※この作品はR-18です。

ゲート 飢狼 彼の地にて斯く戦えり   作:庵パン

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今回、遂に資源調査に出る鼎なんですが、ヤマが無いからつまらないですかも……。
エロをやったことは文章の中で解るんですが、エロの内容そのものは抜かしているので読んでても今一盛り上がりに欠けますかも……。


第18話

その日、鼎は銀座駐屯地近くに新たに出来た、うどん屋に居た。

不思議なことに、伊丹の班と共に先日はイタリカのフォルマル邸で炎龍を斃した英雄として饗応を受けたというのに、今では東京でうどんを啜っている。

異世界で暮らした方がランクの高い生活を送れるんじゃないかという疑念は、最近になって確信になりつつある。そっちの方がモテるし、和平講和が済んだら適当な男…今の段階だとウォルフの子種で子供を作ろう。

いや、結構モテモテの鼎だから、一妻多父というのもありだ。子供も多様性があった方が楽しい。

最近では特地永住をなんて話もあるので考えてしまう。

アルヌスで生活していると不便なこともあるが、それだって門を越えて日本に行けば万事解決である。

「これ、スッゴく美味しいねぇ」

一度は帝国からの侵攻で無人になってしまった場所だが、今ではこうして至高なる味わいを提供する店がならんでいる。ご馳走さま、と手を合わせて膳を出すと、人気店なのか営業真っ只中に追加のうどんを打っている店主の背中が見えた。

パン生地を捏たりうどんを粉から打つというのは、中々に重労働だ。筋力がなくては、不美味いものしか出来ない。見ればこの店主、結構ガタイが良い。

しかも身長が高い。有り体にいえばデカイ。どうやらコーカソイド系の外国人らしいことが、時折見える手の白色で解る。

店主は鼎の称賛に短く礼を返すが何となし、聞き覚えのある声で背を向けたままだ。

美味いので替え玉を注文してしまったが、鼎は次の行き先までの道のりを検索しようとスマートフォンを取り出し、起動させる。

変なヶ所に触れたらしく、いつもは暇な時間に視聴して楽しんでいる動画投稿サイトのページが開いてしまった。

すると、鼎の目に信じられない動画タイトルが飛び込んでくる。

「うどんを打つ……ゾルザルの動画…だと?」

サムネイルで微かに確認出来る店内は、それとなく今の店内っぽい。

「意味わからん。さっぱり意味わからんっ」

何やらリズミカルにうどんを打つゾルザル。否、ゾルザルがリズムに合わせてうどんを打っているッ!?

「二尉ちゃんどういうことだってばよっ!?」

鼎は混乱した。混乱したあげく、イタリカからペルシアの実家経由でロンデルに向かった伊丹の名を口にしてしまった。

「どうした?何を狼狽えている」

喧しい客に振り返り、替え玉を出す店主。その顔は確実にゾルザル・エル・カエサル。

そっくりさんではなく、そのまんまゾルザルだ。

「ナニヤッテンダテメーハァ!?」

 

それが、鼎が資源調査の任務初期に見た悪(?)夢だった。

 

*  *                            *  *

 

円谷英二の特撮よろしく、水の精霊を使役してウルトラ水流の如く洗面器に溜まった水で鼎は寝起きの顔を洗う。

特地の住民は相変わらず早起きだ。班長である鼎が寝言と共に飛び起きたのは、班内で一番最後だった。

その後、洗面器に水を溜めたのは誰か分からないが、顔洗い用の水であることはナユから聞いたのだ。

タオルを顔に押し当てながら、今朝方の悪夢に鼎は呻く。

特地の法制度が不明なのを良いことに、重婚とは流石に鼎も考えなかった。

いや、考えていたのか……? アルヌスでは賢者や傭兵や同僚、そして薔薇騎士団の中で数少ない男性騎士を摘み食いしたが、本気で一妻多夫をやらかそうと考えていただろうか?

