※この作品はR-18です。

響け!ユーフォニアム〜中川夏紀の憂鬱〜(未完)   作:森島響

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第25話『脱落者』

(回想)

 

(脳内で、数日前の再オーディション時の麗奈の演奏のことを思い返していた久美子)

 

久美子『…上手くなりたいって気持ちは前より強くなった』

 

久美子『熱いのか…冷めているのか…』

 

久美子『あのオーディションの麗奈を見て、あの音を全身で受け止めてしまってから、私は侵されてしまったのだ』

 

久美子『上手くなりたいという熱病に』

 

葵「…久美子ちゃん?」

 

久美子「…! 葵ちゃん…」

 

(帰り道のいつものお気に入りの場所で、ユーフォの練習していた久美子。そこをたまたま通りがかった、かつて吹部を退部した斉藤葵が声をかけてくる)

 

葵「んね、全国行けそう?」

 

久美子「…分かんない。

 でも上手くなったと思う。

 春に比べたら段違いだよ」

 

葵「…」

 

久美子「…」

 

(多少の沈黙が続き…)

 

久美子「…吹部辞めたこと、後悔してない?」

 

葵「してないよ。

 私は受験の方が大切だったから」

 

(久美子に背中を向け、引き続き言葉を発する葵)

 

葵「…私には、続ける理由がなかったから」

 

(葵と別れた久美子)

 

(現在に戻り…)

 

(関西大会予選10日前の音楽室。いつもと同じく練習中の中…)

 

滝「…トロンボーン塚本君、今のを常に吹けるように」

 

秀一「…」

 

(無言だったが、明るい表情になっている秀一)

 

滝「…では、158小節目から」

 

(数分後…)

 

滝「…トランペット、音を区切って。

 ホルンは、もっと下さい。

 そして…」

 

(数秒沈黙が流れ…)

 

滝「…ユーフォ、ここは田中さん1人でやってください」

 

久美子「!!」

 

滝「では、もう一度」

 

 久美子ちゃんが脱落したという情報は、私の耳にも入って来た。

 それは一瞬の出来事だったらしい。反論の隙も猶予もなく…。

 今すぐにでも、久美子ちゃんをこの手で慰めに行ってあげたかった。しかし、私は数日前の久美子ちゃんとの例の一件以来、麗奈ちゃんにそのポジションを譲ったので、到底そんなことは出来るはずもなかった。

 

 そう…。これは関西大会進出を賭けた戦いなのだ。

 

(その日の夜…)

 

久美子「…」

 

久美子(あのあと、私は帰り道、思い切り涙を流した。

 上手くなりたいという気持ちで、誰にも負けたくなかった。

 その時、私は知ったのだ。

 1年前の南中の京都府コンクール予選を麗奈と一緒に見に行って…。

 あの時、麗奈がどんな思いでいたかを、私は知ったのだ)

 

(その頃…)

 

夏紀「…」

 

 私は1人、自分の自宅の自室にこもっていた。いつもみたいに優子や、こないだみたいに香織先輩も連れ込んではいない。

 久美子ちゃんが関西大会予選参加から脱落したと聞いてから、まるで自分のことのように、なぜか凄く悔しくて、1人でいたかったからだ。

 

夏紀「…久美子ちゃん…今頃…どうしてるんだろう…」

 

 そんなことを、1人ベッドの上に寝ころびながら考える私だった…。

 

(そして、ついに関西大会予選の日がやって来る…)

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