※この作品はR-18です。

世界に絶望した救世主の救済方   作:ウル・ウルス

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情報

 

 霊峰アヴァザードを目指してアルバーニを出てしばらくしたところでリリスとシャルロットは食事の用意をしている。ウル達の食事の準備は彼女達の役割になっている。

 

「シャルお姉さん、これこれくらいでいいですか?」

「うん、そこに置いといてくれる」

「「は~い」」

 

 ウィラとウィズの二人は何もしないのは気が引ける様で食事の準備くらいは任せてもらえるように手伝いをしながら二人に料理を教わっている。

 

「そういえば君は食べるのかい?」

 

 シャルロットは少し離れたところで辺りを見張っているEX-01に声をかける。ウル達は半神化しているので食事をするのは精神衛生の為だ、後はウィラとウィズと一緒に食事をする為でもあるが。

 

「頂だいてもよろしいですか」

 

 EX-01は少し間をおいてから答える。少し間が開いた理由は警戒したというより自分が一緒に食事をしても良いのかという驚きの為といった感じだ。

 

「でも意外だね、人造とは言え天族だし食事は必要ないのかと思ったんだけど」

 

 シャルロットは量を一人分増やしながらつぶやく。一応聞いてみたが本当に食べるとは思ってなかったようだ。

 

「基本的には必要ないのですが現在核(コア)に組み込まれている魔力生成システムがほとんど作動していません、なので経口摂取による魔力補充が必要なのです」

 

 EX-01はお腹、ちょうど子宮がある位置を擦る。ここに核があるという事をウルに教えているのだろう。

 

「じゃあ、君は魔力で動いているのかい」

「はい」

 

 EX-01の中ではマスターと認識しているのはウルだけだが他の皆も自分より上の存在だと認識しているらしくシャルロットの質問にも素直に答える。

 それからもシャルロットは持ち前のフレンドリーさでEX-01に話しかけ続けているがウルの重要な情報は一切話さないようにしている、やはりそういったさじ加減はシャルロットの得意分野らしい。逆に彼女は自分の弱点や他の人工天族の情報などを惜しみなく公開している。そうする事で自分に逆らう意思が無い事を示そうとしているのだ。

 他の人造天族の個体番号はEX-04とEX-12で能力値は04が30000で12の方が42000らしい。二体が敵対することになったらEX-04は恐く大丈夫だろうがEX-12の方は普通に戦えばもしなりふり構わずにやったとしても勝てる可能性は低いだろう、しかし相手がEX-01と同じ状況だったのなら問題無いと思うができる限り対策しておくに越した事は無い。

 ウルはさりげなく自分の眷属達(仲間)を見る。本来なら能力値を上げるために彼女達(仲間)を使うような事はしたくないのだが仲間にも危害が及ぶ可能性が有る事を野放しにすることもできない。

 

「構いませんよ、私達はウル様の役に立てる事が何より幸せなのですから」

 

 ウルが悩んでいると眷属達を代表してアルリアが言う。すると他の皆も当然だと言わんばかりに大きく頷く。

 

「ウルの兄さん私達もお手伝いできませんか」

 

 するとすかさずウィラとウィズが自分達も抱いてくれないかと頼んでくる。が、前にも言った通りウルが二人を助けているのはただの自己満足なのでそれに付け込む様に二人を抱く気はない。そのことをもう一度言うと二人は年に見合わない真剣な目をする。

 

「もしウルお兄さんが私達を助けたのが自己満足でも私達を助けてくれていることには変わりません!私達はウルお兄さんに守るだけの存在だけでなく仲間だと認めて欲しいんです!」

「だとしてなんでそれが俺に抱かれることになるんだ?」

「え?」

「え?」

 

 ウルはその言葉にボタンを掛け違えた様な違和感を感じる。

 

「なあ、二人は何をもって俺が仲間だと認めたことになると思っているんだ?」

「えっと、ウルお兄さんに身も心も全て捧げる事じゃないんですか?」

 

