激しく、強く、腰が打ち付けられる音が部屋の中に響く。その動きに比例して、マスターに跨っている女性のたわわな乳房が上下に大きく揺れていた。
太陽を落とした女、フランシス・ドレイク……彼女は今、快活な笑みを浮かべて自慢の騎乗スキルを披露している。もっとも、それは乗り物に対してではなく、男に対して効果を発揮する、生前の経験による性技としての意味合いであった。
キツく膣を締めながらも、一切の加減なく腰を上下に振るドレイク。大きな尻がバチバチと音を立てる度、彼女に跨られるマスターの表情が快楽に歪む。彼の精を全て搾り取ってしまう様な、そんな激しい腰振りを披露しながら、ドレイクは荒い呼吸のまま問いかけをマスターへと送った。
「どうだいっ♡ アタシのテクも、悪かないだろっ♡ アンタのペニスがガチガチに硬くなって、膨れ上がってんのがわかるよっ♡」
「ドレイクっ! 激し過ぎだってっ! こんなの、すぐに……ぐぅぅ!!」
「当たり前だろう? アンタに跨ってんのは、幾多の嵐を乗り越えた女だよ……♡ 大荒れの海より強く激しいこの動きで、たっぷり楽しませてやるさっ♡♡♡」
「ぐぉぉおぉぉぉぉっっ!!」
切ない男の叫びは、彼が感じている快楽の強さを示していた。女性が優位に立ち、自由に腰を振って男を感じさせ、翻弄する。やや弛んだ、されど十分に美しく豊満なドレイクの肢体は、マスターの体の上でこれ以上ないほどに躍動していた。
傷ついた顔など、他の女性より歳が上であることなど、一切関係ない。フランシス・ドレイクは魅力的な女性であり、その快活さを曝け出した本能的なセックスを繰り広げてはマスターを存分に楽しませている。年相応の可愛い表情を見せる青年のことを愛らしく見つめ、もっとその表情を引き出してやりたいと嗜虐的な嗜好に舌なめずりをしたドレイクは、ラストスパートとばかりに更に激しく腰を振ってはマスターを快楽の高みへと導き始めた。
「ぐお、おぉっ!? ぐぅぅぅぅっ!!」
「ほら、我慢なんかすんじゃあないよっ♡ どうせ一回や二回の射精で萎えるちんぽじゃないだろう? 景気よく、盛大に、アタシの子宮に迸りをぶちまけなっっ♡♡♡」
「ぐ、っ……! ド、レイクぅぅっっ!!」
最大限まで膨張してマスターのペニスが、我慢の限界を迎えて快感を炸裂させた。ドレイクの膣内、子宮口にぴったりと亀頭を当て、雄々しく激しい昂ぶりを晒しながら雄の滾りをぶちまける。胎を満たし、膣を焼き、脳を蕩けさせる射精の快感に、ドレイクは先ほどまでの余裕たっぷりの表情を歪ませると盛大に喘いでマスターと共に絶頂を迎えた。
「んぐぅぅうぅうううぅぅぅううんっ♡♡♡ はーっ♡ くあぁぁ……っ♡ やっぱ、反則だねぇ……♡ あんだけ嬲ってやったのに、射精一発でイーブンかい……♡ 良い主砲を持ってるじゃないか、マスター……♡」
「う、わ……やっば……! ドレイクの膣、俺の精液を残さず吸い取ろうとしてる……っ!!」
「あったりまえだろう? アタシは海賊、欲しいもんは根こそぎ持っていく女さね! 特濃、精強、大量のザーメン、こんなお宝を逃したら、その名が廃るってもんさ!」
射精を受けて腹を膨らませながらも、ドレイクはマスターの肉棒を膣で咥え込んで離さない様だ。膣壁と子宮口は未だに硬く滾っているその肉棒に絡みつき、尿道に残る精液を吸い出すべくうねうねと蠢いている。
全てをドレイクに委ね、彼女の手で快楽を味わうマスター。好き勝手に暴れられるのも悪くはないと、段々と復活し始めた肉棒に血が通うことを意識しながら、女性優位の性交による快感を楽しんでいると――。
「……さあ、抜かずの二回戦に行こうか♡ まだまだ、たっぷり相手してもらうよ……♡」
ぷっくりと膨れた唇が、マスターの口を塞ぐ。吹き込まれる熱い吐息とぬるりとした唾液の感触に理性を飛ばしつつ、マスターもまたドレイクとの嵐の様な性交に身を委ねては快楽を貪ったのであった。
「はふっ♡ ふぅっ♡ んっ♡ あうっ♡ マスター、さん……♡」
小さな舌がせわしなく動き、快楽を求める様にしてマスターの舌に絡まる。瑞々しい肢体を伸ばし、彼の体に抱き着くイリヤは、幼く小さな性器でマスターの凶悪な肉棒を包みこんだ状態でうっとりとした微笑みを浮かべた。
「私のお腹の中、もうすっかりマスターさんのおちんぽに広げられちゃいましたね……♡ じゅくじゅくして、熱くって、堪らない、です……♡」
「イリヤの体、子供体温で温かいよ……抱き締めるとちっちゃさが良く分かる。こんなに小さい体で、よく俺のちんぽを咥え込めるね?」
「そうなる様に広げた張本人が何を言ってるんですか……♡ クロと同じ体でも、おまんこには差があるでしょう? 私の方が、良いおまんこですよね……♡」
「っっ……!?」
清純な微笑みを浮かべているイリヤであったが、その端々からは姉妹同様の小悪魔オーラが滲み出ている。元は同じ存在であるということを見る者に理解させるその蠱惑さを感じながら、マスターは彼女の狭い膣の感触を愉しんでいた。
確かに、イリヤの言う通りで似ている様でありながらもクロエの膣とは明確な差が存在していた。クロエが極限までキツく、激しい痙攣を以って肉棒を満足させる攻めの膣であるとすれば、イリヤの膣はやや背伸びした男の欲望を受け止めようとする性器と呼べるだろう。その小さな体に似つかわしくない母性で男を受け止め、出来る限り優しく包みこもうとする。しかして、子供の狭い膣内は強く肉棒を締め付けることによって、そのアンバランスな快感を増幅させて感じさせるのだ。
