『デュエル!!』
「今回もわたくしの先攻からでよろしくって?」
「ええ、結構ですよ。お嬢様。」
「そう。それじゃあ、遠慮なく行かせてもらいますわ。」
そう言うと海野幸子はカードを操り始めた。
「手札から『愚かな埋葬』を発動し、『超古深海王シーラカンス』を墓地へ。そして『死者蘇生』を発動して『超古深海王シーラカンス』を蘇生しますわ。そして『超古深海王シーラカンス』の効果を発動!手札1枚をコストにデッキからレベル1『フィッシュボーグ-ガンナー』、『鰤っ子姫』、レベル4『ハンマー・シャーク』と『光鱗のトビウオ』を特殊召喚しますわ。」
『超古深海王シーラカンス』
効果モンスター ☆7 水属性 魚族
攻撃力2800 守備力 2200
1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動できる。デッキからレベル4以下の魚族モンスターを可能な限り特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃宣言できず、効果は無効化される。また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードがカードの効果の対象になった時、このカード以外の自分フィールド上の魚族モンスター1体をリリースする事でその効果を無効にし破壊する。
お得意の『超古深海王シーラカンス』の効果による展開が来たか。さて、これからどう展開する?まあ、大体の予測はつくが。
「レベル4『ハンマー・シャーク』にレベル1『フィッシュボーグ-ガンナー』をチューニング。言の葉の番人よ。数多の知識で勝利をもたらせ。シンクロ召喚。レベル5『TGハイパー・ライブラリアン』。場にレベル1の『鰤っ子姫』がいることによって手札を1枚捨てて『フィッシュボーグ-ガンナー』を蘇生。そしてレベル4『光鱗のトビウオ』にレベル1『フィッシュボーグ-ガンナー』をチューニング。その躍動感溢れる、剣劇の魂、騎士のごとし。出でよ、レベル5『HSRチャンバライダー』。『TGハイパー・ライブラリアン』の効果によって1枚ドロー。手札の『キラー・ラブカ』を捨てて、再び『フィッシュボーグ-ガンナー』の効果を発動し、蘇生します。そしてレベル1の『鰤っ子姫』にレベル1の『フィッシュボーグ-ガンナー』をチューニング。高貴な願いが新たな速度の地平へ誘う。栄光への道となる。シンクロ召喚。希望の力、シンクロチューナー、『フォーミュラ・シンクロン』。『TGハイパー・ライブラリアン』と『フォーミュラ・シンクロン』の効果で計1枚ずつ、合計2枚ドロー。」
はい、予想通りでした。海野幸子は嗜虐的な笑みを浮かべ、「行きますわよ。庶民」とつぶやいた。
「レベル5『TGハイパー・ライブラリアン』とレベル5『HSRチャンバライダー』にレベル2『フォーミュラ・シンクロン』をチューニング。集いし星が1つになるとき、新たな絆が未来を照らす。光さす道となれ。リミットオーバー・アクセルシンクロ。レベル12!進化の光!『シューティング・クェーサー・ドラゴン』。」
名実ともに最強のシンクロドラゴンが俺の前に現れた。
『シューティング・クェーサー・ドラゴン』
シンクロ・効果モンスター ☆12 光属性 ドラゴン族
攻撃力4000 守備力 4000
シンクロモンスターのチューナー1体+チューナー以外のシンクロモンスター2体以上
このカードはシンクロ召喚でしか特殊召喚できない。このカードはこのカードのシンクロ素材としたチューナー以外のモンスターの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃する事ができる。1ターンに1度、魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を無効にし、破壊する事ができる。このカードがフィールド上から離れた時、「シューティング・スター・ドラゴン」1体をエクストラデッキから特殊召喚する事ができる。
「ふふ。これで私の勝ちは決まったものですわね。ターンエンドです。さあ、せいぜいあがきなさいな。」
「俺のターン。ドロー。・・・はあ・・・」
俺は思わず、ため息をついてしまった。それを見てご機嫌そうに彼女はいった。
「あらあら、手の打ちようが無くて困っておいでで?」
「違いますよ。」
「・・・え?」
「昔ならいざ知らず、今の環境でその布陣に安心できる神経を疑ってるんです。」
「なんですって!?」
