(葵が吹部を退部していったあと…)
葉月「あんなに怒られてる久美子初めて見た」
(3年3組教室にて。葉月と川島サファイアに心配されながら、なぜか落ち込んでいる久美子)
(回想。数分前、音楽室にて…)
あすか「…ユーフォ、今吹いてた?
チューニングは必要ないの?
ちゃんと吹いて」
久美子「…」
(葵がいなくなったあとの音楽室。引き続き練習再開していた中、ちゃんとユーフォを吹いていなかったことをあすかに叱られ、落ち込む久美子)
滝「黄前さん、モタついてませんか? 集中して下さい」
久美子「…」
(回想終了)
(ザッ…)
(久美子達がいた教室内にやって来た夏紀と梨子)
久美子「…あの、夏紀先輩…」
夏紀「…」
(音楽準備室に場所を変え…)
葉月「先輩は、どうして部に残ったんですか?」
夏紀「…やる気がなかったからかなぁ…」
私は1年前の出来事を思い出しながら、久美子ちゃん達に1年前の北宇治吹部のことを語り始めた。
夏紀「うちらの同級生が、真面目にやろうって言ってきた時、先輩達は無視したんだよ」
久美子・葉月・緑輝「…」
(その話を黙って聞き入っている久美子達)
夏紀「それでも、香織先輩や、葵先輩は頑張ってた。
無視には加担しないで、間を取り持とうとして…」
(そう言った直後、別の方向を向いて会話を続ける夏紀)
夏紀「晴香先輩も香織先輩も葵先輩も思ってるよ…あの子達が辞めるの止められてたら今頃って…。
あすか先輩は去年、どっちにも加担しなかった。
中立。 今と全く変わらず」
久美子・葉月・緑輝「…」
夏紀「それくらい、今年の空気は違うって事。
やる気なかった私が、ちょっとやる気になってるぐらいだからね」
そんな1年前の出来事を黄前ちゃん達に打ち明けたあと、私はその日は帰宅した。
…翌日…
晴香「昨日は休んでしまって申し訳ありませんでした。
今日からまた頑張ります」
(何事もなかったかのように、昨日吹部を休んでいたことを詫びた晴香。吹部メンバー達は拍手して迎え入れる)
(回想。香織と自分の自宅の自室で顔を会わせていた晴香)
香織「はむっ」
(晴香の前で、一緒に持ってきた差し入れの焼き芋を頬張っている香織)
晴香「なんで芋なの?」
香織「食べたかったの芋。 牛乳で」
晴香「一応吹奏楽部のマドンナだよ?」
香織「マドンナだって芋が好きなの」
(芋を食べ終わって…)
香織「…私思った。 あすかは部長を断ったんじゃなく、引き受けられなかったんだなって」
晴香「…」
香織「たぶん、あの状態の部を引き受けるのは、相当な勇気が必要で…。
あすかは頭いいから、そういうの全部計算しちゃって…引き受けられなかったんじゃないかな」
晴香「…」
香織「皆分かってる。
あの時、晴香が部長を受け入れてくれたから、今の部があるって」
晴香「…あすか派のくせに」
香織「演奏者として、あそこまで切り捨てて演奏に集中できたらって思っちゃう」
(引き続き回想。その日の夜…)
(近所のファミレスで葵と会っていた晴香)
葵「…やっぱり私、そこまで吹部好きじゃなかったんだよ…」
晴香「…」
葵「晴香はどう?」
晴香「私は…たぶん…」
(そこで回想終了)
香織先輩や葵先輩とそんなことがあったことなど知らずに、私は晴香先輩の指揮の下、今日もコンクールに向けて練習に励むのだった…。