新・フランスの日常(ジャンヌ 堕ち描写注意)
―――1400年代のフランス、ここでは、二つの国が長きに渡る戦いを繰り広げていた。
一つはもちろん戦場となっている国『フランス』もう一つは、そのフランスに侵攻を仕掛けている国『イングランド』だ。
様々な事情が絡んだこの戦いはすでに50年以上もの月日に渡って繰り広げられ、両国は疲弊しながらも戦いを続けていた。
人は死に、地は枯れ、心を傷つけながらも両国の戦いは続いた。疲れ果てながらも争い続けるのこ戦争は何時までも続くかと思われた。
だが、それは突然に現れた。空が曇り、大地が揺れると共に異形の化け物たちが姿を現したのだ。
空から迫るは鋭い牙と翼を持つ飛竜、上空から襲い掛かり兵たちを次々と食い殺していく。
大地からはまるでヒトデの様な海魔が触手をくねらせて兵たちを襲った。その触手に絡まれた者は骨を折られ、躰を貫かれて死んでいった。
そうして死んだ兵士の死体からは怨霊となった骸骨兵が姿を現した。武器を手に襲い来るかつての仲間たちの亡霊に怯え、また多くの兵たちが死んでいった。
化け物たちに見境は無かった。フランス軍もイングランド軍も容赦なく襲われ、次々と兵は殺されて行った。
数を増すばかりの化け物に対して両軍の兵たちは思った。世界の終わりが来たのだと……その時だった。
「立ちなさい兵士たち! 今こそ守るために戦うのです!」
戦場に凛とした女性の声が響き渡った。その声に聞き覚えのある者は信じられないと言った様に首を振る。
―――ありえない、彼女は間違いなく死んだはずだ……
だが、その思いを裏切るかのように彼女たちは姿を現した。白と黒の聖女たちは旗を手に化け物たちに戦いを挑む。
白の聖女が旗を振れば、化け物の牙や爪は兵士たちに届くことなく掻き消えた。絶対的な防御を誇るその奇跡に誰もが目を見開く。
黒の聖女がその鎧と同じ色の炎を出せば、それは化け物を焼き尽くすまで消えない絶対的な処刑の始まりとなった。化け物たちを次々打ち倒していく彼女たちは両軍の兵士たちに叫ぶ。
「戦いなさい! 今は同じ人間同士で戦っている場合ではありません!」
「国と命を守る為、手を取り合って戦うのです!」
その言葉に喚起した両軍の兵たちは聖女たちに従って戦った。化け物を打ち倒し、仲間を助けて戦い続けた。
もうそこに戦争をしていた国々と言う概念は消え去っていた。強大な敵に対して協力して立ち向かう仲間たちとなっていたのだ。
そして……化け物が居なくなった後、その場に残っていた兵士たちは互いの無事を喜び合った。生きている事へ感謝し、仲間たちと喜びを分かち合った。
「もう、戦争など終わりにしましょう。これからは協力して国を豊かにするのです」
白の聖女が言ったその一言に、反論するものは誰も居なかった。
そこから国は変わった。戦争が終わった後、蘇ったどころか二人に増えて戻って来た聖女たちに誰もが驚いたが、彼女たちはそんな民衆たちになぜ自分たちが生きているのかを説明した。
「全てはソロモン様のお陰です。我らが主、ソロモン様が我々を蘇らせて下さったのです」
「今、私たちには偉大なるソロモン様からのお言葉が聞こえています……この国をより素晴らしい物へと変える為の方法を、ソロモン様はお教えくださっています」
二人の聖女はフランスの内政に干渉した。ソロモンからの言葉と称してフランスの制度を変え、次々に新政策を打ち出して行った。
無論、彼女たちは大臣や政務官になる訳ではない。ただの神託を受けた巫女として、フランスの政治に関わっただけだ。
ただ、その政策はすべて上手く行った。当然だ、この策を考えたのはソロモン王……世界で最も偉大な王の一人なのだから
