※この作品はR-18です。

響け!ユーフォニアム〜中川夏紀の憂鬱〜(未完)   作:森島響

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第11話『1年前』

(葵が吹部を退部していったあと…)

 

葉月「あんなに怒られてる久美子初めて見た」

 

(3年3組教室にて。葉月と川島サファイアに心配されながら、なぜか落ち込んでいる久美子)

 

(回想。数分前、音楽室にて…)

 

あすか「…ユーフォ、今吹いてた?

 チューニングは必要ないの?

 ちゃんと吹いて」

 

久美子「…」

 

(葵がいなくなったあとの音楽室。引き続き練習再開していた中、ちゃんとユーフォを吹いていなかったことをあすかに叱られ、落ち込む久美子)

 

滝「黄前さん、モタついてませんか? 集中して下さい」

 

久美子「…」

 

(回想終了)

 

(ザッ…)

 

(久美子達がいた教室内にやって来た夏紀と梨子)

 

久美子「…あの、夏紀先輩…」

 

夏紀「…」

 

(音楽準備室に場所を変え…)

 

葉月「先輩は、どうして部に残ったんですか?」

 

夏紀「…やる気がなかったからかなぁ…」

 

 私は1年前の出来事を思い出しながら、久美子ちゃん達に1年前の北宇治吹部のことを語り始めた。

 

夏紀「うちらの同級生が、真面目にやろうって言ってきた時、先輩達は無視したんだよ」

 

久美子・葉月・緑輝「…」

 

(その話を黙って聞き入っている久美子達)

 

夏紀「それでも、香織先輩や、葵先輩は頑張ってた。

 無視には加担しないで、間を取り持とうとして…」

 

(そう言った直後、別の方向を向いて会話を続ける夏紀)

 

夏紀「晴香先輩も香織先輩も葵先輩も思ってるよ…あの子達が辞めるの止められてたら今頃って…。

 あすか先輩は去年、どっちにも加担しなかった。

 中立。 今と全く変わらず」

 

久美子・葉月・緑輝「…」

 

夏紀「それくらい、今年の空気は違うって事。

 やる気なかった私が、ちょっとやる気になってるぐらいだからね」

 

 そんな1年前の出来事を黄前ちゃん達に打ち明けたあと、私はその日は帰宅した。

 

…翌日…

 

晴香「昨日は休んでしまって申し訳ありませんでした。

 今日からまた頑張ります」

 

(何事もなかったかのように、昨日吹部を休んでいたことを詫びた晴香。吹部メンバー達は拍手して迎え入れる)

 

(回想。香織と自分の自宅の自室で顔を会わせていた晴香)

 

香織「はむっ」

 

(晴香の前で、一緒に持ってきた差し入れの焼き芋を頬張っている香織)

 

晴香「なんで芋なの?」

 

香織「食べたかったの芋。 牛乳で」

 

晴香「一応吹奏楽部のマドンナだよ?」

 

香織「マドンナだって芋が好きなの」

 

(芋を食べ終わって…)

 

香織「…私思った。 あすかは部長を断ったんじゃなく、引き受けられなかったんだなって」

 

晴香「…」

 

香織「たぶん、あの状態の部を引き受けるのは、相当な勇気が必要で…。

 あすかは頭いいから、そういうの全部計算しちゃって…引き受けられなかったんじゃないかな」

 

晴香「…」

 

香織「皆分かってる。

 あの時、晴香が部長を受け入れてくれたから、今の部があるって」

 

晴香「…あすか派のくせに」

 

香織「演奏者として、あそこまで切り捨てて演奏に集中できたらって思っちゃう」

 

(引き続き回想。その日の夜…)

 

(近所のファミレスで葵と会っていた晴香)

 

葵「…やっぱり私、そこまで吹部好きじゃなかったんだよ…」

 

晴香「…」

 

葵「晴香はどう?」

 

晴香「私は…たぶん…」

 

(そこで回想終了)

 

 香織先輩や葵先輩とそんなことがあったことなど知らずに、私は晴香先輩の指揮の下、今日もコンクールに向けて練習に励むのだった…。

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