※この作品はR-18です。

ゲート 飢狼 彼の地にて斯く戦えり   作:庵パン

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◎第4話

季節が初夏から夏に移り替わろうとしている島根の住宅街の一室。

そこでは“行為”が行われているのだが、女の嬌声などは聞かれない。聞こえるのは、少年と言うべき男の喘ぎ声だ。

純朗も中々頑張るな、と流し目で後ろを見やるのは、高校時代の若干太ましい鼎だ。定期試験の勉強中に“なんとなくそんな気分”になって最初に行為をしてから、こういった関係になってしまったのだ。

普段は族の頭である鼎の意向が優先されているので、“偶には”ということで純朗の希望を聞いたところ、純朗は“後体位”と答えた。

後体位を知らない鼎ではないが、実際にやってみると強姦されているかのような気分だし絵面だろうと思う。純朗には、それがまた興奮出来る材料らしい。

純朗は鼎の両腰に手を添え、猿のように腰を振り続ける。その衝撃を受ける度に揺れる鼎の爆房は、自身でも別の生き物のようだと思ってしまう。

鼎としては乳房にも手を回して愛撫して欲しいところだが、純朗は鼎の膣内でピストンさせる肉棒を止めたかと思うと、ソレを包む薄いゴム膜に盛大に白い体液を噴出させてしまった。

「ん、アレ? もう終わり?」

「あ……はぁ、はー……鼎ん中、良すぎ……」

鼎の腰から手を離した純朗は、後ろの畳に尻を着き、身体を大の字に伸ばして息を乱している。最初に“した時”と比べると長めに出来た純朗との性行為だが、鼎にとってみれば今日も不満でしかない。

「こぉら、勝手に独りでイってんじゃないよ」

一応、快感を感じた鼎ではあるが、その心の大部分には「欲求不満」という飢えた狼という大きな獣が座している。

「いや、ちょっと待って。イったばかりだから休ませて」

白い体液が溜まったコンドームを取られ、純朗は尻を畳に着けたままの姿勢で後ずさる。

「大丈夫。まだ5回しかやってないじゃん。純朗は若いからあと2~3回は続けて出来るよ」

そう言って鼎はコンドームの中の白い液体が漏れないように口を結び、純朗のモノを優しく撫でた。

元(外見)が良い鼎である。普段は暴走族の族長として周りから恐れられている女であるが、その鼎が自身のムスコを優しく扱き、そっと口付けする様子は、たちまち純朗の一物を回復させた。

「じゃあ今度は私のターン」

替えのゴムを付け終えた鼎は、そそり立つ純朗の肉棒に腰を下ろす。

「ま、待って!  ちょっと休ませて! 」

「こんだけ元気にチンコ勃たせておいて何を言ってやがる。ほら、純朗が大好きなオッパイだぞ~」

腰を揺らして強制的にピストンさせる鼎は、言いながら純朗の上体を抱き起こして自分の豊満な乳房の谷間に顔を埋めさせた。

いつか結婚する者には、ポルチオに届き膣内の形を変えるくらいの一物を持っていて貰いたいが、元々体格が良いとは言えない純朗はその両方で不足していた。

だが、この時の時点で肌を重ね合う程に親しい男は純朗しかいない。

彼と結婚するとしたら、性技の拙い彼に努力してもらうしかないのだ。

将来を妄想しながら、鼎は自身の胸の中で腰を突き上げようとする純朗の顔を見ながら微笑んだ。

裕実先輩と純朗の浮気が発覚する三日前のことである。

 

 

*  *  *                      *  *  * 

 

 

あの初夏の暑い陽射しが懐かしい日々から、十年以上の月日が経った。

鼎は今、陸上自衛官として特地にいる。

特地に来たのは日本では晩秋に差し掛かる頃だったというの、ここでは夏真っ只中のようだ。

避難民の中にいた魔法使いの師弟に聞いたところ、特地には雨期と乾期しか無いというが、雪というものを知っているから何れかの季節で雪が降ることもあるらしい。

いや、この師弟は賢者という存在らしいから、この大陸以外の話かも知れない。

鼎がどうして隊の中で、いち早くそんな情報を得ることが出来たのかと言うと、避難民の賢者の弟子の方が驚異的な学習能力で日本語を習得しているからだ。

特地語習得は、深部情報偵察隊の中でも優先されるべき任務の一つである。

隊で他の仕事がない時は、この賢者の弟子……レレイ・ラ・レレーナというプラチナブロンドの髪を持った少女と、互いの言語情報を交換するのである。

特に鼎は特地で良い男を見つけたら、そのまま子種を貰って結婚ということも考えていたので、課業後にも避難民のプレハブ小屋を訪れることがあった。特地の異性と肉体関係を結んではいけないというのが特地方面派遣隊のルールになっているが、鼎には低すぎる壁であった。

