※この作品はR-18です。

カルデア女英霊奪還作戦   作:野比のび太

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カルデアからのビデオレター 2

 

 カメラはカルデアの食堂を映していた。食事時には多くの人々で賑わうそこも、今は閑散としており食事を取る者の姿は見受けられない。厨房で仕込みを行いつつ、新メニューの開発に勤しむタマモキャットだけの姿だけがそこにあった。

 ……訂正だ。彼女の新作料理を今か今かと待ち侘びているランサーのアルトリアの姿もある。大食いである彼女が味見役を買って出たのか、それとも勝手につまみ食いをしているのかは判断がつかないが。それでも次のインタビュー相手を見つけ出せたことは確かだ。

 2人に声をかけ、それぞれの作業を中断させつつ、温かい飲み物を用意して貰って適当な座席を取る。そのまま、今度はクロエがカメラの前に出て、リポーターの様に話し出した。

 

「えっと、ここがご存じカルデアの食堂で~す! 食事を取る以外にも談話や予定の確認など、それぞれがコミュニケーションを取るために使われてるわ! ま、普通と言えば普通よね」

 

「……本当は、もっと多くの人が居たはずなのよね。料理を作る側も食べる側も、もっと多くの人が居たはずなのに……」

 

 あの襲撃で連れ去られた者や命を落とした者。今はここに居ない、もう戻っては来られない人々の顔を思い出す一行の表情が曇る。どれだけ努力しても取り戻せないものがあることを理解してはいた。だが、それを改めて自覚した時に暗い気持ちにならない訳では無いのだ。彼女たちは英霊ではあるが、英霊にも感情はある。交友を持った仲間が消えて、悲しまないはずが無い。

 少しだけだが、4人しかいない食堂の空気が重くなった。そんな空気を振り払うのは、いつも通りの調子で明るく語るタマモキャットの声だ。

 

「今はその話は良いだろう。我らが暗くなっては、カメラの向こう側が明るくなる。それでは意味が無いという奴だ」

 

「……その通りね。ごめんなさい、アタシたちの方が暗くなっちゃ駄目よね」

 

「うむ、その辺は無理にでも明るく元気に行くべきだワン! 笑う門には福来る、元気が一番だと偉い人も言っていた様な気がしなくもない!」

 

 無茶苦茶ではあるが、励ましの言葉を口にしたタマモキャットはエヘンと胸を張って得意げにほくそ笑んだ。その明るさに救われた面々は、徐々に沈鬱な気分から脱して気分を回復させる。

 今、自分たちが何をすべきかを思い出し、そしてそれを行うことが死んでいった仲間たちへの手向けになることを信じて、改めてオルタたちは撮影を再開した。

 

「ここはカルデアの食堂。食事を取り、談話し、一時の休息を楽しむための場所……まあ、普通なら説明するまでも無いわよね」

 

「ですが……今の貴方たちには説明が必要でしょう。雌奴隷として生きる今の貴方達には、この言葉の意味を語る必要がある。食事とは? 談話とは? そして休息とは? ……貴方達が言葉としては知っていても、既に遠く経験していないその行為が何であるかをお教えしないといけませんからね」

 

 アルトリアの言葉が響くと同時にカメラの映像が変わった。閑散とした食堂の光景が人で一杯になり、集う人々が食事を乗せたトレイを手にして食卓を囲んでいる。職員やマスターの顔には疲れの色が出ているも、それでも楽しい食事の時間をリラックスして過ごすことが出来ている様だ。

 サーヴァントたちも思い思いの料理を選び、仲間内での会話を楽しみながら食事を取っている。友人同士で料理をシェアする者もいれば、こっそりと隣に座っている仲間の料理をつまみ食いして取っ組み合いの大喧嘩に発展する者たちもいた。わちゃわちゃとした統制が取れていない食堂だが、それがとても明るい空気を作り出している。有体に言ってしまえば、()()()()の一言に尽きた。

 

「食べ物を摂取することで体にエネルギーを与え、仲間と食卓を囲んで会話することで精神の安定を得る。美味しい料理は食欲を増加させ、食べる者の笑顔を生み出す。心身共に活力を得て、新たな戦いに臨むための力を生み出す場所がこの食堂よ」