イリヤの懸命さも男心をくすぐるスパイスとなり、それもまた性欲を煽る。抱き締めたイリヤの小さな体を揺らして肉棒を出し入れしながら、マスターはその快楽を味わい続けていた。
「おうんっ♡ はうっ♡ はうぅうっ♡ あぁっ♡ ちゅよい、よぉ……っ♡ もう、だめぇ……♡」
「イって良いよ、イリヤ。我慢する必要なんてないからさ」
ドレイクの時とは逆で、今度はマスターが女性をリードするセックスを披露している。リズミカルにイリヤの膣を突き、壁を太い肉棒で擦りながら、幼い官能を満足させる様に甘い快感を与え続けるマスター。イリヤもまた、その快楽に酔いしれて表情を蕩けさせると、体をぴんっと硬直させて嬌声を上げながら早くも絶頂を迎えてしまった。
「んんんんんんんんっっっ♡ うぅうぅうぅううぅうんんっっ♡♡♡」
唸る様に、声を堪える様に、イリヤが達する。しかし、その我慢もマスターの肉棒に子宮を突かれることによって不可能となり、今度は大口を開けて絶叫を上げてしまった。
「ふあぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁああああぁぁぁあぁぁぁあぁぁっっ♡♡♡ あひぃいぃぃいぃぃいいぃいいいぃぃいぃいぃいぃっっ♡♡♡」
イリヤの様な子供が、大人と変わらぬ艶声を上げて性の衝動を開放する。開いた口に舌を突っ込み、じっくりと快楽を教え込む様に熱いキスを落としたマスターは、長い口付けを終えると、イリヤの髪を撫でながら小さく囁いた。
「イった時の顔、クロとそっくりだ。そこは姉妹なんだね」
「あうぅ……♡ 私たちのこと、こんなにいやらしくして……♡ もう、マスターさんには絶対に責任を取ってもらわなきゃいけませんっ♡ 私たちのこと、絶対に幸せにしてくださいね……♡」
未だに絶頂の余韻が消え去っていない体でマスターに擦り寄ったイリヤは、恥ずかしそうな声で彼にそう呟く。愛らしいその姿に胸をときめかせ、肉棒を滾らせたマスターもまた、再び彼女との性交に耽っては愛を伝え続けた。
見つめ合う。指を絡め合う。吐く息が肌に触れるくらいの距離で、互いに向かい合う。
貪る様なキスではない。優しく、甘く、熔ける様な口付け……愛を込めて、その表現が最も相応しいと言えるキスを終えたマスターとアルテラは、再び熱を帯びた視線を互いに向けあった。
「マスター……♡ これは、子を成すための行為、なのだな? 夫婦が、命を育むための行為、なのだな?」
「ああ、そうだよ……。君のことを愛してると、そう伝えるための行為。それがセックスなんだ。……まあ、俺みたいに何人もの女の人に手を出してる奴が言っても説得力は無いだろうけどさ……」
「ふふふ……だが、お前は私を愛してくれているのだろう? 玩具や、性奴だと思っている訳ではないだろう? ……女として、私を抱いてくれる。それだけで、私は十分に幸せだ」
頬から首筋へ、そこから胸へ……アルテラの手が、ゆっくりとマスターの体を伝って下に降りる。指先で彼の体に触れ、もどかしくも愛らしい愛情表現を行いながら、彼女は後ろに倒れ込み、脚を開いた。
「……来てくれ、マスター♡ こんな私で良ければ、愛して欲しい……♡」
「勿論さ、アルテラ。喜んでお相手させてもらうよ」
寝転んだアルテラの秘所に亀頭を宛がう。指と指を絡ませる恋人繋ぎで手を繋ぎ、見つめ合った状態でゆっくりと腰を突き出す。
それは、何の変哲もないただの正常位での性交だ。しかし、この平凡さこそが、アルテラの心を何よりもくすぐる行為であることをマスターは知っていた。
何度も性交をこなし、マスターの肉棒に慣れた彼女の膣は、有していた硬さを完全に捨て去って解れ切っていた。膣を突けば快楽が生まれ、奥からは愛液が溢れ出る。ただの女の様に喘ぎ、悦ぶアルテラのことを、愛おし気に彼は見つめている。
アルテラの弱い場所も感じる部分も、全て知り尽くした。角度を変え、腰の突き入れる場所をずらし、その場所を責めてみれば、普段無口なアルテラから、信じられない様な声量の喘ぎ声が飛び出す。見つめ合い、腰を突き出すだけ。他の場所には一切触れないまま、ただ繋がり合う……性器と性器の結合は、アルテラの胸に深い充足感を感じさせてくれていた。
「ああ、あ……♡ きもち、いい……♡ 私の、女の部分が、満たされて……っ♡」
とんとんと、リズミカルで丁寧な腰使いでアルテラを感じさせるマスター。激しさを用いず、ゆったりと快感を味わえる様に加減しながら、自分もまたアルテラの愛らしい表情と反応に胸をときめかせ、幸せそうな彼女の様子に肉棒を滾らせていく。アルテラも、そんな彼の興奮が高まっていることを膣で感じ取り、お互いが快感を分かち合う悦びに胸を一杯にしていた。
「マス、ター……♡ 私は、子が欲しい……♡ お前の子を、産んでみたい……っ♡」
「アルテラ……?」
「サーヴァントの身で何を言うかと笑うかもしれない。だが、私はお前の子を孕みたい……♡ お前と番いになり、お前の精を受け、子を成し、母となり、女としての幸せを感じてみたい……♡ 他の誰かじゃ、駄目だ。お前でなくては、駄目なんだ……♡ ありのままの私で良いと、そう言ってくれたお前と、私は――♡」