「ルールというのは破るためにあるのだよ」

どこぞの企業家ではないが、鼎の物の考え方も似たようなものである。

そんな鼎が毎夜毎夜押しかけてレレイや師匠のカトー・エル・アルテスタ、また他の避難民も迷惑するのでははないか? というところだが、それほど多くはないものの、一応は謝礼金も支払うし、互いの情報交換にもなる。

その際、生え際後退気味の自衛官も特地語習得に来ていたが、ボディーアーマーを取った鼎の胸元を見たり見なかったり……。

足柄 鼎、こういった男性の視線も嫌いでは無い。付き合ってくれと言われたら、考えたかも知れない。

鼎よりだいぶ年上に見えるので結婚まで行くかは判らないが、考えるくらいはするだろう。見た目からして精力強そうだし。

 

 

*  *  *                      *  *  *

 

 

銀座事件が起きた当初、特段の働きを見せたのは現在、第三偵察隊の隊長である伊丹 耀司二等陸尉である。

しかし銀座事件では、当日同人誌即売会が開かれていたということもあり複数の自衛官が活躍し、賞詞を受けている。自衛隊にはオタクが多いということの証左であろう。

その中で、足柄 鼎が尊敬し、羨ましく思うのは火威某という名の陸上自衛官の三尉だ。彼は銀座事件の激戦区と言えた銀座8丁目辺りで昼飯を食べてたらしいが、その時に事件に巻き込まれたのである。

夏場の同人誌即売会に行こうというなら、銀座で飯を喰ってるのは自殺行為である。まぁ自衛官なら死ぬことは無いのだろうが、人の波に飲み込まれてお目当ての物が買えなくなる……と、島根から東京に出た知り合いが言っていた。

話が脱線したが、その三尉は人間とは思えない連中と、確実に人間であろうテロリストの武器を奪って多くの敵を掃討したのである。

自衛隊でも銃剣は使うが、敵の武器と言えば剣に弓、そして魔法が少々だ。日本人が魔法を使えたという話は聞かないので、剣と弓を鹵獲して多くの敵を斃したというのだろう。

尊敬に値する。敵が強いたルールの上で敵を上回るのは頼もしいとしか言えない。

そして、いち早く実戦を経験したと言うのは、羨望そのものであった。

鼎もドラゴン……先頃、特地甲種害獣と名付けられた炎龍相手に実戦を経験して片腕を捥ぎ取ったが、多く避難民が犠牲になった。とても退散させて勝ったとは思えないような結末である。引き金を引いた手応えも、無に帰す程の情けなさがあった。

1ダースほどの始末書を書き終えてから1週間、魔法使いらしきプラチナブロンドの髪の少女、レレイ・ラ・レレーナによると、この世界は15歳が成人年齢でレレイは15歳の成人らしい。

保護したエルフの娘はテュカ・ルナ・マルソーという名で、165歳の大人であった。エルフだから年齢はサブカルチャー通りである。エルフの外見年齢10歳は100歳だったりするのだろうか。

謎だったのは宗教関係者と思われる黒髪の少女、ロゥリィ・マーキュリーだが見た目12~3歳であるにも関わらず大人らしい。随分と重そうなハルバードを片手で軽々と持っているところを見ると人間ではない可能性もあるのだが、レレイも彼女の正確な年齢は「恐くて聞けない」らしい。

抹茶味の〇ット〇ットや6袋入りの柿の種わさび味を避難民のプレハブ小屋に差し入れて、ますます緑の人と呼ばれるようになった鼎は、今はイタリカという都市に行く73式小型トラックの助手席にいる。

コダ村の避難民達が自活のため、アルヌス防衛戦で撃ち落とした小型ドラゴンから鱗を大量に剥ぎ取り採取したので、それを売りに行く途中なのである。

倉田なんかは運送業者か、なぞと愚痴を零していたが、特地の商取引の実態を見る機会の又とない好機であるので第三偵察隊が運搬ことになったのだ。

カトーという魔法使いの師匠の知り合いが商人で大棚を構えているそうだ。

だが、鼎達第三偵察隊を待っていたのは平和な都市ではなかった。

城塞都市だということは聞いていたが、城門を閉じて城壁上の大型の弩弓をいつでも撃てるという状態である。その近くではお湯でも沸かしているのか、湯気の立つ大鍋が見える。そんな都市が第三偵察隊を待っていたのである。