 

「サーヴァントには食事は必要ない。であるならば、これが無駄な行為であると思う者もいるでしょう。そちら側では、魔力供給をコンスタントに受ければそれで良いと考える者が大半なんでしょうね」

 

「でも、そんなことは無いわ。だって、食事はただのエネルギー摂取が目的なんじゃないもの。当たり前の幸せを実感するために必要な行為なのよ」

 

 食事時のカルデアの映像が流されているせいか、ジャンヌ・オルタたちの姿は画面に映し出されてはいない。しかし、淡々と響くその声は、逆に楽し気な食堂の雰囲気を盛り上げる効果を発揮していた。

 温かい食事と和やかな笑顔、それらを見る女英霊たちは心のどこかで飢えを感じ始めていた。空腹、という意味の飢えではない。もっと根本的な何かを求める飢餓感が自分たちの中から湧き上がっているのだ。

 

「……ねえ、あなたたちが最後に温かい食事を口にしたのはいつ? 仲間同士でこうやって食卓を囲んだのは? 楽しい食事の時間を過ごしたのは、一体どのくらい前なの? 精液からの魔力供給だけを受けて、食事なんてまともに取って無いでしょう?」

 

「確かにそれは非常に合理的な方法だ。男たちは性処理を行え、女英霊たちは魔力を与えられて活動に必要な力を得られる。一日中、休憩を挟まずに代わる代わる犯されていれば、魔力は溜まる一方だろう……しかし、そんな生き方をしているお前たちは、大切なものを失っている。それが、()()()だ」

 

 アルトリアが発した単語の意味を理解出来ない女英霊たちは、小首を傾げていた。だが、彼女たちの言葉から耳を離せなくなっていることも確かであり、この映像がじわじわと彼女たちの心を侵食していることは明らかだ。

 やがて、幼いクロエの声が大広間に響き始めた時、彼女たちの耳は、クロエのその言葉を一字一句逃さぬ様、必死になって音を拾う様になっていた。

 

「人間にとって、ご飯を食べるのは当たり前のことなの。サーヴァントには神霊もいるけど、その人たちだってご飯を食べて幸せだって思うことは間違いないでしょう? 例え使い魔たるサーヴァントになってもその幸福は変わらない。だって、生前の経験から食事は幸せだってことが記憶に焼き付いているんだからね」

 

「だから、こうやって皆で食卓を囲んで美味しいご飯を食べる時、私たちは皆で幸せを共有出来る。ずっと前から知ってる、この当たり前の幸福の中で安心感を得られる……その幸福を味わえないとどうなるか? あなた達の中にも理解している人もいるんじゃないかしら?」

 

「飢餓感を感じる人間は、空腹を満たすためなら何でも口にしようとする。ドブネズミだって、ゴキブリだって、普通の人間が食べない物を生きるために口にしようとする。それが、人間性を失うってことなの。生きるために人としての在り方を捨てれば、もうその人は壊れ行くしかない……そうなったら最後、何が幸福で何が不幸なのかを理解出来なくなってしまう。海の中で方向感覚を失ったのと一緒、浮かんでいるのか沈んでいるのか、自分がそのどちらになっているのかもわからないままもがき続ける他なくなっちゃう。……ね? 辛そうでしょう?」

 

 少しずつ、クロエの言葉が女英霊たちの心を掴み始めた。まるでこの場に居ないクロエの手に脚を掴まれ、海の底へと引っ張られる様な錯覚を覚えながら、彼女たちはクロエの話を無意識の内に聞き続けている。

 

「人間性を失えば感情が消える。感情が消えれば幸福がなんなのかがわからなくなる。ねえ、あなたたちは今、幸せ? ソロモンに従って、彼や部下の男たちに抱かれることが何よりも幸せだって、今の生き方が何よりも幸福なんだって、胸を張って言い切れる?」

 