ぽろり、ぽろりと零れる大粒の涙。とても複雑で、アルテラ自身でさえも分からない感情のままに溢れる涙。だが、彼女は知っている。この涙が悲しみの感情で流れている訳ではないことを。こんなにも温かい涙を溢れさせることが出来るのは、自分を救ってくれた目の前の男のお陰だと言うことを。
脚を曲げ、マスターの腰に絡ませ、ぐっと引き寄せる。自分には、大きい胸も柔らかい尻もない。他の女と比べれば魅力に乏しい体だということも重々承知だ。
それでも……アルテラは、彼に愛を伝えたかった。自分に出来る精一杯で、自分を救ってくれた男に愛情を告げたかった。溢れ出る感情のまま、口下手な彼女は懸命にその思いを言葉としてマスターに伝える。
「お前を、独占したいわけじゃない……お前が父で、私が母。そうなりたいだけだ……♡ 今でなくて良い、全てが終わった後の遠い未来でも構わない。それまでは、私がお前を守ろう。お前を殺そうとする者を、私が破壊しよう。だから、いつか……二人で、幸せな未来を……♡」
それは、紛れもない愛の告白であった。色恋に疎いアルテラでさえも、それがどんな意味を持つ言葉なのかは理解出来ていた。
マスターは、たどたどしいアルテラの告白を受け、強く彼女の手を握ったまま、一度腰の動きを止める。そのままアルテラの体に覆い被さる様に体を横たえ、彼女の耳元に顔を置くと―――
「……二人じゃなくて、三人で、でしょ?」
そう、呟いた。
アルテラは、その言葉の意味を一瞬だけ考える。聡明な彼女はすぐにその答えに勘づき、幸せに破顔して大粒の涙を次々と瞳から溢れさせた。
自分とマスターの二人だけではない。マスターは二人の間に生まれた新しい命も共にカウントしているのだ。サーヴァントであるアルテラには到底叶えられないその夢を、笑わずにいてくれるのだ。
いや、もしかしたら彼はアルテラ以上にその夢を現実のものにしようとしているのかもしれない。戦いを終え、ソロモンが無数に有しているであろう聖杯を奪取した暁には、それを使ってアルテラを受肉させ、子を成せる体にするつもりなのかもしれないと、アルテラは思ってしまった。自分の愛する男は、自分の馬鹿げた夢を本気で叶えようとしてくれている……そう思った途端、アルテラの心は大きく膨れ上がり、そして弾けた。
「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ♡♡♡」
快楽ではなく、幸福による絶頂。女としての歓びが全身を包み、快楽を超える深い絶頂感を覚える。激しくはない、だからこそしっかりとその快楽を自覚出来る。細やかな痙攣を続けるアルテラを優しく見つめるマスターは、再び正常位の体勢になってただじっと動かずにいた。
「アルテラ、大丈夫? まだ続けられる?」
「ああ、大丈夫だ……♡ お前の、好きな様に……」
問いかけに答えるアルテラは、途中で何かを思いついた様な表情になると口を噤んだ。そうして、もじもじと恥ずかしそうに顔を伏せ、口をもごもごとさせて何かを言おうとしている。
そんなアルテラの様子を何も言わずにじっと見つめるマスターは、優しい視線を向けながら彼女の行動を待ち続けた。やがて、意を決した様に顔を上げたアルテラは、頬を真っ赤に染めながら震える声で彼に言う。
「あ、アナタの、好きな様にして欲しい……♡ 妻として、私は、伴侶を満足させてみせる、から……♡」
彼女は告げる、愛の言葉を。主従ではなく、夫婦でありたいと。彼が認めてくれた在り方を自ら口にして、マスターの反応を待つ。
マスターもまた大きくその言葉に頷くと、指を絡ませる手に力を込めた。もっと深くまで彼と繋がり合えたことを喜び、幸福に身を浸すアルテラ。その下腹部では、淫紋令呪が煌々と輝いて、新たなる紋様を浮かび上がらせていた。
「……再臨の時、か……♡ これが、私とお前の婚姻の儀となるのかもな……♡」
通常の淫紋令呪の紋章の上に刻まれた輪の様な模様を見つめ、それがまるでエンゲージリングである様に思えてならないアルテラは、ときめく心のままに呟き、マスターと唇を重ねた。
未来を誓い合った新婚の二人は、水面に浮かぶ小舟の揺らめきの様な穏やかな感情のままにお互いを求め、より深くまで繋がり合って快楽を分かち合い続けたのであった。
嬌声が響く。一つ、二つ、三つ、四つ……。数え切れない程の数の女性の声と、唸る様な男の声が一つだけ、響く。
舐める音。啜る音。揉む音。貫く音。接触する音。それらの音が何度も響き、反響し、繰り返し部屋の中で轟き続けている。
そして……その音を掻き消す程の女性たちの叫び声が、悦びの感情に染まった喘ぎ声が、鳴り止むことなく彼女たちの口から叫ばれ続けていた。
「んおっ♡ ひっ♡ んひっ♡ あぁあぁぁぁぁっっ♡」
「主殿っ♡ 主殿っ♡♡♡ 主殿ぉぉっ♡♡♡」
「おグっ♡♡♡ んおぉおっ♡ んおぉおぉおぉっっ♡♡♡」
口を大きく開けて快楽を叫ぶ者。自らを抱く男を呼び続ける者。理性を手放し、獣の様な唸りを上げる者。その反応は様々だ。だが、彼女たちの表情には幸福の感情が浮かび上がっていることだけは共通していた。
年齢も、国籍も、年齢も違う彼女たちではあるが、この営みの中で幸福を感じ、愛情を感じ、目の前の男を愛する気持ちだけは同じだ。抱き着き、唇を重ね、体を預け、彼女たちは群がる様にして自らの主へと肢体を擦り寄らせる。
