(オーディション当日)
私は、6月真っ盛りで暑い日差しが降り注ぐ中、校舎裏の外で一人孤独にユーフォの自主練に励んでいた。
今頃、他の先輩達や、黄前ちゃん達1年生組も別々の場所で練習に励んでいる頃だろう。
そう思いながら私は、一旦演奏を中断し、熱中症対策のため、脇に置いてあったスポーツドリンク入りのペットボトルを口に含んだ。
夏紀「…ぷはっ」
…数時間後…
滝「では、オーディションを始めます」
滝先生と松本先生がいた音楽室に一斉に集まった私達吹部メンバー。室内は、コンクールに向けての大事なイベントだからか、いつにも増してピリピリムードが漂っていた。
滝「最大55名までしか参加することが出来ません。
ここにいる全員、コンクールに出るのに恥じない努力をしてきたと、私は思っています」
…その日の夕方…
久美子・夏紀「…」
(ガラッ)
あすか「お先~♪」
オーディションは夕方に差しかかり、音楽室前の廊下で待機中の私と黄前ちゃんのユーフォ組。
一足先に、もう1人のユーフォ担当のあすか先輩が音楽室から試験を終えたようで、その場をあとにして行った。
夏紀「…じゃ…私も行ってくる。 黄前ちゃん、またあとでね」
久美子「…はい」
黄前ちゃんにそう告げて、私は吸い込まれるように滝先生と松本先生が待つ音楽室に入っていった。
(オーディション終了。数日後…)
(オーディション結果発表で、音楽室に集まっている55名の吹部メンバー)
松本「合格者を読み上げる」
(多少間を置き…)
松本「まずパーカッション…~」
(パーカッションから徐々に結果が読み上げられていく)
松本「クラリネットは以上11名。
サックスは以上7名」
夏紀「…」
いよいよ、私、黄前ちゃん、あすか先輩担当のユーフォの出番が来た。静かに息を飲み込む私。
松本「続いてユーフォニアム。
田中あすか、黄前久美子。 以上2名」
夏紀「…!!」
あっという間だった。あっという間に落選だと知った私は、表向きは冷静なフリを装っていたが、内心は悔しくて堪らなかった。
そんな私の横で選ばれなかった私の顔を、黄前ちゃんが残念そうに眺めてきた。もちろん、その少し離れた場所でも、優子やみぞれも…。
(オーディション結果発表終了)
(最後にトランペット部門で、香織と麗奈が選ばれた。チューバ部門では、葉月が落選)
松本「…最後に…。
ソロパートは、高坂麗奈に担当してもらう」
優子「なっ!?」
久美子「…」
麗奈「…」
松本先生のその一言で衝撃が走った私達をよそに、静かにオーディションは幕を閉じようとしていた…。そう、この時は…。