さりとて、聞き限り魔法を戦闘に用いる場合は使い難いところがあるが、それ以外では非常に便利である。

レレイが対炎龍に使った魔法は威力もあって一工夫で特地の戦いのありようを一変させる可能性があるが今のところ使い勝手が悪い。更に言えば、使い手も限られる高度な魔法らしい。

「魔法使いの旦那とかもイイかもねぇ……」

勿論、ウォルフとした約束は忘れてないし、あの一物は是非とも味わいたいのだが、大過ぎるウォルフの剣で貫かれると次の日にちゃんと歩けるか心配になる。それにあの濃い精子が膨大な量で出される。避妊薬にコンドームの鉄壁の防御をしないと、瞬く間に孕まされてしまうだろう。

「あ、カナエ。おはよう」

起きた鼎の姿を見つけ、コム少年が声をかけた。

禿猪を肩に担いでいるところを見ると、ダークエルフ達は朝一番に近くで狩りをしてきたらしい。

糧食の用意があるから……と言っても、彼等には炎龍の脅威で蓄えを消費してきた直近の記憶がある。保存しておける食糧は取っておきたいという心理が働いてるようだ。

「おーはよー」

同性の二人のダークエルフは短パンにブラトップという寝間着だが、鼎は隊の迷彩ズボンに長年着潰したヨレヨレTシャツだ。それでもって腰を屈める。

「カナエ~。朝からそれはないよ」

少年といったが、実際年齢は五倍以上あるコムに朝の挨拶をすると共に、双球の谷間を見せてからかう鼎。ちなみに同道してきたダークエルフの4人には、自分のことを敬称を付けず、フレンドリーに名前で呼ぶように言っている。

程々にしなければ「恥女」という評価で固定化されてしまうが、少年のようなこの反応が愉しくて仕方ない。

それに、二人のダークエルフの男性は夜に中々激しい。その余韻というのもある。

お陰で女性の三人は探索行の最中に身体を持て余すこともなさそうだ。『ナマ』ですると妊娠してしまうので、私物のウエストポーチに入れたゴムが大活躍である。ダークエルフのセイミィとナユはヒトより妊娠する確率が大分低いようだが『しない』訳ではないから彼女達がする場合にも男二人にはちゃんとコンドームを装着させている。

悪所事務所の診療所では娼婦たちにも販売されているコンドームであるが、これをダークエルフたちは画期的な代物だという。なんでも、手触りが特地に存在する海藻の一種と似ているようだがコンドームの形に加工する技術がない。

以前は間違った服用のし方で避妊薬を使い、それで複数の男たちとセックスしていた。今思えば冷汗モノである。これで最後に子宮内射精を許した若禿げの同僚の子種を宿してないのだから奇跡としか言いようがない。

多分、きっと、宿してないのだ。

恐らく。

宿してたら分かるハズ。母とはそういうものだと思う。「妊娠の一つや二つ」なぞと考えていた鼎だが、今省みれば崖っぷちを歩いている危険なことをしていたと思う。

そのせいか、鼎は避妊に関して一層慎重になった。避妊薬は毎日決められた時間に飲み、自身が行為する時は相手にコンドームを付けさせる。

鼎は避妊薬の効果が出る期間に入っているのだろうが、付けさせてヤるのは変わらない。生でのセックスを楽しめないのはセィミィやナユも同じだし。

アルヌスを出発した時、決められた用法守れば「その期間は妊娠しなくなる薬」ということでセィミィが避妊薬を試したが、単純に腹を下したので異種族の彼女たちにはコンドームという物理的に確かな方法で避妊してもらっている。

資源調査の協力者が生のセックスを楽しめないのに、鼎だけ生で愉しむという訳には行かないのだ。

それに、大量に用意したコンドームとは言え数に限りはあるから、子作りの真似事戯びも一晩愉しんだら数日間を空けるし、街で宿泊する時にはしない。

「やぁ……昨日のコムが激しいからさ、つい思い出して」

それで欲情しちゃいました、と、言い訳並べる鼎にコムは苦笑いである。

「それでもう一つゴメン。思いっ切り寝坊しちゃったよ」

「良いよ。ニホンでは陽が出て暫くしてから活動するんでしょ? イタミ卿から聞いたよ」

どんな話の上で聞いたのか不明だが、ダークエルフの探究心も侮れない。コム個人の探究心の可能性もあるのだが。

「まぁそうなんだけど、よりにもよって班長が怠けるのは良くないからね。今度朝に狩り行くことがあったら起こしてよ」

しかし少年は言う。

「カナエ、自分で捕まえた動物食べれる?」

『少年』とは言ったが100歳越えのコムはそれなりに他種族との交流はあった筈だ。ヒト種の中でも『狩り』を生業とする者なら、女でも自身で狩った動物の皮を剥ぎ、その肉を食らうことは暮らしの中で行うだろう。だがアシガラ・カナエはファルマートより幾分も文明が進んだ異世界の女である。ファルマートでは貴族令嬢どころか市井の女が『狩り』という行為を日常的に行うという話は聞いたことがない。

