ウルは気を失ったアルリアを自分がやられた様に膝枕をして頭を撫でてやる。アルリアの髪はサラサラとしていてとても触り心地が良く撫でるたびに甘い香りがする。
「気に入っていただけましたか」
夢中になって頭を撫でていると目を覚ましたアルリアが話しかけてきた。普通なら精神が壊れる程の責めを受けても数分間しか気絶せず、目覚めた後も平然としている。ウルは目の前の存在が神なんだと初めて実感を持った。
「ご主人様、先程ははしたない姿をお見せして申し訳ありません」
アルリアは床に正座して頭を下げてくる。
「いやこっちこそごめん、やり過ぎた」
やはり衝動が抑えられずやり過ぎてしまう。ウルとしてはアルリアはすでに信頼できる存在になっており、そのためリリスの時と同様に嫌悪感が込みあがってくる。
「大丈夫です、ご主人様にされると嫌じゃありませんから」
こちらを励ますためか嬉しい事を言ってくる。まあ、表情からしてほとんど本心なのだろうが。
アルリアは指を鳴らし着替えを済ませリリスの居る部屋に転移するとリリスはすでに起きており、目には涙を浮かべていた。リリスはウル達に気付くとそのまま飛びついてきた。
「ご主人様、どこに行ってたんですか、私もう会えないかと思って」
再会できたと思ったらすぐに目の前から消えてしまい不安になったのだろう。ウルはごめんと何度も謝りながらリリスを泣き止むまで抱きしめ頭を撫でてやる。しばらく泣いたことで落ち着いた様でウルから離れ、ウルとアルリアを交互に見る。
「私が寝てる間何をしてたんですか?」
ふたりの雰囲気が違うことに気付きジト目で聞いてくる。ウルは話すべきか迷ったが、隠し事をするのもよくないと思い正直に話す。話を聞いたリリスは拗ねたそれはもうとてつもなく拗ねた。
「それじゃあ私の存在意義が無くなっちゃうじゃないですか、それに相手が神様だと勝てるわけがないです」
「大丈夫です、ご主人様は二人ともかわいがってくれますよ。それに私ひとり増えたくらいで落ち込んでいたらこの先持ちません、これからウル様の周りには女が増えます雌は強い雄に惹かれるものです。私を雌にするほど強いご主人様の周りに雌が集まらないわけないですから」
「俺の周りに人集まることはない」
「いえ、必ず集まりますこれだけは断言できます」
ウルは例え自分の周りに人が集まってもむしろ鬱陶しいくらいにしか思っておらずまた興味もなかったため軽く聞き流すだけにした。
「それと、ご主人様って呼ぶのやめてくれないか、今まで通り普通にしてくれていいから」
ウルはふたりのことを大切に思い自分だけのモノにしたいと思っているが、別にご主人様になりたいわけではない。
「分かりました、ではウル様私のことはアルとお呼びください」
「私もリリって呼んでください」
ふたりも理解しているようですぐ頷いてくれる。
「では今後の話をしましょうか。まず、リリだけでウル様の相手をするのは難しいと思います、そこで私も同行してよろしいでしょうか?」
ウルとしてはもともとそのつもりだったため素直に頷く。ただしサポートに徹して付き添いとして同行することになった。なんでもアルリアの力に頼っていてはウルが世界を救うか救わないかの選択ができなくなるとリリスとアルリアに言われためだ。その後はアルリアが眷属契約の説明する。。
「先程おふたりに説明したように眷属契約は眷属側が主側に全てを捧げる覚悟、主側は眷属側の全てを受け入れる覚悟がいります。眷属契約は契約の際口づけをする必要があり、存在を無理矢理主に組み込むため眷属側には激しい苦痛が伴いますが契約が完了するまで唇を離してはいけません。離した場合失敗となり最初からやり直す必要がります。また私のように眷属側が主側より存在が大きいと契約することができません」
アルリアの説明が終わると早速リリスと契約の儀式を始める。
