俺たちは電車に乗って遊園地へと向かっていた。夏休みのため、平日よりも人は多いようだったが、時間帯がよかったのか席に座ることができた。電車特有のガタゴトッガタンゴトという音と揺れを感じた。遊園地はいつ以来だろう。確か、小学生のとき以来だったか。そう物思いにふけろうとしていると隣りに座ったデート相手に話しかけられた。
「小南くん。疲れているんですか?」
「いえ、全く疲れてないですよ。」
「そうですか。ならいいですけど・・・。」
「まあ、昨日は3時間ほどしか寝れませんでしたけどね・・・。」
「・・・・・・小南君。たとえ夏休みでもきちんと生活しないといけませんよ。いつも言っているじゃないですか。」
「ええ、だけど今日、麗華さんとデートするんだと考えると眠れなくて。」
「・・・・・・」
「そういえば、麗華さんもどこか眠そうに・・・」
「いえ、そんなことはありません!」
「おう・・・。」
電車内の視線が俺たちに集中するのを感じた。俺たちは罪悪感を感じ、頭を下げた。しばらくすると、ゆっくりと視線は少なくなっていった。それに反比例して俺たちに居心地の悪さが生じてきた。互いに眼を合わせることができなかった。
『次は海馬ランド前。次は海馬ランド前。お降りの方は~。』
目的地の駅が放送されて、すぐに駅に着いた。扉があくと、人はどんどんと降りていった。麗華も降りようと席を立とうとした。しかし、俺がその前に立ち上がり彼女の手を握った。麗華の驚きが手に取るようにわかった。そのまま駅を降りて改札へと向かった。手は汗がにじんでいて、女性の柔らかさがあった。指は細かった。どんどん、血液の流れが速くなっていることがわかった。
海馬ランド直通の改札口を通ってから、ようやく手を離して、俺は麗華の顔をみた。麗華はいつもの大人びた「生徒会長」という職務に相応しい表情ではなかった。うれしい驚きを隠せないでいる一人の女子高生だった。
「ごめんなさい。麗華さん。人が多かったから迷子になるのが嫌で許可を得ずに手をつないでしまって。」
「・・・いえいえ!別にいいですよ!」
「でも・・・。」
「だってほら!今回はデートなわけじゃないですか!だったら手をつなぐのが当然なわけで・・・」
「そうですね。デートですもんね。」
「そ、そう・・・。その、ありがとう。」
「え?」
麗華はそしてゆっくりと手を差し伸べてきた。
「・・・できる限り手はつなぎませんか?小南くん・・・。」
「ええ、いいですよ。」
俺は笑い、今度は許可を得て手を握った。手のぬくもりといっしょに心の音が聴こえた。そのまま、俺たちはランドの入場ゲートへと向かった。
今日は夏休みのある1日。終業式に麗華と約束したデートをする日だ。みんなに今日麗華とデートすることを告げると、みんなはいやいやながら、今日中に戻るという条件で許してくれた。そんなみんなから許可を受けた今日のデートを麗華は楽しみにしていた。それは俺も同じだった。俺は今まで女性の「攻略」はしても一度もデートをしたことがない。だから、今日は麗華だけでなく、俺にとっても忘れられない日になるだろう。胸の高鳴りを俺はゲートをくぐりながら感じた。
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ゆっくりと俺たちは天に昇っていた。正確には地獄へと堕ちるために天国を目指していた。俺と麗華がこの群れを先導していた。こどもが恐怖し、泣き出す声が後ろから聞こえた。それまで規則的に鳴っていた音が止んだ。しばらく停止してから、俺たちは下へと向かう。今いる自分の高さに怯えながら、俺は思った。
(どうして・・・どうして、ジェットコースターなんてモノが存在するんだァアアア!!)