「イクっ♡ いぐっっ♡♡♡ おなかっ♡ おかひくなりゅうっ♡♡♡」
「おぉぉおぉぉおぉおぉおぉォォッッ♡♡♡ こんな、射精……堕ちるに、きまってぇ……っ♡♡♡」
「んへぉぉぉおぉ……っ♡♡♡ ボク、も、むりぃ……♡♡♡ ボクの赤ちゃん袋、こんなにパンパンに、なってりゅよぉ……♡♡♡」
栄養剤代わりの母乳を啜り、幾度となく彼女たちの体へと白濁液を注ぎ、その度に陰茎を更に大きく膨れ上がらせるマスター。性交の回数は既に一人当たりで換算しても10はゆうに超えており、それを両手で数えても足りぬ数の女性たち全員に行っているというのに、彼の男根は萎えることもなく未だに天を衝かんばかりにそそり立っていた。
激しく、強く、だが優しく……彼は自らのサーヴァントたちを抱き締め、滾る欲望を解き放つ。マスターの精液を浴び、注がれ、受け入れる度、彼女たちは恍惚とした笑みを浮かべては次の行為を求める。終わらぬ快楽の波をもっと味わいたいと望み、魅力的な肢体を彼に捧げるのだ。
しかし、淫紋令呪で強化された彼女たちの性欲をもってしても、同様のシステムで強化されたマスターの精力に勝ることは叶わなかった。胎に注ぎ込まれる熱い感覚が弾け、同時に彼女たちの意識も飛び散る。大きすぎる快感の爆発に耐えられなくなったサーヴァントたちは、全身を精液に塗れさせ、双穴から白濁液を垂れ流した状態で失神してしまっていた。
一つ、また一つと、嬌声が消える。その直前に断末魔の叫びの様な甲高い悲鳴を上げ、全身を強張らせ、全力で絶頂に達し、意識を飛ばす。誰も彼もがその調子で、快楽に蕩けた表情のまま、ぐったりと床に体を横たえてひくひくと痙攣していた。
長く続く性の宴の中、そうして最後に残ったのはマシュであった。尻穴を開き、かつてソロモンが送って来たビデオレターの中で見せていた様に後ろからマスターに抱かれ、肛門快楽に浸っている彼女は、野太い悲鳴を上げながら今日何度目か分からない絶頂を迎え、白目を剥いた。
「んぐほぉおおぉおおぉっっ♡♡♡ おんっ♡♡♡ おぉぉっっうっ♡♡♡」
大きく、弓なりに体を仰け反らせ、マスターの後頭部を強く掴み、射精を受けた腹をぽっこりと膨らませるマシュ。どくっ、どくっと流れ込む熱い奔流に腸内を灼かれる感覚に身悶えしながらも、彼女はゆっくりと腰を上げてアヌスから愛しい人の肉棒を抜き出す。
自らが吐き出した欲望の残滓とマシュの愛欲の名残をその幹に帯びた陰茎は、ようやくと言った様子で半萎えになっている。彼が性交に満足しつつあることを喜んだマシュは、大きく口を開けてそれの清掃を開始した。
「はぁむっ♡ んじゅっ♡ んんっっ♡」
つい数秒前まで自分の尻の中に入っていた肉棒をマシュは美味しそうに頬張る。頬を窄め、下品な吸着音を響かせながら、懸命にマスターの性器にこびり付いた汚れを舌で掃除する。尿道に残る精液も吸い取り、カリの窪みにまで舌を這わせ、鈴口を舌先で丁寧に穿り続けた後、涎と共にそれらを飲み干したマシュは、名残惜しそうに口からマスターの肉棒を吐き出した。
「ふ、ふ……♡♡♡ また、硬くなっちゃいましたね……♡♡♡ あと一回くらいは、お相手しないと駄目ですね……♡♡♡」
今の奉仕が引き金になってしまったのか、マスターの肉棒は再度その滾りをその身に宿して大きくそそり立ってしまった。それをうっとりとした目で見つめ、マシュは嬉しそうに微笑む。煌々と輝く淫紋令呪が刻まれた尻を振り、彼女がもう一度肉棒に跨ろうとしたその時だった。
「……まったく、本当に酷い有様ね。下品な臭いと言うか、凄いことになっていると言うか……」
「あれ? メディアさん? ……混ざりに来たんですか?」
「違うわよ! 生憎、私にはもう相手が……じゃなくって! ナイチンゲールと研究してた魔術に一定の成果が出たから、貴方達に試してみようと思ったのよ」
「魔術の試用ですか? 今、やる必要はあります?」
「……ま、そういうプレイだと思って楽しみなさい。少しは楽しめるでしょうから」
「ひっ♡ あうっ♡」
マシュを仰向けに寝転がせ、その下腹部に手を添える。メディアが手に魔力を込め、彼女の体に術を行使したのは、ほんの数秒のことだった。
淫らに膨らんだマシュの腹を優しく撫でたメディアは、そのまま彼女の性器を左右に大きく広げてその中身をマスターへと見せつける。自分の恥ずべき部分を見せるマシュは顔を僅かに赤らめているが、抵抗の素振りを見せてはいなかった。
開いた膣内には未だに白濁液が多く残っており、それがどろどろと奥から溢れては寝台のシーツを汚していく。ようやく、内部に溜まったそれの大半が流れ終わった時、マスターはマシュの膣内に見覚えのない物が出来上がっていることを目にして、口を開いた。
「これ、もしかして処女膜……? 魔術で再生したの?」
「そういうことよ。メンタルケアの一環として、形だけでもマスターに処女を捧げることは出来ないかってナイチンゲールに頼まれて、その要望に応えてみたわ。肉体の開発状況はそのままに膜だけ再生するっていうのにちょっと手古摺ったけど、そこまで難しいオーダーではなかったわよ」
「処女膜が、再生……? 私の、初めてが……?」
「……勿論、破瓜の時のことを思い出すから嫌だとか、そもそも生前に処女は散らしたから今さらだとか、そう言う娘には使わなくても良いわ。マシュも不満があるのなら、すぐに消滅させて――」
