初めての安眠の余韻に浸り微睡んでいると甘いいい匂いがし、頭の下にやわらかくあたたかい感触がする。
何だろう?
いぶかしげに思っていると誰かが頭を撫でる。徐々に意識が覚醒し目を開けるとアルリアがウルに膝枕をし頭を撫でていた。引きちぎられたどれすは修復されて汚れていた体も綺麗になっており、出会った時と変わらない姿で微笑みながらこちらの顔を覗き込む様に見ていた
「君は何がしたいんだ?」
ウルは穏やかな気分になっており、アルリアに対するどす黒い感情は無くなっていた。だから先程のアルリアの行動を冷静に捉えることができた。あの負の感情はアルリアが仕組んだものだ、彼女は自分が犯されることが分かっていながらウルに細工をし、わざと挑発するようなセリフを言いウルの欲望を満たすため嫌がる演技をしたのだろう。しかし、そんなことをしても彼女にはメリットが無いはずだ。彼女の行動の意味が理解できずに尋ねる。
「その話は彼女が起きてからお話いたします」
アルリアはそう言うとウルから目を離し別の方向を見る。ウルもつられてそちらを見るとひとりの少女が横たわっていた。その少女はウルがよく知る人物で唯一母以外で心を開いた存在、そして自分を庇って死んだはずの少女、リリスがそこに居た。
「リリス!?」
「彼女はもうじき目を覚まします。それまでこのままでいてください」
慌てて駆け寄ろうとするがアルリアにそっと制止されまた膝枕をされる。ウルとしてはすぐに駆け寄って安否を確かめたかったのだがわからないことが多すぎ、アルリアに説明してもらうため今は従うことにした。
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「ここは?」
リリスは白い何もない空間に戸惑いながら自分の身に何があったか思い出そうとする。そしてまず初めに思い出したことは体が引き裂かれる嫌な感触、そして急激に薄れゆく意識だった。
「そっか、私死んじゃったんだ・・・こんなことなら好きですって伝えとけばよかった・・・・結局1回も抱いてもらえなかった、ウルさんに私の初めてあげたかったなぁ」
今更嘆いてもしょうがないと思い軽く頬をたたて気持ちを切り替える。これからどうしようかと辺りを見回して固まる、そばにふたりの人がいたひとりは初めて会う人で人間離れした美しさの女性だ、もう一人はよく知る人物、というか今さっき口に出した人物だ。
「あ、ああああのどこから聞いてました!?」
「最初からです」
女性の方が親切にも答えてくれる、なぜか少し嬉しそうなのは気のせいだろうか?
しかし、そんなこと気にしてる暇はない、なぜなら好きな人に意図せず告白してしまったからだ、それだけならまだいい、いや良くないが、それより重大なのは自分がこんいやらしい事を常に考えてた女だとカミングアウトしてしまったことだ。
「ああああの、違うんですさっきのはいやらしい事を考えてたとかではなくですね、言葉の綾と言いますか、あの、その」
顔を真っ赤にしながら手をブンブン振りさっきの言葉を否定しようとる。ウルも少し気まずそうに目を逸らしている。必死に弁解しようとしていたが、死んだはずの自分がウルと再会できる理由に気付き赤かった顔を青く染める。
「コホン、お二方とも言いたいことや聞きたいことは多々あるでしょうが、まずはお二方の状況を説明させてもらってもよろしいでしょうか?」
状況がよく呑み込めていないため素直に説明してもらうことにした。
「ではまずは自己紹介から、ウル様にはすでに名乗りましたがリリスさんにはまだですので、私はアルリア、あなた方の居た世界を管理する神です」
「かっ神様!?」
リリスが驚いた様な声を上げる
「はい、神と言ってもただ見ているだけの存在ですが・・・話がそれました、お二方の現状ですがご想像の通り死にました。本来なら死んだ者はここには来ず転生をするのですが、リリスさんはともかくウル様には少し問題があるのです、実はお二方が住む世界はもうすぐ滅んでしまうのです」
その言葉にリリスは慌てるが、ウルとしてはあんな世界滅んでしまえと思っているため特に気にしなっかた。
「それと俺の問題がどう関係するんだ」
「ウル様はその滅亡を止める救世主の役割を担っていたのです」
