「……誓って言っておくが、私は真実を話している。その点に関してだけは信用して貰いたい」
「ああ、うん、信じるよ。だからカエサルの知っていることを俺たちに教えてくれないかな?」
マスターの言葉に大きく頷いたカエサルは、この場に集まっている面々の顔を見回した後で深く息を吐いた。今現在、この場にはクレオパトラと彼女の容態を診ているナイチンゲール以外の全員が集まっている。無論、カルデアに残っているメンバーも映像越しにこの光景を目の当たりにしていた。
「それで、君はカエサルの贅肉の部分だって話だけれども……」
「その通りだ。私はカエサルと同じ霊基を持ち、同じ記憶を持ってはいるが……その正体は彼の贋作、彼から零れ落ちた物の結晶が意思を持った存在なのだよ」
「贅肉? 零れ落ちた? おい、俺にも分かる様に説明しろよ」
オリオンの言葉に頬を掻いたカエサルは、彼の要求通りに詳しい解説を始める。全ての始まりである自身の陥落から話し始めたカエサルの表情は、とても苦し気なものであった。
「……私、カエサルは、ソロモンの前に屈した。抗い様の無い力の差を見せつけられた私は奴の前に膝を屈し、服従を誓ったのだ。浅ましいことにな。……最初は隙を見て奴を裏切るつもりだった。だが、その意思もソロモンの魔術によって簡単にねじ伏せられてしまったのだ」
「ま、アンタはリアリストだからな……敵わない敵にはそれなりの戦い方をするだろうよ。んで、それからどうしたんだ?」
「屈した私に対してソロモンがまず行ったのは霊基の強化だった。魔術で全体的に能力を底上げした私に催眠を施し、その力と忠誠を絶対の物にした……正直、あの全能感には心が躍ったものだ。今までの自分を遥かに超える力を得た私は、その力に酔っていた……こうなることなど知りもせずにな」
自嘲気味に笑ったカエサルはマスターの顔を見て申し訳なさそうな顔をした。カルデアで長い間共に戦い続けて来たマスターである彼を裏切ったことを謝罪する気持ちが彼の中にあることを悟ったマスターは、カエサルの話の続きを黙って聞き続ける。
「次にソロモンが行ったことは……歴史に無い、私の全盛期の創造だった。私の人生において、体型は太っているか痩せているかの両極端だったのだ。基本的に全盛期の姿で召喚される私が肥満体型なのはこのせいだ、痩せている時の私は貧弱すぎて戦いどころでは無いからな」
「あ~……それも納得したわ。アンタ、少しダイエットした方が良いわよ」
「そうだな……ソロモンの元ではとてつもない無理なダイエットをさせられたよ。そのせいで私が生まれたのだがな」
「それが、贅肉をこそぎ落されたって言うこと?」
マスターの言葉にカエサルは大きく頷いた。そして、更に詳しい説明を始める。
「ソロモンは最強の私を作る為に不要なものを全て排除した。筋肉だけを残して腹回りの贅肉をこそぎ落し、同時に冷酷かつ残忍な皇帝に仕上げるべく精神面の甘さをも排除した……こうしてソロモンは、筋肉質かつ精神面においても一部の隙も無い最強の私を作り出したと言うことだ」
「その残りカスが意思を持ったものが、今のカエサルってこと?」
「左様。故に私は大した能力は持っていないのだ。皇帝カエサルにとって必要な物は本来の私が持っており、私はそこから零れ落ちた物だけを所持しているだけの存在に過ぎないのだからな」
そこまで話した後、カエサルは大きく溜息をついて自分の掌を見つめた。まるで自分の無力さを呪っているかの様なその行動を黙って見つめていたマスターたちだが、唐突にマシュが一つの疑問を口にする。
「あの……カエサルさんが二人に分かれた理由はわかりました。しかし、何故贅肉の部分であるあなたが意思を持ったのでしょうか?」
「……確かに、不思議な点だな。その理由は不明瞭だ」
「……一応、これだと思う答えはある。しかし、それはあくまで私の勝手な予想でしか……」
「カエサルがクレオパトラを大切に思ってたからじゃないかな?」
「え……?」
マシュの質問に答えようとしたカエサルに代わって口を開いたのはマスターであった。全員が彼に視線を集める中、少し慌てた様子の彼は身振り手振りを交えて自分の考えを話す。
「ほら! だってカエサルは言ってたじゃん! ソロモンは、最強のカエサルを作る為に不要なものはすべてこそぎ落したって……そのこそぎ落した物の中に、クレオパトラへの愛もあったんじゃないの?」
「クレオパトラさんへの、愛……?」