行使した魔術の効果を説明し、注意事項を口にしていたメディアがマシュに対する質問を言い終える前に、彼女は弾ける様にして体を起き上がらせた。勢いのままにマスターに口付けし、腰を浮かせて性器の入り口を亀頭に合わせると、目に涙を浮かべながら喜びの言葉を声に出す。
「初めて……♡ 私の、初めて……♡ お尻も、おまんこも、先輩に捧げられる……♡♡♡ 先輩のおちんぽに、私の処女膜をぶちぶちって、破ってもらえる……♡♡♡ 本当は違うかもしれないけど、今さらって思われるかもしれませんけど、それでも……嬉しい、です……♡♡♡」
「マシュ……!!」
かつて奪われた純潔が、形だけでも戻って来た。もう一度、その機会を得たというのなら、今度は誰にそれを捧げるのかは決まっている。
強く、強く……腕に力を込め、目の前の男性を抱き締める。胸に顔を埋め、深く呼吸を繰り返したマシュは、顔を上げると熱を帯びた視線で彼を見つめた。
マスターもまた、ドクドクと高鳴る鼓動を密着するマシュに曝け出しつつ、彼女を見つめ返す。今度は自分から唇を重ね、甘い口付けを交わし、愛情を伝え……そして、彼女の腰を掴んだ。
「……いくよ、マシュ」
「はいっ、先輩……♡」
彼の肩に、マシュの手が触れる。掴まれた彼女の腰を、マスターがゆっくりと引き寄せる。
何度も性交を繰り返した相手。だが、今回はその身を気遣う様にして丁寧に膣内へと肉棒を挿入していった。それはまさしく初めての行為を再現しているかの様で、交わる二人の脳は、じりじりとした熱い感覚に痺れを感じ始めている。
「あっ♡ はっ……♡」
ずるり、ずるりと嵌め込まれていく肉棒。それを迎え入れ、絡みつく膣壁。お互いが一つになっている、その感触に二人がごくりと息を飲んだその瞬間、マスターの亀頭が挿入を阻む薄い膜の存在を検知した。
それは硬い訳ではない。腰をゆっくりと進めれば、容易に肉棒の侵入を許して奥へと引き伸ばされてしまう。奥へ、奥へと腰を突き入れ、それの限界ギリギリまで肉棒を押し進めたマスターは、一定の位置でぴたりとその動きを止める。
ここが限界点。これ以上はもう、この防壁はもたない。それは即ち、二度目の破瓜を意味しており、マシュに相応の覚悟を必要としていることを意味していた。
もう、一度経験したことだ。もっと言うならば、何度も経験したことでもある。だが、それでもマスターはマシュに視線を送り、彼女の意思を問うた。優し気なその視線に胸を疼かせ、喜びに胸を膨らませ、マシュは、微笑みながら彼へと頷きを見せる。
覚悟は、出来た。迷いも、無い。マシュが、マスターが、お互いの気持ちが、一つになる。マスターはマシュの体を引き寄せ、マシュは自身の腰を落とす。お互いがお互いを求め合う動きに合わせ、二人の距離は更に近づき、そして、その間にあった僅かな隔たりはぷちんと音を立てて消滅した。
「は、あぁ、ぁぁぁ……っ♡♡♡」
ぴりりとした痛みが下腹部を襲う。それはほんの一瞬の痛みではあったが、マシュに確かな感覚を与えてくれた。今度は、間違えなかったと。例え偽の行為だったとしても、愛しい人に純潔を捧げられたのだと、彼女に強く自覚させる。目から零れ落ちた涙が対面の男にその温もりを伝え、喜びも表し、そして、快楽を生み出す。肉体だけの快楽ではなく、心を繋ぎ合う快楽がマシュの全てを満たしていく。
男が、マシュの背に腕を回す。強く抱きしめ、もう離さないとばかりに腕に力を込める。マシュもまた、その動きに合わせて相手を抱き締め返すと同じ様に腕に力を込めて二人して抱き合った。
「温かいね、マシュの中……。ううん、全身が柔らかくて暖かい。ずっと、こうしていたいな……!」
「私もです……♡♡♡ 今までよりも深く、先輩と繋がっている気がするんです……♡♡♡ 快感と幸福が重なって、気分がふわふわして……とても、幸せです……♡♡♡」
とんっ、とんっ……そんな、ゆっくりとした動きで二人の腰が動き出す。普段のセックスの際のそれと比べれば生温い動きではあったが、今の二人にとってはこれが限界であった。
いつまでもこうして抱き合っていたい。相手に快楽を与え、幸福を分け合い、ずっとずっと繋がっていたい……! 普段の性交が悪い訳ではない。だが、今はゆっくりと時間をかけて愛し合いたかった。一秒でも長く愛する人と交わり続けていたかった。
「はぁっ! はぁっ! はぁっ……!」
「あふっ♡ ふぅっ♡ んふぅ……っ♡」
吐く息にも余裕の無さが表れている。普段より落ち着いたグラインド、ピストンなのに、熱く甘い吐息が口から溢れてしまう。
もっとこうしていたいのに、ずっと愛し合いたいのに、胸から溢れる幸福感が過敏に快感を感じさせる。激しいセックスとは違う、全身を満たす快楽が二人を包みこんで来るのだ。
「あ、つい……♡ 先輩の、いつもより硬くて、大きくなってます……♡♡♡」
「マシュだって、普段より蕩けてて、俺のに絡みついて……ぐぅっ!!」
「ひぅぅ……♡♡♡ ダメなんですっ♡ 先輩に抱きしめられてるだけでイって♡ 赤ちゃんのお部屋をノックされてイって♡ おまんこズルズル引っかかれてもイっちゃって……♡ 処女膜破られた時から、イクの止まらないんです♡ 気持ち良い、だけじゃない……♡ 幸せで、イクのが止まらない……っ♡♡♡」
