※この作品はR-18です。

ゲート 飢狼 彼の地にて斯く戦えり   作:庵パン

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すいません。
前回、散々Gだとかグロ注意だとか言ってたのに、
全然グロさは疎かエロさも無いです。
グロいところに届かなかったですっ……!

って、グログロ言ってると危ない人みたいに思われるので自重しますが
温泉回なのでエロさの欠片くらいは入っているかも知れません。

要は、再びDBZ並みの展開の遅さに戻ってしまったワケです……。


○第7話

フォルマル領の道を、三台の車両が走る。

第三偵察隊の車両なのだが、それらは何時の姿と違い、外国から供与された車両による車列であった。

その先頭の車両を運転するのは倉田だ。彼らはイタリカまでの連絡員の任務もあり、後部座席にフォルマル邸のメイド長始め、ペルシアらメイドさんズを乗せてアルヌスからイタリカへ向かう最中なのだ。

アルヌスに建設される食堂、或はPXでは、フォルマル邸から派遣された人員……つまり亜人メイドさんが働き手となってくれる。

今日は働き手となってくれるメイアやデリラ、そしてグリーネらをアルヌスに置いて戻る途中であった。

ペルシアが言うに、メドゥサの少女・アウレアが鼎に掛けた「アシガラ様、先代様ト同ジニオイ、無イデモ無イ」という言葉は亜人好きという意味だったらしい。

倉田は「加齢臭か?」とも考えたが、足柄は加齢臭がするほど歳を取っていないし、仮に加齢臭疑惑があるとしても同僚で上官の匂いを嗅ぐ訳にも行かない。

特地派遣隊の中で特地語が一番堪能な偵察隊とは言え、当時はまだ自信を持って特地語を理解できるとは言えない倉田だったので、アウレアの言った意味が今一解らなかった。

 

 

*  *  *                      *  *  *

 

 

協定違反でイタミより上位の者に謝罪しに来たというのに、ピニャにとっては思わぬことの連続だっだ。

ハザマというジエイタイの長との会合では、次に何が起こるのか気が気で無かったし、ヤナギダとか言う蛇のような嫌な奴に脅かされたが、彼らの砦で受け入れられた待遇は悪い物では無かった。

その上、講話の前段階としての会合で敵国であるニホンにも来れたし、昨晩の内に訪れたイタミの元嫁のリサの元で拝見し、拝借してしまった芸術はファルマートの物と一線を画すものだった。

書いてある文字もニホン語も解らないから、帝国に戻ったら騎士団の中からニホン語研修生を募集する必要もある。

当然、ニホン政府なりアルヌスにあるジエイタイと幾つか話を擦り合わせなくてはならないのではあるけれど。

ニホンで驚いたことは多いが、あらゆる本を収集して一般に開放する“としょかん”なる

施設にも驚かされた。

ピニャの世界では本は一般の個人で読むことが殆どない貴重なものである。

驚くべきことは更にある。

“としょかん”に来て気付いたのだが、この国の国民の識字率は異常に高い。

トミタに聞いてみれば「全ての国民が6歳から6年間の初頭教育を受け、その後の3年間も中等教育を受ける権利を持つそうだ。

しかも、親は子供に教育を受けさせる義務があるのだと言う。

ピニャは、国民の教養が国家の力であると理解した。

外つ国の字や言語は未だ一般的ではないとトミタは言うが、それを除いても日本の国力を知るには十分である。国民の教養は国家の力を知る物差しになる。

イタミとリサの話からすると、リサ個人が本を出版しているとのことだからピニャの世界より出版は身近なものらしい。

その様子や課程を知らないピニャとボーゼスは、驚嘆することしか出来ない。

ピニャにとってリサは正に導師号を持つ賢者と相当する存在……いや、その中でも芸術を生み出す稀有な存在、最上位の神とも言える存在と言える。

“としょかん”で芸術を発見することが出来なかったのは残念だが、ピニャとボーゼスを案内したトミタも二人が探し求める資料がどういったものか解らずに困っていた。

 