民衆は歓喜した。戦争の終結に加えてより生きやすい制度が作られたおかげで生活の質は向上し、飢えたり苦しんだりすることが無くなったからだ。
民衆の支持を受けたソロモンの政策はフランスの政治の基本となった。政務官たちも聖女たちの神託を待ち望み、彼女たちに頼る事が多くなった。
そうして、フランスは大きく姿を変えた。本来の歴史を辿る事無く、ソロモンの言う通りに動く国となったのだ。
確かにソロモンの政策は素晴らしかった。故に、一つ二つのおかしさを感じるものがあっても誰も気にも留めなかった。
どうせ我々には考えの及ばないものなのだろう……そう考え、考える事を放棄した。
今やフランスは唯一神ソロモンを崇拝する国家になった。民衆はソロモンに感謝の言葉を述べ、異論を唱える者は処刑された。
世界初の民主主義国家は、こうして狂い始めたのである。
「……これで、本当に戦争は終わりになりましたな」
「ええ、今日は記念すべき日となるでしょう」
夜、フランスのとある建物の中で二人の男が話し合っていた。椅子に座り、一つの紙に己の名前をサインした二人の男たちはフランスとイングランドの代表者たちだ。
二人は戦争を終わりにする為の終戦条約を結ぶ為にこの建物にやって来ていた。護衛の兵たちが居ないのはとある人物たちにその方がお互いを信用している証になると言われたからだ。
国境、今後の対応、復旧に関する働きかけ、etc……そう言った事が書かれた条約締結の紙に調印をした二人は深く息を吐く、これで本当に戦争が終わりになったのだと言う思いにふけっていると、ぱちぱちと拍手の音が聞こえて来た。
「……素晴らしいですわ、このような記念すべき場に私たちの様な田舎娘が立ち会えたことを誇りに思います」
恍惚とした表情でそう呟く白の聖女、ジャンヌダルクは普段の戦装束では無くドレスを身に纏っていた。年相応の美しさを引き立てるその装いに男たちは目を奪われる。
「あぁ……これで私を処刑したあの男にも天罰が下るのですね。イングランドの方々の英断に深く感謝を申し上げます」
もう一人、黒のドレスを身に纏ったジャンヌオルタもサインされた紙を見ながらそう呟いた。自分たちの信奉する神を否定した男に罰が下ると言う事に感激しているのか、その眼には涙が溜まっている。
「何を言うか、君たちこそ真の英雄だ。君たち無くして戦争の終結は無かった」
「戦争後の復旧にも一役買ってくれている。君たちに比べれば私たちなどなんてことない存在だ」
「そう言って頂けるのはありがたいのですが、私たちは神からのお言葉を伝えるだけの存在、ただのか弱い女です」
「私たちの言葉を信じ、行動して下さる貴方がたの様な人々こそ、真の英雄でしょう」
男たちの賛辞に顔を赤らめて礼の言葉を返すジャンヌたち、彼女たちの慎ましやかな態度に見惚れていた男たちだったが、時を告げる鐘の音にもうすっかり遅い時間になってしまっていた事を思い出した。
「……夜の闇も濃くなってまいりました。今日はもうお休みになった方がよろしいでしょう」
「お部屋までご案内いたします。どうぞ、私たちの後に……」
二人のジャンヌは部屋の扉を開けると左右に分かれる。黒のジャンヌが母国の代表者を案内して廊下の先へと消えたのを見た白のジャンヌは、イングランドの代表者に笑いかけて言った。
「では、私たちも参りましょうか」
「ふっ♡ あぁっ♡ はぁんっ♡」
数分後、男は案内された部屋のベッドの上でジャンヌと肌を重ねていた。彼女の豊かに実った双房の先端に吸い付き、舌で転がして感触を愉しむ。コリコリと弄ってやればジャンヌの口からは嬌声が溢れた。
「まさか、あの聖女様にお相手願えるとは……」
「ふふ……♡ 意外、でしたか?」
「ええ、貴方は、その……」
「聖処女……と呼ばれておりますね。しかし、これの何が悪いと言うのですか?」
