で説明するといつ何時発生するか分からない行動不能のデバフである。睡眠中だろうが飯時だろうが時と場所を選ばず問答無用で発動するし、その上、解除方法もない。デバフというよりも呪いと言ったほうが表現的には合ってるかもしれない。

 

 そんな厄介極まりないスキルを己の意思に関わらず持ってしまっている総司。戦闘中に発動してしまい、仲間に迷惑をかけてしまうという場面も何度かあった。流石に何かしらの対策をせねばならんだろう、とカルデア一同首を捻らせていた時に真が言ったのが先の発言である。

 

 真曰く、病弱のスキルは体重みたいなものだそうだ。健康に害が出るほどに体重が増えてしまった。しかし、体重その物を消すことなんて不可能。なら、どうすればいいか。痩せて体重を減らせばいいのだ。この理屈を病弱スキルに当て嵌め、スキルランクを下げればいいというのが真の考えだった。

 

 そんなことが可能なのか、と極当たり前な疑問を上げる者もいたが、物は試しだと真は譲らなかった。

 

『これで病弱スキルがどうにか出来るんなら御の字だろ。色々な特異点解決したから聖杯もアホみたいにあるし、一つや二つ使ったって何の問題も無いっしょ』

 

 世の魔術師が聞けばブチ切れてしまいそうなことを平然と口にしながら真は回収していた聖杯の一つを総司に使用。結果は大成功だった。

 

 

 

 

「さてさて、聖杯は上手く機能してるかな……ドクター、どんな感じ?」

 

「今、確認してるよ……おぉ、凄い! 成功だ! 病弱のランクがAからZにまでダウンしてる!」

 

「マジで!?」

 

 ロマニの言葉に発案者である真もビックリ仰天する。ロマニと共に総司のステータスが映し出された空間ウィンドウを確認してみると、彼の言う通り総司の病弱スキルは最低値までランクを落としていた。

 

「いやしかし、自分で言い出しといてなんだけどこんな上手くいくとは……でも、ZってなんだZって?」

 

「もうこれランクが低すぎて逆に頑強とかその類のスキルに相当する効果があるんじゃないかな……ところで、彼女は何時まで寝てるんだい?」

 

「言われてみれば。おい、総司」

 

 真はベッドの上に横たわっている総司を優しく揺り動かす。聖杯を使用された体勢のまま総司は目を開かない。

 

「あれ、起きないな?」

 

「……まさか、聖杯が彼女の精神に何かしらの影響を及ぼして寝たきりの状態に!?」

 

「はぁ、嘘だろ!? おい、総司! 起きろ!」

 

 再び総司の肩に手をかけ、揺さぶろうとした刹那、彼女の双眸がパッチリと開く。そして寝たままの状態でブラボー! おお・・・ブラボー!! と称賛でもし始めそうな感じに跳び上がった。

 

「「ほぎゃあああああ!!??」」

 

 余りのことに思わず抱き合う真とロマニ。驚き抱き合ったまま固まる二人を他所に総司は空中で一回転を決めて華麗に着地。自分の手や体を信じられないという面持ちで見ていた。

 

「体が軽い。空気が旨い。こんなの、こんなの生まれて初めてです……」

 

 呆然としながらも手を握ったり開いたりを繰り返し、今のこの状況が夢ではなく現実なのだと噛み締める。体の奥底から湧き上がる喜びに全身が震え、震えが最高潮になると同時に総司はピョンピョンとその場で踊るように飛び跳ね始めた。

 

「やった、やりました! 遂に、遂に沖田さんの時代がキター!! もう何も怖くない!」

 

「あぁ~、沖田さん?」

 

 全身を使って喜びを露わにする総司に恐る恐る声をかける真。勢いよく振り返った総司に多少ビビるも、真は総司の体を気遣った。

 

「その、体のほうは大丈夫か? いや、今のを見るに大丈夫だとは思うけどさ」

 

「マスター……」

 

 真の質問に答えず、総司は瞳を潤ませながら真を見ていた。

 

「総司?」

 

「マスター、マスター!!」

 

「ぐぼあぁっ!?」

 

 感極まったのか、総司は縮地を発動させて真へと抱き付いていた。一歩音越え、二歩無間。三歩絶刀。剣技を『魔剣』へと昇華させた速さが頭突きという形でいい具合に真の鳩尾に突き刺さる。当然、こんなものを無防備の状態で喰らった真はただでは済まず、呼吸困難を起こしていた。

 

「ありがとうございます、ありがとうございますマスター! こんな人を斬ることしか出来ない私なんかのために……!」

 

 嬉し涙を流しながら総司は真にグリグリと頭を押し付ける。鳩尾を何度も執拗に抉られるように頬擦りされ、真は白目を剥きながら泡を噴いていた。

 

「分かった、嬉しいのは分かったから一旦落ち着こう! 死んじゃう、死んじゃうから!!」

 

 ロマニの死に物狂いの説得が功を奏し、どうにか総司を落ち着かせることに成功。平静を取り戻した総司は顔を赤くさせながら申し訳なさそうに顔を俯かせている。

 

「その、すみません。みっともない所を見せてしまって……」

 

「まぁ、仕方ないさ。今まで自分を拘束していた枷が無くなったようなものだからね。嬉しくて我を忘れる気持ちも分かるよ。ね、真君?」

 

 ロマニの呼びかけに真は鳩尾を擦りながら頷いた。何はともあれ、総司を苦しめるものを取り払うことが出来たのだ。今はそのことを喜ぶべきだろう。

 

「マスター、そしてドクター。このご恩、沖田さんは絶対に忘れません。必ずや、我が剣にかけて恩義に報いることを誓いましょう」

 

「そいつは頼もしいな。まぁ、恩義云々は気にしなくていいよ。お前がそうやって元気な姿を見せてくれるだけで嬉しいから」

 

 穏やかに微笑む真を総司は顔を真っ赤にさせて見詰めていた。お前の元気な姿が見れるだけで嬉しい、という真の言葉に胸を高鳴らせて総司はうっとりとした表情を浮かべている。あぁ、こうやって彼は女の子を落としていくのかぁ、と真と総司を見比べるロマニはプレイボーイ気質の弟を心配する兄のような心境だった。

 

「こ、こんな人斬りの姿で良ければいくらでも見て下さい。私も、その、マスターに見てもらえるのは嬉しいですから……はは、何を言ってるんでしょう、沖田さんったら」

 

 自分の言ったことが急に恥ずかしくなったのか、総司は頬を染める朱を濃くしながら目を泳がせる。さっきから心拍数は上昇の一途をたどっており、収まる気配を全く見せなかった。

 

「どうした、総司? 凄い顔赤いけど、大丈夫か?」

 

 聖杯の影響か、と心配そうに真は総司に手を伸ばす。真の手が総司の頬に触れた瞬間、ぴあっ! と珍妙な叫びを上げながら総司が飛び退いた。肩で息をしていると、手を伸ばした体勢で固まった真と視線が合う。ちょっとショックを受けた顔をしている真の姿に総司は慌てて弁解を始めた。

 

「え? あ……ち、違いますよマスター! 今のはちょっと驚いてしまっただけでマスターに触られるのが嫌だという訳ではなくて、むしろ触って欲しいといいますか……何を言ってるんですか私は……! でも本当のことだし」

 

