※この作品はR-18です。

ゲート 飢狼 彼の地にて斯く戦えり   作:庵パン

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大体半月で二本書いてますが、一話が短かったのです。
従って、この投稿間隔はアテになりません。エロいのは未だ出ないです。


第2話

その日、鼎は小学校から高校時代までの同級生、吉田 純朗(すみお)の自宅に来ていた。

同時期に横道に進んだ間ではあるが、恋人だとか付き会っている仲ではない。鼎が高校を卒業して自衛官になって以降の愛車であるGSX1100S……世間ではスズキのカタナと呼ばれているオートバイの用事である。

このバイクは鼎が自衛隊に入ってから二年目のゴールデンウィーク休暇の際、静岡に住んでいる叔父から遅れた就職祝いに貰った1000台限定のバイクである。

本来なら自衛隊に入隊し、二士となった時に贈られる予定だったのだが、教育隊に居る間は“絶対に車やバイクに乗ってはいけない”という決まりがある。

これを事前に察知した叔父が、贈らずに鼎に連絡が取れるまで取り置いていたのだ。

今はそのバイクの車検で町工場のヨシダオートを訪れている。

この町工場は純朗が高校を卒業した後、父や祖父の教えを受た長男の純朗が三代目を受け継いで店主となった店だ。

「あら鼎ちゃん、いらっしゃい」

工場と繋がった自宅の奥から家事をしていたと思われるオバチャンが出て来て茶の支度をしようとする。

「あ、いいよ。すぐに出るからさ」

挨拶した後、オバチャンを制止しようとする鼎だが純朗による車検は未だ続きそうだ。

休みの日の午前中にバイクを持って来て、懲りずに大社で縁結びを祈願してから来たが車検はまだ終わっていなかった。

「そうそう、今年も夏祭で鼎ちゃんカッコ良かったじゃない。見惚れたわよ。ファンとか多いんじゃない?まず私が一人目ね。あと純朗と良朗と英恵と秀永と……」

純朗の家は四人兄妹に全員が年子という表彰モノながら大変な家庭だ。そしてこのオバチャンは話し始めると長い。サマーフェスタはまぁ夏祭で合ってるのだが、時折オバチャン語なるものが出てくる。

「あはは、有難う御座います」

「それと以前、純朗が迷惑掛けてなかった? あの子、海のアレのゴリオタだから、陸自に入った鼎ちゃんに迷惑掛けてそうなのよねぇ」

ゴリオタとはゴリラのオタクではない。ゴリゴリとオタク、即ち「物凄いオタク」という意味のおばちゃん語である。

「まぁ他人の趣味は色々ありますからね~。私もそのネタでは方々で言われてますから、純朗だけじゃないですよ」

そのネタとは、角○ゲームスが開発したブラウザゲームのことである。そこに登場するキャラクターの一人が鼎の苗字そのままなので、鼎は複数の人物から妙齢で独身ということもあって良くネタにされることがあった。

特にアニメ版の足柄は男日照りで酷い焦り方であった。「違う! そうじゃない! 戦いに飢えているだけなんだ!」そんなことをDVDで写されるテレビ画面の前で叫んだり叫ばなかったり。

○川め! フロム様を吸収したからと言って良い気になるなよッ! と思う陸自の足柄さんが、出雲大社に足繁く通っていたのは突っ込んではいけない。

 

 

*  *  *                       *  *  *

 

 

射撃徽章の甲種を更新し、鼎に射撃指導官の話が出てきた頃だった。

「特地の……深部情報偵察隊ですか?」

駐屯地の上官から、鼎はそんな話しを聞いていた。

切っ掛けは夏の暑い盛りに、銀座で起きた信じ難い凄惨な事件が始まりだ。

突如、銀座に石造りの門が現れ、そこから出て来た中世の欧州のような兵隊やモンスターが民間人を襲い、虐殺していったのである。

現在はニュースやワイドショー、或は新聞等で引っ張りだこの時の人となっている伊丹 耀司二等陸尉(当時、三等陸尉)が偶然居合わせ、多くの市民を皇居まで避難誘導したという話は記憶に新しい。