ジェットコースターが猛スピードで動き出す中で俺は思った。それから、ゴールまでの時間は苦痛であり、ゴールについた後は安心だった。
「楽しかったですね!小南くん、もう1回乗りましょうか?」
「・・・・・・この姿をみてよくいえますね。」
「あはは!冗談ですよ!」
「・・・・・・。」
冗談だとは俺の耳には聞こえなかったのだが、俺は黙ることにした。なぜなら、普段は見られない、いつもとは違った麗華の笑顔がとても魅力的だったからだ。
「ところで小南くん。どうして黙っているんですか?」
「そりゃあ。あなたに見惚れているからですよ。」
「・・・・・・おおっと、それは・・・。」
「・・・どうしたんですか?」
「おそらくはそうじゃないかと思っていたのですが、素直にそういわれると、こう・・・。」
「まあ、それが狙いですからね。」
いたずらを成功させたいたずらっ子の表情で俺はそう言った。麗華がなにか言っていたが、無視して歩いた。しばらくして麗華が追い付いた。麗華の息が整ったのを確認してから「そろそろ休憩しようか。もうすぐお昼だし。」といった。
俺たちは施設内のカフェに入り、明らかに割高の料理を口にした。いつもは気になることだが、今日はデート相手との会話という最高に近い調味料があったので気にならなかった。
「それにしても、小南くん。飛び入り参加OKの勝ち抜きデュエル。『闘いのロード』でのプレイング。あれはやりすぎですよ。中学生相手にメタを張るなんて・・・。」
「そうはいってもな。あのときは仕方なかったんだって。悪気はなかったとは思うけど明らかに相手を煽ってたし。それにあれだけパワーカードを使ってたら、普通はメタ対策もあると思ったし。そもそも勝ち抜き戦である以上、メタを張られるのは仕方ないし。・・・まさか『魔封じの芳香』1枚で積むデッキを使っていて、『魔封じの芳香』を使って行動を制限した途端、泣き出されるとは・・・。」
「はあ。まだこどもなんですからそんなこともありますよ。まったく、少しは考えた行動をとらないと・・・。」
「すいません。以後、気を付けます。」
「よろしい。」
そう言うと、麗華はコーヒーを口にした。俺はフライドポテトを食べた。食事をこうして終えて、次にどこに行くかを話し合った。そして、観覧車に向かうことにした。
観覧車はこの海馬ランドの目玉の1つだ。高さは300.0m、1周するのにかかる時間は45分00秒という世界最大の観覧車だ。高さやかかる時間を300mや45分にしないことに海馬社長のカードへの愛情を感じ取ることができた。優先して乗り物に乗ることができる列に並んで券を提示し、俺たちは乗り込んだ。中は2人で過ごすには十分すぎるほど大きかった。俺は正面同士に座ろうとしたが、麗華が自分から横に座ってきた。そして、腕を両手でしっかりとつかんだ。麗華にしては意外な大胆さに驚きながら、俺たちはゆっくりと上へと昇っていった。
俺は高い所はさほど嫌いではなかった。急に上昇するのではなく、ゆっくりと上へ動くのであればむしろ好きだった。少々子どもっぽい表現かもしれないが、鳥になったみたいだと思った。ゴンドラが6時の方向から7時の方向へと上昇した頃に俺はこの観覧車はマジックミラーが採用されており、外からは人に見えないということを思い出した。そのことに気付いて、あることを麗華に提案しようとすると、麗華からキスをされた。
『・・・・・・・・・』
外の音が静かになった。口先からはまだ完全に成熟してはいないが、男の味を知っているぬくもりが感じられた。主導権は麗華が握っていた。めずらしく俺が翻弄されていた。キスを終えると、麗華は俺の股間に手を差し伸べた。俺のモノが勃起しているのを確認すると、ズボンのチャックを降ろし、俺のモノを股間から取り出して口に含んだ。
「くう♡あ♡」
思わず、少し喘ぎ声をあげてしまった。それぐらい麗華のフェラチオは素晴らしいものだった。そう言えば、麗華はふとしたことから、フェラチオの練習をバナナでしているといったっけ。それを聞いて、俺は練習用にバイブをプレゼントしたんだった。
「ねえ・・・フェラチオの練習してたんですか?」
「・・・・・・」
俺の質問に麗華は答えなかった。代わりに麗華はいつもの生徒会長らしい威厳を保ちながら、それでいて愛する男の前にいる女性としてのうれしさをにじませて、こういった。
「小南くん。セックスしましょう♡」
俺は「甘美」という言葉が似つかわしい光景を目に収めて、こういった。
「『しましょう』もなにもすでにしていますよね。」
「ふふ♡小南くんもその気だったじゃないですか。」
「まあ、否定はしませんけどね・・・・・・。」
「ふふ♡」
「・・・麗華さん。」
「小南くん。ヤるときは麗華って呼んで♡」
「はあ・・・。わかりましたよ。麗華。」
お互いに思わず少し笑い出した。こうしたやりとりがあった後、行為は再開された。フェラチオで一度、射精をしてからゴンドラにもたれさせてセックスをした。いつもよりスリルがあるセックスだった。自分たちが今いる高さ、ゴンドラの揺れ、誰かにみられているのではないかという不安。この3つはいずれも問題のないことであるとわかっているが、それでも不安を与えた。その不安が俺たちに行為にいつも以上に没頭する効果をもたらした。
「はぁ♡小南くん♡イキます♡いきますぅ♡」
ゴンドラがちょうど時計でいう12時の位置にきた時に麗華は絶頂を迎えた。麗華はどこか名残惜しそうに放心していた。俺は気を取り戻すのを待ち、それから思っていることを伝えた。
「なあ、麗華。もう1回しないか。」
