「……先輩♡ 先輩……♡」
ベッドの上で体をくねらせ、甘い声を出す。愛する人に抱かれる幸せを感じながら、マシュは彼にも同じ幸せを味わって貰いたいと強く願っていた。
「んっ♡ あっ♡ あぁっ♡」
彼の腰の動きに合わせて自分も動く。深く、より深く彼を受け入れ、快楽を分かち合う様に動く。
あまりにも幸せ、甘美な一時……彼と肌を重ねることは、今のマシュにとって何にも代えがたい行為であった。
「気持ち良いかい? マシュ……」
「はい……♡ とっても、気持ち良いです……♡」
マシュは彼の問いかけに素直に答える。気持ち良くない訳が無い、何せ愛する人に抱かれているのだから。
快感と幸せに身を包まれながら、潤んだ瞳で彼を見つめるマシュ。彼もまたその視線に対して笑みを返してくれた。
「それは良かったな、我が下僕よ……!」
「えっ……!?」
ぴしり、と空気の凍り付く音がした。目の前の彼の口から、信じられない言葉が発せられたのだ。いや、言葉だけでは無い。浮かべている笑みもマシュが知る彼の温かな笑みではなく、邪悪さが滲み出るものだ。
愛する人の変貌に困惑するマシュの目の前で彼の姿が歪んでいく。一瞬後、自分を抱いていたはずの彼に代わって姿を現した人物の姿を見たマシュは、驚きに目を見開いた。
「ソ、ソロモンっ!?」
「そうだ! お前の真の主、ソロモン王だ! ククク、良いものを見せて貰ったぞ……!」
「あ、あぁぁ……あぁぁぁぁっ!?」
幸せな夢が一瞬にして悪夢に変わる。自分を抱いているのは愛する人ではなく、最も忌むべき存在であった。マシュは必死に身をよじってソロモンの手から逃れようとするが、思うように身動きが取れず、脱出は叶わなかった。
「どんな気分だ? 幸せの絶頂から絶望のどん底に叩き落された時の絶望感は!?」
「くっ……私を離しなさいっ! 私はもう、あなたに屈するつもりは……」
「ククク……! 何を言うか、かつて我に大喜びで処女を捧げたのはお前であっただろう?」
「っっ!?」
マシュの脳裏に思い浮かぶ苦々しい思い出。二度と思い出したくない、苦しい屈辱の記憶。
そう、ソロモンの言うとおりだ。自分はかつて彼に同じ様に騙され、自らの純潔を捧げてしまったのである。
記憶を消され、連れ去られたことを覚えていないマシュの元に彼女の想い人の姿を真似て現れたソロモンは、魔術と言葉を巧みに操ってマシュの心を篭絡した。そして、洗脳の末に淫紋令呪を刻み、彼女を奴隷としたのだ。
その時のことを思い出すと吐き気がする。愛する彼のことを忘れ、憎むべき敵に股を開いて処女を捧げた自分のことを殺したくなってくる。
しかし、もうすべては後の祭りだ。もう二度と自分の純潔は戻らない。悔やむマシュを嘲笑うソロモンは、侮蔑と嘲りの篭った言葉を彼女に吐き捨てる。
「どうした? 我との性交で快感を得ているのだろう? あの日の様に無我夢中で腰を振れば良いでは無いか!」
「やめて……やめて……っ!」
「初めての性交でぎこちなく動くお前の姿はなかなかに愛いものであったぞ。今や慣れた手つき……いや、腰つきで快感を貪るお前の姿からは想像が出来ないな!」
「もう、やめて……お願いだから……!」
「ほら、どうした? 我のことを呼んでみよ。あの日の様に蕩け、甘い声で、このソロモンの事を
「やめてぇぇぇぇぇっっ!!!」
ソロモンの言葉を耳にする度に心が軋む。耳を塞げど、泣き叫べど、彼の言葉が途切れる事は無い。
マシュは泣きじゃくり、必死になってソロモンの手から逃れようとする。しかし、どう足掻いても彼から離れることは出来なかった。