 盛大にパニくる総司。少し落ちつけ、という真とロマニの言葉も彼女には届かない。乙女の羞恥心は彼女の思考回路を熱暴走させ、段々と彼女を愉快な方向へと転がしていった。

 

「そうだ。敵を斬ってくればいいんだ」

 

「待て待て、何でそうなる!?」

 

「戦場なら沖田さんも冷静になれる。敵を斬れば素材が手に入ってマスターも嬉しい。正にウィンウィン。うっは、沖田さんマジ天才!」

 

 天啓を得たとばかりに喜ぶ総司だが、彼女が正常な思考を出来ていないのは明白だった。その証拠に彼女の瞳は渦潮のようにぐるぐると回っている。

 

「待っててください、マスター。今、貴方の沖田さんが華麗にシュバッと色々やって来ますから!」

 

「色々って何だ!?」

 

 真の問いに答えず、総司は部屋の中から姿を消した。一拍遅れて部屋のドアに内側から刳り貫かれたような穴が開き、そこから何かが廊下へと飛び出していく。

 

「沖田さん、最っ強ー!」

 

 そんな叫び声が廊下に木霊していった。残された真とロマニは急転する事態についていけずに唖然と口を開いていた。

 

「……俺、どうすればいいかな、ドクター?」

 

「……とりあえず、ドアを直そうか」

 

 

 

 

 三日後、敵を斬りに行くとだけ言い残した総司が大量の素材や種火と共に帰ってきた。精も根も尽き果て、口から魂が抜けかけている姿は正に生ける屍。口元が血で汚れていたのを見るに、最低ランクまで落ちたはずの病弱が発動したようだ。

 

「な、何故、何故病弱が?」

 

「ランクが下がったとはいえ、病弱スキルそのものが無くなった訳じゃないからね。発動する時は発動するもんだよ」

 

 とはロマニの言葉。要はゲームと一緒だ。こちらの命中率が九十九パーセントでも敵に攻撃が当たらないこともある。逆もまた然り。敵の命中率が一パーセントでも当たる時は当たる、それもクリティカルで。

 

「うぅ、沖田さん最強伝説が。今日からバリバリ№1計画が……」

 

「そう落ち込むなよ。聖杯使う前のお前なら血反吐噴いてぶっ倒れてただろうけど、今はこうして軽い風邪と筋肉痛で済んでるんだ。オマケに這ってとはいえ自力でカルデアに戻ってこれた訳だし。何も気にすることなんてねぇさ」

 

 真の慰めが逆に辛い総司だった。

 

 

 

 

「馬鹿は風邪をひかないっていうけど、嘘ねあれ。だって、現にお馬鹿なあんたがこうやって風邪で倒れてるんだもの」

 

「ふえぇ~ん」

 

 ニヤニヤと底意地悪く笑いながらジャンヌ・オルタはベッドに寝ている総司の頬を突いていた。振り払おうにも筋力ランクAには敵わず、総司はジャンヌ・オルタの意地悪な言葉に情けない声を上げることしか出来なかった。

 

 総司が無茶な素材集めから帰ってきた翌日。寝込んでいる総司を見舞おうと、彼女の部屋にはサーヴァント達が代わる代わる訪れていた。ジャンヌ・オルタもその内の一人であり、彼女はブーディカ、スカサハと共に総司の部屋に来ていた。

 

「額に肉って書いていいかしら? もちろん、油性で」

 

「や、止めてください~」

 

 じゃれ合う二人にブーディカは困ったように笑いながら頬を掻き、スカサハは無言で小さく肩を竦める。

 

「これでよし。今日からあんたも立派なキ○肉マンよ」

 

「何で書くんですかぁ。こうなったらお返しです。額に殺って書いてあげます」

 

「あ、ちょ、止めなさい! 私はヘビメタなんてやる気はこれっぽっちも……!」

 

 病人にちょっかいをかけるジャンヌ・オルタを止めるべきなのだろうが、心なしか総司も楽しそうにしているので傍観に徹することに。

 

「二人とも、とりあえずそこまでにしたら?」

 

 互いの顔にネズミや泥棒のような髭を描きだした辺りでブーディカが二人を止める。黒いインクで顔が酷いことになっている二人にスカサハは無言で濡らしてきたタオルを差し出した。武士の情けか、それとも自分も顔に何かを描かれることを想定していたのか、ジャンヌ・オルタの使ったペンが水性だったため濡れタオルで拭くだけでも二人の顔は綺麗になった。

 

「お主は気になる女の子にちょっかいをかける男子小学生か。照れ隠しのつもりなのかは知らんが、さっさと作ってきた差し入れを渡せばいいものを」

 

 差し入れ? と総司がジャンヌ・オルタを見ると、顔を薄らと赤くさせながらベッド脇のサイドテーブルに置かれた小さな白い箱を指差している。

 

「べ、別に差し入れなんかじゃ。ただ、作ってたアイスが偶々余っただけだし」

 

「その割には随分と真剣な顔で作っていたな」

 

 からかうように口元を歪めたスカサハに追従するようにブーディカも優しげに微笑んでいた。

 

「オルタねぇ、凄い頑張ってアイス作ってたんだよ。君が日本出身のサーヴァントだから味はバニラよりも抹茶のほうがいいかなとか色々考えながら」

 

「ちょ、何で知って……! こほん、何か勘違いされても鬱陶しいので先に言っておきますが、別に貴方のために抹茶アイスを作った訳ではありませんから。ただ偶々、何故か抹茶味を作りたくなっただけで……何ニヤニヤしてんのよ?」

 

「「いや、別に」」

 

 睨み付けてくるジャンヌ・オルタに大人組二人は余裕たっぷりに首を振る。優しく生暖かい目で見られ、ジャンヌ・オルタは自分の体温がどんどん上昇していくのを感じた。

 

「そう、ですか。ありがとうございます、オルタさん。態々、沖田さんのために」

 

 何か言い返そうとする前に総司に礼を言われる。告げられた感謝の言葉にジャンヌ・オルタは嬉しいような照れくさいような複雑な表情を浮かべながら頭にちょこんと生えたアホ毛をくるくると指先で弄った。基本、彼女は感謝などの感情を向けられることに慣れていない。

 

「べ、別にお礼なんていいわよ。言って欲しくて作った訳じゃないし……と、とにかく! それ食べて早く元気になりなさいよ! あんたの抜けた穴を埋めるのも楽じゃないんだから!」

 

 顔を真っ赤に染めながら一方的に告げ、返事を待たずにジャンヌ・オルタは足音も荒く部屋から出ていった。

 

「素直じゃないなぁ。ありがとうって言われたらどういたしましてって言えばいいだけなのに」

 

「性分なのだろう、難儀な奴だ。さて、では私もさっさと渡すとしよう。病人の部屋に長々と居座るものではないからな」

 

 そういってスカサハはあるものを総司に向けて突き出す。

 

「飲め」

 

 短い命令形口調と共に突き付けられたのは大振りなガラス製のジョッキ。酒場なんかに行ったら荒くれ者達が冷えたエールの注がれたこれを片手に濁声で歌いながら酒盛りをしていそうなものだが、今現在スカサハの手にあるものはそんな陽気なものではなかった。

 

「あ、あの、何なんでしょうかこれは?」

 

