一応鼎のICVも艦コレに沿って種田さんなので、再起が待たれるところです。
でも艦コレの足柄って少し髪の色が茶色でしたっけ?
ここでの足柄は黒ってことになってますが。
炎龍退場に向かう最中、高機動車を運転するのは伊丹か鼎だ。幼馴染みや父親が自動車などという訳の分からないものを操作する矛盾は、テュカが受けなければならない。
激しい頭痛を訴えるテュカをレレイの魔法で眠らせてもらうから、炎龍に関する話も出来る。
「雨が降ってなけりゃ、天蓋を開けたんですがね」
そう言うのは鼎だ。採光の意味もあるのだが、既に炎龍のテリトリー。襲撃をいち早く知る為でもある。
「炎龍は一度餌場を決めたら、その場所で餌を食い尽くすまで放れない」というヤオの言葉に安堵しつつも(鼎的には)貴重なダークエルフが減っていく事実に焦りを覚えた。
ヤオがこれほどの美女だ。男もさぞかしイケメン集団だろう。……そんな思考が鼎の脳内には確実に存在する。
ヤオが通って来た道を逆に辿ると、物の見事にジグザグ……右往左往していて、時折戻っているとしか思えないような時もある。
緑の人の噂を辿って町や村を尋ね歩けば、どうしたって道のりは曲りくねる。ヤオは1ヵ月程度でアルヌスに来たと言うが、もしかしたら短い部類なのかも知れない。
「ヤオ。ドラゴンが出るのはシュワルツの森なんだな?」
地図を手に伊丹が聞くと、ヤオや首を振って伊丹が指し示した範囲を含む、もっと大きな範囲を指で円を描き示した。
「厳密に言うならばシュワルツの森を含む、南部地域全域だ」
「こんな広いのか?」
「炎龍を探すなら、シュワルツの森から南に出たロルドム渓谷に行けばいい。アシガラ殿にも説明したが炎龍は餌が取れなくなるまで、同じ餌場を漁る性質があるからな。待ち伏せが可能だぞ」
ロルドム渓谷にはヤオの一族が隠れ住んでいる。
「俺達の目的は、テュカに仇を討たせることであって、お前の仲間を救うことではないんだがな」
「だが、炎龍の巣を知っている者がいるぞ」
ヤオの言葉に言い分を認め、伊丹はロルドム渓谷へ向かうことにしたのである。その時、鼎は口を開いた。
「あぁ、二尉ちゃん。巣ごと炎龍をブッ飛ばす予定かも知れないけど、C4無駄になっちゃったらゴメンね」
鼎の言っている意味が「一応」ながら理解できる伊丹は、頼もしいやら恐ろしいやら……固めた自分の覚悟が無駄になる気もして、複雑な心境であった。
* * * *
伊丹らを乗せた高機動車がアルヌスの住民達から見送りを受けて行ったあとの事だ。伊丹達を見送った住民達は元居た場所に戻っていく。ドワーフの大工なら土建の現場に、PXの売り子ならPXに、料理人や給仕なら食堂にといった感じに………。
柳田は伊丹のせいで増えてしまった仕事をボヤきながらも、「戦略資源確保」を散々催促したのも自分である。まさか任務を放棄するとは思わなかったが、尻ぬぐいをしてやらねばならない。
先ずは伊丹の直属の上官である桧垣三等陸佐に伊丹がしでかしたことを説明して、書類の差し替えを進言する。あの伊丹の直属の上官だ。苦虫を噛み潰したような表情が説明を聞いて更に苦くなった。
戦略資源の探索は、本省から矢のような催促が来ている。日本を取り巻く周辺状況は日に日に厳しさを増している。アメリカ、EUにロシア、そして中国が特地に足を踏み入れるのも、そう遠い先のことではない。今の内に資源の正確な情報を把握することで事の緊急性はクリアできた。
「はいはい、お次は、と」
柳田の仕事はまだまだ続く。走るようにしてやってきたのは陸上自衛隊特地方面派遣部本部・作戦幕僚部。『情報』を一手に担う第二科執務室。
二科の構成員は基本的に制服組の自衛官だが、この特地においては背広組を含んだ情報本部の要員や公安調査庁、外務省、警察の公安から出向してきた者もいる。
それぞれが得意とする分野で情報を集め、情報の分析と評価、そして方針の策定に携わっている。これを統御することが二科長であある今津一等陸佐の役目だ。
「今津科長。書類に判子をお願いします」
柳田は桧垣の判子が押された
今津は書類を斜め読みして判子を押すと、似非関西弁で柳田に注文を付けてきた。曰く、今回のようなことを偵察隊で続けられないか……ということだ。要は偵察隊の幹部自衛官に信頼できる現地人3~4人付けて、今回のように資源調査に向かわせられないかという相談だ。
そういえば、第三偵察隊に余剰人員の上級陸曹がいた筈だ。三偵から引っこ抜いて暇していたが、適当な理由で昇任させて資源調査に行かせるのも良い。まぁ決めるのは上ではあるが、先ず今津に進言してみるのも良い。