御蔭で周辺の警察・自衛隊はすぐに部隊を展開して門から現れた敵(現段階ではテロリストと認定)に反撃を加え、その多くを退散させ、六千にも上る逮捕者を出した。

「我々としては金の卵である君を戦闘地域に送り込むのは吝(やぶさ)かなのだが……」

准尉になったこの年の冬、鼎は射撃の世界大会で一(●)応(●)は入賞している。順位が一つ違えばメダリストであった。

テロリストが現れた門の向うは、特地と言われている。斥候部隊が何度か門を潜って向(●)う(●)に潜入してはいるが、敵はどうやら国のような物らしい。

そして門の周辺には銀座事件で見たような怪物や敵の斥候らしき者達がいて、また何時大部隊で押し寄せるかも知れないという状況なのだという。

「私が求めるのは飽くまでも実戦です。行かせて下さい」

良い感じの卵らしい鼎が戦闘を要望するような発言は、自衛官になってから二度目である。猫を被って来たのも隊でそこそこの階級を得るためだ。准尉も下士官ではあるが、いざ事が始まってしまえば今以上の階級なぞ不要である。

目の前の幹部は、アスリートとしての足柄鼎しか見ていない。鼎も戦いへの飢えを隠して今日まで来た。だから仕方のないことと言える。

それにしても第13偵察隊を擁する出雲駐屯地から偵察隊の隊員を招集するとは、防衛省なのか特地派遣隊の狭間某なのかは知らないが、中々小難いことをしてくれる。

そんな感じに鼎は自身を持ち受けるであろう戦いに、心躍らせるのであった。

 

 

「っていうかさ、このカタナ、何時なったら自衛隊で採用されんの?」

「う~ん、今のカワサキKLX250は不具合とか無いからなぁ……当分無さそう」

「お前だけでも使えば良いじゃん。装備に私物使ったりするんだろ?」

「こんなデカいの認められるかねぇ」

出雲駐屯地から特地派隊に出向するのは鼎一人である。そんな小規模だから出陣式など無い。

朝早く、愛車のバイクで実家から駐屯地を経由し、東京に向かう鼎はツーリングバッグに緩みを感じて車を駐めたのだが、その場所がヨシダオートの前の通りだったのである。

そこを面倒臭いことに、純朗に見つかったのだ。GSX1100Sのファンは多いが、純朗自身はカタナにそこまで愛着など無い。鼎と会話を続けるための会話を面倒に思いながらも一応得意先ではあるので続けてやる。

「うん、それじゃ緩みもないわ。じゃあ、またね」

「ちょ、待てよ!」

バイクに跨る鼎を引き留めようと、肩に手を置いた純朗。

「なに? 放してよ!」

「良いから待てって!」

バイクの進行先を塞ぐように純朗が鼎の前に立った。正直言ってホントに邪魔である。

「特地って危ないんだろ!?」

「安全ではないね」

「何で行くんだよ!」

「任務だから」

「行くなよ!」

「いや行くよ」

埒も明かないと見た純朗は鼎を抱き竦めようとする、が簡単に弾き飛ばされた。

「何やってんだテメェーは!」

「か、鼎。行くなって! って言うか行っても死ぬなって!」

「ハァ? テロリスト共をぶち殺しに行くだけですけどッ?」

北条内閣で閣議決定されたのは、銀座事件の原因究明と再発防止である。原因究明の方はともかく、テロリストを皆殺しにすれば再発防止になるのだろう…というような事を、足柄鼎は思っているのかも知れない。

聞く者が聞いていたら非難轟轟であろう台詞を吐く鼎だが、これが彼女の真の通常モードである。

「そ、それじゃちゃんと出雲に帰って……!!」

そこまで言った純朗を避け、バイクは走り出す。

「ちょー! ちょっと待て!」

「もう何!? 今日中に着きたいんだけど!」

鬱陶しい純朗に遂に鼎も腹を立てた。高校生の時ならば、とっくに張り倒している。

「特地から帰ってきたら結婚してくれ!」

「いや無理」

会話が一往復すると、純朗の口はハの字で固まっていた。その隙にバイクを発進させようとする。

「ちょ待ァーてェ!」

「アンだブルァァァ!? おめ、もう、はっ斃すぞゴルァ!?」

遂に人語からかけ離れた鼎に、勇敢にも純朗は喋る。

「なんで! オレとお前の仲だろォー!? 前に一回やったよな!?」

高校の時を良く憶えてるものだと、鼎は嘆息する。もう十年以上前の事になるが定期試験の勉強を一緒にしていたところ、初夏の暑い日に二人で軽装だったものだから互いに“そういう気分”になって処女と童貞を卒業したのである。