「ククク……! やはり体は望んでいるのだな、純潔を捧げしこの肉棒をもう一度受け入れたいのでは無いか?」
「そっ、そんなこと……」
「では何故逃れられない? 心の奥底で、あの男よりも我を求めているからでは無いのか?」
「違う! 違うっ! あぁぁぁぁっっ!!?」
必死になってソロモンの言葉を否定するマシュだったが、いきなり腰を掴まれてソロモンの肉棒を膣の奥深くまで飲み込まされてしまった。おぞましい感覚に身を震わせながら、マシュは叫ぶ。
「いやっ、いやぁぁっ! やめてっ! やめてぇぇぇっっ!」
「遠慮をするな。お前が大好きであった精液を子宮にくれてやろう! 存分にヨガり、喘ぐが良い!」
「いやぁぁぁぁっっ! 助けてっ! 助けて、先輩っ!!!」
マシュは必死になって愛しい彼に助けを求める。手を伸ばし、彼の幻影に助けを請う。
しかし、それが果たされる事は無かった。無慈悲な射精の時が訪れ、マシュの膣にソロモンの白濁液がぶちまけられる。
「あっ!? あぁぁぁぁぁぁぁっっ……!」
汚された。また、汚されてしまった……せっかく彼に捧げて、愛される様になったこの体を、再び敵に汚されてしまった……。マシュの瞳には大粒の涙が浮かび、心には絶望が漂う。陵辱を受けて苦しむ彼女の耳元で、ソロモンはニヤリと悪どい笑みを浮かべるとこう囁く。
「……これから毎晩、お前をこうして抱いてやろう。再び我が下僕に戻るその日まで、お前の体を味わい続けてやろう……! 幸せだろう? ええ?」
「あ、あぁ、そん、な……!?」
視界が暗くなる。意識が遠のいていく。マシュが最後に聞いたのは、ソロモンが自分を嘲笑う声であった。
(……相棒、起きてるか?)
「ん? その声は……もう一人の僕!?」
ある日の夜、カルデアのマスターは何度目かのあの声を聞いてベッドから身を起こした。こうして意識がはっきりしている時に話すのは初めてだなと思いながら、姿の見えない相棒に声をかける。
「どうしたの? こうやって現実で話すのは初めてじゃない? もしかして何か面白いプレイを思いついたとか?」
気さくな相棒が助言してくれたおかげで前回のセックスは楽しむことが出来た。また何か自分に伝えたい事があるのかと思った彼は、相棒へと声をかける。
だが、返ってきた彼の言葉は、いつものものとは違って真剣さに溢れた本気の声であった。
(……簡潔に言うぜ。マシュがピンチだ、このままじゃ危ない)
「えっ!?」
いきなりの指摘に面食らうマスター。カルデアの内部に居ると言うのにピンチとはどういうことであろうか?
彼のその疑問に答えるかのように、謎の声はマシュの身に起きている異変を解説する。
(マシュは今、毎晩夢の中で犯されてるんだ。もちろん相手はあのクソッタレさ)
「そ、ソロモンが!? 夢の中で犯されてるってどういうこと!?」
(淫紋令呪の繋がりを辿ってマシュの精神に働きかけてるのさ。マスターが相棒に戻ったとしても淫紋令呪を刻んだのはソロモン……僅かだが、その繋がりは残っているんだ)
「そんな……!? マシュが、ソロモンに……!?」
謎の声の指摘を聞いたマスターは、居ても立っても居られないと言った様子でマシュの元へと向かおうとした。だが、その行動を咎められて足を止める。
(待てよ相棒、そんなに急いでどうするつもりだ?)
「どうするって、マシュのところに行くんだよ! このままじっとなんてしてられないよ!」
(行ってどうする? 策はあるのか? 何か手があるって言うのか?)
