人知れず行われたスパイへの制裁が終わってからしばらくの話である。強面で知られるとある女性将校が、実は面倒見のいい優しいお姉さんだという噂が軍の内部に広まっていた。
元はダブルスパイとしての工作で流した話が発端なのだが、その話には続きがある。
「ん! ふぅ!」
ある日、ブーツホルツという名の少年兵士は軍内のサークルが製作したイラストを眺めつつ自慰に耽る。描かれているのは両腕を組んでおっぱいをその上にのせたある女性将校の姿。卑猥ではないがその人物を好いているなら妄想が捗りそうな絵であろう。
しかもその人物をモデルにした卑猥な小説も読みながらである。
おちんちんを激しく擦る少年は、その思いのたけを絵と小説と妄想にぶつけていた。
「少佐……何でありましょうか?」
「ブーツホルツ……さすがにそれは風紀を乱しすぎているぞ?」
ブーツ少年は上官にあたる女性将校の姿に見とれていた。
軍服に覆われた憧れの肢体を脳内でひんむいて、彼女と夜の関係になりたいなとよだれを垂らす。
そんな姿に気付いた少佐は少年に歩み寄る。少年はそれに対して背筋を伸ばして敬礼したが、少佐が指摘した内容は少年には思いもしないことだった。
「その股間の張りはどうにかしろ。そんな姿でこれからある式典に出られたらかなわん」
式典とはこれから行われる、他国の要人への歓迎会である。互いに着ている軍服はそれに即したフォーマルな礼服なのだが、少佐は彼の着こなしにダメ出しした。
なぜなら彼の股間は張りつめていたからだ。式典中に勃起する衛兵など無礼すぎて仕方がない。
「申し訳ありません! すぐに処理してきます」
「この馬鹿者!」
ブーツ少年は少佐に謝ると、トイレ駆け込もうとする。彼女の許可次第トイレにこもり、一発抜いて静めようと考えたわけだ。
だが彼女はそれを許さない。頭を小突くと、彼の手を引いて物陰に隠れる。
「少佐、これは?」
「見ての通りフェラチオだ。こいつを静めないと仕事にならんだろう」
物陰に隠れると少佐はブーツ少年のズボンを下ろし、そのまま可憐な口で彼の一物を咥えこんだ。唾液に満ちて濡れている口内は手淫の比ではない。こんなことを憧れの人にされたら我慢できるはずもない。
「ん…臭うな。ちゅぱ…カウパーだけで…じゅる…ザーメン臭がとても濃い。ちゅ…昨夜のうちに性処理くらいしておかんか…んあ」
少佐は彼を叱責しながらフェラチオに集中した。
叱責されつつというシチュエーションとその口の動きは快感をもたらし、射精を我慢する少年のカウパーを溢れさせる。
発射こそ我慢できているがびくんと竿が脈打つ度に精液は漏れている。そしてその先走りを飲み込む彼女の顔と喉の動きは少年を勃起から離さない。
「こんなところでしたらマズイです。誰かが来たら問題になりますよ」
「それを言ったら…じゅ…貴様のこれのほうが…ちゅぱ…問題だ。さっさと抜いてやるから早くしろ」
「そう言われても射精せません」
「何故……いや、当然か。冷静に考えれば上官命令とは言え気持ちが伴わんか」
射精できないというブーツ少年の言葉に少佐は我に帰った。彼女も実のところ混乱していた。混乱していたからこそレイプ紛いな行動に陥っていた。
よく考えれば彼にも恋人くらいいるだろう。いくら上官とはいえやってはいけないことをしたと自己嫌悪に陥る。
フェラチオも中断してしょんぼりとした彼女の涙目に少年はときめく。本当は不敬すぎて我慢していただけで願ったりな彼女の行動であり、それを解いてからならと少年は勇気を出す。
「違います。自分ごときが少佐にしてもらうのが不敬だと思ったからの話です。ですから少佐さえよければ是非射精させてください」
「そ、そうか?」
「やはり少佐は噂通り優しい人ですね」
「あまり言うなよ。舐められたらそれはそれで困る」
「了解であります。ですが自分のことはこのまま舐めていただければ」
「図々しい奴だ」
そろそろ仕上げとばかりに少佐は裏筋を口のなかで上下に舐め、その後唇をすぼめてきゅっとおちんちんを刺激する。
まるで精液をすいとるようなバキュームと、彼女の許可が出たという心の枷の解除は彼の我慢を上回るのも無理ない。
込み上げる快感に身を任せ、だがあえぎ声は小声に止めながら少年は果てた。
「しょ…う…」
びゅくびゅくと脈動しながらブーツ少年のおちんちんは爆ぜる。ぷりぷりとした濃い精液がおちんちんから溢れるが、少佐は礼服を汚さぬようにそれを一滴も逃さない。
少年の股間は汗まで舐めとられてフェラチオ前よりもきれいなほどになる。すべてを飲み干した少佐は口元に一滴残った精液をハンカチでふくと、ブーツ少年のズボンを穿かせて身支度を整えた。
気持ちのいい射精、しかも憧れの人に抜いてもらった幸福感で少年は放心するが、それを怒らない彼女ではない。
「終わったぞブーツホルツ。ほら、シャキッとせんか」
「は、ハイ!」
少年はそのまま任務に戻る。
そして上記の小説を読みながら自慰をしていた現実のブーツホルツ少年はこの日最後の射精を迎え、大事なイラストを汚してしまったことに慌てながら飛び散った精液の処理に追われた。
「───という素人小説が出回っているそうだが、この少佐というのはもしや私のことか? というか書いたのはお前だろう、さっさと回収しろ」
少年がとある女性将校の噂から書かれた小説で自慰に耽った翌日、技術開発局の優しいお姉さんはその長を問い詰めていた。
これまで隠されてきたが、ついに当人に小説の存在がバレたからだ。卑猥小説のモデルがもしや自分かと思ったソフィアは、そしてそんなものを書くのは当然彼だとダイアンを問い詰める。
「そんなわけないじゃないですか。いくら小説とはいえ他人がソフィアさんとそんなことをする話を認めるわけありません。書くなら僕とソフィアさんのイチャイチャな性行為の日々を婚前交渉から結婚、子作り、そして臨終のときまで追った大長編にしますよ」
「あー言えばこー言う」
「ですから、回収には協力しましょう」
「……っと、本当か?」
「ええ。僕のソフィアさんを妄想とはいえ犯すとはとんだ失礼ですから」
「そ、そうか」
とりあえず件の小説を回収することを取りつけたソフィアはダイアンの部屋を去る。いくらなんでも自分はこんなにはしたなくないと頬を膨らませているが、そんな妄想を彼女を好いている男子たちはしているなど彼女は気づかない。
「レベッカ───」
ソフィアに約束したあと、ダイアンはレベッカにあることを命じた。その後確かに件の小説は回収されたが、ソフィアに知られないように彼女を密かに好いているサークルではこの禁書を伝え続ける。
そしてその小説の作者はダイアンの元に二度招かれたが、ダイアンが彼に何を依頼したのかはダイアンと彼のみが知る。