一方、鼎はと言うと……。

「よし、今日は遊ぶぞ!」と言い出した伊丹に、一瞬あっけに取られながらも都心散策することに、特段異議は無い。次の休暇の時の下見にもなるからだ。

「だがちょっと危なくない?」と思うのは、昨日から工作員に付けまわされてきた鼎をして無理からぬことである。

だが、人混みの中では工作員も迂闊に手が出せないという推論にも頷ける。買い物に興味が無かったロゥリィも、伊丹の元嫁の理紗から下北沢に良い(ゴスロリ系ファッションの)服屋が有ると聞いて行く気になったらしい。勿論、レレイによる通訳を通しての会話だが。

伊丹はと言うと、個人的な用事で単独行動だ。

オタク仲間に会う用事でもあるのかも知れない。……という鼎の予想は惜しい所まで合っているのだが、キャラ物のダボシャツに肉食性猛獣の穴的な同人誌ショップの手提げを持つ肥満体を想像してしまった彼女である。

伊丹は「14時に新宿駅アルタ前広場で集合。その後は箱根の温泉」という。

この状況で自衛隊共済の温泉旅館まで行こうとは。これが障害を突破する特殊作戦群魂であろうか。

鼎は栗林、理紗と特地三人娘の一行で、先ず渋谷に繰り出した。

昨夜は銀座駐屯地からバスで出て、国会が終わった後は地下鉄で移動し地上に上がった時には陽は暮れていたし、その後も外国人工作員を警戒し続けてきた。

昼間の都市というのを三人娘が間近で見るのは初めてだ。案の定、驚いている。

と、言うよりも人の多さに驚いてテュカなんかは目を回してしまっている。この場で倒れてしまっては困るので、鼎は空いてる方の腕をテュカの腕と絡ませて引き寄せ、指を絡めるように手を握る。

その鼎自身、近くで祭でもやってるんじゃないかというくらいに人が多いのだが、島根から東京に行った友人の話でも都心はこれが通常モードなのだろう。

栗林やリサに田舎者と思われては恥ずかしいし、一応ながら上官としての威厳もある。

「人が多いけど特地三人娘の警護、頑張ってますよ」の体(てい)で渋谷散策を乗り切った。

実際、見るかに異国人という人間も少なくないのだ。

鼎は人種差別や民族差別はしないように努めているのだが、今の状況では警戒せざるを得ないのだ。

「足柄さん」

渋谷の街を行く中、栗林が鼎に声を掛けた。

振り向くと、鼎が持つ色付きCPP袋についての質問が飛んで来る。

「あぁ、これ? これは夏物の服だよ」

「そっちのハードケースは?」

「ただの秘密兵器だよ」

鼎にとってはCPP袋の中身も対ノーマ用の秘密兵器であるのだが、純粋な兵器はハードケースの中身だけである。

道すがら商店街のように立ち並ぶ衣料品店に立ち寄り、特地の少女達は気になった衣服を当ててみている。

レレイに関して言えば、テンションが高いのは本人より理紗である。何が堪らなかったのか、着ていた服を悪代官のように脱がせてアレやコレや、色々な服を着せてみている。

無表情のレレイが退いていると鼎にも解る程に、(ギャグ的な意味で)偏執的だ。

店内には昨日の国会中継を見た人も少なからずいたようで、店の中はちょっとしたファッションショーだ。従業員も昨日の国会中継を見ていたようで協力的である。

なにせ、異世界の美少女だ。促販にもなる。

鼎としては、白ゴスロリを着たロゥリィが凄く良かったと思う。

 

 

*  *  *                      *  *  *

 

待ち合わせは午後二時、新宿アルタ前。

ピニャとボーゼスはお目当ての物は見つからなかったようだ。消沈し肩を落としている。図書館に案内した富田まで肩を落としているのだから、やはりこの富ちゃん、ボーゼスとデキてしまったというのか。