小さな快感の波が絶え間なく押し寄せ、マシュを何度も絶頂へと押し上げる。一回の絶頂ごとに体は敏感になり、感じる幸福感もまたより強くはっきりとしたものへと変化していった。それが故に、マシュは止めどない絶頂を繰り返し、膣を熱く火照らせているのだろう。
そして、それはマスターも同様であった。ただ一つ違うことは、彼が射精してしまえば全てが終わってしまうという一点のみだ。きっと、これが今日の最後の一回となる。この幸福感を味わいたくとも、もう一度は無い。ならば、限界を超えるほどの忍耐力で射精を禁じ、マシュと交わり続けるのだと、彼は決めていた。
忍耐に忍耐を重ねた結果、肉棒はパンパンに膨らみ、硬さも尋常ではないものになっている。滾りに滾った竿は硬度もまた磨きがかかっており、鈴口から漏れる我慢汁の魔力量も信じられない程の純度を誇っていた。
「あぁぁあぁあぁ……っ♡♡♡ 先輩のおちんぽぉ♡ ガチガチのアツアツでぇ……♡ すごいことに、なってます……♡ もう、我慢しないで下さい……♡ 私の膣に、射精して……っ♡♡♡」
「ま、だ……っ! まだ、こうしてたいよ……! マシュとずっと、こうしていたいんだ……!!」
「私も、です……♡♡♡ でも、先輩に我慢なんかして欲しくないです♡ 今日が駄目でも、明日や明後日、これから何時だってこうしてセックスすれば良いだけなんですから……♡♡♡ だから、我慢しないで下さい♡ 先輩の精子、私の赤ちゃん部屋にぶちまけて……私を妊娠させて下さい……っっ♡♡♡」
「ぐ、あぁぁぁぁぁっ!! マシュっ! マシュっっ!!」
「んうぅうぅうぅううぅううっっ♡♡♡」
耳元で囁かれた甘美な言葉に、マスターの理性が弾け飛ぶ。ピストンの速度は変えず、その力強さだけを強化して肉棒をマシュの膣内へと打ち込み、更なる快感を双方味わい始める。
一突きで意識が飛ぶほどの快感。それを断続的に味わうマシュ。溢れ出す愛液は白く濁り、破瓜の血と混じってピンク色の体液となってシーツへと零れ落ちていた。もはや、イクことが当然の状態となりながらも、マスターの滾りを受け止められることを悦ぶ彼女の表情は、幸福に歪んでいる。
(先輩とずっとこうして……♡ お腹の中、温かい……♡ 私のおまんこ、もう先輩の形になって……♡ あ、あ……種付けされちゃうっ♡ 先輩の赤ちゃん、孕んじゃうっ♡♡♡)
思考は纏まらず、脳内にはその場の感情に合わせた単語が次々と浮かんできていた。そのどれもが喜びの意味を持ち、そして段々とその幸福を強めている。
唇は、先ほどからずっとマスターと重ね続けていた。舌を絡ませ、唾液を循環させ、お互いに貪り合う。体は充足し、心は満たされ、マシュの胸は幸せで一杯になっていく。
マスターには余裕がない。抱き締められる腕から、絡む舌から、膣内を穿つ肉棒から、その無我夢中さが伝わって来る。それが愛しく、愛らしく、そして喜ばしい。愛する人がここまで自分を求めてくれることが、マシュにとっては嬉しくて仕方がないことであった。
(愛してもらえている……女として、愛されている……♡ 雌奴隷でも、サーヴァントでもない。一人の少女である【マシュ・キリエライト】として、私を愛してくれている……♡ こんなに余裕がなくって、私を強く抱き締めて、求め続けて……♡ 先輩、すごく可愛い♡)
(大丈夫ですよ。私は何処にも行きません。私は、ずっとあなたの傍に居ます……♡ あなたと一緒に未来を築いて、幸せを紡いで……そうやって、生きて行くって決めたんですから……♡)
(あなたが私を愛してくれる様に、私もあなたを愛しています……♡ ずっと、ずっとずっと……一緒ですよ、先輩。苦しいことも一緒に乗り越えて、楽しいことを分かち合って、一緒に生きましょうね、先輩……♡)
彼の愛を、自分の在処を、未来への想いを……胸の中で自覚する度、マシュの尻の淫紋令呪がその輝きを増した。刻まれる線はより深く、放たれる魔力はより強く、霊基をより強靭なものへと変化させるそれが、一層輝きを鮮やかにしていく。マスターとサーヴァントの絆が深まったことによる強化は、マシュの躰に更なる魅力を与える。
肉襞。子宮口。膣壁。その全てがマスターに至上の快楽を与えるべく蠢き出した。彼女の尻穴がそうである様に、膣もまた彼のための器官となって奉仕を始めたのだ。力強いピストンを続ける肉棒を優しく受け止めるマシュの膣は、絶世の名器となってマスターを包み込んだ。
「は、ぐっ!! マシュ、すごくなって……っ!!」
「ほら、我慢しないでびゅ~っ、ってしちゃいましょう♡ 私のお腹に、熱々のザーメンぶちまけて良いんですよ、先輩……♡」
「はっ! はっっ! うぅっ! も、もう……っ!」
「ああ……♡♡♡ こんなに膨らんで、カチカチになってるおちんぽからは、どれだけの量のザーメンが出るんでしょうね……? 濃さも熱さも凄いでしょうし、私、孕んじゃうかもしれませんよ……♡♡♡」
「ぐ、うぅぅぅぅぅっっっ!!」
一際大きな唸り声を上げたマスターが、マシュの尻を掴んだ。柔らかく張りがあるそこの形が変わる程に強く力を込め、強く腰を打ち付けて子宮口へと亀頭を押し付ける。マシュの膣もまた、連続絶頂の余韻を残す震えを繰り返しながらも、自身の内部で位置を決めたマスターの肉棒へと擦り寄ると、子宮への入り口を大きく開いて亀頭へと吸い付いた。