「それは……でも、マシュが苦しんでいるのに黙って見てるだなんて俺には出来ない!」
謎の声の制止を振り切って部屋を出て行こうとするマスター。しかし、謎の声の主はあくまで冷静に彼に語りかけた。
(良いから落ち着け。俺に考えがある、動くのはそれを聞いてからにしろ)
「えっ!?」
(……相棒、マシュを救いたかったら焦るんじゃねえ。確実に的確に、ソロモンの企みを潰すんだ。お前があいつの悪巧みを知った今、優位なのは俺たちなんだからな)
自信有りげな謎の声の主の言葉に一度冷静さを取り戻したマスターは、深呼吸をすると再びベッドに腰を下ろした。そして、真正面を向いて相棒に問いかける。
「それで? 俺はどうすればいいの?」
(……マシュを抱いてやれば良い。ただ、少し手順が必要だけどな。良いか、準備するものは……)
マスターは謎の声に従って必要な道具を集める。幸いな事に、魔改造された自分の部屋の中に必要なものは揃っていた。
(……相棒、使い古された言葉だが、
「ああ、わかってるよ」
相棒の言葉にマスターは力強く頷く。覚悟を決めた彼の瞳を見た声の主は、その覚悟を後押しするように言葉を投げかけた。
(……相棒、マシュは誰の女だ?)
「マシュは……俺の大切な人だ。誰よりも大事で、大好きな、俺の女だ!」
(そうだ! その通りだ! マシュはお前の女なんだよ! なら、お前の女にちょっかいを出してきた大馬鹿野郎を許すわけが無いよな?)
同意、大きく頷く。マスターの胸の中ではソロモンへの怒りの炎が轟々と燃え盛っていた。
(ソロモン……! もうマシュはお前の奴隷じゃない! いつまで我が物面をしている気だ!?)
自分の女に浅ましく手を出す愚か者は、未だに所有者面をしてマシュを支配しようとしている。愛する人を苦しめるソロモンを彼が許せるはずも無かった。
奴に教えてやるのだ。お前こそが過去の男であり、もうマシュはお前の手の届かない場所に居るのだと言う事を。そして、もう二度と手を出させないようにするのだ。
そしてもう一人、教えを叩き込まなければならない人物が居る。マスターは部屋を出ると、その人物の部屋の扉の前に立った。
(マシュ……マシュにも教えてあげるよ。自分が誰の女で、誰に忠誠を誓えば良いのか……俺が、どれだけマシュを大事に思っているのかをね……!)
戦いの準備は整った。マスターは以前マシュより渡されていた彼女の部屋のカードキーを使って部屋の中に入る。
真っ暗な部屋の中、闇に慣れた目で彼女の部屋を探り、ベッドまで辿り付いた彼は、その上で悪夢に魘されるマシュの姿を見て目を細めた。
「……さあ、始めようか、マシュ。もう二度と、ソロモンが出てくる夢なんか見させないよ……!」
他の男が出てくる夢、それも憎むべき敵が出てくる夢など己の女に見させるものか。そう強く思ったマスターは、彼女の体へと手を伸ばした。
「ん……あ……」
呆けた声を上げながら、マシュは意識を覚醒させる。真っ暗な視界を感じた彼女は、恐怖に打ち震えた。
また、あの陵辱の夜が始まる……この所毎晩、マシュは睡眠を取る度にソロモンに夢の中で犯され続けていたのだ。
しかも質の悪いことに夢が始まった時には
その度にどれだけマシュが絶望し、苦しんできたか……自分がソロモンに受けた仕打ちを思い出される度、マシュの心の中には薄暗い感情が芽生え、心がひび割れそうになっていた。
どうすれば良いのかもわからなかった。誰かに相談することも心苦しかった。夢の中で毎晩宿敵に抱かれているなど、口が裂けても言う訳にはいかない。一人でこの責め苦に耐え続けるマシュは、今晩もその悪夢が始まったのだと理解した。
だが、今日はいつもとすこし違う。何がと聞かれれば、自分がこれからソロモンに犯されるという事を理解しているのだ。
つまり、記憶を消されていない……これはどういうことか? 疑問を浮かべたマシュの耳に、愛する人の優しい声が響いた。
「マシュ、急にごめんね。マシュのことを抱きたくなったから、勝手に部屋に入って来ちゃったよ」
「あ……!?」
紛れもなく、その声は愛しい主のものであった。だが、ここ最近の悪夢がマシュのその思いに疑念を抱かせる。
もしかしたら、これもソロモンの罠なのでは無いだろうか? 自分の視界を奪い、マスターの声だけを真似しているのでは無いだろうか?