それから暫し、鼎達は男女の仲として付き合っていた事があった。

「でもアンタが裕実先輩に浮気したんでしょーが!」

当時、鼎達が通っていた高校には四人か三人ばかりマドンナ的存在の女性がいた。

一人は現代文担当教諭の林原という女性教師。結婚して子供もいたが、気軽に生徒達に話し掛けて信頼もあり、生徒や保護者からも人気もある先生だった。

そしてもう一人は保健医の桃原という女性。所謂保健室の先生である。

こちらは独身でキャラクター的に守りたくなる女性らしい。天然なのかあざといのか、夏場にキャミソールを着て尚且つブラ紐をずらして見せていたという噂もある魔性の女である。

鼎なんかは絶対に故意的だと思うのだが、休みの時間には保健室で屯(たむろ)する男子生徒が絶えなかった。

夏期の休みに部活動で校内を訪れていた生徒とナニをしたとか言う噂もある、エロゲを地で行くような保健医だった。

そして問題の裕実先輩は三人目のマドンナである。

一見すると清楚な文学少女を思わせるが、それでいて意外に経験が豊富であった。

こちらも魔性の女なのか、自分が目を付けた男は取り敢えず(性的な意味で)食うという鬼女(ビッチ)であった。

鼎は個人的な付き合いも薄いが、最後に聞いた話しでは東京の大学に行ったと聞いていた。

それが以前、鼎より関わり合いが深い別の先輩の話しでは、東京に出て受験勉強中に妊娠し、大学在学中に出産と、子供の父親と学生結婚したと聞いている。

周りの大人は、ただの文学少女だと思っていたのだから、他人は前評判に依らないことの証左であろう。

ちなみに四人目は鼎なのだが、その時は生活態度も今より遥かに悪く、太ましい鼎はマドンナ候補に入ったり入らなかったりと評価は安定しない。

「やっ、あれは裕実先輩から誘われて……」

「誘いに乗るのが悪い!」

マドンナに誘われたからって有頂天になりやがって。と、当時を思い出したら段々腹が立って来た。

「私はね、特地で良い男見つけたらそっちで子供産むからイイの!」

「バケモンやテロリストの子供産む気かよ!」

バイクで走っていく鼎の背に純朗は捨て台詞を投げ掛けた。

朝も早くから大声出して迷惑な奴らだが、鼎は一路、東に愛車を走らせる。

目指すは最近になって新設された銀座駐屯地である。

 

 

*  *  *                       *  *  *

 

 

深部偵察隊の各隊の長は、三尉ないし二尉だと言う。

「くわばらくわばら……」

万が一、冬の国際大会で結果を出していたら危うく隊長だったと鼎は冷や汗をかいた。

ここに来て鼎は、特地深部偵察隊が今まで考えていたような敵地や兵器情報の偵察ではなく特地の一般市民に対するハーツ&マインドのような民事作戦だという事を知った。

第13偵察隊の一員でもあった鼎は、敵地の民間人に接触するのは敵にこちらの情報を知らせるから、禁じ手なのでは? と思うところである。

しかし特地は中世相応の文化や技術レベル。領主や国は領民を進んで守らないばかりか合法的に盗賊行為をする連中である。

だから自衛隊に協力しても、敵には協力する義理はない……とのことらしい。

それが真実であった場合、偵察隊は困惑する民間人を助けなくてはならないし、別の脅威に襲われている民間人が居れば庇う必要がある。鼎が考えていた特地での仕事とは大きく違ってしまっている。

だが戦闘地域だ。銀座事件ではドラゴンみたいな生物も居たし、怪物なんかも出る。銃をぶっ放すチャンスは幾らでもあるのだ。

深部偵察隊の隊長、桧垣という三佐の最初の命令は、彼女ら女性自衛官に纏めている髪を垂らせというものだった。

このオッサンまさかの長髪フェチか……などとは思わない鼎だが、それには理由があった。初めて足を踏み入れる特地で、遠くからも女性である事を示すためだ。

ロン毛の男でも良さそうなものだが、便衣兵じみていて鼎的にも印象は良くない。こんな手段を使うのはシナってる中つ国だ。

鼎は頭の後ろで団子にしてた黒髪を解いて放った。しばしば、鼎はこの黒髪に産んでくれた自身の母親に感謝する。

 

