三MENです。ついに六章終了です!
ついに、物語も三分の二終了ですか。さあ、行きますよ。
まだ、空と名月の戦いの途中だったある日の京。
「久遠様!双葉様からの伝言です」
「うむ、ご苦労」
「えっと、京都所司代でしたっけ?本人も双葉様も了解との事です」
和奏からの報告に満足した久遠。
「一応本人と話もしましたが・・・すごく気合が入ってましたよ」
「そうか・・・あやつ、本当に・・・」
「??何か考え事でも?」
「いや、いい」
「それで久遠様・・・いいんですか?あれ」
「何々、どうしたの雛ちゃん?」
犬子の疑問に、雛が相手には見えないように指さした。
「あそこ・・・草がいるの」
「え!それって本当にいいんですか!」
「構わん。好きなだけ調べさせてやれ」
「まあ。久遠様がそういうならそのままにしますけど・・・」
「お二人が、後で話をしたいと言ってましたので」
久遠の言葉に雛は死線を外し、最後に和奏からその伝言を聞いて頷いた久遠。
「分かった・・・まあ、こっちも聞きたいことがあるからな(今なら、聞けそうかもな。あやつの以前の考えを)」
館に向かって四人で歩き出した。
空と名月の戦いが終わり、何日か経過した春日山城下。
「お~~い、湖衣~。やっと見つけたよ」
「はあ、はあ、もう~~、典厩様。やっと見つけましたよ」
「はっはっは、すまんでやがる。一応見ておきたかったでやがるからな、この街の感じを・・・それでどうしたでやがる?」
「そうです。京にいる織田が動きを見せたようで」
「毎日のように姿を見せる報告は知っているでやがるよ。本当に、健気でやがるな。一体誰に見せるために姿を見せてやがるでしょうな」
笑顔の典厩と呼ばれた女に一二三がツッコミを入れる。
「知っているのでしょうに・・・後、新情報があります。何やら京都の所司代を決めたそうです」
「ほう~~、我々のあれの後に何を考えていやがるかな?」
「でも、もしかするとそれも・・・お屋形様は?」
「迷いなし。でやがる」
「わかり・・・ました」
「どうしたの?一二三ちゃん」
典厩への返事のすぐ後に別方向を見た一二三。そんな彼女を不思議に思う湖衣。
「何でもないよ。敵地にいつまでもいるわけにはいきませんので、そろそろ戻りましょうか」
「そうでやがるな」
「うん」
「・・・ところで典厩様?その団子は?」
「うまいでやがるよ~~。二人もどうでやがる?」
差し出した団子に一二三は笑顔で、湖衣は苦笑いで受け取った。
「じゃあ、ありがたく」
「い、いただきます」
『何か一瞬見られた感じがした・・・でも、見逃すということはあの時の借りを返す意味かもね。なら、その通りにさせてもらうよ』
三人は一二三の見た方向とは逆を歩き出した。
そんな三人の存在を知ったものがいた。
「??どうしたのアキラ?」
「いいえ、何でもないですよ」
「全く・・・また誑す女を見つけたの?」
「あの、どうしてそういう考えになるのですか?」
「仕方ないの、それがアキラなの!」
「さあ、文句はあるかしら?」
もちろんアキラだが、一二三の予想通り三人の気配を見逃した。
『一瞬見えたあの気配は南の目と耳で間違いない。その二人が守るようにして真ん中にいたあの気配は確実に二人の上司でしょうね。でも、今回はいいでしょう。あの二人がいたから空君と名月君は生きていますし・・・』
彼の傍には護衛に鞠、もう一人美空が一緒に歩いていた。どれくらい街が元に戻ったか、自分の目で確認したいとのことで一緒に散歩中だ。
「いえ、何でもありません・・・それにしても、いくら私達が護衛とはいえよく城を出ましたね」
一応、美空には気づかれないよう顔色を変えずに返答した。
「民達の笑顔、それが確認したかったからね」
「美空様!お疲れ様です!」
「美空様!私達、頑張っています!」
「おや、アキラ?美空様と散歩ですか?」
何やら聞き覚えのある声も聞こえたりしたが、隣にいる当主は民の声を聴き嬉しそうにしていた。そんな中、美空が聞いてきた。
「ねえ、一つ聞いていいかしら?同盟の国って今はどれくらいなの?」
「浅井の近江に松平の三河。そして、足利の京といったところでしょう。って前にも説明したはずですが」
「その中で浅井と足利が嫁・・・なのよね」
「ええ、その通りです」
それを聞き、少し考えこんだ。
『松平は同盟を結んでいるだけで嫁じゃない。でも、公方様は嫁になっているのよね。どうしようかしら・・・嫁、なろうかしら?』
「美空?どうしたの?」