国旗降納した後も、柳田の仕事はまだ終えることはできない。
特地の自衛隊で一番偉い人に、説明して判子を貰わなくてはならない大仕事をしなければならないからだ。
この時、既にアルヌスの診療所に移送され、素性を隠し続けてきたデュランが身分を明かした後である。
柳田は、狭間陸将の他、第一、第二、第三、第四、第五、第六戦闘団の団長と、空自から来ている四人のパイロットがいる司令官執務室で「俺、何かやったか?」なぞと思いながら汗びっしょりで狭間への報告をしなければならなかったのである、
* * * *
アルヌスを出発してから日が明たある時、鼎は思い出したように声を上げた。
「大事なこと忘れてたよ。ロゥリィ」
何があったのか返事するロゥリィだが、それは炎龍との戦闘と少なからず関わりのあるものだった。
「十年以上、疫病神が憑いてるから、お願い。お祓いして!」
鼎は訴えるがロゥリィが見たところで「何か」の神様らしいものは見えない。
「何もいないわぁ」
神様が見て言うんだから鼎も納得すりゃいいのだが、鼎は半ば意固地になっている。
十年以上のあいだ(カトー認定の)イイ女がフリーというのは認められるものではなかないらしい。
「と、取り敢えずお賽銭を……。5円玉じゃ効果薄そうだから50円玉で。しかも二枚!」
傍から見れば、歳の離れた姉が妹にケチな小遣いを渡してる場面に見えなくもない。
「ニホンのお金じゃないぃ?」
「うん、そうだよ。二枚あるからロゥリィが良く食べてる○ッフィーのジャガスティックが買えるよ。あ、消費税分を忘れてたからもう1つ」
そう言って、鼎はロゥリィの手に10円玉を握らせる。これは疫病神への
「足柄、ニッ○ィーのジャガスティックは128円だぞ」
「えっ、そんなに?」
再び頭痛を訴えるテュカは魔法で眠らせているから本名で呼べるのだが、早くテュカに炎龍を討たなくてはならない。
だから鼎はもう一枚、50円玉を渡さなくてはならなかった。
少し考えてみれば倒錯的な話ではあったが、確実に存在する神様であるロゥリィは大事なことを見忘れていない。
「でもねぇ、私は呪いがあるからぁ、効果あるか解らないわよぉ」
「えっ、呪いなんか付属するの?」
「そうじゃないわよぉ。結婚に関わるものだと、私に掛けられてる呪いが発動するかも知れないのぉ」
何やらおっかない内容だが、疫病神さえ追っ払ってくれればそれ以上の追加効果は無くて良い。ダメ元で頼んでみる。
ロゥリィはロゥリィで、5円の十倍の効果がありそうなことが起きたら鼎自身が大変だろうなぁ……なぞと考えながらも、神の祝福を鼎に施すのだった。
* * * *
シュワルツの森は樹海と言って良い、鬱蒼とした森だった。それも想像を遥かに上回る森だ。徒歩で入るのが精一杯で、車両などで入れる訳がない。
そこを南に迂回して一泊。翌朝になってから樹海の畔を西に向かうことで、ようやくロルドム渓谷に着くことが出来た。
ここの洞窟にダークエルフが住んでるというが、谷底には渓流が流れていて先の雨で増水している。住むにしても、とても住み難そうだ。
顔を上げてみると、とても入り組んだ地形だ。遥か向うに見えるシュワルツの森の隆起した地形の上に、草木が生えているところを見ると、南米のギニア高地を連想してしまう。
勿論、鼎は南米どころか外国に行ったことはないので(今現在が外国だが)見比べることは出来ないが、地形を利用した戦い方を考える。
今はヤオが伊丹達を待たせ、目も眩むような崖下に降りて族長に報告に行っている。この崖を簡単に降りて行けるとは、“慣れ”もあるのだろうがダークエルフという種族の運動機能の高さを示しているのかも知れない。
ヤオ個人の特性の可能性もあるが。
そんな時にテュカが車から降りて来た。先程まで弾薬と燃料と爆薬の間で寝ていたのだ。広い車格の高機動車とはいえ停車している。油臭いだろうし、もし爆薬の威力を知っていたら安心して寝る事も出来ない。
まぁ、テュカはプラスチック爆弾の威力など知らないのだけれど……。
大きくあくびして、胸いっぱいに新鮮な空気を吸うテュカに「おはよー」と寝起きの挨拶する。
ここは既に炎龍の出没地域だ。伊丹が小銃を携行しているし、鼎も対空警戒だけでは無く何らかの用意はした方が良い。
「ここはどこなの?」
テュカの問いに、伊丹は「ロルドム渓谷だと。ヤオの同族が避難しているところだね」と答える。
「そっか、着いたんだ。ようやくあのダークエルフを降ろせるわね」