「うぉっ……!」
ぐりんと躰をひねったジャンヌはその大きな乳房で男の肉棒を包む。上下にリズミカルに乳房を揺すり、男に奉仕を続けていく。
「ソロモン様は言いました、生を楽しめと……性欲は人間の三大欲求の一つ、それを満たすことは生きる事の喜びを知ると言う事ではないでしょうか?」
「な、なるほど……」
積極的なジャンヌの奉仕と妙な説得力がある言葉に頷く男、その顔を満足そうに見ながら彼女は続ける。
「それに……両国に平和をもたらした英雄のお相手が出来ると言うのは、女として身に余る光栄ですわ……精一杯のご奉仕をさせていただきますので、どうぞ楽しんで下さいませ」
そう言い終えたジャンヌは胸の谷間から飛び出している男の亀頭に唇を落とす。そして、そのまま口の中に咥えこむと口内奉仕を始めた。
「んじゅっ♡ ちゅうっ♡ じゅるっ♡」
「お、おぉっ……!」
あの聖女ジャンヌダルクが自分の肉棒を胸で挟み込む、口内奉仕をしている……犯しがたく汚す事など考えられない神の使徒が、淫らに男の欲望を満たす器になっている姿は男の劣情を搔き立てた。
「ぬ、おぉぉっ!」
「んぶっっ♡♡」
予告もなしにジャンヌの口の中に精を放つ。一瞬、ジャンヌは驚きで目を見開いたもののすぐさま喉を鳴らして男の精液を飲み始めた。
「……ぷはぁ♡ 大変美味しゅうございました。病みつきになる味でございます♡」
口を大きく開け、精液を一滴残らず飲み干したことをアピールしたジャンヌはそのまま仰向けに寝転がると子犬の様に両手両足を曲げて男を誘う格好を取った。そして、開いた脚の間にある女性の象徴を見せつけながら男に囁く。
「次はあなた様が私を味わう番……この躰、余すことなくお召し上がりくださいませ」
「あ、あぁ……では、さっそく……っ!」
男はジャンヌの女性器に己の肉棒をあてがうとそのまま一気に突き入れる。すんなりと最奥まで挿り込んだ逸物からは、まさに天上の快感が伝わって来た。
「おぉ……っ、こ、これは……っ!?」
ジャンヌの膣はじっとりと濡れそぼり、包み込むような温かさと柔らかさを併せ持っていた。それでいて処女の様にきつく締まり、男の肉棒を締め上げる。
「あぁ……♡ とても立派なおちんぽです♡ これこそ、後に語り継がれる英雄に相応しい物……♡」
うっとりとしたジャンヌの声と共に膣が締まる。まるで肉棒を抱きしめる様に柔らかく締め付けるジャンヌの膣は、男が今まで抱いたどんな女の物よりも素晴らしい名器であった。
「うふふ……♡ 私のおまんこは心地良いでしょうか?」
「もちろん! これほどの名器、今まで味わった事が無い!」
「まぁ、それは嬉しいお答えです……♡ 流石、女の喜ばせ方が分かっていらっしゃる♡」
いちいち男を持ち上げるジャンヌの言葉だが、言われて悪い気分になる訳でもない。それが見目麗しく国民中から慕われる聖女からの言葉となればなおさらだ。
「さぁ、心ゆくまで私を召し上がって下さい、それこそが主の意思なのですから……♡」
言われるまでも無いと男はジャンヌを責める。腰を振り、ジャンヌの膣とその奥側を責める。
「ひんっ♡ ひぃんっ♡ ひあぁっ♡」
ジャンヌの歓声を聞きながら男は自分の方へと彼女を抱き寄せた。対面座位の体位になった二人は激しく唇を交わす。
「れろっ♡ んじゅっ♡ んんんっ♡」
ジャンヌの甘い唾液を味わい、蕩けた瞳を愉しむ男。下から突き上げる度にコツコツと当たる子宮口の感触を感じながら、手は彼女の臀部を撫でる。
「柔らかく張りがあり、丸みを持つ。女性としての魅力が詰まった素晴らしい尻だ……」
「ふふ……ありがとうございます♡ そう言われると心がときめきます……♡」
胸の内のジャンヌがきつく男を抱きしめる。胸板に彼女の柔らかく大きな胸が当たり、つぶれているのが分かる。