 顔を青ざめさせながら訊ねる総司の眼前でジョッキの中身がゴボリと泡を吹く。ジョッキを満たしている何かドロドロとしたどどめ色の液体は明らかに人間が飲める、というか口に出来る代物ではなかった。サーヴァントであっても無理だろう。悍ましいオーラを放ち、どす黒い煙を吹き出しているというのに何の臭いもしないというのが逆に不気味だ。

 

「私が手ずから調合した秘薬だ。飲めば霊基も月までぶっ飛ぶほどの衝撃を味わうことになるが、効果は保障しよう。体にはとてもいいぞ、体には」

 

 体には、と連呼するスカサハに恐怖心が煽られる。それはつまり、心に何かしらの後遺症を残すということではなかろうか。

 

「ちなみに、一体どんな材料で作って」

 

「それは聞かない方がいいよ。絶対に飲めなくなるから」

 

 真顔のブーディカの警告に総司は情けない声を上げて後ずさった。かつて、幕府を守るために志士をばっさばっさと斬り倒していた新撰組一番隊隊長、沖田総司。英霊として召喚されても振るわれる刃に迷いはなく、速く鋭い剣戟は何度もマスターや仲間の道を切り開いてきた。戦場では凛と、研ぎ澄まされた刀のように戦っていた彼女が今はどうだろう。半泣きになりながら薬を嫌がる姿はもう子供のそれだった。

 

「お、お気持ちだけありがたくいただいておきます。沖田さん的には薬とかに頼らないで自然に治るのを待ったほうがいいかな~、とか思ってたり思わなかったり……」

 

「自然に治るのなど待てるか。後、もう少しでお主の三段突きを再現出来そうなのだ。是非ともあと一回、実際に技を放つところを見せてもらわねば」

 

「ちょっと待って下さい。今、非常に聞き捨てならないことを言ってませんでしたがががが……」

 

 

 

 

「えっと、大丈夫?」

 

 気遣いの眼差しを向けてくるブーディカに総司は無言で頷くことしか出来なかった。両手で口元を押さえ、薄く涙の膜が張った瞳を見開きながら体を震わせている姿はとても大丈夫には見えない。

 

「味の方は……まぁ、言葉に出来ぬほど酷いものだが、薬としての効能はきちんとあるから安心しろ」

 

「これで何の効き目も無かったら唯の拷問だよ……大丈夫、総司? 寝られる?」

 

 ブーディカの助けを借り、総司はゆっくりとベッドの上に横になる。それだけでも激しい吐き気に襲われ、総司は青白い顔からより一層血の気を引かせた。

 

「とりあえず、動けるようになったらオルタのアイス食べなよ。口直しにはなるだろうし。冷凍庫に入れとくね」

 

「真も今日の訓練を終えたら見舞いに来ると言っていた。それまでに少しでも体調を良くしておくことだ」

 

 ぽん、とそれぞれ総司を一撫でし、大人二人は立ち去った。

 

 細く息を吐きながら総司は天井を見上げる。腹の中を直接掻き混ぜられているかのような吐き気を覚えているにも関わらず瞼は重く、不思議とすんなりと寝入ることが出来た。スカサハの言う通り、味に見合うだけの効果はあるようだ。

 

「……ん」

 

 体感時間数分の眠りから目覚める。壁に掛けてある時計を見てみると、およそ一時間ほど寝ていたことが分かった。

 

 体を起こしてみて総司は驚く。体を動かすのが億劫な程だった全身の痛みは嘘のように軽くなっており、頭がぼうっとするような熱も息苦しさも感じない。スカサハの作った秘薬のお蔭だろう。

 

「流石はスカサハさん、凄いものを作りますね……味があれですけど」

 

 感心すると同時に総司は表情を苦くさせながら舌を出す。体調が良くなった反面、舌は酷いことになっていた。苦味とえぐみに殺意を掛け、グロテスクを二乗させたような後味が舌に残っている。控え目に言ってテロい、破壊活動の域だ。喉元を過ぎても味覚を苛む余りの不味さに総司は軽く涙目になりながらえずく。口元を押さえながら総司は急いでベッドから下り、ブーディカが冷凍庫に入れてくれたジャンヌ・オルタお手製のアイス入り箱を取り出した。

 

「いただきます……おいひ~」

 

 ベッドに座り、箱の中に入っていたプラスチック製のスプーンで緑色のアイスを口に運ぶ。口の中に広がる甘味と仄かな苦味。鼻腔を吹き抜けていく抹茶の香りが心と舌を洗い流してくれるかのようだった。目元を幸せそうに緩ませながら総司は夢中でアイスを食べ続けた。

 

「ふぅ、ご馳走様でした。また今度、オルタさんにお礼を言わないと……」

 

 食べた後の後片付けをしていると、軽いノックの音が聞こえてきた。総司が答えるよりも早く、扉を叩いた誰かが呼びかけてくる。

 

『総司、起きてるか?』

 

 真だ。聞こえてきたマスターの声に総司は扉を開けようとしていた手を止めた。心臓は鼓動を速め、胸を突き破らんばかりに強く脈打っている。

 

「ま、マスターですか!?」

 

『あぁ。ちょっくらお見舞いに来たんだが、入っても大丈夫か?』

 

 真の問いに総司は自身を見る。寝間着に使っている布地の薄い桜色の浴衣は汗をたっぷりと吸い込んでおり、軽く匂っていた。下着替わりに胸に巻いていた晒や褌も同様の状態だ。

 

「ちょ、ちょっと待っててもらってもいいでしょうか?」

 

 流石にこの格好で会うのは乙女としてまずい。らしくも無い羞恥心にあたふたしながら総司は着替えるためにクローゼットへと向かう。あいよ~、という真の返事を背で受けつつ新しい服を取り出そうとしていた総司の手がふと止まった。目線の先には来る時のために用意しておいたあるものが。

 

「……よし!」

 

 今がその時と判断。総司は意を決し、そのあるものへと手を伸ばした。

 

「ど、どうぞ」

 

「それじゃ入りますよっと。調子はどうよ?」

 

 部屋の主の許可を得て真は中へと入った。両手で持った盆の上には深皿に盛られたお粥が美味そうな湯気を上げている。

 

「はい、お蔭様で。すみません、ベッドの上から」

 

「気にすんな、気にすんな。お前は病人なんだから」

 

 頭を下げる総司に手を振って見せ、真は盆をベッド脇のサイドテーブルに置いて自身は椅子へと腰かけた。

 

「顔色、随分と良くなったな」

 

「スカサハさんの薬のお蔭です」

 

「薬? ……あぁ、あれってやっぱ薬の材料だったのか」

 

 総司に聞こえないよう小さく呟きながら真は数時間前にスカサハが倉庫から色々と持ち出していたことを思い出す。凶骨、精霊根、竜の逆鱗。虚影の塵、蛮神の心臓、智慧のスカラベ。他にもレイシフト先で狩ってきたのであろうゲイザーの眼球やらキメラの生き胆、その他諸々の何か得体の知れない物を持っていたことも。

 

「(あれ全部が薬の材料だったとしたら……)よく、飲めたな」

 

「えぇ、まぁ。ちょっと酷い味がしましたけど……」

 

 薬の味を思い出したのか、総司は顔を蒼白にさせる。その反応を見るだけでも薬の味がちょっとレベルでは無かったことが窺えた。

 

「そっか。だったら、食欲とか無いか? 腹減ってるかもと思ってお粥作ってきたんだけど」

 

「そのお粥、もしかしてマスターが作ってくださったんですか?」

 