「人として、女として扱って貰えない。ただの肉便器として一日中犯され続ける。休憩は無い。信頼出来たはずの仲間たちを蹴落とすことを強いられる。誇りや尊厳を捨てさせられて、代わりに与えられるのはまやかしの悦楽と心が千切れそうになる程の屈辱だけ……そんな生き方が本当に幸せだって思えるの!? なら、その幸せが何をくれたの!? 考えてみてよ! 今の自分が、本当の自分なのかを!!」

 

「そんなの本当の幸せじゃない! その証拠に、あなたたちの淫紋令呪は再臨を果たしていないじゃない! 快楽と幸福感を得られれば再臨するはずの淫紋令呪がそのままだってことは、あなたたちの何かがこんな人生は嫌だって叫んでる何よりの証拠じゃないの!? 思い出しなさいよ! サーヴァントは使い魔だけど、感情や意思のある存在でもあるの! 本当に……その生き方で良いの!?」

 

 泣き叫ぶ様なクロエの声。その表情は見えずとも、彼女が今、必死になって自分たちに呼びかけていることは良く分かった。逆に、その痛ましい表情をカメラに映し出さないことが、女英霊たちの心をより深く抉っていたのである。

 クロエの叫びは彼女たちの心に僅かな日差しをもたらした。その光は、完全に消え去っていた女英霊たちの人間性を取り戻させ、それと同時に疑問を抱かせる。

 本当に自分たちは幸せなのか……? 疑う余地もないと思っていた幸福感が、彼女たちの中で崩れ始めた。ソロモンの命令に従うこと、彼に抱かれることが至上の幸せだと思い込んでいた彼女たちの中で疑念が芽生え始めていた。

 植え付けられた幸福観。教えられた自分たちの存在理由。それらに従って自分たちは生きて来た。ソロモンに抱かれるために仲間を蹴落とし、誰も信用せずに肉奴隷として生き続けて来た。だが、今考えてみれば、それが何を与えてくれたのだろうか?

 クロエの言う通り、自分たちは何もかもを捨てた。そうしてソロモンに従って来た。だが、その結果に残ったのは誰も信用出来ない状況から生まれた孤独感と生臭い精液を浴びせられる性交の時間だけ……生前やカルデアで過ごしていた時とは遥かにかけ離れた生活を送る自分の姿を認識した女英霊たちは、愕然とした様子で硬直していた。

 

「お腹、空いた……温かいご飯が食べたいよぉ……!」

 

「独りぼっちはやだ……! 皆と遊びたい……!」

 

 浮かび上がって来た素直な欲求を抑えられず、幼い英霊が涙を零しながらその思いを吐露した。その瞬間、鬼の様な形相を浮かべたソロモンによって彼女たちは弾き飛ばされ、自分たちが何をされたかも理解出来ないままに意識を飛ばす羽目になる。

 欲望を口にすることすら、自分たちには許されないのか……幼い子供が吹き飛ばされる光景はそれを見る者にショックを与え、仄暗い失望感をソロモンへと抱かせるに至った。

 

「……カルデアには幸せがあるわよ。確かに状況が苦しくって、毎日大変で、辛いことも沢山ある。でも、ここに戻って来て、私たちは当たり前の幸せを取り戻せた! 温かいご飯を食べれる幸せ。裏切られる心配をせずに誰かと話せる幸せ。好きな様に動いて、好きな時に笑える幸せ。全部取り戻すことが出来た! ……一度裏切って、皆を殺そうとした私たちをカルデアの皆は受け入れてくれたわ。マスターだけじゃない、私たちはこのカルデアの皆に感謝してる! 意思のある一人の女の子として、私はカルデアのことが大好きだって思える! だから……私たちは頑張ることが出来るの! 心の底から大切だって思うものを守ろうと思えるから!」

 

 笑顔が溢れる食卓と湯気が立ち上る温かい食事。少し前までは普通に生活に組み入れられていたそれが、今はもうずっと遠くの過去の様に感じる。今の今まで求めるどころか記憶の中から消え去っていたのに、映像を見た途端に心と体が羨望の感情を抱き始めてしまった。