男の肩に顎を乗せ、耳元で延々と喘ぎ続けるジャンヌの全てを体で感じながら、男はジャンヌを突き上げる。
「あ~~~~っ♡ あぁ~~~~~~っっっ♡」
「おちんぽっ♡ おぴんぽしゅごいっ♡ わたしのおまんこが、どろどろになってるぅっ♡」
耳元で淫らな叫びを上げるジャンヌの甘く蕩けた声が男の官能を刺激する。腕に力を込めて彼女を抱きしめると、逃げ場のない様に激しくピストンした。
「ひぃっ♡ しきゅっ、おしあげられっ、ひあぁっ♡」
「だめぇっ♡ イク、イキますっ♡ もうイクのぉぉっ♡」
ジャンヌがそうであるように男もまた限界であった。ぎりぎりまでジャンヌの膣を楽しむべく我慢をしていた彼であったが、一気にきつくなったジャンヌの膣圧に耐えきれず絶頂する。
「イクっ♡ イク~~~~~~~~~~っっっ♡♡♡」
男が射精するよりも早く達したジャンヌは大声で絶頂の叫びを上げる。その快楽に染め上げられた声を聞いた男は、確かな高揚感を得ていた。
「……あぁ、申し訳ありません……ご奉仕する私が、先に達してしまうなど……」
「いや、構わないが……その、それよりも、私はあなたの膣に……」
膣出ししてしまった事に多少の恐怖を感じる男、しかし、ジャンヌは柔らかな笑みを浮かべると首を振った。
「何も心配する事などございません。貴方様の様な英雄の子を孕めるのならそれは女として最上の喜び……それに、そうなればきっと両国にとって良い事となります」
「と、言うと?」
「……終戦条約にサインした英雄である貴方様と、わが国で聖女ともてはやされている私……その二人の子は、きっとフランスとイングランドの懸け橋となるでしょう。これを素晴らしい事と呼ばずしてなんと言いますか?」
ゆっくりと、ジャンヌは両腕と両脚で男に絡みつく。所謂「だいしゅきホールド」という様相を取りながらジャンヌは男の耳に甘く囁く。
「……さぁ、これで憂いは無くなりましたね? では、今宵はたっぷりと愛し合いましょう。この館には私たち以外誰も居ません、誰もこの営みを邪魔する者はいないのですから……♡」
「えぇ、その通りですとも……じっくりたっぷりと交わりましょう……♡」
男の後ろから聞こえる声、その声に振り返ってみればそこにはフランスの代表に抱えられたジャンヌオルタの姿があった。女性器に肉棒を咥えこんだまま担がれた彼女もまた、熱に浮かされた目と声でこちらを見ている。
「あちらも盛り上がっている様子……これは、私たちも負けてはいられませんね♡」
「……ああ、そうだなっ!」
「あんっ♡」
男は自分に絡みつくジャンヌを抱きしめたまま立ち上がった。ジャンヌの体重がそのまま結合部にのしかかり、先ほどよりも奥へと肉棒が突き刺さる。
「あぁ……♡ なんと雄々しいのでしょう♡ これこそ、英雄と呼ぶにふさわしい男です……♡」
ぶしゅう、と音を立てて彼女の膣から飛沫が舞う。熱い本気汁が噴き出る自信の女性器がうねるのを感じながら、ジャンヌは男に目配せをした。
「今宵は聖女の名を捨てましょう。ただ貴方たちに抱かれ、幸せを感じて貰う為に身を差し出す女として振る舞いましょう……♡」
「両国の親交、政治の問題などはお忘れください。ただ愉しんで頂ければ良いのです……♡」
「「さぁ、宴を始めましょう……♡♡」」
二人のジャンヌの声を皮切りに男たちが腰を揺らす。たった四人だけしかいない建物の中で、ジャンヌ達の嬌声だけが絶えずに響いていたのであった……
それからの数日間はイングランドの代表の男にとって最高のものとなった。男には常にジャンヌが突き従い、彼が望めばどこでも身を差し出したのだ。
朝、目覚めると同時に奉仕を命ずればたちどころに乳房で肉棒を挟んで扱きあげた。
昼、移動中の馬車の中で人知れず彼女の躰を味わった。