『リリス、汝は眷属として命ある限り我の傍に侍ると誓うか』
『誓います』
ウルは頭の中に湧いてきた言葉を口にする。それに対しリリスは心から嬉しそうで従順そうな笑顔で答える。リリスの誓約を聞いてウルは深く頷いてから口づけを行う。舌をリリスの口内に差し入れリリスの舌を探す。舌先にやわらかい感触がする。見つけた。舌を絡ませる。リリスもそれに応えるように絡ませ返してくる。何度も何度も舌を絡ませ、絡まされぴちゃぴちゃと睦み合う音が聞こえる。そしてリリスの存在を感じる。
「────────!?」
リリスが苦悶のうめきを上げ唇を離してしまう。
「すみません、大丈夫です続けてください。ちょっとびっくりしただけです、次は我慢しますから」
はたから見ても大丈夫そうではない、明らかな強がりだがあえて気づかないふりをする。リリスの体を抱きしめ手を握ってやると強く握り返してくる。もう一度口づけをする。
「あ、あああああああっ!、くぐ、うぐ」
ウルの手を握りつぶすほど強く、血が出るほど深く爪を立て握りしめる。しかし唇だけはは離そうとしない。やがてリリスの手の甲には魔法陣ような、首には首輪のような文様が浮かび上がる。おそらくそれが完全に刻まれたら契約成立なのだろう。リリスを強く抱きしめ離さないようにする。そしてリリスの存在を受け入れるように意識する。はっきりと刻印が刻まれるとリリスは力を抜き唇を名残惜しそうに離す、その体は汗で濡れていおり、まだ苦しそうにしている。ウルはもう一度強く抱きしめよく頑張ったと頭を撫でてやると気持ちよさそうに目を細める。
リリスとの契約が終わると次はアルリアだ、しかしアルリアとは存在の大きさが違うため眷属契約は結べない。そこでふたりに契約した時と同じ効果がある状態にして疑似的な眷属契約を結ぶことにした。手早く契約を済ませるとアルリアは自分の代理人を作り始めた。神の代理人だけあってすぐには作れないらしいのでその時間はたわいもないおしゃべりに興じた。
「そういえば、俺の心の支えならどうして母様がいないんだ?」
リリスは確かにウルが心を開いた相手だが理解者と言うには一緒にいた時間が短すぎた。普通に考えたらリリスではなく母を蘇らすはずだ。もっともリリスではなく母がいいというわけではないのだが。
「ウル様のお母様は殺された際、魂を奪われてしまっているのです。ですから魂を取り戻さないと蘇らすことはできません」
神といえど魂が無ければその人を蘇らすことはできない。もちろん嗜好や性格見た目がまったく一緒の者を作ることはできるがそれはあくまで他人でしかない。ウルは母親の魂を見つけるまではあの世界に留まらざるを得ない。
「ですから、ウル様にはその間に世界を知って答えを決めてほしいのです」
「私からもお願いします」
リリスとアルリアふたりに言われ渋々頷き少し真剣に考えることにする。
アルリアの代理人ができると次はウルとリリスの半神化をする。こちらはアルリアがふたりに手を掲げただけで終わる。
最後にウルの認識をずらしウル・ラグナルだと他の人に気づかないようにする。
「では、準備が整いましたので下界に転移します、おふたり共私に掴まってください」
アルリアに言われて掴まると視界が暗転し耳元で何かが割れる様な甲高い音がする。視界が回復するとそこはもう白い空間ではなく、ウル達が居た世界になっていた。
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「ではこれよりウル様にこの世界の知識を教授させていただきます」
人と関わってこなかったためこの世界の知識が無いウルにリリスとアルリアが色々明してくれることにななった。アルリアは張り切りすぎて机や黒板を作り、スーツ姿に伊達眼鏡を掛けている。