「・・・!小南君、でももうすぐ下に・・・。」
「だから、いいんじゃないか。下に行くまでにイケなかったらこのことがばれてしまう。そして、俺たちは退学。スリルがあるでしょ?」
麗華はいまだに戸惑っていたが、俺の熱意に負ける形で行為をすることになった。さっきのは胸をこちらに向ける形で、今回はお尻をこちらに向ける形でだ。手を麗華の腰に当てて、背後からピストンをしながら、こうささやいた。
「ふふ、麗華。もうすぐ時計の3時の位置だ。速く腰を振らないと間に合わないよ。」
「こ、こみなみくん・・・。」
「おっと。今回は名前で、遊と呼んでもらいたい。」
「・・・ゆうくんの馬鹿♡」
「ふふ・・・・。」
その言葉で背徳的な感情をより強く抱いた。ピストンをより速めていった。麗華の膣の締め付けの頻度と強さもピストンが速くなるのに伴って、多く、強くなってきた。そのことが俺の感情を高ぶらせ、よりピストンを速めることになり、結果として絶頂を目指し続けるループが生じることになった。このループの中で俺たちはひたすらに高みを目指した。
「ああああ♡もう、限界♡もう、だめぇ~♡」
そして、ゴンドラが時計で言うと4時と5時の間ぐらい、より正確にはやや5時よりのときに俺たちは絶頂へとのぼり詰めた。膣への射精が終わると、麗華はゴンドラへと倒れ込み、気を失いそうになっていた。しかし、それではまずかった。だから、軽くビンタをして、気を取り戻させて服を着せた。そうしてからできる限り、中の掃除をした。一通り中をどうにかすると、ゴンドラは出発点へと戻った。外部から扉があき、スタッフが中に入った。すると、顔を少々ゆがめていた。それが、なにを意味するかを気づいた俺は機先を制することにした。
「・・・すいません。ゴンドラの中に持ち込んでいた飲み物・・・牛乳をこぼしてしまいまして少し、匂いがすると思います。一応、できる限り拭いてはみたのですが・・・。」
「ああ、そうでしたか。わかりました。次回からはゴンドラに飲み物を持ちこまないでくださいね。」
「ええ、そうします。さあ、降りようか、麗華さん。」
「・・・・・・」
「麗華さん?」
「・・・えっ、あ、はい!」
その返事を聞いた後、俺は麗華の手を引いてゴンドラを後にした。後に残された事情を知らない仕事熱心なスタッフさんは自らゴンドラに乗り込み掃除をはじめていた。観覧車からずいぶんと離れてから、俺は言った。
「ずいぶんと激しかったね。」
「!だ、だれのせいですか・・・」
「自分から誘ったくせに・・・。まあ、それよりもこれからどうする?このまま、帰るっててもあるとは思うけど・・・。」
俺の言葉を聞くと、あきれた表情とどこか心外そうな顔をみせてこういった。
「なにをいっているんですか?小南くん。そんなの最後までいるに決まっているじゃないですか!」
その返事を聞くと、手をひたいに当てて「やれやれ」と思った。
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上空に花火が打ち上げられ、美しく彩られた夜空をブルーアイズ・ホワイト・ドラゴンをはじめとしたモンスターが舞っていた。海馬ランドの営業の終わりを告げる最後のパレードだ。俺たちは人ごみに紛れて、その芸術を鑑賞していた。最後の演出が終わっても、俺たちは名残惜しく思い、そこにいた。
「終わりましたね。」
「ああ・・・。」
どこか儚い笑みを麗華は浮かべていた。そして、ためらうようにこう続けた。
「それじゃあ!帰りましょうか!みんなが待っています!」
「・・・・・・」
「さあ!急がないと・・・」
「本当にそれでいいのか?」
「えっ・・・」
「本当にそれでいいのかって聞いているんだ。」
そうして、俺はゆっくりと言葉をつむいでいった。それは麗華が望んでいるであろうを指摘するものだった。
「・・・・・・以上のことを考えると要するに、麗華。君は俺と一緒に今夜を過ごしたいんだろう。」
「ええ・・・そうですけど・・・それじゃあ約束が・・・。」
「破ればいいじゃないか。」
「え・・・そんなこと・・・。」
「たとえ破ってもみんなは赦してくれるさ。」
「でも・・・。」
「『自分だけいい思いをしちゃいけない』」
「・・・えっ。」
「たぶん、そんなことを考えているんだろう。それは確かに正しい。けれども時にはいい思いをするように衝動のまま、身を任せてもいいと思うよ。」
「・・・・・・。」
「大丈夫。みんなは麗華の気持ちを痛いほど理解しているから。だから、そんなに堅苦しく真面目に考えすぎずとも大丈夫だよ。」
「・・・はい・・・。」
「さあ、ホテルに行こうか。」
暗闇の中でキスをしてから、俺たちはホテルへと向かい、男女としての一夜を過ごした。その翌日、昼ごろに戻った。みんなからはいろいろと責められたが、俺と麗華は甘んじて受け入れた。みんなも麗華と俺がとった対応を理解してくれたのか、罰として俺がみんなとも一人ずつ、海馬ランドでデートをすることで決着した。
結局、罰は受けるだけの価値があったと思う。なぜなら、このデートが終わってからの麗華はいつもどこか生徒会長としての立場を考えた、悪くいえば情熱的でない、付き合い方をしていたのだが、このデートの後、一人の少女としての情熱的な態度をみせるようになったからだ。そのことを考えると、よいデートだったと俺は思った。
「なにかんがえているんですか?遊くん?」
「もちろん、君のことだよ。麗華。さあ行こうか。」
「はい♡」
そして、今夜も俺は麗華を抱く。今日はどうやって愉しもうかを考えながら寝間へと俺たちは歩いていった。