第08話
1日目。
早速学校で先生とセックスを楽しんだ俺だが、家に帰ってからはパソコンを使って色々な事を調べた。さすがに10年も前になるとパソコンのOSもかなり古く、動作がもっさりしているという欠点があり、未来人の俺にとってはかなり使いにくかったが……
まず第一に、この世界では結婚年齢に違いがある。
前の世界では、男性が18歳以上。女性が16歳以上でなければ結婚はできなかった。しかし、この世界では女性の方が多いという事があってか、男性が16歳以上で、女性が20歳以上で結婚可能となっていた。
まるっきり反対じゃないのは、この世界での女性が男性を襲うという常識が成り立っており、女性は子供を妊娠してしまうためだと思われる。肉体労働系の仕事をしている女性が妊娠してしまっては仕事ができなくなるだろう? 恐らく、そういう事だ。
ちなみに、過去に結婚可能年数引き下げの法案だか訴えだかはあったらしいが、それを今現在の政府と男性保護委員会が拒否。結局、今の状態が続いているらしい。
それにしても男性保護委員会か……
この委員会が設立されたのはなんと1951年らしい。
いつから男性の数が減っていったのかは分からないが、かなり昔から問題になっているらしいことだけは理解できた。
そして第二に、男性の就職率が凄まじく低い事だ。
低い、と言うだけあって就職している男性はいるのだが、基本的にと言うか……世界を動かしているのは女性といっても過言じゃないほど女性が中心になっているようだ。
だからこそ、牧野先生は俺が進学する事に驚いたんだろう。
大学に進学しても就職しないんじゃ、特に進学する意味は無いからな。ちなみに男性の大学進学率も非常に低かった。ゆえに、俺が大学に熱烈なアピールをすればすぐにでも入れるんじゃないかと思っている。
大学にしてみれば、ここは「男子学生も入学する優秀な大学です」と銘打つことができるんだから。まぁ、悪く言えば俺が大学の広告塔になるっていう話なんだが。
話を戻すが、男性の就職率が悪いのには別の問題もあった。
ただ単に女性の数が多いだけじゃなく、職場でのセクハラが多いそうな。女性が強姦なんざする世界だ……そりゃ襲われる男性も嫌気がさすだろうさ。一人の男性が多人数の女性に襲われてトラウマになり仕事を辞めてしまう。
なんて嘘みたいな話が現実に多く存在してるんだから笑ってしまう。
が、男性の賃金、給料はかなり良いらしい。
バイトにしても女性より仕事内容は軽いらしく、それを目当てに働く男性はいるらしいが、最終的な決め手はやはり女性による男性に対するセクハラらしい。この手の案件は実数が多く、男性の就職に対する不安感を払拭できない重要事項として国会で取り上げられているらしい。
そして最後に……
これが一番重要な事項だが、この世界には政府認定の男性専用ボディガードが存在するらしい。条件はかなり厳しく、容姿端麗でかなり高学歴でなければいけないらしい。
今までの経歴のすべてを洗いざらい見られるらしく、その多くのボディガードは女性が務めているようだ。よって、男性に手を出さないような清廉な女性が求められるわけだが……まぁ、難しいだろう。
日本にこのボディガードの存在は100人程度しかいないようだ。その多くは社長やら重役の息子やら跡取りやら。そういった雲の上の存在の男性に付くらしく、一般男性には付かないらしい。
こう、ボディガードととのドキッ☆嬉し恥ずかし密着事案! みたいな話を期待してたんだが……
「大丈夫だって……何もないから」
「本当に? ホントに大丈夫だった?」
「もう、ちょっとしつこいよ」
「でもぉ……」
で、今現在俺は学校に行く朝の通学路の途中、昨夜の件で母さんにかなり心配されていた。
俺が何度も何も無かったと言っているのにも関わらず、執拗に質問してくるもんだから気が滅入りそうだ。もしこれで先生とセックスしてたから帰りが遅くなったんだ!
とか悪びれもせずに言ったら白目向いて倒れるんじゃないか?
