宮田ゆまを抱いた後に『ブラック・マジシャン・ガール』の精霊であるマナと『墓守の暗殺者』の精霊のサラと3Pを愉しんだ後の翌朝。俺はいつも通りに目を覚まし、朝食を食べていた。今日の朝食は食パン2枚、目玉焼き、サラダ、コーヒーというオシリス・レッドとして大変恵まれた朝食だった。昨日の行為による疲れとねむけを取り去るために食パンにはイチゴジャムをたっぷりと塗り、コーヒーを3杯飲み干した。こうして朝食を終え、デュエル場へと向かうことにした。
今日のデュエルは俺とヨハンのデュエルが第1試合である。試合開始にはまだデュエルを1回程度なら済ませられる程度には時間的な余裕があった。そうしたこともあって食後の運動を兼ねてゆっくりと目的地へと向かっていた。そんなときに悲鳴が聞こえた。
俺はすばやく悲鳴がした場所へと向かった。するとそこには1日目で俺に敗れた小日向星華と万条目に敗れたジェームス・クロコダイル・クックがいた。もう少し確認してみると、小日向星華は両方のひざを地面についており、ジェームス・クロコダイル・クックは傲慢な笑みで小日向星華を嘲笑っていた。どうやらこんな朝早くから二人はデュエルをして、クロコダイルが勝ったようだった。
俺が現状を確認すると、クロコダイルは言葉を発し始めた。
「これでわかったか?俺がこの大会の本選で負けたのは、お前の実力不足と違って『運』が無かっただけだ!決して実力で劣っていたわけではない!!」
・・・・・・うわぁ、『運』のせいにするとか。カードゲームで一番いっちゃいけないことをいってるよ・・・。確かにカードゲームである以上、運の要素は相当大きいけれども、可能な限り『運』の要素を排除するようにデッキ構築したり、プレイングを磨いたりするのが腕の見せ所だろうに・・・。さらに言うと『運』のせいにしたら、自分の勝利も「『運』がよかっただけ」で片づけられることになることがわかってないんだろうなこいつは・・・。
そうした俺の思いを無視して、クロコダイルは肩を落とし、地面に目をむけ、意気消沈している敗者に対する罵倒の言葉を続ける。そして、その言葉に対して俺は少なからず、動揺をすることになった。
「それにしても、お前はホントに馬鹿だよな!お前が敗北させられた相手、小南遊を罵倒されてキレるなんて!!」
「・・・・・・」
「だけど、これでお前に勝った相手、小南遊はたいしたことがないということが証明されて・・・」
「・・・関係ない。・・・」
「WHAT?」
「私に勝ったからと言って、小南遊が弱いということにはならないといったの!!」
「HAHAHA!この期に及んでまだそんな口がきけるとはな!!」
「だって、実際にそうだもの!私に勝った小南遊は、絶対にあなたよりも強い!」
「・・・その通り。」
俺は小日向先輩が普段と違った表情で反論するのを見届けてから、ゆっくりと姿を現した。二人は驚きの表情を浮かべていた。しかし、クロコダイルは事態を呑み込むと笑って話しかけてきた。
「HEY!小南!お前はもうすぐ試合じゃないか!こんなところで油を売っててもいいのかい?」
「ああ、もうすぐ試合だ。・・・だから、速攻でお前を叩き潰す・・・」
「おいおい、お前は小日向星華とはたいして面識がないんだろ?彼女が負けたからってお前が戦う理由はないんじゃないのか?」
「理由ならある。小日向さんは俺にとって先輩だ。」
「ふーん。なるほど。いいだろう。」
クロコダイルは嗜虐的な笑みを浮かべてこういった。
「ただし、ただのゲームじゃあつまらない。校長からはやめるように言われているのだが、ここでお前を倒せばお前は負けることが怖くて逃げだした臆病者となり、ついでに『精霊』のカードが手に入るんだから、校長も納得してくれるだろう。さあ、『闇のゲーム』といこうか。」
すると、まがまがしい闇が現れ、俺たちにまとわりついた。小日向先輩の驚いた声と息遣いが聞こえた。俺は彼女を安心させようと振り向いてほほ笑んだ。
「随分と余裕そうだな。絶対に自分が勝つとでも思っているのか?」
「いや、焦ってるよ。さっさとお前を倒さないと試合に間に合わないしね。」
「・・・いうじゃないか。」
俺たちは相手を見据えた。クロコダイルの目は敵意に満ちていた。俺の目もおそらく敵意に満ちているのだろう。そのことを確認してからクロコダイルは大声で、俺は普段よりも少々大きな声で宣言した。
『決闘!!』
「先行はもらう!」
「・・・どうぞ。」
先行ワンキルよりも後攻ワンキルの方がいろいろとやりやすいからな。ドローができるし、攻撃はできるしで。まあ、相手が厄介な布陣を敷かないことが前提だが。