茫然とマスターの言葉を繰り返すマシュ。他の面々も同じような表情で彼の言ったことの意味を完全に捉え切れてはいない様子だ。
ただ一人、カエサルだけが自分の考えと全く同じ結論に達した彼に驚きの表情を向けた後、瞳を閉じ、顔を伏せてぽつぽつと語り出した。
「……私は……贅肉である部分の私は、クレオパトラを堕とす為の道具にされていた……彼女の心を折り、美しい精神を汚す役目を担っていたのだ……ただひたすらに、その日々は辛かった……!」
両手で顔を覆い、声を震わせて語り続けるカエサルは、ソロモンの元で送っていた日々を思い出す。彼にとってそれは、文字通り悪夢の様な日々であった。
「ソロモンに作り上げられた私の手で嬲られ、心を支配されたクレオパトラを休む事無く責める日々……贅肉で出来た体で彼女を包み込み、もう一人の私から残酷な責めを受ける彼女の姿を何度見送ったことか……そして、何度傷ついた彼女をこの身に受け入れ、苦しみに悶えたことか……!」
「カエサル……」
「救いたかった、今度こそ愛する女性を! 何も出来ないことに歯噛みしながら私は何度も何度もそれを願った! そしてある日、私の体の中にクレオパトラを叩き込んだもう一人の私が、『そろそろこの玩具にも飽きた』と口にした事を聞いた時、その思いは頂点に達したのだ! ……奴は間違いなくクレオパトラを壊す。これ以上無い残忍な方法で、その心を塵芥も残さず破壊し尽くすだろう! ……そう思った時、私の体はこうなっていた。後は簡単だ、クレオパトラの手を引き、必死になってここまで逃げて来た、と言うわけだ」
切々と全てを語ったカエサルは、顔を上げずにその話を終えた。にわかには信じ難い内容の話ではあったが、カルデアのマスターはカエサルの前に立つとその手を取って握手を交わす。
「……信じるよ、カエサル。カエサルのお陰でクレオパトラは助かったんだ。胸を張って良いんだよ」
「マスター……! しかし、私は……」
「裏切ったなんて言わなくて良い。そもそも、最初に俺がもっと上手く皆を指揮できてたらこんなことにはならなかったんだ。謝るのは俺の方さ」
「……私が君たちを騙しているとは思わないのか? こう言うのもなんだが、私は弁の立つ方だぞ?」
「ああ、それも少し考えたんだけどね……今のカエサルには、ズルさがないなぁと思ってさ。俺の知ってるカエサルは人を騙す時には小狡さを発揮してたから、それが感じられないならきっと本心を言っているんだろうなと思うんだよね」
「……君と言う奴は、お人好しと言うか馬鹿正直と言うか……だが、その優しさに私の心が救われたことは事実だ。すまない、そしてありがとう、我が親愛なるマスターよ」
マスターの気の抜ける言葉にようやく笑みを浮かべたカエサルが、空いている手で彼を抱き寄せて抱擁を交わす。ぶにゅりとした脂肪に体を包まれたマスターもまた笑みを浮かべた時、クレオパトラの様子を見ていたはずのナイチンゲールが部屋に入って来た。
「どうやら話は一段落した様ですね。では、患者の容態の説明を始めます」
自身に集中する視線をものともせず、ナイチンゲールはクレオパトラの状態を説明し始める。淡々と、短い言葉で時間を無駄にしない様に語るナイチンゲールであったが、その説明は非常に分かり易いものであった。
「脈拍、心臓の鼓動、瞳孔の反応、全てにおいて正常です。体力の消耗や細かな傷はありますが、体に関しては健康そのものと言えるでしょう。しかし……呼びかけても、体を揺すってみても、患者は何の反応も見せないでいます。意識が無いわけでは無さそうなので、精神面に何か問題がある可能性が高いかと」
「……遅かったのか? やはりクレオパトラは苛烈な責めに耐えきれず、精神を崩壊させて……」
「……いえ、だとするならば納得がいかない点があります。それは、肉体が健康であることです」
絶望的な表情を浮かべて崩れ落ちたカエサルを横目で見ながら、ナイチンゲールは自身の考えを話し始める。それが彼を安心させるための言葉なのか、それともいつも通りに自分に向けての言葉なのかは、周りのマスターたちには判断出来なかった。
「肉体と精神は密接な関係にあります。肉体が傷つけば精神が、精神が傷つけば肉体が、何らかの異常を訴えるはずなのです。しかし、彼女の場合はそれが無い。肉体は健康そのものなのに精神面だけに異常が出ている……これは、明らかに私の知る医学とは矛盾しています。何か秘密があるはずです」