 総司の問いに頷く。

 

「食欲無いなら持って帰るけど」

 

「そんなことありません! ぜひ、いただきます、すぐいただきます!」

 

 食いつくような総司の勢いに驚く真。若干たじたじになりながら深皿とレンゲを渡そうとすると、総司は差し出されたものを受け取ろうとはせずに顔を赤くさせて手をもじもじさせていた。

 

「食べないのか?」

 

「あ、いえ、その、勿論食べたいのですが……マスターに食べさせて欲しいなぁ~、なんて……」

 

 消え入りそうな声で喋りながら総司は上目遣いに真を見る。不安と期待に揺らぐ瞳に見詰められ、多少キョトンとするも真は快く頷いた。

 

「いいぞ。それくらいならお安い御用だ」

 

 レンゲでお粥を一掬い。フー、フーと何回か軽く息を吹きかけて冷まし、総司の口元へと持っていく。満開に花弁を咲き誇らせた桜のように笑顔を華やかせ、総司は嬉しそうにお粥を口に含んだ。

 

「美味いか?」

 

 真の問いに総司はお粥を味わいながら頷く。真が作ってきてくれたことに加え、真が食べさせてくれる状況も相まり、ただのお粥が極上の味わいとなる。一口食べては次をねだるように口を開く総司の姿に真は雛鳥にエサを与える親鳥の気分を味わった。

 

「はい、おしまい。お粗末さん」

 

 永遠に続くものなどこの世には無い。咲き乱れていた美しい花々がやがては枯れるのと同じように幸福も消えゆく運命にある。つまり何が言いたいのかというと、総司がお粥を完食してしまったということだ。

 

「え、もう終わりですか?」

 

 真が頷いたのを見て総司はしょんぼりと俯く。折角、真が料理してくれたものを早々に食べ終えてしまった自分に何故もっと味わわなかったのかと言いたかった。でも、仕方がない。だって、美味しかったから。一人勝手に落ち込む総司の頭にポンと何かが乗る感触。

 

「美味しかったみたいで何よりだ。また作ってやるよ。今度はお粥じゃない普通の料理でな」

 

 微笑みながら真は総司を撫でる。指が優しく髪を梳いていく心地よい感触に総司は悲しげだった表情を一変させ、幸せそうに笑顔を浮かべていた。

 

「じゃ、俺は戻るぞ」

 

 一頻り総司を撫で、真は立ち上がろうと腰を上げる。頭から真の手が遠のいていき、総司はあ、と寂しげな声を出した。

 

(行かないでください)

 

 口が開くよりも早く体が動いた。無意識の内に総司は両手を伸ばし、さっきまで頭を撫でてくれていた真の手をきゅっと掴んでいた。

 

「い、行かないでください」

 

 小さく目を開いた真を総司は風邪の熱とはまた別の熱さで頬を赤くさせながら見詰める。

 

「もっと、撫でて……いえ、もっと私に触ってください」

 

 両手で包んだ真の手を頬へと誘う。じんわりと伝わってくる人肌の温もりに安心感を覚えながら総司は潤んだ瞳を真に向けた。

 

「傍に、いて欲しいんです……」

 

 掛け布団を押しのけ、膝立ちになる。見詰め返してくる真の双眸から目を背けず、総司は顔をおずおずと近づけていった。互いの吐息が肌で感じられるほどの距離。

 

「マスターがたくさんの人から愛されているのは知ってます。その人達が私なんか足元にも及ばないような魅力的な方々だということも」

 

 でも、と少女は己の中に初めて生まれた感情のままに声を震わせながら言葉を紡ぐ。

 

「マスターに、貴方に愛されたいんです」

 

 搾り出すような求愛の告白を受けて真の表情が真剣なものになった。

 

「俺なんかでいいのか?」

 

 真の問いに小さく頷く。

 

「マスターじゃなきゃ、駄目なんです……マスター、大好きです」

 

 総司の返答に真は鷹揚な笑みを浮かべる。総司の頬に添えていた手を後頭部へと回し、ゆっくりと引き寄せた。瞼を下ろし、緊張で体を硬直させる総司を安心させるように撫で、真は彼女と口付けを交わす。

 

「「ん……」」

 

 唇が触れ合い、総司は歓喜に体を震わせる。自分が受け入れられた喜びと安堵感に思わず涙が零れた。涙を親指で拭い、総司を抱き締める。総司もこわごわと伸ばした両手を真の体に回し、幸福に包まれながら触れ合うだけのキスに耽った。

 

「総司、舌出して」

 

 諾々と差し出された可愛らしい舌を唇で咥える。ぴくん、と体を揺らした総司の背を擦りながら真は彼女の舌に優しく自分のものを絡みつかせ、口内へと迎え入れた。唇同士が触れ合う感触と舌と舌が巻き付き合う快感が総司の興奮を煽る。もっと真を味わいたいという衝動に突き動かされ、総司はおっかなびっくりではあるものの自分から舌を動かしていった。

 

「ちゅ、ちゅぱ、ましゅたー」

 

 幸せそうに吐息を漏らす総司を一層強く抱きしめる。総司も両腕に力を込め、真を自分のほうへ引きつけた。より強く感じられるようになった肉体の体温と触感が二人を燃え上がらせる。

 

「ずぢゅ、ぢゅるる、んむ、ぢゅりゅりゅりゅ……」

 

 徐々にキスの激しさが増していく。下品な音を立てるのも構わずに相手から送られる唾液を啜り、のたくる蛇のように動く舌で互いの歯茎、頬肉、口蓋を舐め回していった。舌に押し出されて二人の口から溢れた涎が顎を伝い、滴り落ちて胸元を汚していく。

 

 二人の体が離れる。情欲に濡れた瞳に互いの顔が映っていた。小さく荒い息を吐きながら真は頬を上気させている総司の浴衣の襟に両手を伸ばした。

 

「いいか?」

 

 総司が無言で頷いたのを見て、真は徐に浴衣を脱がしていく。露わになっていく細肩、浮かび上がった鎖骨、そして豊かな乳房を覆う可愛らしくも男の欲望を騒がせるきわどいデザインのブラジャー。

 

「総司、こいつは?」

 

 普段、彼女が晒で胸元を押さえていることを知っている真は微かに驚くが、視線を総司の魅力的な姿から外そうとはしなかった。

 

「こ、これはですね、その、ダ・ヴィンチちゃんに頼んで、作ってもらいました。少しでもマスターに喜んでもらおうと思って……」

 

 容赦なく肌に突き刺さる真の視線に喜びと恥じらいを同時に覚えながら総司は桜色の下着、いわゆる勝負下着を手に入れた経緯を話す。ダ・ヴィンチショップは今日も大繁盛のようだ。

 

「どうでしょう、マスター。興奮します、か? こんな人斬りの体ですけど……で、でも、このぶらじゃーとしょーつは中々のものですよ」

 

 そういって彼女は下着を見せつけるように胸を張る。今に始まったことではないが、総司はどうにも自分を卑下するきらいがあった。碌な恋愛経験もしないで若年の内に死んでしまったせいか、自分が如何に魅力的な女子であるか知らないようだ。

 

「うん、凄い興奮する。でも、それは下着のデザインとか関係なくて」

 

 総司の額に軽くキスをする。

 

「総司が可愛いからだ」

 

「か、可愛い、私が!? そ、そんな私みたいなただの人斬りが」

 