「俺のターン!自分フィールド上に「トーチトークン」2体を攻撃表示で特殊召喚することで手札から『トーチ・ゴーレム』をお前の場に特殊召喚する!」
その言葉とともに「トーチトークン」2体がクロコダイルの場に現れた。その後、どこからか聴こえてくる不愉快な音とともに自分の意志で動くことのできる泥人形、他者を拷問にかけるために生み出されたような存在が姿を現した。
『トーチ・ゴーレム』
効果モンスター ☆8 闇属性 悪魔族
攻撃力3000 守備力300
このカードは通常召喚できない。このカードを手札から出す場合、自分フィールド上に「トーチトークン」(悪魔族・闇・星1・攻/守0)を2体攻撃表示で特殊召喚し、相手フィールド上にこのカードを特殊召喚しなければならない。このカードを特殊召喚する場合、このターン通常召喚はできない。
「・・・それでこれからどうするんだ?「トーチトークン」で自爆特攻でも仕掛けてからの『ヘル・テンペスト』にでも持ち込むのか?」
「はっ!そんなわけのわからない作戦を誰が使うか!!手札から『融合賢者』を発動し、融合を手札に加える。そして、そのまま発動する!場の「トーチトークン」2体を融合!凡庸なる獣から生まれし、蝙蝠の翼をはためかせし竜よ!その眼に映りしものを消し尽くせ!!融合召喚『始祖竜ワイアーム』!!」
俺は少々、舌打ちをしたい衝動に駆られた。対処することに少し骨の折れるモンスターを出されたからだ。「トークンは通常モンスターとして扱う」というルールをうまく利用したプレイングだった。
『ヘル・テンペスト』(速攻魔法)
3000ポイント以上の戦闘ダメージを受けた時に発動する事ができる。お互いのデッキと墓地のモンスターを全てゲームから除外する。
『始祖竜ワイアーム』
融合・効果モンスター ☆9 闇属性 ドラゴン族
攻撃力2700 守備力2000
通常モンスター×2
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
(1):「始祖竜ワイアーム」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードは通常モンスター以外のモンスターとの戦闘では破壊されず、このカード以外のモンスターの効果を受けない。
「そして、手札から『所有者の刻印』を発動し、『トーチ・ゴーレム』のコントロールを得る!!」
「・・・だが、先行1ターン目で攻撃はできない以上、『始祖竜ワイアーム』はともかくとして『トーチ・ゴーレム』はあまり脅威にはならない。」
「残念だが、それは間違いだ!手札から速攻魔法『時の女神の悪戯』を発動!次の俺のターンへとターンをスキップする!さて、これがなにを意味するかわかるな?」
「つまり、このターンでも攻撃できる。」
「そうだ。そして『トーチ・ゴーレム』と『始祖竜ワイアーム』の攻撃力の合計は5700。つまり、おまえのライフが消し飛ぶ威力だ!」
その言葉に呼応するかのように2体のまがまがしいモンスターは低く、しかし良く響き渡る。うなり声をあげた。
「さあ、くたばれ!バトルフェイズだ!『トーチ・ゴーレム』と『始祖竜ワイアーム』で攻撃する!!」
「・・・・・・」
ゴーレムの巨大な鉄槌。そしてよく燃えている炎が俺へと迫った。その音はうるさかった。にもかかわらず、それよりもずっと小さな音。「ひっ」という怯えた声の方がよく聴こえた。
「大口をたたいた割に拍子抜けの弱さだったが、これで・・・」
「手札から『速攻のかかし』を捨てて効果発動。その攻撃を無効にし、その後バトルフェイズを終了させる。」
宣言したカードを相手に確認させ、デュエルディスクの墓地へと送った。すると、かかしが現れ、俺を襲った脅威を防いだ。
『速攻のかかし』
効果モンスター
星1 地属性 機械族
攻撃力0 守備力 0
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時にこのカードを手札から捨てて発動できる。その攻撃を無効にし、その後バトルフェイズを終了する。
「ふん。まあ、そのくらいはやってもらわないとな。」
「・・・・・・」
「バトルフェイズが終了したのでメインフェイズ2だ。俺は場の『トーチ・ゴーレム』と『始祖竜ワイアーム』をリリースする!そして俺のエースモンスター『The tyrant NEPTUNE』をアドバンス召喚する!!」
『トーチ・ゴーレム』と『始祖竜ワイアーム』の体を囲むように風が現れた。アドバンス召喚のエフェクトだ。そのエフェクトが終了し現れたのは、「暴君」と「海王星」の名を与えられた、ワニの怪物だった。
