フルフルに転生したので女の子にエロい事する 作: katate
フルフル装備を着た青髪の少女は大剣を担ぎながら森の中を歩いていた。この辺りは遺跡があった場所の為、所々に欠けた柱や石像が転がっていた。女の子は綺麗な瞳を揺らしながら辺りに警戒を配っている。だがしばらくすると、彼女は小さくため息を付いて肩から力を抜いた。
「……おかしい」
一度まばたきをしてから女の子はそんな事を言い出した。首を傾げてもう一度辺りの気配を感じ取る。風の音、木の葉が揺れる音、草木のざわめき……やはり、おかしかった。女の子は瞳を険しくして表情を曇らせる。すると丁度横の草むらから男性ハンターが現れた。
「どうしたんだ?」
「……生き物の気配が極端に少ない……何か、嫌な予感がする」
男性ハンターは以前ラオシャンロンの時にも共闘した彼であった。腰には片手剣が、そしてオーソドックスなハンター装備を身に纏っていた。男性は女の子の言葉を聞いて同じ様に辺りに気配を配った。確かに生き物の気配が少な過ぎる。
普段なら小動物、時には大型のモンスターも徘徊しているはずのこの遺跡付近。今回は採集クエストの為に二人でのんびりとエリア探索に来ていたのだが、あまりにもモンスターとの遭遇の少なさに女の子は違和感を覚えていた。
「何か疫病でも流行りだしたのか……それとも、凶悪なモンスターが現れたか?」
「多分、後者……」
考えられる仮説を立てて男性ハンターは指を二本立てながらそう言った。女の子もそれに同意し、恐らく後者であろうと顔を頷かせた。
女の子は薄々と感じ取っていた。何処か遠くから流れて来る強烈なプレッシャーを。ラオシャンロンと対峙した時以上の恐ろしい程の威圧感。それが少しずつこちらに近づいて来ていた。
女の子が険しい表情をしていたその時、空から気球船が近づいて来た。普段なら監視の為だけの気球船だが、その気球船は二人の近くまで高度を下げると一人のギルド職員が柵から身を乗り出し、二人に向かって大声を上げた。
「お二方! 大変です! 本部からの連絡で、もうじきこの近くに黒龍ミラボレアスがやって来るとの事です! 街は既に避難勧告がされました。お二方もすぐにお逃げください!!」
そう言うや否や気球船は再び高度を上げ、すぐに飛去って行ってしまった。その報告を聞いた男性は硬直し、女の子の方も思わず目を見開いた。
黒龍ミラボレアスの出現……ラオシャンロン以上の衝撃に二人は思考を一瞬放棄してしまう。おとぎ話の中だけのはずの存在が、現実へとやって来た。それも恐ろしい程の絶望をぶら下げながら。
「黒龍……だと?あの伝説の龍が現れたってのか?」
「…………」
「おいおい不味いぞ。伝承通りなら奴は人間もモンスターも構わず殺すはずだ。すぐに逃げないと」
男性はすぐにこの状況の深刻さに気がつき、逃走する事を提案した。もちろんこの判断は正しい。むしろ此処で戦うと言った方が間違っている。だが女の子の方の表情は芳しく無かった。何処か不満げで、今にも大剣に手を伸ばしそうな雰囲気だった。
「私は……黒龍と戦う」
「はぁ!? マジで言っているのか?無理だ。いくらお前でも伝説の黒龍相手じゃ……」
女の子の進言に男性は驚いたように目を見開き、無理だと説き伏せようとした。しかし女の子は横に首を振るだけで、断固として男性の忠告を聞こうとはしなかった。
「避難勧告を出されたからと言って街の人がすぐに逃げ切れる訳じゃない……だから、時間を稼がないと」
何も女の子もミラボレアスを倒すつもりは無かった。ただ街の人が全員安全に逃げ切れる時間を稼ぎたい。それが彼女の本音だった。もちろん倒せるならばそれに超した事は無い。とにかく彼女は今此処でミラボレアスを食い止める事が最善策だと判断したのだ。
女の子はその場から歩き出し、遺跡が残っている場所へと向かい始めた。男性ハンターはその後を慌てて追う。
「お、おい! 本気なのか!?」
「頂上には遺跡がある……そこにはかつて古龍と戦う為の要塞があった……あの場所でならミラボレアスとも渡り合えるはず」