そして再び、セックスの最中で己の正体を明かすのかもしれない。マシュに深い絶望を与えるために……
「あ、あ……待って、くださ……」
「目隠しなんかしてごめんね。でも、こうすると感度が上がるって聞いたから試してみたくてさ」
「ひゃぁぁっ!?」
不意に、彼の手が自分の胸に触れた。視界が見えないために今自分が何をされようとしているかわからないマシュは、いきなり敏感な部分を弄られて驚きの声を漏らす。
だが、その声にはいつもの熱は篭っていなかった。もしも今、自分の体を触っている相手がソロモンであったならという思いが彼女に恐怖を抱かせているからだ。
「んっ、んんん……っ」
後頭部を抑えられたマシュは、そのまま顔の見えない相手と長い口付けを交わした。優しく、甘いキスをしたマシュは、これが愛しい人が与えてくれた快感であったかを記憶を辿って探る。
しかし、おぼろげな記憶の中の快感ははっきりとせず、今のキスがマスターによるものなのか、それともソロモンによるものなのかを判断することは適わなかった。
(先輩、なの……? でももし、これがソロモンだったなら、私は……)
胸を揉む手つき、乳首を吸われる感触、そして膣の敏感な部分を弄る指の動き……それら全ては優しく、暖かいものであった。
ソロモンが自分をこんな風に愛するはずがない、ならば相手はやはり愛しの先輩なのだ。そう考えようとしたマシュだったが、その思いをある恐怖がかき消す。
もし、目隠しを取った時に目の前に居る人物がソロモンであったなら、それはマスターへの裏切りに他ならない。愛しい彼の愛を見失い、仇敵の愛撫と重ねてしまったと来れば、もう自分には彼に愛される資格など無くなってしまう。
怖くて、怖くて怖くて怖くて、堪らなかった。判断がつかない自分が恨めしかった。ソロモンの思うがままになるのならば、この手を払いのけて逃げ出してしまえば良い。だが、それも出来ないのだ。
先ほどと逆、この相手をソロモンと判断して払いのけた時に相手がマシュの愛しい先輩であったなら、それもまた彼への裏切りになる。彼の愛を払いのけてしまえば、彼を大きく傷つけることになるのだ。
(わからない……わからない……っ!)
迷いが、恐怖が、悩みが、マシュの決断を鈍らせる。その思いは感覚をも鈍らせ、正常な判断がつかなくなってくる。
これこそがソロモンの狙い。夜な夜なマシュの心を痛ぶり、弱らせ、粉々に砕くのだ。放心状態になり、何も考えられなくなったマシュを再び洗脳してしまえばこっちのもの。彼女に手引きさせて他の女英霊もすべて奪い返してやれるというものだ。
毎夜の悪夢はマシュの心を蝕むことに成功している。後はもう、トドメを刺すばかりだ。
そして、この選択を間違えるということは、そのトドメにもなりうる衝撃をマシュの心に与えることになる。悩み続けるマシュは、ここで間違えるわけにはいかないのだ。
(先輩なの? それとも……? だめ、判断がつかない……! どうすれば……!?)
悩み続けるマシュは瞳に涙を浮かべて苦しげな表情を見せた。もう、どうすれば良いのかわからない。ここまで自分はソロモンに追い込まれてしまったのだ。
もう駄目かもしれない……マシュはそんな弱音を心の中で思い浮かべた。このまま心を掌握され、再びソロモンの傀儡に墜ちることすら覚悟してしまった。
だが、彼女のそんな思いは、次の彼の行動で掻き消えることになる。
「……マシュ、お尻好きだったよね? こっちも弄ろうかな……!」
「えっ!? んぁぁぁっっ!!!」
体をうつ伏せになる様に転がされ、お尻を上向きにしたマシュは、そこに相手の手の感触を感じた。その手は的確に自分の臀部の感じる部分を探り当て、快感を与えてくる。
(あ……! 私の、好きなところ……! 全部、知って……っっ!!)
自分の尻を弄って気持ち良くしてくれる手の動き……それを受けたマシュははたと気がついた。そう、この手は
ソロモンに触れられたことの無かった部分。自分の体の中で唯一、綺麗だと思えた場所。そして……彼にその処女を捧げた場所でもある尻とアヌスは、マシュの体の中で最も敏感と言っても良い場所であった。その敏感な部分が告げている、
マシュの臀部の快感のツボをすべて知っている人間、それがこのセックスの相手だ。なら、それは誰なのか? もう一度言うが、ソロモンはマシュの尻に触れたことは無い。で、あるならば……答えは一人しかいない。
(先輩、なの……?)