「今からそれを証明してあげますよ。」
そうして俺はカードを特殊召喚することにした。ただし、自分の場にではなく相手の場に。
「『シューティング・クェーサー・ドラゴン』をリリースして『サタンクロース』を特殊召喚します。」
俺は遊戯王におけるある意味、最強の除去手段を用いた。すなわち「リリース」である。
『サタンクロース』
効果モンスター ☆6 光属性 悪魔族
攻撃力1200 守備力 2500
(1):このカードは相手フィールドのモンスター1体をリリースし、手札から相手フィールドに守備表示で特殊召喚できる。
(2):このカードがこのカードの(1)の方法で特殊召喚に成功したターンのエンドフェイズに発動できる。この効果を発動したプレイヤーはデッキから1枚ドローする。
「な・・・」
「『サタンクロース』の特殊召喚方法は召喚ルール効果ですので『シューティング・クェーサー・ドラゴン』で無効にはできません。また、『シューティング・スター・ドラゴン』を特殊召喚する効果も『サタンクロース』の特殊召喚処理があるのでタイミングを逃して発動できません。」
そして続けてカードを出した。
「手札から通常魔法『賢者の石-サバティエル』を発動。デッキから『マスドライバー』を手札に加えて発動。『マスドライバー』を使用したことで『賢者の石-サバティエル』を手札に戻す。そして再び発動し、デッキから『ワン・フォー・ワン』を発動し、手札の『フィッシュボーグ-ガンナー』を墓地に送り『イレカエル』を特殊召喚。そして『賢者の石-サバティエル』を手札に加え、再び発動。デッキから『鬼ガエル』を手札に加えてそのまま召喚。チェーン1で『賢者の石-サバティエル』、チェーン2で『鬼ガエル』の効果でチェーンを組んで効果処理。デッキから『粋カエル』を墓地に送り、『賢者の石-サバティエル』を手札に戻します。」
『賢者の石-サバティエル』(通常魔法)
自分フィールド上の「ハネクリボー」が破壊された時、デッキからこのカードを手札に加える事ができる。ライフポイントを半分払い、自分のデッキ、墓地にあるカード1枚を手札に加え、このカードをデッキに入れシャッフルする。この効果を3回使用した後、このカードは次の効果になる。自分フィールド上の表側表示モンスター1体の攻撃力を、ターン終了時まで相手フィールド上にいるモンスターの数だけ倍化する。
俺のプレイングをみて、前回と同じことをされると気づき、彼女は表情を険しくした。
「!!来ますわね。」
「それじゃあ、行きますよ。『イレカエル』の効果で『鬼ガエル』をリリースし、2体目の『鬼ガエル』を特殊召・・・」
「待ちなさい!その効果にチェーンして『エフェクト・ヴェーラー』を発動。効果を無効にしますわ!」
「やりますね、だが甘い!手札から速攻魔法『エフェクト・シャット』を発動し、『エフェクト・ヴェーラー』の効果を無効にし、破壊する!」
「な、なんですって!」
「よって『イレカエル』の効果は有効となり、2体目の『鬼ガエル』は特殊召喚されます。特殊召喚された2体目の『鬼ガエル』の効果で2体目の『粋カエル』を墓地へ。2体目の『鬼ガエル』をリリースして3体目の『鬼ガエル』を特殊召喚。3体目の『鬼ガエル』の効果で3体目の『粋カエル』を墓地へ。『イレカエル』の効果で3体目の『鬼ガエル』をコストに『魔知ガエル』を特殊召喚。『魔知ガエル』をリリースして『魔知ガエル』を特殊召喚。そして『魔知ガエル』をリリースして最後の『魔知ガエル』を特殊召喚。『魔知ガエル』をリリースして『黄泉ガエル』を特殊召喚。『黄泉ガエル』をリリースして『貫ガエル』を特殊召喚。そして『マスドライバー』の効果を発動し、『貫ガエル』をリリースし、あなたに400ポイントのダメージです。」
「ぐっ!」
海野幸子 手札2枚
LP4000→3600
『エフェクト・シャット』(速攻魔法・アニメ遊戯王GXオリジナルカード)
モンスターの効果を相手が発動した時に発動可能。その効果を無効にし、そのモンスターを破壊する。
『イレカエル』
効果モンスター ☆1 水属性 水族
攻撃力100 守備力 2000
自分フィールド上に存在するモンスター1体を生け贄に捧げる。自分のデッキから「ガエル」と名のついたモンスター1体を選択し、自分フィールド上に特殊召喚する。このカードがフィールド上に存在する限り、「ガエル」と名のついたモンスターは戦闘によっては破壊されない。
『鬼ガエル』
効果モンスター ☆2 水属性 水族
攻撃力1000 守備力500