「っは!な、何でもないわよ!さ、さあ、一通り見たから戻るわよ!」
「「はあ??」」
顔が赤いのをばれないように、慌てて二人の前を歩いた。
『な、何を考えているのよ!でも、あいつの事、本気で好きになったし、秋子と貞子が嫁になったって聞いたし・・・本当にどうしよう』
自分の考えに悶々しながら、城に戻った。
だが、その決断はすぐにきた。次の日、
「どや~~~~~~~~~~~!!!」
ある部屋で織田に手紙を送ってもいいか?松平を三河に戻していいか?その許可をもらった後だった。その時は森の三人は自分達の陣に、松平の三人と雀と烏もそれぞれの陣に戻っていた。
「・・・すいません」
誰かさんの叫び声が聞こえたので母親は謝った。その誰かさんが用件を伝えようとしたが、慌てまくっていたので空に背中をさすってもらってやっと落ち着いた。
「た、ただいま!とんでもないご注進がまいりましたですぞ!あまりにあまりのとんでもなさにこの越後随一の義侠人「それはいいから!」は、はう!あ、あの!じょ、じょ、じょ、城門に!」
「城門に何?」
「武田が攻めてきたんですか!」
「柘榴、ボケは」
「て、て、て、典厩様が参りました!どーーーん!」
ボケはいい、と言おうとした松葉の言葉が止まった。 その名前に美空も顔色を変えた。
「典厩!武田信繁が来たというの!」
「はい!ど、ど、どうしましょう!修復中の大手門では大混乱です!どーん!」
「・・・秋子。通してあげて、勅使と同等の扱いで」
「え?は、はい!愛菜手伝いなさい!」
「どや!」
親子が出ていって、長尾勢が慌ただしくなった。
「詩乃、武田信繁とは誰ですか?武田、と名乗る辺りおそらく」
「はい、察しの通り武田家現当主武田晴信殿の妹君でございます」
「武田家は三人の姉妹で成り立っております。三女の信廉殿は長女晴信殿にそっくりで影武者をやることもあると聞いたことがありますぞ」
詩乃の説明に幽が付け足した。
「ふむ、なるほど・・・美空、その三人の中の一人が来たということは」
「ええ・・・向こうは相当本気と見ていいわ」
苦い顔をした美空が答えた。何か相当な要求をするが、越後を建て直し中だから反抗ができる状態じゃない。それを理解してやってきた当たり、武田家当主の晴信は相当のやり手とも見える。
評定の間で典厩と対面する美空と家臣達だが、今後の為にもアキラ隊もその様子を見ることができないか聞くと、武者だまりというスペースがあるからそこで確認するということになった。ただ、長尾と織田の同盟に関しては向こうも知らないだろうからアキラ隊と足利の旗は隠した方がいいということで、ひよところに朱雀・庵樹・時人は出ていった。
残ったメンバーが全員そこに入ることになったのだが・・・本来一人か二人しか入れない間であるため、アキラに詩乃と雫、一葉に幽、鞠に梅の七人も入るのは無理があった。
「あ、アキラ様。今、お尻触りました?」
「・・・分かりません」
「主様、それなら詩乃のではなく余の胸にしろ!」
「ハニー、私のでもいいですわよ!」
「某も、構いませんが?」
「・・・こんなに詰まっていては、誰のを触っているのか分かりませんよ」
「あ~~、誰か鞠のおっぱい触った~」
「アキラ様、わ、私にしてください!」
「分かりませんと言ったでしょう・・・私の股間に手をやったの誰です?」
「余は気にせんぞ?」
「・・・盛っていたのは公方様でしたか」
完全にすし詰め状態なのだ。手足共に誰かのを触れているのは分かるが、それが分からないびっちりだ。
「で、では、閉めます」
空が戸を閉めて、ついに武田家次女と美空の対談が開始した。だが、開始早々彼女の話し方に驚かされた。
「や、やがる?」
「ず、ずいぶんと見た目とはかけ離れた話し方をしますね」
やがる口調に詩乃も雫も唖然とした。
「美空も苦笑いしていますね」
「果たして、甲斐の虎はどんな要件を持ってきたのでしょうね?」
「うん。あの子、鞠と同じくらいの背なの」
ちょっとの雑談をしながら見ていると、美空が苦い顔になった。
「ふむ。機嫌が悪くなったのう」
「よほど、腹立たしいことという事だけは確かでしょう」
「でも、断れない。だからこそ美空も機嫌が悪くなったということですね」
二人の対談が終わり典厩が評定の間からいなくなって、やっと七人は武者だまりから出ることができた。ただ、自分達では出れなかったので旗の回収を終えた五人に手伝ってもらった。
「全く・・・どうして、こんな奴らに越後を救われたのかしら?(;一_一)」