夜、離れたと見せかけてこっそり男の寝室にやって来たジャンヌを朝が来るまで抱き続けた。
その繰り返し、延々と交わり続けた二人は徐々に過激な行為にも手を伸ばし始める。
小便を催した男はジャンヌの尻の中に放尿し開放感を得る。そして、そのまま夜までジャンヌに我慢させ、男の目の前でアナルから注がれた小便を吐き出したこともあった。
その時は漏れ出した尿のせいでジャンヌのズボンの尻の部分に染みが出来たり、彼女が座った場所が何故だかじっとりと濡れていると何名かの小間使いに不思議がられたものだ。
尻から尿を出すときも我慢する為に肛門を締めすぎたせいか出なくても良いおならまで出て来てしまい、恥ずべき姿を見せていると言う背徳感に燃え上がったジャンヌはだらしなくアナルを広げて放屁し続けたものだ、男はそんなジャンヌの狂った姿を見て愉しみ、その後はたっぷりとアナルセックスで締まりの無い尻に栓をしてやった。
屋敷のベランダに裸のジャンヌを放り出し、中から鍵をかけて屋敷内に入れない様にしたこともあった。ガラス張りの窓の中から裸のジャンヌが慌てる様をたっぷりと鑑賞するのだ。
何時誰かに目撃されるか分からない状況の中で彼女にオナニーする様に命じ、その様子を眺めながら酒を飲む。見世物の様に扱われている屈辱感と堪らないスリルの中で倒錯したジャンヌがしっかりと絶頂した事を確認した後で、今度は男も外に出てセックスを始めるのだ。
口をキスで塞ぎ、くぐもった叫びを上げさせながら膣を抉る。いっそ見られてしまいたいと思う程の濃厚なセックスを終えた後で、再び屋敷内に迎え入れられて躰を交わらせた。
自分のどんな命令にも従順に従うジャンヌにいつしか男は並々ならぬ感情を抱き始めていた。このままイングランドに連れ帰って妻としてしまいたいほどの欲求を抱きながらも、彼女がそれを許されない立場である事を知っている為に胸の内にとどめるしかない。
そうこうしている内に帰国の日となり、男とジャンヌは出発を待つ船の一室で最後の別れを交わしていた。
「……寂しくなりますがこれも御国の為、一時の別れでございます」
「あぁ……そう、だな……」
「何も気にすることはありません。またフランスに来た際には私がご案内いたしましょう」
気落ちする男に対してジャンヌがそっと微笑みかける。そして、懐から幾つかの物を取り出した。
「……別れの前にいくつか贈り物がございます。一つ目はこちらです」
差し出したのは一つの書簡、それを見た男に内容を簡単に説明する。
「それはソロモン様が作り出した新たな国の法律……もし、イングランドで政策に行き詰った際に参考にして頂ければ幸いです」
「ああ、ありがとう」
「次は、こちらです……ちゅっ♡」
「おおっ……!?」
ジャンヌは男の唇に自分の唇を重ね合わせる。悪戯っぽい笑みを浮かべた後で彼女が口を開く。
「……神からのご加護がありますよう。ソロモン様からの祝福です。そして最後に、私から……」
そう言いながらジャンヌが取り出したのは、彼女の小指ほどの大きさの小瓶だった。中には黄金色の液体が詰め込まれており、しっかりと栓がしてある。
「これは?」
「あぁ、その……聖女の聖水、とだけ申し上げておきましょう……♡」
恥ずかしそうに頬を染めるジャンヌを見た男がその中身を察して驚きに目を見開く。まさか貞淑な彼女がここまでするとは、彼女なりの自分への愛の証だと感じた彼は深く感激した。
「……しっかりと祈りと加護を込めておきました。貴方に降りかかる災いはこれで除かれるでしょう」
「あぁ、あなたからの深い愛を感じる……」
「……もう、そんな他人行儀な呼び方は止めてください。離れる寂しさに身を引き裂かれそうだと言うのに、その様な扱いをされては心まで凍てついてしまいます」