実際に三偵が来たのは西側の小さな門だが、そこでも同じことだ。

来る時に煙りが見えたから、イタリカ周辺は穀倉地帯だと聞いていたので栗林や古田と「焼き畑でもやっているのか」ということを話し合ったが、農作物の収穫前に焼き畑をやっているとは考え難い。誰もが戦の気配を感じていたのである。

そして神経が張り詰めた様子の住民がいる城門では、誰もが緊張していて、少し間違いが起これば矢でも飛んで来そうだ。

すると、前方の高機動車からレレイとテュカが出てきた。レレイという少女は冷静だし、随分と肝が据わっていると思う。テュカにしても大した度胸だと思う。しかしその後に高機動車から出てきたは、いかにも「武器」といった感じのハルバードを手に持っているロゥリィだ。コレ、大丈夫なのか? と、鼎は思わずにいられない。

最後に出てきたのが隊長の伊丹だ。真っ先に出てくるべきでしょう、アンタ何やってんの……とでも言いたいところだったが、鼎の見ている前で西側の小さいドアをノックしていたと思われる伊丹が、突然開け放たれたドアを喰らってのびてしまった。所謂「ドアバン」と言う攻撃である。

出てきた赤毛の女騎士の表情を察すると、意図したものではないらしい。3人の娘も特に慌てた様子は見られないが、伊丹はそのまま城内に引き込まれた。

 

 

*  *  *                      *  *  *

 

 

ドアバン喰らってのびて場内に引き込まれた伊丹だが、その後すぐに応答があった。

「いやー、乱戦乱戦」

伊丹によると、現在イタリカは大規模な盗賊団に襲撃されている最中だという。

ここまで大規模な盗賊団が発生することが、この世界では頻発するのかというところだが、盗賊団の正体は先日アルヌスを攻めに行って第五戦闘団にぶっ飛ばされた連合諸王国軍の敗残兵らしい。

国際色豊かな装備の盗賊団と聞けば、鼎達第三偵察隊もそれとなく予感はしていた。

「元気そうで何よりだ。今度はちゃんとブチ殺してやるよ!」

とか考えたのは、鼎とか足柄さんとか、主に足柄 鼎である。

賊の素性を伊丹から聞いた鼎であるが、その伊丹は伊丹をドアバンした女騎馬士……ではなく、日本が(強請り)交渉する相手国の姫殿下から聞いたのである。

どうして敵国の姫殿下が特地の地方都市にいて、防衛に当たっているのか疑問だが、それが事実なら姫殿下に圧倒的な力の差を見せ付けて交渉を優位に展開することも出来る。

今朝まで、伊丹は努力をしてはいたが、辞書も無しに日常会話をすることは不可能であった。

それが今では三人娘が何らかの魔法でも使ったのかも知れないが、ドアバン以降は不自由なく特地の人々と会話している。

つい先程まで鼎の方が特地語が達者だったのに、実に羨ましいことだ。

実に妬ましい。

 

伊丹はピニャとかいう帝国の姫殿下と会合し、第三偵察隊は南門の守備に配された。特地の発想では敵の敵は味方ということで盗賊の味方をしても良さそうなものだが、避難民が竜の鱗を売らなくてはならないのでピニャ……もといイタリカの味方になったのである。

鼎はこの時、ドラゴンとの戦闘を経て吹っ切れていた。必要ならば即座に撃てる精神常態だと言って良い。夕方の南門から離れること300mほどの地点には、馬に乗った盗賊の斥候が3人ばかり見えるし、その向うには本隊も見える。

全体の数は5~600といったくらいか……。

「速射で3人、射殺できますよ。撃ちますか?」

「待て。敵にわざわざ手の内を見せてやることは無い」

鼎の宣言に似た文言を伊丹が止めに入る。実際、鼎は結構本気(マジ)で言っていたのである。伊丹が他人の本性を見抜く業に長けているという訳ではないが、「この女はヤバい。絶対に拙い」ということは、危機を肌で感じる体質として感じ取っていた。

鼎としては、本来なら敵国の騎士団の一人にノーマという鼎から見たらイケメンがいたので、「ちょっと敵の数を減らしてやろう」とか思っただけである。それに敵が南門を攻めてくるなら、一人でも多く数を減らした方が後が楽……くらいに考えたのである。