自分よりも自分の臀部の快感のツボを心得ている人物。マシュの尻を開発し、感じられる場所に作り変えた男……この手は、カルデアのマスターのものなのではないかと言う思いをマシュは強めた。
だが、それでも彼女は決断し切れなかった。もしもソロモンが催眠か何かを使い、マシュの尻の感じる部分を既に知っているとしたら? そうであったなら……この手はソロモンのものかもしれないのだ。
あと少し、99%は確信できている。残りの1%、自分の中の恐怖を吹き飛ばせる何かが欲しい……マシュがそう思った時だった。
「あ、あ……あぁぁぁぁっっ!!?」
四つん這いにされ、広げられた自分のアナル。そこに何か熱いものが挿ってくる感覚にマシュは大声で叫ぶ。
みっちり、奥の方まで突き入れられたそれが
(あ、あ、こ、これっ、これぇっ!!?)
その大きさ、その熱さ、その脈動……アナルに挿入された肉棒のすべてにマシュは覚えがあった。
覚えがあると言うことは受け入れたことがあると言うことだ。この肉棒をアヌスに受け入れ、セックスをしたことがあると言うことだ。
何度も言うが、ソロモンはマシュの尻には触れたことが無い。アナルセックスなどそれこそ問題外だ。
と言うことは……この肉棒はソロモンのものでは無いと言うことになる。最後の1%の確信を与えてくれる感触を覚えながら、マシュは震える声で呟いた。
「せんぱい……です、か……?」
震える声でマシュが愛しい人を呼ぶ。9割の確信と1割の不安を抱えながら答えを出したマシュの視界が明るくなってくる。
目隠しを外されたマシュが見たのは、見事に彼女を騙し切り、尻穴までもを肉棒で穿っているソロモンの嘲笑……では無かった。
「……そうだよ、俺だよ。ちゃんとわかったね、マシュ」
「あ、あぁ……っ! 先輩っ! 先輩っっ!」
当てられた、間違えなかった、ちゃんと彼を判別できた……その思いが安心となってマシュの涙腺を緩ませる。涙を溢すマシュの目元を己の指で拭ったマスターは、しっかりと彼女を抱きしめたまま謝罪の言葉を口にした。
「ごめん、マシュ……俺、マシュが苦しんでたのに助けるのが遅れちゃった……また、ソロモンにマシュを取られる所だった……」
「えっ……!?」
主のその言葉にマシュは驚く。誰にも話していない自分の苦しみを彼は察していたのだ。そして、しっかりとその苦しみを消し去るために努力してくれた。
自分を愛しているから、その異変に気がつけた。愛してくれているから、自分を信じてこんな行動に出てくれた……実際は謎の声の主に従っただけなのだが、そんなことを知る由もないマシュの心は感激で一杯になる。
「せん、ぱぁぃ……♡ せんぱいぃぃっ……♡」
「もう大丈夫だよ、マシュはソロモンなんかには……ううん、他の誰にも渡さない。ずっとずっと俺だけのものだ!」
「あ、あぁ……♡ はいっ、はいぃっ♡」
抱きしめてくれる彼の温もりが、力強さが、愛が、マシュの心を揺さぶった。先ほどとは違う意味で涙を溢しながら、マシュは呟く。
「お尻、先輩が開発してくれたお尻がっ、相手が先輩だってわからせてくれたんですっ! だって、私のお尻は先輩しか知らないからっ! 先輩専用のけつまんこだからっ!」
「そっか……それは良かった! でもさ、それってこっちだとわからないってことだよね?」
「あっ……!?」
脚をかぱりと広げられ、自分の性器を指差されたマシュは失言を恥じる。彼に不快な思いをさせてしまったと顔色を青くしたマシュであったが……
「……じゃあ、こっちにも教えておこうか。俺のちんぽを、さ……!」
「えっ!? あぁぁぁっっっ♡♡♡」
アヌスから肉棒を抜かれたマシュは、そのまま彼にベッドへと押し倒された。そして、上から圧し掛かる様にして膣に挿入される。
「あっ、あぁぁっ♡ んあぁぁぁぁっっ♡♡」
圧倒的なその存在感は、魔術で強化されたソロモンの肉棒よりも大きく感じられた。そこまで考えたところでマシュは一つの疑問を浮かべる。
(あれ……ソロモンのおちんぽって、どんな感触でしたっけ……?)