 クロエの言葉を耳にする度、心が痛くなる。心の底からの感情に対して、心の表面に植え付けられた薄っぺらい感情がひびを入れ始める。絶対的な価値観が崩れ、自分たちが何を求めているのかがわからなくなるほどにまで、彼女たちは混乱し始めていた。

 

 そして……そんな彼女たちに追い打ちをかける様に映像が切り替わる。今度は正面からタマモキャットの顔を映し出したカメラは、真面目な彼女の言葉を音声に乗せ始めた。

 

「この映像を見ている者に問おう。お前たちは何の為に存在している? ……性処理以外にその理由を見出せぬなら、とっととその四肢を切り落とせ。そんなもの、お前たちには必要ない。穴と乳が有れば良いのだからナ」

 

 タマモキャットの問いに同じ答えしか思い当たらなかった英霊たちは、ビクリと体を震わせて俯いた。戦いに駆り出されもしない今、彼女たちの存在理由は男たちの性処理のみであり、それ以外の価値などないと心の中に刷り込まれてしまっていたのだ。

 聞くものによっては冷酷にも聞こえる言葉を口にした後、タマモキャットはふんと鼻を鳴らして胸を張る。その表情は怒りを感じると共にどこか誇らし気で、それだけでも彼女が自分たちとは圧倒的に違う存在なのだということは理解出来た。

 

「ならば、そういうお前はどうなのだと思う者も居るだろう。その問いにアタシはこう答えよう。キャットの存在理由は、皆の健康を守ることだと。美味しいご飯を用意し、ご主人たちがそれを笑顔で食べる姿を見る時にこそ、我は一番の幸福感を感じるのだ」

 

「……なに? そんなの馬鹿らしいだって? サーヴァントとして、おかしいだと? ……まあ、そうかもしれないナ。だが、それの何処が悪い? 自分の持つ技術を必要としてくれる者がいる。腕を振るい、奉仕することで喜んでくれる人が居る。その人が誰よりも大好きな者であるなら、幸福になるとは思わないか? お前たちは、愛する主が喜ぶことを馬鹿らしいと思うのか?」

 

「少なくとも、今のカルデアで食堂を回せるのはキャットだけだ。キャットの力を今、カルデアの全員が必要としている。我にしか出来ないことがある。それだけで、アタシはここに戻って来て良かったと思えるゾ」

 

 すっと、ミトンの様な己の手を胸に当てたタマモキャットは、ゆっくりと瞳を閉じて感慨深そうに笑った。再び瞳を開いた彼女は、カメラ越しに女英霊たちを見つめて自分の想いをぶちまける。

 

「お前たちは、自分が必要とされていると実感したことがあったか? 自分でなければ駄目だと思うことがあったか? 性処理ならば、誰だって良いとは思わないか? 胸や尻のデカい者、穴の締まる者、同じ様な容姿をしている者……誰を選んでも同じだが、目に留まったからお前にしよう、そんな扱いで抱かれているのではないか?」

 

「作戦や戦いでお前の力が必要だと言われたとしよう。だが、その時にソロモンはお前を見ている訳では無いゾ。お前の持つ、スキルや宝具を見ているのダ。真に価値があるのはお前では無く、お前の付属品だと暗に言われていることに何故気が付かない? おまけに、肝心のその作戦はガバガバだ。自分たちの技術を何一つとして上手く活かしてくれない男に仕えることは苦痛では無いか?」

 

「誰だって良いんだ、失敗しても代わりは居るんだ……少なくとも、心臓を穿ち、首を刎ねれば、お前たちの代替品はすぐにでも召喚される。だから好きに肉体改造や非道な実験を行えるのだゾ? 分かるか? お前たちは、誰一人として心の底から必要とされていないのだ」

 

 冷酷、その一言が最適だった。タマモキャットの言葉を耳にした女英霊たちは、心の芯が凍り付いた様な表情で固まっている。ソロモンの部下である男たちもまた、あまりにも酷な彼女の言葉に何も言えずに俯いていた。