 ウルはようやく二人の誤解に気が付く。確かにウルが仲間と認めたものは全員眷属の契約を結び肉体関係を持っているのでウルが仲間てもらうためにはそれらをこなす必要があると誤解されるかもしれないがウルが仲間だと認める者の定義はウルが心を開く事ができた者の事をだけ指す。眷属契約も肉体関係を持つのもウルに全てを捧げる覚悟が無ければ心を開くことが難しいのでその覚悟の証として結んでいるだけで特別重要な事ではない。リリスがそのいい例だろう。リリスは眷属契約も肉体関係も持っていない時から仲間だと思っていた。そう意味ではウィラとウィズは完全に仲間だと思っていないが限りなく仲間に近い位置にいる。

 そのことを二人に伝えるとウィラは顔を赤くするだけだがウィズはまだ納得できていないようだ。

 

「私はウルお兄さんに仲間だと認めてほしいのも有りますがこんなに良くしてくれてるウルお兄さんに恩返しがしたいです。でも戦いで役に立たない弱い私にできる事なんて体を差し出す事しかできないと思うんです!」

 

 ウィズは少し前までリリスが陥っていた悩みに似た事を考えていたようだ。ウルの気遣いがかえってウィズを苦しめていたらしい。だからウルも一方的に却下せず真剣に考え答えを出す。その答えとは二人がウルと性交しても問題ない体になった時にまだウルにすべてを捧げ抱いて貰いたいと思っていたらその時は正式に契約を結ぶという内容だった。二人はウルの譲歩に頷き頭をさげる。

 そんな話をしている間に料理ができ辺りの見回りに行っていたEX-01も戻って来る。

 皆が食事を始めてもEX—01は料理に手を付けない。

 

「えーと、EX-01さんでいいですか?EXー01さんは食べないんですか?」

「呼びにくいようでしたらお好きな呼び方でお呼びください。それから私に敬称は不要です」

「えっ!私が決めていいんですか!?」

 

 そう言いながらウルの方を見る、ウルはEX-01と関係を深く持つ事を避けているのでそうしていいのかという確認なのだろうがウルはそれくらいなら別にいいぞと頷く。

 

「うーんと、じゃあイーなんてどうかな?」

 

 01という番号の意味から取っただけの簡易な名前だがそれくらいがちょうどいいのかもしれない。

 

「個体名変更以後私の事はイーとお呼びください」  

「じゃあイーちゃんはどうして食べないのですか?」

 

 リリスはシャルロットのフレンドリーさが若干移ったのかイーの事をちゃん付けで呼ぶ。

 

「僕(しもべ)が主と共に食事をするなどあってはならない事です」

 

 イーはとんでもない事を当たり前の事の様に言う。皆が呆気にとられる中ウルだけが別の角度からその言葉を捉えていた。

 

「それはお前が創られた時代の常識なのか」

「はい、そう教えられました」

「じゃあさっき俺達から少し離れて歩いていたのも」

「僕は主の影を踏む非礼が無いように少し離れて歩くのが正しいと教えられています」

 

 イーはこれもごく当たり前の事の様に言う。ウルはアルリアを見る。するとアルリアはフルフルと首を振る。

 

「そうか」

 

 ウルは感情の籠っていない声色で呟く、普通ならもちろんウルの事を知っているはずの眷属達でもそこに込められた感情を読み取れないが眷属の中でも最もウルの事をよく知っているリリスだけが唯一その感情の正体に気付き驚きの表情を見せる。

 その後は特にこれといった変化はなくいつも通りお喋りをしたりしながら食事をする。しかしイーはウル達が食事を終えるまで自分の料理には手を付けようとしなかった。それに対してウルは口出しすることなくイーの好きにさせる。

 食事が終わるとまた霊峰アヴァザードを目指して歩みを進める。相変わらずイーはウル達から少し離れた位置で付いてくる。

 

