フルフルに転生したので女の子にエロい事する 作: katate
色欲のフルフルこと少年はジャングルのように蔓が密集した森の中を歩いていた。
此処は以前少年が森林からは少し離れた森。現在彼はこの近くを縄張りとし、幾つかの住処を所有していた。何故以前の縄張りを放棄したかと言うと、そこには少しだけ複雑な事情があった。
まず第一以前の縄張りはラオシャンロンが横行した為、半ば崩壊状態になっているのだ。ただ木々が倒され、モンスターが住み着かなくなっただけだが、モンスターが居ない、つまり狩猟しにハンターが来ない為、獲物を襲えない少年はそれで縄張りを放棄するしか無かった。
そして一番の問題は少年の今の状態であった。以前から少しずつ切り傷が増えて行った彼ではあったが、今回ラオシャンロン撃退の際に彼は落石から女の子を守るというらしく無い事を仕出かしてしまった為、背中に傷を負う事となってしまったのだ。しかもかなり深く、まるで抉れるように背中の一部分がへこんでいる。それはフルフルという醜い見た目だけにかなり悲惨な姿であった。この傷を癒す為にも、彼は一時住処を離れる必要があったのだ。
(あー痛って〜……本当、性でも無い事はするんじゃなかったなぁ)
少年は今の自分の住処の一つである巨大な木の前に辿り着くと、そこを登って丁度良いくぼみ部分に座り込みながらそう愚痴を零した。首を伸ばしてへこんだ部分の背中を掻きながら彼は小さくため息を吐く。
別段彼はこの傷の事は気にしていなかった。確かにらくしも無い事をして痛い思いをしたのは確かだったが、だからと言って傷の事を一々気にする程女々しくは無かった。そもそも彼は既にフルフルという怪物の姿にすら慣れている為、今更傷が何だという心境であった。
(問題はハンター達の方だなぁ……は〜、面倒くせ)
欠伸をするように口を広げながら少年は今自身が直面している問題について考える。
実は彼が縄張りを変えた一番の理由はハンターに追われている事にあった。ハンターに追われているなどいつも女の子を襲っている少年からすれば日常茶飯事であったが、今回は少し事情が違うのだ。
どうやら今回のラオシャンロン撃退の時の少年の行動を誰かに目撃されていたらしく、ギルドは色欲のフルフルが何らかの意図を持ってしてラオシャンロンを倒そうとした、と判断したのだ。実際撃退したのは少年で間違いないのだが、表的にはフルフル装備の子が撃退した事になっている為、ギルドは少年の事をあくまでおまけとした考えていない。散々な扱いであった。
いずれにせよ色欲のフルフルは龍撃槍を発動させる程の高度な知性を持ち、尚かつ古龍に挑もうとする好戦的で危険なモンスターであると認識され、少年は今まで以上にハンターに狙われるようになったのだ。以前とは違い研究者もこのモンスターは危険だと判断し、捕獲よりも討伐が優先されるようになった。所謂ハードモードだな、と少年は自虐的にそんな事を考えた。
そんなこんなで以前の住処では特定される可能性がある為、少年はハンターからの包囲網から逃れる為に少し離れた新しい森で住処を造り直す事にしたのだ。流石にこんな傷を負った状態では立ち回りも難しくなる為、不意打ちも簡単にはいかなくなる。今ハンターに追いつかれれば確実にやられる不安があった。
だがどうやらハンター達も大分熱心に少年の事を探しているらしい。つい最近新しく見つけて住処にした洞窟もザザミ装備の姉妹に見つけられた為、もうあの場所で狩りをする事は出来なくなってしまった。少年は落ち込むように首を垂らした。
(どうしようかな……なんか着々と追いつめられてる気がしてやばいな。いっその事新大陸とかに行った方が良いのか?)