 曇り一つないタマモキャットの瞳を誰も直視することが出来ない。目を逸らし、されど心の痛みからは逃れられぬ面々が硬直している中、不意に映像は途切れた。だが、それは決して終わりを意味している訳では無く、むしろ彼女たちの心をより追い詰める始まりを意味しているのだ。

 

「あっ♡ あっ♡ あぁっ♡ あっっ♡ んあっっ♡」

 

 ぱんぱんとリズミカルに響く性交の音。その音に合わせて発せられる甘い嬌声。右へ、左へと揺れる尻尾は、交わりの快楽を悦ぶかの様に激しく動き回っている。

 張りのある大きな尻を両手で掴み、がっしりと力強く腰を打ち付けるマスター。タマモキャットの体は、そのピストンに合わせて浮かび上がったり落ちたりしていた。

 

「ごひゅっ♡ じんっっ♡ 今日もっ♡ はげしっ♡ あぐぅっっ♡」

 

「ごめんっ、キャット! でも、気持ち良過ぎて腰が止まらないんだっっ!!」

 

「んにゃおぉおおぉおっっ♡♡♡ ん、ふふっっ♡♡♡ 遠慮はいらぬぞ、ごしゅじんっっ♡♡♡ 激しく! 強く! 好きにキャットの躰を貪れっっ! なよなよした腰振りなど不要だっ!! 思いっきり、雄の滾りをぶつける様に……アタシを喰らえっっ!!」

 

「っっ……! そんなこと言って、後悔しないでよ? 俺、もう止まれないからねっっ!!」

 

「んきゅうぅうぅうぅうぅうううぅぅぅぅうっっ♡♡♡ おっっ♡♡♡ おぉおおぉぉおおぉおぉおおぉぉおおぉおぉおっっ♡♡♡」

 

 響く音の重さが、はっきりわかる程に変わった。ぱんっ、などという軽い音ではない。ずんっ、という表現が正しい重厚なピストンが、連続してタマモキャットへと繰り出されていく。尻肉を掴む手にも力が籠められ、むんずと彼女の柔らかい尻を揉みしだくマスターは、更にペースを上げてタマモキャットの膣内を穿ち続けていた。

 

「はぁっ! ぐっっ! ぐぅぅぅっっ!! う、おぉぉぉぉぉォォォォォッッ!!」

 

「あ、は……♡♡♡ キタな、理性を吹っ飛ばすご主人の『狂化』モード……♡♡♡ 目の前の雌を喰らい尽くすまで、もう止まらない……♡♡♡ 我しか相手出来ない、獣のちか、あぁあぁぁあぁぁあぁあぁあぁぁあぁぁっっ♡♡♡」

 

 叫び。咆哮。絶叫。カルデアのマスターが上げたその雄叫びは、耳にした者全ての心を奮わせた。雄が耳にすればその力強さを肌で感じ取り、雌が耳にすれば野獣を思わせる雄々しさに子宮が震えてしまう。映像越しでもこれなのだ、間近で彼の叫びを耳にしたタマモキャットの理性が吹き飛ぶことなんて、想像に難しくない。

 

「にゃおぉおおぉおおぉおおぉおおおぉおぉおぉおおぉおおぉっっ♡♡♡ んにいぃいぃいいぃいいぃいいぃいぃっっ♡♡♡ おおぉおぉおおぉおおぉおおおぉおぉおぉおぉぉおおぉおおっっ♡♡♡ おおぉおおおぉぉおぉぉおおぉぉおおぉぉおぉおんんっっ♡♡♡」

 

 押し倒される、ベッドの上に。成す術もなく組み伏せられ、抵抗すらも許されぬまま貪られる。

 圧し掛かられる、体に覆い被さる様に。逃げられぬ、抗えぬ体勢のまま、膣を子宮まで貫かれるタマモキャットの叫びが木霊する。

 子供の腕ほどの長さと太さをした肉棒が何度も何度も彼女の膣を出入りし、最奥の子宮を叩いては快感を生み出す激しい抽挿を繰り返していた。一突き毎にタマモキャットの膣からは愛液の飛沫が舞い。尻尾はぴんと張って硬直し続けている。