狙撃用のスコープが付くと、弾倉を付けられないので通常仕様の64式小銃を城壁に据えて突撃破砕線を確認した鼎が、栗林から暗視鏡を受け取った。

「ありがとー、栗ちゃん」

鉄帽を被ってなければ頭を撫でてたかも知れない猫撫で声で、下位の陸曹を労う。この後、この背の低い女性自衛官がちょっと本気を出したところを目にすることになるが、鼎は未だに栗林という二曹に対して妹感覚が抜けていない。

すると、ロゥリィが伊丹に問うている。曰く、「本当にあの姫さまの下で盗賊と戦うのか」ということだ。

あの姫殿下と伊丹や鼎ら自衛隊は、本来ならば敵同士。盗賊の味方をみてもおかしくないのである。

伊丹は不器用なのか、被っている鉄帽に暗視鏡を上手く付けられずにロゥリィに鉄帽を持ってもらっている。本来ならワンタッチで付けれるものなのだが……。

「それはね、ロゥリィ」

伊丹の代わりにロゥリィに答え始めたのは鼎だった。

「圧倒的な力で盗賊をブチのめして見せて、反抗したら損だってことを教えるためよ」

伊丹からの鼎のヤバい女という評価はここに極まったかも知れない。漫画的な冷や汗を流して「ち、違うんだけどなぁ」と嘯く伊丹を脇に、ロゥリィの瞳が輝いた。

「気に入った。気に入ったわぁ。それ」

ロゥリィは言う。あのお姫様に私たちの戦いぶりを余すことなく見せつける。「自分はこんなのを相手してるんだ」ということを思い知らせ、身震いするほどの恐怖で魂魄を貫くのだと。

スカートをちょんと摘んで可憐に踊って見せる彼女は、魅力的なお嬢さんだ。

「そういうことなら協力させてもらうわぁ。私も久々に狂えそう♪」

鼎が親近感を覚えたのは、言うまでもない。

 

 

*  *  *                      *  *  *

 

 

戦いが始まったのは夜中。陽の出がもう間もなくという頃だ。

「どぉしてここじゃないのぉ!」

盗賊団の襲撃を受けたのは、伊丹達たち第三偵察隊が守る南門ではなく東門だった。

盗賊団の数は精々で600人ほど。崖に面した北川を除いても、イタリカを包囲するには数が足らない。

東門に戦力を集中させ、そこから城市を陥落させる算段だろう。

「隊長。発砲許可を!」

南側の城壁から小銃を取った鼎が伊丹に銃撃の許可を求めた。

「ま、待て待て! 届かんだろ!?」

既に東側の城壁上には賊が見られ、イタリカの兵や帝国の姫殿下に同道してきた騎士、ノーマ・コ・イグルが敵との戦闘に入った。

「有効射程は400mですが“弾自体”は届きます! ドラゴン撃ってこの64(ロクヨン)の癖は掴みました。発砲許可を!」

なにやら無茶苦茶な事を言い始めた部下の女性自衛官の言葉に、伊丹は暫し逡巡する。発砲許可を出して下手して味方に被害が出た場合、許可を出した自身の責任……とか、そういった保身的な内容ではない。普通に考えて当たらない場所に発砲することに意味があるのかと純粋に考えたのである。

だが目の前の女性自衛官は、数々の射撃世界大会で優秀な成績を出した競技者でもある。“誰にも当たらない”程度に牽制することは可能かも知れない。

「良し。発砲を許可する! 味方に当たらないようにしろよ!」

言ってしまったが最後、鼎は城壁の上を東に走り、出来るだけ確かな射撃ポイントを探す。アイツ、恐れるものは無いのか……と、伊丹は思わずにいられない。

気付けば、ロゥリィがレレイやテュカの前で糸が絡まったマリオネットのように悶えていた。

 

 

*  *  *                      *  *  *

 

 

 

「こぉの死にぞこない共がァァ!! どこからでも掛かって来るが良いわあァ!!!」

鼎が言ったのは日本語だったのにも関わらず、連合諸王国軍の敗残兵から身を墜とした盗賊はその言葉に隠された意味を理解し、二歩も三歩も後退った。

女の周囲に黒い瘴気のような物を感じ取ったからだ。こいつはヤバイ。確実に殺(ヤ)られる。意味の解らない女の言葉は、まさに死の宣告であった。

死の雰囲気を纏う女から発せられたのは意味の解らない言葉ではあるが、それと共に発せられた殺意の波動を受けた者には、アルヌスで味わった屈辱と恐怖、そして人の形をした死を見せつけた。

