(再オーディション終了から数日後…)
「~~~♪♪」
滝「止め!」
(吹部一同、演奏中断)
滝「今のとこ、ユーフォも入れますか?
162小節目、コンバスとユニゾンで」
あすか「…黄前ちゃん、いける?」
(あすかにそう聞かれ、目の前の譜面を見返す久美子。しかし、目眩が起こり、視界がボヤける)
久美子「うっ…」
(3年3組教室に移動し…)
梨子「…ここか…確かに難しいよね」
(久美子が指摘した箇所を確認して、確かに難しいと同意する梨子)
あすか「ちょっとやってみるね。
黄前ちゃん、聴いてて」
(そう久美子に言って、ユーフォを吹き始めるあすか)
あすか「~~~♪♪」
(あすか、キリの良いところで演奏を止める)
久美子「…凄い…!! 有難う御座いました」
(ガタッ)
久美子「ふにゅ!」
あすか「黄前ちゃんも吹くんだよ?」
(自分の椅子から立ち上がり、久美子の両頬を両手で潰してきたあすか)
(久美子、指定の位置に戻り、再びユーフォの練習を再開)
夏紀「…」
私は、いつものように窓際の席で休憩しながら、必死に練習に取り組む久美子ちゃんをチラ見した。
だが…久美子ちゃんのユーフォの音は、スランプなのか分からないが、ぎこちないし弱いし、何より外れていて聴くのも辛いほどだった。
久美子「梨子先輩…あの…私、個人練行ってきます」
久美子ちゃんは、梨子にそう言ってから個人練のため、外に出て行った。
(数分後…)
(日差しが照り付ける蒸し暑さの中、汗を流してユーフォの個人練をしている久美子)
久美子「…ぷはっ」
麗奈「…」
(久美子がユーフォから口を離すと、いつの間にか隣には麗奈がいた)
麗奈「良くなってる。
でもコンクール的にはダメ」
久美子「…だよね」
(ざわ・・・ざわ・・・)
(地面の生い茂った草が風で吹く中、麗奈の方を向く久美子)
久美子「私、上手くなりたい、麗奈みたいに。
…麗奈みたいに特別になりたい」
(その返事に、空を見上げながら返事をする麗奈)
麗奈「じゃ、私はもっと特別になる」
久美子「…」
(その数日後の音楽室にて)
滝「…前より良くなりましたが、まだ求められる音にはなってません。
トロンボーン、出だしがズレたの誰ですか?」
秀一「…」
(静かに、気まずそうな表情を浮かべながら手を挙げる秀一)
(その数秒後…)
滝「…ユーフォ、162から1人ずつ聴かせてもらえますか?」
久美子「…」
(自分だと分かり、即ユーフォを吹いて滝先生に聴かせる久美子)
久美子「~~~♪♪」
滝「…そこ、難しいですか?
本番までに出来るようになりますか?」
久美子「………」
(無言で下を向いて気まずそうにしている久美子)
滝「…本番で出来ないということは、全員に迷惑をかけるということになりますよ」
久美子「…出来ます!!」
滝「…」
夏紀(…久美子ちゃん…)
この時の私は知る由もなかった。それは…。