※この作品はR-18です。

機動戦士ガンダムIgloo・重力戦線外伝   作:ボール小隊

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オハイオ小隊 戦区Wフィールド

数時間後、艦隊に合流したジム・ボールがまとめて再編成され出撃する事となった。

主戦場の南北の戦区はジオンの抵抗が激しく戦闘が硬直状態にありつつあるらしい。

数で押しているとは言え、連邦の練度不足は否めないのだろう。

『オハイオ小隊、エルシー=マーヴィン少尉出撃する。

ブリッジ、航(もや)いを解け』

少尉の凛とした声がインカムを通して聞こえる。

小隊の編成は少尉とロブ伍長に私の3機。

その3機でSフィールドから流されてきたジムの援護につく。

『こちらオハイオ小隊、ジムの援護任務につく。よろしく、エリル准尉』

『よ、よろしくお願いします!マーヴィン少尉殿』

ジムに乗っているのはエリルという准尉さんだ。編成時に顔を合わせたが

私より2つか3つ上の年齢だろう。中性的な顔立ちで頼りなさそうな雰囲気と

瞳が印象的だった。今思うと男か女か聞いておけばよかった。

男か女かはパイロットスーツの色で判別できるのだが、支給はかなりいい加減で

男物を女が着するなんてザラだった。

それにしても激戦区からWフィールドまで流れて来たので腕は良いのかもしれない。

『ジム、エリル=マイルゼン准尉、出撃します』

何にしてもジムがいるのは心強い。ジムのビームガンはザクにかなり有効だ。

ジム乗りはいいなぁ…シールドもあって、ビームサーベルもある。

推進剤の量も桁違いだ。しかし今回、ボールの砲弾が見直され21発中、

16発が通常の徹甲弾、次にフラッシュ・バンいわゆる目くらまし弾が2発、

強力な高速徹甲弾が3発になっている。モビルアーマー戦を見越してなのだろう。

推進剤のドロップタンクも1つ付けられ通常の倍は稼働できる。

おそらく少尉が艦長に申請してくれたのだろう。

『遅れるなよ、新兵』

伍長が言った。ジム1機にボール3機で1つの小隊となり、12小隊が編成された。

これらが再編された新生第7中隊となる。正規はジム3機にボールが6機なのだが、

全て南北の戦区に投入されている。

『こちら『アンザックス』のジャンベル=ドールマン少佐である。

先の戦闘により旗艦『シードレイク』が大破したため、臨時に指揮をとる。

第7中隊はWフィールドから進行し、後続の突入口を開くことになる。

彼我の戦力比はおよそ1:6と想定されるも注意されたし』

艦長の本名はジャンベルか、エルシー少尉が『ジャン』って呼んでいたのは愛称ね。

『Eフィールドにはジオンのモビルポッド隊が出てきたらしいぞ』

『俺も聞いたぞ、赤い超弩級モビルアーマーも出てきたって』

『この戦区にも来るかもな……ザク相手よりはマシだろうけど』

『NフィールドにはジオンのバケモノみたいなMAがガンダムと闘り合って――――』

色んな噂が飛び交っている。

『各機、私語は慎め。敵は少数でも手強い、油断するな』

ジム隊の隊長から激が飛ぶ。わたしにとって敵は手強いなんてレベルではない。

事実、先の戦闘で対峙した敵は、まるで手足のようにザクを操縦して

小隊のボールを叩き落としていた。もしあれがビーム兵器を装備した

『ゲルググ』とかいう敵の新型MSだったら私はもうこの世にいないだろう。

『12時方向、敵艦隊!数はおよそ10!艦砲が来るぞ!各隊、散開しろ!』

警報音と共に編隊が散る。私は少尉に合わせて、回避行動を取った。

ここからはジム1機とボール3機で各個撃破しなくてはならない。

下手に密集陣形をとるとメガ粒子砲で狙い撃ちにされる。

また私のような新兵による誤射や衝突のオンパレードで

瞬く間にボール隊は全滅してしまうだろう。

敵の艦から発射されたメガ粒子砲と対艦ミサイルが私達の艦隊めがけて放たれた。

友軍艦に当たらないように祈るしかない。

『少尉殿!直上に敵機!』

『ボール各機、フラッシュ弾一斉射!』

少尉の声がインカムに響く。私は復唱し、目くらまし弾を装填してトリガーを引いた。

一斉に放たれる白い砲弾が爆発音と共に眩い光が走った。宇宙空間が昼間のように