「人斬りとか関係ないさ。お前は魅力的で綺麗な女の子だ。だから俺はお前を抱きたいと思ったんだ」

 

「ま、マスター!」

 

 真の告白に感極まり、総司は薄らと涙を浮かべながら真に抱き付く。たくましい胸元に顔を押し付けてみれば心臓が強く速く鼓動しているのが分かった。服越しでも分かるそれは真の発言を裏付けているかのようだ。

 

「やっぱり、総司は可愛いな。ちょっと汗臭いけど」

 

 へ、と総司の口から間抜けな声が漏れる。着替える前ほどではないが、確かに総司の体は少し汗ばんでいた。スカサハの薬のお蔭で下がった熱が真とのキスでぶり返したらしく、汗が噴き出してきたようだ。

 

「わ、わわ、私はこんな体でマスターに……! す、すみませんマスター! 今すぐに身を清めて」

 

「いいよ、別に」

 

 あわあわと項まで赤くなりながら慌てる総司を抱き留めて真は朗らかに笑う。

 

「どうせこの後、二人で汗まみれになるんだからさ」

 

「はうっ!?」

 

 耳元で囁かれた台詞に総司は頭が爆発したかのような衝撃を味わった。漫画なら耳から煙が漂っているような一コマが描かれているだろう。

 

「まぁ、どうしても気になるなら俺が拭くけど」

 

「……お、お願いします」

 

 真の言う二人で汗まみれになる行為を思い描き、思わず吐血しそうになりながらも総司は返事をする。じゃ、まずは背中からと言われ、総司は真に背を向けながらベッドの上で女の子座りをした。

 

「外すぞ」

 

「は、はひぃ」

 

 背中にあるブラジャーのホックに指をかけられ、総司は情けない声を上げる。一応、了承の返事だったため真は構わずにホックを外した。下着を脱がされ、ただでさえ激しくなった鼓動が更に加速する。ドクドク、と鼓膜に直接響くような拍動を聞きながら総司は素直に両手を上げ、真にされるがままブラジャーを脱がされた。

 

「タオル取ってくるからちょっと待っててくれ。クローゼットにあるよな」

 

 相変わらず顔を赤くさせたまま、剥き出しになったバストを両手で隠して総司は振り返らずに無言で頷く。クローゼットに向かおうと腰を上げかけるが、真は視界の中に入ってきた総司の背中に思わず動きを止めた。

 

 傷はおろか、沁み一つない美肌に目を奪われる。火照り、汗を浮かばせながら薄らと紅くなったきめ細かい白肌はむしゃぶりつきたくなるほどに官能的だった。

 

「あ、あの、マスター。どうかしましひゃうん!」

 

 タオルを取りに行こうとしない真に疑問を覚え、首だけで振り返ろうとした瞬間、総司は背中に当たった感触に小さく悲鳴を上げる。柔らかく、そして湿ったそれは明らかにタオルではない。背中にかかる生暖かい吐息からそれが真の舌なのだと総司は理解した。

 

「マスター、何をして」

 

 質問に答えず、真はゆっくりと総司の背中を舐め上げていく。しょっぱい汗を味わいながら徐々に舌先で背筋を上っていくと総司の口から小さな喘ぎが漏れた。舌が項に触れる寸前で真は取って返し、背中の中央に走る窪みを上から下へと舐っていく。

 

「んぅ、はぁ……」

 

 真が舌を上下に動かして汗を舐め取っていく度、総司は頬を色っぽく染めながら艶めかしい息を吐いた。濡れぬめった感触と共にぞくぞくとした快感が背筋を這い上がってくる。第三者が見たら確実に変態だと叫び出しそうな行為に総司は目を蕩かせ、掌の中で乳首を固くさせていた。

 

「ふ~……ちゅ」

 

 肩甲骨の形を確かめるように皮膚をなぞっていた舌が項に辿り着く。項にかかる薄桜色の髪に軽く息を吹きかけ、露わになった生え際に軽く吸い付いた。総司の体が微かに反り上がり、痙攣する。彼女の興奮を反映するように紅潮した肌は舌に激しい熱を感じさせた。

 

「総司、前もやるぞ」

 

「はい、お願いします……」

 

 一通り背中の汗を舐め取った真は総司をベッドにゆっくりと優しく押し倒す。汗の代わりに涎でべたついた背中にシーツが張り付くがそんなことはどうでも良かった。肉欲の光を湛えた双眸で真を見上げながら総司はこれからされるだろう行為に胸を高鳴らせる。

 

「総司、可愛いよ」

 

 仰向けに横たわる総司に寄り添って真は素直な感想を述べた。胸を両手で隠しながら恥じらう姿は男心をくすぐる。腰に巻かれた帯だけで辛うじて着付けられた浴衣も扇情的だ。褒め言葉に嬉しいような照れたような笑みを浮かべる総司の下半身に手を伸ばし、真は浴衣をはだけさせて美しい脚線美を曝け出させる。

 

(み、見られてる。マスターに)

 

 真の視線が注がれている太腿をもどかしげに擦り合せる総司。キスをした時から疼き出していた秘所が真の熱視線で更なる蜜を零し、桜色のショーツをじっとりと湿らせていた。

 

「こっちも凄い汗だな」

 

「あ、いや、別にそれは汗ではなくて」

 

「じゃあ、何だ?」

 

 真の意地悪い質問に総司はあうぅ、と可憐に呻きながら視線をあらぬ方向に向ける。初々しい反応を見せる総司が堪らなく愛おしくなり、真はリンゴのように赤くなった総司の頬に唇を押し付けた。

 

「マスター……」

 

 肌に唇を押し当てたまま、喉元へとスライドしていく。敏感な肌を滑っていく唇に総司はくすぐったそうに身動ぎしながらも真に熱い視線を送っていた。少し肌から盛り上がった喉仏を唇で挟みながら舐めると、総司の若々しい女体が小さく揺れる。耳朶に沁み込むように聞こえる総司の官能的な吐息に獣欲を煽られながら真は更に下へと唇を移動させていった。

 

 皮膚の下の胸骨を辿るように舌を下ろしていき、ふかふかの谷間に顔を埋めてしっとりと吸い付いてくる乳肌の柔らかさを楽しむように顔を左右に振る。両手で総司の巨乳を中央に寄せるように揉みしだくと顔にかかる乳圧が増し、幸福な圧迫感が真の股間を熱くさせていった。

 

「ん、胸、好きなんですか?」

 

 夢中で乳房を手と舌で味わいながら真は頷く代わりに乳首を摘まみ上げる。バストの先端に痺れるような快感が走り、総司は抑えた嬌声を漏らしつつ体をびくつかせた。一心不乱に乳房を舐め回し、乳首にしゃぶり付く。口元を手で押さえて声を我慢しようとする総司の姿に加虐心を燃やし、真は唇と舌でバストを愛撫するのと一緒に両手で彼女の細腰を掴んだ。

 

 左右の腰骨の辺りからマッサージでもするかのようにゆっくりと両手を上げていく。すべすべとした肌を指腹と掌で軽く揉むと総司の腰が右に左にくねった。両手がキュッとくびれたウエストを通過し、脇腹を登っていく。触れられている部分が性感帯にでもなってしまったかのようだ。真の手と共にぞわぞわと這い上がってくるこそばゆさと快感に総司は切ない溜め息を吐いた。

 