ウルはピクっと反応する。自分があの世界を滅亡から救う救世主?ありえない
「何かの間違いじゃないのか、仮にそうだったとしても俺にはあんな世界を救う気なんてないぞ」
リリスは何か言いたそうな顔をするが、ウルに対する世界の仕打ちを知っているだけに何も言ってこない。しかしアルリアは美しいものを見るような表情をする
「ウル様が世界を滅ぼしたいほど憎んでいるのは重々承知しています。ですか心の底ではすべての種族が1つになり共存できる世界を望んでもます」
ウルは一瞬アルリアが何を言っているのか分からかった、アルリアが的外れな事を言っているだけか、あるいは自分さえ気付いていない願望なのか・・・
少し考えるがすぐにそんなことはないと切り捨てる。
「で、俺にあの世界を救って来いとでも言うのか」
「はい、正確に言えば世界を救うか救わないかを見極めるためにあの世界へ戻ってほしいのです」
「戻ったところで俺の考えは変わらないぞ、第一そんなことをして俺に何の得があるんだ」
「世界を救う救わないに関わらずお受けしていただけたら報酬としてウル様の望む世界の創造や異世界に転移いたしましょう」
恐らく報酬としては破格なのだろう、それに戻るだけで結果はどちらでもいいと来たならばこの話乗ってもよいのではないか・・・
「分かった、約束を守ってくれるのなら受ける」
「もちろん約束は遵守します」
「なら俺のことはいいとして、リリスはなんでここに呼ばれたんだ?」
ウルはチラッとリリスのほうを見る、リリスは死んでからかなりの時間がたっているアルリアの話ならすでに転生しているはずだ。
「リリスさんはウル様のサポートをしていただくために呼び戻しました。ウル様は幼いころより負の感情を向けられてきたためそれらの感情に敏感になり、体にため込んでしまう様になっています。そんな状態では正しく判断できません。そこでため込んだ負の感情を放出するためには精を出す必要があります。そこでリリスさんにはそのお相手やこころの支えになっていただきたいのです」
「ふざけるな!!!」
ウルは怒声を上げる。見ると鬼のような形相で今にも襲い掛かりそうな勢いで殺気まで出している。
「つまりはリリスを俺の精処理の道具に使えってことか!」
「そういう捉え方もできます、しかし本人に取っても悪い話ではないはずです」
アルリアは殺気を向けられても平然とリリスの方を見る、リリスはどうしていいか分からず二人の顔を交互に見がやがて恥ずかしそうにしかしどこか嬉しそうな様子で小さくハイとつぶやく。
ウルはリリスの答えを聞き殺気を収める。
「リリスがそれでいいなら、かまわないが、それでも俺と一緒にいるのは危険だろ」
「心配いりません。ウル様とリリスさんには半神化と眷属契約をしていただきます」
半神化とは神でない者が神に等しい存在になることで、眷属契約とはふたつの存在をひとつの存在にまとめる契約らしい。
半神化は一気に神と等しい存在になるのではなく、時間をかけて変化していくものらしい。なんでも一気に神に近しくなれば存在の急激な拡大に耐え切れず自己崩壊を起こしてしまうからだそうだ。
眷属契約は主側が望めば眷属側の者を完全に吸収して力だけにすることもできる危険なもので、眷属側が主側に存在すべてを捧げる覚悟がなければ成立せず眷属側には様々な制約が科せられるが、性交によって主従ともに力を得られまたお互いの存在を感知できるなど恩恵も大きい。
初めはウルも危険だと思い反対していたがリリスの要望によりしぶしぶ契約を結ぶことにした。
「では、話もまとまったことですしお二方には契約をする前に性交をしていただきます」
そう言うと辺りの景色が切り替わる、白く何もない空間から小さな薄暗い部屋にふたりは立っていた。
部屋には何もなく大きなベッドと部屋を微かに照らす照明だけがあった。
「ウル様はリリスさんにどちらが主でどちらが眷属か分からせるように、リリスさんはウル様に全てを捧げる気持ちでのぞんでください」
姿は見えないがこちらの様子はわかるようでアルリアがアドバイスをしてくる。
「本当に後悔は無いんだな」
「はい、大丈夫です。だから来てください」
ウルが最後の確認をするとリリスはキスをすることで答えてきた。