辛そうに上段でぐったりしている七人を見て呆れる美空だった。
肝心の用件の確認をすると、幽が手紙の内容を説明した。
「やっほ~~、美空ちゃん元気~。こっちはとっても元気よ~。何か姉妹喧嘩したみたいね?でもね、こっちは仲良しなの~羨ましいかしら~?後継者でもいろいろごたごたがあったようね~。そっちってすっごく滅茶苦茶ね~、当主様があなただからかしら~。そうそう、その二つでと~~ってもお世話になった人がいるみたいじゃない。田楽狭間の天人だったっけ?私ね~、その人にとっ~~ても興味があるの。だからさ、その人こっちにくれない?というか、よこせ~~。そうすれば、今ゴタゴタなこの越後、攻めないで上、げ、る。さあ~、長尾美空景虎、返答はいかに!じゃあ、いい返事、待ってるね~~・・・・・・と、こう書いてありますな」
だが、美空をバカにした話し方で説明した。
「うむ!あっぱれじゃ!」
「光栄の至り!」
「(ムカムカ)あんたら~~天守の隅につるしてあげましょうか!というか、見世物にしてやるわよ!」
「・・・何ですか。この漫才は」
「何か、ほたる様と辰怜様の漫才を思い出します」
三人の漫才を見て呆れるアキラと朱雀。その間に詩乃が説明を始めた。
「漫才はともかく、武田晴信はアキラ様。あなたを欲しています。そうすれば、この日の本の中心的存在となっているあなたを手中に収められるからです」
「ええ、ハニーは既に日の本の大名全てから注目されていますからね」
「最初の空様誘拐で越後にいることが分かり、空様と名月様の戦いでアキラ様が越後にとどまっていることもわかった」
ここからは雫が引き継いだ。
「そこに、アキラを条件に越後を攻めないと言ってきたの?」
「なるほど・・・中々したたかだねえ」
鞠と庵樹の言葉に詩乃と雫が頷いた。
「全く・・・あなた達が名前を広めなければこんなことにはならなかったのに」
「もう過ぎたことっすよ、今は今の解決を考えましょう」
柘榴の言葉にうっとなる美空。そんな彼女の雫が手を挙げた。
「美空様、提案があります・・・まずは、織田との同盟。それを喧伝します」
「なるほど・・・武田の持つ甲斐と信濃は背後に織田と浅井に下にはあの松平がいたわね。つまり、背後を警戒させるという手ね」
「同盟にはそちらの公方様も入っています。もし、このまま攻め込むとしたら幕府と禁裏をも敵に回すことになります」
雫と詩乃の説明に柘榴が驚いた。
「ほえ~~。アキラ隊の頭脳さん達はすごいこと思いつきますね」
「柘榴じゃ絶対無理」
「松葉!ひどいっす!」
松葉に泣きつく柘榴。そんな二人を無視して話は続く。
「でもそれってまだ初手よね・・・次の手は?」
「えっと、賭けみたいなものですが。久遠様が認めてくれるか?となりますが」
その言葉だけで、アキラ以外のアキラ隊全員があっという間に理解した。ただ、その全員が諦めたような顔をしたので訊ねた。
「あの、みなさん。どうしてわかったのですか?」
「は~~、アキラ様は分からなくて当然ですよ」
「また、恋敵が増えるんですね・・・何か増え方が雪だるま式というより雪山式になっているよな気がしますよ」
「恋敵?」
ひよところの呟きの中に出た恋敵という言葉に美空は疑問に思ったが雫が答えた。
「はい、美空様。アキラ様の嫁になりませんか?」
この一言は長尾勢の皆がビックリした。
「美空様が嫁?」
「何と」
「み、美空様もアキラさんのお嫁さんに!」
「ほ~~、中々面白い手じゃな」
「っく!これだとアキラ様に簡単に近づけなくなる!」
「み、美空お姉さまも!」
「ど、どや!」
家臣達がみんな驚く中、美空は唖然としていたが何とか話は聞いていた。
「はい、日の本の為に鬼と戦うアキラ様の嫁になる。これは無形の力となります」
「武田がどう動くかはまだ分かりませんが。越後内定には十分に効果を発揮することでしょう・・・って考えないとやっていけませんよ。ああもう!大きな恋敵ですか」
途中からの本音を出す詩乃に全員が頷いた。
「それがアキラだ。お前達もさっき納得しただろう。諦めろ」
「「「「「う」」」」」
時人の言葉に苦い顔になったアキラ隊。そんな彼女らを見ながら美空はアキラに訊ねた。
「アキラ・・・あなたは、私が嫁になるとしたら、どう思う」
だが、その質問は少しオドオドしているように聞こえた。
「本心で言うなら、とても嬉しいですよ・・・でも」
「でも?」
「あなたが本当に私を好きなら。の話です。今回のようにどうしようもないから嫁になる。何て言うのはさすがにダメだと思います」