続けて放たれた弾丸は盗賊の頭部を抉り、肉を弾けさせる。64式小銃の威力は肉厚なモンスターをも一撃で斃すことが出来る。それを受けた賊の頭が水果を叩き割ったように弾けたのだ。

その事実と鼎の叫びを聞いた賊は皆、一様に同じ事を考える。この女を相手にしたら、アルヌスの戦いで得られなかったものをまた味わえないまま殺されてしまう。

連合諸王国の兵にとって、アルヌスでの戦いは戦争ではなかった。敵の姿も見えず、何が起きているかも解らないのに味方だけが一方的に倒れていく。自分達が相対する敵がこんな存在だということを教えてくれなかった帝国を憎悪し、自分達を無駄な死に追いやる無能な将帥を罵倒した。

僚友を失い、指揮官を失い、軍を失ってちりじりになった盗賊と呼ばれる存在にまで身を墜とした。やがて、そうした者が寄り集まって盗賊団に至るまでになったのである。

帝国への意趣返し。そんな怨念が彼等を動かした。要するに八つ当たりだ。

剣で敵を斬り、奪い、殺し殺され、わりやすい自分の死。

これこそが戦争。血湧き肉躍る戦争を味わうおう。

そう、彼らには戦争そのものが目的となっていた。

自分たちの満足のいく戦争。わかりやすい殺戮とわかりやすい自分の死。刺し、切り、刺されて倒れるという肉の感触に充ちた戦争。

そういったものを彼らは求めていた。

だが……。

「この死にたがり共がァ! 次、死にてェ奴ァどいつだ!」

魔杖らしき物を掲げた緑の斑色の服を着た女は、彼らが求める戦争をしてくれない。魔杖を向けられた者は多くの場合で頭を粉砕され、戦争の美味を感じられぬままに骸となる。

それ以外でも剣を持つ手か足を砕かれ、何れは死んでしまうような負傷を負わされる者が続出した。

異国の言葉を喚き叫ぶ女は、正に「死」そのものだ。賊徒となった連合諸王国軍の兵は直観した。この女がアルヌスに居座る異世界の軍の兵士だと。

戦いの興奮醒め止まない男が、鼎に向かって剣を振り上げ突貫していく。小銃の弾を切らしていた鼎だが、携行している11ミリ拳銃でその頭部をあっさりと割り、吹き飛ばしてしまった。

のみならず、自身が言った言葉通りに城壁外から弓で射かけられた矢を9ミリ拳銃の弾で弾き、弓引いた者やその周りの者まで撃ち殺す。

既に夜は明け、東門にはロゥリィや伊丹、栗林に富田が到着。列を成して防いだつもりの盾をロゥリィが薙ぎ払い、槍兵に囲まれて足を狙われたところを宙に躱し、ハルバードで賊の刎ねていった。

そのロゥリィを大男が力任せに叩き斬ろうとするが、ひらりと余裕で避けて見せる。

そこに栗林が加わった。銃剣突撃で大男の腹を刺し抉り、そのまま発砲して剣を引き抜く。

ただの小柄な女と見たが最後、斬り掛かっても紙一重で躱されて急所を一突き。斬撃で息の根を止める。

躱す、刺す、囲もうものなら小銃を薙ぎながら発砲して弾丸が賊徒を襲う。

その二人の背後を伊丹と富田が支援。周り込もうとする賊を次々と撃ち抜いていった。

栗林は小銃の弾が無くなったと見ると伊丹に小銃を寄越せと要求。投げて寄越された小銃の代わりに換えって来た栗林の小銃は、斬撃を受けた傷が銃身にまで及び、二脚が握り潰されていたという。

三偵が敵を射殺したり突き殺したり、手榴弾で爆殺している頃には、城外に第四戦闘団の401中隊が来て多くの賊の掃討をしていた。

ピニャ・コ・ラーダの支援要請の下、伊丹が昨日の内に応援要請を出していたのである。

ヘリに付けたスピーカーからワルキューレの騎行なぞ大音量で流して、ちょいと悪ふざけが過ぎると思う。

だが401中隊が来たなら、後の心配はいらないだろう。鼎は再び南門に引き返したのである。

だからその後、コブラの三身ガドリングで東門に居座る賊がミンチになる場面など見なかったのである。




最初に鼎の回想ということで、取って付けたようなエロの御蔭でカトーのおじいちゃん助かりました。
でもまぁ、あくまでも特地男×地球女なのです。
そんで残酷な描写、増えました。この先も度々出てくると思います。1回じゃなかったです。
ホントすまぬ。
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