「これだけ拭けば大丈夫だろ。次は……」

 

 両手と入れ替わるように真は再び舌を下半身へと向かわせ始める。むしろ涎で余計にべたついてしまったバストを両手で揉み潰し、いやらしく形を変えながら真は鳩尾と臍を通り過ぎて丁度子宮の上で唇を止めた。

 

「総司、ここだ。これからここにたくさん注いでやるからな」

 

「ここ。ここにマスターのが……」

 

 上体を起こし、下腹部を撫でる真の手に自分の手を重ねる。皮膚と皮下脂肪の下にある命を宿し、育むための部屋。自分を待ち受ける男女の交わりを夢想し、生前、終ぞ使われることの無かった器官が甘く疼いた。

 

「マスター。私、マスターの赤ちゃんが欲しいです。マスターの子供を産みたいです」

 

 哀切に瞳を濡らしながら訴えてくる総司を優しく撫で、口付けをする。

 

「分かってる。でも、まずは」

 

 こっちだ、と湿り気の増したショーツの上から女陰に触れる。くちゅっ、と濡れた感触が指先から伝わってくるのと同時に総司の眉根が苦しそうに寄せられた。秘所からもたらされる快感に耐える総司にもう一度キスをし、真は股間に顔を下ろしていく。

 

「はは、びしょびしょだな」

 

「い、言わないでください」

 

 少しツンとした刺激臭を漂わせながら大きな染みを作ったショーツに素直な感想を漏らす。火が出かねないくらいに赤くなった顔を両手で隠し、総司は恥ずかしさの余り軽く泣きの入った声を上げた。

 

「脱がすぞ、脚上げて」

 

 恥ずかしさで体を熱くさせるも、総司は言われた通りに両脚を持ち上げて真にショーツを脱がされる。太腿や菊門まで濡れるほどの蜜液を溢れさせた股間が真の眼前で露わになった。ごく薄い陰毛で覆われたそこは肉厚でふっくらとしており、とても柔らかそうだ。割れ目の中から覗く肉孔はまだ男を知らないにも関わらず、物欲しげに肉の襞を蠢かせている。

 

「今から綺麗にしてやるからな」

 

 総司の両膝に手を当て、軽く力を込めて脚を広げる。より大きく外気に晒されることになった女陰に羞恥心が募るも、総司は脚を閉じようとはしなかった。ひくひくと動く割れ目に小さく息を吹きかけ、体を戦慄かせる総司の反応を愉しんでから真はまずは太腿へと舌を伸ばしていく。

 

 皮膚の下で内腿の筋肉がピクピクと動くのを舌先に感じながら真は肌に浮かぶ汗と愛液をねっとり丁寧に舐め取っていった。汗のしょっぱさとはまた別の塩辛さを飲み下して自身の興奮を増幅させ、下半身の海綿体に血を集めていく。

 

「あぁ、んぅ……」

 

 予想していた場所とは違うところに触れた舌に一瞬戸惑うも、総司は素直に快感を享受した。優しさと思いやりの感じられる舌使いは総司に甘美な刺激をもたらし、彼女の脳内を桃色に染め上げていく。腿に性的快感が走る度、総司は口から媚びた甘え声を上げていた。

 

 鼠蹊部に舌を這わせると、総司の声と震えが大きくなった。彼女の特に感じる部分を見つけた真は重点的に足の付け根の関節を責めていく。粘度の濃くなった愛液が秘所からどろりと溢れてきた。

 

「あれ~、おかしいな~。拭いてるはずなのに全然綺麗にならないぞ~」

 

 白々しいことを言いながら真は逆側の太腿を舐め始める。ねちっこく焦らすように肌を這っていく舌に総司の喘ぎが徐々に切ないものへと変わっていった。真は周囲を重点的に舐めるだけで、肝心な部分には一切触れようとしない。総司がねだるように腰を押し付けても素知らぬ顔だ。

 

「ま、マスター。その、沖田さん的にはそこもそろそろ触って欲しいなぁ、なんて……」

 

 痺れを切らした総司の控えめなおねだりに真は顔を上げ、薄い笑みを口元に張り付けて総司を見上げた。

 

「そこってどこだ?」

 

「ど、どこって……」

 

 口籠り、目を逸らす総司をサディスティックな笑顔で見詰めたまま、真はちょんと、一瞬だけ親指でしとどに濡れた淫裂に触れる。普段であれば触ったことにすら気づかないほどの微弱なフェザータッチだが、今の総司には相当に刺激的だったようだ。一際大きく体を痙攣させ、濡れ光る雌穴から小さな潮がピュッと噴き出した。

 

「そ、そこです。今、マスターが触ったそこひゅぃん!」

 

「そこじゃ分からないな。ちゃんと言ってくれないと」

 

 スロットを目押しで止めるように親指を何度も総司のラビアに当てる。より敏感になった秘所から起こる快感に総司は息を詰まらせた。走る快電流は鮮烈かつ鋭いものだったが、同時に弱いものだ。燃え上がるように火照った体を絶頂へと押し上げるには至らない。

 

「お、願いです、マスター。沖田、さんの。私、のぉ」

 

 ついに内側から身を焦がす快楽の熱に耐えられなくなり、総司は羞恥に小さく涙を流しながらも己の欲望を真に伝えようとする。声がつっかえつっかえになるも、燃えるような恥ずかしさを押し殺して声を絞り出した。

 

「お、オマンコを可愛がってください……」

 

「よく言えました」

 

 総司の太腿に回した両腕をガッチリと固定し、逃げられないようにしながら真は思い切り陰唇に吸い付いた。

 

「ひあああああぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 全身を貫く凄まじい快感に総司は目を見開いて絶叫する。背筋を弓なりに反らし、腰を高く浮かせながら全身を激しく震えさせた。

 

「ず、じゅるるる! ずじゅじゅじゅじゅ!」

 

 噴き出してくる潮と蜜を音を立てて吸い上げる。総司の大きな嬌声に負けず劣らずの激しく下品な音が部屋中に響いた。口内を満たす塩辛いような苦いような甘いような不思議な味わいの体液を嚥下すると下腹部と男根が炎でもつけられたように熱くなる。膨れ上がる男の欲望に従い、真は総司の秘所を責め続けた。

 

 舌先を尖らせ、肉壺へと捻じ込む。自慰で破いたのか、それとも戦闘の激しい動きで自然とそうなったのか既に処女膜はなかった。限界まで伸ばした舌がうねり蠢く膣内に侵入し、奥から溢れ出てくる蜜を味わいながら締め付けてくる襞の一枚一枚を舐め解していく。

 

「マスター! わたし、わたし怖いです! 気持ち良すぎてぇ、感じ過ぎてぇ、変になっちゃいますぅぅ!」

 

 体を捻って拘束から逃げようとする総司を一層引き寄せ、真は唇を陰唇にあてがってセックスでもするように舌を膣内に出し入れさせた。ビクン、ビクン、と激しく腰を跳ね上げながらあられもない嬌声を上げて感じまくる総司。顔を股間に押し付けているため、総司がどんな顔で、どんな風に痴態を晒しているかは分からないが、逆にそれが真の想像力を掻き立て更なる発奮剤となった。

 