実際のところ、鼎も大型犬を始めとして動物好きなので、獲物となる動物に情をかけてしまうかも知れない。

鼎が『狩り』を出来るか否かの判断は、その時まで保留しておいたコムである。

 

その日の夕刻。

64に取り付けたスコープの中に、この世界で『雲鹿』と呼ばれる小型の鹿を捉える。

今朝採った獲物は、業腹にも黒妖犬の群に包囲された際に足止め兼ブービートラップとして黒妖犬と共に吹き飛ばしてしまったから、新しい今夜の分を捕らなくてはならない。

鼎が右の人差し指を引くと、雷のような音が轟いてスコープに捉えられた小型の鹿が身体に穴が空き、血を噴き出して倒れた。

「いただきます」

呟くのも程々に、直ちに周囲を見回して状況を確認するのは特地に来て以来の癖であろうか。

仲間のダークエルフ達は、通常なら弓矢も届かない距離から獲物を仕留める鼎を『エルフの神技以上』と褒めそやす。

とはいえ、炎龍討伐も今回のような狩りも自衛隊の装備あってこそなので、調子には乗れない。

それに鼎から見れば、この世界に存在する魔法の方が凄いのである。ここにいるダークエルフ達は、軒並み『精霊魔法』の使い手だから彼等に褒められるとバツの悪さを感じてしまう。

「しかしカナエは皮剥ぎにも真剣に取り組んでいる。多くのヒト種なら臭いを気にして腰が退けてしまうというのに」

「まぁ、なにかあったら出来ておいた方が良いからねェ」

フェンの問い掛けに、鼎の頭には「特地で過ごす場合」とか「諭旨勧告を受けたらマタギに」というワードが浮かんだり沈んだりしている。

その後、ブツ切りにした雲鹿の肉片を鍋に投入してから日本の調味料で味付けしながら煮るのだが、その時に選ばれた話題は明日には到着する都市でのことだった。

「明日の朝はトレドの街だねぇ」

鍋に投入した雲鹿の肉片を煮ながら、誰となく鼎が呟く。

「街にいる間は夜伽はしないんですよね?」

「皆でエッチは無理そうだからなぁ。別々の個室ってのも隙が増えるし」

この大陸でダークエルフの地位は決して高いとは言えない。個々の能力はともかく、ファルマートでは一番数の多いヒト種が頂点に君臨している。

ダークエルフは下等種族として侮られ、寝泊まりする宿でも隙を見せればどんな仕打ちが来るか分からないと鼎は判断したのである。

 

*  *                            *  *

 

次の日。

明け方まで乱交を愉しんだ鼎と4人のダークエルフは、名称不明の川が碧海に流れでる河口の街、『トレド』の街まで来ていた。

聞くところでは、トレドは元は小さな漁師町だったらしい。北の山脈から流れている川が、豊富な栄養分を含んでいて、トレドが面する湾は良い漁場になっていて、雨期が終わると恰好の漁期となるそうだ。

「とりあえず、酒場に行こうか」

何故真っ先に酒場に行くのか、思案したダークエルフである。まさか朝から酒? などとは思わないが、鼎のことだし「その“まさか”かも」とは、ちょっぴり思った。

だが鼎もダークエルフ達の微妙な…言うなれば薄い反応に何かを感じたらしく慌てて付け加える。

「まずは情報収集だよ。情報収集。酒場って色んな人が来るでしょ?旅人とか、色々詳しい人とか」

鼎の『剣と魔法のRPG世界』は、どうやらそのようなものらしい。

しかしダークエルフ達は鼎の言うことに利があると認め、この班長への信頼を高めるのだった。

 