(1):このカードは手札からこのカード以外の水属性モンスター1体を捨てて、手札から特殊召喚できる。
(2):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキ及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、水族・水属性・レベル2以下のモンスター1体を選んで墓地へ送る。
(3):1ターンに1度、自分フィールドのモンスター1体を持ち主の手札に戻して発動できる。このターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「鬼ガエル」以外の「ガエル」モンスター1体を召喚できる。
「続けて手札を1枚捨てて、『フィッシュボーグ-ガンナー』を特殊召喚。レベル1『イレカエル』にレベル1『フィッシュボーグ-ガンナー』をチューニング。シンクロ召喚。レベル2『天輪の双星道士』。『天輪の双星道士』の効果発動。シンクロ召喚時、墓地のレベル2モンスターの効果を無効化して可能な限り攻撃表示で特殊召喚する。」
「相変わらず、おかしな効果ですわね!レベル2のモンスターを可能な限り特殊召喚ってなんですの!?」
「実際にそう書かれているんだから仕方ないじゃありませんか。この効果で墓地から『魔知ガエル』3体と『鬼ガエル』を特殊召喚。そして今いるモンスターすべてを『マスドライバー』のコストにして計2000ポイントのダメージです。」
「きゃあああ!!」
海野幸子 LP3600→1600
『天輪の双星道士』(漫画版遊戯王5Dsオリジナルカード)
シンクロ・チューナー ☆2 光属性?天使族?
攻撃力100 守備力 800
チューナー+チューナー以外のモンスター1体
このカードがシンクロ召喚に成功した時、自分の墓地からレベル2モンスターを可能な限り攻撃表示で特殊召喚する。 この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。
「続けて墓地の『粋カエル』の効果を発動。『貫ガエル』を除外して蘇生します。『粋カエル』を『マスドライバー』のコストにして400ポイントのダメージです。『魔知ガエル』を除外して『粋カエル』を蘇生し、『マスドライバー』の効果を発動して400ポイントのダメージです。『鬼ガエル』を除外し、『粋カエル』を蘇生。『マスドライバー』の効果を発動して400ポイントのダメージです。鬼ガエル』を除外し、『粋カエル』を蘇生。『マスドライバー』の効果を発動して400ポイントのダメージです。・・・これで、終わりですね。」
海野幸子
LP1600→1200→800→400→0
『粋カエル』
効果モンスター ☆2 水属性 水族
攻撃力100 守備力 2000
このカードのカード名は、フィールド上に表側表示で存在する限り「デスガエル」として扱う。また、自分の墓地の「ガエル」と名のついたモンスター1体をゲームから除外する事で、このカードを墓地から特殊召喚する。このカードはシンクロ素材にできない。
かくして決着はついた。海野幸子はしばらく、状況が把握できていないようだったが、自分の敗北を理解すると呆然とつぶやいた。
「また、負けた。どうして・・・どうしてですの・・・私がなぜ、庶民なんかに。」
彼女はひざを地面につき、手札を落とした。俺は彼女の持っていた手札を確認し、俺は淡々と事実を告げることにした。
「貴方の敗因は簡単ですよ。」
「え?」
「油断するからですよ。『シューティング・クェーサー・ドラゴン』は確かに強いです。それは認めます。しかし、今やレベル4モンスターを2体揃えたら『SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング』で突破されるご時世ですよ。だから、墓地アドなんかにこだわらずに手札に『貪欲な壺』があるのだから使っておけばよかったんですよ。そうすれば『神の宣告』あたりをドローできてまた違った展開になったかもしれない。」
「う・・・」
『SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング』
エクシーズ・効果モンスター ★5 光属性 戦士族
攻撃力2500 守備力2000
光属性レベル5モンスター×3
このカードは自分フィールドのランク4の「希望皇ホープ」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。このカードはX召喚の素材にできない。