 肉壺に入れた舌を蛇のようにくねらせながら真は顔を動かす。つん、と勃起して自己主張するクリトリスの包皮を器用に鼻先だけで剥いていった。真っ赤な肉豆は膣内よりも敏感になっているようで、鼻息をかけるだけでも総司の体がより大きく震えるのが分かる。狙いを定め、真は小豆のように膨らんだ肉の芽を鼻先で思い切り押し潰した。

 

「~~~っっっ!!!」

 

 声にならない絶叫が総司の細い喉から迸る。大きく目を見開きながら頤を反らし、開いた口から突き出した桃色の舌はぴくぴくと小刻みに震えていた。口角から涎が垂れ、頬を汚していく。脳内を真っ白に焼き尽くしていく余りの快感に総司は目尻に涙が浮かばせて俗にいうアヘ顔を晒していた。

 

「もっろ、もっろしへぇ……!」

 

 皺くちゃになるほどの力でシーツを握り締めていた手がベッドから離れ、真の頭へと添えられる。理性を振り切った雌の本能がより強い快楽を求め、真の顔を股間に押し付けた。総司の求めに応じるように真は舌で熱くぬかるんだ雌穴を犯し、グミのような感触の肉豆を鼻で圧迫する。

 

「でる、でるでるぅ! でちゃう、でちゃうのぉぉぉ!!!」

 

 総司の腰が高く持ち上がり、綺麗なブリッジを作り出した。同時に膣内から間欠泉のように逝き汁が噴き出す。その勢いたるや凄まじく、真の顔は勿論、胸元や腹部まで濡らしていった。

 

「あ、ひあぁ……」

 

 未だかつて体験したことのない絶頂で強張っていた女体から力が抜ける。くたりと力なく横たわる総司の股間から顔を離し、真はベッドの上に立って服を脱いでいった。下着を下ろすと肥大しきった逸物が露わになる。角度、硬さ、大きさを増したそれは先端から腺液を垂らして交わりの時を待ちかねていた。

 

「マスター」

 

 とろんと虚ろになった目を覆い被さってくる真に向ける。総司の潮噴きをもろに浴びたため、真の顔下半分はびっしょりと濡れていた。

 

「も、申し訳ありませんマスター。今すぐ綺麗にしますから……」

 

 両手で真の顔を挟み、潮を滴り落とす頬に舌を伸ばす。子犬のように拙い動きで真の頬や顎を汚した己の潮を舐め取っていった。

 

(マスターの唇……)

 

 自然と意識が真の唇へと向けられる。汚してしまった真の顔を清めていたはずが、いつの間にか貪り付くように真の唇を吸っていた。ちゅうちゅうと音を立てて唇を吸い、舌で舐め上げる。欲望に塗れた総司のキスに真は口を開いて応えた。

 

「ちゅ、ちゅう、だいしゅきれふ、ましゅたー」

 

 自分から舌を絡ませながら想いを打ち明ける。たくましい胸板に押し潰されて形を変えたバストから伝わる鼓動も総司の気持ちを言い表しているようだった。それは真も同じで、強く激しい鼓動が真の想いと共に総司へと送り届けられていた。

 

 激しい口吻をしていた二人の顔が離れる。唇を繋ぐ唾液の橋がぷつりと切れ、総司の頬へと落ちた。頬に張り付いた涎を舐め取り、真は濡れた総司の瞳を覗き込む。

 

「挿れるぞ」

 

「はい。私をマスターの、真さんのものにしてください」

 

 全てを委ねるように体から力を抜く総司にもう一度キスをし、真は上体を起こした。ビクビクと震えながら透明な汁を先端から垂れ流す肉竿を掴み、濡れそぼった割れ目へと当てる。ん、と色っぽい喘ぎを漏らして敏感に反応する総司を慈しむように撫で、真はゆっくりと腰を進ませていった。

 

「あ、あぁ……入ってきます、私の中に、真さんが……」

 

 己の秘所が男の象徴をあっさりと呑み込んでいく光景に総司は背筋をぞくぞくさせる。さっきまで唇や舌で散々イジメられていたそこは熱く潤い、初めてであるにも関わらず勃起した逸物を受け入れていた。

 

「やぁ、んぅ……ひゃん」

 

 窮屈な膣道を押し開きながら進んでいた亀頭が最奥のコリコリとした部分に辿り着く。張ったカリ首に肉襞を抉られる感触と血管の浮かび上がった剛直に膣内が拡げられていく感覚に全身を戦慄かせていた総司は子宮の入り口に走った甘い電流に一際甲高い声を上げた。

 

「真さんのが、全部……」

 

 腹の上から胎内に収まった真の分身を撫でる。膣内に形を覚え込ませるように硬くなった逸物が確かにあった。

 

「動いていいか?」

 

 真の確認に総司は夢見心地のまま頷く。熱に浮かされた顔を幸せそうに微笑ませている総司の腰を掴み、挿れた時と同じようにゆったりとした動作で腰を引いていった。

 

「あ、いやぁ」

 

 みっちりと膣内を埋め尽くしていた剛直が抜けていく感覚に総司は寂しげな声を零す。行かないでと言わんばかりに肉襞が逸物へと絡みつき、胎内に戻そうと柔らかな媚肉を蠕動させた。粘膜がきつく締まる感触は二人に素晴らしい快感を与え、真と総司は互いにうっとりとした溜め息を吐き出す。

 

 根元まで埋まっていた男根がカリが抜ける寸前まで引き出される。体中を駆け巡る官能にどっと汗を噴き出しながら真は総司を見下ろした。情欲に濡れ光る瞳が真を見詰め返している。次はどんな快楽を感じさせてくれるのかと期待の籠った吐息が彼女の艶やかな唇から漏れた。

 

 真は心持ちさっきよりも速く腰を前進させた。ねっとりと肉襞を吸い付かせてくる肉壺を穿ちながら乳房の頂点で小さなサクランボのようになった二つの乳首を両手で摘まみ、掌で乳肉を捏ね繰り回す。総司が甘く呻くのと同時に膣内の締りが強くなり、性器を余すところなくきゅっと包まれた。背筋に鳥肌を立たせながら真は具合の良くなった肉壺に男根を出し入れさせる。

 

 結合部分から聞こえるぬちゃっ、ぬちゃっといういやらしい音が鼓膜を通して総司の脳髄を犯していく。そこに左右の乳首と秘所から伝わってくる悦楽が合わさり、総司の思考はどんどん色欲に染まっていった。桃色に色づいた脳が求めるのは更なる快楽。湧き上がる淫らな欲求が自然と総司に男好きのする表情を浮かばせていた。

 

「真さん。私、もっと激しくして欲しいです」

 

 媚びた目を真へと向けながら情欲を煽るように腰をくいっと揺らす。送られる秋波と誘うような腰つきに男根が痛いくらいに膨張する。

 

「いいのか? 多分、止まらなくなるぞ」

 

「はい、私を滅茶苦茶にして……」

 

 総司の言葉に真の理性が音を立ててブチ切れる。荒い息を吐きながら大きなバストを弄んでいた手で総司の腰を掴み、限界まで後ろに下げた腰を思い切り叩き付けた。

 

「ひゃあああああ♡」

 

 肉と肉がぶつかり合う生々しい音と共に総司は悲鳴のような嬌声を上げる。狂ったように振り立てられる腰と連動した逸物が肉襞を巻き込みながら最奥まで突き込まれ、そして蜜と潮を体外に掻き出していった。

 