この山頂には遺跡が残っており、その場所には殆ど崩壊しているが要塞がある。そこにはバリスタや大砲も残っており、まだ活用出来る武器があった。それを上手く使えばミラボレアスを足止め出来ると女の子は判断したのだ。最も、彼女からすればそれらの武器はただの牽制に過ぎず、ミラボレアスの注意を引く為の役者でしか無い。彼女の本当の目的は自身が持つ大剣で奴の頭を叩き潰す事であった。
女の子が迷いもせず歩いて行くので男性も困ったように髪を掻いた。そして仕方が無いとでも言いたげにため息を吐き、女の子の隣に立った。
「ッ! ……分かった。だったら俺も付いて行く」
「……本気?無理しなくて良いんだよ」
「一番無理してるのはお前だろーが。平気さ。時間を稼ぐだけなら、何とかなる」
正直言って男の足は震えていた。だが彼も自分よりも小さな女の子を一人で強敵に向かわせる程メンタルが強く無かった。一応は長い付き合いの為、このまま見捨てる事は出来ない。幸い時間稼ぎの為、立ち回りさえ警戒すれば何とかなるはずだ、と男性は前向きに考えた。
男性の言葉を聞いて女の子は嬉しそうに頬を緩めた。そしてまたいつもの無表情に戻ると、二人で歩き出す。目指すは、決戦の地。運命の決まる場所。
◇
「どうしたの色欲?顔が白いよ?」
(それは元からだっつーの……)
漆黒の女の子に命令され、何故か少年は彼女と一緒に何処かへと向かっていた。森の中を歩き続け、いつの間にか壊れた柱や石像がある遺跡のような場所にまで連れて来られた。まるで決戦の地のようだ、と少年は何処か嫌な予感がしていた。
ふと前方を歩く漆黒の女の子を見る。背後のモンスターが居るというのに一切警戒心が無い。それだけ自分の事を信頼してくれているのか、それとも警戒しなくとも問題無いという自信の現れなのか……少年は複雑な気持ちになった。
本当なら付いて行かない事だって出来たのだ。飛んで逃げれば良い。地を這うしか無い人間達は空に手を届かせる事は出来ない。だというのに少年は漆黒の女の子に付いて来てしまった。彼女のいやらしい身体に釣られて。少年は自信のヘタレさを呪った。
(つーか、どこに向かってるんだよ?)
「ん?どうしたの?」
もちろん言葉が通じる訳が無い。少年が何か言いたげに口を動かしてそこから出るのは醜いうめき声だけで、それを聞いた漆黒の女の子は不思議そうに首を傾げながら可愛らしい仕草を見せるだけ。それをかれこれ数回は続けていた。
そしていよいよそれらしい場所まで連れて来られた。どうやら本当に自分達は遺跡がある場所に向かっているらしい。所々に壁が広がっており、槍や砲台らしき物がチラチラと見える。恐らく要塞があった場所なのだろうと少年は推測した。
そして入り口のような門の前に着くと、女の子は一度足を止めて少年の方に振り返った。
「さて、と……話だったね。実は君にお願いしたい事があるんだ」
(いや〜な予感)
改まった漆黒の女の子に対して少年は冷や汗を垂らした。先程のギルド職員の女の子の発言と言い、辺りの遺跡のような場所と言い……何より少年のモンスターとしての勘が先程から何かを訴えかけていた。危険。とにかく危険。この場所に居る事が危険だと語っていた。
少年が表情を曇らせる中、女の子は口を動かして恐ろしい言葉を放つ。
「一緒にミラボレアスと戦って欲しい」
漆黒の女の子の言葉を聞いた瞬間少年はダッシュで後ろへと逃げ出した。走りながら翼を動かし、跳躍して空へ逃げようとする。だがすぐに自身の足に違和感を感じた。殴られたのだ。剣で。刃の部分では無かったと言え、強烈な痛みに少年は思わず悲鳴を上げ、跳躍も出来ずに地面へと崩れ落ちた。
「はい逃げな〜い。全く、それでも男なの?あれ、フルフルに雄雌ってあったっけ?」
(ぐおおおぉぉぉ……こ、こいつ、また俺の脚をぉぉぉ……)
少年が脚の痛みに苦しむ中、漆黒の女の子は鞘に剣を収めながらため息を吐いて彼の事を罵った。
少年は恨めしそうに女の子の事を見上げる。すると鎧の隙間から見える彼女の綺麗な脚が見えた。こんな時でもそんな場所に目が行ってしまう自分が情けなくなり、少年は呻き声を上げる。
「良い?ギルドは私にミラボレアス討伐を命じた。もちろん、あいつ等は私が黒龍を倒す事なんて期待していない。あいつ等はただ時間を稼ぎたいだけ。自分達が逃げる為のね」