酒場に向かう道すがら、鼎ら一行は不可解な光景を見る。

漁期である雨期の後だというのに、港に停泊する漁船の数が異常に多いのだ。

漁の時間帯が夕刻から翌日深夜というなら話は分かるが、帝都で各偵察隊が集めた情報によると碧海で穫れる魚の漁は早朝から夕刻までであることが知れている。

トレドでは深夜にのみとれる魚の漁をしている可能性も考えた鼎だが、その理由は酒場で判明した。

鼎が訪れた酒場は簡単ながらも飯屋を兼ねていて、鼎が昼食に魚料理を頼んだ時に『悪食のヘイオ』なる怪魚の存在で漁ができないことが明らかになったのだ。

ちなみに、鼎の班で昼食を摂る習慣があるのは鼎だけである。

「しかし何故、難っくき怪魚に愛称なんか……」

と、口にせざるを得ない鼎だが、怪魚に呑み込まれた漁師の名が『ヘイオ』らしい。

鼎には良く分からない感覚だが、呑み込まれたヘイオなる漁師が魚に成り代わり生きているという考えらしい。

「それ、退治する時に殺り難くない?」

という鼎に対し「退治なんて無理だ!」と酒屋の店主は訴える。なんでもトレドの衛士や領主の兵が総出で討伐に向かっても討伐出来なかった害獣だ。なにせ目標は海中に棲んでる生き物である。非常に攻撃手段が限られる。

「囲んで棒で叩くってことは出来ないんだねえ」

「あ、あんた。あの怪魚を斃す気なのかっ?」

「現物を見ないことには解らないけど、やれる方向で努力してみるつもり」

 

*  *                            *  *

 

「人々の生業を邪魔だてする怪異を斃そうとは。それでこそ緑の人」

フェンやナユらダークエルフはそう言って鼎への評価を高める。

が、鼎は「恩を売っておけば後の仕事がし易いでしょ」という。奸智そのものなのだが、ダークエルフの美徳は『目的の為にあらゆる手段を取る』ことだ。これはこれで、ダークエルフ的には評価の対象だったりする。

 

最近は怪魚の影響で漁船が出ないので、鼎達は湾が見える衛士が控える詰め所の屋上から海を見通す。そのへんに居た漁師から衛士の詰め所の屋上から見れると聞いたのだが湾から近い中で高さのある建物とは言え、この場所から見れる魚と言うなら相当巨大である。

目の良いダークエルフ達には、どうにか巨大な魚影が見えるらしいが、2.1の視力を誇る鼎でも遠くの海に中を泳ぐ魚の影は見れない。

「近くまで行かないと解らないなぁ」と言えば、衛士からは「近くに行くと喰われるぞ」とまで言われる。相当凶悪且つ悪食らしい。

しかし、倒すべき害獣だ。危険を恐れたまま何もしない訳にはいけない。

「ど、どの辺までなら平気?」

島根でこんな姿はとても見せられない。が、可能な限りの安全策を図ろうとする鼎である。

 

*  *                             *  *

 

先程よりは湾に近くに移動したが、地元民が確実に安全地帯と言える場所まで来た鼎一行である。

話を聞くに、近くの陸に動物が来るとヘイオは浜や海岸から陸にせり上がって捕食するという。

「畜生道で餓鬼道って厄介だねぇ」

巨大な肉食魚という程度に考えていたが、非常に怪獣めいた生き物である。斃せるなら斃すが、斃せないのであれば諦める他ない。酒場の店主にも「絶対に斃せる」とは言ってないんだし、余り期待されていないハズ。

だが、ヘイオへの攻撃手段を悩んでいるとフェンが口を開いた。

「鉄の逸物なら倒せるのでは?」

それは鼎もちょっぴり考えたが「水中の目標に使えたかなぁ?」というのが正直なところだ。

教育隊の時に聞いていたかも知れないが、その内容はサッパリ記憶にはない。

アルヌスにお伺い立てたついでに聞くことも考えたが、今の場所からだと通信が繋がらなそうだ。

「まぁちょっと、やれるだけやってみようか」

本来ならば炎龍の時もそうだったのだ。危険を回避しては狂暴な害獣は斃せない。鼎はトレドの漁業関係者から支援要請を引き出し、LAMの一撃に賭けるのである。

 

*  *                            *  *

 

「ぬおおおおおおおおおお!!」

湾に突き出た浮き桟橋の上を4人の男達が走る。

彼等は「ヘイオ憎し」で鼎の立案した作戦に協力する有志の漁師達だ。4人で、図書館で目にするような移動式の踏み台を桟橋の先まで運んでいるのである。

もし運悪くバランスを崩して海に落ちればヘイオに喰われてしまうが、産まれたときから漁師を継ぐようにして生きてきて生業を奪われた者達だ。「炎龍を追い返した」ことで知られる緑の人と、精霊使いのダークエルフの作戦となれば、ほんのちょっぴり危なそうでも命を懸けて生業を取り戻せるかも知れない手段に協力する。