「っっ……! じゃ、ジャンヌ……!」
男を抱きしめる様に躰を預けたジャンヌを彼もまた抱きしめ返す。じっくりとお互いの愛を確かめ合った後で、ジャンヌは甘く囁いた。
「……船の出航までまだ時間があります。その間に、私に残してほしいのです。貴方の温もりを……♡」
ドレスを脱ぎ、生まれたままの姿になった彼女を男は抱き寄せる。船室に備えられたベットの上に彼女を寝かせると、自分もまた服を脱いで彼女の上に覆い被さった……
「……これで五人目、と」
出航した船を見送りながらジャンヌは小さく呟く。イングランドからの来客をこうやってもてなし、密な関係になった後で贈り物をした回数を数えながら、彼女は帰り道を歩む。
あの男は自分からの贈り物を大切にするだろう。なにせ愛する女からの贈り物なのだから。それを他の政府高官も持っているとは知らないままに……
何時かは分からないが、イングランドはソロモンの政策を適用してその形を変えるだろう。フランスと同じ様なソロモンを崇拝する国家へと姿を変えるのだ。
そして、自分の聖水を通じて彼の心を読むことが出来る。彼らが何か懸念を抱いたら夢の中にでも出て行って道を示してやれば良い。
ソロモンが支配する国へと早く変貌する為の道を……
「お疲れ様、アンタもなかなか慣れたもんじゃない?」
「慣れなくとも役目はこなします。これがソロモン様に言いつけられた仕事ですからね」
「それじゃあ、私を見習ってもう5人ほど篭絡してきなさいよ。アンタがせこせこやってる間に倍の差がついてるんだからね」
「私はフランス国内の仕事を主にしています。外交方面はあなたが主軸でしょう?」
二人のジャンヌは互いに憎まれ口をたたきながら歩む。そして、完全に人の気配が無くなった所で表情を豹変させた。
「次、兵士たちの相手だっけ? 魔術で顔を変えるのは面倒なのよね」
「その点戦災孤児の相手は楽でいいですね。ちょっと甘やかして、母親のふりをしてあげればほいほい言う事を聞きますからね」
「ははは! 聖女が言うセリフじゃないわね、それ」
「子供たちを手玉に取るあなたには言われたくありません。少なくとも私は、100名近くの子供の母親を名乗ってはいませんから」
「いいじゃないの、嘘も方便……あの子たちは母親の面影が見れつつ気持ち良い事が出来る。私はソロモン様の教えを広く深く広めることが出来る。お互いに利しか無いじゃない」
そう言いながら話す彼女たちにかつての面影は無かった。男を、子供を、国民を騙してソロモンの為に母国を変えていく二人は自身の躰を活用してその目的を果たしている。
「……邪魔なのは反乱軍ね」
「ええ、取るに足らない相手ですが、奴らが居る限りは人理は焼却されません」
「まぁ、滅びるまで時間の問題ね。ちっぽけな民衆が、国の軍隊に勝てる訳無いでしょうに」
話しながら彼女たちは服を脱ぐ、聖女としての皮を脱ぎ捨て、ソロモンから賜った新たな鎧に身を包む。
それは白と黒の鎧であった。竜を模した鎧であるそれは身を守る部分こそほとんどないが、放たれる魔力は段違いの物でありそれによる防御力の向上はすさまじいものだ。
肩と乳房の上半分だけを隠す上半身の鎧の背には、竜の翼の様な大きな飾りが付けられている。そこから伸びる一本の棒、竜の尾を表しているのであろうそれはまっすぐに背中から伸び、彼女たちの尻の谷間を通って女性器を申し訳程度に隠している。
へそ、腰のくびれ、脚……それらを隠すものは何もなく、まるで飛竜に後ろから抱きすくめられている様な格好をしている二人の下腹部には黒く禍々しい淫紋令呪が大きく強く光り輝いていた。
「……じゃあ、一仕事終えましょうか」
「ええ、ソロモン様に歯向かう愚か者どもに天罰を……!」