一方の三人娘は色々買い漁ってしまっている。

テュカはコンパクトボウ。自然児であるテュカからしても、こちらで作られた弓は使いやすいようだ。彼女は「ニホンの弓はスゴい」と褒めそやしている。

レレイは十数冊に渡る本が入った紙袋をぶら提げ、ノートパソコンをその腕の中に抱えている。電源は、まぁ自衛隊施設にもあるし、73式小型トラックのシガーソケットを電源に変換するインバーターも買って隙は無い。

ロゥリィは目立たないように見えるが、手提げの紙袋の中には黒いフリルや数々の衣装と思われる塊が入っていた。そして網タイツを買って既に着用済みである。

「向うじゃ誂(あつら)えるのも大変なのよぉ」

とのこと。確かに特地で網タイツを誂えるのは、お針子に一層負担が掛かりそうだ。

伊丹は呆れるやら、図書館に時間の大半を費やしたピニャとボーゼスは羨ましそうに見るやら……。

ちなみに理紗も色々買い込んで、伊丹からの義援金の殆どを消費したと思われる。心なし面目無さそうに宣うのは「冬の同人誌即売会まで持てば良いのよ」とのこと。

何も買わなかったのは鼎と栗林だけだ。

もっとも、鼎が欲しいものは昨日の内に買ってしまっているのだが。

 

 

*  *  *                      *  *  *

 

箱根の温泉宿【山海楼閣】に辿り着いた伊丹一行は、先ず温泉に入ることにした。

鼎も過去に、片手の指で数える程ではあるが【温泉旅館】という物に行ったことはある。

その際は先ず売店の場所を確認して、それからゲーセンの場所を確認して、それから避難経路の確認である。

気楽に宿の中で買える菓子の種類の確認も忘れない。

だが、今回は家族旅行や個人の旅行でもないので温泉が優先された。

陽が沈まない内に入ろうという意識でも働いたのかも知れない。鼎や栗林、それに特地の女性らは温泉に入ろうと脱衣所に向かった。

「く、栗ちゃん。その胸の中には一体何が入っているんだっ」

来て一番に衝撃的だったのは、栗林の巨乳である。ピニャやボーゼス、三人娘も興味津々だ。今のところ、帝国の二人はブラジャーの構造に興味が向いているから、確かめるなら今しかない。

アルヌスにも風呂はあるのだが、鼎と栗林がそこで会うことは今までなかった。今この時が正にファーストインパクトである。

「どうなっているのか改めさせなさいっ!」

ロゥリィが間近で注目しているのに退いてしまっている栗林の双球を、わしわしと鷲掴み。鼎も女であるから、急に揉まれると痛いのは知っているし、痛くしないように鷲掴んだのだが、そこにロゥリィ、テュカ、レレイまでもが参戦する。

果てやピニャとボーゼスまでもがちびっ子巨乳に無礼を働くという有様だ。しかし彼女達は理解する。

栗林の巨乳は爆乳であり、紛れもない天然物。鼎は愕然とした。

ちびっ娘爆乳なぞ男の大好物。

この女が少しその気になれば結婚相手に困ることは無いだろう。

 

浴室に入ると異世界の女性達は、驚いていた。

帝国のお姫様には見馴れた物かと思ったが、「泉を風呂にするとは」と驚いていた。

このサイズの泉や池はあるようだ。

少し投げやりなコメントになってしまったが「このような風呂がこの世にあったとは」「殿下、ここは異世界です」「そうだった」という会話は少し前にも言っていた。

彼女らの持ちネタ化していて鼎的には中々面白いので、追記しておく。

露天温泉に入る前に身体を洗っていると、テュカはレレイと。ロゥリィは栗林と。

帝国のチームはそれぞれ頭で洗ったり背中を流している。鼎もそれに見習って一人で身体を洗いだす。

だがその時、ロゥリィは何かが覗いていることに気付いたようだ。

「なッ!?」と栗林は驚き、真っ先に伊丹を疑ったようだが、オタク嫌いが故の推理(とは言えないが)なのだろうけど伊丹が気の毒過ぎる。

レレイはというと、義姉が室内で身体を洗う時は覗きを警戒したものだが、レレイ自身は村の井戸で普通に洗っても誰も気にしなかったらしい。

たぶん、レレイはこれからである。成長のスピードは個人差……である。

テュカは森の奥の泉まで、苦労しながら水浴びに言ってたそうだ。流石は森の妖精。

というか、水の精霊を呼びだして水浴びとか出来ないのだろうか?