テュカは伊丹との旅で、普段から仲の良いロゥリィとレレイと鼎が着いて来たのは良いとしてもヤオを連れて行くことを愁眉を寄せた。そんな彼女に伊丹は「この女性も、いろいろあったみたいだけど、もう諦めて故郷に帰ることにしたんだと。帰り道だって言うし、途中まで送っていくことになったんだ」
そう偽っている。だからテュカのヤオに対する感情は良いものではない。寧ろ悪いと言ってよい。
「でも、住み難そうなところね。なんでこんな所に住んでるのかしら」
切り立った崖下を恐る恐る覗き込んでみると、急流が流れ、岩や砂利ばかりでエルフが好む草木は遠くに見えるシュワルツの森まで行かないと見れない。
どうやら、テュカはヤオの一族が炎龍に襲われて滅亡の危機にあることを失念しているらしい。どうも、炎龍に関わる情報は消去されるようだ。
そんな会話をしてたり、注意が空に向いていたから、伊丹達は周囲に近付くダークエルフ達に気付くのが遅れてしまった。
「お前達、何者で、何をしに来た?」
気付けば7~8人のダークエルフが弓を構え、伊丹達を包囲している。
鼎は「ありゃ、ヤオから連絡聞いてないのかな?」とは思いはすれど、伊丹に先んじて自身の口から「炎龍、ブチ殺しに来た」とは言えない。
このサプライズはテュカの手で炎龍をブチ殺す直前まで内緒だ。
「ちょっと旅の途中なだけだよ」
「何の目的の旅だ」
炎龍をブチ殺すのが旅の目的だが(以下繰り返し)
その時、鼎は空に大きな影が飛ぶのを見た。
真っ先に見つけたのはテュカやロゥリィであろうが、見付けると同時に叫んだのは鼎だ。
「炎龍発見!」
鼎が会いたくて仕方がなかった生物だ。発見時の第一声はもの凄く嬉しそうな声色だったことを記す。
カトーの言う通り、滞空時は無音である。空を警戒していなければ、伊丹達より高所に陣取るダークエルフの中から犠牲者が出ていただろう。
「くそっ! 炎龍だ!」
ダークエルフ達は手にした弓を空に向けて連るべに放つ。矢は当たっているようだが、堅牢な鱗に阻まれてダメージを与えることが出来ない。
「目だ! 目を狙え!」
鼎が自分の作業しつつ叱咤するが、ダークエルフは既に目を狙っているらしい。空を飛び回る炎龍の目を、威力を乗せた矢で射かけるのはエルフでも難しいようだ。
「ああっ、あ、ああわっ、ああ、あ」
炎龍の姿を見たテュカは、凍りつき立ち尽くす。コアンの森での記憶がフラッシュバックしたのかも知れないが、炎龍の前でそれは自殺行為だ。
他のエルフ達は懸命に走り、炎龍からすぐに捕食さるない地点を確保する。炎龍が縦に割れた爬虫類の瞳で無防備なテュカを見付けたのは言うまでもない。
「テュカ、逃げろ!」
龍に向けて64式を撃ちながら伊丹は叫ぶがテュカは動かない。いや、恐怖で足がすくんで動けないのだ。
地上に降り炎龍がテュカに近付く。だがその時、黒い花のような者が舞ったかと思うとロゥリィが龍の横ッ面をハルバードでぶん殴った。
「すげえ」
と呟くのはダークエルフや鼎だ。
誰がどう見ても「ぶん殴った」という表現が正しい。殴り続ければ撲殺できるんじゃないかというレベルだが、炎龍が黙って撲殺されるワケがない。崖下に転げ落ちながらも羽をばたつかせて羽ばたく。
そこをレレイの魔法が追撃するが、その瞬間に龍は空に逃げてしまった。立ち上る爆炎を見るに威力は申し分ないが、レレイの魔法は一度詠唱し始めたら、発射する方向を変更することは難しらしい。
「ところがぎっちょん、逃がさない」のは鼎である。炎龍が逃げた先の空には110mm個人携帯対戦車弾の弾頭があって……いや、寧ろ炎龍が逃げる先を予想して放たれたLAMの弾頭に炎龍から向かって行ったのだ。
こんなこともあろうかと、鼎は持って来た複数のLAMを炎龍を発見してから、次々と発射可能状態にしていたのである。
自ら弾頭に当たりに「行ってしまった」炎龍は翼に大穴を開けて地面に叩き付けられる。落下ダメージも相応にあるのだろうが、それだけでは足りないと見た鼎は続けてLAMを発射して炎龍のクチバシ…というか鼻を吹き飛ばした。
「え、えっ?」
ダークエルフ達は、憎き仇敵がこんなに簡単にズタボロにされて良いのかと思ったが、それは伊丹や、テュカも同じだ。
残った右腕に左足を吹き飛ばし、じっくり巨大なマルタを仕上げた鼎は叫ぶ。
「二尉ちゃん、テュカにトドメ刺させて!」
まさかの展開に驚きながらも、伊丹はテュカにLAMを撃たせて炎龍を討伐したのである。
原作と違って炎龍さん、ここで退場です。
が、扱いがあんまりなので、次回は炎龍死亡直前まで書き直しますかも。
それに新生龍が残っているので炎龍編はもう少し続きます。