彼女たちは飛び立つ、まるで竜の様に天へと駆け上がった彼女たちは愚かな反乱軍の姿を認めニヤリと笑う。
武器である旗を握りしめ、聖女とは到底思えない淫らな鎧に身を包んだ二人は、そのまま主に逆らう愚か者を処刑すべく戦場へと舞い降りて行った。
「……始まっちまったか」
遠くで繰り広げられる戦いを見ながら彼は呟く。変わり果てた姿の仲間が次々とこの時代の人間を屠る姿に苦々しい思いを抱きつつ、その様子を見つめる。
彼女たちに殺されて行く兵士たちの中にも見知った顔を見つけた彼は何とかしてその人物を助けようとしたが、自分の後ろに居るたくさんの人々の事を考えて矢を番える手を下ろした。
(そういや、あいつもこの時代の人間だったっけな)
聖女たちに取り押さえらえれたその人物、白銀の鎧に身を包んだ騎士の姿を見つめながら彼は思う。そして、その人物に対して心の中で詫びた。
もし彼が単独で行動していたのならば、彼は間違いなく居場所がばれる事を承知で援護の為に矢を射っただろう。しかし、今の彼の背には反乱軍の烙印を押され、行き場所を無くしたたくさんの人々が居た。
彼らを危険に晒す訳にはいかない……無念さを噛み殺しながら騎士の行く末を見守る彼の目に、一人の女が映る。
彼女も良く見知った顔だった。何と言うか、破天荒だが悪い奴では無いと思っていた彼女は捕らえられた騎士の仲間たちを率いてフランス軍の囲みを突破していく。
彼女は間違いなくこの時代の人物ではない。と言うよりも、人ですらないはずだ。戦場に似つかわしくないメイド服を着た、獣の尾が生えた女性の姿が囲みを突破して消えていくのを見送った後で彼は呟く。
「……戦力はある、か」
この壊れつつある時代に抗う者たちはいる。しかし、それはあまりにも小さく、そしてバラバラだった。
誰かがその力をまとめ上げなければならない。自分や彼女には出来ないそれを、戦力が潰える前に……
「何を見ているんだ?」
考え事をしていた彼の背後から声がかけられる。彼女に心配をかけまいと笑顔を作ると、彼は振り返った。
「なに、見張りだよ。特に問題は無いさ」
「そうか……お前の千里眼は確かだからな、信用できる」
「あんたこそ出歩いて良いのか? あんま無理しない方が……」
「構わん、今日は調子が良い。少しでもこの時代の事を知っておきたい」
そう言いながら自分の横に並ぶ彼女をちらりと見る。普段は馬に乗り戦う彼女とこうやって並び立つと言う事に少し違和感を覚えた。
「……救えると思うか、この時代を?」
「救わなきゃなんねぇよ。じゃなきゃすべてが無為に消える」
「この時代に生きた人、その後の未来、そして、マスターや私たちの戦いが、か……」
自分自身に言い聞かせる様にして呟く彼女をただ見つめる。王として戦い続けた彼女は、この時代に何を思うのか? そして、かつての仲間が虜囚となり、敵の傀儡と化してしまった姿を見て何を感じているのだろうか?
そんなことを考えていた時だった。
「ぐっ……!」
「おっ、おい……!」
突如彼女が蹲り苦しそうな声を上げた。心配して駆け寄った彼の目に、彼女の手が透き通る光景が映る。
「……やっぱ無理は禁物だな。休んでろよ」
「……すまない」
申し訳なさそうに呟いた後、彼女は幕舎へと向かう。既に手は元の通りに戻っているが、普段持っている槍を掴むだけの力は残っていない様だ。
「……何もかもがギリギリだ、こりゃあ、しんどいにもほどがあるな」
まともな戦力も、策も、時間も無い。そんな中で自分に何ができるだろうか?
遠くを見通すこの千里眼もこの時代の行く末を見る事は出来ない。自分の無力さを感じながら、彼は呟く。
「早く来てくれ、マスター。俺たちが踏ん張れている間に……」
東方の大英雄は遠い星空を見ながら、救世主の到来を待ち続けていた。