ロゥリィは「そんなに見たいなら瞼を切り取ってあげるから、永遠に見てろ」とのコメント。ホントにやりそうで怖い。

「まぁ男は本能的に女の身体を求めるものだから、少しは大目に見てあげても良いんじゃない?」

という鼎は、基本異性に飢えているのが解るので、ロゥリィには殊更大目に見られた。

そして、鼎にはロゥリィの言う『視線』の主に心当たりがある。

鼎が市ヶ谷で渡された銃は、とても市街地で使える物ではないのだ。

使える場面は限られる。

それは、今、自分達がいるような都市から離れた山中である。

伊丹が単独行動をしたのも、国の大臣クラスの人間に会ってたのかも知れない。特地からの来賓が行方不明になったのに、日本政府が動かない筈がないのだ。

それに、今の防衛大臣は漫画読みとして国民からも知られている加納太郎である。伊丹も特殊作戦群出身だし、単独行動の時に接触したのかも知れない。

ならば、ロゥリィの感じた『視線』は特戦群の隊員かも知れない。

頭と身体を洗い終わった鼎は、湯舟の前に立つと腰と頚の後ろに手首を当て、身体をくねらせたり膝に手を当て胸を寄せてみたり……。

「カナエ、何してるの?」

皆を代表してテュカが問う。

「将来とかにさ、旦那との初夜でどう魅了してやろうかな~~、っと思ってさ」

とは口では言うが、その実「言い寄っても良いのよ」という、見ているであろう彼等へのメッセージである。

最も、見ているのは偽装飛行船の第三世代暗視装置とハイビジョンカメラだけだが。

そしてその映像が送られる先の市ヶ谷駐屯地の地下に存在する『情報管理運用ルーム』に送られ、そこで不評を買っていた。

「伊丹の隊にあんな場違いな女がいたのか……。えっ、自衛官? 足柄 鼎?」

そんな会話が嘉納と指揮運用担当の竜崎という二等陸佐の間で成されたとは、よもや知る訳が無い。

覗きの話題は更に続くのだが、ピニャ達の覗きに関するエピソードは斬新だった。

騎士団軍営の浴場を思い出すと言う。

「覗こうとする我らと防ごうとする彼らとの攻防戦――――」

「殿方が互いに友誼を確認しあう姿はそれは美しいものでしたね……」

それが聞こえていた栗林はドン退きである。鼎も漸く理解した。薔薇は薔薇でも腐った方の薔薇だと。

昼間は芸術を見に図書館に行ったそうだが、一般の図書館には無いゲイ術の資料を探しにいったのだと気付いたのだ。

腐ってやがる。早過ぎたんだ……とはどこかのト〇メ〇アのオッサン士官ではないが、言ってしまう。だが、これは騎士団に入団した彼女達の元からの腐女子気質で、運命というものである。

理紗もそ(●)っ(●)ち(●)系の同人誌作家である。きっと薔薇騎士団の彼女達には賢者以上の存在として見られるのだろう。

 

湯船に浸かると、それからは恋バナだ。

栗林は理紗が伊丹と結婚したことが未だ信じられないらしい。

「どうしてあんな人と結婚したんです」

という拘りは、日本語を理解する皆が穿ってみてしまう。「もしかして気になるの?」と。

理紗もそれを聞くが、栗林は否定で打ち消した。

曰く「自身と同等以上に強い男でないと付き合わない」らしい。イタリカで見せたC(近接)Q(格闘)C(術)に到達し、越える男が果たしてこの世に何人いるのかというところだ。鼎以上に結婚で難儀する気がする。