途端、互いの我慢が限界を迎える。はち切れんばかりに膨れ上がった肉棒は、精巣から駆け上がって来た大量の精液をマシュの胎内へと容赦なしに吐き出した。その量も熱も濃さも、今までの数倍はあろう物であり、想像を超えた射精の激しさに感度の高まったマシュの肉体は呆気無く最大級の絶頂を迎えてしまう。
「あひぃいいぃいいぃいぃいぃいぃいぃいぃっっ♡♡♡ しゅご、しゅぎぅうぅうっっ♡♡♡ おっ、おおぉおおっ♡♡♡ ほゴぉおぉおぉぉおぉっっ♡♡♡」
子宮は美味しそうにその精液を飲み干している。もしもこの中に卵子があったのなら、あっという間に精子に群がられて着床してしまっていただろう。宿敵を倒せていない状況で身重の体になるわけにはいかないと判断した令呪の効果によって妊娠こそ防げたが、子宮内を満たす精液による快感はマシュの想像を絶していた。
びくん、びくんと体を震わせ、最後の一滴まで精液を注ぎ込まれる。もっとも、まだまだ射精は続いているため、その終わりが来るのはまだ先の様だ。我慢に我慢を重ねた結果、マスターの射精は人知を超えた領域の激しさへと脚を踏み入れてしまったらしい。
それでも、マシュは目の前のマスターを押し倒すと、無我夢中になって彼の唇を貪る。マスターもまた射精の快感に酔いながらもその求めに応じ、互いが貪るようにして唇を重ね合わせた。
カメラには、肉棒を突き入れられた膣口と精液を噴き出させる尻穴が映っていた。マシュの丸い臀部に刻まれた淫紋令呪が自分たちの知らない効果を発揮し、その強さを見せつけた所で映像が途切れる。
砂嵐が映る映像の中、最後に響いて来たのはレオナルド・ダ・ヴィンチによる呼びかけであった。
『……以上が、現在のカルデアの状況だよ。君たちには少し刺激が強すぎたかもしれないけど……まあ、大丈夫だよね? そちらの方が、刺激的な毎日ってことは間違いないんだからさ……。まあ、これからも私たちのやることに変わりは無い。どこかで相対することがあったとしたら、その時はよろしく頼むよ。それじゃあ、またね……!』
「抱いてっ! 抱いてよっ! 私のことを、抱きなさいってばっ!!」
「なんで? どうして……? 何でセックスしないの? シタいって言ってるのに……!」
「ま、待てっ! 止せ、やめろって!!」
ビデオの再生が終了してから十数分後、ソロモンの城内は混沌としか言い様がない様相を呈していた。半狂乱になる女英霊たちと彼女たちに気圧される男たち、数え切れぬほどの人間たちが精液と愛液の臭いが充満する部屋の中で叫びあっているのだ。
当然と言うべきか、ビデオを見た女英霊たちは錯乱に近しい精神状況を迎えながら、鑑賞によって火照る体を冷ますべく男たちに性交を強請った。普段は自分たちの主であり、支配する者たちである彼らは、すぐにその求めに応じて彼女を抱く……はずであったのだが、ここで問題が起きる。
そう、彼らもまたビデオを見ている間に興奮を感じていたのだが、それが余りにも強すぎた結果、一足先に射精を終えてしまっていたのだ。彼らの履いている下着がイカ臭くなるまでに精液を吐き出した肉棒は、当たり前の如く萎えたまま復活することはない。これでは、女英霊たちを抱くことなど到底不可能な話だ。
いつもは自分たちを嘲笑い、足蹴にして蹂躙する男たちが情けなくも肉棒をへたらせる姿は、女英霊たちの失望を大きく煽った。加えて、ビデオ映像の中で悠々と十名以上の女を抱いていたカルデアのマスターの姿を思い出し、彼の事を馬鹿にしていた目の前の男たちの不甲斐ない姿を目にすれば、その思いも強まるというものだろう。
求めている快感は、この男たちからは貰えない。そうなれば、次に快感を求める男は決まっている。数十名は居る女英霊たちは、一斉に視線をソロモンへと向け、肉食獣の様な眼差しで彼を見つめ始める。
「ソロモン、様……!」
「貴方は、私たちの期待を裏切りませんよね……?」
「抱いて下さい……! 私たちを、抱いて……っ!!」
「っっ……!?」
じりじりと距離を詰める女英霊たちの眼は、完全に色欲に狂っていた。ソロモンと、彼が与えてくれるであろう快感に期待して、それ以外の思考を捨て去ってしまった様に見えた。そしてそれは、欲望の対象となっているソロモンの眼には、とても恐ろし気なものに見えたのである。
この数の女英霊たちの相手が出来るかどうかで言えば、それは一応可能ではある。しかし、その際に使うであろう体力や魔力、そして時間を考えれば、気が引けることも確かだ。しかし、ここで彼女たちの期待を裏切れば……待っているのは、己が身の破滅に他ならない。彼女たちはソロモンのことを快楽を与えてくれない相手として判断し、一斉に反旗を翻すかもしれないのだ。
多大なる労力を支払い、彼女たちの心を得るか? それとも、離反を覚悟してでも行為を拒否するのか? 究極の選択を突き付けられたソロモンは、眼前に迫る女英霊たちの姿を見止め、そして即座に決断を下す。
左手を掲げ、そこに刻まれた淫紋令呪をドス黒く光らせる。魔術を行使する準備が整ったことを確認した後、ソロモンは彼女たちに向けて命令を下した。
「女英霊たちに命ずる! 失神せよ! その間、ここ数時間の記憶を消去しておけ!」
「ぐ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