……本当にありそうだから黙っておこう。
「それじゃあ、気を付けてね?」
「はいはい、分かってるよ」
昨日以上に名残惜しそう手を振る母さん。
その姿が可愛らしく見え、何気に気恥ずかしくてそっぽを向いてしまった。
そのまま校舎の中の様子を見てみる。
今日は普段通りの時間に登校できたため、生徒たちの登校風景を自分の目で見ることができたが……女子の群れ、首の回る範囲の視界全体を覆いつくす女子の波。
そして、俺が女子を見ているのと同じようにほとんどの女子が俺の事を見ていた。
止めろやい……恥ずかしいだろ?
そんな気持ちを顔には出さず、ゆっくりと歩みを進めていく。
突き刺さる視線。俺の姿を視界に捉えた女子たちの行動は二分化された。
一緒に登校していた友人らとひそひそ話に興じるもの。または、身だしなみを整えようとしたり制服を肌蹴させ、胸チラやらパンチラやらで気を引こうとしているもの。
前の世界では無かった女子勢の積極さに、思わず苦笑してしまう。
(今あの男子笑った……!)
(私を見てたのかな?)
(バカ! 私に決まってるでしょ!)
(顔の向き的に私)
(誰でもいいけど、これで今日の分のやる気は充電できたわぁ)
(確かに)
……なんか、苦笑してからまたひそひそ話に拍車が掛かったような気がする。
しかし、遠巻きに見ているだけで一切手を出してこない。声もかけてこない。いや、朝だからなのか衆人環視の中だからなのかは分からないが。とりあえずこのまま教室に行ってしまおう。
下駄箱っと。
――バサバサッ
「なんぞ」
自分の下駄箱を開けた瞬間何かが落ちた。
呆然と、落ちずに自分の靴の上に乗っかったままの物を手に取った。
「ラブ、レター?」
丁寧に包装された紙を手に取り、眺めていた結果、それだけが判明した。
何年何組誰々と書かれた手紙の束。それが俺の靴の上に乗っていたのだ。そりゃバランスが崩れれば一気に落ちてくる。昨日は無かったのに……何故今日になってこんなにラブレターが入っていたんだろうか。
――なんて事があってな」
「へぇ……それで、その紙はどうするの?」
「うーむ……そうだなぁ……」
教室にて朝のHR前。
まだ生徒の全員がそろっていない時間帯。
玄関にて合流した智治と一緒に教室まで来た俺は、さきのラブレターの件について相談していた。
「まさか、全員に会うなんていわないよね……?」
「え? いや、会ってみようかなって思ってたけど」
「ダメだよ! ここは毅然と無視しないと!」
「お、おう」
まさかの無視発言ですか。
何故か知らんが、智治は女子を毛嫌いしている。
その理由は聞いてないが、ここまで嫌だと言うからには昔女子に何かされたんだろう。もしかすれば、こいつも女子からラブレターを貰ったことがあったりするのか?
「智治はどうなんだ? お前もラブレターぐらい貰ってそうだけが」
「……僕だって中学生の時に貰ったよ。てか、保志君だって昔貰ってたじゃないか! それが何で今になって女子に会おうなんて思えるの!?」
おっと……こいつは藪蛇だったか。
ずずいと身を乗り出してきた智治の顔が目の前に。
「近い近い……昔は昔だ。少しは、こう……昔の俺から変わろうと思ってな」
「それにしたって女子に会おうとするのは変わり過ぎだよ! 高校生になって女子に会おうなんて、何されるか分かったもんじゃないよっ!!」
ふんすっ!
と、鼻息荒く語ってくれるが、周囲に女子がいるんだぞ?
まるで女子がいないかの如く振る舞ってるが……そんだけ女子が嫌いなのだろう。
「ま、智治の言いたい事は分かったよ」
「そう! ……なら良いんだ。何が保志君を変えたんだい? 君の事が心配になるよ……」
智治の熱意に押されるような形になってしまったが、今日の所は家に帰ってラブレターを読むとしよう。さすがに、すぐに会うのは気が引ける。別に今すぐ彼女が欲しいわけでもないしな。
セフレというか、年上の彼女候補は一人いるから、そこまでがっつこうって気にならないし。
――それに、今は昨日見たあのヤンキー少女が気になってるからね。