『The tyrant NEPTUNE』
効果モンスター ☆10 水属性 爬虫類族
攻撃力0 守備力 0
このカードは特殊召喚できない。このカードはモンスター1体をリリースしてアドバンス召喚する事ができる。このカードの攻撃力・守備力は、アドバンス召喚時にリリースしたモンスターの元々の攻撃力・守備力をそれぞれ合計した数値分アップする。このカードがアドバンス召喚に成功した時、墓地に存在するリリースした効果モンスター1体を選択し、そのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。
「『The tyrant NEPTUNE』の攻撃力・守備力は、アドバンス召喚時にリリースしたモンスターの元々の攻撃力・守備力をそれぞれ合計した数値分アップする。よって攻撃力は8000!さらにこのカードがアドバンス召喚に成功した時、墓地に存在するリリースした効果モンスター1体を選択し、そのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。俺は墓地の『始祖竜ワイアーム』を選択する。これによって通常モンスター以外のモンスターとの戦闘では破壊されず、このカード以外のモンスターの効果を受けない。」
クロコダイルは力強く『The tyrant NEPTUNE』の効果を宣言した。闇がクロコダイルの体を一層、包み始めた。目が黒く染まり、狂気を帯びだした。
「クックク。あいかわらず、この感覚はいい。自分が強いのだと実感できる。」
「精神が闇に呑まれている時点で強いとは思えないんだが。」
「どうとでも言え!さあ、お前のターンだ。」
「俺のターン。ドロー・・・。手札から『強欲な壺』を使用し、デッキから2枚ドローする。」
「まずは、手札補充か。さあ、俺の『The tyrant NEPTUNE』にどう立ち向かうのか。見せてもらおうじゃない・・・か?」
クロコダイルは最後まで言葉を言うことはできなかった。なぜなら、彼の言う『The tyrant NEPTUNE』はすでにいなかったからだ。
「『The tyrant NEPTUNE』をリリースし、手札から『雷撃壊獣サンダー・ザ・キング』をお前の場に特殊召喚する。」
「な!?キサマ!!」
「そう怒るな。むしろ喜べよ。攻撃力3300の強力モンスターを扱うことができるんだからな。」
俺の言葉にクロコダイルは苦々しい顔をみせた。そりゃそうだ。攻撃力3300といっても『トーチ・ゴーレム』と『始祖竜ワイアーム』をリリースした『The tyrant NEPTUNE』の方がこの状況では強いんだから。
『雷撃壊獣サンダー・ザ・キング』
効果モンスター ☆9 光属性 雷族
攻撃力3300 守備力 2100
(1):このカードは相手フィールドのモンスター1体をリリースし、手札から相手フィールドに攻撃表示で特殊召喚できる。
(2):相手フィールドに「壊獣」モンスターが存在する場合、このカードは手札から攻撃表示で特殊召喚できる。
(3):「壊獣」モンスターは自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。
(4):1ターンに1度、自分・相手フィールドの壊獣カウンターを3つ取り除いて発動できる。このターン、相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できず、このカードは1度のバトルフェイズ中に3回までモンスターに攻撃できる。
「続けるぞ?俺は『死者蘇生』を発動し、墓地から『速攻のかかし』を特殊召喚。そして『速攻のかかし』で『雷撃壊獣サンダー・ザ・キング』を攻撃する。」
「攻撃力の低いモンスターで攻撃だと?」
かかしは攻撃力0であるにも関わらず、必死の攻撃を仕掛けた。しかし、所詮かかしはかかし。怪獣に襲い掛かる一般人のように簡単に倒された。そして、俺はかかしが受けたのと同じだけのダメージを受ける。その痛みはただリアルソリッドビジョンでは味わえないであろう質量のある痛みだった。
小南遊 LP4000→700
「この瞬間、速攻魔法『ヘル・テンペスト』を発動。互いのデッキ・墓地からすべてのモンスターカードを除外する。」
「デッキ・墓地からすべてのモンスターカードを除外だと!?」
俺はその言葉を無視して、淡々とカードを1枚、2枚と除外していった。クロコダイルは俺の様子をみて、舌打ちしつつもそれにならった。こうして互いのデッキが半分以下になることとなった。