徹底的に調教されたあの日々の中、ソロモンの肉棒は何度も自分の膣に潜り込んでいたはずだ。だが、その形や大きさを思い出せないでいる。
記憶の本棚を探り、マシュはその感触を思い出そうとする。しかし、それを邪魔するかの様にマスターが腰を動かし始めた。
「あっ♡ んあぁぁぁぁっっ♡ ふかいっ♡ ふかいぃぃっっ♡」
奥まで肉棒を叩き込まれ、マシュは甲高い声を上げた。子宮がびりびりと震え、激しい絶頂を味わう。
「おっ♡ おぉっ♡ か、カリがぁっ♡ かべを、こすってぇ……ほぉぉっ♡」
エラの張ったカリがマシュの膣壁を擦り上げる。一番奥から入り口までの膣全体の壁を引っかくその快感は甘い痺れとなってマシュの全身を行き渡る。
「はぁぁっ♡ ぬっ、けっ♡ あぁっ♡ お、おきゅっ♡ あっあっ♡ またイクっ♡ わたひ、イキっぱにぃぃっ♡」
子宮に肉棒を叩きつけられてイク。肉棒を引き抜かれ、膣壁を擦られてまたイク。何度も何度も、その繰り返し、マシュは彼の肉棒を受け入れている間、
体は熱く火照り、気分は高揚している。与えられる快楽とそれによる幸せに身を溺れさせる中、唐突にマシュは己の愚かさに気がついた。
(私、なんでソロモンのおちんぽのことなんか考えてたんでしょう?)
忌むべき宿敵から与えられた記憶のことを何故思い出そうとしているのか? それも今は誰よりも大切な主が自分を愛してくれているというのにだ。
唐突に訪れた冷静な思考の中で、マシュは顔を真っ赤にして己の考えを恥じる。
(先輩が私の辛い記憶を消そうとしてくれているのに……おまんこも、先輩のおちんぽの形になろうとしているのに、私は何を考えていたんでしょう?)
目の前の愛しい人では無く、遠く彼方の宿敵のことを頭に浮かべながら彼に抱かれるなど言語道断。酷い裏切りに他ならない。その事に気がついたマシュは、ソロモンの事を頭の中から完全に消し去った。
(先輩っ♡ せんぱいっ……♡)
自分を抱くのは、自分が誰よりも愛している人。自分の事を深く愛してくれる男。誰よりも大切で、信頼していて、自分に女の幸せを教えてくれた人。
この人に抱かれている時に他の男の顔を思い浮かべるなど信じられない愚行だ。彼の愛を自ら投げ打つ愚かな行為など、絶対にしてはならないのだ。
「マシュ……! 愛してるよ、マシュ……っ!」
「わ、私も、愛しています……♡ 世界中の誰よりもあなたをっ、あなただけを愛し続けますっ♡」
愛の言葉を告げられたマシュの中にはもうソロモンへの恐れの感情は無かった。あの
なにせあの男の短くて臭い
ただ……せっかく形作って貰ったこの体を崩されるのは忍びない。それに何より、アナルや尻に触れられるのは我慢出来ない。
(ああ、どうか……! 神様、どうかこの願いを叶えてください……!)
マシュは願う、彼専用の女になりたいと……そして願う、他の男にこの身を触れさせたくないと……
純粋で不純な彼女のその願いを聞き遂げる神はいなかった。しかし、
「えっ!? あ、あぁぁぁぁっっ!?!?」
性交の最中だと言うのにも関わらず、マシュは自分の体が燃え上がるように熱くなることを感じて叫び声をあげた。興奮で体が火照っているのでは無い、完全に燃えているのだ。
その熱は自分の体の二箇所から放たれている。一つは下腹部の淫紋令呪、そしてもう一つは……
「おひりっ♡ おひりがあちゅいれすぅっ♡」
マシュの叫びを聞いたマスターは一度セックスをやめるとマシュの体をひっくり返した。そして、彼女の尻を見て目を見開く。
「こっ、これは……!?」
「あ、あ……」
段々と冷めていく淫紋令呪の熱と逆に激しさを増す尻の熱、その二つの感覚を覚えながらマシュは意識を遠のかせる。
完全に意識が夢の中に沈む前、彼女は知らない声が小さく一言を呟く声を耳にしていた。
(……さあ、お返しといこうじゃねえか。お前もやられっぱなしは嫌だろ? マシュ……!)