理紗曰く、彼女は以前から貧乏同人誌作家だったようだ。

そんなある日、伊丹と呑んだ勢いで「養ってください。結婚してあげますから」と言ってしまったらしい。

それで結婚する伊丹も伊丹なのだが、まぁ隊の中でも奇特な感覚であるという評価は以前からのことだし、それ不思議に思われることは無かった。

「足柄さんは?」

どういう人が好み? と聞く理紗だが、鼎は栗林ほど高いハードルは設けてないと答える。

「まぁ強いて言えば、野生の狼みたいに隙のない男性が良いですねぇ。尚且つユーモアも付き合い易いのが」

あと馬程とは言わないが、股間にぶら提げるモノが大きくあって欲しい。イケメンなら猶、好し。

それは流石に言わないのだが、鼎の考える条件というのが中々に合致した男性が中々いないのである。そもそも「狼っぽい」という所からハードルが高めだったりする。

 

 

*  *  *                      *  *  *

 

 

温泉から上がった一行は夕飯となるのだが、鼎は温泉での最後の出来事を忘れることが出来ない。恋バナのとある部分で「ボーゼスさん、富田ちゃんとはどうなの~?」と聞いたのは栗林である。

気にしないように見えて、やはり同僚の恋路が気になるらしい。

が、ボーゼスは「男女間の交際は騎士団では禁止されている」と、湯に火照ったのか別の理由で顔を赤らめながら答える。

否、答えようとした。だが――

「無粋なことを申すな。妾もボーゼスがどのような男を好むのか興味がある」

とピニャが背後からの乳揉みを敢行する。

ピニャが、同僚の女騎士の胸を背後から乳揉みである。

大事なことなので二回言ったが、薔薇だけではなく百合の素養も十二分に感じさせる。

「で、殿下っ。ご勘弁を~」

それが帯を引かれて回される綺麗処と被って見えてしまったり。

「お姉様、ご勘弁して下さい」

どこぞの少女小説のようなセリフが漏れたりと、非常にフリーダム。

「勘違いするな。妾は師弟関係の姉妹縁だ」

とピニャは言うが、それだけなのか穿ってみたくもなる。薔薇騎士団は自由過ぎるレベルの高い組織のようだ。オタク的意味で。

 

で、肝心の夕餉(ゆうげ)はフレンチであった。

聞けば板前が盲腸炎になって、急遽その息子に作ってもらったのだが、彼はフレンチレストランのシェフだった。

山海楼閣という屋号でフレンチかよ、というところだが「夕飯は無し」という訳にも行かない。

皆食べたのだが、ピニャやボーゼスは甚く気に入ったようだ。そもそもこの二人は、帝国貴族の中でも高い身分の階級の者である。ピニャは今更説明する必要もないが、皇帝の娘だ。

仲居さんを通じて料理長を呼んでもらい、褒め称えたのである。

流石貴族、歪みねぇ。

 

 

*  *  *                      *  *  *

 

 

「ちくしょう。相手はガードマンに毛が生えたような連中だったんじゃなかったのかよっ。これじゃ話が違うだろうっ」

冷静沈着な筈のロジャーが、言葉を吐き捨てる。

クワイドル・ハイデッガーは作戦の失敗を悟っていた。彼等が知らぬ由もないのだが、中国やロシアが先日から特地来賓の乗るバスや地下鉄、それにホテルに放火していたから、ここに来て日本は最大の防衛体制を敷いていたのである。