 道中シャルロットに目的地の事を更に詳しく説明してもらう。霊峰アヴァザードはこの人族が住んでいる大陸を創り出したとされる二つある火山の1つで山の回りを山脈が囲んでおりその山脈を越えた所からアヴァザードまでの範囲を禁域と呼び人族が確認できているのはこの禁域の入り口までらしい、だから禁域全体やアヴァザードのことは全くといっていいほど情報がないらしい。シャルロットはここまで話して申し訳なさそうな顔をする。

 

「アヴァザードを越えるのには二つの道があります」

 

 シャルロットが困っているとジブルが口を開く。

 

「ジブルさんは知っているんですか?」

「実際に行ったことはありませんが」

 

 そう前置きしながらジブルが説明を引き継ぐ。

 

「先程言った通りアヴァザードを越えるのには二つの道があります。1つは山の表面を普通に登って山を越える道、もう1つは山の中に続いている洞窟を通って山を抜ける道、どちらを通ってを一筋縄にはいきませんが」

 

 山を登って越える道は1m先も見えないような猛烈な吹雪が吹き荒れるらしい、それだけなら大した問題ではないのだが竜の群れが生息しているらしい。

 竜、その言葉を聞いたリリスとシャルロットは顔を青ざめさせる。

 

「竜はそんなにまずいのか?」

「・・・・あぁ、竜は高位化している者を除けば地上最強と言ってもいい分類に入る程強大な力を持っている。さらに知能が高く縄張り意識が強いため自分のテリトリーに無断で入った者は自分より強かろうがお構い無しに襲い掛かってくる」

 

 竜は天災、ただ過ぎ去るのを祈ることしかできない。そう言われる程危険なモノらしい。

 ならば山の中から行く道はどうなのかと聞いてみると、こちらの道は山を登るよりは安全だが、灼熱のマグマが流れ天然の迷路になっているため時間がかかると思われる。それに登る道より安全と言ってもそれなりに強い魔獸が生息しているらしい。

 

「ハッキリと言いますと、禁域は今のままでも抜けられると思います。しかしアヴァザードは厳しいでしょう」

 

 ウルなら問題なく抜けられる、ジブルも入念に準備すればなんとかいける、しかしシャルロットとリリスは

不可能だ。だからウルが二人を護りながら進まなければならない、そうするとウルでも厳しくなる。

 

「ですから私達の身を守るためにも主様の寵愛を頂きたいのです」

 

 ジブルはイーに聞こえないように、聞こえたとしても分からないようにあえて寵愛と言う言葉を使う。その言葉を聞いてウルの中の罪悪感が少し薄れる。

 

「すまないな」

「何がでしょう」

 

 ジブルの気遣いに礼を言うと何てこと無いように返される。

 

「そうと決まれば今日から皆に寵愛を下さい」

 

 リリスもジブルの言葉に乗っかる感じで言ってくる。

 

「だが、アイツに部屋の事を知られたくない」

「それについては私に考えがあります」

 

 ウルはイーの方を見ながら言うとアルリアが耳打ちしてくる。

 

「いいのか?」

「はい」

 

 アルリアが言った内容に驚きなながらもウルはそれを受け入れる。

 その後は魔獸に襲われることなく順調に進み日が暮れたところで夕食にする。イーはまたウル達が食事が終わるまで料理に手をつけない。

 

「少しよろしいですか」

 

 イーが食事を終えたところでアルリアがイーに話しかける。イーが頷くとアルリアはイーを連れてウル達から離れていく。

 

「ウル本当にするの?」

 

 二人が完全に見えなくなったところで先程アルリアの提案を聞いたシャルロットがソワソワと落ち着かない様子で確認してくる。

 

「いいじゃないですか、せっかくの機会ですから皆でウルさんに愛してもらいましょう」

「そうです」

 

 二人に促されてシャルロットは覚悟を決める。そしてウル達4人は一緒に部屋に戻る。

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