「ク、ククク……! クハハハハ!」
夢の中でソロモンは笑い声を上げていた。最も、魔術で化けたカルデアのマスターの姿を借りているので、その声は彼のものであったのだが、それはそうとして笑い続けていた。
その理由は単純明快、目の前の光景にある。ここ最近の作戦通りにマシュの夢の中に進入したソロモンが目にしたのは、全裸でベッドに寝そべるマシュの姿であった。
「よもやここまで侵食が進んでいるとはな……!」
ここはマシュの夢の中、この夢の中での彼女の姿は
つまり己の防衛本能が弱まれば弱まるほど服装は裸に近くなる。全裸と言うのは、もはや彼女がソロモンの手の中に堕ちきった事を意味していた。
「ククク……どうやら愛しい男とこのソロモンの区別がつかなくなったらしいな。可哀想な男だ、こんな淫乱を心から信じきっているのだからな……!」
ほんの数日の手出しで再び主を裏切ったマシュの浅はかさと、彼女に絶対の信頼を置いているカルデアのマスターの事を考えたソロモンは愉快そうに喉を鳴らして笑った。そして今後の作戦を考え始める。
もう一度、マシュを皮切りに裏切った他の英霊たちも堕としてしまうのだ。カルデアの内部で誰にも気がつかれない様に反逆の芽を育て、一気に花開かせる。信じていた仲間たちに裏切られ、自分に対して腰を振る雌どもの姿をカルデアのマスターに見せ付けてやろう。
きっと絶望的な表情を浮かべてくれるだろう……そう考えたソロモンはもう一度喉を鳴らして笑い声を上げた。
「……そこで何をしているんですか?」
「おや……?」
可愛らしい声に顔を上げれば、マシュが尻を振りながら自分を見ているではないか。瞳は潤み、頬は紅潮している。もう待ちきれないと言った様子で自分を誘いながら、マシュは想い人の姿を真似たソロモンに声をかける。
「早く触ってください……。私、もう待ちきれないんです……。お尻がうずうずしちゃって、おちんぽ欲しくてたまらないんです……」
淫乱、そうとしか表現出来ない言葉を口にしながら男を誘うマシュの姿を見たソロモンは、心の中で彼女を嘲笑った。
(馬鹿め! ここまで墜ちきったか! デミ・サーヴァントと言えど所詮は唯の雌、快楽の海に沈めてしまえばこんなものよ……!)
もはやマシュは自分の奴隷に戻った。そう確信したソロモンはマシュの尻へと手を伸ばす。
この体を存分に味わってやるのだ。そして快楽の味に染め上げてやる……そう考えながら、ソロモンが未だ触れた事のないマシュの白い尻に触れようとした時だった。
「ぐぅっ!?」
己の手がマシュの臀部に触れようとする寸前、手に電撃が走ったかの様な痛みが広がり、ソロモンは反射的に腕を引っ込めてしまった。
いったい何が起きたのだろうか? 困惑するソロモンに対してマシュはおかしなものでも見るかの様に微笑を浮かべながらもう一度彼を誘う。
「どうしたんですか? 早く触れて下さいよ……」
その言葉に気を取り直して再び手を伸ばすソロモン。だが、再び触れるか触れないかと言う所で耐えられない痛みを感じて手を引っ込めてしまう。
「ふふふふふ……! 意地悪ですねえ、そんなに私を焦らしてどうするつもりですか?」
マシュはただ自分がふざけているとでも思っているのだろう、微笑を湛えてソロモンを見つめているだけだ。
ソロモンは若干の苛立ちを感じながら何度もマシュの尻へと手を伸ばした。だが、結果は何度やっても同じだった。
右腕も、左腕も、どんな工夫をしても、魔術を使っても、
(な、なんだ!? 何が起きている!? なんなのだ、これは!?)