男達が桟橋の先に踏み台を置き、直ぐにそそくさと避難していくとLAMを携行した鼎が先端のお立ち台に立ち、海中のヘイオを見下ろす。

透明度が高い故に碧海と呼ばれる海だ。しかも今はダークエルフの精霊魔法で海中の風景が光りの屈折なく鼎の目にも届いている。そんな海中、50メートルほど離れた海底で目標が身体を休めているのが見えた。

身体の各所に鎗だか鎖の付いた矢が突き立っているところを見ると、トレドの人々がどれほど退治しようと苦心したか解る。

土台だけ残ったバリスタ台を見たから、発射機の方はこの魚型怪獣が拘束弾ごと海中に引き込んだのだろう。この世界の鍛鉄能力では捕らえることが出来ずに引き千切られたと推測できる。

炎龍を倒したLAMとは言え、海中では爆発もしないだろうし敵の魚鱗を貫く程の威力が出るとは思えない。

従ってヘイオのド頭をLAMの弾頭で殴って昏倒させ、ダークエルフ達が水の精霊を使役して海岸近くまで打ち上げ、皆で囲んで殴る。

それが鼎が考えた作戦だった。

「その魚みてぇな顔、吹っ飛ばしてやるよ」

言うが、流石に「吹っ飛ばす」ほど期待してない。ぶん殴って気絶させることが出来れば良いのだ。

「後方の安全確認」と、鼎がLAMを構えると。ヘイオに向けて狙いを定める。着水した瞬間に爆発しても良いように、着水地点を鼎から離れた場所に設定。ヘイオは上手い具合に離れた場所にいて、鼎には身体の横側を向けている。

「オラァ!」

気合は関係ないが、気勢を込めてLAMを発射。発射された弾頭は水に吸い込まれ、ヘイオの横っ面に向かっていく。

そして着弾し、そのまま突き抜けた。

「へ?」

ヘイオの横っ面を貫通したのである。普通に考えれば即死レベルのダメージである。これはもう、ミッションコンプリートか?

しかし、貫通して赤黒血が出るその頭が動いた。

「!!」

超ドラゴン怪獣より強ぇえ……なぞと思ってたら、尾びれかと思っていた本当の頭を鼎に向けて猛スピードで泳いでくる。

鼎が頭だと思っていた方は偽眼がある尾びれだったようだ。

「ちっきしょぉおおおお!?」

今度は鼎が海岸に向けてダッシュする番だ。

近付いてきたところをレミントンでズタズタに…とはちょっと考えたが、今はそれどころではない。

「うわわわわわわわ!」

逃げる時ぐらい黙って逃げれば良さそうなものだが、鼎は黙って身体を動かせないらしい。

そしてヘイオは、鼎との距離をどんどん詰めていく。

「カナエ!」

フェンがコムが。ナユやセィミィが水の精霊を使役してヘイオの周りの潮を沖側に流す。

それでも巨大魚の動きは止めることは出来なかったが、鼎が逃げ切る隙を作るには十分だった。

海岸に走り込み、顔からダイビングするように突っ伏す鼎。伏せたままの姿勢で、肩で息をするのは高校のマラソンでお目当ての男子生徒にTOPと引き換えに交際を要求して、あっさりと陸上部に抜かれた時以来である。

そして何時まで経っても鼎が起きないので、4人のダークエルフは勿論のこと周囲の街の人まで心配になって寄ってきた。

やがて、そんな彼らの耳にドスの効いた低い、どうにか女声と判断できる呟きが聞こえてきた。

「絶ってェに…。絶ってェにブっ潰す」

呪詛はまだ続く。

「ヤロォ、魚類が人間様に恥かかせやがって……。絶ってェに叩き潰してブっ殺してやるッ!」

奇しくも、鼎が炎龍を倒した時の精神状態になったことに、ダークエルフ達は妙な安心感を覚えつつも恐怖を感じるのだった。




当方の作品、夢オチがやたら多いです。便利だからネタとして多用してしまうのです。
作品まるまる1つが夢落ちとか、そういうちょっぴり悲しい結末はやらないつもりですが、まぁ先のことは分からんのです。

そして、次はグチャっと終わらせます。
そんで内容のあるエロもムニっと付ける予定です。
でもまぁ、予定なのです。
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