最近逃げてばかりだなと思った少年はふとそんな事を思いついた。
この大陸では無く全く新しい大陸。流石にそこまで行けば色欲の名もそこまで広まっていない為、ハンターに狙われ続ける心配は無い。まさに理想的な逃走案ではあった。だがそれは同時に自分が今まで積み上げて来た物を捨てる事となる。別段彼が誇れる程の何かを積み上げた訳では無いのだが、馴染んだこの土地から去るのはなんとなく寂しく思えたのだ。
そんな時ふとフルフル装備の子の顔が浮かんだ。何故彼女の顔が浮かんだのかは分からない。少年は意味が分からないとブツブツ文句を言いながら首を振った。
(まぁ……もう少し様子を見ておくか)
結局大きな決断の前では思考を停止する事しか出来ず、ヘタレな少年は決断を先送りにする事にした。そうやって問題を先送りにすればどんどん溜まって行き、いずれ手遅れな事となる……彼はそれに気付けない。行き当たりばったりな事ばかりしている計画性の無い者は、己の過ちに気付く事は無い。
◇
その日、森の中に住むドスランポスは新たな住人に警戒していた。巨大な木の上で眠るように座っている白い怪物、人間達の間では色欲のフルフルと呼ばれるモンスター。奴は少し前からこの森に住むようになっていた。
別段ドスランポスはこのモンスターを嫌っている訳では無かった。モンスターとしては敵対しているが奴は縄張りをちゃんと決め、複数の住処を所持していても、きちんとテリトリーを線引きしていた。つまり礼儀正しい常識を持った奴だったのだ。だから対峙する事も縄張り争いをする必要も無い、至って安全なモンスターであった。
このようなモンスターは珍しい方であった。今はハンターという存在もある為、モンスター達は安全な縄張りを巡っての争いが激しかった。かくいうこのドスランポスもつい先日別のドスランポスから縄張りを奪い取ったばかりであった。だからこそ、フルフルのような誰も使っていない縄張りを見つけ、誰とも争う事なく住処にするという平穏な解決策を使用したのが珍しかったのだ。
「グルル……」
ピクリとフルフルが動き、首を動かすと小さなうなり声を上げた。それが寝息だったのか、それともただのため息だったのかは分からない。だがドスランポスは警戒してい自分が隠れていた草むらから移動すると別の草むらへと隠れた。用心にこした事は無い。あのフルフルは自分と同じくらい高い知性を持っているのだ、とドスランポスは警戒心を強めた。
ドスランポスは基本知性の高いモンスターとして知られている。行商人の集まりを襲ったり、ランポス達を囮にしてハンターを襲うなど、悪知恵の働くモンスターであった。そしてこのドスランポスは更に用心深く、観察に優れた性格をしていた。その為、ドスランポスは目の前のフルフルが知性を持つモンスターだと見抜いていたのだ。
ある日、ドスランポスが新しく入って来たフルフルを見つけ、彼の様子を探る事にした。いずれ敵対する可能性もある為、敵情報の偵察として監視する事にしたのだ。その結果、ドスランポスはフルフルが女性ハンターを巧みな罠に嵌め、犯すという光景を目にする事となった。
ドスランポスは二つ驚いた。一つはフルフルが罠を使い、ハンターを陥れた事であった。通常フルフルは咆哮や電撃を使用して戦うモンスターのはずであったが、今自分の前に居たフルフルは丸太をダミーに使ったり、隠れて電撃を飛ばすなど卑怯な手を使っていた。とても通常のモンスターとは思えない行動であった。
もう一つはその後行動不能になった女性ハンターの服をフルフルが脱がせ始めた事だった。殺す訳でも無く、喰う訳でも無く、フルフルは女性ハンターを裸にし、弄び始めた。何故そのような事をするのか?モンスターとして明らかに不可解である。ドスランポスには理解出来なかった。
結論、ドスランポスはこのフルフルを危険な存在として認識する事にした。どんな奇行をしようとハンター達を倒したのは事実であり、油断出来ない存在であるのは確かなのだ。敵対する事は無かったとしても用心する必要はある。ドスランポスはそう考え、それ以降こうしてフルフルを警戒するようになった。
色欲のフルフルは知らない。周りのモンスターが自分の事を警戒している事を。ラオシャンロンを撃退した彼はモンスターの間でちょっとした有名人となっていた。言葉を交わす訳では無い彼らではあるが、共通認識としてある考えを抱くようになったのだ。ーー色欲のフルフルは異常である。
高い知性を持ち、女性ハンターを犯すという異常な行為。加えて自ら狩りをせず、死肉を漁るというだけの無気力な食生活。そのようなモンスターの本能として間違っている行いをしているフルフルは、モンスター達にはただただ異常にしか映らなかった。このドスランポスも同様、フルフルの行為を理解出来ず、心の何処かでは不安を覚えている。
ハンターにも狙われ、モンスターからも警戒され始めたフルフル。彼の居場所は少しずつ無くなっていっていた。
◇
蔓が密集した森の前で一人のハンターが立っていた。
一人は短い真っ赤な髪が特徴的な青年。リオレウス装備を纏い、背には太刀を装備している。それはかつて色欲のフルフルに戦いを意挑んだのあと時の青年で会った。だが不思議な事に以前は一緒に並んでいた妹の姿が無かった。
「色欲のフルフル……妹の敵討ちだ!」
実はこの青年、以前フルフルに妹を襲われた経験があり、その時の妹の屈辱を晴らす為にこうしてリベンジマッチをしに来たのだ。最初はまた妹と二人で挑もうとしていたのだが、妹が色欲には関わらない方が良いとやたら忠告する為、兄である彼は仕方なく一人で挑む事にしたのだ。
背の太刀の柄を撫でる様にそっと掴みながら青年は真剣な表情になる。彼は至って真面目であった。前回の時はあえなく電撃を喰らって一撃オチという体たらくを晒したが、その時だって彼は真面目に戦いっていた。ただちょっと抜けた所がある為、馬鹿っぽく見えてしまうのだ。
しかし今回の彼の目つきはいつに増してギラついていた。妹が居ない事から緊張感が増しているのか、雰囲気がただ事では無い事を物語っていた。
青年は覚悟を決めた様に一歩前へ踏み出し、森の中へと入って行く。しかしすぐに足をもたつかせ、盛大に転んだ。幸先が不安な踏み出しである。