(だったらお前もそんな命令無視して逃げれば良いだろーが)
漆黒の女の子は自分に課せられた使命を説明する。対して少年はそんな使命知った事かと汚い言葉を発した。当然通じない。そもそも女の子がそんな命令を聞かなければ良いのだ。拒否権があるのかどうかは知らないが、ミラボレアスが相手なら逃げたって仕方が無いはずである。奴はそれだけ危険な存在なのだ。
「ただだからと言って私ものこのこ逃げるのはつまらない。何よりあの伝説の黒龍ミラボレアスと戦えるんだよ?ヤらない手は無いでしょ」
何故か漆黒の女の子は頬を赤らめながらそんな事を言い出した。何をヤるのかは知らないがとにかくミラボレアスと戦いたいのは本当らしい。相変わらず狂った奴だと思いながら少年はため息を吐いた。だが彼女にも幾つのかの問題があるらしい。少年の方に振り返り、ビシリと指を突き付ける。
「でもいくら私でもミラボレアス相手に一人は厳しい……という訳で色欲、君も一緒に戦って?」
(絶対断る)
言葉は通じないが動作だけでも分かるくらい少年は顔を歪めて咆哮を上げた。
何故彼女はキラキラと瞳を輝かせながらそんな事を言えるのだろうか?相手は伝説の黒龍。ゲームでは一撃死の技を使う上に、相当なパワーを持っている。それが現実に居るというのだから人間の手に負える訳が無い。ましてや自分はただのフルフル。下等生物である自分が伝説の古龍に挑むなど絶対に無理な話であった。
「もぉ、意気地なしだな〜」
少年の返答を聞いて不満げに目を細めながら漆黒の女の子はその場でクルクルと回った。何故回る必要がある、と少年は疑問に思ったが、意外と綺麗に回っていたので口出しが出来なかった。そして何かを閃いたように女の子が回るのを止めると、ニヤリと邪悪な笑みを浮かべて少年の事を見た。
「じゃぁさ、見返りがあればどう?」
(見返り〜?なんだよ、何かくれるのか?)
近づいてきながら漆黒の女の子は身体を寄せ付けるように尋ねて来る。その問いに少年も反応は悪く無く、何か報酬があるのなら、と好意的に首を頷かせた。すると漆黒の女の子は突然鎧の胸部分を外し、自身の胸を少年の身体に押し付けた。
「報酬は私のカラダ……だったらどう?」
(……ッ!!)
ちらつかせるように衣服を摘みながら女の子はそう行って来る。嫌でも見えてしまう胸の谷間に反応し、少年は慌てるように首を震わせた。その反応を見て女の子は悪戯が成功したのを喜ぶ子供のようにクスクスと笑った。
確かに少年に報酬を与えるというのばらこれ程効果がある物は無い。何より漆黒の女の子はいやらしい体つきをしており、少年の好みにもピッタリだった。一度味わった……というよりは味あわされたという表現の方が正しいが、あの快感は中々のものだった。少年は思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
(ぐっ……く……だ、だが相手はミラボレアス)
流石に少年も簡単には折れない。相手はラスボス級のミラボレアス。漆黒の女の子を好きなように出来ると言ってもそもそもは生き残らなければ報酬は貰えないのだ。流石に賭け過ぎる。デメリットの方が大きい。
そもそも漆黒の女の子には勝算があるのだろうか?確かに彼女は驚異的な身体能力とモンスター並みにヤバい感覚を持ち合わせている。だがだからと言って、神のような存在のミラボレアスに勝てるとは限らない。
そこでふと気がつく。別に勝たなくても良いのでは?要は生き残れば良い。ある程度戦って、漆黒の女の子がミラボレアスの実力を分かってくれれば彼女も諦めてくれるかも知れない。その隙に逃げればばっちし解決。報酬だって貰う事が出来る。
これは妙案なのでは、と楽観的な少年はそう考える。もしも失敗した場合の事など考えず、この作戦で行こうと彼は決めてしまった。
(分かった、乗ってやる)
「オッケー、って事だね。宜しく、色欲」
了承した証として少年は翼を突き出した。漆黒の女の子はそれをイエスだと受け取り、自身の手を上げて握手を交わした。もちろん手を掴んだ訳では無いが、二人は此処で協力の証を立てたのだ。
遂に始まる。人間とモンスターの共闘が。そして、絶望の始まりが。