フルフルに転生したので女の子にエロい事する 作: katate
長い美しい青髪と大剣が特徴の小柄な少女、“最強のハンター”と称される彼女はこの街では皆から尊敬されている歴戦のハンターであった。
そんなとうの本人はいささか天然な所があり、傷を負っても全然気にしなかったり、平気で無数のモンスターが住み着いている洞窟に向かったりと無鉄砲な面があった。ハンターという職業の為仕方が無い点もあるのだが、彼女と長い付き合いの受付嬢や仲間のハンター達などはその彼女の欠点をよく心配していた。
「……ふぅ」
そしてそんな彼女は、今日もまたお気に入りのフルフル装備を着込んで集会所へとやって来ていた。だがクエストを受ける気配は無く、彼女は長テープルの椅子に腰掛けると注文した飲み物を時折口にしながらため息を吐いてばかりだった。
彼女はここ最近ずっとこうだった。一応はクエストは受けるのだが前のように頻度は少なく、受けるクエストもそこまで難易度の高くない物ばかりだった。この変化に受付嬢は妙に思い、試しに一度尋ねてみたが彼女からそれらしい答えは帰って来なかった。
「おいおい、“最強のハンター”ともあろうお前さんが一体どうしたんだ?」
「……ん、ちょっとね」
ハンター仲間の一人の男性ハンターが片手に酒を持ちながらフルフル装備の子にそう尋ねた。最近は狩りも一緒に誘ってくれない為、男性ハンターも暇していたのだ。そんな訳で勇気を振り絞って尋ねてみた所、女の子は相変わらずため息を吐いて何か物思いにふける動作ばかりだった。それを不思議に思った男性ハンターは心当たりのある一つの質問をした。
「まさかお前、男が出来たって訳じゃないよな?」
それはフルフル装備の子に限って最も有り得ない質問であった。思わず周りで聞き耳を立てていたハンター達も吹き出し、カウンターに居た受付嬢も無い無いと手を振っていた。男性ハンターも何故自分がこんな質問をしてしまったのかと恥ずかしそうに頭を掻いていたが、質問をした以上、答えを聞かなければならない。しばらくそうやって待っていた男性ハンターだが、フルフル装備の子からは思わぬ答えが帰って来た。
「……そうだね。恋してるのかも知れないね」
「ハハハ、まさかな。そうだよな、お前に限ってそれは無い……って、ぇぇぇええええええッ!!?」
まさかの返答に酒を飲もうとしていた男性ハンターは吹き出し、持っていた瓶も床に落とした。周りに居たハンター達も叫び声を上げ、思わずフルフル装備の子の方を見やった。しかしとうの本人は相変わらず上の空で、周りの反応など気にせず飲み物をちびりちびりと口にしていた。
「お、お前それはマジなのか?本気で言ってるのか?お前に好きな男が出来たってお前それ……えぇぇぇ?」
男性ハンターは相変わらず信じられなさそうに顔を歪めさせてもう一度フルフル装備の子に尋ね返していた。周りのハンター達も首を振ったり叫び声を上げる者などが居た。
フルフル装備の子がこう思われるのも当然である。彼女は誰よりもハンターらしく、男よりも男らしい立派なハンターだからである。今まで色恋沙汰の話など一度も上がらず、ある男性ハンターが勇気を振り絞って告白しても自分にその気は無い、と一蹴される事件があった。それ以来、彼女は恋愛には興味は無い人なのだと周囲は思い込むようになっていたのだ。だがそんな女の子には最近気になる相手が居た。ただし、その相手は人間では無いのだが。
少し前、フルフル装備の子はババコンガに襲われるという事件があった。ティガレックスの狩猟の後に行われた事だった為、体力の限界が近かった彼女はババコンガに倒されるという屈辱を味わった。その際、突如現れたフルフルがババコンガを痺れさせ、女の子を救うという信じられない事が起こったのだ。
そのフルフルは特殊個体として“色欲のフルフル”と呼ばれており、フルフル装備の子もこのフルフルとは一度対決した事があった。その際はお互いに傷を負い、痛み分けという形で勝負はお預けとなった。そんな因縁の仲であるのにも関わらず、フルフルは女の子を襲う事なくババコンガを倒して救ったのだ。
この話をフルフル装備の子は一応ギルドに報告したのだが、そんな事は有り得ない。ただの偶然か、別の個体のフルフルだった、と一蹴されてしまった。結局フルフル装備の子はこの話を自分の胸の中にしまっておく事にし、少しずつあのフルフルの事を考えるようになっていたのだ。
(あれは間違いなく“色欲”だった。なのに私を助けた……どうして?モンスターが人を助けるなんて事があり得るの?)