ここに来て初めてソロモンは事の異常さに気がついた。自分の想像を超えた何かが起きている、その事に気がついた彼の耳に冷たい笑い声が響く。
「ふふふふふ……! どうしたんですかぁ? 私のお尻に触れないんですか? まさか魔術王であるあなたが、ここまで苦戦してなにも出来ないなんてことはありえませんよね、ソロモン?」
「なっ!? 貴様、我の正体に気がついて……!」
「……当然じゃないですか。あなたみたいな何の魅力も無い男が、先輩の真似事をしてもすぐにわかるんですよ。まあ、自分に無い雄々しさを求める気持ちはわかりますけどね……」
「きっ、貴様! このソロモンを愚弄するか!」
マシュの嘲りの言葉に怒りを露わにしたソロモンが彼女に飛び掛ろうとする。もはや手順など関係ない、彼女を犯しつくして屈服させてしまうのだ。
そう考えたソロモンは彼女を力でコントロールすべく挑みかかろうとする。だが、その行動が実行されることは無かった。
(か、体が、動かん……!?)
そう、なぜか自分の体が動かなくなっているのだ。指一本どころか声を発することも、瞬きすらも出来ない。
完全に凍りついた自分の姿を見ながらマシュが嗤う。その表情は、ありありとソロモンを馬鹿にしていた。
「馬鹿ですねえ! ここは
(ば、かな……!? ありえない……!)
確かにマシュの言うとおりだ。本来ならばこの夢の中ではマシュの思念が優先される。だがしかし、それには彼女の意識がはっきりとしている必要があった。
自分に犯され、嬲られるひ弱な少女であるマシュが、魔術王たる自分の力を捻じ伏せて意識をコントロールするなど信じられない出来事だ。驚くソロモンだったが、この驚きなど序の口であった。
(なっ、なにっ!?)
一瞬、ほんの一瞬だけ気を抜いたその瞬間、マシュの後ろには男の姿が現れていた。
後ろからマシュを抱きしめ、ベッドの上で優しく彼女の体を撫でるその男は、自分がどう足掻いても触れなかった彼女の尻を易々と触っていた。
マシュもまた自分の主であるその男、カルデアのマスターに身を預けて目を細めている。幸せを絵に描いた様なその光景はとても美しいものだが、ソロモンにはそんな感情を覚えている余裕は無かった。
(何故だ、何故だ……!?)
目を見開き、明らかに狼狽した表情を見せるソロモン。彼は目の前の光景がどうしても信じられなかった。
彼の目が見つめるのは唯一点、マシュの下腹部だ。そこを何度も見返した彼は、心の中で大きな疑問の叫びを上げる。
(何故、
自分が作り上げた彼女たちを縛る鎖。淫らで滑稽な雌に墜ちた証である淫紋令呪がマシュの下腹部からは消え去っていた。
こんなことはありえるはずがない。淫紋令呪は一度刻まれたが最期、二度とその人物の体から消える事は無い。サーヴァントとして再召喚されたとしても消えずに残り続けるはずなのだ。
だが、目の前のマシュの体からは淫紋令呪が消えている。いくら夢だからと言ってもこんなことはありえるはずが無い……ソロモンは激しくうろたえて青ざめる。
そんな彼の姿を見たマシュは、先ほどまで彼がしていた様に楽しげに喉を鳴らすと、彼に対してこう告げた。
「さあ、ソロモン……お仕置きの時間ですよ。先輩の女である私にちょっかいをかけた罪を償ってもらいましょう♡」
マシュとマスターが動き出す。何一つ身動きの出来ないソロモンの前で彼を嘲笑いながら彼への仕置きを始める。
マシュに悪夢を見せるために夢に入り込んだソロモン。だが、いつの間にかその立場は逆転していた。
(こんな……こんなこと、ありえるはずがない! 私はソロモン王だぞ!)
いくら喚いても何も変わらない。汗が流れ、心臓が早鐘を打つばかりだ。ソロモンは観客として、マシュの思い描くステージを見続けるしかないのだ。
そう、今、この瞬間から……彼の悪夢が幕を開けたのであった。