「本当に・・・好きに?」
「ふむ、美空よ。お主の本心はどうだ?」
「私の、本心?」
一葉の問いかけに胸に手をやった美空。
「ああ。ここにいる皆と外に出ているアキラ隊の皆は、アキラを心から愛している。アキラは厳しく、辛いことも言うが、余達の事をしっかり見て愛してくれる。素直になれ、アキラはどんなお前でも愛してくれるぞ」
将軍という肩書抜きで愛してくれた一葉の言葉に、美空は口を開いた。
「決めたわ!アキラ、あなたの嫁になる!私は・・・あなたの事が好きよ!」
遂に、心に隠していた想いを言葉にした。思わず呆然となるアキラ。
「返事は?」
「っは!あ、はい。前に言った通り、私もあなたの事をずっと愛します。お互いを理解しあって、もっと好きになりあいましょう」
「う、うん。そうね・・・えっと、よろ、しくね」
アキラの言葉に照れ顔になりながら、でも嬉しそうに美空も返事をした。
ついに美空もアキラの嫁となった。とてもめでたいことだが、現状はまだ一触即発に近い状態だ。
「さて、問題は武田ですね」
「そうっすね。アキラさんを差し出せば何とか今回は越後には手を出さないと言ってますけど」
「御大将の旦那を差し出すのは反対」
「じゃけど、軒猿の話じゃと片目の旗もあるらしいぞ」
「山本勘助ですか・・・それは困りましたね」
美空と家臣達はそう話すが、既にアキラの考えは決まっていた。
「美空、私は行きますよ。武田に」
その言葉に美空は言葉を失った。
「ここはあなたの国。私のせいで、妻の大切な国を無くすわけにはいきません」
「そ、そんな・・・あなた、あれだけの傷をもっているのに、また傷つきに行こうというの!向こうじゃどんな扱いされるかわからないのよ!」
「そんな傷、つける気はありません。今回のこれは、むしろいい機会と思ってます」
「アキラ・・・まさか、武田も誑すのか?」
庵樹の言葉に苦い顔をしながら訂正させた。
「誑すという言葉はやめてください。武田も同盟に入れると言ってください」
「な!あなた、越後が入るだけじゃ満足できないの!」
そう言ってくる美空の肩に手を置いた。
「美空・・・そういう問題じゃないんですよ。鬼との戦いは絶対に負けられない。私は悔しい思いをして、兵達を助けられなかった・・・絶対に、二度と負けられない戦いなんですよ」
悔しそうに残った手を力強く握りながら、アキラの脳裏によみがえった。自分に生きてほしいと言って死んでいった兵達の笑顔を・・・彼らの思いを肩に乗せ今も生きているからこそ、アキラは今回の武田行きを決めた。
「皆さんはどう思います?私の考え」
「アキラ様・・・私はどこまでもあなた様についていくだけです」
「そうですよ!アキラ様、アキラ隊は一心同体です!」
「私達はハニーの後ろをついていくのみですわ!」
「そうじゃ。余らはお主の背中を見て、お主と同じ道を進むだけじゃ」
「アキラ。私達だって同じ思いだぞ!」
「ありがとう、ございます」
全員がアキラと共にある。その意思を見れたことに心から嬉しかった。
「全く・・・新しい嫁の言葉は無視かしら?」
「すいません。でも、決まりましたよ。あなたを守るためにも、行きます」
「・・・ごめん。こ「違いますよ。美空。私は自分から、そして自分がしたいと思ったことをやりに行きます。あなたがいう言葉はそれではありません」・・・そう、なら、あ、ありが、とう」
もう一つの手も美空の肩に乗せ額をくっつけた。彼女の一瞬みせた弱い顔を皆に見せないようにするためだ。
「必ず戻ります。その時は越後をしっかり元に戻してくださいね」
そして、離れた後に見せた美空の顔は
「当然よ!愛する旦那を取られてそのままだなんて、越後の龍と呼ばれた私の名が折れるわ!あなたたち!いい事!これからはアキラはいないんだからしっかり働いてもらうわよ!」
長尾家当主の顔だった。
「分かってますよ」
「もちろんっす!」
「やる」
「かかか、老骨をまだ使うか?」
「アキラ様を取り戻してくださいね!」
「・・・いなくなっちゃうんですね」
「どや、寂しいです」
長尾の皆の意志も確認できた。後は、明日になるのを待つだけだ。
『美空、すいません・・・久遠、すいません。まだ、帰れなさそうです。でも、必ずあなたを抱きしめに帰りますから・・・待っていてください』
アキラ、武田が治める甲斐に行くことになる。
お待たせしました!ついに第六章終了です!
美空のあの間章は七章の最初に書きます!アキラ、ついに武田まで行きます・・・う~ん、どうやった書こうか。