 獣の雄が、雌の胎に自分の子種を仕込むためのセックス。その表現がぴったりだ。マスターはタマモキャットの子宮に己の精を放ち、彼女に自分の子供を産ませようとしているとしか思えないほどに激しいセックスだった。

 

「ひぐうぅうぅうぅううぅぅううぅぅううぅぅううぅうっっ♡♡♡♡♡ はあぁあぁあぁあぁぁあぁぁあぁあああぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁっっ♡♡♡♡♡ くああぁあぁああぁぁあぁああぁぁぁああぁっっ♡♡♡♡♡ あおぉおぉおおぉおぉおおぉぉおおぉおぉおぉおぉおおぉっっ♡♡♡♡♡」

 

 理性蒸発だなんて、そんな生易しいものでは無い。元よりそんなものが存在していない、本能を剥き出しにしたセックスを続ける二人の姿は、まさしく野獣であった。喰らう雄と差し出す雌、自然界に存在する雄の絶対的な優位性が二人の中には生み出されていた。

 

 タマモキャットの舌が伸びる。白目を剥き、堪えられぬ快感に身を震わせ、既に絶頂を何度も繰り返すアヘ面を見せている。だが、そんな彼女の姿を見てもマスターは一切の手加減を行いはしない。それで良いのだと、本能的にわかっているから……本気の、全力の、性交。タマモキャットが望んでいるものがそれであると、マスターは繋がりの中で彼女の想いを感じ取っていた。

 その直感は正しく、ここで手を抜かれることをタマモキャットは望んでいなかった。主が滾りのまま理性のタガを外し、本能のままに荒れ狂う姿を初めて見たのは自分だという思いが、この逞しい雄を生み出したのは自分だという自負が、彼女にも一つの願望を抱かせているのだ。

 ()()()()()()……それは単純明快で、シンプルな想いであった。この雄に負けたくない、ではない。他の雌に負けたくはない、だ。

 負けたくない。マシュにだって、ナイチンゲールにだって、他の誰にも負けたくない。淫紋令呪の再臨で負けていようとも、セックスの回数で負けていようとも、この雄が一番に求めるのは自分であって欲しいと彼女は願う様になっていた。彼の感情や記憶が他の誰を求めようとも、本能だけは自分を求めて欲しいと、そんな想いを胸に抱く様になっていた。

 自分の臭いを嗅ぎ、自分の体に触れ、柔らかさと温度を感じ、獣になれば良い。優しさなどかなぐり捨て、激しさだけを持てば良い。この獣が自分を食らい尽くし、満足するまで貪り、最後には完全に自分の女であると確信出来るまで、抱いてくれれば良い。

 獣の相手が出来るのは獣だけ……人が獣の相手をするのではない、獣が獣の相手をするのだ。同じ獣同士だからこそ、人間相手には出来ないことを彼は行える。マスターの本能を満足させられるのは自分だけだと、そう胸を張れる存在でありたいと、タマモキャットは願う様になっていた。

 

「あああぁぁぁああああああああぁぁあぁぁぁあああぁぁぁぁあぁああああぁぁぁぁあぁっっっ♡♡♡ ひにゃあぁぁあぁあああああぁぁぁああぁぁああぁっっ♡♡♡ うああぁぁあああああああぁぁぁぁああぁあっっ♡♡♡ ああぁぁあぁあああぁあぁああぁぁあぁぁぁあぁぁっっ♡♡♡」

 

 だから、タマモキャットは全力で叫んだ。喉を開き、あられもない声を大声で叫び続けた。獣は我慢などしない。恥も感じない。ただただ、本能のままに動いて、叫ぶだけだ。与えられる快楽を堪えることは獣の生き方に反する。そんなことをすれば、彼は自分のことを同類では無いと断ずるだろう。それだけは、絶対にあってはならない。

 もう、キャットには意味のある言葉を紡ぐ余裕は無い。それどころか、思考すらも完璧に停止していた。強い快楽が与えてくれる感情をを本能のままに表現し、ただ体を反応させているだけだ。それこそがマスターの望む反応であることを、彼女もまた繋がりの中で感じ取っていた。

