次回から、いよいよ第2期編開始です。希美先輩と鎧塚先輩も本格的に登場です。
その希美先輩が主役のオリジナル番外編も、何とか考えて書く予定でいます。
なお、演奏シーンの描写は、文章のみだと表現するのが難しいのでカットさせてもらいました。ご了承ください。
(京都府・宇治市文化センター到着)
(ザワザワ…ガヤガヤ…)
(ガチャ…)
久美子「…」
(バッグを開け、ユーフォに不具合がないかチェックする久美子)
麗奈「久美子、結ぶの手伝って」
久美子「…うん」
(髪を結ぶのを久美子に手伝わせる麗奈。麗奈、髪をポニテにする)
夏紀「…黄前ちゃん」
久美子「…夏紀先輩」
私は、本番に向かう久美子ちゃんに気合いを入れさせるため、お互いの拳を合わせた。
麗奈「…いいね、中川先輩」
久美子「……うん」
(実は夏紀と名前で呼び合う仲になっているなど麗奈に教えてやれるはずがなく、多少沈黙しながらも麗奈の台詞に静かに頷く久美子)
(数分後…)
「扉を閉じたら音出しして構いません」
滝「分かりました」
(チューニングルームにて、最後に音程や音出しチェックをする吹部部員達)
(チューニング作業終了。そして…)
滝「ここで何か話そうと思って、いろいろ考えてきたのですが…。
あまり私から話すことはありません」
夏紀「………」
滝先生の関西大会予選本番前のその言葉に、静かに耳を傾ける私達。
滝「春、あなた達は全国大会を目指すと決めました。
向上心を持ち、努力し、奏でてきたのは全て皆さんです」
そうだ。思い返してみたら、私達が今ここにいるのは、数ヵ月前、やる気が不十分だった中、私達が滝先生に対して全国を目指すと宣言したからだ。
滝『なんですか、これ?』
あの台詞を聞いてから、そのやる気は更に不十分から十分に上がった。思えば、よくここまでやってこれたと、まるで夢でも見ているのではないかと自分でも信じられなかった。
滝「誇ってください。
私達は、北宇治高等学校吹奏楽部です」
でも、夢じゃない。確かに私は、今、ここに立っているのだ。
滝「そろそろ本番です。
皆さん、会場をあっと言わせる準備はできましたか?」
そんな私の感慨深い思いをよそに、これからいよいよ全国大会への切符を手にする序章である、関西大会予選の本番が幕を開けようとしている。
滝「始めに戻ってしまいましたか?
皆さんに聞いているんですよ?
会場をあっと言わせる準備はできましたか?」
しかし、肝心の私は残念ながら今年はその予選はおろか、この先の本選、その先の全国の大舞台に立つことは出来なくなってしまったわけだが。
私がそんなことを思う中、滝先生の準備は出来たかの質問に頷く他の皆。
滝「では皆さん、行きましょう。 全国に」
(数分後…)
「北宇治のみなさん、どうぞ」
(ギイイ…)
(演奏ステージ前の扉を静かに開ける女性係員。会場には、満員の観客がいる)
久美子「…」
(その数時間後…)
(北宇治、長時間に渡る演奏終了)
久美子「…」
葉月「…」
緑輝「めちゃくちゃ緊張する…」
(演奏を終え、客席で結果発表を待つ北宇治吹部一同。川島サファイア、緊張で両手を両頬に当てる)
(その2、3分後ぐらいのこと…)
夏紀「………!」
久美子「……金だ…」
私や久美子ちゃん、その他の皆は、目の前に確かに見た。北宇治吹奏楽部、金賞獲得の文字を。
「…えー、この中より、関西大会に出場する学校は…」
(また数分の沈黙が流れた後…)
「……北宇治高等学校吹奏楽部」
その瞬間、私達は一斉に嬉し涙を流し合った。関西大会本選に出場できたが…。それでも、これはまだ全国に行くためのほんの一部にしか過ぎない。
でも、まず第一段階は突破することが出来たのだ。それは夢じゃない。
(そして…第二部が幕を開けようとしていた…)