「そして魔法カード『ご隠居の猛毒薬』を発動し、ライフポイントの回復を選択。これによりライフを1200ポイント回復する。そして、カードを3枚伏せてターンエンドだ。」
小南遊LP700→1900 手札0
「・・・3300ポイントものダメージを受けて、俺のカードだけならまだしも自分で自分のカードをも除外するだと。・・・なにを考えているのかわからないが、俺のターンドロー。」
「この瞬間、リバースカードオープン。」
「む?」
「ライフ1000をコストに『スキルドレイン』。この効果で場のモンスターすべての効果を無効にする。」
小南遊LP1900→900
「だが、それでは・・・」
「そうだ。攻撃自体は防げない。だが、俺にはこのカードがある。ライフポイント半分をコストにリバースカードオープン。『異次元からの帰還』。この効果で除外されたモンスターを可能な限り特殊召喚する。この効果により『壊星壊獣ジズキエル』(攻撃力3300)、『怒炎壊獣ドゴラン』(攻撃力3000)、『多次元壊獣ラディアン』(攻撃力2800)、『海亀壊獣ガメシエル』(攻撃力2200)、『粘糸壊獣クモグス』(攻撃力2400)を特殊召喚する。」
「だが、そんなことをしても【壊獣】のデメリットで・・・!そういうことか。」
「その通りだ。『スキルドレイン』の効果により、【壊獣】のデメリットである『自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない』効果は無効になっている。よってこの5体は共存できる!!」
『スキルドレイン』(永続罠)
1000LPを払ってこのカードを発動できる。
(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、フィールドの全ての表側表示モンスターの効果は無効化される。
『異次元からの帰還』(通常罠)
ライフポイントを半分払って発動できる。ゲームから除外されている自分のモンスターを可能な限り自分フィールド上に特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズ時にゲームから除外される。
「・・・少々驚いたが、所詮は『異次元からの帰還』で出されたモンスターだ。このターンが過ぎれば・・・」
「悪いが、次のターンはない。」
「・・・どういうことだ?」
「正確に言えば、このターンで決める。リバースカードオープン『墓荒らし』(原作効果)!」
「『墓荒らし』(原作効果)?」
「この効果でお前の墓地にあるカード1枚を使用する。」
「俺の墓地にあるカード?・・・!!」
「そうだ!その通り・・・」
『墓荒らし』に描かれたコミカルな存在が奪ったカードの絵柄をみせた。それは時の女神が描かれたカード『時の女神の悪戯』。効果は単純にして強力。
「・・・次の自分のターンのバトルフェイズにスキップする・・・」
「その通り。」
クロコダイルのつぶやきに対して肯定の言葉を言うと【壊獣】たちが動き出した。クロコダイルの場に出された壊獣も同じだった。それはただ破壊を求めるものの動きだった。戦いは長引いたが、『壊星壊獣ジズキエル』と『雷撃壊獣サンダー・ザ・キング』が相打ちとなった。そして、残りの4体がクロコダイルに襲い掛かった。こうして決着はついた。
『墓荒らし』(罠&魔法カード 原作効果)
相手プレイヤーの墓地に置かれたカードを1枚奪いとる!!
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デュエルの後、クロコダイルを闇が包み込みそうになったが、サラからもらったペンダントが光ったのをきっかけに闇は消え去っていった。どうやらサラからもらったペンダントには闇の力に対抗できるだけの力があるようだった。クロコダイルは大地に横たわっていた。気絶しているだけのようだった。
俺はとりあえず、クロコダイルを小日向先輩に任せて、デュエル場に向かうことにした。クロコダイルを頼む際、小日向先輩が質問してきた。
「・・・どうして助けに来てくれたの?」
俺は静かに好きな小説の言葉を引用した。
「『強くなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない』からですよ。」
俺がそういうと先輩は「そう。」とだけ言ってぷいっとそっぽを向いた。俺はその理由を問いたださずにデュエル場に向かうことにした。デュエルの開始時刻には急げば、どうにか間に合いそうだった。