既に10人ものCIA局員が特殊作戦群によって排除されている。極東方面日本支部で使われる局員の消耗としては、これまでに無かった最大のダメージだ。

チームリーダーのチャックに撤退を進言するが、チャックは首を縦に振らない。ハイデッガー含む残りの局員を待機させ、通信機でどこぞと相談を始めた。

「ロジャー! キム! 迂闊に動くなよ……ゴールドマン、タナカは生きてるか?」

「駄目です。眉間を撃ち抜かれてます」

日本人は銃を使うのを躊躇うと聞いていた。撃ったとしても、手足や命に影響のない場所を狙ってくるとも。

だがどうだ。この山の中にいる日本の特殊部隊は真っ先に頭を狙ってくる。聞いていた話や自らの過去の経験とも違う。それだけに日本の容赦無さが感じられた。

「よし、上の方で話はついたようだ。もうしばらくすると自衛隊は撤退するはずだから、そうしたら予定通り来賓を迎えに行くぞ」

チャックは何ごとも無いように言う。

「なんだって!! 予定通り!? これだけの損害が予定の範囲内だっていうのかよ!!」

「今回、ホワイトハウスは貴重な切り札の一枚を使った。本来なら別の機会に使うべきカードを、無能なお前らのためにな」

ロジャーが怒り掴みかかろうとしたが、ハイデッガーが割って止める。

「いい加減にしろロジャー。まだ作戦中だ。チャックも口を謹んでくれ」

特地に行ってるふやけた感じの奴なら、ここで「チャックもお口にチャック」とか言ったかも知れない。

いや、言ったな。チャックなんて名前の奴がいるという機会が、日本人には無いに等しい。今後何時訪れるか解らないこの状況を、ネタに変えない筈がない。

 

 

*  *  *                      *  *  *

 

 

栗林と理紗が近くのコンビニから酒類・おつまみ類を(酒類多めで)買って来て、呑んでいると次第にカオスになってきていた。

ピニャやボーゼスに『ワイン』を出すと、これがこの世界の果実酒かと彼女らも参加する。

ロゥリィやテュカは既に参加済みであったが、本を読んでいたレレイまでもが「呑み込みが悪いぞぉ」と言われて強制的にビールを若干正味。もはやサバトと言って良い。

そんなところに栗林とロゥリィによって、隣の部屋から伊丹と富田が拉致されてきた。着慣れない着物を着ていて、ピニャもボーゼス……とくにボーゼスの着衣が乱れまくっていた。

「あの、ボーゼスさん。下着が見えてしまって……」

酔っぱらっている女に不用意なことを言うものでは無い。

「ほんとは見たいんでしょぉ」とか

「ムッツリスケベ!」とか

「自己反省しろ!」とか

「布団部屋に連れ込んでムフフする気だろ!」とか

「リア充もげろ!」とか

濃すぎる弾幕を浴びた富田は轟沈。部屋の隅っこで沈黙してしまった。これは危なすぎると目立たないように努め、茶碗一杯の日本酒を静かに口に含む伊丹だが

「やいイタミ!」

と、背中を叩かれながら誰かに呼ばれた。誰かと思えば(というか声で解るが)栗林である。やはりというか、今更言うまでもないがこいつも酔っている。

「たいちょぉ!」

叩かれた拍子に酒を噴き出して、咽る伊丹に栗林は話があるようだ。

「紹介してくだはい!」

呑み過ぎで舌が回ってないのだが、要は特戦群の独身隊員を紹介して欲しいらしい。

 

そんな手があったか!!!!

 

栗林は自分以上の強さを持った男しか相手しないと言ってたが、その条件さえ引っ込めば引く手数多だろう。鼎が浴場で欲情しながら男を誘うような、リスクのある方法は取る必要なのである。

 

  や ら れ た ! !

 

脳筋爆乳娘と呼ばれてはいるが、やはり恥じらいを持って動くべきであった。

栗林は話が纏まったらしく「やったぁ!!」と万歳……というか拳を天に突き上げる。

突き上げたら、その拳が伊丹の顎に入った。

敢えて言う必要もないが、完全なるアッパーカット。

寝る訳には行かない鼎の前で、伊丹は“気絶”という形で意識を手放し睡眠に入ったのである。

 

 

*  *  *                      *  *  *

 

 

寝る訳にはいかない鼎は、眠気を妨げるために“空想”という形の手段に頼った。

要は「妄想」である。

特地に行ってピニャが日本語習得の為に騎士団メンバーをアルヌスに派遣したら、毎夜毎夜ノーマとアルヌス南の森でムフフ。と、いったような事を夢想するのである。

或はエルフの少年チンポを手扱きか……手扱きしてしまうのか!?