 

「ウオォォォォォォォォォォォッッ!! ゴオォォォォォォォォォォォォォッッ!!」

 

「おぉおぉぉおぉおぉおぉおぉぉおおぉぉおぉおぉおおぉんっっ♡♡♡ うぉおぉぉおぉおぉおぉおおぉぉおぉおぉおぉおぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 二人……否、二匹の獣が叫ぶ。お互いの叫びでお互いの理性を吹き飛ばし合い、本能を剥き出しにした獣へと堕ちていく。そうして、快楽の高みへと二匹で登り詰めて行く。

 そのセックスを見つめる者は、男は勃起し、女は足元に愛液の水溜まりを作り出している。足腰が立たず、その場に崩れ落ちる者も居た。自分たちの知らない異次元の性交に、彼らは完全に目を離せなくなっていた。

 

 跳ねる。沈む。掴む。絡む。求める。抱き締める。離さない。軋む。繋がる。もっと深く。狂う。正しく。叫ぶ。喘ぐ。吼える。理解する。堕ちる。浮かぶ。失神する。覚醒する。終わる。始まる。熔ける。焼き切れる。蒸発する。吹き飛ぶ。終わる。始まる。絶頂する。

 目の前で行われているそれを表現するには、言葉が足りない。いや、言葉では到底表せないのだろう。それは実際に見ることでしか、その激しさを理解出来ないのだ。何故なら、これは生物の本能と本能のぶつかり合いだから……。

 絶頂し、潮を噴く女がいた。知らず知らずのうちに射精する雄もいた。抱かず、抱かれず、触れも触れられもせず、彼らは達していた。下着を汚し、床を汚して、それでも獣たちのセックスに見入っていた。

 そして……そんな観客たちの前で、その時が訪れる。雄と雌、双方がその事を理解していたかの様に、完璧な動きを以って快楽の高みへと登り詰める。

 マスターは腰を高く上げ、亀頭の先がギリギリ膣内に残る様に肉棒を引き抜いた。その状態で力を溜め、次の一撃に全てを懸ける勢いを見せている。

 タマモキャットはそんな彼の亀頭を強く性器で締め付け、膣内を最高の状態に整えた。愛液まみれの肉襞、とろとろに蕩けた膣壁、ぱっくりと開く子宮口……雄の滾りを受け止めるために存在する性器を作り上げ、彼女は脚をマスターの腰へと絡ませる。

 強く、強く抱き合うマスターとタマモキャット。目と目を合わせ、互いの行動を察知し、その瞬間に全てを放つ。

 引き絞った弓から矢を放つ様に、腰を動かして肉棒を叩き込むマスター。脚に全霊の力を籠め、マスターの腰を引き寄せるタマモキャット。突く力と引く力、野獣同士の遠慮のない本気の動きがマッチし、今までにない力強さでタマモキャットの膣内へとマスターの肉棒が突き入れられる。

 キツく締まった膣内を巨大な肉棒が割り裂いて進む。潤滑油として分泌された愛液がその動きを助け、肉襞と膣壁が媚びる様に剛直に絡む。一瞬で最奥に辿り着いた亀頭は、雌の繁殖器官に辿り着くと同時にそこを強く叩き、夥しい量の精を放つ。その激しさ、熱さを感じ取った雌は、この日一番の嬌声を叫び声として盛大に喘いだ。

 

「アあぁぁああぁあぁぁああぁぁあぁぁああぁぁあぁあアああぁァアぁぁぁアアァぁぁああぁぁああぁあァァあぁあぁぁああぁぁああぁぁああぁアァあぁぁぁぁぁあぁあぁぁァアアァアぁぁああぁぁぁぁっっっ♡♡♡♡♡」

 

 盛大な叫びを上げ、絶頂を迎えるタマモキャットの体を抑え来むマスターは、呻き声一つ上げはしない。代わりに夥しい量の精液を彼女の子宮に吐き出し、最高の快楽を味わった証を刻み込む。

 瞬く間に子宮を満たした精液の感触にだらしない笑みを浮かべるキャットは、その幸福感に満足していたのだが……

 