まずこの世界は人族、森族、魔族、天族の4つの種族とそれらに属さない魔獣によって成り立っている。人族は人数が多く他の種族の数十倍で,現在は魔族の侵略を受けている。森族は一般的にはエルフと呼ばれ魔法を得意とする種族で基本的には中立の立場をとっている。魔族は多くの部族から成り立っており数年前に新たな魔王が誕生してからは人族の領地に侵略し天族と戦争を始た。天族は最も人数が少ない種族で翼を持っていて、見た目が天使に見えることから有翼種、神族などとも呼ばれていて実際神の様に崇める者もおり、また天族も自分たちのことを神だと思っているため他の種族を見下す傾向にあるそうだ。それでもアルリア曰く誤差の範囲ではあるが自分に最も近い種族らしい。
「次はこの世界のこの世界では強さは〈ステータス〉で表され、〈ステータス〉は〈能力値〉と〈スキル〉の2つからなっており能力値はその者の純粋な強さを表します。基本的には能力値で勝っていれば負けることは殆ど無いです。ですが〈スキル〉は特殊効果や作用を齎すものがあり、一時的な能力値の上昇などの効果のあるスキルもあるので絶対とは言えませんが」
「他人のステータスを知るには鑑定の魔法か鑑定用のマジックアイテムが必要になりますが、自分のステータスは念じれば知ることができます」
リリスに言われて試しに確認してみる。
ウル・ラグナル
〈能力値〉3900
〈スキル〉
〈
・眷属のステータスが上乗せされる
・眷属と性交することによってステータスが上がる
〈神眼〉
視界内の生物のステータスを知ることができる
〈偽造〉
自身のステータスを偽ることができる
〈強制支配〉
〈ステータス〉が自身より低い者を相手の同意なしで奴隷契約を結ぶことができる
〈隠蔽〉
自身の存在を他者に気付かれなくする
〈種族〉半神
「なあアルリアこれって普通なのか?」
「いえウル様は特別です」
基準が分からないため聞いてみると人族の成人男性の平均能力値は250ほどで戦士でも400らしい。能力値は上げることもできるが人族は伸びが悪く一般人なら生まれた時の数値から+50ほどで、どれだけ頑張っても2倍、他の種族ですら特殊な方法を除くと3倍が限界だそうだがウルは生まれた時の数値から6倍以上上がっていたらしい。現在は半神化しているリリスも限界なく上げることができるが、本来半神ではない状態ではではありえないらしい。それはリリスの驚いた表情からも理解できる。
「ウル様はこの世界の法則から少しずれています。だからこそ私が興味を持ったのです」
アルリアはお気に入りのおもちゃを自慢するように言う。
その後もアルリアが説明しリリスが補足を入れて教えてくれるためスムーズに理解できる。
「では、最後に魔法と魔術の説明をさせていただきます。魔法には決められた詠唱文がありその通り詠唱しないと発動できません、更に詠唱したからと言って誰でも使えるわけではなく魔法を発動できるだけの魔力と魔力コントロールが必要になります」
「魔法を使える人は少なくて使えるだけで優遇され高い地位に就くことができるんです」
リリスは魔法は使えないが魔術なら少し使えるそうだ。魔術は魔法と違い決められた文言が無い代わりに魔法に比べると効果も弱いが詠唱が短くて済み、魔法は決まった効果しか得られないが魔術は文言を変えることで術の性質を変えることができる為、魔法より臨機応変につかえる。
確かに討伐軍の中には炎や水を操る者がいた、あれが魔法や魔術なのだろう。
「アル、俺は魔法が使えるのか?」
今まで魔法や魔術など使ったことが無いため自分が使えるか分からないウルはアルリアに聞いてみる。
「ウル様は無詠唱魔法が使えます」
「無詠唱魔法!?」
無詠唱魔法、言葉通り詠唱が無い魔法なのだろう。しかしリリスの驚きようからしてこれも普通じゃなさそうだ。