(1):このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時までカードの効果を発動できない。
(2):このカードが「希望皇ホープ」モンスターをX素材としている場合、このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に、このカードのX素材を2つ取り除いて発動できる。このカードの攻撃力はそのダメージ計算時のみ5000になる。
『貪欲な壺』(通常魔法)
(1):自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。
俺の指摘に彼女は黙り込んだ。
「そう・・・ですの。私はまた、あなたにプレイングミスを指摘されたのですね。」
「・・・・・・」
「やはり、わたくしにはデュエルの才能が・・・」
幸子は自分のデュエルの腕に自信が持てなくなっているようだった。彼女の表情は普段とは似ても似つかなかった。そんなお嬢様に近づいて告げた。
「だけど、楽しいデュエルでしたよ。」
「・・・え?」
「海野さんにとってはどうだったかはわかりませんが、少なくとも俺にとっては楽しいデュエルでした。」
「・・・・・・」
「前回のデュエルを違って手札誘発の『エフェクト・ヴェーラー』や墓地発動の『キラー・ラブカ』を採用したり、いきなり『シューティング・クェーサー・ドラゴン』を召喚したりするあたりに成長が感じられました。それがよかったと思います。」
そして、ほほ笑んだ。
「・・・・・・」
「海野さんはどうだったんです。」
俺は問いかけた。すると彼女はそっぽを向きつつ、答えた。
「ええ!まあ、楽しめましてよ!庶民と戦ったわりにわね!!」
「それは良かった!」
そして、俺は彼女の少し赤くなっているであろうそっぽを向いた顔をみて告げた。
「またデュエルしましょう。海野幸子(さちこ)さん!」
「・・・!!ですから、私の名は幸子(ゆきこ)です!!」
こちらを睨みつけると、優雅さのかけらもない足取りでこの場を離れていった。それを見て俺は面白くなり、吹きだした。
「ああ、言い忘れてたけど、もう1つ彼女が勝てない理由があったな。カードパワーが違いすぎるという問題が。」
笑いながら、そう独り言をつぶやいた。そして、しばらくの間再び笑った。笑いが終わると態度を変えて再び対戦相手を探すために島を回ることにした。
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時間は流れ、太陽が沈み、夜となった。今は予選終了を記念するパーティーの最中である。俺はサイコロステーキをかみながら、海野幸子とのデュエルの後の出来事に思いをはせていた。
それからのデュエルはまあ、いろいろとあった。例えば、「カットビング」が口癖のリアル世界ではイカサマとしか言いようがない行為を働くプレイヤーや前回の制裁タッグデュエルでぶちのめしたプロデュエリストの妹、さらにはLDS(レオ・デュエル・スクール)の若き社長などと対戦せねばならなかった。この他にもいろいろとあったが、すべてをきちんと語ろうとすると文庫本なら30ページぐらいは費やさないといけないぐらいだ。なにしろ、海馬との決闘だけでも7ページくらいはかかるからな。あれからは実に大変なデュエルの連続だった。まあ、無論すべてのデュエルに勝ったが。とにもかくにも、こうして予選は終わり、明日から本選が開始される。本選通過者の名前が発表され、通過者の歓喜と落選者の落胆があった後、このように参加者全員によるパーティーが開かれているというわけだ。
そうして食事が盛りあがった頃になってアメリカ・アカデミアの校長によるスピーチが行われた。アメリカ・アカデミアの校長はマッケンジーという名だった。彼はいかにも厳格そうな表情で立派なスピーチをした。そのスピーチに生徒たちはしばし歓談と食事を止めて聞き入り、スピーチの終わりに拍手を自発的にしたほどだった。しかし、俺はスピーチの間中、漫画世界と同じようにこいつが悪役なんだろうな。オレンジジュースを飲みながらそう思っただけだった。
こうしてパーティーが終わり、部屋に戻ろうとするとアメリカ・アカデミアの生徒、マッケンジー校長の娘、そしてレジー・マッケンジーに声をかけられた。そして、意味深な視線を向けて「明日は楽しみましょう。ユウ。」と話しかけられた。俺はそれに対して、「ああ、そうだね。」と笑い返したのだった。
彼女への思いを隠した笑顔で。