そう言い終えたナイチンゲールは、神妙な表情で考え込み始めてしまった。こうなった彼女は放って置くしか無いと判断したマスターたちに対し、今度はダヴィンチちゃんが声をかける。
『その辺の情報を握っている人間が一人いるだろう? 彼女から話を聞ければ、色々と進展するんだろうけどねぇ』
「……ネロ、だね?」
「でも、ネロは変わり果てているわ……あんなのネロじゃない。あんなネロ、どうやって説得すれば良いのよ?」
エリザベートとの戦いの果てに捕縛したネロの事を思い浮かべた面々は、彼女の持つ情報の貴重さを理解していた。だが、同時に彼女の解放が非常に難しいものであることも理解している。
堕ち切り、ソロモンを崇拝するネロ。自分たちの知る姿とはまるで違う今のネロをどうやって解放すればいいのか? 糸口さえも見えないでいるのだ。
何とかしてネロを救い出さなければならない……この特異点の情報を得る為、クレオパトラを救う為、そして何より、彼女自身の為に……。
そんな思いを浮かべたマスターたちは、ネロを救う方法を相談しようとした。しかし、それよりも早く真剣な口調のダヴィンチが話に割って入る。
「すまない、ネロ・クラウディウスに関してだけど、かなり厄介な問題が見つかった。これをどうにかしない限り、解放なんて夢のまた夢さ」
「えっ!? そ、そんな大変なことなの!?」
「何!? ネロに何があったのよ!?」
「慌てないで……時間は一刻を争う。どうか私の言うことに黙って従ってくれるかい? おいおい理由は説明するからさ……」
珍しく真剣なダヴィンチの表情にただならぬものを感じたメンバーは、その言うことに黙って頷いた。そして、彼女の指揮の元、ネロの抱える問題点を解決する為の行動を起こし始めたのであった。
「……これは一体どういうことだ?」
ロビンとエリザベートに敗れ意識を失ったネロは、目覚めると同時に自分の置かれている状況を疑問に思った。
ベッドと粗末な床、正方形の部屋と思わしき自分の居るこの空間は、ネロを閉じ込める独房と言うことなのだろう。だがしかし、問題はその独房の位置にあった。
「何故、町のど真ん中に余を放置している……?」
ネロが現在居る場所、それはローマの中に出現した日本の町のど真ん中であった。おおよそ5平方メートルの正方形型の部屋の中にはベッドが置いてあり、他には何も存在していない。
そう、
(こんなもの、とっとと逃げろと言っている様なものではないか。何を考えているのだ……?)
何かの罠か、はたまたミスなのか、判断のつかないネロは取り合えずこの部屋から出てみようと試みた。
部屋の適当な場所から足を延ばして部屋の外へと出ようとしたネロは、部屋の床と外の地面の境界線の部分に見えない壁があることに気が付いてそれに足をぶつけてしまった。
「……見えない壁、魔術結界か。ふん、そこまで奴らも馬鹿では無いと言うことか」
自分を阻む壁の存在を見て取ったネロは行動をシフトし、今度は結界の観察に移った。術式や耐久性を調べ上げ、自分に壊せるものなのかをしっかりと観察して行く。
(……三重の壁、強度はそれなり……壊せなくも無いが、それには時間がかかる。動けば異常を察知して奴らもやって来よう。だが、手が無い訳でも無い……!)
結界の情報を集めたネロはその対策を見つけ出すとにんまりと笑った。そして、少しずつその壁を叩き始める。
一気にこの壁を壊そうとするから時間がかかる。ならば、適度にひびを入れ、一枚目、二枚目、三枚目に亀裂を作って行けば良いのだ。
幸いにも結界が作る壁の感覚はさほど空いていない。これならば僅かな隙間を作れば次の壁の破壊に移れるだろう……そう考えたネロが、結界の破壊を続けようとした時だった。
「あ……れ……? お、お姉さん、何やってるの……?」
「ん……?」
自分に向けられた言葉に反応して振り向いたネロは、視線の先に数人の子供がいることを見て取った。
突如として自分の家の近所に現れた謎の空間とその中に住まう全裸の女性の姿に混乱する子供たちを見たネロは、彼らの前では結界の破壊作業をするわけにはいかないとその手を止める。
本来ならすぐにでも彼らを追い払って作業を再開すべきなのだろうが……この時、ネロの中にはむくむくと彼女自身の欲が膨れ上がっていた。
「……怖がらなくてよいぞ、童たちよ。余は訳有って急にここに住まうことになっただけで、お前たちに危害を加えるつもりは無い。それよりも……もっと近づいて、余と話をせぬか?」