母乳は未だ出ないが、手扱き授乳という想像しても身体の底が疼く。

……と、思ったら、ロウリィが部屋の奥の縁側を模した窓の付近の藤椅子に腰を掛け、琥珀色の酒を飲んで悩まし気な溜め息を吐いている。

そろそろ「客」の対応をしなければならないかも知れないのだが、幼いように見える961歳が月の光を肴にカランとグラスに注がれた酒を呑む姿に見惚れてしまった。

いつもなら黒いゴスロリ服なのだが、今は浴衣に丹前を着て、そこから伸びる白い腕や足、肌には染みや傷一つ無い。

その手前に、動く者がある。伊丹だ。考えてみれば、サバトから逃げるには寝てしまうに限る。鼎のように、暗に外国工作員の侵入を知らされてなければ起きている理由も無いのだ。

それが今起きたのは、このところブン殴られ過ぎて慣れたのが原因かも知れない。

ロゥリィは伊丹が起きたのを見つけて指で誘い、伊丹もそれに応えるように身を起こす。

が、レレイが伊丹の腰にくっ付いてたようだ。「チッ…!」というロゥリィの舌打ちはは聞かなかったとして、懐かれ過ぎじゃね? と思う。

伊丹は彼女の白い手を優しく解き、乱れた毛布を直すとロゥリィの藤椅子に向かい合って腰を下ろす。

ロゥリィは13歳ほどの外見年齢だが、今の様子は男なら背徳的な興奮を感じる。変態なら手を出そうと思ってしまうかも知れない。鼎は伊丹がオタクでも紳士と言う名の変態であることを祈る。

だが、状況は鼎の予想にない方向に行ってしまった。

「この、すぐ近くで誰かが戦っているでしょぉ?」

イタリカ戦の後、鼎も戦死者の魂はロゥリィの身を通して戦いの神の元に召されると現地住民から聞いてはいた。

だがその際に、ロゥリィに媚薬のような作用を齎すとまでは聞いていない。

「お蔭で全然眠れないのよぉ。どうしてくれるぅ?」

なぜ伊丹に聞くのか? それは一体どういう意味なのかっ? 鼎の神経は自身の妄想から、完全にロゥリィと伊丹の一挙手一投足に注意が向いてしまった。

「どうしてくれるって言われてもな」

「蛇の生殺しよぉ。私に殺らせるか、いっそことヨージがなんとかしてよぉ!」

行き成り下の名前を呼びやがったっ。この神様、当りが激しいッ!

「なんとかっ、て? なにをせよとおしゃるんおでせうか?」

完全に伊丹の声は上ずっていた。もう一押しである。ロゥリィ聖下。もう一押しでありまする。

「言わなきゃ、わからないぃ?」

「こ、この国には刑法とか、児童福祉法というものがあってな。子供に、そういう対象としてはいけないということに」

「あら、わたしぃが子供ぉ?」

「み、見た目は立派な子供だろ。少なくとも世間様はそう思う」

ロゥリィは儀式的に周囲を見回して「世間様なんてどこにも居ないわぁ」と言おうとしたが、友人であるが世間様かも知れない鼎の目が光っているのを見つけた。

「あ、私には構わず、どうぞ、続けて、最後までしっぽりと」

「あ、足柄っ」

伊丹は何やら抗議したそうだが、鼎は言う。

「ちょっと珍しい形のおねショタですから。何も問題ないです。さ、客が来る前に早く済ませて」

そんなことを言うし、伊丹のケータイが鳴るものだから、ロゥリィはすっかり興が醒めてしまった。




次こそグロあるよ!
ぶっ放すよ!
アニメ版だとそこで一旦御終いですが、こっちでは地震まで書きたいですねぇ。
あとアニメの続編……

その次くらいに放送されていたワンパンマンの二期が告知されていますが、ゲートの続編はまだ告知がありませんね。
ですが、まだ大丈夫。
種田さんの復帰が今年の夏ですから、まだ慌てる時間じゃない。
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