「魔法は本来効果が強いほど文言も長くなり儀式や魔法陣に術式を組み込むことで詠唱を簡略化することもできますが最低でも一言唱える必要があります。なので無詠唱魔法はありえません」
しかもウルの無詠唱魔法は詠唱が無いだけではなくイメージによって魔術の様に応用することができるらし。
ウルは試しに火の玉をイメージしてみる。
ドオオオオォォォォォォォンンンッッ
爆音がし目の前に直径100mほどのクレーターができる。
「ウル様は今まで無意識に魔法を使っていました、だから魔力の量も多いのですが意識的に使ったのは初めてなのでうまくコントロールできないのです」
アルリアはこちらが聞きたいことを先に教えてくれる。
「ウルさんこれ使てたら死なずに済んだんじゃ・・・」
リリスは驚きすぎてかえって冷静になっている。ウルは別にこの世界で生にしがみつくつもりはなかったが、だからと言って相手の思い通りなるのが気に食わなかっただけなのだが。
「魔法のコントロールは言葉で説明するより実際に使って覚えた方がいいです。夕食の準備も兼ねて魔獣を狩りましょう」
アルリアに言われて辺りを見回すと日は殆どおちておりすでに暗くなり始めていた。リリスもそれに賛成する。
アルリアとリリスはウルにアドバイスするだけで基本離れたころに待機し狩りはウルひとりでやることになった。しばらくすると大きなクマのような魔獣に現れた。ウルは今度はもっと小さな火球をイメージするがやはり少し小さくなっただけで魔獣を吹き飛ばしてしまう
「魔力の量が多すぎます火球を小さくしようとするのではなく注ぐ力を少なくするイメージでやってみてください」
もう一度やってみると確かに自分がイメージした大きさにだいぶ近づいた。だがまだ慣れていないため一回、一回大きさがことなる。しかし何度も繰り返すうちにイメージと同じ大きさに安定してできるようになった。
狩った魔獣をそのまま焼く。意外と味が濃く味付け無しでも十分たべれた。
「なあ、俺たち半神化してるだろ、何か食べる必要有るのか」
神に近付くのなら物を食べる必要はなさそうだが。
「確かになくても生きていけますが、おふたりは元々人間体がそのようにできているためあるに越したことはありません」
そういうものかと納得する。その後は食事に専念する。さすがに一頭丸々食べることはできず余った部分はアルリアが食材保管用の空間を作ってそこに入れておいた。腹もいっぱいになったところで今後について話し合う。
「まずウル様は魔法にもっとなれるために魔獣と戦い、リリは今のままウル様の傍に居るのは危険なので性交によるステータス強化に専念してください」
リリスのステータスを見てみると120ほどしかなくウルと一緒に居るのは危険だ。リリスは性交と聞いて嬉しそうな、恥ずかしそうな顔をしている。
「おふたりが万全の状態になったら近くの街のギルドに行き資金を得て必要なものを買いましょう」
「ギルド、たまに聞いたが何なんだ?」
商人の護衛や討伐に来た奴らがたまに名乗っていたのを思い出す。
「ギルドとは国に所属せず個人で魔獣の討伐や賞金首を捕まえるなどの依頼をこなす者が所属する組織です」
ギルドは所属していなくても魔獣の耳を持っていくとそれに対応した賞金が貰えるそうだ。ウルの訓練のついでに魔獣の耳を集めそれをギルドで買い取ってもらいその資金で必要なものを買うつもりらしい。
ウルは人の多い街などには行かずアルリアに作ってもらえばいいと考えたが、ウルが人と関わらないと意味が無いとふたりに言われ諦める。
「今後の予定も決まったことですしその・・・」
「今日は何もせずに休みましょう。まだ体が半神化に馴染んでませんので」
リリスが言い終わる前にアルリアが釘をさす。リリスはお預けを食らい残念そうにするが、アルリアが止めるので反対はしない。3人はアルリアの作った空間に戻り眠りにつく。