「あ、ぁ……っ♡♡♡」

 

 未だに硬さと熱さを損なわないマスターの肉棒が振動し、顔を上げた彼と目を合わせた瞬間、彼女は彼がまだ満足していないことを悟ってしまった。性交に満足したという意味ではない。そんなもの、彼が一発の射精だけで満足しないことなど分かり切っている。彼が満足していないのは、自分をモノに出来なかったことに関してだ。

 タマモキャットの子宮をぱんぱんに満たした精液は、一滴も零れることなくそこに留まっている。子宮口を亀頭で抑えるマスターの行いのせいなのだが、そこには彼の本能的な思いが見えていた。

 彼はキャットにマーキングするために射精したのではない。キャットを孕ませるために射精したのだ。雄の臭いがする程度の牽制ではなく、自分の子を孕ませ、膨らんだ腹を他の雄に見せつけることによって、彼女が自分の雌であることを証明させ続けようとしたのである。しかし、キャットは彼の射精で孕むことは無かった。サーヴァントである以上、当然のことなのではあるが、本能剥き出しの彼らにはそんなことは関係ない。

 今の射精は、絶対に雌を孕ませる一撃だった。だが、お前は子を孕んではいない。これは、俺の雌になることを拒む抵抗の意思の表れか? ……マスターの眼はそうキャットに尋ねていた。その眼差しに対し、タマモキャットは力強く彼を抱き返すことで答えを見せる。

 そんなことは無いと、自分は既にアナタの雌だと、全身と性器を以って表現する。子宮口は亀頭に吸い付き、残っている精子を吸い出す勢いを見せ、膣壁は肉棒に縋る様に絡みつく。全身でマスターへと抱き締めたタマモキャットの眼は、こう言っていた。

 

「この射精で孕まなかったのであれば、次の射精も喜んで受け入れる。何度でも、何度でも……自分がアナタの子を孕むまで、精を放って欲しい。アナタの雌である証を刻まれる覚悟はとうに出来ている。タマモキャットという雌は、とっくにアナタの女だ」

 

 彼女の瞳、行動、表情から全てを読み取り、タマモキャットの心に偽りがないことを感じ取ったマスターは、打って変わって優し気な表情を浮かべて彼女を抱き締めた。唇を重ね、舌を絡ませ、大切な女にそうする様に甘い快感を与えてやる。だが、それは一時のインターバルに過ぎない。もう少しすれば、またあの激しいセックスが始まる。今はただ、自分に従順になる雌に自分もまた彼女を愛していると伝えているだけなのだ。

 愛しているから、求める。抱き、孕ませ、自分のモノとする。行動の一つ一つに滲み出る彼の想いに瞳を潤ませ、悦ぶキャット。お互いの体が再びじんわりと熱を帯び始めたことを感じた二人は、甘いキスを中断してまたしても強く抱き合った。

 

「……グルルルルッ!!」

 

「んなぁあぁ……っ♡♡♡ にゃぉおぉぉっ……♡♡♡」

 

 もう言葉など必要ない。そも、獣は言葉など発しない。瞳、表情、叫び、そして本能で感じ取れば良い。それが出来る程、自分たちは深く繋がっているのだから。

 そうした再び獣たちが動き出す。激しいセックス。種付けの儀式。愛を伝えあう野獣同士のまぐわいは、部屋中の空気を震わせながら続けられた。カメラ越しにそれを見るソロモンたちの中には、射精のし過ぎや連続絶頂で失神する者までおり、ソロモンもまた陰茎を勃起させながらその映像を見つめている。

 だが、まだこれでも二人目だ。カルデアにはまだまだ多くのサーヴァントたちが居る。これからその全てを見せられたら、自分たちはどうなってしまうのか? そんなことを思いながらも、ソロモンは未だに映像を消すという手段を思い浮かべることも出来ないまま、何かに憑りつかれたかの様に食い入る様にカルデアのマスターに貪られるタマモキャットの姿を見続けていたのであった。




あれれ~……? これ、思った以上に長引きそうだぞ……? (戦慄)
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