心の中で舌なめずりをしながら子供たちに優しく語り掛けるネロの中には、彼女自身の性癖である露出願望が激しく渦巻いていた。
性に関することをよく知らない子供たちに裸を見せると言う行為に背徳感と共に興奮を得たネロは、彼らに更に近くで自分の裸体を見せるべく手招きする。美しく妖しい彼女の姿に息を飲んだ子供たちは、その招きに従って壁のすぐ近くまでやって来た。
「お姉さん、なんで裸なの?」
「恥ずかしくないの?」
「見られて恥ずかしい体をしているつもりは無いからな! ……うむ? もしやお前たち、余の裸体を見て興奮しておるのか?」
「え、ええっと……」
顔を真っ赤にしてしどろもどろに反応する子供たちの姿を見たネロはにんまりと笑うとその場で仁王立ちになった。そして、子供たちに向けてなんら隠すこともせず己が裸体を晒し始める。
「良い良い! 美しい余の裸を見ればそれは当然のことだ! 遠慮せず見て、存分に堪能するが良い!」
「う、わぁ……!?」
小さな体に似つかわしくない大きな乳房、つるつるとした子供の様な無毛の性器、丸くほど良い大きさの尻……それらを一つ一つ子供たちに見せつけながら、ネロは言い様の無い興奮を感じていた。その興奮を隠すこともせず、ネロは子供たちに向って語り掛ける。
「ほれ……どうだ、余のおっぱいは? お前たちの母親よりも大きく、綺麗であろう?」
「お、大きい、です……! それに、凄く柔らかそう……!」
子供たちの反応に気を良くしたネロは、笑みを浮かべたまま体を反転して子供たちに向けて尻を突き出した。結界の壁に尻を押し付け、限界まで子供たちに近づけた状態で性器を開いてその中身を露出させたネロは、甘い声で子供たちの官能を煽った。
「どうだ? これが雌の体と言う物だ……♡ おちんぽの代わりにまんこと言うものがあるのだぞ!」
「まん、こ……?」
「そうだ! ……良く目に焼き付けておけよ? 余のまんこは美しく、薔薇の様な香りがする名器なのだぞ!」
「あ、う……お尻の穴もひくひくしてて……っ!」
「うむ! そこはけつまんこだ! ……本来は汚い場所だが、余のけつまんこは綺麗であろう? 皺が何本あるかじっくりと数えて見るのも悪くは無かろうて……♡」
魅力的な肢体を晒し、性器と尻を堂々と子供たちに見せつけるネロは、彼らの興奮を煽ると同時に自分も快感を得ていた。
年端の行かぬ少年たちの性の目覚めを呼び起こしていると言う状況にうっとりとした息を吐いたネロは、脚の間から顔を出して少年たちの表情を眺める。
「まんこ……けつまんこ……」
「これが、女の人の体……!」
「なんか、おちんちんが熱くなって……!?」
「ああ……♡ 愛い奴らめ! その素直な反応、非常に良い! ……それに免じて、見抜きを許す! 余の体をオカズにして、存分におちんぽをシコシコするが良い」
「見抜き……? おちんぽ、シコシコ……? う、あ……うあぁぁぁぁぁっ!!!」
突如として雄たけびを上げた少年たちが服の下から肉棒を取り出し、それを勢いよく扱き始める。まだ幼く小さいその性器を見つめるネロは、頬を染めて舌なめずりをした。
「そうだ! そのまま存分にオナニーするが良い! 余の躰で興奮し、余の躰に雄の昂ぶりをぶつけよ! これは余の命令だ!」
「お姉さんっ! お姉さぁんっっ!!!」
「……これから大人たちに見つからぬ様にここに来るが良い。大人たちが居なければ、余はお前たちの要望に応えてどんなポーズでもしてやろう……♡ 恥ずかしい格好も何もかもがお前たちの思うがままだぞ……♡」
興奮のままに自分の性器を弄り、少年たち同様にオナニーを見せつけるネロは、露出行為に対する快感で頭の中をいっぱいにしていた。ここに来るのはこの少年たちだけではない、老若男女様々な人がここを通り、ネロの裸を見に来るのだ。
「う、ううぅっ! うぅぅぅぅぅぅっっ!!!」
「ふ、ふふふ……♡ 日本のローマ市民よ、余に見惚れるが良いっ! 少しだけ、少しだけの間、余の裸体で興奮することを許してやろう!」
結界の壁に飛び散る白濁液を見つめながらそう叫んだネロは自分もまた絶頂して性器から潮を噴く。お互いにイク姿を見せつけ合ったネロと少年たちは、荒い呼吸を繰り返しながら見つめ合っていた。
(……結界を破壊するまで3日と言ったところか。ならば、それまでの間は楽しませてもらおうっ♡)
ぐちゅぐちゅと音を立てて性器を掻き回しながら……ネロは、脱出と快感の天秤を合わせるボーダーラインを引き、再び快感の坩堝へと堕ちて行ったのであった。