 

*  *  *                       *  *  *

 

 

申告が終わり、鼎は自身が配属される部隊を見に行った。

OD色に塗装されたベニヤ板に、それぞれ隊の配置と就寝用天幕が割り振られて書かれている。

「えー、私は…っと……」

どうやら鼎は第三偵察隊らしい。同じ場所に桑原という陸曹長がいるから、隊の補佐はこのベテランであろう自衛官に任せてよい。

そもそも、人手が足らない訳では無いのだろうに、どうして自分が准尉のままなのか解らない。まぁ陸曹長に戻されると降格するようで嫌だし、三尉になるのも隊長になる恐れがあるから良いのだが。

すると、小柄な女性自衛官が近くに来ていた。階級章は二等陸曹だ。

「えーっと、貴女は?」

「栗林でありますっ」

そう言って敬礼を取る栗林は、何処となく妹のような可愛さがあった。鼎には弟しか居ないではあるけれど。

「良いよ。そんなしゃちほこ張らなくて」

この時、少し無気力になっていたのは偵察が思っていたような戦闘部隊ではなかったことが影響していたかも知れない。

「貴女も三偵か。私は足柄鼎。同じ隊だからよろしくね」

猫を被った鼎の外面モードは、それ以外のモードを知った者の多くを幻滅させる。この栗林二等陸曹はどうであろうか。

「もしかして、冬の世界大会に出場してた鳥取の足柄選手!?」

「島根だけどね。まぁ、多分それで合ってる」

島根に砂丘はありません。そんな標語のような言葉が鼎の思考に浮かぶ。

「貴女方も三偵ですか?」

しっとりした声色に振り向くと、そこにはとてつもなく背の高い女が立っていた。

足柄鼎、同性を見上げるのは産まれて初めてである。栗林なんかは首が痛くなるんじゃないかと心配になる程だ。

「黒川と申します。宜しくお願いしますわね」

「あ、足柄です」

階級は鼎の方が高いのに、敬語を使ってしまった。

栗林は「ほえ~」なぞと感嘆詞を出して反応が遅れている。

足柄が挨拶をした数拍後、「く、栗林です」とか言う返答を済ませている。

この背の低い女性隊員も特地派遣隊員に選ばれるのだから、妹のように見えても猛者なのかも知れない。

足柄が挨拶した時も、或いは同僚を値踏みしていたのかも知れない。

そして黒川も長い艶の有る長い黒髪だ。

長い黒髪は鼎のちょいとした自慢でもあるのだが、黒川には負けるかも知れない。

それにおっとりとした声ながら、はっきりとした声の出し方をする。

医療嚢を抱えているから衛生かと推察出来るが、鼎や栗林を見据える瞳の輝きは修羅場を経験した自信の裏打ちかも知れない。

鼎は、この黒川という女性自衛官が銀座事件の経験者かも知れないと思うようになっていた。

 

*  *  *                       *  *  *

 

 

鼎は以前、二曹に昇任してから幹部候補生学校を受験し、福岡の久留米に居たことがある。福岡は島根程田舎ではないのだが、営倉内から出る機会など限られていたので鼎の気分は今一つ盛り上がらなかった。

以上のことから高校卒業後に一般入隊して28歳のいま、幹部自衛官になる資格を有しているのだが、鼎には熱心に昇任しようという気概は無かった。下手に責任ある立場に就きたくないのである。

「ところで足柄准尉、栗林さん、私(わたくし)たちの隊長がどのようなお方になるのかご存じですか?」

「いや、知らないよ」

簡潔に答えたのは鼎である。労を惜しむ訳ではないが、問答は簡単な方が良いと判断したのだ。

「栗林で良いよ。皆はあたしを栗ボ―とか、クリとか呼ぶこともある」

「ではクリと。私のことは黒川とかクロとでもお呼び下さい」

「あ、じゃあ私のことはアシかガラかカナで……」

鼎の発言は空気読めていなかった。自衛隊では階級が上下関係の絶対であり、上位の者が階級に鷹揚(おうよう)でも下位の者がそう簡単に指示通りに接することも出来ない。上位も下位も階級に鷹揚なら話しは変わるが。