令呪による命令を行使された女英霊たちは、一斉に頭を抱えて苦悶の叫びを上げ始める。しかし、それも一瞬のことで、すぐに全員が部屋の床に倒れ伏し、室内には静寂が戻った。
ソロモンを除き、男たちはその光景をただ茫然とした表情で見ている。無駄な手間を取らせた部下たちに対する苛立ちの感情を、ソロモンが胸に浮かべた時であった。
「無様、だな……ソロモン……!」
「なに……!?」
背後から響いた弱々しい声に振り向いたソロモンは、海魔に手足を絡め取られ、身動きを封じられた状態でありながらも鋭い視線で自分を睨みつける一人の女英霊の姿を見て取った。オケアノスの戦いにて自分を裏切り、カルデアに与しながらもこちら側に帰還した重罪人、アタランテの言葉に不快感を露にするソロモン。そんな彼に対して、アタランテは自分に襲い掛かる命令の強制力に抗いながらも懸命に言葉を発して彼を侮蔑する。
「結局、お前はその程度の男だ……! どれだけの有利を得ようとも、それを容易にドブに捨てる。淫紋令呪を刻み、完璧なる性奴隷に堕とした女英霊たちも、これがきっかけでどうなるか予想がつかないぞ?」
「何を馬鹿なことを! 令呪による命令でお前たちの記憶は消える! そうなれば、この映像もなかったことになる! きっかけも何も無い、何も変わらないさ!」
「く、ははは……! まだ、そんなことを言うのか……正気に戻った女の一人、再度堕とすことも叶わない男が、未だに強がりを言うか。いや、失敬……状況を正しく判断出来ていないと言うのが正しいだろうな。これがどれほどの意味を持つのか、お前は理解出来ていないんだ」
折檻のために海魔に絡め捕られている手足を砕かれようとも、アタランテの声からは力強さが消えない。痛みを乗り越えるだけの精神力を見せ、ソロモンに一矢報いるべく、彼女は言葉を紡ぎ続ける。
「淫紋令呪を刻まれた女英霊が何故、数に劣るカルデアに敗北を重ねるのか……? その理由は簡単だ。彼女たちは道具であって、英霊ではないからだ。お前は、私たちから心や誇りを奪い、従順なる奴隷へと仕立て上げた。淫紋令呪の力によってその支配を絶対のものとし、おまけに強化も果たせた、その点に関しては素直に尊敬しよう……しかし、そのせいで私たちはただの人形になってしまったんだ。人の心を失った、命令を果たすだけの人形にな……!」
「能力や技量、宝具やスキル、そんなものがいくら在った所で、その中核を成す強い意志が我々には無い……意思のない人形と心を取り戻した真の英霊がぶつかれば、どちらが勝るのかなど自明の理だ。さしずめ、お前は延々と
「そして、心無き人形が他者との触れ合いで心を取り戻した時、それこそがお前の支配から解き放たれる時だ! 私が良い例だ。戻って来てからというもの、お前に毎日の様に拷問をされているが……もう、私は堕ちないぞ。もう二度と、惨めな人形に戻って堪るものか! お前が私を何度殺そうとも、私は堕ちはしない! 私がカルデアに戻るその日まで、部下に裏切られ続ける貴様がやつれていく姿を見て笑ってやる! 今日、この日、私たちは心を取り戻す楔を得た! 心の奥深くに、確かな杭を打ち込まれたのだ! それを引き抜くことは、貴様には不可能――」
「もう黙れ! この雌畜生めがっ!!」
「がああぁっ!!」
再度、ソロモンの手甲に刻まれた淫紋令呪が光り、今度こそアタランテの意識を根こそぎ刈り取った。ガクリと頭を垂れた彼女の顔を掴み、その頬を激しく殴打しながら、ソロモンは狂った様に喚き散らし続ける。
「何が、堕ちないだっ! 令呪の命令には逆らえぬ癖に、生意気なっっ!! 決めた、決めたぞっ! お前にはもう一度、カルデアを滅ぼすための刺客となってもらおう! さらに苛烈な拷問を以って、貴様を忌むべき人形に堕としてくれよう!」
意識のないアタランテに向かって叫んだソロモンは、最後に彼女の腹を魔力で編んだ剣で貫き、その命を奪った。そして、新たにアタランテを召喚する準備を整えながら、荒れた息を深呼吸で治め、そして王座に座す。
屈辱は与えられたが、大した痛手は負っていない。しかし、女英霊たちの度重なる離反をそろそろ問題視すべきなのかもしれない。そう考え、その対策を思い付いたソロモンは、未だにへたり込み続けている男たちを放置してさっさと自分の私室へと戻ってしまった。
そこで研究を重ね、対策用の魔術を作り上げるソロモン。しかし、彼はまだ事の重大さに気が付いていない。令呪の命令によって記憶を操作したが故の問題が生まれることに、まるで思い当ってはいない。
確かに記憶を消去すれば、ビデオの内容は忘れるだろう。しかし、目を覚ました女英霊たちは、火照りが冷めていない体に疑問を抱くこととなる。何故、自分たちはここまで昂っているのか? そんな疑問を持ちながらも、抱いている欲求を発散出来ぬ女たちは、この日の出来事に違和感を抱くこととなるのだ。
そして、その違和感は確かに記憶される。その違和感が、心に刻まれた不信感と消去された記憶を呼び覚ますきっかけになり得ることを、ソロモンはまるで気が付いてはいない。女英霊たちの心に打ち込まれた楔は確かにそこにある。誰にも気が付かれていないだけで、確かに存在しているのだ。
こうして、打ち込まれた楔がその効力を発揮し、内部を崩壊させる序章が始まるのは……そう遠くない未来の話なのであった。
ようやく……ビデオレター編、終わり!
次回からは愉快な幕間エロを書きつつ、次の特異点の準備を始めます!