明るくなり、閃光防御されているバイザーを通して敵機がはっきりと映し出された。

あの機影はザクⅡだ。

『くそったれジオンが!くたばれ!』

准尉が雄叫びを上げビームガンを連射する。だけど敵のほうが早い

上からマシンガンをばらまきながら突っ込んできた。

『機動が速い!ユキ、私から離れないで!』

『は、はい!』

少尉のボールがマシンガンの射線を避ける。私もなんとか少尉の後ろにつき、

避ける事が出来た。ザクの攻撃を回避できるなんて思っても見なかった。

『あの機動力……准尉、敵機は速いわ、注意を!』

『了解です、少尉殿!』

ジムがシールドを構えて私達の前に立つ。

あの弱気な顔からは想像もできないほど勇ましい声が返ってきた。

ザクの高機動型なんて先の旧式ザク相手に死にかけていた私にとって悪夢でしかない。

相手は1機、こちらは4機、数では有利だけど私は数の内に入らない。エリル准尉

に少尉、伍長…実質は1対3。

『照合データ…連邦艦隊の進路を強行偵察していた機体と同型ね』

『偵察機まで戦闘に駆り出しているとは驚きだ』

交わされる少尉と伍長の通信。偵察機って…あの物凄い弾幕の中を飛び回っていたザク?

乗船していたサラミスのモニターで見ていたのと同じ機体だなんて。

『偵察機でも同じザクよ。でもあの動き…パイロットは―――』

少尉の言葉が終わる前に再び警報音、さっきのザクが直線で突っ込んでくる。

射線が先と同じなので少尉に従って回避する。

『各機、すり抜けたらザクのランドセルを狙って!准尉、止めは任せるわ!』

すり抜けていったザクの背中に照準を合わせてトリガーを引く。

先の旧式ザク戦ではロックオンした途端ザクが加速して回避されていた。

今回も…と思っていたら、私の放った砲弾がザクの背部スラスターに命中した。

『め、命中!?少尉、命中しました!!』

『まだよ!ユキ!』

照準器に映るザクは爆炎の中から飛び出し、こちらを向いた。

浮かれていた私はザクの射線上に入っている。や、やばい!

ザクのモノアイが光った瞬間、その胴体が背後から分断された。

『一機撃破ッ!』

ザクの爆発をシールドで避けるエリル准尉。高揚した声がインカムに響く。

准尉がビームサーベルで切り払ったのだ。

『お見事、准尉。大丈夫、ユキ?』

『は、はい!申し訳ありません!』

『貴女の技量ではザクを1撃で撃破することは難しいわ。絶対に油断しないで』

厳しい言葉だが仕方ない。私は少尉や伍長に比べればド素人もいいところだ。本当なら

弾除けにされても文句は言えないぐらいの技量なのである。

『ま、学徒動員は連邦もジオンも変わりねぇ、せいぜい生き残るこったな新兵』

伍長が息をついて言った。学徒動員…そう、コロニーは人口統制が厳しく、

ジオン本国のサイド3も例外ではない。たとえ地球にコロニーを落としても、

絶対数では連邦に軍配があがる。私ぐらいの年齢の者は少年少女問わずこの戦闘に

駆り出されいるだろう。

もしかするとジュニアハイスクールの学生も動員されているかもしれない。

『真っ直ぐ飛ぶのがやっとの技量では高機動仕様もただのカモですね』

准尉がサーベルを収納しながら言った。

ビームガンを構え、周囲を索敵しているようだ。

『粒子が濃いな…爆発も散発的で迂闊に近づけないな』

ジムの通信機能でもつながらないとなれば、他の隊との連絡はよほど近づかない

限り無理だ。レーダーも機能しないので有視界で索敵するしかない。

その時、雑音に紛れて友軍からの通信が入った。かなり近い。

『て…敵の…モビ…アマー!こ、攻撃を受け…!隊長もやられて!』

『こちらオハイオ小隊!落ち着いて!援護に向かう、位置は!?』

少尉が怒鳴るように言った。『モビルアーマー』と聞いた瞬間

一気に緊迫した空気になる。

『あ、赤…ど、どでかいアームが!来るな!来るああああ!』

絶叫と共に機体が拉(ひしゃ)げる音、そして爆発音。

『各機、周辺警戒を厳に。ここで仕留める』




次回はモビルア―マー戦になります。赤いとは言っていますがニュータイプでは
ありません。ただのカラーリングなので、一般兵です。
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