そう言った訳で、百歩譲られた鼎は、隊の三人の中では「足柄さん」と敬称付きで呼ばれることになった。

 

第三偵察隊の場所は黒川が知っていた。

同じ隊の桑原という陸曹長は思った通りのベテラン自衛官だ。年輪の如き皺に刻み込まれた経験を持つ陸曹長なら、優秀が故に我が強い若手を抑えるのにも長年の経験者が黙らすことも出来るはず。

隊長が来る前に自己紹介を終えた鼎以外の面々であったが、一途に強さを求める男に憧れていたらしい栗林は、伊丹隊長含む同僚達に顔を合わせた後、現実を知り唖然としていた。期待したぶん評価も厳しくなっていたらしい。

きびきびとした動作や口調から彼等も優秀な自衛官に違いないのだが、栗林の眼鏡に適う者は居なかったらしい。

ところがどっこい、これが現実ッ! なぞと陸自なのに海自めいたことは言うつもりないが、そもそも自衛隊にはオタクが多い。栗林はオタクが嫌いなのか苦手なのかは知らないが、とにかく耐性が無いらしい。

その栗林を最も絶望させたのが隊長の伊丹耀司であることは、鼎は知る由も無い。

「えーっと、顔と名前を一致させるのが苦手だから、ちょっと確認させてもらいますねー」

足柄鼎は一人ずつ階級と名、そして趣味とかその他諸々を言い上げる。

「陸曹長が三偵の先任で、オヤッサンの桑原陸曹長」

確認の意味もあったので、桑原は静かに頷く。

「んで笑えない冗談を言うのが、妻帯者の仁科一曹ね」

「笑えないっすか!?」

「えぇ、まぁ」

冗談の内容は「自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」の「外伝+」を読んで貰いたい。書店に売ってない時は取り寄せることも出来る。

「で、ガテン系も出来そうなのが勝本三曹か」

そう言ってしまうとこの場にいる全員がガテン系の仕事ができるのだが、飽くまでも鼎の印象である。

「それに北海道から来たオタク君が倉田三曹ね」

「そのザックリとした分け方なんスかっ?」

「いや、だって解り易いじゃん」

身も蓋も無いとはこのことである。

「んで西普連から来たのが富田二曹と、衛生科で私より背が高いのがクロと」

三偵には鼎より背の高い隊員が数人いるのだが、女性隊員の中では黒川の方が高い。というか、偵察隊の中では一番高いと思われる。

「甲種の格闘徽章持ちが栗ボーちゃんと」

二十四歳で格闘の上級指導官が出来るとは、驚きである。しかもこの小柄な背丈だ。

「んで財テクが趣味なメガネ君が戸塚で、写真が趣味なのが笹川。共に陸士長と」

その二人が頷く。

「それと陸士長は元老舗の料理人の古田と、無個性の東もいるね。それと二重橋の英雄でオタクだった伊丹二尉の十二人ですね」

ザックリ極まって無個性という評価は酷いくらいだが、ここで鼎以外の全員、一つの事に気付いた。

「あれ、足柄さんは?」

栗林に指摘され、鼎は自身が自己紹介していないことに気付く。

「あぁ、私は足柄鼎。出雲駐屯地の第13偵察隊から出向してきた、そのうち無くなる階級の准尉です。階級には鷹揚なので気楽に話しかけて下さい。甲種の射撃徽章を持ってます。趣味はバイクと撃ち抜くこと」

「ハートを? ははっ」

仁科がまたしても笑えないジョークを言う。

「いや、的とか逃げ惑う敵の背中とか」

ブラックジョークにしても笑えないのだが、鼎は結構本気だったりする。そしてここに来て、鼎も一つの事実に気が付いた。

サスペンスか心霊現象か、はたまた単に何処かの誰かが隊員の編成をミスっただけなのか……。

サッパリ解ったものではないが、特地派遣の深部情報偵察隊は一隊に付き一二名の隊員で編成されるはずだ。

だが……。

 

「13人いる!!?」




こんな調子で閉門時まで書くと、とても15話程度では終わりそうもありませんね(汗
まぁ、目安として15話と言いましたが、仮に40話過ぎても堪忍して下さい。
二週間に一回あるか無いかの投稿スピードで完結までに相当時間がかかりそうなんで、
気長にお待ち下さると有難いです。
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