 真の獣のような抽挿に総司は自身も婀娜っぽく腰をくねらせることで応える。膨れ上がった亀頭で子宮口を打ち抜かれる度に思考回路が灼き切れそうな快感が全身を駆け巡っていった。体中を激しい肉悦に支配され、要領を得ない言葉が口から飛び出していく。快楽に染まった総司の頭の中に残っているのは真に対する想いだけだった。

 

 これは夢なのではないか。そんな考えが総司の脳裏を過ぎる。余りに幸せすぎる現状がそんな不安を総司に抱かせた。愛する男に想いを伝え、身も心も結ばれる。こんな幸福な出来事がただの人斬りでしかない自分に与えられていいのだろうか。今この瞬間に起こっていることは自分の都合のよい妄想なのではないか。

 

 心臓が握り締められるような感覚。胸を押し潰す恐怖に総司は一瞬声を詰まらせるも、そんなのは唯の杞憂だと気付かされる。

 

 肉と肉が激しくぶつかる感触。己の嬌声と真の獣じみた呼吸。むせ返りそうな濃密な男女の交わりの臭気。そして自分を見詰めてくる愛しい男の瞳。五感の全てが総司に今起こっていることが現実だと伝えていた。

 

「……しゅきぃ、しゅきでしゅ。だいしゅきですぅ!」

 

 一瞬でも感じた不安を振り払いながら総司は思いの丈をぶつける。真は激しいキスで総司の告白に応じた。身も心も一つになった二人は互いに手を取り合って絶頂へと駆け上がっていく。

 

 両腕を首に、両脚を腰に回して総司は真との密着をより強めた。触れ合う肌が全て性感帯になってしまったかのように快感が津波となって襲い掛かってくる。全身を凄まじい多幸感に包まれながら総司は息をするのも忘れて上と下の口での交合に没頭した。

 

 とろとろに蕩けた肉壺の中で逸物が震える。精の放出が間近に迫る中、真は舌と腰を動かして総司とより強い快感を分かち合った。今や総司の膣内は真専用に仕上がり、的確に感じる部分を刺激してくる。きつく、柔らかく、そして激しく肉襞にカリ首や竿をしごかれ、真は白いものの混じった先走りを総司の子宮口に振りかけていた。

 

 逸物がビクンビクンと痙攣し、肉壺が襞を忙しなく収縮させる。二人は限界を目前に控えながらそれでも猛烈に互いを求め合った。

 

「ん、んぅ、んんっ~~~~っっっ!!!」

 

 一足先に絶頂へと至った女体が跳ねる。男にのしかかられた女体が僅かに背筋を反らしあげ、緩い山のようなラインを描いた。同時に肉襞がぴったりと男根に吸着し、心地よい摩擦を最大限に高める。ぶるりと背筋を震わせ、真は総司の胎に勢いよく白い欲望を吐き出した。

 

 ビクビクと二人の体が痙攣する。女は子宮に精を注がれる感覚に身を震わせ、男は精を絞り出すように締め付けてくる膣内の感触に体を戦慄かせた。

 

 子宮を完全に満たすほどの精を放出し、逸物は漸く落ち着きを迎えた。繋がったままの体勢で二人は荒い息をしながら触れ合わせていた唇を離す。互いの呼吸がかかるほどの距離で見つめ合った。

 

「は、はっ……んっ、はぁ」

 

 軽い呼吸困難を起こして上手く言葉が出てこない。浅く速い呼吸で肺に空気を送りながら総司は声を出さず、唇だけを動かして再び己の想いを伝えた。

 

 だ、い、す、き、と。

 

 

 

 

「そういや、俺って病人相手に思いっきりヤっちゃった訳だけど、大丈夫か?」

 

「あ、はい。大丈夫です。というか、寧ろさっきよりも沖田さん元気ですよ?」

 

 マスターの精液で元気になりました、と眩しい笑顔を浮かべる総司を真は何とも言えない表情で撫でていた。

 

 情事を終えた二人は体液で濡れた体をシャワーで洗い流した後、新しいシーツを出して綺麗になったベッドに仲良く横になっていた。裸という訳ではなく、互いに浴衣姿だ。

 

「なぁ、総司。一つ気になるんだが、何でお前の部屋に俺にピッタリのサイズの浴衣があるんだ?」

 

「そ、それは……」

 

 真の問いに総司は恥ずかしそうに目を背ける。構わずに見つめ続けていると、もじもじしながら答えてくれた。

 

「それはですね、あの~、ちょっと期待してたと言いますか。もし万が一、マスターが私に夜這いをかけにこられた時のために用意してたんですが……」

 

「へぇ~。今度実際やってみるか、夜這いプレイ?」

 

「は、はい、それはもうぜひ! で、出来れば私が夜這いをかけられる側でお願いします」

 

 目をキラキラと輝かせながら食いついてくる総司に思わずクスリと笑ってしまう。総司の可愛らしい姿に目元を緩ませていると、不意に大きな欠伸が出てくる。壁に目を向けると、かけられた時計の針が寝るにはいい時間を指し示していた。

 

「もう、こんな時間か。総司、今日はこのままここで寝ていいか? 今から部屋に戻るってのも億劫だし」

 

「あ、はい、勿論。沖田さんは大歓迎です」

 

 嬉しそうに身を寄せてくる総司を優しく抱きしめる。暖かな体が湯たんぽのようで心地よい。甘えるように鼻を鳴らしながら胸元に頬擦りしてくる総司を撫で、真は重くなった瞼を下ろしていった。数分としない内に真は穏やかな寝息を立てていた。

 

「マスター。ずっと、ずっと一緒にいさせて下さいね」

 

 どうか、最期の時まで共に在れるように。祈りながら総司は幸せな温もりにくるまれて眠りへと落ちていった。

 

 

 

 

 

 翌日の朝、総司の様子を見にやって来たジャンヌに同衾しているところを見られた真がボッコボコにされるのは完全な自業自得だった。




 軽いキャラ紹介

『沖田総司』
スキル消せないんならランクダウンさせればいんじゃね? という真の思いつきの結果、聖杯を使って病弱のランクがZまでダウンした。もう、普通に健康な人よりも健康な状態。でも、調子に乗ると吐血しちゃう。マスター大好き。望みは最後まで真やカルデアの仲間達と共に戦い抜くこと、そして全てが終わった後に受肉して真と幸せな家庭を築くこと。尚、後者の望みに関してはカルデアにいる全てのサーヴァント共通のものであるため、ライバルは多い。

『ジャンヌ・オルタ』
真と一緒にやったお菓子作りが意外に楽しく、今ではすっかり趣味になった。結構な腕前であり、時々マリーにお茶会に出すお菓子を頼まれることも。カルデアにいるサーヴァントのことは真同様に自分を認めてくれた仲間として非常に大切に思ってる。極力、そのことを態度に出さないようにしているが、教科書に書いたようなツンデレなため丸分かり。皆(特にジャンヌ)からは生温かい目で見られている。

『スカサハ』
最近、総司の無明三段突きを再現する事に成功。ゲイ・ボルクの持つ心臓を破壊する因果逆転の呪いと三段突きの事象飽和を同時に起こすという凶悪極まりない技を完成させる。技名は(作者が)考え中。

『ブーディカ』
総司にお粥を作ってあげるつもりだったが、スカサハの煎じる薬を見て断念。先に食べるか後に食べるかはともかく、あの薬と一緒にご飯を食べさせるとか駄目でしょ、とは本人の談。
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