テーブルの上に置いてある飲み物を眺めながら女の子は考え事をしていた。
あの日以来、考えるようになった色欲のフルフルについての事。奴は女の子を襲うという特殊な習性を持っていた。少なくとも出会えば必ず襲われる。自身は最初はそれを返り討ちにする事で防ぐ事が出来たが、二度目は明らかに向こうの意図で襲って来なかった。それが彼女には気がかりだった。
もう一度会って確かめたい。もしかしたらあのフルフルとは意思疎通が出来るのかも知れない。そう考えるようになったフルフル装備の子はいつしか色欲に対して不思議な感情を抱くようになっていた。自身の感情を表面に出すのを苦手としている彼女はその感情が何なのかよく理解出来なかったが、それでもフルフルにもう一度会いたいという気持ちだけは確かだった。
「う、ん。まぁ……そうだよな。お前さんも年頃だしそう言った話の一つや二つあっても不思議では無いな」
「……二つもあったら浮気になっちゃうよ?」
動揺していた男性ハンターは冷静になる為に一度咳払いし、そう言って気持ちを切り替えた。だが天然なフルフル装備の子はその二つという意味を複数の恋愛があるという風に思い込み、相変わらずの天然なツッコミをする。そう言った所はいつもの彼女の為、男性ハンターはほっと安堵の息を吐いた。
「そういえば、話は変わるんだがさっきギルド職員の連中が妙な話をしてたぜ?」
この話はもうこれ以上したくないのか、男性ハンターはそう言うと話題を切り替えた。フルフル装備の子が来る前にギルド職員が話していた話題をたまたま耳にした為、男性ハンターはそれを教える事にする。
「妙な話……?」
「ああ、森林の方でモンスター達が異常に発見されるようになったらしい。こりゃぁ何かあるぜ」
男性ハンターの話を聞くとフルフル装備の子は目を細めた。複数のモンスターが同時に発見される。それは普通では有り得ない事だった。モンスター達は縄張りを意識し、お互いのテリトリーには入らないようにする。その為、狩猟場は例外が無い限り必ず一匹しかモンスターは居ないのだ。にも関わらず森林で複数のモンスターが発見された。フルフル装備の子は自身のハンターとしての勘が何かを告げている事に気づいた。
色欲と言い、森林での異常現象と言い、最近は色々とお騒がせな事件が多い。珍しくフルフル装備の子は大きくため息を吐くと、目の前に置いてあった飲み物を一気に飲み干した。
◇
薄く霧が掛かった深い森で四人のハンターが歩いていた。空には暗い雲が覆っており、光は一切届かない。まるで闇の中のような暗い森の中で、ハンター達は依頼の目標である獲物達を探していた。
実は最近この森では頻繁にモンスターの目撃情報が出ており、ギルドはこの突然異常発生したモンスター達を一層する為に依頼を張り出したのだ。大規模になる事が予想されるクエストの為、まずは長年ハンターとして生活しているこの四人組が選ばれる事となった。経験豊富のハンター達の為、例えクエストが失敗しても森で何が起こっているのか、どれ程のモンスターが発生しているのかを確かめるのもギルドからの依頼であった。
ハンターの一人が武器を手にした。片手を上げ、仲間に合図を送る。それは近くにモンスターが居る無音のサインであった。仲間のハンター達もすぐにそれぞれの武器を構える。そして数秒後、何処からともなく地鳴りが聞こえて来た。
「……来たぞ!」
リーダー格であるハンターがそう叫び、全員は一斉に正面を見た。前方の霧の中からはドスランポスが現れ、突進するように向かって来る。リーダー格のハンターは構わず武器を振るったが、おかしな事にそのドスランポスはハンター達に構う事なくその間をすり抜けた。
ハンター達がこの不可解な現象に首を捻っている中、未だに地鳴りは続いていた。そこから更に様々なモンスターが霧の中から現れ、ドスファンゴ、ゲリョス、バサルモスなど様々なモンスターがハンター達を横切って行った。
いよいよこの現象が異常だと察したリーダー格のハンターは辺りを警戒し始める。このモンスター達はまるで何かから逃げるように走り去って行った。という事は、モンスター達が逃げる要因となった何かが近くにあるという事だった。
警戒心を最大まで強め、リーダー格のハンターを武器を強く握りしめる。その次の瞬間、今までの地鳴りとは比べ物にならないくらい大きく地面が揺れた。
「……ッ!? なんだ!?」
「地面が……揺れて……ッ!!」
まるで大砲でも打っているかのような耳に響く轟音。ハンターの一人が立っていられなくなる程地面が揺れ、次の瞬間、霧の中から巨大な龍の顔が現れた。何処からともなく現れた巨大な龍の顔にハンター達が悲鳴を上げる。かろうじてリーダー格のハンターは武器を構えて対峙したが、その行為はすぐに無駄だと分かった。
続けて現れたのは今まで見て来たどのモンスターとも比べ物にならないくらい大きい背中だった。どれだけの長さを誇る太刀や長槍でもとど来ない程巨大な背中。どんな武器をも通さなそうな固く赤々と尖っている無数の鱗。全てが規格外とも言えるその巨大なモンスターは、ハンター達の前で大きく唸り声を上げた。
「ラオシャンロン……ッ!!」
リーダー格のハンターはかろうじてそのモンスターの全貌を目にし、それが何者であるかを理解した。巨大龍と呼ばれるその名の通り規格外な大きさを誇る古龍、ラオシャンロンであった。
横切って行ったモンスター達は全てラオシャンロンから逃げる為に走っていたのだ。最近森の中で発見されるようになったモンスター達は、全てこれから逃げる為に森を駆けていたのだ。それを瞬時に理解したリーダー格のハンターはこれは自分達の手には負えないと判断し、仲間達をすぐに撤退させた。背後からは大きく唸り声を上げる巨大龍の姿がある。やがて、走り続けるハンター達の目にはその龍が霧の中に隠れて行くように映り、小さく安堵の息を吐いた。